空飛ぶティーカップ

作者:baron

「わー凄い凄い! 川をさかのぼってる~」
 少年と言うにはまだ小さな子供が、ティーカップの舟に乗って川を登ります。
 手には団扇が合って、ソレを仰ぐと風がティーカップを上流に運びます。
「今度は滝だ! いっぱいあおがなきゃ、パタパタパタ!」
 子供は必死に団扇をあおぎます。
 顔を真っ赤にしてフーフー言いながらあおぎました。
 そして、ついには滝を登り切り、空に飛び出したのです!

 と、まあ、そんな事が現実に起きる訳は無い。
「なんだ、夢だったの? 続きが見たかっ……お姉ちゃんだれ?」
『私? 私は私よ。でも素敵な夢ね』
 子供が見ていたのは夢であった。
 飛び起きた子供がガッカリしそうになったとき、そこに不思議な少女が居た。
 あまりに驚いたので、子供は自分の頬をつねったくらいだ。
『私のモザイクは晴れないけれど、あなたの『驚き』はとても新鮮で楽しかったわ』
 少女は手にした鍵を子供の胸に突き立て、クスリと笑うと夢を抜きだした。
 ソレは空を飛ぶ、夢のようなティーカップである。
 その片隅で夢を抜きだされた子供の体が、別途に崩れ去るのが見えた……。


「子供は整合性の無い夢を見ることがあります。理屈は抜きにして、ビックリすると飛び起きる事もあるとか」
 セリカ・リュミエールは過去を思い出しながら話し始めた。
 何年前のことかはこの際、十光年先に置いておいて、その頃はセリカも小さな少女だったのだろう。
「そのビックリする夢を見た子供が、ドリームイーターに襲われ、その『驚き』を奪われてしまう事件が起こります。『驚き』を奪ったドリームイーターは既に姿を消しているようですが、奪われた『驚き』を元にして現実化したドリームイーターが、事件を起こそうとしているようですね」
 そこまで口にして、セリカは全員が話を理解するのを待った。
 ようするに、現われたドリームイーターによる被害が出る前に、このドリームイーターを撃破して欲しいと言う事だろう。
 これまでの夢を奪われた者の例からも、倒さねば眼を覚まさないとのことなので、放ってはおけまい。
「敵は一体。ドリームイーターが現れるのは、夜の市街地で、初動で抑えることが可能な為、被害者の家のご近所となります。性質的にドリームイーターは、相手を驚かせたくてしょうがないようなので、付近を歩いているだけで、向こうからやってきて、驚かせようとしてくるでしょう」
 セリカはメモ用紙を用意すると、近所の地形を簡単に描き始めた。
 まずは戦場と成りそうな大きな通り、そして近くにある特徴的な建物を列記して行く。
「敵の姿と攻撃手段ですが、空を飛ぶティーカップです。水流を叩きつけて空を飛んだり足元を浚って平静を奪い、あるいは水の霧で幻覚をかけ催眠をかけてきますが……基本的にはドリームイーターが良く使うグラビティのアレンジでしかないようです」
 基本的には、良く見られるドリームイーターを子供の夢を核に作りだしたようである。
 異様な外見で驚くかもしれないが、いつもと同じだと心掛ければ、それほど問題ではないだろう。
「このドリームイーターは、自分の驚きや愉しみが通じなかった相手を優先的に狙ってくるようですので、この性質をうまく利用すれば有利に戦えるかもしれません」
 セリカはそう言うと、簡素にではあるがメモ帳に敵の外見を描き始めた。
 空を飛ぶティーカップ……少しシュールというか、出来の悪い遊園地に見えなくもない。
「子供の無邪気な夢を奪って、ドリームイーターを作るなんて許せません。被害者の子供が、再び目を覚ませるように、ドリームイーターを倒して、事件を解決させてあげてください」
 セリカはそう言って話を締めくくると、一同の邪魔にならないように資料を渡して出発の準備に向かった。


