黙示録騎蝗~赤目のアズレト

作者:林雪

●すべては、太陽神アポロンの命のままに。
 昼なお暗い、山奥の森林にて。
 特殊諜報部族『ストリックラー・キラー』の長、イェフーダーの手には、ひとつのコギトエルゴスムがあった。
 イェフーダーはカマキリ型のローカストで、ストリックラー・キラーを率いて数々の汚れ仕事を担ってきた。作戦のためならどこまでも非情である。
 コギトエルゴスムに、ほんの僅かな、体の形を保つことすらギリギリの量のグラビティ・チェインが与えられる。復活したのは、巨大なハエ型のローカストだった。
『グァアア、モット……モットォオオ』
 復活したローカストは、飢えていた。かつて戦士として勇猛に戦い『赤目のアズレト』と呼ばれ怖れられた面影は今はない。グラビティチェインへの強烈な飢えから暴れだすアズレトは、イェフーダーとその配下に取り押さえられてしまう。
『グラビティ・チェインが欲しければ、自分で略奪してくるのだ』
 イェフーダーはそう言うと、アズレトの丸い背を突き飛ばす。弱弱しく翅を動かし、人の気配を求めて飛び去るアズレトの背を見送りながら、イェフーダーが呟いた。
『お前が奪ったグラビティ・チェインは、全て、太陽神アポロンに捧げられるだろう』

●特殊諜報部族『ストリックラー・キラー』
「ローカストの太陽神アポロンの新しい作戦が展開されようとしてるみたい」
 ヘリオライダーの安齋・光弦が集まったケルベロスの顔を見回して説明を始めた。
「先日現れた『不退転侵略部隊』の侵攻はきみたちの活躍で無事防げたけど、向こうはまだ諦めていないらしい。新しい作戦の内容っていうのが、割とえげつなくてね」
 ローカストたちには後がない。身を削るような作戦を次々立ててくる。
「戦闘力は高いけどグラビティ・チェインの消費が激しい、っていう理由でコギトエルゴスム化させられたローカストに、ほんのちょっぴりだけ、最小限のグラビティ・チェインを与えて復活させて、人間を襲わせようっていうんだ」
 飢え。生物である以上、この苦しみに耐えられるものはいない。
「作戦の指揮をとっているローカストは特殊諜報部族『ストリックラー・キラー』を率いていて、名はイェフーダー。復活させられたローカストは飢餓感から理性を失って人間を襲う。つまりイェフーダーにしてみれば、反逆の心配のない兵士だ。そして仮にケルベロスに撃破されたとしても、損失は最小限のグラビティ・チェインだけ……」
 まさに仲間の命の使い捨て、という作戦なのである。光弦の表情にも憤慨が滲む。
「とりあえずは復活させられた方のローカストを倒しに行って貰うけど、いずれはイェフーダーを叩かないとね」

●赤目のアズレト
「今から倒しにいってもらいたいローカストはハエ型、複眼が特に巨大で攻撃時に赤く光ることから『赤目のアズレト』っていうあだ名がついてたほどの戦闘的なやつだったらしい。山奥で復活させられて、そこからほど近い村で人を襲うつもりだ。時間帯的に農作業中の人なんかが危ないかも知れない」
 山間の小さな村で、人口も都市部などに比べれば格段に少ないがローカストには十分な量のグラビティ・チェインが得られる。
 モニターに画像が映し出される。アズレトの身長は2メートルないくらいだが、ずんぐりと胴が丸く太い。グラビティ・チェインの枯渇のせいか、腹部だけがしぼんでしまっている。体色は暗いが、油膜のような不気味な虹色の照りがある。
「短い翅を高速で羽ばたかせ、飢えに任せて襲いかかってくるはずだ。理性も知性も何もない。飢えを満たすためだけに牙を伸ばし、その力を得るために身をも削る攻撃的な強敵だよ。だから」
「くれぐれも油断しないで。アズレトのグラビティ・チェインはほぼ枯渇しているけど、追い詰められた獣は何をするかわからない。君たちの力で、確実に葬ってやってね」


