甘く酸っぱい夢の先

作者:長針

 とある路地裏の店。
「はあ……」
 薄暗い店内で着物姿の女性が溜め息をつき、肩を落とす。
 店の中は純和風の内装で、白木のカウンターや中に笹の葉がしかれたガラス張りのケース、そして本来入り口にかけられているはずの『寿司』と書かれたのれんが置かれていた。
 言うまでもなく寿司屋である。しかし、墨痕鮮やかな文字で書かれたお品書きには、『生ハムメロン寿司』、『寿司クレープ』、『酢飯グラッセ』などおおよそ一般の寿司屋では有り得ないような言葉がいくつも並んでいた。
「やっぱり、スイーツと寿司の融合なんてのは無謀だったのかしら……?」
 女性が置いてあったのれんを広げる。
 『酢偉津寿司』。大人向けになりがちな寿司をどうにかして子供にも楽しんでもらいたい。その一心で店を開いたのだが、結果は全く振るわず閉店に追い込まれてしまった。結果、残ったのは結構な額の借金と後悔だけだ。
「そんなこと、ないわよ」
「え?」
 突然降って湧いた声に、女性が顔を上げる。だが、すでにその胸には『鍵』が差し込まれていた。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
 がちゃり、という音とともに女性の意識は閉ざされた。

「『いっこくいちじょうのあるじ』ーーそれは誰もが一度はあこがれる、みはてぬ夢なのです……」
 一同が集まるなり、どこか遠い目をしながらねむが口を開いた。
「と、いうわけで、今回はそんな夢を叶えて、自分のお店を持って、でも失敗しちゃった人がドリームイーターに『後悔』をとられちゃう事件が起こるのです! この『後悔』をとっちゃったドリームイーターはすぐにどこかに行っちゃうのですが、お店の人の『後悔』から作ったドリームイーターが暴れ回るみたいなのですよ! みんなにはこの新しく出てきたドリームイーターをどうにかして、お店の人やお客さんを助けて欲しいのです!」
 一転していつもの調子に戻ったねむがぴょんぴょん飛び跳ねながら説明を始めた。
「このドリームイーターは近づく人に無理矢理お店自慢の『スイーツ寿司』を食べさせて、心の底からおいしいって言った人以外は殺しちゃうのです! もうまったく人のお話を聞かないので説得は無理です! ただ、お客さんに対してはお店として対応してくれるので、いきなり戦わずにお客さんとして入って心の底からおいしいって言えば力を弱めることができるようなのです! 思い切ってこっちから好みの『スイーツ寿司』をリクエストするのもアリですよ!」
 耳をひくひくと動かしながらねむが書類をめくる。
「次に戦闘とまわりの状況についてです! いちおうドリームイーターの力でお店は開いていますが、他にお客さんはいないのでその辺は安心して戦っちゃってくださいです。相手はドリームイーター一体で、クレープみたいなモザイクでこちらを包んで悪い夢を見せてきたり、色んなフルーツのモザイクを飛ばしてこちらの武器ごとぱっくんしてきたり、生クリームっぽいモザイクで自分を回復したりしてくるです。タイプとしては耐久力が高く、バッドステータスを使って長期戦に持ち込むのが得意みたいなのです!」
 そこまで言ってねむは書類を小脇に挟み、
「ちょっと変わった作戦ですけど、みんなならきっと大丈夫です! 店長さんの無念を利用されないためにもお願いするです!」
 皆に手を振ってその背中を見送った。


参加者
結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)
カナメ・クリュウ(蒼き悪魔・e02196)
テレサ・コール(ジャイロフラフーパー・e04242)
マサヨシ・ストフム(蒼炎拳闘竜・e08872)
矢武崎・莱恵(オラトリオの鎧装騎兵・e09230)
ウェンディ・ジェローム(輝盾の策者・e24549)
真神・小鞠(ウェアライダーの鹵獲術士・e26887)
夜吉・タピリ(夢糖・e30198)