参加者
ユージン・イークル(煌めく流星・e00277)
芥川・辰乃(終われない物語・e00816)
天司・雲雀(箱の鳥は蒼に恋する・e00981)
ベルノルト・アンカー(傾灰の器・e01944)
ダンテ・アリギエーリ(世世の鎖・e03154)
板餅・えにか(萌え群れの頭目・e07179)
笹ヶ根・鐐(白壁の護熊・e10049)
カシオペア・ネレイス(万能冥途・e23468)

■リプレイ


「夢喰い達はどうしてこう、なんというか……彼らの行動原理は分からんねぇ」
「ああ。今回の『驚き』を奪うというドリームイーターの暗躍ですね……」
 マッチ一本火事の元、夜回りしつつ町巡り。
 笹ヶ根・鐐(白壁の護熊・e10049)の漏らす苦笑に、カシオペア・ネレイス(万能冥途・e23468)は頷いた。
 そしてカシオペアは手にしたランタンを、少し上に掲げ、男が作業を終えるのを見守る。
「欠如を埋めたい想い自体は理解できなくもないんだがね。もっとやりようがあるだろうに」
 鐐は警戒用の看板を地面に深く突き刺した。
 彼が手にした看板には、『ケルベロス行動中、近づかぬこと』と記載されている。
 それを巨漢のウェアライダーがやっているのだから、なんとも圧巻だ。
 いや、白熊種だから、森の中で少女を助けるクマの唄を思い出した者も居るだろうか?
「子供の将来性にも関わる夢を奪うとは、いただけませんね。一刻も早く子供を目覚めさせてあげましょうか。みんなで力を合わせれば直ぐでしょう」
 だがここは森ではないし、守られるべきは未来ある少年だ。
 カシオペアはカツカツと規則正しい足音に、別の場所で作業していた仲間達の到着を感じた。

 灯りをそちらに向ける前に、優しい光を放つランプの下で、腕時計を確認する所作と声が窺える。
「驚きとは、必要な感情なのでしょうね。子供であれば尚更の事です」
「子供達を育てていく『驚き』は、きっちりお返し頂きましょうか」
 ベルノルト・アンカー(傾灰の器・e01944)は時刻通りに集合したことを確認すると、封鎖用のテープをしまった。
 既に担当の区画は芥川・辰乃(終われない物語・e00816)と共に封鎖し終えており、鐐たち手伝い組が終わっているなら、もはや問題あるまい。
「そちらも予定通りのようですね。ならこれで封鎖終了、ミッションを開始しましょう」
 じゃれついて来る(?)箱竜の棗から逃げるように、ベルノルトは一区切りと成る言葉を吐きだした。
 辰乃はその様子に彼の棗への反応が少しぎくしゃくしてる(?)事を思い出し、自らのサーバントを抱え、今回の件と重ねながら物思いに耽る。
「(驚きは、常に新鮮で。そして喜びや悲嘆、興奮と言った他の感情が伴う、色鮮やかなものです。自ら夢や感情を生み出せないのであれば、それはとても哀しいことですが……)」
 だからといって、略奪を許す理由にはならなかった。
 辰乃は言葉には出さず、奪われた感情を取り戻すべく動き出したのである。

 その時、どこかで小さな音が聞こえた。
 最初に遠くで、次に僅かばかりの近さで。
「おや、どこか物音がするよ! シュパッパって、スプレーみたいな、噴水みたいな音だね♪」
 ユージン・イークル(煌めく流星・e00277)はほっと溜息をつきながら、判り易い音がした事に感謝する。
 とはいえ変な所から急に出てきても困るので、警戒だけは怠らないようにゆっくりと歩き出した。
 出て来た霧におっかなビックリ? 元気、勇気……うん、尻尾を立てて居よう♪
 ビクビクしてる尻尾が目立たないように、コートの中でユージンは出来るだけ雄々しく逞しく尻尾を立てた。
「夜ったって今日は静かじゃないですか。ここは市街地ですよ、なんか驚くようなことないですかね」
 都会の様な不夜城ほどではないが、町中なのに、今夜はどこか物寂しい。
 板餅・えにか(萌え群れの頭目・e07179)はその理由を知りながら、平然とスキップを踏む。
 既に仲間達が人払いした道である、他に脅かすような対象が居るはずもない。
 ドリームイーターが狙うとしたら、待ち構える狼……いやケルベロスしかいないのだ。
「でも、迷いない歩き方は凄く輝いてるねっ。もう道を覚えてるの?」
「んー~ん。てきとー。迷ったら地図見直すしー」
 仮面の奥に心細さを隠すユージンと違い、えにかは実に心強い。
 名物の煎じ肉(茹でてから塩干しにしたモツ肉)を頬張りつつ、地図をピラピラさせた。
 こういうとき、怖くないんじゃないんだ、てきとーなんだ。とは彼女の友人の言葉である。


