中二病を始めましょう?

作者:ハル


 魔法陣、紋様の描かれた眼帯。
 ……果ては、怪しげな魔術書から十字架のネックレスに漆黒のコートからアーミーナイフまで。
 とある裏路地にある店は、壁中に髑髏マークがあしらわれ、特定の年齢層に強く訴えかけるだろう雑貨が所狭しと並べられていた。
 所謂、『中二病』のテンプレアイテム達。
「……どうして、こんな事に……」
 赤黒い灯りのともるその店舗で、一人の男が蹲りながら懊悩していた。察するに、店の店長……だった男なのだろう。
「ウケるはずなんだ! 誰もが一度は通る道のはずなんだ!!」
 でも、現実はそうはならなかった。
「……どうして、どうしてぇっ……俺が、間違っていたのか?」
 次第に、男の瞳から光が消えていく。
 ――その時だった。
 第十の魔女・ゲリュオンが男の眼前に唐突に出現し、男の胸が鍵のような物で一突きにされてしまう!
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
 ゲリュオンの呟きと同時に男が倒れ、変わりに眼帯に十字のネックレス、漆黒のコートに魔術書というゴテゴテの中二スタイルの少年が現れる。
「くっ! う、腕が!? ふ、封印が解かれる!!?」
 少年は店の扉を開き、腕を押さえて叫んだ。まるで、それが客引きの言葉であるかのように……。


「私にも、中二病と呼ばれる時期はあったのでしょうか? ……あったかもしれませんね、残念ながら」
 どことなく、ダメージを受けたかのようにセリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)は言った。
「確かに自分の店を持つという事は夢です。自分だけの城という訳ですからね。ただ、その夢を叶えたのに、店が潰れてしまって後悔してしまっている人がドリームイーターに襲われ、その『後悔』を奪われてしまう事件が起こってしまったようです」
 『後悔』を奪ったドリームイーターは既に姿を消しているが、奪われた『後悔』を元にして現実化したドリームイーターが、事件を起こそうとしているようだ。
「現れたドリームイーターを倒してください! そうすれば、店長さんも目を覚ましてくれるはずです!」
 続けて、セリカは言う。
「敵はいわゆる中二病の少年を模したドリームイーターになります。その一体のみで、配下などはいません」
 戦闘場所は潰れた店の中となり、他にお客などはいない。
「ドリームイーターは十字架のネックレスで斬りかかってきたり、魔術書や眼帯の下からモザイクを飛ばして攻撃してくるようです」
 店に乗り込んでいきなり戦闘を仕掛ける事も可能だが、中二病アイテムを身に着け、実際にテンプレ的行動をとってみせたりすると、ドリームイーターは満足して戦闘力が減少してしまうらしい。
 また、満足させてから倒した場合、意識を取り戻した被害者も、どこか晴れ晴れとした気持ちになれるようだ。
「とはいえ、相手は店長型とはいえ、中二病の少年ですから……付き合うには羞恥心を捨て、新たな黒歴史を生み出し覚悟をしなければならないかもしれません……」
 そこまで言って、セリカは姿勢を正した。
「人生は後悔の連続です。後悔をした事がない人なんて、いないと思います。だから、店長さんにとって今回の件を次への価値ある経験にできるよう、どうか助けてあげてください!」


参加者
ソネット・マディエンティ(蒼き霹靂・e01532)
月浪・光太郎(孤高の路地裏マスター・e02318)
片白・芙蓉(兎頂天・e02798)
熊谷・まりる(地獄の墓守・e04843)
黒斑・物九郎(ナインライヴス・e04856)
宝條院・リリティア(致命的な幸い・e05198)
上里・もも(ケルベロスよ大志を抱け・e08616)
立華・架恋(ネバードリーム・e20959)

