黙示録騎蝗~飢餓に狂いて

作者:幾夜緋琉

●黙示録騎蝗~飢餓に狂いて~
 深夜の森、奥深く。
 カマキリの如く姿をした、イェフーダーは、その手に用意したコギトエルゴズムへ、グラビティ・チェインを与える。
 その力を受けたコギトエルゴズム……いや、ローカスト。
 ……しかし、受け取った力は、復活するのに必要最低限な量。
 生命維持も出来ない程、ギリギリのグラビティ・チェインを受けた彼は……当然、餓えを訴える。
『ウウウ……ヨコセ、ヨコセヨコセヨコセェエエ!!』
 その餓えを補充するが如く、暴れ始めるローカスト。
 そんな彼を取り押さえるのは、イェフーダーと、その配下達。
 そして、ローカストに対し、イェフーダーは。
「グラビティ・チェインが欲しいか? ならば、自分で略奪してくるのだ!」
 と言い放ち、放逐。
 ……餓えのままに、町へと向かうローカスト。
 その後ろ姿をニヤリと笑みを浮かべながら。
「お前が奪ったグラビティ・チェインは、全て太陽神アポロンに捧げられるだろう」
 と、呟くのであった。
 
「皆さん、集まりましたね? それでは、早速ですが説明を始めさせて頂きますね」
 と、セリカ・リュミエールは、集まったケルベロス達へ一礼し、早速説明を始める。
「ローカストの太陽神アポロンが、どうやら新たなる作戦を行おうとしている様なのです」
「皆さんが、不退転侵略部隊の侵攻を防いだことにより、彼らは大量のグラビティ・チェインを得る事が出来ませんでした。その結果、新たなるグラビティ・チェインの収奪を画策している様なのです」
「この作戦は、コギトエルゴズム化しているローカストに、最小限のグラビティ・チェインを与えて復活させ、そのローカストへ人間を襲わせ、グラビティ・チェインを奪うという物です」
「復活させられるローカストは、戦闘力は高いのですが、グラビティ・チェインの消費が激しいという理由でコギトエルゴズム化されたものです。その為、最小限のグラビティ・チェインしか持たないといえども、侮れない戦闘力を持っています」
「それに加えて、グラビティ・チェインの枯渇による飢餓感から、人間を襲撃する事しか考えられなくなっている為に、反逆の心配をする必要もありません」
「又、狩りにケルベロスが撃破されたとしても、最小限のグラビティ・チェインしか与えられていないので、損害も最小限……と、効率的且つ非道なる作戦と言えるでしょう」
「この作戦を行っているのは、特殊諜報部族の『ストリックラー・キラー』を率いる、イェフーダーというローカストです。まずは復活させられたローカストを迎撃する必要がありますが、いずれはイェフーダーと直接対決する必要があると思います」
 そして、更にセリカは詳しい情報についての説明へ。
「このローカストは、カブトムシの形状を取り、森の中から市街地へと降りてきています。市街地とは言いますが、山間になりますので、そこまで襲われる人は多く無いと言えます」
「このローカストの攻撃能力は、その鋭い角を振り回して仕掛ける攻撃です。フェンシングの如き突き刺しの一撃は致命傷にもなりかねません」
「又、横に薙いでの範囲攻撃なども可能です。餓えては居る故に、狂いながら皆さんに接近し、殺すべくに熾烈な攻撃を嗾けてきますので、注意して下さい」
 そして、最後にセリカが。
「グラビティ・チェインが枯渇しているとは言えども、決して油断せず、かならずや撃破してきて頂けるよう、宜しくお願い致します」
 と、頭を下げるのであった。


参加者
天導・十六夜(天を導く深紅の妖月・e00609)
シィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)
ガナッシュ・ランカース(マスター番長・e02563)
不知火・響哉(紅蓮の業火・e02976)
エフイー・ノワール(遥遠い過去から想いを抱く機人・e07033)
雨宮・流人(紫煙を纏うガンスリンガー・e11140)
アシュレイ・ヘルブレイン(生まれたばかりの純心・e11722)
ヒューリー・トリッパー(胡散臭いのはわざとです・e17972)

