とある街中の路地裏に、ひっそりと佇む店舗あり。店先には白地に鮮やかな青と赤が彩られた『氷』の旗が吊るされている。言わずもがな、カキ氷を売る店である。
本来ならば涼を求めるお客さんであふれるはずだろうその店は、しかし客の気配はなかった。何故ならば、店舗は閉店の憂き目に遭ったばかりなのだ。
開店は今夏。そこから圧倒的不人気により1ヶ月ちょっとでのスピード閉店という悲しい伝説を成し遂げた。狭い店内の小さな椅子に力なく腰かけていた店主は虚空を見つめるばかり。
「……何が悪かったんだろうなぁ……。俺は売れると思ったんだよ……『塩味のカキ氷』……」
店で売り出していたのは、ふわふわに削った氷の上に塩のみを振りかけたものだけだった。いちごとかメロンとかブルーハワイとか定番の種類など用意すらしていない。塩味一種のみ提供という、こだわりと浪漫が凝り固まった店だったのだ。
つまり、閉店は必然でした。
しかし店主の悲劇はそれだけに留まらず――。
「……え?」
いつの間にやら店主の背中側から胸部に、心臓を貫いて1本の鍵が突き出ていた。ところが店主は驚愕の表情を浮かべはするものの、絶命はおろか負傷ひとつなし。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいましょう」
そう言ったのは鍵の主、第十の魔女・ゲリュオンだ。ドリームイーターの魔女集団『パッチワーク』の1人である彼女が鍵を引き抜くと、店主はそのまま意識を失って地面に倒れた。
胸を穿った鍵は、命でなく人の『後悔』を簒奪するためのもの。倒れた店主のすぐ横には、1体のドリームイーターが姿を成して現れていた。
そしてそのドリームイーターは新たな店長となり代わって、寂れた店で客のおもてなしを始めるのだった。
「夢を持って開いたお店がなくなっちゃうって、悲しいことですよね……」
集まったケルベロスたちが最初に見たのは、どことなくしょげた様子の笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)の表情だった。だがそれも一瞬、すぐに彼女はきりりと調子を引き締めて、事件の説明を始める。
「夢破れて自分のお店を潰してしまって後悔している人がドリームイーターに襲われて、その『後悔』を奪われちゃったみたいです。奪っちゃった当のドリームイーターはもういなくなっちゃってるんですけど、『後悔』を元にして生まれたドリームイーターが事件を起こそうとしているんです!」
そのドリームイーターを撃破して起こりうる被害を防いでほしい、とねむは言った。ドリームイーターを倒せば『後悔』を奪われた被害者も目を覚ますだろうとのことだ。続けて、襲われた人やどんな店舗か、など事件について掌握している情報をケルベロスたちに伝える。
「敵はドリームイーター1体のみ。現場はちいさなカキ氷屋さんです。潰れていたお店をドリームイーターが店長として営業再開中なんです。とても狭いですけどみんなの技量なら特に苦労することはないですよ。奥まった立地と不人気が幸いして他にお客さんはいないみたいですから安心して戦ってくださいね!」
敵が使ってくるグラビティは『夢喰らい』、『欲望喰らい』、『モザイクヒーリング』となるらしい。
「お店に乗りこんでいきなり戦闘を仕掛けることもできますけど、まずお客さんとして入店してカキ氷を食べたりしてサービスを楽しむことも有効みたいです。どうなるかっていうと、ドリームイーターが満足して力が弱くなるらしいんです!」
ねむは何やらキラキラした瞳で皆に訴えている。あれか、カキ氷の塩味を美味しくいただいてこい、と。そういうことだな! しょっぱい氷を食ってこいとそういうことだな!