■リプレイ


 ……風が啼いている。
 悲しげな響きを奏でる風に抱かれるようにして、暗い雰囲気を放つ店舗の前、宝條院・リリティア(致命的な幸い・e05198)改めコードネーム:ハピネス・フィクサーは口元に恍惚の笑みを張り付けていた。
「諜報と暗殺を司る影の妖精の名において――弱き存在は去りなさい!」
 変わらぬ表情のまま、ハピネス・フィクサーは十字を切る。すると、目には決して捉えられぬ殺気の波が周囲へと押し寄せた。
「我ら地獄の番犬ケルベロス、人心惑わす化生には、ただ刃に頼むのみ」
「あら、貴方達も導きを聴いたの? 悪く無いわね運命とやらも……」
 ハピネス・フィクサーの殺界をどこかから嗅ぎ付けたのか、その隣には二つの影。
 漆黒のケルベロスコートを羽織った月浪・光太郎(孤高の路地裏マスター・e02318)改めコードネーム:狂気のルスデラルナ。そして、銀と黒のゴシックパンクに身を包んだ立華・架恋(ネバードリーム・e20959)改めコードネーム:神罰のイノセントであった。
 神罰のイノセントは、腕の中で従者の如く控えるレインの頭を優しく撫でると、レインは「にゃあ」と短く鳴く。
「来ましたか……先に始めていますわよ」
 ハピネス・フィクサーは、現れた二人に告げる。
 そして、ゆっくりとした足取りで三人は店舗の中へ入っていった。

「覚醒(メザメ)の時間よ? 精々私の白夜(ヨル)を彩って頂戴」
 店舗に入っていく三人の後ろ姿を屋根の上から見下ろす者がいた。
 片白・芙蓉(兎頂天・e02798)改めコードネーム:終末の巫女コード・セブン。
 キリスト教の殉教者をモチーフにした巫女服の裾を揺らし、彼女は目元を手で覆いつつ、その口角を釣り上げている。
 さらに、その場にはもう一人の姿。パンク系ヴィジュアルロック風の服に黒のインナーや小物類で纏めた熊谷・まりる(地獄の墓守・e04843)改めコードネーム:アンダーテイカーは、真っ赤なルージュを夜闇に妖艶に光らせ言う。
「一見何の変哲もない潰れた雑貨店……。だけど、私には解る。此処は紛れもなく地獄【マーマ】に繋がるスポットだという事が」
 その証として、店舗には先行して三人の超越者達が入っていき、屋上にも同じく……。
「そうでしょう、コードセブン?」
「ええ、もちろんよ。アンダーテイカー」
 呼びかけに応じて、コードセブンは地上に堕天する。
 そして、先の三人に続いて店舗内へと向かった。


