●空を舞う夢でのサプライズ
その少年は、嬉しそうに笑っていた。
「あはは、あははは!」
背中の翼を羽ばたかせ、とても気持ち良さそうに彼はビルの合間を思いっきり飛び回る。
普段は味わうことが出来ない感覚。自身が地球人であるはずなのにとか、そんなことは子供の満には関係ない。
宙を舞う感覚のなんと気持ちのよいことか。その少年、満がその心地にしばし酔いしれていると。
「がおー!」
突然空中に現れたのは、ファンタジックで可愛らしい見た目をした大きなライオン。それが、大声を上げて満へと飛び掛ってくる。
「わああああっ!」
ただ、ミツルにはそれに思いっきりびっくりしてしまう。余りに驚いた彼は翼を動かすのを忘れ、まっ逆さまに落下してしまって……。
そこで、彼は目を覚ます。いつものベッドの上で、パジャマ姿の彼はふうと安堵の息をつく。
「夢だったのかな……?」
その満の真上から突然、ウェアライダーの姿をした少女が手に持った鍵で、満の心臓を貫く。彼は意識を失い、ベッドの上へとばったりと倒れてしまった。
そいつは、白い鹿のような生物に跨っていて。少女の胸部、そして、跨る鹿の生物はうっすらとモザイクに包まれている。
第三の魔女・ケリュネイア。それがこの魔女の名だ。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ」
倒れている満。心臓を貫かれたはずが、その体には傷すらついてはいない。
その隣には、新たなドリームイーターが姿を成す。それは、満が夢で見た空飛ぶライオンだ。
「アオオォォォン!」
モザイクの翼を生やしたそいつは、頭上に向けて大声で吠えるのだった。
とあるビルの屋上。
そこに集まるケルベロス達が、自身が見た夢を語り合っていた。
荒唐無稽な夢から、自身の思い描く未来を見たもの、そして、中には悪夢も……。
それを聞いていた、リーゼリット・クローナ(ほんわかヘリオライダー・en0039)がふふと笑う。
「ボクも色々楽しそうな夢を見たものだけれどね、子供の頃は本当にびっくりするような夢を見るものだよ」
夢に理屈などはないのだろうが、とにかく何かに驚いて夜中に飛び起きたりなどして。
ただ、ここからが依頼の話だよとリーゼリットは表情を引き締める。
「ビックリする夢を見た子供が、ドリームイーターに襲われ、その『驚き』を奪われてしまう事件が起こっているんだ」
『驚き』を奪ったドリームイーターは既に姿を消してしまっている。しかし、奪われた『驚き』を元にして現実化したドリームイーターは動き出し、事件を起こそうとしているのだ。
「現れたドリームイーターによる被害が出る前に、このドリームイーターを撃破してほしいんだ」
このドリームイーターを倒す事ができれば、『驚き』を奪われてしまった少年も、目を覚ますはずだ。うまく事件が解決したならば、自室ベッドで眠り続ける少年へフォローを行うとよいだろう。
現れるドリームイーターは1体。モザイクの翼を持ったライオンだ。体長は2m50cmほどあるが、可愛らしい顔と丸っこいフォルムもあって、さほど恐ろしさを感じさせない。
「モザイクの翼を持っているようだけれど、夢のように自由に飛ぶことは出来ないようだね」
だが、ドリームイーターは戦いとなれば、高く舞い上がった後に覆い被さったり、喰らいついてきたりする。場合によっては、モザイクの翼を羽ばたかせ、モザイクを広範囲に飛ばしてくることもあるようだ。
「場所は、群馬県の市街地のようだね」
時間は夜、現場は、被害者となる川瀬・満少年の家の近所だ。
『驚き』の感情から生み出されたドリームイーターということもあって、相手を驚かせたくて仕方ないようだ。この為、現場付近を歩いているだけで、向こうからやってきてケルベロスを驚かせてくるはずだ。
「そのドリームイーターは驚かない相手に対して、強引に襲ってくるようだね」