■リプレイ

●命擦りて
 深夜、必要最小限のグラビティ・チェインを受けて復活したというローカスト。
 生命維持もままならない、ほぼ限界の飢餓状況の復活は……彼らにとっては、死と生の紙一重の状況での復活。
「まったく……胸糞悪い作戦ですね……」
「ああ。本当に胸糞悪い作戦立てやがって……」
「相変わらず、癪に障る事をしてくれるもんだ……」
 と、ヒューリー・トリッパー(胡散臭いのはわざとです・e17972)、雨宮・流人(紫煙を纏うガンスリンガー・e11140)、天導・十六夜(天を導く深紅の妖月・e00609)が口々に呟く、胸糞悪いという言葉。
 いや、その思いは誰しもが思って居る事……それが例え敵であろうとも。
「飢えなければ勝てない……だから飢えさせて、その生への渇望を利用する、という訳か。作戦としては、道理には適っているとも言えるだろう」
「うむ。確かに効率的と言われれば効率的なんじゃが……しかしとても味方に対して行う事ではないのう。流石にこれは敵とは言え、許せんやり方じゃ」
「そうだ。こんな作戦に使われるこいつには同情するが、市街地を襲わせる訳には行かねえ。怨むなら大将を怨んでくれ。俺達は俺達ノ仕事をさせて貰うとしよう」
 と、アシュレイ・ヘルブレイン(生まれたばかりの純心・e11722)、ガナッシュ・ランカース(マスター番長・e02563)、流人に、不知火・響哉(紅蓮の業火・e02976)、エフイー・ノワール(遥遠い過去から想いを抱く機人・e07033)も。
「ああ……絶対尻尾を掴んでやる。その為にも、確実にここで始末を付ける」
「だな。それでは被害が出る前には付かないとな……急ごう」
 と頷き合い、そしてシィカ・セィカ(デッドオアライブ・e00612)が。
「さー、ボクのギターでしっかりと始末をつけるデース!!』
 とギターを掻き鳴らして気合いを入れるのであった。

●命は死の前
 そして、セリカから聞いた、飢えるローカストが現れるという、山間の町に到着。
 ……山の方に対峙する様、ケルベロス達は立ち塞がり、そしてすぐに周りの人達へ避難勧告。
「皆さん、急いでここから避難をお願いします。危険なローカストがやってきます!」
 とエフイーが声を上げて避難勧告をしつつ、十六夜が避難した後にキープアウトテープを張り巡らせていき、人の排除を行う。
 ……そして、大方の人払いを終えた、その瞬間。
『ヨコセェエエエ、ヨコセエエエエ!!!』
 と、苦悶の悲鳴を上げて、山から下り行くローカスト。
 カブトムシの如き姿形……しかし、何処かボロボロな身体は、一層の悲壮感を纏っている。
 そんなローカストの突撃に対し、挑発と共に放つエフイーの一撃。
『グゥゥ……!?』
 と、苦悶に呻くローカスト……少し間合いを取り、ケルベロス達を睨み回す。
 そんなローカストに。
「悪いが現在、此処から先は通行止めだ」
「そうです。ここから先は立ち入り禁止ですよ? お帰り頂くか、ここで倒されるか……お好きな方をどうぞ」
「うむ。ここから先に行きたくば、わしらを倒してからにするんじゃな」
 と、十六夜、ヒューリー、ガナッシュの言葉。そして響哉、シィカ、流人らも。
「お腹が空いて空いて仕方ない様だな? 必要最小限しか食べさせられて貰えてないって、本当お前は主人には恵まれてなかった様だな」
「そうデース! 主人に恵まれないのは本当残念デース! でも、だからといってこのままのさばらせておく訳にもいかないデース!」
「そうそう。ほらほら。こっちの方がたらふく食えるぜ?」
 と、流人が見せつけるよう、グラビティを傍らの地面に掛ける……ファンシーに彩られたそこと……あふれ出すグラビティ・チェイン。
 ……ローカストは、そんなグラビティ・チェインに、目の色を変えて。
『ソレ、ヨコセ、ヨコセエエ!!』
 涎を垂れ流しながら、流人をメインターゲットに据える。
 真っ直ぐに、その角を劔の如く、ふりかざして攻撃。
 その一撃……咄嗟にカバーリングに入るシィカ。
「させないデース!!」
 かなり強力な一撃に、僅かに涙目を浮かべるのだが……どうにか耐える。
 そして、そんなシィカに流人が。
「カバーリングサンキュ。でも、あんまり無理はすんなよ!」
 と言いながら、マインドシールドの弾丸を撃ち抜く。
 更に続いてアシュレイが、入れ替わるようにして前に一歩進み出ていき、ゼログラビトンの一撃を叩き込むと、連続してエフイー、ヒューリーのジャマー陣が。
「爆せなさいっ!」
 とサイコフォースに、クイックドロウで連続攻撃。スナイパーの響哉も、バスタービームで制圧射撃。
 ……そして、最後に十六夜、ガナッシュのクラッシャー二人が、ローカストの前と後ろをしっかりと固めて。
「悪いが逃す気は無い。天導流・縛鎖八卦陣」
「中々命中せんようじゃな。仕方が無い。先に命中を上げさせてもらうぞい!」
 と、猟犬縛鎖に、メタリックバースト。
 しっかりと命中を上げて行きながら、ローカストに攻撃を続けて行く。
 でも、そんなケルベロス達の攻撃を受けて、その身体をボロボロにしながらも、ローカストは。
『ヨコセ、ケルベロスチェィン、ヨコセエエ!!』
 と、狂気のままに、回復などする事無く攻撃をし続ける。
 そんなローカストの攻撃、 シィカとアシュレイが交互にカバーリングで、ダメージを分散。
 勿論、ローカストの狙いは流人だが……流人は数歩後ろから、遠距離リボルバーによるヒーリングを回していく。
 ……そして、ジャマーのエフイーとヒューリーが、フロストレーザーで氷付与、ヒューリーは。
「そいやっさっ! と!」
 と達人の一撃を、刀を振り翳して攻撃を叩きつける。
 そのカブトムシの骨格の狭間に剣を突き入れ、抉る一撃を叩き込む。
 骨格を抉られる一撃は、ローカストに。
『グガアアア!!!』
 と、更なる絶叫の声を上げさせ、苦しませる。
 ……そんなローカストの絶叫を聞き届けながら、敢えてエフイーが。
「あなた達の目的は一体何なのです? グラビティ・チェインをを集めて何をしようとしているのです?」
 と、問いかける。
 ……しかし、当然ながらローカストは、その問いかけに返事を返す訳がない。
 グラビティ・チェインの不足による飢え、喰らうダメージによる痛みが、更に、更にローカストの正気を失わせていく。
『ヨコセ、オレニヨコセエエ!!』
 そんな狂気のローカストの暴走行動を、カバーリングやいなす攻撃で勢いを落として対峙をし続ける。
 そして……ローカストとの戦闘開始から十数分が経過。
『グ、グゥゥゥ……』
 と、流石にローカストも、かなりの疲弊が見られる。
 その身体は一層傷だらけになり、人外の色の血も至る所から噴出し始める。
『クソォ、クソォォ……』
 と、悔しそうなローカストの叫び。
 そんなローカストを見て、そろそろ頃合いだ、と判断する十六夜。
「さぁ……そろそろ反撃開始と行こうか」
 と言う宣告と共に、斬霊とを抜く。そして。
「さぁ、綺麗な華を沢山咲かせてくれよ……天導流、桜華絶咲」
 と、次の瞬間、間合いを詰めての抜刀居合い斬り、複数斬撃。
 更にガナッシュも。
「本来サポートはわしの役割では無いが、当らん事には敵を倒せんからのう!」
 と、ファミリアシュート。
 ……その一撃は、ローカストの角をポキリと折ってしまう。
 一番の武器である角を失ったローカストは、その痛みに。
『グガアアアアアアア……!!』
 人外の絶叫を上げるローカストが、地面の上にのたうちまわるのは、とても無惨。
 しかし、グラビティ・チェインを得る事も出来ないローカストに遺された道は……死。
「あなたの飢え……確かに受け止めましょう」
 とアシュレイはローカストに宣言し。
「凍てつけ、必滅定めし非情の理……アクアロギア!!」
 とアクアロギアを叩き込み、更に数本の脚腕を氷付けに。
 動きをも奪われたローカストが、満足に動く事も出来ずにジタバタと蠢く。
「ほらほーら、もう終わらせるデース!」
 とシィカがジグザグスラッシュで一気にバッドステータスを倍増させて、ヒューリーも。
「言っておきますが、此れに斬れるモノは…無い!此れが為すのは…唯の邪魔立てですっ!」
 と、脆刃の紫を、ローカストの心臓に突き立てる。
 その一閃に、ローカストは甲高い断末魔の叫びを上げて……其の場に崩れ墜ちるのであった。