しかし敵を満足させて倒した場合は、意識を失ってバックヤードに転がされている店主も復活後に何やら前向きな気持ちになるらしいから、やってみる価値はあるだろう。
「お店も失って意識も失ってなんてかわいそうです……! みんなには一刻も早くドリームイーターを倒して、事件を解決してほしいんです!」
説明を切り上げると、ねむはぺこりとケルベロスたちに頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
天壌院・カノン(オントロギア・e00009) |
ゼロアリエ・ハート(晨星楽々・e00186) |
セルリアン・エクレール(スターリヴォア・e01686) |
日崎・恭也(明日も頑張らない・e03207) |
天津・総一郎(クリップラー・e03243) |
ルリカ・ラディウス(破嬢・e11150) |
レイヴン・クロークル(偽りの黒翼・e23527) |
エラー・クロスフェード(レッドパージ・e28235) |
●試練
「いらっしゃいませー!」
夏らしいジャンルの店っぽく、出迎えた偽店主は随分と元気が良い。
「……感情を奪うドリームイーター、か」
「夢を持った人の後悔を奪っちゃうとか酷いよね」
客を装って店内を眺めながらレイヴン・クロークル(偽りの黒翼・e23527)がぽつりと呟くと、耳ざとくそれを聞いたルリカ・ラディウス(破嬢・e11150)が深く頷きながら言った。
「っつーか酷いのは店! 塩味とか……売れるワケないやろっ!!」
店の壁に並ぶのはたったひとつのメニュー。塩味のカキ氷だ。日崎・恭也(明日も頑張らない・e03207)は思わずツッコまずにいられなかった。
「塩味、塩味かぁ。フルーツとかのシロップに塩加えるのだったら普通に売れた気もするけどなぁ……」
カキ氷もいわば甘味の部類。甘味好きとして、セルリアン・エクレール(スターリヴォア・e01686)は黙々と改良案を考えちゃっている。
「敵サンもよくこの店見つけたな! 良かったのか悪かったのか!」
ゼロアリエ・ハート(晨星楽々・e00186)が快活に一声。これから食べることになる塩味のカキ氷にテンションダウンな仲間たちが多い中、彼はいつものにこやかな表情のまま。
「お塩だけのカキ氷なんて斬新ですね。この暑さで失ってしまった塩分の補給には、もってこいだと思います」
「俺はイチゴのカキ氷が好きなのにどうしてこうなった……」
心優しき天壌院・カノン(オントロギア・e00009)はあえて味ではなく栄養補給の面を評価するが、天津・総一郎(クリップラー・e03243)はむしろ必要なものを合わせただけなのに最高に食が進まなさそうなカキ氷に半ば絶望中。
「ある意味きつい闘いになりそうだな。……行くぞ」
この先に本日一番の試練が待つ。エラー・クロスフェード(レッドパージ・e28235)はそこに挑む覚悟を決めて、店主に戦闘開始を告げた。
「塩味のかき氷8つ」
●不味い!
店主は嬉しそうに、表情を明るくした。
「すぐにご用意致します!」
「自分、冷たいのあまり食べれないので申し訳ないけど少量にしてもらっても良いだろうか?」
保険のためにセルリアンが言うと、仲間たちは「その手があったか」と悔やんだ。偽店主は「もちろんです」とセルリアンに答えてから裏に行って、削るための大きな氷を持ち出してきた。
シャリシャリと氷を削り出す音が小気味よく店内に響くと、8杯のカキ氷は迅速なるスピードでケルベロスたちの前にお届け。
「当店のイチ押し、カキ氷の塩味でございます」
一行の目の前には、まっさらな装いのカキ氷。透明な杯にこんもりと盛られた白い山。
「……塩分、水分補給を一度に行える理想の食べ物があると聞いて来たんだが、成程、この塩かき氷がそうなのか……」
美術品を鑑賞するように、レイヴンは杯を手に持ってしげしげと眺める。言うまでもなく演技だし、実はその間に塩味の襲撃に心を備えてもいる。
「さっぱりした味わいもおすすめですよ!」