これを踏まえておくと、作戦が立てやすくなるかもしれないので、活用するとよいだろう。
一通り事件について説明したリーゼリットは、さらに続ける。
「子供の無邪気な夢を利用するドリームイーターを、許すわけには行かないね……」
ドリームイーターを倒して、『驚き』の感情を奪われた少年を救ってほしい。リーゼリットは改めてケルベロス達へと願うのだった。
参加者 | |
---|---|
リリィエル・クロノワール(夜纏う刃・e00028) |
緋川・涼子(地球人の刀剣士・e03434) |
ショー・ドッコイ(穴掘り系いけじじい・e09556) |
レイナ・デモダイシン(全てを失った森の狩人・e14316) |
ガンバルノ・ソイヤソイヤ(リペイント・e18566) |
ラズリア・クレイン(蒼晶のラケシス・e19050) |
アーシィ・クリアベル(久遠より響く音色・e24827) |
枝折・優雨(チェインロック・e26087) |
●驚かせてくるファンタジーな夢喰い
夜、群馬県某所。
市街地にドリームイーターが現れるとあって、ケルベロス達はその討伐に乗り出していた。
「うんうん、空を飛ぶのって気持ちいいよね! 急に落下する夢ってのはちょーっと足がヒヤっとするかもだけどっ」
ヴァルキュリアのアーシィ・クリアベル(久遠より響く音色・e24827)は飛行の気持ち良さと恐怖を口にする。
「子供の頃に見た悪夢って結構トラウマになるのよ。どうせ見るなら楽しい夢がいいわね」
そんな夢での恐怖について、緋川・涼子(地球人の刀剣士・e03434)が口にする。驚かされて叩き起こされるなんて、心臓に悪いと。
「……夢は誰でも見るものだから、避けようのない敵ってコトね」
紫色の布製ジャケットを着た、ショートヘアの女子高生、枝折・優雨(チェインロック・e26087)がそう呟く。
「なんというか。ドリームイーターも大分節操無くなってきましたね」
現状、赤ずきんの夢喰いは姿をくらませ、新たな魔女が現れている。
全く持って顔の表情が変わることのないガンバルノ・ソイヤソイヤ(リペイント・e18566)だが、驚きを求めるという敵の行動に好きな刀剣育成ゲームのキャラを思い出し、ゲーム好きな感性が刺激されてそわそわしていたようだ。
リリィエル・クロノワール(夜纏う刃・e00028)はルノちゃん……ガンバルノの主張を聞いて思う。驚かせたいというだけなら、なんだか可愛らしいというか、純真なイメージを抱かせる敵だが。
「それで人を眠らせてしまうっていうなら、放っておく手はないわよね!」
夢から具現化したというドリームイーターだが、なんとも可愛らしい、ファンタジックな見た目をしているという。
「子供ならではの夢じゃのー。せっかくの楽しい夢の続き、見れるよういっちょ頑張るかの」
今回参加するケルベロスの中で唯一の男性、ショー・ドッコイ(穴掘り系いけじじい・e09556)。自称いけじじいな彼は綺麗に整えられた付け髭をふさふさと揺らし、まったりとした口調でやる気を見せていた。
「今回のドリームイーター、何だか可愛らしいです。でも、手を抜くつもりはございませんけれども、ね」
怖い夢は夢のままで終わらせたいと、ラズリア・クレイン(蒼晶のラケシス・e19050)は考える。当然、夢喰いは撃破の構えだ。
「自然界に存在しないようなライオンね……。檻の中から出てこないのなら害はないけど、外に出るなら狩ってしまうわよ」
レイナ・デモダイシン(全てを失った森の狩人・e14316)も狩りは生憎慣れていると、その討伐に意欲を見せていた。
ケルベロス一行は突然現れるというドリームイーターと戦う為、夜の市街地を巡回する。
戦場になりそうな開けた場所を見つけ、ガンバルノは殺界を作っていく。ラズリアもキープアウトテープを張り巡らせ、人避けを行う。手伝いをと考えたアーシィだったが、残念ながら、直接テープを受け取る事はできず、サポートに回っていたようだ。
