男性は深く溜息をついた。
店内を見回せば、本棚に詰まった絵本や児童書の数々が目に映る。いずれも彼が厳選して取り揃えたものばかりだ。それも明日には返品を始めなければならない。
「……はぁ、何が悪かったんだろうな」
絵本と児童書の専門書店として開いたのが間違いだったのか。大型書店やコンビニがが台頭する中、小さな書店では生き残ることが難しかいのか。少し入り組んだ裏路地のような場所に店を開いたのが悪かったのか。
いずれにせよ、彼の店『栗坊書店』は本日をもって閉店する。
「……脱サラしてようやく夢を叶えたってのに1年しか持たなかったのか」
立ち上がって近くの本棚に歩み寄る。
目についた本を手に取り、ぱらりとページをめくれば優しいタッチの絵が飛び込んできた。同時にどんな話だったかが思い浮かび――自ずと涙が零れ出す。
「もっと大好きな本を手に取って貰いたかったんだけどなあ……」
「良い後悔です」
後ろから声が聞こえてきて男性が振り向くと、赤い髪の女性が目に入り、何かが左胸へと突き刺さる感触が襲ってきた。視線を下げれば、心臓のある部分に女性が何かを突き刺している。鍵のようにも見えるそれを視認すると男性の意識は失われていった。
「私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『後悔』を奪わせてもらいました」
女性は崩れ落ちていく男性を見つめ、その横に新たな人影が現れると口元を緩める。
現れたのはエプロンを着けた人の良さそうな男性。手に持っているいくつもの本から容易に書店員であることが見て取れそうである。ただし、エプロンに隠れた胸の部分には大きくモザイクが掛かっているのだが……。
「皆様は絵本や児童書はお好きですか?」
テッサ・バーグソン(シャドウエルフのヘリオライダー・en0130)は集まったケルベロスたちにまずそう質問した。
「いつか自分の店を持ちたいという夢はよく聞きますが、その夢を叶えたのに店が潰れてしまって後悔してしまっている人がドリームイーターに襲われて、その『後悔』を奪われてしまう事件が起こってしまったようですの」
被害に遭ったのは岡一誠(おか・いっせい)という30代後半の男性で、絵本や児童書だけを置いた書店を営んでいた。
「私も児童文学はよく読みますので閉店されてしまったのはとても残念ですの……」
ゆっくりと店内を見て回りたかったのにと続けてから、慌てて説明に戻る。
「岡様から『後悔』を奪ったドリームイーターは既に姿を消しているようですが、奪われた『後悔』を元にして現実化したドリームイーターが事件を起こそうとしていますの」
現れたドリームイーターによる被害が出る前に、これを撃破して欲しいというわけだ。 このドリームイーターを倒す事ができれば、『後悔』を奪われてしまった被害者も目を覚ますことだろう。
「それでそのドリームイーターなのですが、近付いてきた人をお客様として店の中に引き入れて強制的にサービスを与えて殺すような行動を取るようですの」
受けたサービスを心の底から嬉しがった場合には見逃してもらえることもあるようだが、少しでも嫌な顔をすればすぐさまその牙を剥くだろう。
「皆様にはまず客としてお店に入ってもらいたいのですの。というのもサービスを受けてそれを心から楽しめば、ドリームイーターは満足して戦闘力が減少するようですの」
テッサの最初の質問はこれを意味していたようだ。もちろん、店に乗り込んでいきなり戦闘を仕掛けることも可能だが、その場合はそれなりの強敵と戦うことになるだろ。
「ドリームイーターの使うグラビティは3つです。モザイク化した声を飛ばす読み聞かせ、モザイク化した紙で包み込むラッピング、モザイク化した本にトラウマを映し出してそれを具現化し襲わせるお勧めの一冊ですの。詳しい効果についてはメモに書いておきましたので後で目を通してくださいの」
言って、テッサはそのメモを手渡す。