声を弾ませる偽店主は、褒められたことでかなり気分は良いようだった。その流れに続けて、他の仲間も口々に『塩カキ氷』というユニークな商品を評価する。
「夏場の塩分が失われていく点を考えれば補給するこのかき氷の発想は素晴らしい」
とはエラーの言葉。
「うん、夏にピッタリだよね! 熱中症対策にもなるし、新鮮かも! 今日も快晴、夏らし~い日和だしね」
とはゼロアリエの言葉。
「中々斬新なアイデアだよね~」
とはルリカの言葉。
褒めるところがそこしかねえ。
しかし実質1ヶ所しか褒められていないにも関わらず、偽店主は満面の笑顔だった。店が潰れるまでクッソ売れなかっただけに、ささやかな賞賛でも、砂漠に落ちる水滴のように一瞬で染み入っていくのだろう。
「溶けないうちにどうぞ」
手振りで食べるよう勧めてくる偽店主。
いよいよその時が来た。ケルベロスたちは深く息を吸い、吐いた。もういくしかねえわコレ、と半ばヤケ気味になってスプーンを取る。
「気合入れて食べればいいよね! それに皆で食べれば怖くない!」
熱中症対策なのだと己に無理やり言い聞かせ、ルリカが意を決して食す。
即座にしょっぱさが口に広がり、口の中で溶けた氷と混ざり合う。
恐らく、世界一オシャンティーにいただく、塩水だった。
「……うん。美味しいよ!」
ルリカはにっこり営業スマイルで偽店主に感想を伝える。その目尻からは流れ落ちるものが一筋。
「泣くほど美味しいと言って下さるとは光栄です!」
偽店主がいい感じに取り違えてくれたおかげで、彼女の涙は特段言及されることはなかったようだ。
ちなみに当然ながら、塩水に耐えているのはルリカだけではない。仲間たちはほぼ全員、口に出せぬ怒りや虚しさを漏らさぬよう頑張っていた。
顔をしかめてしまいそうになるのを必死にこらえ、恭也はできる限りの隣人力をもってしてこの日一番の笑顔を作り出す。
「塩だけだなんて斬新……ふんわり食感としょっぱさがマッチしてしつこくない美味さがあるな」
「でしょう!?」
小躍りするように跳ね、喜びを表現する偽店主。恭也はさりげなく彼から顔を背け、この日一番のしかめっ面に。
「ゲホッッ! ないわー……。何で塩味なんて不毛なモン売れると思ったのか理解に苦しみますわ」
「え? 何か?」
「いやー、暑さ対策にもなるし、さっぱりしてて何杯でもイケそう!」
偽店主が顔を向けるたびに、恭也はころころと表情を変えた。たまに表と裏が逆になったが褒め殺しの勢いで疑いを持たせる隙は与えない。
「いやまさに、ゼロアリエさんの言ったように夏にピッタリだねー」
鋼のごとき精神力で塩カキ氷の探求から生還したセルリアンが、その中性的な面立ちを綻ばせて言った。少量にしたために彼が最も早く完食。
「おやもう空ですか? よければもう1杯――」
「いや結構。お腹が弱いんでね」
おかわりのススメを全力回避。塩水をリピートとか拷問すぎた。
ゼロアリエは塩氷を笑顔で食べ続けながら、合間合間に偽店主に言葉をかける。
「まるで海水を固めたみたい、夏のイメージを具現化させたんだねコレは!」
「ははは、そうでしょうか!」
次第にドヤ顔へと変わっていく偽店主。
「そういえば、氷にお塩をかけると、氷は温度が下がってキンキンに冷えるそうですね。夏場には嬉しい心遣いです」
少しずつ氷の山を減らしていきながら、思い出したようにカノンが付け加える。塩の力を得てカキ氷は、火照った体を癒す清涼剤に……なるわけがないが、とりあえずあらゆる褒め方を試みるしかなかった。
「夏には必須ですから。どうですおかわりなど――」
「すみません、お腹が冷えそうですので」
やんわりと断固拒否。実際、塩水を大量に摂取とかお腹がどうにかなってしまいそうだし。
「いやしかし、塩は冷やすだけではないな。……氷のキーン感を塩が薄めてくれている気がする。……な?」
