「8月11日のケルベロス大運動会も、もうすぐですね」
表情を楽しげに和らげたのも束の間。都築・創(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0054)は、再び生真面目な面持ちになるとケルベロス達を見回した。
「ここで、大運動会開催の経緯をおさらいしておきましょう」
僅か1年足らずに実に3回。度重なる「全世界決戦体制(ケルベロス・ウォー)」の発動により、世界経済は大きく疲弊してしまった。この経済状況を打破する為、一大イベントで収益を挙げようという事になったのが、ケルベロス大運動会だ。
「ケルベロスの皆さんには通常のダメージは効きません。そこで、世界中のプロモーター達が、危険過ぎる故にお蔵入りとなった『ハイパーエクストリームスポーツ・アトラクション』の数々を持ち寄り、危険な巨大スポーツ要塞を造り上げた訳です」
「……ハイパーエクストリームスポーツ・アトラクションって何よ?」
ドワーフ娘の突っ込みは見事黙殺し、創はタブレット画面の地図を見せる。
「栄えある第1回ケルベロス大運動会の開催地は、『インド』が選ばれました。当日、皆さんにはインド各地を巡り、アトラクションに挑戦して戴く事になるでしょう」
そして、競技とは別に――ケルベロス大運動会当日に「ケルベロスによる日本屋台村」を催す事となったという。
「折角のインド開催ですし、ケルベロスの皆さんが活躍する日本の文化を知ってもらう、謂わば国際交流の一環ですね。料理の腕に覚えがあったり、面白い企画を思い付いた方には、是非、屋台の運営をお願いしたいと思います」
この屋台村の食材の準備などは、協賛の日本政府が責任を持って行ってくれる。当日も、店長のケルベロスが競技に出ている間は、日本の料理人が代わりに切り盛りしてくれるので、時間に余裕のある時に戻ってくれば良いようだ。
「日本食の屋台ではありますが、料理は和食に限りません。例えば、『札幌発祥のスープカレー』を日本の料理としても問題ありませんし、日本らしい雰囲気があればオリジナルの創作料理でも大丈夫です」
屋台村は客層によって4箇所に設置される。その場所に合った屋台を考えて欲しい。
「こちらは、所謂『富裕層向け』の屋台村の会場です。インドの富裕層や、運動会を見学に来た海外旅行客などをメインの客層としています」
続いて、青々とした芝生広場の画像をタブレットに映し出す創。白亜の建物を背景に、整えられた生垣や立木の緑が蒼穹に映え、上品な色合いのパラソルやタープテントが優しげな日陰を作る。瀟洒な噴水は、見るからに涼しげだ。インドの高級ホテルの庭園らしい。
「1人分の予算は、3000円~8000円程度が目安となります。予算については、実際に日本で食事したらこのくらいの値段という目安で、メニューを作成して下さい」
尚、開催地がインドである為、食材に牛肉と豚肉の使用は禁止だ。肉類は鶏肉が主となるだろうが、牛や豚を避けてさえいれば、鹿肉や羊肉、いっそカンガルー肉でもOKだ。
「ちなみに、言語については、優秀な通訳の方が同時通訳してくれますので、国際交流を楽しみながら、素晴しい日本食の紹介に専念して戴ければ幸いです」
召しませ、素敵豪華な日本食――あなたの美味しいお料理とアイデアをお待ちしています。
●高級日本屋台村へようこそ!
白亜のホテルを背景に、整えられた生垣や立木の緑が蒼穹に映える。
瀟洒な噴水は涼を運んで水飛沫を撒き、青々とした芝生広場にパラソルの花が幾つも咲く。そして、点在するタープテントの下で、ケルベロス達の動きも慌しい。
「資材の方は?」
「ほぼ搬入完了、かな……それぞれの屋台にも分配済みよ」
高級ホテルの庭園を会場とする日本屋台村総務担当の都築・創と(何か成り行きで)お手伝いの結城・美緒は、常に帳簿と首っ引きだが、どうやら準備は滞りなく。
やがて、創のタブレットのアラームがピピピッと鳴れば――いよいよ、日本屋台村の始まり始まり!