■リプレイ

●序の口
 白木を基調とした純和風な店内。
「みなさん、本日は『酢偉津寿司』にお越しいただきありがとうございます!」
 席に座った一同を見回したのは着物姿にコック帽というなかなか挑戦的な出で立ちをしたドリームイーターだった。
「あ、これ『すいつずし』って読むんだ」
 店主ドリームイーターの台詞を聞いて真神・小鞠(ウェアライダーの鹵獲術士・e26887)が納得したように小さな狼の耳をぴんと立てる。
「中々、雰囲気のある良い店ですね。スイーツ寿司、初めての経験なので楽しみです」
 おしぼりで手を拭きながら興味深そうに店内を見回したのは結城・レオナルド(弱虫ヘラクレス・e00032)だ。彼はそのままメニューの写真を指さし、注文していく。
「おや、このイカみたいなのは……洋ナシ寿司ですか。では、これを一つ。後、このたっぷりベリー寿司も一つお願いします」
「ふわぁ~、なんだか見たことないお寿司がいっぱいですー。あたしはこの寿司クレープがとても気になりますねー。あたしとクリスチーナはこれにしましょうかねー」
 ウサギの耳を揺らしながらウェンディ・ジェローム(輝盾の策者・e24549)が小さな竜と一緒に写真を指さす。
「では、私はイチゴとマンゴーを使ったお寿司を所望いたします。レシピはこれを参考に……おいしくお願いします」
 取得したデータを店主に向けて投影しながら、テレサ・コール(ジャイロフラフーパー・e04242)がくいっと眼鏡を持ち上げた。
「ふむ、オランデーズソースを用いたフルーツ寿司ですか……もちろん、おいしく仕上げて見せますよ!」
 物憂げで表情こそ薄いものの、念の入ったテレサのリクエストにドリームイーターが腕まくりをする。そこへカナメ・クリュウ(蒼き悪魔・e02196)が微笑ながら手を挙げた。
「オレはチョコレートクレープとイチゴの巻き寿司にしようかな。シャリはリオレにできる?」
「ええ、問題ないです。ウチのシャリは果実酢を使ってますので牛乳にもよく合うと思いますよ! そちらのお嬢さんは何にいたします?」
 カナメの注文を受けた勢いそのままに、ドリームイーターが小鞠の方を向く。
「うーんと、うーんと、ご飯の上にレアチーズが乗ったお寿司とかできるかな……? イチゴとかブルーベリーのソースかけてみたい!」
「もちろんできますよ! ウチは酢飯とスイーツを使ったお寿司ならどんなものでもリクエストに応えてみせますから!」
 誇らしげに胸を張るドリームイーター。その言葉に興味深そうに獏の耳を動かしたのは夜吉・タピリ(夢糖・e30198)だ。
「ふむ、そうなのですか……炙り系も捨てがたいですじゃが、今日はもう少し別の気分でして……」
 リンゴのコンポート寿司の写真をしきりに見つめるタピリ。それを見てドリームイーターは仰々しく手を広げ、高らかに告げる。
「そんなときはリンゴのコンポート寿司・カラメリゼ! じっくりことこと煮込んだリンゴを炙り、表面をかりっと仕上げた一品ですよ!」
「おお、それは重畳! 是非ともいただきたいですじゃ!」
 ぴしゃりと膝を打ちながらタピリが顔をほころばせる。
「いろいろツッコミ所はあるが……まぁまずは食べてみてからだ。俺はこの生ハムメロン寿司ってのを頼む」
 ノリノリな仲間たちにマサヨシ・ストフム(蒼炎拳闘竜・e08872)は温度差を感じつつ、それでも迷うことなく注文をすませる。
 そんな中、一人メニューを前に固まる者がいた。矢武崎・莱恵(オラトリオの鎧装騎兵・e09230)である。
「え、え~と、あ、そうだ! タマは何がいい? ほ、ほら、おいしそうなお寿司が一杯だよ!」
 相棒を頼るが、彼もまた難しげに首を傾げる。そこへ店主が割って入った。
「迷ったときはこれ! シャリ一粒一粒に砂糖衣をまとわせつつ、決してばらけないように一つの寿司としてまとめた始原にして究極の一品・酢飯グラッセ! これにしますか? これにしますね? これに決めた? はい! 注文いただきました~!」
「え、ちょ、ちょっとーー」
 莱恵が思わず声を上げるが、すでに調理に取りかかっていたドリームイーターに届くことはなかった。