死んだ目をしながらエラーも話の輪に参加。隅っこでひっそりと食していたレイヴンに振ってみたが、彼は味に耐えるのに忙しく返事はしてくれなかった。ぶっちゃけエラーも大ダメージという感じだったが、そこはいつもどおりの鉄の表情で乗り切ってみせる。
「……しょっぱいの好きな人にはたまらない。……と思う。……な?」
「うん、たまらないたまらない。え? 泣いてなんかいないよ? 不味くて泣いてるとか全然ないから」
3日前に死んだ魚のような目でエラーがルリカに話しかけ、ルリカはふいっと顔を背ける。仲間たちはその光景を見て、とてつもないやるせなさに襲われた。
「これがオトナの世界の『接待』ってやつか……? 俺は早くオトナになりたいけど……オトナって辛い……いや、しょっぱい」
普段からオトナに憧れ、オトナになりたいと願う総一郎も、さすがに嘘に嘘を重ねていくこのやりとりを見ては躊躇せざるを得なかった。口内にあるクッソ不味い塩水を、美味と評するだなんて……。
「……お口に合わなかったですか?」
「あー、このシンプルな組み合わせが逆に深遠な味を生み出すんだよな! 塩おにぎりが美味い様にコイツの味も絶品だぜ! おかわり!」
心配そうに覗きこんできた偽店主に、総一郎は弾かれたように慌てて声を上げた。おかわり宣言に仲間たちの驚愕の視線が集まる。
「ありがとうございます!」
だだっと店主が引っこんでいくと、総一郎は魂が抜けたようにその場に突っ伏し、エラーやセルリアンは彼の肩をぽんと叩いてやった。
「塩分の摂りすぎは……危険だ」
レイヴンが静かに呟く。塩水のおかわりは健康を害する可能性大である。
総一郎の目の光が消えた頃、偽店主がハッピースマイルで戻ってきた。おかわりされたことが大変嬉しかったようだった。
2杯目の杯を『お客様』の前に置いたところで、偽店主から何かが消え去った。それをケルベロスたちは感覚した。恐らく彼は塩カキ氷の好評に満足して、力が弱まったのだ。
つまり、もう我慢する必要はない。
死にかけていた総一郎はすくっと立ち上がり、2杯目を掴み上げ。
「テメェいったい人間のどの感覚を使ったらこれが流行るなんて思えんだよ塩分摂取過多で入院一直線コース確定だろうがお前の脳みそは塩漬けでもされてんのかこの塩発想野郎!」
どぱーんとカキ氷を投げつける。偽店主はその暴挙に目を白黒させていた。
「えーと、満足したところ申し訳ない。自分らはケルベロスなんでね、討伐しに来ました」
淡々と述べられたセルリアンの言葉にショックを受けた偽店主は、力の抜けた腕をだらりと落とし、やがて、憎憎しいケルベロスたちに対して正体を露にするのだった。
●滅却
あふれ出す敵愾心のままに、偽店主は巨大なモザイクを繰り出し、ゼロアリエに襲いかかる。対してゼロアリエは、その攻撃を防ごうともせずにむしろ破鎧衝で対抗。
「これからが本当のお仕事ってね!」
モザイクに半身を喰らわれようとも、ゼロアリエは尋常ならざるパワーで敵を打突。
「あー、無茶すんねぇ……。治すのもめんどいんだから、控えてほしいわぁー」
「大丈夫大丈夫、やばくなったら自分で治すしね!」
あっけらかんと受け流すゼロアリエに、恭也のジョブレスオーラが飛ぶ。更に前衛にはレイヴンの紙兵散布の恩恵が振り撒かれ、敵の攻撃に対する予防策を張り巡らす。いきなり偽店主と戦っていたなら、その予防を上回る攻めを受けていたかもしれないが、弱体化した状態なら充分に足りるものと言えた。
「では、私なりの礼をしようか。いい加減もう完全に消滅させたい気分だ」
散々塩を舐めさせられたに等しい屈辱に、エラーの自己制御は限界に達している。何も言わせぬ気迫でウイルスカプセルを射出。敵の回復の妨害処理を施した。
「弱くさえなれば怖くない。って事でいくぞーっ!」
目前で蠢くドリームイーターへ、ルリカは味わったやるせなさを倍返しで叩きつけるように、黒き槍を力いっぱいに刺突。肩口を深々と抉ると、声ともとれぬ叫びが偽店主の口から上がった。
そのまま傷の痛みで暴れるように、偽店主はモザイクの塊を四方に飛び散らせる。その投射はドラゴニックミラージュを放とうとしていたセルリアンに及ぶが、彼に衝突する前に可憐なる障壁に阻まれた。