「いらっしゃいませ!」
開店時刻となって暫く――三々五々、庭園に集う人の影。興味深げに屋台を眺め歩く人々は装いもきちんとして、それなりに富裕の客層と見て取れた。
「よし、ご飯の時間だぁ! ……ぇ、違うの?」
快哉を上げたアーティア・フルムーンは、ケルベロス達の視線に首を竦めてクスリと笑う。
「ナマステ! お箸の使い方、教えてあげましょうか?」
子供連れを狙い声を掛ける。日本ならではの作法に彼らも興味津々だ。
「ギュッと握るんじゃなくて、お箸に指を添える感じで」
日本で仕入れた参考書片手に一生懸命、説明するアーティア。持参した矯正箸が随分と役立った。忌み箸など細かなルールも、希望者に丁寧に教えていく。
「正しい作法で食べる料理って、また格別と思わない?」
客が愉しそうに頷き返せば、アーティアも釣られて笑顔になる。
「ふむふむ、日本食と言えばやはり寿司じゃのう」
お髭を捻りながら、包丁を握るウィゼ・ヘキシリエン。新鮮な魚介類を、ウィッチオペレーションで鍛えた手腕で捌いてゆく。
小柄なドワーフの少女が寿司を握る様子を眺める客の表情は、何だかとても微笑ましげ。
「おお、お主はお目が高いのう」
そんな視線を知ってか知らずか。ウィゼは店長おススメを注文されて、ご満悦の表情だ。
店長のおススメは――インド寿司。
「ワサビの代わりにスパイスを使ったり、カレー軍艦などインド風の寿司なのじゃ」
そのお味は、如何に……?
結城・レオナルドの屋台は、小料理屋風。出す料理は日本らしく、おでんにした。
気温30℃超過の中で熱々を食べるのは……という突っ込みはさておき。
日本酒も極上を揃えたが、実は、メインは料理や酒に非ず。
器、だ。
華やかな絵皿は有田焼や伊万里焼等、最高級の磁器ばかり。
(「美しい器に盛れば、高級感もグッと増しますね」)
器が気に入れば、その場で購入も可能。口でも目でも愉しい趣向は中々盛況で、レオナルドは忙しく動き回る。
「おっと! ……ふう、危ない危ない」
危うく高価な器を落としそうになり、レオナルドは大きく息を吐いた。
●日本屋台『武闘派無名堂』
抜きん出て大きいのは、武闘派無名堂の屋台。日本食を楽しめるよう、畳と座卓を用意。ビーツー・タイトを中心に、幾つもの即席座敷が出来上る。
メニューは、アニマリア・スノーフレークが担当だ。日本語、英語、ヒンディー語で併記して、料理の写真も載せる。装丁も丁寧に拵えた。
その内容は、例えば――素麺を鱧、車海老、枝豆、人参、椎茸と出汁寒天で頂く寒天よせ。吉野の本葛をつかったもっちり白ゴマ豆腐。鱧寿司は、季節のお魚の白焼きに、ふわりと解けるシャリを抱かせてわさび醤油でどうぞ。
他にもほぐし蒸し鶏の梅肉和え、夏野菜を使った冷やし天ぷら蕎麦、初鰹のタタキ、焼き鳥丼等々、海鮮と鶏肉と夏野菜を使用した和食や、様々な煮物と種類も豊富。
あんみつ、葛餅、わらび餅、お豆腐プリンに寒天ゼリー、夏といえばやっぱり宇治金時のかき氷! と、デザートも忘れない。
インドも紅茶の産地なら、下手な茶葉は日本茶の名折れ。飲み物も手は抜かない。
「お酒はよく判らないんだけど」
「おう、俺に任しとけ!」
大いに逞しい胸を張る藤堂・十字。酒も食事に欠かせない。日本酒、焼酎、泡盛、和ビールと様々に用意した。
「デウスエクスの所為で日本は危険だからな。こんな機会でも無ければ、中々堪能出来ないだろ」
ドワーフなので飲めないものの、酒類の説明をメニューに追記する十字。
「ヴァジュラ、飲み干すなよ」
「成程、干さなければ良い、と。では、樽が二、三消えても問題在るまい?」