「丸っこいらいおん、ぬいぐるみみたいなんかのー。ちっと楽しみじゃ」
悠々と歩くショーは夢喰いが突然現れても驚かないようにと、心構えはバッチリである。
ハンズフリーのヘッドライトを頭につけた優雨は、敵の咆哮に備えてヘッドフォンで耳を覆っていた。突然現れる敵に警戒し、彼女は周囲を見回しながら進む。
すると、いきなり空から何か大きな物体が降ってきた。
「「きゃあっ!」」
ラズリアがそれに対して大声を上げ、大げさに驚いてみせる。リリィエルも大げさに反応していたようだ。
「なになに! このおっきいの!?」
アーシィはそれに心を躍らせ、目をキラッキラに光らせてあっちこっちから眺める。
それは、ライオンだった。しかも、丸いっこいフォルムで、ぬいぐるみに似た姿をしている。驚くケルベロスに、気をしている様子だ。
「可愛らしいけど無駄にデカいわ。いきなりこんなのが飛んで来たら大人だって驚くっての」
涼子がそんな感想を口にしていると。
「がおー」
「すごいすごい!」
大きく口を開け、ライオンは可愛らしい鳴き声に上げた。それに、アーシィは手を叩いて絶賛する。
しかし、その背中にはモザイクの翼がついており、ドリームイーターであることを疑わせない。
「大丈夫じゃ、苦手なもんよりよほどかわういもんじゃぞい。じじいもついてるんじゃぞい」
ショーはびっくりしたリアクションをする女性陣に対し、割り込みヴォイスで声かけをする。
尤も、ガンバルノは顔面を全く動かす素振りはなかったし、普段からクールな態度の多いレイナもビハインドのヒノトと敵の出現に備え、身構えていた。どうやら、本気で驚くメンバーは皆無のようだ。
「おっきいのー、まるっこいのー。空飛べるとか楽しそうじゃのー」
とはいえ、それを気にすることもなく、ショーが夢喰いへと呼びかけると、相手はモザイクの翼を広げてさらにこちらを驚かせようとしてきていた。
「こんな世界だから、たまに思うのよね」
優雨は語る。デウスエクスという存在そのものが、全部悪い夢だったら。あるいは、針で刺したらぱちんと弾けるような、空想の類だったらいいな、と。
「少なくとも、目の前の怪物は、今日中に覚める悪い夢よね」
彼女は己の希望を吐露しながらも、右腕に巻きつけたケルベロスチェインをじゃらりと鳴らし、敵へと伸ばしていくのだった。
●愛嬌振りまき襲い来る夢喰い
ファンタジー色の強い見たのライオンは可愛らしいが、相手はモザイクの翼を広げるドリームイーターである。
「がおー」
飛ばしてくるモザイクはケルベロスの体や武器に纏わりつき、攻撃の阻害をしてきた。
「きゃああっ!」
攻撃を仕掛けていた優雨は、驚く素振りをして鎖を止めてしまう。
「……びっくりしました」
前列から一段後ろでそれを見ていたラズリア。びっくりした振りをしつつも、彼女は愛用の剣『ノーザンクロス・ロサ』を媒介として御業を呼び出す。ラズリアはそこから炎弾を放つことで、夢喰いを焼き払おうとしていた。
ヒノトと共に、モザイクにまみれていたレイナ。こちらは驚く様子がない。
レイナは敵の攻撃に耐えつつ、ジャマーとなるラズリアに分身の幻影を纏わせてアシストする。ヒノトは心霊現象によって夢喰いの体を痺れさせていたようだ。
「ちょっと! そんなモザイクでドロドロの翼を広げたら、びっくりするじゃないの!」
同じく、前線でモザイクを浴びていたリリィエルは、過度に驚いてみせる。
このドリームイーターは驚かない相手を狙うという。ならば、その習性を活かし、敢えて驚くことで狙われないようにするというのが、一行の作戦である。
空の霊力を帯びさせた惨殺ナイフを煌かせ、リリィエルは呼びかけつつ夢喰いへと切りかかっていく。
逆に、レイナは驚かないようにして、敵の注意を引き付けていた。
同じ盾役として、ちっとやそっとのことでは驚かないと、齢60年のショーも敵へとあっぴーるをする。
「さあさあ、じじいが驚くような攻撃してみせるんじゃぞーい」
