●頭の取れたマスコット
恋人たちが心を交わし、ファミリーが絆を深めていく。友人らと共に足を運んできた者たちも思い出を紡いでいく。一人で訪れた者さえも笑顔を浮かべている……そんな、幸に満ちた遊園地。
屋台が立ち並ぶ広場に、いたずら好きなクマ型マスコットキャラがやって来た。
テーブルでアイスを食べていた幼い少女・マオは、目を輝かせて席から立つ。両親にアイスを手渡した後、マスコットに向かって駆け出した。
たくさんの子供たちに囲まれて、楽しげに愛想を振る舞うマスコット。マオと視線があったなら、手を伸ばして握手を求めてきた。
満面の笑みを浮かべながら、マオは手を伸ばしていく。
たくさんの子供たちが見つめる中、その柔らかな手を握りしめ――。
「えっ……」
――ごろりと、嫌な音がした。
影が、右側へと落ちていった。
恐る恐る顔を上げれば、そこには……。
「ひっ」
顔のない、マスコット――。
空調の音だけが響く、優しい静寂と暗闇に抱かれている子供部屋。ベッドの上、シーツだけをかけて眠っていたマオが、跳ね起きた。
「っ……はぁ……はぁ……ゆ、夢?」
きょろきょろと周囲を見回しても、目に映るのは自分の部屋。遊園地はもちろん、マスコットも存在しない。
「よかった……」
マオは枕元に置いてあったクマ型マスコットのぬいぐるみを手にし、強く、強く抱きしめる。
「ほんと、君の頭がなくな……」
頭を撫でていた時、背筋に冷たいものが走った。
恐る恐る振り向けば、不思議な女性が立っていて……。
「っ!」
ぬいぐるみを強く抱きしめながら、マオはベッドの端へと後ずさる。
気にした様子もなく、女性はマオに手を伸ばした。
――女性の名を、ケリュネイア。魔女と呼ばれるドリームイーターの一人。
ケリュネイアは鍵を取り出して、端に追い詰められていたマオの心臓を突き刺した。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
血が流れることはない。
鍵は、驚きを奪うだけの存在なのだから。
驚きを奪われたマオは瞳を閉ざし、その場に崩れ落ちていく。
代わりに、一つの影が立ち上がった。
影はクマ型マスコットの形をしていた。
もっとも……あるはずの頭が失われている……首のない存在としてなのだけれども……。
●ドリームイーター討伐作戦
ケルベロスたちを出迎えた黒瀬・ダンテ(オラトリオのヘリオライダー・en0004)は、メンバーが揃ったことを確認した上で説明を始めていく。
「子供の頃って、ビックリする夢を見たりするっすよね。理屈は全く通っていないんだけど、とにかくビックリして夜中に飛び起きたり……」
そのビックリする夢を見た子供がドリームイーターに襲われ、その驚きを奪われてしまう事件が起きている様子。
「驚きを奪ったドリームイーターは、既に姿を消しているようっす。けど、奪われた驚きを下にして現実化したドリームイーターが、事件を起こそうとしているみたいっす」
現れたドリームイーターによる被害が出る前に、このドリームイーターを撃破する。
そうすれば、驚きを奪われてしまった被害者も目を覚ましてくれるだろう。
続いて……と、ダンテは地図を取り出した。
「驚きを奪われた子供の名前は、マオさん。この一軒家に住んでいる、小学生の女の子っすね」
驚きの内容は、クマ型マスコットの首なし着ぐるみ。ドリームイーターも、それに準ずる姿をしている。
ドリームイーターはマオの部屋を抜けだした後、市街地をさまよい歩いている。幸い、深夜という時間帯のため人通りは少ないが、皆無ではない。さらに……。
「このドリームイーター、どうも人を驚かせたくたしょうがないみたいっす。だから、付近を歩いているだけで向こうからやってくるっすね」
故に、人払いを行いながら街中を歩き、接触を待つ……といった形になるだろう。