「後悔を奪われてしまった岡様のためにもドリームイーターを倒して事件を解決してくださいの。あと、岡様はバックヤードに倒れているようですの。もし事件を解決した後に余裕があれば様子を見てあげてくださいの」
参加者 | |
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古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248) |
チェレスタ・ロスヴァイセ(白花の歌姫・e06614) |
彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456) |
白森・陽(元野生児のエルフ侍・e14913) |
花守・すみれ(菫舞・e15052) |
メリッサ・ルゥ(メルティウィッチ・e16691) |
ナハト・オルクス(死霊と眠る・e21881) |
チャロット・ファイブシーズ(尻尾がパタパタ・e28231) |
●
彼方・悠乃(永遠のひとかけら・e07456)が小さく溜息を漏らした。
彼女の瞳には目的の『栗坊書店』が映っている。入るためにオリジナルグラビティ使おうかと思案するも、冷静に考えればこれが難しい。
(「あまり長く持たないことを考えると、使うのは危険ですね」)
状況を整理してそう結論づけると、
「……それにしても、後悔、なんて。しないほうが、よいに決まっているでしょうに」
ナハト・オルクス(死霊と眠る・e21881)の独白が耳に届いた。彼の視線は店の前に立つ人物……いや、人を模したドリームイーターに注がれている。
温和な表情で呼び込みを続けるドリームイーター。
それを生み出したものに感情を抱きながら、ただ……惨い、とつぶやいた。
店の前にチェレスタ・ロスヴァイセ(白花の歌姫・e06614)とメリッサ・ルゥ(メルティウィッチ・e16691)が立った。まずは彼女たち2人が誘われるままに入店。
すると、中を見てメリッサから感嘆の声が漏れた。目に飛び込んできたのは鮮やかな色彩の本たち、次いで鼻腔をくすぐる本の香り。店内はそう広くはなく、通路の間隔は大きく取られ、子供たちが手に取りやすいように本棚は低く抑えられている。そのため、蔵書の量は多くはない。けれども限られたスペースを上手く活かして並べられた本と、床や壁を彩る手書きのキャラクターたちが自然と心をわくわくさせてくれる。
「私は子供の頃から絵本やおとぎ話をよく読んでて、今でも大好きなんです」
「そうなんですか、私も――」
メリッサがドリームイーターと和やかに話し始め、チェレスタはそれを確認してからゆっくりと店内を見て回りだす。
(「こんなに素敵なお店なのに閉店しちゃうなんて……好きなだけではやっていけないのが商売とはいえ、何だか悲しいです」)
物思いにふけりながら、チェレスタは目についた本をそっと引き出した。陳列された本は適度な間隔が取られ、これだけでも店主が本を大事にしていることがうかがえる。
(「力になってあげたい。でもその前に、彼の心を奪った『怪物』を倒さなくては……!」)
視線をドリームイーターに戻せば、話はまだ続いていた。
「私、森が舞台になってる絵本が大好きで、素敵な作品を探してるんです。だからぜひ、店長さんのオススメを教えてほしいなって」
「それではこれなんていかがでしょう」
メリッサの要望を受けて出てきたのは緑豊かな森に多くの動物たちが描かれた児童書。受け取ってぺらぺらとめくれば、興奮した声がこぼれ出す。
「わぁわぁ! この挿絵、色合いがとっても綺麗。なんだか幸せな気持ちになれます」
はしゃぎながら感想を言うメリッサにドリームイーターが目を細める。
チェレスタはそれを見て従兄が経営してるカフェ併設の菓子屋を思い浮かべた。そして肩の力を抜くと、自らも楽しもうと近くにあった本を開く。こうして2人が夢中になり始めた頃、白森・陽(元野生児のエルフ侍・e14913)が店に入ってきた。
