黙示録騎蝗～負けられぬ力の刃に

■リプレイ

●決死の時
　不退転侵略部隊の侵攻が間近に迫った、岡山県笠岡市。
　大量の人間虐殺を行う事で、失ったグラビティ・チェイン奪取を行おうとしている彼らの討伐依頼を受けたケルベロス達は、町へと急ぐ。
　その道すがらに。
「んー……不退転部隊っすかー。戦争で討ち漏らした相手っすね」
　と、神宮寺・結里花（目指せ大和撫子・e07405）の漏らした言葉に、鳴神・猛（バーニングブレイカー・e01245）と青葉・幽（ロットアウト・e00321）が。
「ええ。さてさて生存競争第二ラウンドの始まりという訳ですね～～」
「そうね……全く、『黙示録？』『騎蝗？』バッカじゃない？カッコつけてるけど結局は弱い者を襲うしか能の無い野党じゃないの。アホボスの顔が見てみたいもんね」
「まぁまぁ、何にせよ破壊されるのも、一般人の恨み買わせるのも最小限に抑えたい所だね～～」
　と、それに河内原・実里（誰かの為のサムズアップ・e06685）が。
「まぁ、何にしても、この事態を放置は出来ないよねぇ。一般人の方達に被害が及ぶなら、尚更のことだよ。でも……本当に彼ら不退転侵略部隊は、死ぬ覚悟の下に居るのかな？」
　と、それに日月・降夜（アキレス俊足・e18747）が。
「んー……どうだろうな。まぁ、少なくとも、彼らが逃げる事は無いという事は間違い無い。それが例え強制的であろうとも、本心からであろうとも……やる事は代わらないさ」
　そして、三人の言葉に続き、フェルナ・トワイライト（黄昏の禁魔術士・e29888）と紅狼・蓮牙（紅茶の人・e04431）、サラ・エクレール（銀雷閃・e05901）らも。
「従う者を選べない事に、同情はする……でも、戦う力を持ってない人達に手を出すのなら容赦はしない……！」
「ええ。相容れぬとはいえ、忠義を尽くす事、それだけは尊敬致します。尤も、特攻を認めぬ事は出来かねますが……それは個人の矜持の差でございましょう」
「不退転の武人としての心意気は、同じ武人として買いたいところではありますが、弱き人々の虐殺は許す訳にはいきません。その心意気に免じて、私達の全力を持って滅ぼさせて頂きましょう」
　そんな仲間達の言葉に、猛が。
「ではでは～～今日も頑張ってお仕事お仕事！！」
　と気合いを入れると共に、ケルベロス達は、笠岡市の駅前へと降り立つのであった。

