火竜焔神洞~新たな力を求めて

作者:東雲ゆう

「みんな、いいニュースよ!」
 満面の笑みを浮かべたレナ・グルーバー(ドワーフのヘリオライダー・en0209)が、集まったケルベロスたちを見上げながら話し始める。
「『火竜焔神洞』で、星黎殿・ユル(聖絶パラディオン・e00347)さんがミスリルハンマーの欠片を1000個集めたことで、新しい武器の試作品ができあがったの!」
 言うと、レナは部屋の中央にある机の前に立ち、机を覆っていた白い布をよいしょ、と引っぱる。
 ――そこに現われたのは、大きなハンマーのような形をした8本の武器。
 ケルベロスたちにどよめきが起こり、レナの次の言葉を待つべく視線を向ける。皆が静かになったのを確認すると、レナは少し表情を引き締めた。
「ただ、まだ『何か』が足りないみたいで、完成はしていないの」
 未完成? というケルベロスの言葉に頷くと、レナは続ける。
「『何が』足りないのか今までは分からなかったのだけど、実は、最近、『火竜焔神洞』の探索を繰り返していたケルベロスが近づくと、微かな反応があった、という報告があったの」
 つまり、『火竜焔神洞』にあるドラゴンの力が、完成に必要である可能性が出てきた、ということらしい。
 だから、とレナは言葉を続ける。
「みんなには、試作品の武器を装備して、『火竜焔神洞』の探索を行ってほしいの。……協力、お願いできるかしら?」
 レナの言葉にケルベロスたちは深く頷く。それを見て再び笑顔になったレナは、ケルベロスたちをぐるりと見回す。
「みんなには、『火竜焔神洞』の1階から探索を開始してもらって、地下へ地下へと潜っていってもらう形になるわ」
 言うと、レナは前方のスクリーンに地図を映し出す。
「目的は、開始したフロアから5層目にあたる地下4階のボスである、ドラグナーのハイドラホーラーの撃破。だけど、そこに至るまでにも、各フロアには敵が待ち構えているわ」
 竜牙兵、ドラグナーといったドラゴンの配下だけでなく、ビルシャナやダモクレスといった敵も次々に画面に映し出される。
「8人で探索するから、戦力的には充分だとは思うわ。ただ、武器が試作品であるがゆえに、攻撃力がかなり下がってしまう事が予測されるから、油断は禁物よ」
 レナの言葉を聞きながら、ケルベロスたちは机の上の試作品の武器を見やる。どことなく不安な様子を察したレナは、柔らかな口調で話す。
「みんなに装備してもらう試作品の武器は、初めは弱めのダメージしか与えられないし、エフェクトの効果も発揮されないわ。
 ……でも、探索が進んで武器が完成に近づけば、本来の力が発揮できるようになるかもしれないから、そこまで何とか耐えて切り抜けて」
 励ましの言葉をかけると、レナはタブレットの画面を確認する。
「それから、これも注意してほしいのだけど、『火竜焔神洞』に入ってから帰還するまでは連戦となるわ。一つの戦いが終わるたびに体力は回復するけれど、回復不能なダメージは蓄積するから、十分気をつけてね」
 ケルベロスたちが首肯するのを確認すると、レナは改めて皆の顔を見回した。
「慣れない武器で戦わなくちゃいけないから、いつもより大変だと思うわ。でも、この武器を完成することができれば、たくさんのケルベロスの新しい力となるはずよ。みんな、がんばってね!」
 応援してるから! と勢いよく左手を上げたレナ。バッグの鈴がチリン、と涼しげな音を立てた。


参加者
星黎殿・ユル(聖絶パラディオン・e00347)
マイ・カスタム(重モビルクノイチ・e00399)
リーフ・グランバニア(サザンクロスドラグーン・e00610)
シルディ・ガード(平和への祈り・e05020)
ヴァレーリオ・グアレンテ(地獄騎士・e21158)
スピカ・コルセスカ(フリーダムエアファイター・e27566)
アリア・ホワイトアイス(氷の魔女・e29756)