参加者
ノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)
千手・明子(雷の天稟・e02471)
奏真・一十(あくがれ百景・e03433)
一津橋・茜(紅蒼ブラストヘイム・e13537)
ジーグルーン・グナイゼナウ(遍歴の騎士・e16743)
一羽・歌彼方(黄金の吶喊士・e24556)
シグルーン・ゲイルドリヴル(ソウェイルの妖精・e24695)
葛城・かごめ(ボーダーガード・e26055)

■リプレイ

●来襲
 山間の平和な村に、不安の影が落ちていた。
 イェフーダーの悪辣な作戦により、餓鬼として復活させられた『赤目のアズレト』に対し、ケルベロスたちは同情を禁じえなかったが、村人たちの不安に慄く姿を見れば、やはり皆、拳に力を入れざるを得ない。
「作業中失礼、突然悪いな。避難勧告である」
 奏真・一十(あくがれ百景・e03433)が畑に近づき、収穫作業中の老人らに割り込みヴォイスを使って声をかけた。
「ローカストが山側から飛来します。わたくし達ケルベロスが必ず倒しますので、落ち着いて、しばらく屋内に避難してください」
 千手・明子(雷の天稟・e02471)も拡声器を手にそう呼びかけてまわる。村の人々を混乱させないように、怖がらせないように、なるべく優しい声で。
 空からは飛行班が、逃げ遅れた人がいないかを念入りに確認する。ひとりの被害も出さずに済ませたいのは、いつの戦いにおいてもケルベロスたちの願いである。
 地上班、接敵待機班、飛行班と分かれ、飛行班の中でも高い位置と低い位置に分かれる。
 彼方・悠乃とエト・カウリスマキ、そして玉榮・陣内は低空から。陣内がすれ違いざま、明子の耳元に軽口をきいた。
「よ、明子。今日もいい女だな」
「たまぇさん、サポートありがと。よろしくね!」
 飛び去る姿を見送りながら、明子は顔を赤くする。照れ屋の彼女は、軽口でも褒め言葉に弱い。うなじに手を回し、長い髪に風を通しながら、凛とした風、凛とした風……と前を向く。
「皆さん、怖くないですよー。しばらく向こうで待っててくださいねー……明子、今いるところの近くに納屋があるよ。一応、覗いてみて」
 一羽・歌彼方(黄金の吶喊士・e24556)が高い位置から、気付いたことを通信機器を使用して地上の明子に伝えた。両手で輪を作って応えると、急ぎ明子が走る。
「ご婦人、山側は危険だ。離れてもらいたい」
 山側の自宅へ戻ろうとする中年女性にジーグルーン・グナイゼナウ(遍歴の騎士・e16743)が声を張って勧告すると、近隣の村人が避難所へと引っ張っていく。その様子を見届けて、ジーグルーンは片手を上げて謝意を示す。ケルベロスと村人たちの連携はうまくいっているようだった。
「奏真、西側のあぜ道に子供が残っているようじゃ。お主が一番近いゆえ向かってくれるか」
 シグルーン・ゲイルドリヴル(ソウェイルの妖精・e24695)も同じく空の高い位置から伝える。普通の人間、特に子供が凶暴化したローカストに襲われれば、ひとたまりもないだろう。急ぎ一十が向かうと女の子がひとり、竦んだ様子で立っていた。
「脅威は我々が必ず退けるゆえ、今は落ち着いて屋内で待機してくれ」
 といつもの口調で言いかけるが、安心させるように頭を撫でてやり、声を弛めた。
「大丈夫だよ」
 一方。
 村を背に山を臨み、どこから敵が現れても守れる布陣で待ち構えているのは葛城・かごめ(ボーダーガード・e26055)。
 じっと山肌を見つめながら、一津橋・茜(紅蒼ブラストヘイム・e13537)は持参した旗を両手で頭上たかく持ち上げ、さぁ来い、とばかり風になびかせる。
「敵もなかなかエグイことするよね」
 かごめの言葉に、茜は己の経験を思い出してしまう。飢餓感というものを、生き物としての尊厳を奪われるあの何とも言えない感覚を。
「……」
「餓えはうん。苦しいよね。けど、人を喰わせるわけには行かないな!」
 茜の胸の重さを散らすように、殊更明るくそう言うノーフィア・アステローペ(黒曜牙竜・e00720)、その肩にはボクズドラゴンのペレが佇む。かごめが頷いて言い足した。
「……あたしたちが戦う分には好都合、って考えましょ」
「です、ね」
 仲間の気遣いに、茜の頬も緩む。そのとき。
「あ!」
 山側に向かって一際強い突風が吹いた。茜の手から旗が離れ、空に舞う。それを追った視線の先に。
「来た!」
 鬱蒼とした山林を割って、向かい風の中を黒くずんぐりとしたアズレトの体が出現した。
 上空を旋回していた飛行組はその姿を捉えると、一斉に地上近くへ舞い降りる。接敵班がアズレトを引き付ける間、アズレトの射程圏内に逃げ遅れた人はいないか、風のようなスピードで翼を走らせた。
「アズレト! ここよ、そんなに飢えてるなら私を食べにきなよ!」
 ノーフィアが声高に呼ばわる。どこかふらふらと頼りない様子で飛んでいたアズレトは、しかし。
「何?!」
 突如巨大なハエは、空中でバランスを崩し、ボトリ地面へと落下した。受け身もとらず激突しバタバタと苦しげ右へ左へ跳ねまわる、死にかけの虫。
『グ、グラ、グラビ、ディ……!』
 哀れでないと言えば嘘になる。だが、そこを堪えて茜が飛び出し、回転ドロップキックでアズレトの体を転がした。背負う村、人々の避難している方へは絶対に行かせない決意とともに。
「オラァ! わたしが来た! です!」
『グゴォオ……!』
 飢えに飢えて、複眼は赤く光る。かつてはその凶暴性を満たすため、敵をねじ伏せる喜びに光ったのだろう赤い目は、今や地獄の餓鬼の様相である。
「……強者には強者にふさわしき最後を。名誉ある死を遂げさせてやらねばならぬ」
 舞い降りたシグルーンが厳かに言う。
「シグルのルーンは勝利のルーン。お主が飢える様にわらわは勝利に乾いてならぬ。共に競おうぞ」
 追って光の翼を畳みながら、歌彼方も視線を強くした。
「無惨な暴挙、此処に速やかに終わらせる為――いきます、全身全霊で!」

