流れるカフェ

作者:市川あこ


 さわやかな北欧風の店内の真ん中には、流しそうめん用の竹が置いてある。ただし、通常の流しそうめん用のものよりは太めで直径30cmはあるだろうか。
 店内の奥のテーブルの前で、店主の町野はうつぶせている。
「何でだよ。絶対受けると思ったのに……。何がいけなかったんだ……」
 店の入口には『日本初!? 流しカフェ。流れるケーキやカフェラテをキャッチして美味しく楽しく頂こう☆』と書かれたチラシが山積みで置いてあった。
 はうぅ……。彼は深い溜息を吐く。
 と、その時。
 大きな鍵が彼の背中に突き刺さる。
「……っ!!」
 鍵はそのまま心臓まで到達し、鋭い先端が心臓を穿った。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
 薄れゆく意識の中、彼の耳にそんな声が届く。
 鍵を握るのはピンク色の髪の女——第十の魔女・ゲリュオンだった。
 テーブルの上に崩れ落ちる彼の傍らには、エプロン姿の若い女性が立っていた。それは新たなドリームイーターだった。


「みんなは流しそうめんって好き?」
 集まったケルベロスを前に飴井・ゆゆ(ドワーフのヘリオライダー・en0200)はそう切り出した。
「嫌いじゃないけど……」
「うん、うん。いいね。悪くないよね」
 ゆゆはケルベロスたちに笑顔を見せると、こんな風に話を始める。
「念願の『流れるカフェ』のお店を持ったのに、そのお店が潰れちゃってすごく後悔してる人いるんだ。その人が、ドリームイーターに襲われて、『後悔』の感情を奪われちゃう事件が起きてるんだ。後悔を奪ったドリームイーターはもう姿を消してるんだけど、奪われた後悔を元に生まれたドリームイーターが事件を起こそうとしてるの。だからね、ドリームイーターが事件を起こす前に、倒して欲しいんだ。そうすれば、被害者の人も目を覚ましてくれるから」
 ゆゆの言葉に、ケルベロス達は深く頷く。
「それじゃ、倒して欲しいドリームイーターについて教えるね。まず、攻撃方法。『流れるスイーツ』『流れるカフェラテ』『流れる今日のランチ』のみっつのグラビティを使っていて、配下はいないよ。戦闘場所は、このお店の中なんだ。本当は閉店してるんだけど、今はドリームイーターのちからで開店してる。場所は、商店街の隅っこ。人通りは多少あるよね。開店時間は11時から23時までになってるよ」
「なるほどな」
「お店に入って、いきなり戦闘を始めることも出来るけど、お客さんとしてこのお店を心から楽しんであげると、ドリームイーターは満足して戦闘力が少し減っちゃうんだ。それに満足したら、被害者が意識を取り戻したときも、後悔の気持ちが薄れて前向きにがんばろってなれるんだ」
「そもそも、この店はどんな店なんだ?」
「えーとね、流しそうめんの要領で、オーダーの品が流れてくるシステムになってるんだよ。上手いことキャッチしたら綺麗に食べられるけど、出来なかったら最後のざるのところに落っこちちゃうから、ぐちゃぐちゃのものを食べなくちゃいけないっていう。……結構めんどくさい感じのお店」
 ケルベロスたちが「うわぁ」という表情をする。
「そんなわけで、お願い。みんなのちからでこのドリームイーターを倒して欲しいんだっ」
 そう言うとゆゆは、ぺこりとピンク色の頭を下げた。


参加者
ヴァニラ・アイスル(彩備・e00788)
天矢・恵(武装花屋・e01330)
天塚・華陽(妲天悪己・e02960)
ストラス・オルト(雲外蒼天・e04282)
ウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)
ティスキィ・イェル(ひとひら・e17392)
ノチユ・エテルニタ(夜に啼けども・e22615)
エステル・クラーク(ヴァルキュリアのウィッチドクター・e24552)