「ごめんくださいでござる……」
声を掛けながら目に飛び込んできた本に少し物怖じする。本にあまり馴染みがないために不安が先に出たのだ。だが、ドリームイーターが近づいて来ると意を決して、自らの事情を説明し、読みやすい本を、侍とか忍者とかが出てくる本を教えて欲しい旨を伝える。
「分かりました。それではご案内しましょう」
案内された棚から取り出される数冊の本、児童書だけでなく絵本も混ざっている。表紙には侍や忍者のキャラクターたちが、中には動物の忍者や、野菜の侍まである。
陽はそれに困惑と不安を浮かべながら表紙をめくる。試しに絵本を1冊読み終えると、次は歴史系冒険物の児童書を手に取る。ページが進むごとに周りのことが気にならなくなり、徐々に物語の世界へとのめり込んで行った。
そうしているうちに、チャロット・ファイブシーズ(尻尾がパタパタ・e28231)も入店。
「冒険ものの絵本が大好き! 主人公がピンチを乗り越えて、悪いやつやっつけて成長していくお話、ないかな?」
歩み寄ってきたドリームイーターに求めているものを元気良く伝えると絵本が好きが伝わったのか、口元を僅かに綻ばせながら案内が始まった。案内するドリームイーターの口は軽く、チャロットもそれに応える形で自分のことを語り出す。
「私、つい最近まで文字が読めなかったんだ。大好きな絵本でずいぶんたくさん文字を覚えたよ」
うんうん、とうなずきながらドリームイーターは1冊の絵本を取り出した。それはただの絵本というには厚く、何らかの仕掛けがありそうだ。
目を輝かせながらチャロットが本を開くと、西洋のお城が飛び出した。そう、これは『とびだす絵本』。どきどきとわくわくに胸を高鳴らせてチャロットはお話の世界に飛び込んでいく。主人公の冒険に一喜一憂し、主人公の言葉を心の中で声に出す。
――どんなにつらくても、のりこえてつよくなる! まけるもんか! と。
主人公になりきって、あっという間に過ぎていく時間。
本を閉じて読了感に浸りつつ、チャロットは本からドリームイーターに視線を移した。もっとも脳裏に浮かんだのは後悔を奪われた店主のことで。
(「もっと、絵本で子供たちに夢を与えたかったとか、大人が忘れてしまった物を取り戻してほしかったとか、考えてるのかな」)
元気づけてあげたいと思ったところへ、今度は古鐘・るり(安楽椅子の魔女・e01248)と、花守・すみれ(菫舞・e15052)が入ってきた。
すみれは早速、本棚に近づくと並んでいる本を順に目で追っていく。賞を取った本やベストセラーに混じって、児童書が大好きな彼女ですら知らない本も混ざっていた。試しに棚から抜き出すと、ノスタルジックを醸し出す優しい表紙絵が目に映る。
(「読んでみたいけど、止まらなさそう……」)
自らの好きな奥の深いファンタジーを予感させる本に葛藤しながらも一旦は棚に戻す。先を急ぐように読んでしまいそうな予感にかられたのだ。後ろ髪引かれながらも後で買おうと心に決めて、まずはドリームイーターに声を掛ける。
「すいません、プレゼント用の絵本を探してるんですけど」
次いで贈る人のことを伝える。つい最近告白しあったばかりの相手で、ずっと一緒にいようねって想いを込めて絵本を贈りたいのだと。ドリームイーターはそれに笑顔と賛辞で応えると、望みに叶いそうな本を集め出した。
(「こういう想いをこめた贈り物って、大人の本だと恥ずかしくてできないんだよね」)
集めてくれた本に触れて質感を確かめると、すみれはじっくりと吟味を始めた。
一方、案内を終えたドリームイーターには、るりが話し掛けている。
「探偵が活躍する本はあるかしら? それか……何か発見や驚きがある本」
プレゼントに使うことを説明して、贈る人のことも捕捉する。
「私と同じくらいの年齢なのだけど、私と違って本当に年相応の女の子よ。探偵ごっこにいつもルーペを持ってうろちょろしてるから、本でも贈れば静かに読んでくれるかなって」