後は迎え撃てば良い、という流れになる。
「ドリームイーターの姿はさっき行ったとおりっす。それで、戦い方っすが……」
戦闘方針は攻撃一辺倒。ハグして相手を拘束しつつ絞め殺そうとしてきたり、首の断面から周囲を吸い込み命を奪おうとしてきたり、首がないがゆえに不気味になってしまう……本来なら楽しいはずのダンスを踊り見るものの心を奪ってきたりする。
以上で説明は終了と、ダンテは資料をまとめはじめた。
「子供の無邪気な夢、奪われたままにはしておけない……そう思うっす。だから、どうか……全力での戦いをお願いするっす。マオさんが、再び目を覚ますことができるように……」
参加者 | |
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ロベリア・アゲラータム(向日葵畑の騎士・e02995) |
四方・千里(妖刀憑きの少女・e11129) |
龍身寺・繚花(ドラゴニアンの鎧装騎兵・e20728) |
ユグゴト・ツァン(我濁ディジネス・e23397) |
シャウラ・メシエ(誰が為の聖歌・e24495) |
ベルカナ・ブラギドゥン(心詩の詠唱姫・e24612) |
マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685) |
サラキア・カークランド(アクアヴィテ・e30019) |
●首なしマスコットは街に潜む
灯りに乏しき街中に、満ちるは静寂潜むは怪異。あるいは、悲劇を望むデウスエクスの意志だろうか?
悲劇など起こさせない。
被害など防いでみせる。
強い決意のもと、ロベリア・アゲラータム(向日葵畑の騎士・e02995)はサラキア・カークランド(アクアヴィテ・e30019)と共に空を飛び、避難誘導をメインに行動していた。
すでに、多くの者が眠っているはずの時間。ぽつり、ぽつりと車が通り抜けてはいくものの、歩いて行く者はほとんどいない。
「……いました」
皆無ではない。
ロベリアが示す先、コンビニにでも行くような風体で家を出てきた男性を発見した。
素早くサラキア・カークランド(アクアヴィテ・e30019)が近付いて、男性の前に降り立っていく。
「ごめんなさい、少々事件が起きていまして……」
事件の詳細は語らずに、避難だけを促した。
男性は残念そうに肩を落としながらも、踵を返し家へと戻っていく。
様々な手段を用いて、二人は避難誘導を継続していく……。
龍身寺・繚花(ドラゴニアンの鎧装騎兵・e20728)もまた、ボクスドラゴンの小黄龍と共に、空を飛び回っていた。
万が一ドリームイーターを発見したならばすぐにでも報告できるよう、通信機器に手をかけたまま。
街中を歩く者が入れば近付いて避難を促しながら。
「……驚きを奪うドリームイーター……ねぇ~。目的はどうあれ、驚きがなくなっちゃったらつまらないでしょうし何とかしなくちゃいけないわぁ」
静かな想いを巡らせながら……。
「家に帰るの、遅くなっちゃうけど、ごめんなさい」
帰路を辿っていたサラリーマンに一時避難を伝え、仕方ないとコンビニへ向かっていく姿を確認した上で、ベルカナ・ブラギドゥン(心詩の詠唱姫・e24612)はボクスドラゴンのウィアドを連れて飛び上がった。
上空でも、風が粘っこい熱を和らげてくれる夏の夜。捜索を初めて数十分の時が経過したが、未だに発見の報告はない。
ドリームイーターが品定めしているのか、はたまたたまたま出会っていないだけなのか。それとも今、移動している真っ最中なのか。
いずれにせよ、スべきことに違いはない。
ギリギリまで避難誘導を行い、出現地点へと急行して打ち倒す。そのためにも、今は捜索に集中しよう。
一人のOLを家まで送り届けたシャウラ・メシエ(誰が為の聖歌・e24495)。