■リプレイ


「いらっしゃいませ」
 扉を開けばショートボブの若い女性が出迎える。エプロンを着ていることから店員であることは間違いなく、またドリームイーターであることも間違いない。潰れた筈のこの店では。
「8名です」
 先頭に立つストラス・オルト(雲外蒼天・e04282)が伝えると、
「このチラシを見て来たのじゃ」
 付け髭のウィゼ・ヘキシリエン(髭っ娘ドワーフ・e05426)が、入口のチラシを手に取って顔を出す。
「ありがとうございます♪ それではどうぞ」
 店員は笑顔を見せると店の中へ8名を招き入れた。
 店内は白い壁と木の家具が明るく爽やかな雰囲気を醸し出しているけれど、ど真ん中にある流しそうめん用の大きな竹が異質な存在感を放っている。
「へぇ、面白いじゃん」
 店内を見回してノチユが言葉を漏らすと、
「竹というのはインテリアとして悪くないのぅ。もう少し落ち着きが欲しい所じゃが」
 天塚・華陽(妲天悪己・e02960)も呟く。
「ここにするのじゃ」
 わくわくした目で上手を陣取ったのはウィゼで、続いて並ぶのはヴァニラ・アイスル(彩備・e00788)。その斜向かいにはストラス。
 ティスキィ・イェル(ひとひら・e17392)、エステル・クラーク(ヴァルキュリアのウィッチドクター・e24552)は中盤に、そうして下手に場所を取ったのは天矢・恵(武装花屋・e01330)、ノチユ・エテルニタ(夜に啼けども・e22615)に、最後尾で受け取るのは華陽。
 店員は8名にそれぞれメニューを渡すと「ご注文がお決まりになった頃、お伺いしますね」と、鼻歌交じりで店の奥へ消えていった。
「ちょっと惜しい感じですよねぇ。上手くやれば流行ったでしょうに」
 ストラスが声を低く落として言うと、
「結構面白いのにな」
「もうひと工夫すれば化けたろうに」
 ノチユと恵も彼に同意する。
 メニューの種類はそこそこ豊富で、注文の品を決めるのに時間はかからなかった。
「お決まりですか?」
 店員が伝票を手に現れる。