そんな軽口が聞こえてきたが……その実、インドは飲酒に関して結構厳しい。「人前で酔っぱらうなんて、みっともない」というのが一般認識とか。
とはいえ、富裕層なら酒に拘りがある者もいるだろう。食前酒の扱いで少量振舞い、利き酒を愉しんで貰うスタイルなら問題なさそうだ。
勿論、酒器にも拘っている。色硝子の徳利やグラスは、日本産ガラス板工房の作。お土産として購入可能にしたのは、アニマリアのアイディアだ。
準備は慌しくも、祭りの前特有の活気に溢れて――満を持しての開幕を務めるのは、チェシャ・シュレディンガーのパフォーマンスだ。
「さぁよってらっしゃい。ジャパニーズフードのクッキングショーの始まりよ♪」
和服にたすき掛けがスタイリッシュに変わるや、特設調理台で包丁を振るう。
ジグザグスラッシュで華麗に食材を切り、ドラゴニックミラージュで豪快に加熱、仕上げの冷却にアイスエイジが吹き荒ぶ――グラビティを使ったパフォーマンスは、ケルベロスならでは。確かに人目をよく引いた。
……まあ、攻撃グラビティは手加減出来ないから、食材は無惨になってしまったけれど。賄いに使えば、無駄も無い?
「ようこそ、いらっしゃいませ!」
大正浪漫風の給仕スタイルの歯車・巻菜の元気な声が、夏空に響く。
派手な演出が反響を呼び、開店早々に大繁盛。内装や小物にも気を使い、調理担当が多い分、メニューも豊富なのが、大いに受けたようだ。旅団ぐるみの屋台運営の面目躍如といった所だろう。
「なあ、ビーツー。着こなしあってんのかね?」
ケルベロスも個性的ならば、給仕の服装も個性的。
白を基調、紅をアクセントとしたインドの民族衣装を少しラフに着こなした天音・迅に、静かに太鼓判を押すビーツー。ビーツー自身は礼儀正しい執事の様相。炎天下の最中でも、クリーニングのお陰で、常に清潔に保っている。
(「楽しく美味しい時間を演出したいよな」
客とのコミュニケーションはシンプルな言葉を選び、オーバーリアクションで分り易さ重視の迅はハイパーリンガルを駆使。ビーツーも食材について、きちんと解説出来るだけの知識を身に着けており、接客態度は対照的ながら、それぞれ客の評判は上々だ。
「ね、似合ってるかな?」
準備では屋台の設営やメニュー作りを手伝った此野町・要も、今はウェイトレス。ミニ丈のメイド服にスパッツ、フォーマルシューズという装いで、傍らの上野・零に問えば、生真面目に頷かれた。
「……はい、似合ってますよ、此野町さん、可愛いです」
和装の零自身だが、シルクハットは譲れない。
「3番テーブルに持っていくんだね。零、行くよ!」
「……わかりました」
インドの富裕層に海外旅行者という客層でウェイトレスに、それもケルベロスに無体を働く者がいるかどうかは、さておき――ボディガードを兼ね、要と行動する零。
供する前に「おいしくなあれ」のおまじないも忘れずに。インカムで調理班と連携をとりながら元気よく給仕する要と、慇懃にもてなす零のコンビは、繁盛する店内でもよく目立った。
今も、日本食は初めてのインド人の家族に、箸の使い方を並んで教えている。
取分けユニークなのは、ビルシャナの着ぐるみを着た荒耶・四季。
「汝、日本食を欲するか?」
思い切り注目を浴びているが、本人は平然そのもの。
「おすすめはめんつゆを使った料理、ざる蕎麦や冷やし素麺がいいぞ。薬味の山葵は日本独特の風味が味わえる」
特に日本特有の薬味の説明を、ハイパーリンガルを駆使して、クールにこなしている。
「7番のブリ大根、完成なのじゃ」
「了解! 7番テーブルオーダーあがりまーす!」 アイズフォンと情報の妖精さんを駆使した巻菜のオーダー管理のお陰で、混乱こそ生じてないが、調理班テントは始終大忙し。ビーツーのボクスドラゴン、ボクスも火の番をつまみ食いせず頑張っている。