上空へと舞い戻り一般人、及びドリームイーターの捜索を再開しながら、静かなため息を吐き出していく。
「おどろくのなら、もっと楽しいことでおどろきたい、ですよね」
もっとも、驚くのも驚かすのも苦手だから、できればもっと静かに暮らしたい。けれど、それは叶わぬから……。
……せめて、人々が眠る夜の街が脅かされることのないように……。
風が粘っこい熱気を和らげていく夏の街中を、囮役を担うケルべロスたちは歩いていた。
四方・千里(妖刀憑きの少女・e11129)は小さな騎士というぬいぐるみを抱きながら、警戒のアンテナを張り巡らさせている。
傍らを歩くユグゴト・ツァン(我濁ディジネス・e23397)は、星空を見上げながら、静かな域を吐き出した。
「夜の街を皆と往く。心地よい風。素敵だ」
微笑みを浮かべながら、右手側の草むらへと視線を向けていく。
気配はない。
だから右手側のマンションへと視線を向け、暗がりを一つ一つ確認していった。
同様に駐車場に並べられている車の影に視線を向けていたマルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)は、こくこくとユグゴトの言葉に頷き返していく。
「そうだね。暑さはあるけど、風が上手く和らげてくれている……こんな夜もいいね……っと」
ぼちぼち定期連絡の時間帯だと、ポケットからスマートホンを取り出した。
上空版へ連絡を送るための準備を始めた時、立ち止まる。
「……」
千里とユグゴトに視線を送った。
受け止め、千里は向き直る。
アパートとマンションの間。ぽっかりと穿たれた穴のような暗がりに。
暗がりから飛び出し始めてきた、クマの着ぐるみのものと思しき腕に。
「いましたね」
マルレーネに連絡を任せ、千里は瞳を緋色に変え、抜刀。
暗がりから出てこようとしている何かに向かい駆け出した。
「私たちの視線から外れているうちに近い場所……そこにある自転車置き場の影にでも潜むつもりだったのだろうが……」
間合いの内側へ入り込んだと判断するとともに、一閃。
三日月の如き剣閃は、虚空を斬り裂く感触だけを獲得し――。
「……残念だが、こちらが先に気づいたようだな」
――避けた何かを……顔のないクマの着ぐるみという姿をしたドリームイーターを月光の下に引きずり出すことに成功した。
直後、千里の後を追いかけていたユグゴトが稲妻を帯びた緑色の粘液に濡れている槍を突き出した。
体を反らし避けていくドリームイーターを見据えながら、告げていく。
「好奇心と驚愕を奪った愚物。欲望を利用する愚者。貴様は私の糧と成れ。戦闘経験の一部と化せ。残すならば頭部だけが吉よ」
頭なきドリームイーターは何を語ることもなく身を起こし、彼女たちを値踏みするかのように体を巡らせて。
●驚かせたいマスコット
おどけるように右へ、左へと跳ねまわりながら、ユグゴトたちとの距離を詰めていくドリームイーター。
まるでパレードへと誘うマスコットのように……あるいは、大本となるマスコットがそうであったかのように振る舞い選ぶ進路に、拘束で滑空してきた繚花が降り立った。
一拍の時を置いて身構える中、ドリームイーターが両腕を広げていく。
すかさずオーラを前方へと押し出して、ハグしようとしてきたドリームイーターを押し返した。
「お姉ちゃんだし、小さい子を守る為なら頑張るわよ~?」
オーラを通して伝わってきた衝撃を和らげるため、繚花は自らに祝福の力を持つ矢を突き刺し自己治療を始めていく。
治療が終わるまでは攻めさせなないと小黄龍が前に立つ中、うっすらとした霧が繚花を抱き始めていく。
担い手たるマルレーネは、繚花を治療しつつドリームイーターへと視線を移した。
「……キモイ」
首のない、クマの着ぐるみ。
当然の如く中に一などいない、がらんどうな中身をもつ存在。
幸いなるは、ホラーよろしくその身が血に汚れていない点だろうか?