■リプレイ

●そこは焔の洞窟
 ギギギ、と重く鈍い音を立てて石の扉が開く。目の前に広がるのは、溶岩の流れる迷宮――『火竜焔神洞』。ケルベロスたちは、大型のハンマーの形をした試作武器と地図を手に、灼熱の洞窟へと足を踏み入れた。
「ようやく、この日がきたよ……!」
 15分置きに毎日10時間以上、ひたすら破片を探していた時の苦労を思い出した星黎殿・ユル(聖絶パラディオン・e00347)が、感慨深げに手元のハンマーと目の前の景色を見比べる。
 皆が手にしているダンジョンの地図には、何度もこのダンジョンを探索しているシルディ・ガード(平和への祈り・e05020)の体験を参考にした『最短経路』が書き込まれている。実際、今も入口付近の溶岩の壁の亀裂の隙間を通って、敵の少なそうな抜け道を進んでいるのだが。
(「まぁ、敵の方が我等を逃すまいな……」)
 先頭で地図を眺めながら苦笑したリーフ・グランバニア(サザンクロスドラグーン・e00610)だったが、気を取り直したように明るく声を出す。
「新しい武器の誕生に立ち会えるというのは、騎士戦士として胸が熱いな……! 皆の無事を含め、やり遂げて見せよう!」
「ええ。ケルベロスの皆のためにも、ここまできたら必ず完成させないとね」
 マイ・カスタム(重モビルクノイチ・e00399)がテレビウムのてぃー坊と共に余裕のある表情で答える横で、ミミックのジャック・ワンダーを従えたウィリアム・アシュフォード(轟天鎚・e03096)も柔らかな金髪を揺らしながら微笑む。
「新しい武器。しかもトップヘビーな代物……。これは心惹かれる。絶対にモノにしてみせる」
「……よし。ボクのハンマーの名前は……『まう』! よろしくね!」
 スピカ・コルセスカ(フリーダムエアファイター・e27566)が目を輝かせながらハンマーを握り締めるやや後方では、早速シルディが武器に名前をつけていた。
 そんな意気揚々とした面々とは対照的に、アリア・ホワイトアイス(氷の魔女・e29756)はどこか憂鬱そうだ。
「ん……これがないと、ここはきつい……」
 暑さが苦手な彼女が手にするのは、周囲を冷気で満たす魔法が込められた氷の結晶型の装飾品。常人を超えた能力を持つケルベロスたちともいえども、暑さは少しでもやわらぐ方がありがたい。ヴァレーリオ・グアレンテ(地獄騎士・e21158)がぽん、と少女の肩をたたく。
「ま、短くない道のりだ。やるときはビシっとやって、休めるときは適当に力抜いて行けばいい。そうだろう?」
 その言葉にアリアが答えようとした瞬間、ヴァレーリオの側にいたビハインドのアリーチェの纏う空気が一変する。その視線の先には、竜牙兵に率いられた残霊達の姿があった。
『ケルベロス……お主らの進撃もここまでよ。儀式の邪魔をさせるわけにはいかぬのでな』
 ハンマーを構えたユルを囲むようにスピカと3体のサーヴァントたちが位置取りし、他のメンバーたちもやや後方で陣形を整え、残霊たちと相対する。
「我が魔力、汝、合戦の申し子たる御身に捧げ、其の騎馬を以て、我等が軍と、戦場の定石を覆さん!」
 最初に詠唱したのは、ユルだった。前衛のメンバーに守護が付与される。
「武器の試し切りに使われる敵には悪いが、まあ……残霊に気遣いはいらないか」
 てぃー坊の攻撃で敵の目をくらましつつ、マイが力任せにハンマーを振り下ろすと、シルディが大回転しながらハンマーを敵に叩きつける。
「色々試さないとね。……こんなのはどうかな?」
 先の2人の攻撃を見たウィリアムが、炎のグラビティを纏うか試す。しかし、反応がないので仕方なく薙ぎ払い、ジャックもそれに続いて敵に噛み付く。
「存分に手こずらせてもらう……試行錯誤の贄となれ!」
 早速のドラゴン系の敵の登場に、リーフがハンマーを投げる、すると。
「……目を離した、その隙が命取り」
 投擲されたハンマーに注意が逸れた敵にスピカが奇襲攻撃を仕掛ける。
「早くボスの前で新武器試してぇのは山々だが、降り掛かる火の粉は払わねばな」
 とりあえず数を減らさねば、とヴァレーリオが達人の一撃を繰り出すとほぼ同時、アリーチェも敵の背後から攻撃を加え、アリアも時空凍結弾を放つ。
「正直、魔法使いで、しかも氷属性な私には、あんまり合う武器じゃない気がするけど……頑張る」
 やや時間はかかったものの、無事敵を撃破したケルベロスたちは、次なる階層へと階段を下っていく。