 そして一同が予定している場所の近くまで行くと、物音は霧と共に次第に大きくなる。
 パシャリ!
 水音がしたかと思うと、霧を割って空からソレが振って来た!
「まさか、ティーカップが空を飛ぶ時代が来るとは思いませんでした。時期的にもそのまま天の川を泳ぐような勢いですね」
「空飛ぶティーカップか、子供の夢と言うことならば確かにロマン溢れるものだよね」
 屋根の上から降下する敵を見て、カシオペアは驚きと呆れの同居した表情で、ダンテ・アリギエーリ(世世の鎖・e03154)はなるほど感心した。
 遊園地のアトラクションを思わせる動きは、確かに夢に溢れている。
 これを『自力』でやれているなら、それは面白いだろう。
「後ろのアレは団扇を仰ぐ子供と……そのライバルを模しているのかな? 確かにこれは夢の続きだ。……だからこそ、この夢は返してあげないといけないさね」
「気持ち良く空を飛ぶ夢は吉夢だそうですが……ドリームイーターにその夢を奪われては凶夢ですね」
 ダンテがティーカップの後ろを眺めると、子供たちのレリーフが団扇を持っていた。
 軽く驚いたフリをする彼とは対象的に、天司・雲雀(箱の鳥は蒼に恋する・e00981)は表情を隠す為にフードを目深に被る。
 大仰に驚いた様子を見せるタイプでないからだが、他にもユージンなど数人、仲間達が表情を隠していた。
「残念ながら此処は現実、夢はいつか醒めるものです。行きますよ」
 雲雀はグラビティを練り上げて、網の様に組み上げると敵の頭を抑えにかかった。
 ここで抜けられては、せっかくおびき出した甲斐が無い。
 仲間達の先駆けとして、動きを禁ずる呪縛を掛けたのである。
「驚かすのは楽しいよな。だが、死角からなんて定番過ぎる。もうちょっとネタを練らないとなぁ……?」
 鐐はサングラスを肉球でくいっと押し上げつつ、悠然と想定内の出来事に対処する事にした。
 お化け屋敷だと、死角を突くのは当然のことだ。ことさらに驚くまでも無い。
 紙の兵士を真横に並べ、二体の白熊がティーカップを挟みこむ。
「キミらの主人は、確か感情の欠けた魔女達かいな。そいじゃ、無理にでもボクが彼女を驚かせてあげないとイ、イカン。このドリームイーターを華麗に倒す事で、どんな気分ゆうて……どんな気分ってねっ」
 ユージンは少しだけビックリしたものの、なんとか驚きを呑みこんだ。
 仮面に表情を隠し、心の中で、どんな気分どんな気分? と練習してから口に出す。
「驚くほどじゃないさ、むしろその夢、輝いてるねっ☆うんうん、『キミ達とっても、輝いてるねっ! その力、ボクにもっと見せてよ☆』そしたら面白いかも!?」
 そして外した脅かしを煽るように、ダンスしながら星の光をばらまいていった。
「いま、泥水跳ねたわ。おうおうこの店じゃ客のコートにお茶飲ませるんかい?」
 えにかは彼らに続き、驚きを隠すと言うか、どちからというと不機嫌そうな表情を浮かべた。
 そして、やさぐれた言葉を思い付いた端から適当に使いながら、ドスを構えて稲妻の様に踏み込んで行く。
 あ、刀だからドスじゃなくてヤッパだねゴメンごめん。
「……ちょっとね、乗ってみたいなぁと思ったりもしたんだよねぇ」
 言いたい放題、やりたい放題の仲間達を見ながら、ダンテもすかさず初撃を放り込むことにした。
 展開するアームドフォートより、重砲撃を掛ける。
 かくしてティーカップとの戦いは、ここに始まった。