いずれにせよ、キモイことには違いはないと戦場観察を続けていく。
同様に戦場観察を行いながら……けれど、極力ドリームイーターは視界に収めないようにしながら……ベルカナは最前線に力を送る。
カラフルな爆発を巻き起こし、前衛陣に力を与えた。。
「確かに、夜に出てきたら怖いかもしれない、驚くのも無理ないよね。でも……その環状は人にとって大事なもの。取り戻しに行くよ、ウィアド!」
頷き、ウィアドは駆けて行く。
体当たりがドリームイーターをアパートの壁に押し付けていく中、サラキアが電信柱を足場に高く、高く飛び上がった。
「あは、怖い怖い。ドリームイーターというものも千差万別、ですねー」
言葉ととは裏腹に笑みを浮かべたまま月を背負い、ドリームイーターの中心……首があったであろう場所めがけてジャンプキック。
身をかがめたドリームイーターの背中を踏みつけて、壁を足場代わりに飛び退った。
入れ替わるかのように、数多の弾丸がドリームイーターへと向かっていく。
担い手たるロベリアは砲塔から漂う煙を払いながら、次の手に向けてドリームイーターへ弾丸が打ち込まれていくさまを見つめていく。
さなか、千里が飛び込んだ。
雷を走らせた刀を、まっすぐに突き出していく。
「……捕らえた」
切っ先は、ドリームイーターの左肩を貫いた。
ドリームイーターの動きが僅かに止まる。
すかさずシャウラは歌う高らかに。
凍てついた世界を詩を。
歌声に誘われ、ドリームイーターの周囲が極寒の空気に閉ざされる。
勇気を喉を振り絞り歌い続けていく彼女に応えるため、ウイングキャットのオライオンは爪を立てながらドリームイーターへと向かっていった。
鋭き爪にひっかかれ、胴体から綿が飛び出していく。
さほど堪えた様子もみせずに、ドリームイーターは刀を引き距離をとった千里へと向き直った。
すかさずベルカナが割り込んで、オーラを手元に集めていく。
「っ!」
直後、オーラを両足へと移動させた。
ドリームイーターの頭があるべき場所に、引っ張られそうになったから。
「だいぶ強い吸引力ね……でも……」
ポケットに手を伸ばし、スイッチを押す。
足元より少し前を爆発させ、爆風に乗る形で吸引圏外へと逃れていく。
着地とともに、大きく息を吸い込んだ。
「どこまでも続く蒼穹の空、青く蒼く澄み渡り……あなたと私を導いて。例えどれほど離れていようとも、空は繋がっているのだから」
紡ぐは自らと仲間を癒すための詩。
優しい優しい、そらの詩。
受け取りながら、ウィアドはブレスを吐いていく。
ブレスが胴体へと届いた時、吸引が止んだ。
直後、ロベリアが大地を蹴って飛び上がった。
高く、高く……月に最も近い場所へと上り詰め、得物を握りしめながら急降下。
狙いは本来ならば頭があるべき場所。
勢いを乗せた刃にて、ドリームイーターの体を……。
「……」
貫こうとした直前、ドリームイーターが体を捻る。
突撃は肩を僅かに抉るのみに留まった。
さなかには、小黄龍がベルカナを守れる位置への移動を終えていく。
そうするよう指示を飛ばした繚花は、ベルカナに治療のための矢を飛ばしながら小さく肩をすくめていく。
「一応クマみたいだけど、着ぐるみマスコットで頭が無いと、クマってわかりにくいわねぇ~?」
更に、月明かりと街灯だけが頼りとなる暗い世界。毛並みや色なども、見極めるには少々酷な時刻。
クマらしい振る舞いもさほどせず、ドリームイーターは右へ左へと踊るように飛び回っていく。
まるで、灼滅者たちを踊りに誘っているかのように……。
治療のため、マルレーネは霧を招く。
繚花の元へと差し向ける。
霧に力を注ぎながら、彼我の状態を整理し始めた。
治療を厚めにし、攻撃役を庇う態勢も十全に整えてきたからだろう。防衛役に細かなダメージは残っているものの、致命傷となっている者は一人もいない。
対照的に、ドリームイーターは綿が飛び出す、指が掛ける、反対側が見えるようになっている……など、明らかなるダメージを負っていた。