●焦燥
 地下1階に着いたケルベロスたちを迎えたのは、ヴァルキュリアの残霊だった。先ほどと同じような戦法で切り抜けたケルベロスたちは、地面から吹き出す炎の合間をぬって、「隠しスイッチがある」というシルディの後をついて行く。
「確か、この辺に……あ、開いたね♪」
 カチリ、という音ののち、右手にある壁がゴゴゴ、と鈍い音を立てて空間ができた。その先には次の階へと続く階段が見える。
「こんな近道があるんだね……」
 アリアが感心したように呟く。

『あいや、待たれい!』
 階段を下りきったケルベロスたちを、野太い声が捉える。
『我が名は赤銅太刀野助! いざ尋常に、勝負、勝負~!』
 見ると、そこには大きなまわしを身に着け、太刀を背負ったドラグナーの剣豪と、それを取り囲む残霊たちがいる。……ただでさえ暑いのに、暑苦しさが一気に上昇した……ような気がする。
 一瞬脱力しそうになったユルだが、気持ちを切り替えて『波乱判官』を唱える。てぃー坊に随伴の敵の攻撃を任せたマイがハンマーで思い切り地面を打って振動攻撃を行うと、打撃強化を試みたウィリアムが追撃する。
(「ハンマーが反応したのは、竜族のグラビティチェイン? それとも竜語魔術?」)
 武器を完成させる要素に思いを馳せながら、シルディはグラビティを込めて武器を掲げる。だが、特に反応が見られなかったため、そのまま振り下ろし攻撃する。
 リーフが敵群へと炎の息を吐くとほぼ同時、剣豪が手にした刀をぶん、と振り回す。
「中々やるようだな」
 アリーチェのサポートを受けながら地獄の炎弾を放つヴァレーリオの前で、スピカは自らの傷を癒す。
「……やっぱり、やりにくい」
 普段は術をメインに戦うアリアが、小さく呟きながらハンマーを振り回す。
 大仰な見た目に反して堅実な攻撃を繰り出す相手に戸惑いつつも、何とか勝利を収めることができたケルベロスたちは、敵を避けるため回り道を使い、地下3階へと続く階段にたどり着いた。
「ねえ、みんな。……ハンマー、何か変化あった?」
 マイの言葉に皆が黙り込む。その沈黙が、すなわち答えでもあった。ドラゴン系の敵を倒すごとに、力の高まりを感じるような気もするが、あくまでその程度。既にダンジョンの道のりも半分を過ぎ、さまざまな攻撃方法を試してはいるが、形状変化や新グラビティなどの反応は未だに、ない。
 ケルベロスたちの額にじわりと汗が広がる。それは暑さによるものではなく――冷や汗かもしれなかった。