●甘くない甘味
 食べ始めたときは皆そこそこ以上の反応を見せていたが、ここにきてはっきりと明暗が分かれ始めていた。
「く、口の中が甘い。甘すぎる……」
 マサヨシが思わず口元を押さえる。
 彼も最初は問題なく食事に興じていた。それがここまで追いつめられたのには理由があった。
「さすがにこれだけ甘い物が続くと厳しくなってきますね……あ、お茶いただけますか?」
 冷や汗を流し始めたマサヨシを見かねてレオナルドがお茶を注文する。しかし、
「抹茶ミルク・蜂蜜入りです! どうぞ!」
「ぐ……ここにきて茶まで甘くなってくるとは……!」
 目の前に置かれた湯飲みを見てマサヨシが歯噛みした。
 そう。ここの店ではたとえ同じものを注文してもより甘くなって出てくるのだ。今まで飲み物は普通に出されていたのだが、これで完璧に退路を断たれた。ちなみにガリも蜂蜜づけである。
「す、少しだけ……少しだけだから、タマ。おねがい……!」
「キュッ、キュ~!」
 中でも一番きつそうだったのは莱恵だった。もともと乗り気ではなかったこともあり、あらかじめ持参していた回転寿司チェーンの折り詰めが入った袋に手を伸ばそうとしては相棒のタマに止められていた。
「面白くはあるけどね。寿司はやっぱり普通が一番美味しいよね。あ、タピリちゃん、これも食べていいよ」
「おお、これはかたじけない!」
 微笑を浮かべつつ、自分の皿をタピリの方へと寄せるカナメ。涼しげな顔こそしているが、彼もさっきからこの調子である。
「今度は焦がしチョコレートを用いた一品ですかの? ふむ、炙りスイーツだけでこれだけ楽しませるとは……店主、なかなかの腕前ですな!」
 寿司をひとしきり眺めてからタピリが舌鼓を打つ。彼女の賞賛にドリームイーターは満更でもなさそうにモザイクを明滅させた。
「私なんてまだまだですよ! そちらのお嬢さんはブルーベリー軍艦ですね?」
「うん! あ、クレープで巻いてくれるとうれしいな♪」
「おやすいごようです!」 
 しっぽをぱたぱた振る小鞠の注文にドリームイーターは更にモザイクを飛ばし、調理の方に回す。そこへ黙々と寿司を口に運んでいたテレサが手を挙げた。
「こちらも同じものでお願いいたします。甘さはもう少し控えめで」
 無表情ながら念を押すようにテレサが告げる。
「あ、甘さ、控えめですか……かしこまりました」
 途端にドリームイーターの動きがぎこちなくなる。
「すいませーん、私はこの寿司クレープ・クリームブリュレ添えを一つお願いしますー。たっぷり甘くして下さいねー」
「甘さたっぷりですね! お任せ下さい!」 
 俄然はりきるドリームイーター。
「あいつらすごいな……色んな意味で」
「あの勇気は見習いたいですね……」
 この状況で率直に味の要求をできることと更に甘くしようとすること、双方に驚きを禁じ得なかった。
「いやあ、こんな忙しいのなんて初めてです! このお店やっててよかったですよ!」
 腕を絶えず動かしながらドリームイーターがこぼし、その身体から次々にモザイクが光の粒となって散っていく。
「そろそろ頃合い、かな?」 
 カナメが楽しそうな、それでいてひどく危険な笑みを浮かべた。皆も頷き、ドリームイーターの方へと目を向ける。
「あなたたちは……そうですか。ならば仕方ありません。シャリとスイーツの融合の真髄、とくと見るが良いです!」
 色とりどりのスイーツ型のモザイクを飛ばし、ドリームイーターがふわりと舞い上がった。