 斯くて、流れるカフェでの食事が始まる。


「おませしました〜、クロワッサンです」
 その声と共に店員が、皿に載ったクロワッサンを竹の上に置いて手を離す。
 注文したのはストラスで、クロワッサンが水の上を出発すると見るが否や、表情を鋭く引き締めた。
 水流に乗った皿は、水飛沫を上げて竹の上を流れていく。
 しかし水の流れは彼の予測よりも僅かに速く、ストラスの手が掴んだものは丸いお皿の後ろの部分で、上に乗ったクロワッサンは皿を掴んだ弾みで飛んでいってしまい、そのまま竹の上を流れて行ってあっという間に終着点のザルの中へ落ちてしまった。
「これは、仕方ないですね」
 ストラスは、ずぶずぶに濡れたクロワッサンを取ると、皿の上に乗せて大人しく一口食べてみる。
 芳醇なバターの香りと、しっとりし過ぎの生地。そして冷えた食感。
「流れてくるのを取るのは楽しいんですけどね」
「そうだな、涼しげで見ていて心地良いぜ」
 ストラスも恵も、味のことには敢えて言及しない。すべてはこの世界の平和のためだ。
「続きまして、本日のオススメランチのグリーンカレーです」
 初流しの余韻に浸る間もなく、店員がプレートを運ぶ。
「オスス……あっ!」
 自分の注文だとウィゼが気付いた瞬間、プレートは水の上を出発する。
 この時、彼女は自らの失敗その1にようやく気付く。オススメが何であるか確認をしていなかったことを。グリーンカレーなんてスープみたいにゆるいカレーが、この竹を滑る中で無事でいられる確率は一体どれほどなのだろう! とか計算する暇もなく、オススメランチを何とかキャッチしようとした彼女は自らの失敗その2に自ずと気付かされる。
 ——よく見えないのじゃ。
 竹は斜めに上がっているから、最前方に位置を取れば自ずと竹の位置は上がる。
 身長106.7cmの彼女の視界ではグリーンカレーは頭上を通っていくことになり、狙いを定められずあっという間にウィゼの前を通り過ぎて滑り落ちていく。
(「あれ絶対流さない方が美味しいですよう。コースとか無視してテーブルに直接置いてくれた方が美味しいですよう」)
 流れるカレーを目に、エステルはそう思わずにはいられない。
 追いかけるウィゼ。手ばした手はプレートに届かない。
 グリーンカレーも落下してしまう運命なのか。
 けれどここで奇跡が起こる。
 恵がプレートを受け止めたのだった。
「危なかったな」
 彼はウィゼにカレーのプレートを渡す。
 盛りつけは少々崩れているものの、食べるには何の問題もない様子だった。
 そうこうしている間にも、食べ物はどんどん流れ来る。
「続きまして、シフォンケーキ」
「ちょっと待って下さい!」
 ケーキの載ったお皿を長そうとするドリームイーターを前に、ティスキィが声を上げる。
「水の流れを遅くしてもらえませんか?」
「仕方ないですねえ。少しだけですよ」
 そう言うと店員はしぶしぶ水量を調整して、流れを緩やかにする。
「それでは!」
 白いお皿に載ったシフォンケーキが竹の上を出発する。
 さっきより流れは遅く、ティスキィは無事にケーキを受け止めることが出来た。
「ナイスキャッチなの!」
 ヴァニラの笑顔にティスキィはにこっと笑う。
「こういうの、楽しいね。みんなでゲームしてるみたいで」
 二人は顔を見合わせて笑う。
「本日のオススメパスタです」
 その言葉を聞くが否や、恵は流れの前方の方へ移動した。
 ——トマトとモッツァレラの〜……という声と共に、皿が水の上を流れ始めると恵は余裕のある身のこなしで、素早く皿を取る。
 上流で取ったことが幸いしたのか、パスタの盛りつけもほとんど崩れていない。
「美味そうじゃねぇか」
 恵は口元に笑みを浮かべると、テーブル席へ行く。依頼の成功のためにも、美味しく食べるところをドリームイーターに見せてやりたい。
「それでは、パンケーキとサンドイッチとマドレーヌのお客様〜」
「はいっ!」
 ツインテールをぐにぐに弄っていたヴァニラは、返事をすると慌てて竹の前で構えて、全身の嗅覚を食べ物へと集中させる。
 いきますよ〜。その声を合図にまず流れてくるのは、パンケーキ。三段重ねのてっぺんには山盛りの生クリームがトッピングされている。
「えいっ!」
 ヴァニラの集中の甲斐あって、初めの皿は難なくキャッチ。だけどほっと息をついたのも束の間、次の皿がサンドイッチを乗せて水飛沫を上げながら流れてくる。
 パンケーキを崩さないようにバランスを取りながら、流れる皿を取るのは至難の業でヴァニラは指先を震わせながらも、何とか皿を受け止めて見せた。
 けれどその間にも注文は容赦なく流れて、両手が塞がったヴァニラの前をマドレーヌの載った皿が通過していった。
 もうダメだ。そう思った瞬間、ザルの中へ落ちる寸前で皿が止まる。
「危なかったのう」
 受け止めたのは華陽だった。
「ありがとうなの!」
 両手の塞がったヴァニラのために、華陽はテーブルまでマドレーヌを持っていく。
「それでは、本日のオススメデザートです」
 『オススメ』は出来れば固形であって欲しいという、ノチユの願いは叶うのだろうか。
 上流から流れてきたのは、チョコレートパフェだった。
 縦長の器の上には皿に生クリームやアイスにウェハースなどが盛りつけられていて、不安定この上ない。
 ゆらゆらとしながら、パフェは少しずつ速度を上げてノチユの前へ向かっていく。
 これまでの流れを見ていて、速度の計算はおおよそ出来ている。
 今だと思った瞬間、ノチユはパフェを受け取るべく手を出す。
 けれど、思っていたよりパフェの器は加速していたようで、彼の手は空中をすべってウエハースのみを掴むことになってしまった。
 チョコレートパフェは見事に落下して、ザルの中へダイビング。
「……あー……まぁ、こうなる気はしてた」
 ノチユはしゃがんでパフェを拾う。
 右手にはウェハース、左手には崩れた上に濡れたパフェ。
 彼はウェハースで生クリームとアイスをすくうと、ぱくっと味見をする。
「あー……うん、味はちゃんと美味しい」
 決してお世辞ではなく本心だった。ノチユは二口目もぱくっと食べる。
「ゲーム感覚ですごく楽しいし、良い店を見つけた気がするよ」
 ドリームイーターに聞こえるように、ノチユは言う。
「クラブハウスサンドです〜」
 その言葉を聞くと、華陽は流れの上流を見据える。
 ——60年の経験を見せてくれる。
 自分でも竹で流しそうめんの設営をしたことがある。それ故、今回はなんとしても受け止めて見せたいところだ。
 ボリューミーなサンドを載せて、皿が華陽に向かって出発する。
 彼女の目論み通り、串が刺さっているため形は崩れず綺麗な状態で、水の上を流れていく。
 勢いよく水の上を流れて皿が近付くと、華陽は狙いを定めて皿を掴む。
 完璧なタイミングだった。けれど、ずっと中腰で構えていたせいで若干バランスを崩してしまい、その結果クラブハウスサンドは皿から弾かれて宙を舞い、くるっと一回転。結局ザルの中へ落ちてしまった。
「……」
 理不尽だけど仕方ない。華陽はサンドを拾うと、黙々と口に入れる。
「最後はフレンチトーストですっ♪ 温かいうちにどうぞ」
 店員がテンション高く現れる。
 作戦の甲斐あって、ドリームイーターの陰鬱な念は薄れているようだった。
「わかりましたよ、ええわかりましたとも……」
 半ば自棄気味でエステルが声を上げる。どうしてこんなことをしなくてはならないのか。
 だけどこれもドリームイーターを倒すためなのだ。
 流れ出した皿をエステルは、ひきつり気味の笑顔で迎える。
 高さのないメニューを選んだのは正解だったようで、フレンチトーストは崩れることもなくそのままの形でこちらへ向かって流れてくる。
 皿がエステルの前を通過する、その瞬間彼女は手を伸ばす。
 けれどそれは僅かに遅かったらしく、皿はそのまま勢いよく流れて行ってしまった。
 それを見たティスキィが追いかけて行くけれど、水の流れが速くて間に合わない。
 ——ざぶん。
 見事な飛沫をあげて、フレンチトーストはザルの中へ落ちてしまった。
 エステルはそれを拾うと、仕方なさそうに一口食べてみる。
「……いけますね、既にぐずぐずでしたし……」
 作り笑顔は引きつっているけれど、ドリームイーターはそんな様子に気付かないようで嬉しそうに笑っている。
「ご注文は以上ですね。それではごゆっくり♪」
 そう言うと店員はお辞儀をした。