 階段を下り、不気味な石像が立ち並ぶ通路の先の扉を開けたケルベロスたちを待ち受けていたのは、溶岩で熱々のハヤシライスを手にしたビルシャナだった。
『カレー派死すべし! 貴様らのはらわたをえぐりだし、ハヤシの具としてくれる!』
 理不尽な言いがかりに、そのビルシャナの宿敵主と知り合いのスピカが負けじと言い返す。
「私にも、一つ許せないところがある。……ハヤシには、基本、芋が入っていない!」
 スピカの奮戦もあり、ビルシャナを撃破した一行だったが、運悪く続けざまにドラグナー『翼毟り』と遭遇してしまう。
『ハイドラホーラーの手助けに、お前達に多少の手傷を負わせるぐらいはしてやろうか。翼持つ者ならば翼を毟り、翼なき者ならば命を毟ろう……』
 言うが否や、彼女は津朝を羽ばたかせ嵐を起こす。間髪入れず、ユルとマイ、そしててぃー坊が皆を回復する。
 ハンマーで殴りかかったシルディとウィリアムに続き、リーフは二刀グラビティを試すべく、マイから借りたハンマーを手に両腕を広げて回転攻撃を行う。が、物理攻撃以上の効果は現われない。
 すると、翼を狙ってか、リーフへと敵が襲いかかる。スピカがその攻撃を代わりに受け、自ら叫んで回復すると、ヴァレーリオが達人の一撃を繰り出す。
「触れると、凍るよ……?」
 ハンマーに冷気を宿したアリアが冷たく言い放つ。でも期待に反してハンマーは未だ沈黙しており、膠着状態となった状況下で、ケルベロスたちは辛くも勝利することができた。
 
 何とか『翼毟り』を撃破し、地下4階へと続く階段までたどり着くことができたが、かなり疲労がたまってしまっているため、一行は休息をとることにした。
 ハンマーの手入れをする者、膝に乗せてヒールグラビティの発現を試みる者。様々に工夫をしても、まだ何かが起こる気配はない。口にはしないが、不安が心に広がっていく。
「残る敵はあと1つ。みんな、今のうちに手当てしよう」
 マイとシルディ、そしてスピカが、心霊手術で傷が深いメンバーのダメージを癒す。
 そして、未だ完成しない試作品のハンマーを手に、ケルベロスたちは複雑な心境で階段を一歩一歩下っていった。

●多頭竜の男
 地下4階。
 幾度となく来ている場所のはずであるのに、心なしか鼓動が早く感じる。――それは、緊張からか、それとも手にする武器の影響か。
 柱の前の祭壇で、意味不明な言葉を繰り返すひとりの男。ケルベロスたちは陣形を整え、慎重に近づいていく。
「また、儀式を止めに来たよ。でも今回はいつもとは違う――皆の想いを遂げるんだ。もう、終わりにしよう」
 シルディの言葉に、男がゆっくりと振り返る。虚ろなその目が『招かれざる客』を捕らえると、一気に全身から漆黒の多頭竜(ハイドラ)の牙でシルディに襲いかかる。
「させないよっ!」
 果敢にウィリアムが間に割って入り左腕で攻撃を受け止める。ある程度ダメージは軽減しているものの、その傷は浅くない。
「ウィリアム君!」
 ユルの星降る金符が鎧に変形し、ウィリアムの傷を治癒する。
「さて……しばらくは我慢比べといこう」
 マイはてぃー坊に回復に専念するように指示を飛ばすと、自ら回転しながらハンマーで殴りかかる。それに続いてシルディとウィリアムもハンマーを振り回しながら追撃し、ジャックも武器を作って攻撃する。
 しかし、ハイドラホーラーは薄気味悪い笑みを浮かべると、前衛のメンバーに向けて毒のブレスを吐き出し、アリーチェが咄嗟にウィリアムを庇う。人数が多いため威力は分散されているが、それでも相手のポジションもあり油断ならないダメージとなる。
 リーフは敵を見据えると、痛烈な一撃を叩き込む。続いてヴァレーリオも竜の頭の一つをハンマーで叩きつけ、その隙にアリアがオラトリオヴェール、スピカがシャウトを唱えて回復した。