●甘党
「ふむ、なかなか粘りますね。はむ」
 ドリームイーターを観察しつつ、テレサが寿司を口に運ぶ。彼女のジャイロフラフープの上ではいつの間にか回収した寿司がいくつも乗っており、さながらちょっとした回転寿司のようになっていた。
「でも、あと少しって感じだよ! もむもむ」
「そうじゃのう、このあたりで一気に畳みかけるのもありかもしれませんのう。ほむ」
「そうですねー、あたしはいいと思いますよー、いつでも大丈夫ですー。あむ」
 小鞠、タピリ、ウェンディがジャイロフラフープの上で回る寿司をめいめい摘んでいく。
「あんだけ甘いもん食ってまだ食うのか、アイツら……」
「女性は甘い物に目がないとはいいますが、なんというか、恐れ入りますね」
 半ば戦慄のまなざしで見つめていたのはマサヨシとレオナルドが軽く口元を押さえる。そこへくすくすと楽しげな笑い声が割って入った。
「女の子はお砂糖とスパイスでできてるって言うからね。莱恵はあっちに行かないの?」
「ぼ、ボクは遠慮しておくよ! ほ、ほら持ってきたお寿司もあるしね!」
 悪戯っぽく微笑むカナメに莱恵が首をブンブンと振る。
「甘いは正義! シャリは至高!」
 こちらの会話が聞こえていたのか、ドリームイーターがクレープ状のモザイクを飛ばす。すかさずマサヨシが前に出てモザイクを受け止めた。
「おいおい、テメェの後悔そんなちっぽけか? 絶望が足りねぇなぁ? もっと怒りを滾らせろ! 憎悪を解き放て! こんな風にな!」
 掴んだモザイクを手の中で砕きながらマサヨシが獰猛な笑みを浮かべる。その背中の翼が燃え上がり、白熱した蒼い炎となりドリームイーターへと襲いかかった。
「魂すら残さない極炎の中で――滅べ!」
「ーーーー!」
 蒼い炎がドリームイーターを呑み込み、天頂に達した太陽のように強烈な白い光を放つ。
「くっ……生クリームは火に弱いんですよ!」 
 全身をくすぶらせながらドリームイーターが距離を取ろうとする。しかし、
「させないよ!」
「ああ! 攪拌されちゃう!」
 狼のしっぽを棚引かせた小鞠が鳴動する拳で押しとどめた。
 更に動きを止めた相手に灰色の瞳でテレサが照準を合わせる。
「捉えましたーー当たれっ!」
 ジャイロフラフープの内部を高速で滑走、螺旋状のスピンが加えられた弾丸が狙い過たずモザイクの身体に突き刺さる。
「ぐふっ……弾丸よりも、飴玉の方が良かった……」
 ドリームイーターが吹き飛び、タピリが獏の耳をぴくりと動かす。
「これはしたり! この機を逃す手はないですじゃ!」
 恵みの雨が降り注ぎ、同時に相棒を肩に乗せたウェンディが夢見るような視線で宙を見つめる。
「お願いなんでも、叶えちゃいましょうねー……」
 木々のざわめきとともに幻の森が広がり、いつの間にかおとぎ話に出てくるような古い木が現れていた。その梢に白い鳩が降り立ち、ウェンディの手に金に輝く鍵を落とす。彼女は金の鍵を、古木の幹に空いた不思議な鍵穴へと差し込みーー瞬間、世界が癒しの光で満たされた。
「硬いものは硬いものでむいちゃうよ! お願い、タマ!」
「キュイッ!」
 タマが竜の息吹を吐き、間髪入れず莱恵がオウガメタルで覆った拳を振り上げる。
「ああ、そんな栗みたいに……一皮むけちゃう!!」
 ブレスと超硬度の拳にモザイクが削り取られ、ドリームイーターが身悶えする。だが、別の気配を感じ、残ったモザイクを驚愕に揺らめかせた。
「皆さん、ありがとうございます……」 
「!!」
 居合いの構えをとりながら胸の地獄の炎を解き放つレオナルド。その只ならぬ気配にドリームイーターが無茶苦茶にフルーツ型のモザイクを飛ばす。その最中、身をさらすようにカナメが飛び込む。
 頬から血を流しながら、カナメはしなやかな身のこなしでドリームイーターの傍に滑り込む。
「よそ見しちゃ、ダメだよ? ……人ってなんで、叶わないってわかってるのに、手を伸ばすんだろうね? 本当に愛らしくて、愚かだよね」
「ああ……飴のようにとろけてしまいます……」
 紡がれた甘い言葉は意識を捕らえ、その一瞬のうちに無数の絲がモザイクの身体を絡め取る。そこへ、熱気が押し寄せた。
「魔女よ、俺はおまえたちの影を振り払ってみせる……! 心静かに――恐怖よ、今だけは静まれ!」
 咆哮。
 爆発的に陽炎が広がり、レオナルドが刀を抜き放つ。
 瞬間、幾重もの斬撃が縦横無尽に駆け抜けた。
「かはっ……!」
 不可視にして神速の居合いは、ドリームイーターの身体を一瞬で斬り刻み、その命脈ごと断ち切った。ドリームイーターは最後の力を振り絞り、
「くっ、もはやこれまでですか……! しかし! 私が死すとも、スイーツ寿司は死なず! スイーツ寿司は永久に不滅です!」
 盛大に叫びながら塵へと帰った。