要望が具体的なだけに合致する本は直ぐに見つかった。元々、ミステリーのような題材を扱った児童書がたくさんあることも要因であろう。
「それと私にも何かお勧めしてもらえないかしら? 貴方の今一番の一冊を」
「私のですか?」
「ええ、是非。店内を見せてもらったけど素敵なお店だったわ。だから貴方の好きな本を読んでみたいの。それに好みはあるけど、どんな本でも読むから」
「……そうですか?」
変わった要望にドリームイーターは躊躇いながらも1冊の絵本を手渡す。少しでも店主のことを理解しようという試みであるが、ある意味でそれは不要だったかもしれない。この店そのものに彼の様々な想いが散りばめられている。
るりは本を読みながらそれを再認識し、少し前に入店したナハトも同じことを感じ取った。ゆえにドリームイーターが近づいてくると本心から頼みごとを始める。
「……未だ、産まれてもいない子では、あるのですが」
ナハトの前置きに何かを感じ取ったのか、ドリームイーターが居住まいを正す。
それを見て、ナハトも少し表情を和らげてから言葉を続けた。
「妻が、胎教によいだろうと、云っておりまして。あの子が、成長しても、長く愛してくれるような。そんな本を、いくつか。教えて、頂けませんか」
最後に「……是非」と頼み込むとドリームイーターは最善を尽くしますと告げて案内に入った。多くの時間を使い、ドリームイーターと共に選び取ったのはすべての母と子に贈る絵本。ようやく希望に添えるもの提示できたことにドリームイーターから安堵の息が漏れたところに、最後に来店した悠乃が声を掛けた。
「おばあさんのお家にあった絵本が欲しいのですが」
そう言ってから、題名も作者も主人公の名も覚えておらず、大まかなストーリーと楽しかった思い出だけが残っていることを説明する。
「分かりました。お役に立てるかどうかは分かりませんが、協力させてください」
思い出しながらなのでとりとめもないところもあったが、ドリームイーターはその都度いくつかのタイトルを挙げたり、本を実際に持ってきた。そうして、10を超えたところで、見覚えのある表紙が悠乃の目に映り込む。
「これ……」
ページをいつくかめくるうちに色あせていた記憶が色彩を取り戻していく。
「これです、ありがとうございます」
悠乃が本を大事に抱えて礼を言うと、ドリームイーターは小さくうなずきを返した。
こうして全員が本を選び終えたところで各々がレジに向かう。
●
会計を終えると共にケルベロスたちの雰囲気が一変し、緊迫した空気が流れ出す。
次いでドリームイーターの耳に囁き声が届いた。
「墜ちよ、果てよ。――夢を視ろ」
慌てて振り返れば、そこには眼鏡を掛けたナハトの姿があり、耳には先ほどの囁きが祝詞として、また呪言として残り、ドリームイーターを苦しめる。
それが開戦の合図。
「この一閃には火が宿るでござる」
陽が懐に飛び込み、火が弧を描いてドリームイーターを切り裂く。目にも留まらぬ速さで放たれた居合によるものだと気づく間もなく、ドリームイーターは仰け反りながら苦し紛れに前面へ包装紙を広げる。
素早くナハトと陽が飛び退り、代わりにレジ台が綺麗にラッピングされた。
「だいぶ弱体化しているみたいね。これなら本はなるべく傷付けずに行けるわ」
「そうですね。こんな素敵なお店はできるだけ傷つたくはありませんから」
るりがドリームイーターの動きを止めようと魔法の光線を放ち、チェレスタが前衛に雷の壁を展開して敵の攻撃に備える。するとそれを突き抜けてメリッサが飛び出した。エアシューズを駆って間合いを詰めるとダンスのように身を翻して跳躍する。
「手早く終わらせます」
流星の煌めきを残して飛び蹴りが炸裂。
ドリームイーターは大きくノックバックしながらもモザイクの掛かった声を出してケルベロスたちの前衛を襲う。雷の壁がそれを阻み、攻撃に耐えるとケルベロスたちはすぐさま反撃を開始。勢いに押されて追い詰められていくドリームイーター、その姿にチャロットは元になった店主の姿を想像する。