ショーはボクスドラゴンのヨッコイにジャマーとして仲間のサポートを任せ、自らは茶目っ気まじりに敵へと呼びかけ、戦の詩を周囲に響かせる。
「届け、我が想い、我が心――癒せや勇士、再び立たん戦場へ」
想いを乗せた詩は、自らや前線の仲間に纏わりつくモザイクを晴らしていった。
モザイクが晴れたことに目を丸くするライオンへ、アーシィが仕掛ける。
「ほらほら、よそ見してると危ないよっ」
彼女は楽しげに夢喰いへと迫り、日本刀『星河』で弧を描いて相手へと斬りかかって行く。
「がおー」
傷を負う夢喰いに、ケルベロス達はなおも過剰に驚嘆していた。
「きゃー、きゃー」
戦闘前とは一変し、ガンバルノは演技とはいえ敵の挙動に対して大げさに驚き、震えてみせる。そんなガンバルノは癒しのオーラを前に立つ仲間へと飛ばし、夢喰いのモザイクに対する耐性を与えていたようだ。
「うわっ……」
敵の挙動に、涼子もわざと大げさに驚いてみせる。
(「……うさん臭く見えてないかしら」)
内心では心配そうに構えつつも、涼子はブラックスライムを槍のように射出し、貫いた傷口から丸っこい夢喰いの体を毒で汚染していく。
優雨は驚いて怯むような態度を示したが、もちろん演技である。彼女は改めてビハインドのカッツェと共に攻め入っていた。ニヤリと笑うカッツェは金縛りでライオンの体を痺れさせ、優雨が右腕から伸ばす鎖でその体をきつく締め上げていく。
「がおー」
逆に夢喰いは刹那モザイクを羽ばたかせ、前脚を広げて飛び掛ってくる。それに、カッツェが獲物の鎌を落として驚いて見せたが、敵が狙うのは全く驚こうとはしないディフェンダー陣だ。
「ほう、じじいとも遊んでくれるのかのー?」
不敵な笑みを浮かべたショーは、覆い被さってきたライオンの体をしっかりと受け止めていた。
愛嬌を振りまき、翼を羽ばたかせるライオンのドリームイーター。
「がおー」
モザイクの翼をぴこぴこと動かして高く飛んだかと思うと、夢喰いは大きく口を開いてかぶりついてくる。
レイナがそれを抑える間、ラズリアはライオンに対抗して翼をはためかせ、戦場を跳び回って行く。
「私も飛ぶのは得意ですの。負けません!」
そして、彼女は手元へと魔力を込めた光り輝く弓矢を喚び出した。
「始原の楽園を崩壊させし蒼光の弓矢よ。我が求めるは力なり。混沌を破壊せし星となりて敵を討て!」
ラズリアが射る星光の矢は狙い違わずライオンの体を貫き、瞬時に迸る光が夢喰いの体を駆け巡り、夢喰いの痺れをより強めていく。
「飛べないって話だったけど、あんなに高く舞い上がるなんて……!」
痺れによって動きを鈍らせた夢喰いに、大きなリアクションをしていたリリィエル。
「レイナちゃん!」
リリィエルはレイナへと呼びかけつつ、ドリームイーターの周りを舞い踊り、隙を狙って雷の闘気を纏わせた惨殺ナイフの切っ先を鋭く突き出す。
「任せて、リリィエルさん!」
リリィエルの剣舞に合わせ、敵を抑えていたレイナも仕掛ける。仲間が敵を苛む攻撃を繰り返していることもあって、それをより強めようとレイナは螺旋手裏剣を振るい、丸っこい夢喰いの体に傷をつけていった。
一方、傷つく夢喰い。驚くアクションをするケルベロスに最初は気を良くしていたのだが、それが続くと、こちらがわざと驚いていることに感づいて腹を立て始めた。
「がおーー!」
声を荒げたライオンは、前方にモザイクをばら撒いてくる。
敵が驚くリアクションをしていたメンバーも狙い始めたことで、ショーやヨッコイが率先して仲間を庇おうと動き回る。見た目に反して強力な攻撃を繰り出す夢喰い。それを受ける仲間に、ショーは気力を撃ち出し続けていたようだ。
夢喰いに驚く振りを続けていたガンバルノだが、盾役以外にも絡みつくモザイクが気になり出したようで。
「お聞きください。名曲ですよ?」