 ――どのくらいの時間が経過しただろうか。
 ケルベロスたちはディフェンダーを厚くし、受けたダメージを回復して必死に応戦していたが、攻撃グラビティに乏しいこと、加えて相手が回復手段を持っていることで、連戦からくる疲れもあり戦線を保つのがやっとの状態になっていた。
 そんな時、再び竜が頭をもたげる。そしてその攻撃は、ダンジョンに入った時から献身的にディフェンダーを務めていたビハインドを容赦なく貫いた。
「アリーチェ!」
 ヴァレーリオの悲痛な叫びが響く。だが、立ち止まってはいられない。祈りにも似た感情を胸に、残った力を振り絞ってディフェンダーの5人がハンマーで飛びかかる。
「よもや立ち上がるとは思いもよらなかっただろう!? これが、ケルベロスの恐ろしさよ!!」
 クラッシャーのリーフが不敵な表情を浮かべ、構えを取る。しかし、実際は、虚勢を張らないと戦えないギリギリの状態であった。
(「まだ、足りないのか……?!」)
 ヴァレーリオの左眼の炎が一段強くなる。それに続いて、アリアがハンマーを振り上げた、その瞬間。
 ――変化が、起こった。

●新たな力と共に
 アリアが見上げると、手にしたハンマーがみるみる内に全体が氷で覆われていく。しかも、彼女のハンマーだけでなく、全員のハンマーが光り、それぞれに変化を遂げていた。
「『魔氷鎚』……いき、ます……!」
 咄嗟に浮かんだ武器の名前を口にし、アリアがハンマーを振り下ろす。それは相手の命すら凍らせる重い一撃となった。
 一方、ユルの手にしたハンマーは、超鋼金属製の巨大ハンマーへと変形していた。それを軽く振ると、ユルは口元に笑みを浮かべる。
「『ドラゴニックハンマー試作型第1号』の完成だね。さぁ、キミの主のドラゴン様に祈りなよ?」
 飛び上がり、アリアと同じく氷の一撃を放つ。着地した瞬間、青い髪と白衣がひらりと舞った。
 ユルと同じ形に変化した『試作型ドラゴニックハンマー』を手にしたマイは、集中力を高め、自らの機関の稼働率を最大まで上昇させる。
「心魂機関アクティヴ! 電流収束!!」
 マイの一撃が敵を痺れさせる。たまらずハイドラホーラーは回復を試みる、が。
「うわあああああ!!!」
 『まう』を振り回していたところ、思いがけなく貯めたパワーが噴射され、加速がついて自らも巻き込まれてしまったシルディが敵に激突した。
「い、痛い……でも、結果オーライ、なのかな?」
 新しいグラビティを放った武器を見下ろす。それは、柄の先に星型の鉄球が付いており、柄にはシルディとおそろいのリボンが結んであった。
「――リミッター解除。全機関、最大出力!!」
 ウィリアムが鎚頭の片方が鋭い鉤爪となった『戦鎚バルトロメウス』を上段に構える。すると、ハンマーが「砲撃形態」に変形し、竜砲弾が放たれた。その攻撃を見たヴァレーリオも、自らの地獄の炎によって強化された『地砕槌』を大きく振り下ろす。それは、大地が砕かれそうなほどの衝撃を起こした。
「……!」
 鋭く尖った部分と打撃部が対となった『ウッドペッカー』を手にしたスピカの瞳が光り、加速をつけて敵の懐へと殴りこむと、敵がたまらず崩れ落ちる。その前に歩み寄ったのは、リーフだった。
「銀の新たな力……ここに成ったな!」
 掲げたのは、大英雄座の加護を宿した『コルネホロス』。
「大英雄よ来たれ! その称号の所以を……寡黙に語れ、雄弁に!!」
 鎚身のヘラクレス座の型の刻印が光った、次の瞬間。攻撃を叩き込まれたハイドラホーラーはついに霧散した。
「鎚は、こう使うものだ。……うん、馴染む……良き品だ」
 リーフは満足気に手元のミスリルハンマーを抱き寄せる。

「うぅっ、これで本当の本当に解放されたよ」
 ほろりとした表情でユルが呟くのを見て皆が笑う。
「さて、『金』の方は上手くいったか……?」
 リーフは竜牙竜星雨を探索する仲間達を思いやる。――きっと、彼らも新たな力を手に入れていると信じて。

作者:東雲ゆう 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年8月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 19/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 6
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