「……過不足ない治療はできている。この調子なら……」
「そうですねー。ですが、最後まで油断は禁物ですよ―」
頷きながら、サラキアはガトリングガンから一発の弾丸を撃ちだした。
弾丸はドリームイーターの脇腹へと突き刺さり、その周囲を凍結させていく。
すかさず繚花が腰を落とし、凍てついた脇腹めがけて気の弾丸を撃ちだした。
「驚きっていうのはとても大切な感情よねぇ。刺激も何もまったくない人生なんてまっぴらだわ~」
頷くかのようなしぐさを見せながら、小黄龍がブレスを吐いていく。
オライオンが追撃のリングを飛ばす中、シャウラもまた震える心を体を叱咤し幾つもの魔力の矢を生成した。
「い、いきます……!」
気力を振り絞ってドリームイーターを指し示し、雨あられのごとく降り注がせる。
体中を貫かれながらも、ドリームイーターはベルカナへ体を向けた。
直後、ユグゴトの謳う風の神がドリームイーターを天へと飛ばす。
「風に乗り、歩むもの。人を攫い、嗤うもの」
さなかにも生み出されゆく風刃が呪縛を増幅させ、墜落する頃には動くことのできない状態へと追い込んでいた。
今こそ好機と、ケルベロスたちの攻撃はつどい行く。
サラキアもまた微笑みながら腕を持ち上げて、ドラゴンの幻影を撃ちだした。
「さーて。それじゃあ……ボコボコにしてしまいましょうね―」
「ええ」
今度こそドリームイーターを貫くため、ロベリアが上空へと飛び上がる。
さなかにはウィアドがドリームイーターとの距離を詰め、ベルカナがスイッチを取り出した。
「タイミング、合わせるよ!」
ウィアドが体当たりをかました直後、ベルカナがスイッチを押しドリームイーターの足元を爆破。
浮き上がったその体を、ロベリアの得物が貫き大地へと縫い止める。
消滅する気配がなかったから、マルレーネは静かな息を吐きつつ御業を放った。
「終わらせる……」
御業は腕のような形を取り、ドリームイーターを鷲掴みにして動きを完膚なきまでに封じていく。
どことなくホッとしたような息を紡ぎながら、シャウラは元に戻した杖に魔力を乗せて解き放った。
数多の呪縛に囚われたドリームイーターを、解き放たれた力が抑えこむ。
千里は静かな息を吐き……。
「……」
体を弓に、刀を矢に見立て、構えを取る。
ギリギリまで矢を引き絞り、解き放った。
音を立てることなく、何に邪魔されることもなく、切っ先はドリームイーターを貫いた。
「気づいたときにはもう遅い……さよなら」
告げると共に、ドリームイーターが爆ぜていく。
形を失い、沢山の綿を撒き散らす。
千里が刀を収める頃には、全て消えてしまったのだけれども……。
●今度は良い意味での驚きを
各々の治療、戦場の修復……近所へのお礼や謝罪はすべてが終わってから。
煌めく星々が見守る中での事後処理が行われていく中、ユグゴトは静かにつぶやいていく。
「貌無き存在は混沌だけで充分だ」
顔のない、クマの着ぐるみ。
とある少女の驚きによって生まれた、ドリームイーター。
本来子どもたちに夢を与える存在が地に汚れずに済んだのは、きっと幸いなこと。
修復と治療が終わった後、ベルカナがドリームイーターが消えた場所へと向き直る。
「お人形、大事にしたい。首がないのは怖い、それに可哀想だもの」
暫くの間見つめた後、お礼や謝罪へと向かう仲間たちの元へと向かっていく。
見送る者はいない。
ただただ、優しい風が吹き抜けた。
その言葉を、想いを……首のない着ぐるみが本来の姿で、本来いた場所へと届けてくれるかのように……。
作者:飛翔優 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年8月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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