それらを晴らすべく、ガンバルノはオーストリアの偉大なる作曲家の詩『オレノシリヲナメロ』を歌い始める。とんでもないタイトルと歌詞ではあるが、グラビティの力によって仲間達の気分を高揚させていたようである。
(「感づかれてしまったわね……」)
オーバーアクションで驚いていた後衛の涼子も、敵の様子に気づいていた。
涼子は鋭い視線で敵を見据え、ブラックスライムを食らいつかせることで敵の動きを封じようとする。
さらに、カッツェが積極的に手にする鎌でライオンの背後から切りかかっていき、主である優雨も敵の頭を狙ってケルベロスチェインを一直線に伸ばす。グラビティの力もあり、貫いた箇所を凍りつかせていた。
「あおぉん……」
続くケルベロスの攻撃に、夢喰いが目を丸くしてしまう。体の痺れも合わさり、動けずにいたことも大きい。
「……っとと、驚かせちゃったかな?」
続く仲間の攻撃に、夢喰いが萎縮してしまっているようにアーシィには見えて。それでも、戦うのを止めない敵に対して、彼女は最後まで全力で戦う。
「戦場で私の前に立ちはだかるというのなら……。いきます!」
全ての熱を瞬時に奪い去るほどの冷気を日本刀の刀身へと纏わせ、アーシィは笑みを浮かべて敵の体を薙ぎ払う。居合いの連撃を見切ることができない夢喰いは、ついにグラビティ・チェインが費えてしまう。
全身をモザイクに変えて霧散していくドリームイーターを目にし、ケルベロス達は戦いの終結を実感したのだった。
●今度は良い夢を
ケルベロス達は手早く戦場となった場所のヒールを済ませると、被害者となった少年、川瀬・満の元へと向かう。
ドリームイーターによって鍵で貫かれた跡は大丈夫かと、気にしていた優雨。しかし、体には傷一つついてはいない。一応と思って持ってきた救急箱の出番はなさそうだ。
「おっはよー。目、覚めた?」
目を覚ました満を、屈みこんでニコニコと笑うアーシィが見つめると、彼は小さく頷く。
そこで、リリィエルは試しにと剣のジャグリングをその場で披露して見せると、満は目を丸くして拍手する。ちゃんと驚く感情が戻っていたことを、リリィエルはそれで確認していたようだ。
「楽しい夢見とったのー。おどろきらいおんがまた出てきたら、一緒に飛んでみたら楽しいかもの」
ショーがそんな話をすると、満は複雑そうな顔をする。折角だから、飛べるのなら邪魔されずに飛びたいと。
「嫌な終わり方の夢ばかりじゃ、可哀相だよね!」
「もしよろしければ、私の翼で飛んでみますか?」
そこで、空を飛ぶことが出来るラズリアとアーシィがそんな提案をする。落ちることはないと安全性を強調して。満は本当に空を飛べると、嬉しそうに同意した。
「よーし、それじゃあ夢の続き! いっくよー!」
まずは、アーシィが満を抱えて夜の空へと飛び立つ。彼女はハイテンションに色々な軌道を描いて楽しそうに飛び回っていた。
次に、ラズリアが満を連れて空を羽ばたいてみせる。こちらは優雅に飛び回り、ゆっくりと夜の街を見下ろしていたようだ。
空を飛び回って興奮していた満だったが、眠さが上回ってきたのか、うとうととし始める。その為、メンバー達は満の部屋で再び彼を寝かせることにした。
「怖い夢は今日でおしまい。さぁ、子供はもう寝る時間よ。今日は楽しい夢を見れるといいわね」
ベッドに満を寝かした涼子が落ち着いた口調で、彼に呼びかける。
「……恐いライオンさんはもういませんから。ミツルくんは、ぐっすり休んでくださいね」
悪い夢はケルベロスが食べちゃいますから。がうがう。
ガンバルノが微笑を浮かべると、にこりと笑った満はそのまま眠りへとついたのだった。
作者:なちゅい |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年8月5日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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