●不退転の死
　そして、不退転部隊ローカストの居る笠岡市駅前の市街地。
　巨大なクワガタ状した巨大なローカストが……街のど真ん中に現れ、周りに居る一般人達を、次々と捉えて殺し廻るという……悪夢の様な光景が、間もなく始まろうとしている。
「あそこだな。みんな、準備はいいな！」
　と、降夜が叫び、皆頷くと共に、早速サラが殺界形成を発動し、周囲の人々をこの場から引き離し、そして幽がパニックテレパスで。
「逃げるなら今の内、巻き込まれても知らないわよ？」
　と叫びながら、空砲をぶっ放して一般人を逃がしていく。
　そして、直ぐに実里が。
「不退転部隊、ねぇ……僕も騎士として退く事をすれば、守るべきものを守れない。けどね、僕たちは生きる為に退かず戦うんだよ。死ぬ事を前提とする不退転なんて、自殺と代わらない。そんなだから、君たちは負けたんだ。せめてもの手向け、死ぬまでの戦いではなく、生き抜くための戦いを見せて上げる……太陽の騎士団が一振り、笑顔を護る者。河内原・実里、参ります！」
　気合いを込めて構える実里、しかしローカストは、訝しがる表情。
　それに対し、幽が。
「そう。巣穴を焼き払われた間抜けなローカストさん？　弱い者イジメは楽しいかしら？　悔しかったら正々堂々戦って、力を見せてみなさいよ。アタシらケルベロスは逃げも隠れもしないんだからね」
　そして結里花、蓮牙、猛も。
「勇敢なる不退転部隊の勇士よ。私達はケルベロスです。さあ、正々堂々とローカストウォーの続きをやりあいましょう。いざ尋常に、勝負！」
「あなたは武人でしょう？　武人であるのならば、無力な者を相手とせず、我々を敵とされよ」
「そうそう。鳴神不動流、鳴神・猛！　鎮護の役目を果たしに推参！」
　そんなケルベロス達の挑発に、ローカストは睨み付け……そして、注意を引き付けられた様である。
　身を、ケルベロス達の方に向け、角を高速回転させて、敵対する所作を見せる。
　そんなローカストに先陣切って、攻撃を仕掛けるのはサラとフェルナのスナイパー。
　取りあえず、まずは当てる事に集中し、連携した攻撃を始める。
　サラが放つはスターゲイザー、一方フェルナが、ペトリフィケイション。
　足止め、石化の連打を食らわせる一方、降夜は仲間前衛にメタリックバーストで狙アップを追加。
　そして狙いアップで、多少なりとも命中率が上がったクラッシャー。
「肉を切らせて骨を断つ！リミッター……強制解除！」
　と、幽が『デモリッションオーバードライブ』を放つと、蓮牙も。
「鉄式銃闘術、見切れますかな？」
　と、接近し、銃撃……その銃撃の反動を生かして、蹴りをそのローカストの身体正面へと喰らわせていく。
　そして猛、実里も相互に声を掛け合いながら。
「ガリバー、グラストン。彼らの為にもこの力を示そう」
　とその手の武器を構えて、マインドインフィニティ、猛が縛霊撃。
　……そして、仲間達の攻撃一巡の後、最後の最後に動くのが結里花。
「借りるわよ、スノー。抉れ、血染めの白雪！」
　と、気合い込めて放つのはジグザグスラッシュ。
　ジグザグの効果を付与し、一挙にバッドステータスを倍加させていく。
　そして、ケルベロスらの行動一巡し、今度は、ローカストの攻撃のターン。
　その不退転部隊の名に負けぬよう、ケルベロス達に接近し……その角を大きく回転させて、ケルベロスらに斬れ味鋭く攻撃していく。
　強力な一撃と、その不退転の意識は、正しく本物の覚悟。
　その覚悟に負けぬよう、ディフェンダー陣二人が交互に攻撃をカバーリング。
　かなり痛い攻撃ではあるが、ケルベロス達だって、負けられない矜持がある。
　二つの相反する矜持……ローカストは何か、良く解らない言葉と共に、強い意志で攻撃を喰らわせていく。
　……次のターンも、基本的に、ジャマーのジグザグによるバッドステータス倍加を軸に置いて、他の仲間達が様々なバッドステータスを積み重ねていく作戦。
　ただ、流石にダメージも酷くなり、降夜はメタリックバーストから分身の術に行動をシフトして、仲間の体力回復に尽力する。
　そしてサラがクイックドロウ、フェルナがスターゲイザー。更に猛、実里が降魔真拳に、グラビティブレイク。
　そして幽がキャバリアランページ、蓮牙も。
「少々踊っていただきます」
　と制圧射撃にて、その足元を掃射して、動きを止める。
　そして、やはり最後には、結里花のチェーンソー斬りでのジグザグ倍加。
　……その一撃に、何だかチェーンソーの回転音が、少し鈍りつつある。
　更に三ターン目、四ターン目と、ジグザグ倍加は変わる事無く続け、ジリジリとローカストを苦しめ続ける。
　そして……経過する事、十数分。
『ッ……ゥゥ……』
　と、ローカストが片膝から体勢を崩す。
　崩したローカストへ……ケルベロス達は更に接近。
　そして、その角に向けて幽が。
「これがアタシのとっておき。その角、圧し折ってあげる！！」
　と威勢良く声を上げて、接近してのデモリッションオーバードライブ。
　渾身の一撃は……ローカストの角に過大なる負荷を与え……そして、ローカストの角を、ボキリと折りまげる。
　メインの攻撃手段を折り曲げられたローカストは、何か苦しそうな唸りを上げるが……そんなローカストに非情に。
「これにて終焉と致しましょう」
　と恭しく一礼すると共に、CQCワールウィンド。
　銃撃と蹴撃が連打され……そして結里花も。
「迅きこと、雷の如く！！　はためけ！！　雷装天女よ！！」
　と雷装天女を放ち、ホーミングのついた強力な攻撃。
　その一撃が、ローカストの胸元に風穴をこじ開け、胸元を苦しげに掻きむしる。
　そして……フェルナが。
「龍をも弑する閃光の魔弓よ。黄昏の名のもとに命ずる、我に仇なす者に逃れ得ぬ必中の一矢を放て。其は龍をも穿つ絶死の魔弾なり！」
　と、煌魔一閃・告死穿龍の一閃を叩き込むと……ローカストは、絶叫と共に、その身体はその閃光の中に、梅雨と鳴り消えていくのであった。

●怒りの矛に
　そして……どうにか不退転侵略部隊を倒したケルベロス達。
　安堵の息を吐きつつも、不退転侵略部隊の挫けぬ心意気は……正しく、死を覚悟した武人の、威風堂々たるもの。
「いや……中々強力でした。貴方の強さには、敬意を表します」
　と実里はサムズアップすると、それにサラも。
「そうですね……如何に捨て駒にされたとしても、貴方は立派な武人でした」
　と、敬意を表するべく、頭を下げる。
　……そして、ローカストとの戦闘の痕跡が残る周囲を見渡して。
「さて……それじゃ周囲の回復をしないとな」
「そうっすねー。後避難した市民の方達に呼びかけないとっすね。そちらはこっちに任せて欲しいっすよー」
　と、結里花は言いつつ、避難先へと駆けだす。
　そして……周囲で壊れた建物などに、手分けしてヒールを掛けるケルベロス達。
　……と、そんなヒール中に、幽はぽつりと。
「……犠牲になるのは戦う力の無い人達ばっか。あのアホボスには、必ず痛いツケを払わせてやるわ、絶対にね」
　と……怒りと共に、決意。
　……そして、ヒールも終わり、市民の方達も全て戻り、町が日常を取り戻し……そして、帰路へ。
「しかし……なかなかに厄介な相手が残った物ですね。本当の決着は、まだまだ先になりそうです」
　と、蓮牙の言葉に、猛も。
「うんうん～。出て来たのを一つ一つ、しっかりと潰していかないとね～～。さぁ、頑張るよ～」
　と言いながら、えいえいおー、と拳を振り上げるのであった。

作者：幾夜緋琉	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2016年7月29日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 2／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 2
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