●死という末路
 そして……飢餓に苦しむローカストを倒したケルベロス達……。
 既にローカストの姿は無惨の一言で……苦しみ続けたローカストを見ていると。
「やれやれ……飢えた死ぬほど、哀れな事は無いのう……」
 と、ガナッシュがぽつり呟く。そしてその骸の所に軽く手を当てるようにしながら。
「グラビティ・チェインはダメじゃが、せめて別の物でも腹一杯食えればよかったのにのう?」
 と言いながら、手を合わせる。
 ……そんなローカストの冥福を祈りつつ、他の仲間達は。
「みんな、お疲れ様……さて、それじゃ俺達は、後始末を始めるとしようか」
「了解デース!」
 十六夜の言葉に頷き、シィカがギターを奏で、ヒューリもヒールグラビティを活用して、周辺の壊れた場所を次々とヒールしていく。
 そして一通りヒールしながら京夜、エフイーはローカストの残骸、壊した破片などを拾い上げて、イェフーダーの手がかりが無いかを調査。
 ……特に、破片が何かの手がかりを持って居るかどうかは解らないが……幾つかの壊した破片を回収していく。
 そして回復と、回収が一通り終わった後には。
「良し。それじゃそろそろ帰るとしようか」
 と、十六夜の言葉に皆も頷き、そしてケルベロス達は其の場を後にするのであった。

作者:幾夜緋琉 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年8月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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