「ようこそ、契約者達よ!」
 訪れた五人の超越者ケルベロス達を迎えたのは、自信に満ちた声色。眼帯、字のネックレス、漆黒のコートを身に纏い、何かを押さえるように添えられた片手に握られているのは、幾何学模様の描かれた魔術書の類いか。全身の至る所にはモザイクの刻印が記されており、ケルベロス達は不吉な気配に笑みを浮かべた。
「この店の品揃えは中々のものね」
「クックック! 当然であろう、我が城だ」
 アンダーテイカーの賞賛に、ドリームイータは歓喜で応える。店内は一見雑多ながら、その実様々な美しい意匠を施された聖遺物が所狭しと飾られていた。
 ――と。ふいに来客を知らせるベルが鳴る。
「この気配……まさかとは思ったけど、貴方達まで来ているとはね」
 不意の遭遇……であるかのように装い、ソネット・マディエンティ(蒼き霹靂・e01532)改めコードネーム:蒼焔のマディエンティが目を見開く。
「まぁいいわ。目的は同じようだし、まずはお手並み拝見といきましょうか」
 蒼焔のマディエンティは、先行者と何やら共闘するような気配を醸し出している。
 そして、その隣にはさらに二名の人物。
「あら? 『機関』に請われて来たのだけれど、面白いことが始まっているわね」
「……これも、運命ってやつっスかね?」
 フリフリの黒ゴスに、全体は黒で統一されている。身体の各所に白い包帯、細かい所に目を向ければ、両手すべての指に指輪を輝かせているのは、上里・もも(ケルベロスよ大志を抱け・e08616)改めコードネーム:パッショネイト・ダンス。
 そして、黒斑・物九郎(ナインライヴス・e04856)改めコードネーム:ヴァイス・シュヴァルツだった。
「懐かしい空気。この世界はやはり貴女の仕業ね」
 パッショネイト・ダンスは店舗の中にも関わらず、黒い傘を回しながらハピネス・フィクサーに問いかける。すると、ハピネス・フィクサーは上品な仕草でスカートの裾を摘まんで礼をした。
 何故パッショネイト・ダンスが黒い傘をさしているのかと問えば、きっと彼女はこう答えることだろう。
 ――特に意味はない! あえて繰り返す、特に意味はない! と。
「……クックック」
 想定以上の逸材の集結に、ドリームイーターが含み笑う。
「役者は揃って? “レコード・ヘブン”計画に後戻りは許されないのだから」
 ドリームイーターに釣られて笑みを零しながら、コード・セブンが集った役者を見渡した。言外に何らかの計画を匂わせると、ドリームイーターの眉がピクリと動く。
「ククク……それが気に入ったのか?」
 場は、完全にケルベロス達が掌握している。店主……いや、世界のすべてを統べる者として、そうした状況を打破するため、ドリームイーターは水晶を眺めるアンダーテイカーに目を付けた。
「ええ! この水晶は地獄【マーマ】とコンタクトを取るのに最適ね、波長が合う……」
 言いながら、アンダーテイカーは次に鋲付レザーグローブに手を伸ばした。
「これがあれば、地獄の炎を制御しつつ戦う術になりそうだわ」
 アンダーテイカーは、ドリームイーターの眼前で、レザーグローブを装着して手を数度握って開いてを繰り返す。
 対して、そのすぐ傍では神罰のイノセントが十字架のネックレスを手にしていた。
「似合うかしら……ふふ、地に生きる者としては上出来ね、褒めてあげる」
 ネックレスを首元に添え、
「どう? かつて喪いし神罰の一つは、今でも私に相応しいかしら?」
 神罰のイノセントは、ドリームイーターに事も無げに問いかける。
 ドリームイーターは最初は呆然と、そして次第に歓喜するように一瞬だけ表情を綻ばせた
「ククッ! ああもちろんだともイノセント! だが、世界のどんな神罰も貴様の美しさには適うまい」
 神罰のイノセントは、その満足げな笑みにホッと安堵と熱い気持ちが沸き上がるのを感じ、
「さあ――ご褒美よ。夢の終わりを始めましょう私が貴方を救っ(コロシ)てあげる」
 救済の宣告をするのだった。
 