 当初は作戦として、精一杯楽しく振る舞うつもりだったけれど、実際に食べているうちに、8名は何となく本当に楽しくなっていた。
 皿がすべて空になると店員が片付けに現れて、その瞬間ケルベロスたちの間に戦闘前特有の緊迫した空気が走る。
 もうそろそろ始めてもいいだろう。
 彼らの思いはひとつだった。
「さて、そろそろお支払いをしましょうか。貴方に相応しい方法で」 
 ストラスはドリームイーターにそう言うと、立ち上がった。
「楽しかったのじゃ」
 ブラックスライムを腕に、ウィゼも立ち上がる。
「えっ、ちょっと、何……」
 戸惑う口ぶりとは裏腹に、デウスエクスは瞳を昏く鋭く光らせて、後方へジャンプ。彼らから間合いを取る。
「嬉しかったのに」
 そう言うが早いか、ドリームイーターは白いマグカップを投げつけた。その行く手にはエステル。
 カップから溢れ出たカフェラテが彼女の身体を包んで茶色く染めた。
 戦闘が始まった。
 まず、ストラスは床の上にケルベロスチェインを展開して前衛たちの守りを高める。
 そしてティスキィが爆破スイッチを押すと、後衛の背に極彩色の爆発が生まれて、爆風が彼らの士気を上げた。
「……味は悪くないんだよな、味は。だから本物の店主に言わせてよ、美味しいってさ」
 ノチユは縛霊手でドリームイーターを殴りつけると同時に、霊力を網状で放射して敵を緊縛する。
 退路を防ぐように、出来るだけ壁際に敵を追い詰めることも忘れないで。
「いい雰囲気の店じゃねぇか」
 恵の全身を覆うオウガメタルからオウガ粒子が放出されて前衛の超感覚が覚醒されていく。
 ケルベロス側の守りもエネルギーも万端だ。ウィゼの腕のブラックスライムは美味しそうにドリームイーターを丸呑みした。
 そこへ続けて、エステルの跳び蹴りが流星のキラメキと共に重たく炸裂する。
 それはフレンチトーストがぐずぐずになってしまったことへの哀しみが籠められた一撃だった。
 そこへミントが鋭い爪で引っ掻くものだから、ドリームイーターはふらふらのへろへろだ。
 攻撃が効いていることにも加え、店を楽しんでもらえたことが嬉しくて力が入らないようだった。
 後悔の念の減った彼女の生命力はとても乏しい。
 ヴァニラはドリームイーターに掌を向けると、ドラゴンの幻影を放ってその身体を焼き上げる。
「おぬしはしばし休むといいのじゃ」
 出来ることなら永遠に。そんな思いを籠めて、華陽は両手から連続でビームを放つ。
『拡散式絶対腰痛になるビーム』
 それは彼女が味わってきた痛みを、強制的に体験させるビームだ。
「あぁ……もう……」
 ドリームイーターは背骨が折れたかと思う痛みの中、その場へ崩れ落ちる。
「この店は、店員が腰痛になっても配膳に苦労しない、ある意味画期的システムじゃった」
 華陽の言葉はドリームイーターへの最後の餞となった。