●飢える獣
「君の相手はこっちだよ!」
 かごめが攻性植物でアズレトを捕えようとするが、黒いアズレトの巨体は地を転がり続ける。なんとか想定の戦場へと追い込むと、さすがに敵の気配を察知したのか、アズレトは立ち上がろうと昆虫の硬質な手で地面をかきむしる。
「文字通りの死に物狂いであるな。情けを掛ける気はないが……尊厳の堕ちた姿は憐れだ。ゆくぞ」
 一十の抜いたナイフの刃にアズレトの姿が無数に映し出され、同時にサキミはスイと一十の元を離れていく。何が見えているのか、アズレトの目の中に、仄暗い赤が宿った。
「聞こえやしないだろうけど……黒曜牙竜のノーフィアより赤目のアズレトへ」
 もがくアズレトの元へ、ノーフィアが影のごとく距離を詰める。
「汝が奉ずる陽の祝福を。そしてその在り様に哀れみを……我、流るるものの簒奪者にして不滅なるものの捕食者なり。然れば我は求め訴えたり、奪え、ただその闇が欲する儘に」
 初手から全力で当たるノーフィアの詠唱が響く。黒球が、アズレトの体を引き込み、瞬時に収縮する。これ以上は減らないだろうというほどにしなびたアズレトの腹部を見てしまえば闘志が削げるが、闇がそれを飲み込み、喰いちぎる。吐き出された黒い胴へ、追い打ちのように炎の雨が降った。 
「燃えておしまい!」
 明子が付した炎を纏ったまま、アズレトはガバリと身を起こす。今一度その体を地にねじ伏せようと舞い上がる歌彼方。敵の姿を斜めに見下ろし、振り上げた槍を軽やかに回すと、同時。
「我は印す、力ある文字。その意は『飛翔』『疾風』『雷光』『流星』――いっけぇ――!!」
 超高速で急降下し、叩き込まれる歌彼方の一撃。その威力でアズレトの体が歪んだ。土煙とともに立ち上がる歌彼方を、明子が頼もしげに見る。
 だがアズレトの体は崩れなかった。猛攻を一身に食らいつつ、口元からゆっくりと、銀色の液体を垂れ流す。
『グガビディ……、ヂェインンンン』
「な、何じゃ?」
 シグルーンが眉を寄せ、上空の悠乃が目を見張った。
「あれは……!」 
 ズルズルとアズレトの口から溢れだすのは、恐らく自身の胃液のようなもの。体内に残存するグラビティ・チェインをこそげ取るようにして、立ち上がるだけの体力を回復させたらしかった。
「っ……」
 下唇を噛み、戸惑いを散らすように茜が拳を振りぬいた。辛うじてアズレトの身を薄く覆ったアルミニウム生命体の膜が、バリンと砕ける。
 ジーグルーンがライドキャリバーに視線で合図を送ると、エンジンを唸らせ敵と味方の間に壁となるべく疾走する。
「来い、我らを倒せたらグラビティ・チェインを持って行くがいいさ……」
 どれだけ無残な姿を晒していようとも、アズレトが敵である以上容赦することも見逃す事も出来ない、と、決意を固めて星座の守護を呼び出し仲間を護るジーグルーン。
「ゲイルドリヴルさん、カウリスマキさん、あたしたちも!」
「うむ!」
「……はいっ!」
