
眩しい太陽の光が照りつけじりじりと肌を焼く季節。
そんな時期に行われるのは海開きだ。
「その海開きができない場所があるのです」
そうケルベロスたちに告げたのは千々和・尚樹(ドラゴニアンのヘリオライダー・en0132)だ。
神奈川県の海水浴場の海開きは先週の土曜日だったのだが、ある海水浴場は海開きの直前に海からやってきたデウスエクスたちに防波堤と海の家を壊されてしまったのだという。
場所は横須賀市走水。
「この海水浴場は遠浅の海が特徴なんだそうです」
水は透明度があり、遠浅とうこともあり、海が初めての子どもの海水浴デビューにはもってこいの場所で今年も多くの家族連れの集客を見込んでいたのだという。
「デウスエクスたちがやってきたときは海開き前ということもあり幸い人的被害はありませんでした。しかし、このままではこの夏の営業が危ぶまれてしまします」
海の家はまだ何とかなるが問題は防波堤だった。
防波堤を作り直すとなると大仕事。なのでケルベロスたちのそのヒールをお願いしたいのだという。
「ヒールをお願いしたい場所は防波堤と海の家です。それらのヒールが終われば、その日一日この海水浴場をケルベロスたちに貸し出してくださるそうです」
ヒールの間は人の出入りを制限するため、その日はそのままケルベロスだけのプライベートビーチにしてくれるのだそう。
海の家ではかき氷、カレー、ラーメン、おでん、そしてバーベキューが楽しめるという。
「ヒールをしていただいたお礼ということですので、こちらもぜひ楽しんでください。わかっているとは思いますが未成年の飲酒喫煙はしないようにお願いしますね」
海に入るならば水着は必須だし、浮輪やラッシュガード、日焼け止めなど必要なものは多々あるだろう。
海の家には座敷があり、シャワーも完備されているので、あとは身体を拭くタオルか。
何をしようかと悩んでいるケルベロスたちに尚樹は頷き、ヒールも忘れないでくださいねと呟いた。
「夏休みの子供たちに楽しい思い出を作ってもらえるよう、皆さん、よろしくお願いいたします」
●海の家であなたなりの癒しを!
夏は人を狂わせる……それは澪も例外ではなく、彼女はさくりとかき氷にスプーンを入れた。
すでに9杯目となっているそのかき氷はみるみるうちに無くなっていき、それを確認したビキニエプロン姿のミルディアは手伝いをしている店の奥にかき氷を受け取りに走る。
「はい! おまちどうさま~!」
口も体も冷えてきたが運ばれてきた10杯目のかき氷を前にしても澪は怯まない。
「いただきます」
次々に氷を口の中に運び入れる彼女の頭に、キーンという痛みが走った。
軒先に吊るされている風鈴がちりんと鳴り、昇はそちらに顔を向けた。
開け放たれた窓から見えるのは海や砂浜ではしゃぐ仲間たち。
その光景に誰かを誘えばよかったかとも思うが、こうして一人でゆっくり過ごす時間も楽しいものだ。
外の見える日陰の席で愛は一人、生ビールを傾けていた。
「幸せな一杯ですねぇ……」
言いながら焼き鳥を口に運べば濃いめのタレの味が口の中に広がった。
流れゆく雲を眺めながら愛は冷えたビールを再度口に含んだのだった。
●長屋
どん、と用意された肉は牛一頭分はあるだろうか。
その他にも丸鶏や海鮮類も用意されており、正直6人で食べきれる量なのかと聞きたくなるほどだ。
その食材を前に満足げに頷いているのはソロだ。
「直火で焼いた肉は最高だ! 遊鬼は大義であった!」
受け取った肉を美味しそうに頬張る姿をみれば、遊鬼も腕を奮ったかいがあったというもの。
詰め物をした丸鶏を鉄板に乗せ、同時に自家製厚切りベーコンを焼いていく。
これが終われば定番の焼きそばを焼き、それからチャーハンの流れだ。
手伝ってくれているテレジアに適度に水分を摂るよう促し、自身もアイスティーに口を付ける。
「倒れてしまったら楽しめませんしね」
はい、と返事をしながら飲み物に手を伸ばしたテレジアは、視界の隅のボクスドラゴンにハッと気づき声を上げた。
「コマちゃんは他の人の食べ物とっちゃダメ! 痛いです! 反抗しないでください!」
黒い服に水分不足、そして暴れてことによる体温上昇。
ふらりとよろけたテレジアの体を抱きとめたのはリュートニアだ。
「あ、テレジアさん……!」
冷たい缶ジュースを手渡してぱたぱたとうちわで仰いでやれば、彼女の顔からは徐々に赤みがひいていた。
肉の中に彩を添える野菜を持ってきたのはファルゼンだ。
長ネギに玉ねぎ、人参にじゃがいも。
それプラス、生で食べられて水分補給もできる胡瓜。