「私の前で、傷つけさせはしません」
「んー、ありがとね」
セルリアンをその身で庇いたてたカノンは、そのまま彼とともにドラゴニックミラージュを放出。
現れ出でた2匹の幻影が交錯するように螺旋を描き、敵を猛火の中に巻きこむ。影が去ると、偽店主には身を焼かれた損傷がありありと見て取れた。
「よっし、さっさと滅ぼすに限る!」
跳躍一閃、畳みかける好機に総一郎は旋刃脚で切りこんでいった。横っ腹を猛烈な勢いで蹴り抜かれて悶絶する偽店主。すぐさまモザイクでの修復が行われるが、攻撃の手を緩めたことで逆にケルベロスたちの猛攻に遭う。
左眼の地獄が燃え上がる。レイヴンはその炎を弾に込め、偽店主の心臓めがけて撃ちこんだ。炎弾が敵の体を縛るように侵食していくと、追撃に振るわれたルリカの『返り花』が無情にその生命を簒奪。
前傾したモザイクの体を、総一郎の渾身の掌底が抉るように命中して突き上げる。塩の恨みは根が深い、この程度で寝かせるわけにはいかない。
「ハチの巣にしてやんよオラァ!」
雨のごとく散らされる恭也のガトリング。それに合わせて接近したセルリアンは眩い雷光の刃を薙いで、敵のモザイクを容赦もなく粉砕。
「私は撫子、冷たい撫子。名前は教えてあげないわ」
静かなる詠唱で魂を繋ぎ、カノンは氷の花で敵を包むと、一息に破砕。身を切るような凍気がその場に満ちたところで、淡い赤紫は音もなく散っていった。
凍結したように動きを止めた偽店主に、最後に真っ向突っこんだのはゼロアリエだ。
「一瞬で終わらせてあげるね」
閃光、一筋。疾走の一撃は敵の胸に貫く。
武器を抜く。ドリームイーターはモザイクを霧散させ、また何事かを叫びながら儚くも消えていった。
●口直し
潰れた店ではあったが、壊したままでは忍びない。ということでカノンとレイヴンは黙々と店内修復作業。ところどころ幻想的に様変わりし、以前よりは客が来そうな雰囲気かもしれない。
目覚めた店主は、ケルベロスらによって軽い説教タイムに突入中です。
「単なる塩味って食べてみればわかるけどけっこうキツいよ? それよりかはシロップに塩追加するとかの方が客受けはいいと思う」
セルリアンは理知的にダメ出しをして。
「お店に普通のカキ氷も置けばいいのに。他に比較対象があるから輝くんだ、こういうのは!」
ゼロアリエがメニューの乏しさを指摘し。
「客が喜びそうなアイデアを捻ってみるってのも一つの手じゃねーかな。塩と何かを組み合わせるとかしたらさ、なんかいい感じのモン出来たりするんじゃね? あと心機一転して場所変えてみるとかどうよ?」
恭也は経営者としての姿勢と、立地の重要性を説き。
「塩をふりかけたソフトクリーム屋を始めようとか言うなよ。その場合、テメェに商売をする資格はねェ!!」
総一郎は普通に怒って凄んで。
「塩味のかき氷発想がとても面白かった。不味い。最悪だ」
エラーはダイナミックにアゲて落としていた。
食べていた最中に溜まっていた色々を発散し、ケルベロスたちは「……返す言葉もありません」と土下座する店主の見送りを受け、狭苦しい店から気持ちよく退出。あれだけ言えば、少しは客のことを考えた商売をしてくれるだろう。そう祈りたかった。
「ねえねえ、これから皆でまともなかき氷食べに行こうよ。巨大パフェを皆でつつくのとかでもいいよね」
クッソ不味いカキ氷の口直し。ルリカの提案に異議を唱える者など一行の中にはいるわけもなく、皆は意気揚々と『普通のカキ氷』を食べに向かったそうだ。
作者:星垣えん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年7月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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