 かごめとエトが攻性植物を収穫形態に変化させ、シグルーンは紙兵をばら撒いた。味方全員、無事に帰るのだとの決意とともに守護を固める。
 戦いは短期決戦になる、と皆思った。アズレトがそう長くはもたないのは誰の目にも明らかだった。それならば、苦しみは短い方がいい。
「そういうことであるな!」
「止めたげるよ!」
 一十のナイフが縦横無尽に舞い、ノーフィアの竜のひと噛みにも匹敵する蹴りは、真正面からアズレトの鳩尾を急襲した。続けて明子の『白鷺』が足元を鋭く斬り裂いた。技の体勢に入っていた友へ、笑顔を向ける。しかし。
「いいわよ、歌彼方!」 
「せぇの――!……あっ?!」
 動けまいと見えたアズレトが、刹那翅を震わせた。不快な羽音とともに歌彼方の足技をかわし、そして。
「あぐっ……!!」
 ずぶり、と嫌な音がして、ローカストの牙が明子の肩に食い込んだ。陣内が思わず叫ぶ。
「明子ォ!」
「動かないで、です!」
 茜が顔色を変えて駆け寄り、まだ物欲しげに明子の体にまとわりつく牙を振り払って治療を開始した。かすっただけと見えたはずが、恐るべき力である。
「おのれ、下郎が……!」 
 咄嗟に手が出た、という風にジーグルーンがアズレトへ平手打ちを食らわせる。
「平気……よ、わたくし……、まだ」
 青い顔で呼吸を荒げるも、戦意を失わない明子。意識はしっかりしている。
 癒し手たちが皆、その力を集中させる。
「そっちはふたりにお任せする!」
 かごめが敵の牙に狙いを定め螺旋手裏剣を放てば、一十も負けじとナイフに地獄の炎を纏わせる。
「まかせたぞ、サキミ!」
 言われるまでもない、と涼しい様子で明子へとヒールを注ぐサキミ。
「……ありがと」
 薄く笑うと、明子は戦場へと視線を戻す。目の前では二刀を構えたノーフィアが、煌きとともに十字斬りを叩き込んでいた。
「はぁッ!」
「……攻めきりますッ!」
「生憎と、譲れないんです。だから――!」
 明子が渾身の力を込めて放った一撃はアズレトをその場に氷漬けにした。そこへ再び、歌彼方の槍が唸りをあげて飛び込んだ。
『ギョ、ギョギ……』
 もはや満身創痍。だが、本能が体を動かすのか。ハエ型ローカストは手足と翅を激しくこすり合わせ始める。怪音波が一十、シグルーン、かごめの耳をつん裂いた!
「ッ、大事ないか?!」
「これしき、どうということもないのじゃ!」
「ただ本能のまま暴れまわるだけの君に遅れはとらないよ……!」
 かごめのスパイラルアームが翅を破き、シグルーンが色とりどりの爆発で最後の勇気を奮い立たせる。
『グリャ、ア、ア、……』
「務めは、果たして見せるとも……!」
 一十が掌底で追い込んだ先に待ち構えていたのは、ノーフィアの作り出した球体。
「飢餓ならこいつだって負けてないんだ――食べられちゃいなよ!」
 衝撃もろとも吸い寄せた漆黒が、ギュンとアズレトの体を飲み込んだ。闇に咀嚼されるように撓むアズレト。
 苦しみ抜いたローカストの哀れな戦士は解放され、もはや永遠に飢えることのない世界へと消えていったのだった。