割烹着も中々様になっている稲成・燐火は肉じゃが、ブリ大根、ナスの煮浸し等、煮物系日本のお袋の味担当。特にブリ大根は、冬が定番の所を、昨今、話題の「夏ブリ」を使っている。勿論、稲荷寿司も忘れない。
「全体的に茶色い? 婆くさいじゃと?」
誰ぞの突っ込みはかかかッと笑い飛ばす。
「そりゃあ、わし婆さんじゃしな。当たり前じゃ♪ せめて愛情たっぷりに……おいしくなあれ♪」
おまじないの度に恥かしげな表情が微笑ましい。
チェシャもパフォーマンスから離れれば、普通に包丁を振るう。豚肉の生姜焼き、は、残念ながらNGが出たので、焼き鳥の盛り合わせと焼きそば作りに専念している。
「元海上自衛官として、この料理で手を抜く訳にはいかないからな」
神崎・晟の担当は「日本式」カレーライス。カレーといえば牛肉や豚肉が定番ながら、宗教に配慮して水牛肉を使用。米もインディカ米ではなく、ジャポニカ米を使用する。
「6番テーブル、カレー3丁!」
日本式カレーライスは、ハイパーリンガルで晟自ら説明する暇も無いくらい、人気メニューとなった。日本のカレーはインドと違い、小麦粉を使用している。とろみがあってマイルドな味わいが、インド人には新鮮らしい。
「む……?」
食材はホテルの協力を得て、大型冷蔵庫と保冷剤で鮮度を保つよう努めている。だが、追加の材料を取りに来た晟は、ふと倉庫の不穏な違和感に顔を顰める。
「……食材が妙に減り過ぎている気がするのだが、気のせいか?」
そう言えば、和食担当の望月・護国と、デザート担当の櫻木・乙女の姿も、揃って消えてしまっている。
「ああ、2人には買出しを頼んだ。在庫が足りなくなりそうなんでな」
しれっと肩を竦める運搬&在庫管理担当のヴァジュラ・ヴリトラハン。怪力無双を駆使してトラックごと担いで運搬したり、翼飛行で人混みの上を通過したり、開店前から大活躍だったが……その実、食材搬入中にひもじそうな子供や動物達に分け与えたりしていたのが、食材不足の真相。尤も、当人は摘み食いしたと主張して譲らない。(実際、何割かはその通り。曰く「売上貢献」らしい)
「……買い出しというには、戻ってくるのが遅くないか?」
「これだけ店員がいるんだ。2人くらい遅くなっても構わんだろ」
「ちょっと待て、2人の調理担当分は私がやるのか?」
それ以前に、日本食屋台の食材が、果たしてインドで現地調達出来るのか。ここは、膝突き合せてとことん問い質してみるべきか。
「オーダー入ります。初鰹のタタキ1丁!」
……この激しく忙しい時に、そんな暇はなさそうだ。
「もてなしとはいったい……」
溜息を吐いて、巻菜が読み上げる注文に応じる晟。
まだまだ、客の波は途切れそうに無い。
●ニーズの重要性
「夏の蕎麦は犬も喰わぬ」という諺がある。蕎麦の収穫は秋なので、前年の収穫から貯蔵された蕎麦を使う夏は「香り、腰、色艶も悪く貧弱な味」というのが、蕎麦通の認識らしい。
とは言え、近年は貯蔵技術の向上に加え、夏に新蕎麦を食べられるよう、春撒き夏収穫の『夏蕎麦』の栽培が、日本各地で試みられているとか――今回の屋台村の為に、その夏蕎麦の確保に某眼鏡のヘリオライダーが奔走したとか何とか。
閑話休題。
日本の麺と言えば蕎麦。暑い盛りのザル蕎麦は、日本人としてそそられるものがある。という訳で、蕎麦をメニューに選んだ屋台も1つではない。
ゼグブレイド・ウェイバーと椏古鵺・笙の屋台は、手打ち蕎麦に和菓子を添えて。最高級の食材を使い、どちらもその場で作る本格派だ。
(「美味しくない訳がないのでありんしな♪」)