「ええと……とても驚きましたね」
 ベルノルトは棒読みで驚いたフリをした後、カップが放つ水流の根元を狙った。
 陶器を弾く様な軽い音がした後、浅い踏み込みから、深く深く息を吸い込む。
「押し込みます」
「それでは、少しばかりのお手伝いを」
 ベルノルトが二撃目として重力を刃に上乗せしている間に、辰乃は水流に重ねるような爆発を起こした。
 街灯の光を吸って、煌めく水飛沫に、憂鬱な声で話す青年は何を見たのか?
 ただ判るのは、刃を通して打ちこまれるグラビティの重い響きだけである。
「しかし、少しばかり良心回路に悪いですね。食器がこうも打ち鳴らされようとは」
 カシオペアは別の意味で、胸を高鳴らせていた。
 メイドである彼女に取って、食器が舞い、それを打ち砕こうと言う光景はハラハラドキドキを通り越している。
 スペクタクルというよりは、悪夢の類だ。
「しかし、そんな事もいってはおれませんか。とにもかくにも、このドリームイーターを倒さなければ」
 仕方無いのでカシオペアは、早めに決着を付けることにした。
 ライフルを撃ちながら、即座に砲撃の準備に入る。
 砲弾を形成するグラビティが満ちるのを、こんなに遅く感じたことは無い。
「第三の魔女・ケリュネイアは驚きを集めることで、自身のモザイクを晴らすのを目的としているみたいだけれども……そもそも何故……」
 ダンテは横目でカシオペアの様子を見ながら、そんな風に思った。
 人には人それぞれの理由があるものだが、ケリュネイアはどうして驚きの感情が欠けてしまったのか? ソレトモ……。
「まあ、ここで出る答えじゃないか」
 そう呟くと、ダンテは重力の鎖を伸ばし、水霧を振りまくティーカップを抑えつけにかかる。

 敵はファンシーな外見とは言え、その攻撃自体は侮れない。
 現に何人か、攻撃を受けて傷つく者も居る。
「傷の方はどうですか?」
「そこそこかな? まあ、惑わされなかったから、言うほどの事は無いだろう」
 辰乃は鐐の返事を受けて、範囲回復に留めることにした。
 錯乱したり重傷ならば効果の高い技で傷を塞ぐ必要もあるが、幸いにも幻を受けてはいないようだ。
 どっしりとした掌で襲いかかる彼を助けて、もう一度、周囲に援護のグラビティを充満させる。
「この様子なら任せて大丈夫そうですね。流石に敵に惑わされるようであれば、手助けが必要でしょうけど」
 雲雀は治療は専門家に任せることにして、新たな符を取り出し攻撃に専念することにした。
 昼間の暑さを一瞬だけ呼びもどし、水流に対する為に炎の渦を呼び起こす。
「おうおうカップの旦那、夜中に人のシマでブンブン跳んでお茶会たー。つまんねーことやってんじゃねーか!」
 えにかは先ほど放った紙の兵士が濡れて行くのを感じながら、左右の手にグラビティを灯した。
 刃を奮うと空間が裂け始め、元に戻ろうとする作用が、グラビティの悪循環を繰り返す。
 装甲を切り裂くのではなく、勝機を切り裂くように静かに……失礼、賑やかに切り込んだのである