 ドリームイーターはどこか迫力が欠けていた。それは、ケルベロス達の思惑が見事に嵌まった証拠である。
「幸いな世界に招待いたしますわ。後悔の夢喰い――!」
 一喝と同時、ハピネス・フィクサーが前衛の前に紙兵を大量散布する。
「省みるな、振り返るな、魂に老いを与えるな……その悔いを、今宵この場で殺してしんぜる……禍上流殺法が伝承者、その名も狂気のルスデラルナ……いざ月下に推して参る!」
 高らかに語られるは狂気のルスデラルナの口上。名乗りながら、狂気のルスデラルナの肉体からは月光の如くオーラが立ち上り始めている。
「この殺意こそ慈悲と知れ……我が奥義、その身に刻め……砕けろ! この一撃で! 禍上流殺法、月光撃!」
 それは、一歩間違えれば自らの肉体すら霧散しかねない狂気の技だ。狂気のルスデラルナは、一時とはいえ同じ時間を過ごしたドリームイータに、慈愛を持って襲いかかる。
「くっ! 契約者如きが! 俺はすべてを統べる者ぞ!」
 対して、襲い来る狂気のルスデラルナの一撃をドリームイーターは巨大な十字架で受け止めようとする。
 しかし、ドリームイーターは弱体化してしまっている。拮抗し、互いに傷を負いながらも、最終的にはドリームイーターを力で押し切る。
 さらに、
「『機関』の試作品、ビースト・ファクターまさかこいつを使わにゃなりませんたァ」
 油断は禁物。ヴァイス・シュヴァルツが『666』と刻印された無針注射器を二の腕に突き立てると、身体の作りが生まれ変わり、その体表を艶々とした猫の毛並みが覆っていく。
 獣化を果たしたヴァイス・シュヴァルツは、その上半身でドリームイーターを潰すようにのし掛かった。
「ぐぅ!?」
 だが、ドリームイーターもただではやられない。のし掛かられる間際、眼帯を少しズラしてそこからモザイクを射出して一矢を報いた。
「小細工無用! すべてを統べるに相応しいというのなら受け止めてみなさい!」
 蒼焔のマディエンティは、片刃の巨大剣に炎を纏わせると、一気にドリームイーターに振り落とす。単純ながら強力無比な一撃が、ドリームイーターに叩き込まれ、また風圧によって床の残骸諸共吹き飛んでいく。
「蒼焔……絶対的暴力の権化め」
 その派手でどこまでも愚直な攻撃に、パッショネイト・ダンスが苦笑しながら呟く。
「星の煌きよ!」
 ドリームイーターが吹き飛んだ先で待ち構えていたのは、神罰のイノセント。言葉通り、星の煌めのような飛び蹴りがドリームイーターに打ち込まれた。
「この私の加護を知りなさい、微かなる命たち」
 コード・セブンは狂気のルスデラルナにエネルギー光球をぶつけ、その傷を癒やしていく。
「死の証を付けさせてもらうわ」
「さぁ! 情熱的に踊りましょう?」
 その時、アンダーテイカーとパッショネイト・ダンスがほぼ同時に動いた。
 右からはアンダーテイカーによる獣化した高速の一撃。左からはパッショネイト・ダンスの飛び蹴りが迫る。ドリームイーターは躱そうと身を捻るが、どちらとも躱せるタイミングではない。
 ならば迎撃の他に選択の余地はないか、その思考が取り返しのつかないミスを呼ぶ。いつの間にかドリームイーターの真っ正面には、スサノオが陣取って、睨み付ける体勢に入っていた。
 途端にドリームイーターは燃え上がり、左右の挟撃も真面に浴びる。
「ぐっ……がぁ!」
 言葉もなく、ドリームイーターは痛みに呻く。
 だが、その隙を伸ばす超越者ケルベロス達ではない。
「成る程、少しは粘るようね。……ならば」
 蒼焔のマディエンティの体内から、地獄の炎が溢れ出す。それは紫色に近い炎であったが、その炎に揺られ、まるで燃えているような蒼い髪こそ名の由来!
「イグニション……!」
 そうして、蒼焔のマディエンティの肉体は限界を優に超えて稼働し始める。
「(まぁ、ただの演出用なんだけどね。蒼焔って名乗るからには地獄の炎見せとかないとだしね)」
 ふいにサラリと零れかけた蒼焔のマディエンティの素を無に帰すように、
「その技は既に見切っているわ! 今宵、地獄【マーマ】に奉げる贄はお前よ」
 アンダーテイカーの声が響く。アンダーテイカーは、先程ドリームイーターがヴァイス・シュヴァルツ相手に見せた魔眼から放たれるモザイクを紙一重で躱しきり、炎を纏った。
「この身に秘めし地獄の炎で貴様を焼き尽くす……リフレインが叫んでるのよ、喰らえ望的畳句!」