●酸いも甘いも
「おっかたづけ♪ おっかたづけ♪」
「キュイ♪ キュイ♪」
 散らかった店内を莱恵とタマがせっせと片づける。先程まではレオナルドもいたのだが、彼はいま目が覚めた店主の介抱に当たっていた。
「スイーツ寿司、悪くありませんでしたよ。子供達にも楽しんで貰おうというあなたの優しい気持ちが感じられました」
「そう言ってもらえると嬉しいのですが……」
 店主が困惑の表情を浮かべ、自然と年少者の方へと目が引き寄せられる。そこへ小鞠がしっぽを揺らしながら駆け寄ってきた。
「おいしいお寿司、ありがとね。子供にもお寿司を楽しんでほしいって気持ちすっごく伝わったよ!」 
 はにかみながらお辞儀をする小鞠。その隣にウェンディが並び、にっこりと笑った。
「あたしもおいしかったと思いますよー。クリスチーナもそうですよねー」
「キュキュイ!」
 ふわふわした調子でウェンディがクリスチーナと頷きあう。
「うむ、小さい子たちが喜ぶ姿を思って作られた料理、わしは好きですじゃ。だから、また頑張って欲しいなって思いますのう」
 口の中に広がる甘みを思い出したのか、タピリもまた頬を緩めながら告げた。
「まあ……! こんなに喜んでもらえたなんて……一時は本当にどうしようかと思ってましたがーー」
 店主の目に新たな光が点る。そんな店主の様子を見て思わずといった様子でマサヨシが声をかける。
「その、なんだ……後悔のない人生なんてないけどよ、そこで心が折れるかどうかは別の問題なんじゃないか? 折れなきゃまたやりゃあいい」
「そうだね。オレも良いと思うよ。フランスとかじゃ流行ってるみたいだし、海外に目を向けてやり直してみるとかどうかな? 彼女みたいに気に入る人は気に入るみたいだしね」
 くすりと微笑を浮かべながらカナメが視線を横へと流す。そこには黙々とスイーツ寿司を食べるテレサの姿があった。
「……何か御用でございますか?」
 皆の視線に小首を傾げるテレサ。特に何もないと見るや再びスイーツ寿司を口に運び始める。その様子に思わず皆が吹き出した。そうして皆がひとしきり笑ったあと、 
「私、もう一度やってみます! 今度こそ、後悔しないように。皆さん、本当にありがとうございました!」
 店主は嬉し涙を浮かべ、一同へと深く頭を下げた。

作者:長針 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年8月21日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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