「あいたたっ。夏にピッタリの攻撃だねって、ゴメン。ごめん。あいたた。ジョークやゆうのに、判らんのか」
 ユージンは仲間の代わりにジェット水流のような攻撃を顔面に食らいながら、手で頭を抑えた。
 そして攻撃がやんだところで息を突くと、今度は拳を固めて羽猫のヤードさんと共に逆襲に出る。
 文字どおりの濡れ鼠にだって、なけなしの勇気を振り絞る時が来るのだ!
「治療も終わったので壁を交代しようか。子供さんも気になるし、さっさとケリつけたいし」
「その心に星が輝いてるねっ。んじゃあ、掃除も必要なので、終わらせるとしようか♪」
 そして、鐐が箱竜の明燐と一緒ににゅっと顔を出してきたので、ユージンは頷いて最後の攻撃に掛ることにした。
 既にカップにヒビが沢山入っている状態である、言うほど時間はかからないはずだ。
 まずはユージンが腰を落として飛びかかり、籠手の霊圧を拡げて爪を引っ掛ける。
「お前の産まれに罪は無いのだろうが。せめて苦しみなく、楽しい驚きに満ちた夢に墜ちていけ……!」
 続いて、鐐はカップを抱きしめると、直接重力を叩き込みながら、仲間の攻撃に合わせて放り投げる。

 そこへ次々仲間が殺到し、大攻勢をかけたのである。
 ここからは、トドメの為の攻撃組曲、詠うように踊るように全弾全力でグラビティを叩き込んで行く。
『――火器管制システムチャージ完了。セーフティ解除。全砲門一斉射撃開始します!』
 カシオペアはオーバーヒートするほどエネルギーをチャージし、全ての兵装をフル稼働させた。
 接近しつつ全段射撃、全力全壊で押し込んで行く。
『主よ、誰か、あぁ、誰か私に、愛せるような人を見つけてくれ――』
 ダンテの胸を裂くような絶叫が、内なる葛藤を嵐に変える。
 黒き渇いた風が四方から迫り、カップが作り上げる霧や噴出した水流ごと本体をも断ち切る為に迫る。
「おう、てめえ、回復なかつかってんじゃねえぞ! っていうか、そんな暇は与えねー」
 カフェ好きのえにかさんは、少しだけティーカップの運命を気にした後。
 思いっきり刀を突き刺した。
 悩むのはレイコンマ数秒、後はザクザクと突き刺し放題である。
「全ては元に、無かったことには出来ないけれど……『願い、祈り、決意…全ての想いをのせて流星の如く降り注げ。』明日が来るために今日は終わるのです」
 雲雀は子供の奪われた夢を取り戻すために祈った。
 また明日、愉しい夢が見れますように
 その為に、今日の夢を終わらせる為に流星に祈りを捧げ、天より降り注ぐ矢を降らせる。
「貴方の攻撃は些か、退屈が過ぎます」
 辰乃は最後の一撃に打って出た。
 これ以上、誰も傷つかぬように挑発しながら、靴をトントンとアジャストさせる。
「命を守るのみに非ず。夢を守るのも、私達の仕事ですから」
「これで終わりです。さようなら」
 辰乃が小さな嵐を蹴り込んだ処へ、ベルノルトが今度こそ命脈を絶った。

 水流どころかカップを叩き割り、地面に落ちて砕けた後……消え失せて言ったのである。
「あとは被害者の子供の安否を確認したら撤収ですかね。……まーせいぜいいい夢みやがるといいサ」
 えにかは、砕けていくカップにそう告げると、周囲のヒールに移行した。
「おっそうじお掃除~」
「子供さんは目覚めたかな……?」
 ユージン達は水を掃き修復を終えると、子供の様子を確認に向かった。
 その後に鐐も続き、懐から取り出した酒をあおった後、瓶を掲げて勝利と無事に感謝する。
「それにしても、元々は楽しげな夢だったのですね」
「大人でも子供のような夢も見たいものさね。尤も、あのサイズじゃNGだけれども」
 雲雀の呟きを拾って、ダンテはそう苦笑し子供サイズのカップを思い出した。
 そして一同は帰還の途につき……。
「私も今晩は楽しい夢を見れるでしょうか? 叶うなら恋人との夢を……いえ、夢でなく直接会いに行きましょうか」
 雲雀は起きて居るかな? と祈るように携帯を取り出した。
 今夜も明日も夢にてティーパ-ティ。
 毎日が素敵でありますように。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年7月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 5
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