●ローカストの行く末
 アズレトの姿の消えた跡で、悠乃がその魂の片鱗だけでも救わんとして奮闘していた。残された銀色は果たして、捨て駒とされた戦士の残心であったか否か。
「同情しますよ。けど、負けられないんです」
 歌彼方がぽつりとそう言った。それからふうと息を吐き、戦いの緊張感から自らを解放する。
「生まれ変わったら、今度はお腹いっぱいになれればいいですねー……」
 努めて明るい声を出したつもりだったが、目の奥がツンと痛くなる茜。本当に、どれほどの苦しみであったかと思わずにいられない。
 その姿をすこし離れた位置から、複雑そうに見つめるノーフィア。その肩に、ペレがふわりと戻ってくる。
「……お疲れ様。守れたね」
 首を微かに傾けて、ノーフィアが微笑む。
 もし、アズレトが今回のような姿ではなく、本来の戦士として現れていたならどうだったのか。風になびく黒髪をそっと押さえながら、かごめはそんな思いを馳せる。
 戦いを終え、ケルベロスたちは村の人々の安否を確認して回る。
「お前は、中々の戦士だったよ……ハエはあまり、好かないがな」
 ふと振り返り、ジーグルーンが言葉短かにそう呟く。その声を聞き届けたシグルーンも、立ち止まり目を閉じる。
「……さらばじゃ、赤目のアズレト。御主の強さはしかと語り継ぐのじゃ」
 静かな祈りを捧げ、シグルーンが歌を口ずさむ。その声に戦いが終わったのだと悟った人々が、こわごわ外の様子を伺いつつ出てくる。その中に先の少女の姿を見つけ、一十が自信に満ちた笑顔を向ける。
「大丈夫だ、と言ったであろう?」
「うん!」
 少女の顔に笑顔が戻り、それを合図に人々の空気もほぐれ始めた。
「お騒がせして申し訳ございませんでした。そちらにも今、参りますわ」
 すっかり回復した明子が、荒れた田畑の中で歌う。山間の村は、戸惑いつつも日常を取り戻す。恐怖を目の当たりにした人々の心を癒すケルベロスたちの歌が、優しく響いていく。
 アズレトとの戦いは、村人の命の失われることなく無事に終わった。だがローカストの魂に平安が訪れるのは、まだすこし先のことになりそうだ。
「……イェフーダーは、会ったらぶちのめします!」
 散っていった命にか、あるいは自分自身にか。茜の声は風に紛れて歌に溶けた。

作者:林雪 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年8月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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