勿論、そばつゆも最初から仕込んだ。鼻歌交じりの笙月は、盛付けまで漕ぎ付けて首を巡らせる。
「ちょいっと兄様の様子でも伺いに……」
「……暇なら客の相手をしてくれないか」
確かに、身長176.5cmが翼をぱったぱったしながら周囲をうろちょろしては集中も侭ならないだろう。
「あい、了解ざんしよ……お待たせ致しました!!」
素直に頷いた笙月が接客する間に、ゼグブレイドは和菓子の仕上げに取り掛かる。
金魚、風鈴、朝顔の練きりを寒天に仕込んで冷やせば、『若葉蔭』という涼菓子の出来上り。
ちなみに、先述の通り、アイスエイジ等の攻撃グラビティは加減出来ない(というか、下手打てば大惨事の)為、素直にホテルの厨房の冷蔵庫を借りた。
「出来た。笙月、出してくれ……」
漸く和菓子作りにも目途が立ち、ゼグブレイドはとうとう暑さでダウン。首尾よく完売の後、グロッキーの青年を、甲斐甲斐しく介抱するツインテールの和装メイドの姿があったとか。
「お疲れ様ざんしな、兄様」
和風という事で、割烹着姿のイクスィゼート・タキオンレイは、困り果てていた。
ダルク・フリードと開いた屋台のメニューは、「アツアツ和風鍋と冷製蕎麦のセット」。
「あつあつ鍋」の具材は、鶏団子に豆腐、長葱、大根、人参。手打ちの冷製蕎麦には、山葵や生姜、葱とオーソドックスな薬味を添えて。
他にも盛り沢山。玉葱と人参の掻き揚げ、春菊、南瓜、茄子、ピーマンの天麩羅に、干し椎茸と油揚げのお吸い物。お好みで玄米も選べるご飯はとろろや白菜のお新香一緒に。おなべの〆のうどん玉は別注文ながら、これだけボリュームがあれば、客もきっと満足してくれると思っていたのに。
客が全く来ないのだ。
和洋折衷の鎧でウエイターを務めるダルクの客寄せの声に、足を止めてお品書きを眺める客はそこそこいたが……結局、気の無い表情で通り過ぎていく。
「どうしたの?」
流石に見かねたのか、心配そうに声を掛けた美緒は、お品書きを見やると困惑の表情を浮かべる。
「……気を悪くしたらごめんなさい。でも、これはちょっと問題ね」
春菊にしろ白菜にしろ、旬から外れた食材はあったものの、閑古鳥はそれが理由ではない。
お値段1500円――予算3000円から8000円の屋台村に在って、価格が余りに安過ぎた。
予算が含むのは料理ばかりではない。屋台の内外装に趣向を凝らしたり、人目を引くパフォーマンス等の付加価値も含まれる。
そして、何でも安ければ良いのではなく、ニーズに応えられてこそ、客は対価を払うのだ。
店の運営は、中々難しい。
「大丈夫よ。屋台をデコレーションするとか、もう一品増やすとか……予算に合うように豪華にしたら、お客さんもきっと来てくれるわ」
「資材や食材は、他の屋台にも協力して貰いましょう。声を掛けてきますので、お2人は急ぎ屋台のリニューアルを」
裏方2人の手伝いもあり、大急ぎで即席のリニューアル――客層のニーズと合致さえすれば、電気分解式ろ過装置を持ち込んでまで、綺麗な水に拘った料理は忽ち反響を呼ぶ。
「お待たせしました、お客様。我らの作った料理を存分にお楽しみください」
程なく屋台が混み合ってくる中、ダルクはイクスィゼートと顔を見合わせる。ホッとしたように表情を緩めた。
作者:柊透胡 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年8月11日
難度:易しい
参加:21人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 6
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