 戦闘が終わるとティスキィとノチユは店の奥へ行き、店主の無事を確認する。
 幸い彼は怪我一つなく、ことの次第をケルベロスたちから聞くと「申し訳ありません、ありがとうございました」と頭を下げた。
 店内の破損は恵、ノチユ、ストラスがヒールを施したお陰で、すぐに元通りになった。
「このお店、楽しかったので、また是非頑張って下さい」
「本当に、友達を、つれてきたいくらいだったのー!」
 彼がまた次に何か挑戦出来るように、そんな祈りも籠めてティスキィとヴァニラは笑顔で彼を励ます。
「けれど、せっかくの料理が崩れてしまうのはもったいないのじゃ」
「お手軽に涼しさを楽しめるようなお店づくりをすれば、良い感じになったんじゃないかなって思いますよう」
 ウィゼとエステルが店主に言うと、彼はなるほど……と深く頷く。
「何にしても売れないのは客が望んでおらんかったということ。どうすればよかったか考えてみるとよい……」
 華陽の言葉にストラスもそうですね、と頷く。
 アイディアは良かった。ただ、もう少し足りなかった。
 みんなそれぞれ、店主の再起を願って、今後のためにとそれぞれの考えを伝える。
「ま、これまでの店は水に流しちまってまたやり直せばいいぜ」
 恵がそう言うと、店主は「そうですね」と微笑んで見せた。
 そこにはもう後悔の色は見えない。
 それは未来を見ているような笑顔だった。
 

作者:市川あこ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年8月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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