 『必中』の避けられぬ未来がドリームイーターに襲いかかった。
「こ、この俺が! 俺がっ! ふ、封印が!」
 ドリームイーターは片腕に添えた手を震わせるが、このピンチにおいても何も起こりはしない。ならばと、変わりにドリームイーターはコード・セブンの知識を奪おうと、魔術書からモザイクを飛ばすが、
「ふふ、これが――」
「そう、これこそが導かれた運命よ!」
 モザイクは神罰のイノセントによって庇われ、そのダメージもすぐ様コード・セブンのオーラとレインの羽ばたきによって回復される。
「水面に映る空の月。水面の月に手を伸ばし、空の月を掴み取る。境界は曖昧に。祝福は平等に。幸いなれ、万象総ての存在よ。神域展開(EX-tension)――『咲き乱れるは幸いの花園、謳い上げるは魂の祝福(Felix benedictus)』」
 水面に浮かぶように、優しく歌われる詠唱。それは、心象世界を展開し、周囲を異界へと変貌させる。花々に囲まれた、幸いな世界にドリームイーターは囚われ、まるで一瞬を永遠と錯覚するような夢を見た。
「私の血は、乱暴なのよ?」
 満身創痍のドリームイーターへ、パッショネイト・ダンスの血のように深紅のレッドスライムが音もなく忍びより、変形する様は真っ赤な花が咲いたよう。そのままドリームイーターを飲み込み、血染めに変えていく。
 そして、その時――――。
「星が……堕ちたわね」
「あれは魔人覚醒!  あいつ『シュレディンガー・キャット』をここで出すつもり!?」
 ゾクリと背筋を泡立たせ、神罰のイノセントとパッショネイト・ダンスが声を荒げる。
 唐突にヴァイス・シュヴァルツが暗く「オレに代われ……」と呟く。そして、
「カッハハハハハハハハハハハハハッッ!!!」
 ヴァイス・シュヴァルツ……いや、魔人降臨! 破壊衝動の権化・戦闘用人格『シュレディンガー・キャット』に人格が入れ替わったのだ。
「まさか、私の聖痕が全て開……っ!?」
 その余波を受け、コード・セブンが真っ赤な何かを後方伸身2回宙返り3回ひねりを決めながら撒き散らす。
「聖痕が……開くですって!?」
「なん…ですって……まさか、宿命がここで繋がるというの……!」
「どうやら最悪の魔物を覚醒させてしまったようね…! くふっ……!」
 パッショネイト・ダンス、コード・セブン、そしてこの場面で思わず噴き出しかけたコード・セブンも何のその。
「ブッ『壊して』やんよぉ!?」
 シュレディンガー・キャットは高速かつ重い一撃をドリームイーターに叩き込んだ。
「迷えるものは聞くがいい、この炎の轟きを、冥府に誘う劈きを! 禍上流殺法、炎の如く!」
 最早一変の迷いなし! 惨殺ナイフに炎を纏わせ、狂気のルスデラルナの一閃はドリームイーターを跡形もなく吹き飛ばすのだった……。


 店舗をヒールで回復したケルベロス達は、遠目に店長が目覚めるのを確認すると、声をかけることなく立ち去った。
 こういう時は影から影がお約束。
 だが、何もしないのも店主を混乱させるという事で、手紙を残してきた。
「楽しかった! こういうの、大人にこそ必要よね。もうワンパンチあれば絶対流行るわよ、店長……!」
 芙蓉は励ますように、
「素敵な店じゃニャーですか! 今財布ン中持ち合わせないんで、また今度覗かせて貰いに来てもいっスか? その時は――――このギルドで扱ってる『聖遺物アーティファクト』を見せて下さいや」
 物九郎は興味を込めて、
「私は中二病ではありませんし、そういうことには疎いですが……中二病は魂の猛りが心の奥底から外に溢れだした物ということは存じております。故に言いましょう。「魂の形に同じ物は2つとない」と――――後はわかりますわね?」
 リリティアは店長の今後に期待を込めて……。
 ……皆で夜闇を見上げる。
 その空は、実に穏やかなものであった……。

作者:ハル 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年8月11日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 4/キャラが大事にされていた 2
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