(「『後悔』って大事なことだと思うな。あの絵本の勇者だって、つらいことを力に変えて乗り越えて強くなったよ。岡さんも、後悔いっぱいみたいだけど、立ち直ってくれるよね」)
絵本が大好きなば、きっと。
ゆえに今はドリームイーターを倒すべく仲間の支援に全力を尽くす。
その献身の後押しを受けて悠乃が正面から飛び込んだ。擦れ違いざまに急所を切り裂けば、ドリームイーターの体勢が崩れ、狙いすました一撃がそこを突く。
「たった一輪、手折るのならば、選び選びて、花手折れ」
咲き乱れる花の一輪をも的確に斬るすみれの刀剣術を受けて、ドリームイーターはそのまま床に崩れ落ちると、宙に溶けるように消えていった。
●
粗方の修理終えてからケルベロスたちはバックヤードへと移動した。そこには倒れている店主の姿があり、チャロットが心配して近づくと物音で目を覚ました。
「岡さん、気がついた? よかった!」
「えっと……あなたたちは?」
混乱させないように状況を説明すると、店主は表情を曇らせる。
「……月並みですが、貴方のしてきた事には、意味があります」
それにナハトが声を掛けると、店主が見返してきた。
「貴方の愛したものを、同じように愛した人が、必ず居る。……それだけは、確かです」
「そうでしょうか?」
「そうですよ。それにお店の本、店長さんから大事に想ってもらえてきっと喜んでますね」
メリッサが後を継いで励ましの言葉を。
「私は岡さんと栗坊書店を応援します」
「同じ絵本好きとして、出来ればお店を続けてほしいけれど、それが難しくても、絵本のことを嫌いになったり夢を諦めたりしないでください」
次に声を掛けたのは悠乃とチェレスタだ。
悠乃は児童層向け商品の難しさを説明しつつも、それが子供たちのためにとても大切なものであることを告げて、だからこそ応援していると。
「すぐに再起はできないかもしれないけど、でも、それでも。子供たちは私達が守るべき未来そのものなのですから」
「何かあったら相談に乗ります。だから頑張ってください」
チェレスタもプリンセスモードを用いて、店主の勇気を喚起する。励まそうと手を取れば、僅かながらも笑みを返してくれた。
こうして店主の消沈が晴れたところで、るりがビジネスとして失敗した部分を指摘する。
「……私が一年に何冊の絵本を買うと思う? でも、毎日のケーキと紅茶、それに気に入った本は買って帰ってもいいとしたら……売り上げはいくら?」
「ええと、そういうのは考えてもみなかった」
「……貴方に必要なのは経営的な発想よ」
「それならレストランで絵本が読める空間にするとか、インターネットで絵本探している人にアドバイスしてみるとかも良いかもしれないでござる」
陽もこういうのはどうだろうと提案してみる。
「それに接客はすごい良かったでござる。ありがとうでござるよ」
次いで感謝の言葉を伝えると、照れくさそうな表情が見え、
「皆さんありがとうございます。もう私は大丈夫です」
店主は深く頭を下げた。
「児童書が好きな気持ちは間違いじゃないから。どうか、その気持ちを大事にしてね」
最後にすみれがそう締めくくると、しっかりした声で「はい」と答えが返ってきた。
もう大丈夫だろう。
というわけで、
「……それで、さっきの本以外にもほしい本があるんだけど、見繕っていただけますか!」
すみれがそう言ったのを皮切りに再び絵本と児童書を巡っての物語が始まる。
そう、これがきっとプロローグ。
祝福するかのように明るい声が栗坊書店に響き出した――。
作者:キジトラ |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年7月31日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 7/キャラが大事にされていた 2
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