全員に配るがファルゼンは決して胡瓜を手に取ろうとはしない。
食べられないという彼女にメリルディの純粋な疑問を口にする。
「ファルゼンのそれって種族的に駄目? それとも家系的?」
「胡瓜を食べるのはヴァルキュリア的禁忌なんだ」
彼女の質問にファルゼンはふぅと息を吐いてまじめな声で受け答えをしたのだった。
●白馬365
(「バーベキューか」)
よーしパパ頑張っちゃうぞー、と思っていたチューマだが、鍋奉行ならぬバーベキュー奉行の宗次郎を始め、自家製タレを持参した涼、料理上手の弥生という完璧な布陣に出番をなくす。
「欧米じゃバーベキューはパパの仕事なんだがな」
とは呟いてみたものの適材適所、彼らの良いところを伸ばしてやるのもパパの役目だ。
「お肉焼けたよー♪ ミア! チューマ! 涼ちゃん! 宗くん! イヴちゃん! かんぱーい♪」
弥生の音頭に6つのジョッキが高く上がる。
ごん、という独特の重たい音が響いた後は乾いた体にアルコールが染み渡るようだ。
その様子を眺めているのはノンアルコールのジョッキを持っているイヴリンだ。
人前でアルコールを飲むのが苦手ではあるものの、ぷはー、と息を吐いているミアをみればごくりと喉が鳴ってしまうのは仕方ない。
その視線に気づいたのだろう、ミアからそっと差し出されたジョッキを受け取り一口だけ、と口につけた。
「……美味し」
「じゃんじゃん飲んで良いっすよ。どんどん用意するっすからね?」
宗次郎は笑い焼きそばを作っていく。
涼は出来上がった焼きおにぎりを各自のお皿に配り、そして隣人にはおまけにもう一つ。
「よーし宗ちゃんたくさん食べろー」
焼きながらも食べなければこの天候だ、体調を崩してしまうだろう。
「弥生、チューマ、りょお、乾杯しよー♪」
それを補うようにミアが3人に声をかけ、再び乾杯の声が上がったのだった。
●星屑の教会
アウレリアに野菜を切るのを任せて、ヴェルトゥは海鮮類の処理を開始していた。
「ヴェルトゥ、貝類は……このまま?」
「うん、それはそのまま」
網の上でじっくり焼けば自然にぱかりと開くのだと説明すれば、彼女は楽しみねと微笑んだ。
徐々に進む準備を見ながら、ラズリアは目を輝かせていた。
経験がないなりに手伝おうとラズリアは炭を手に持ったところでふと気付く。
火はどうやって起こせばいいのだろうか。
「…………ば、バーベキュー奉行様ーっ!」
その叫び声に材料の仕込みをしていたヴェルトゥとその手伝いをしていたアウレリアはびくりと肩を震わせた。
火を付けたグリルの上にイヴェットが材料を乗せていく。
時々焼け具合を確認しながら焼いていけばこんがりと焼目がついて。
「わあ……良い匂い……」
「おや、イヴェットのそれ、上手く焼けてるなあ。おひとつ貰っても?」
「皆さまとご一緒ですと、数倍美味しくて、楽しいですね」
たくさんの笑顔につられイヴェットの顔にも笑みが浮かんだ。
●しばしの休憩。
「黒服の理由も分からんでもないが……本当に好きなのじゃな」
ぽそりと呟いた言葉に何か言ったかと問うセレスティンに何でもないと返し、ステラは食べかけのかき氷を差し出した。
「うん、冷たくて美味しいわ! でもステラ、あなたの髪も日差しが強いととっても眩しいのよ」
「ん? 髪? そんなこというてもこれは父親譲りの自慢の白髪なのじゃ」
堂々と胸を張るステラと眩しい太陽を反射する白髪に、セレスティンは目を細めてくすりと笑みを零したのだった。
前に置かれた野菜焼きそばに目を瞬かせ、兎夜はベルンハルトを見つめる。
「いや、納得されても、心配されることはめったにないから、ね」
草食動物的に、と兎の耳を叩けば彼は少し首を捻り、頷いた。
「まあ、今はこれを美味しく食べるとしよう」
そして嫌じゃなければ海に行かないかと誘うベルンハルトに兎夜はキャベツを齧って答える。
「水に入れないんじゃなくて泳ぐって行為が億劫なだけだよ」
耳が大きくて水が入りやすいというのは今はまだ内緒だ。
「畳のお座敷、風鈴、扇風機……一昔前のものばかりですが、やっぱり風情がありますよぉ」
紫織の言葉にマティアスは辺りを見回した。
「海の家も風情……雪見酒に花見と、日本人は風情を楽しむのが好きなんですね」
興味深げに眺めている彼の金属パーツに手を当てれば火照った体から徐々に熱が抜けていく。
「ひんやりして気持ちいいです……もっと、くっついてていいですか~?」
「はい、どうぞ」
喜ぶ紫織の濡れた髪をマティアスの機械の手が優しく撫でた。
●海を楽しむ!
ケルベロスとして忙しく過ごしている泰地はその生活に文句などない。
困っている人を助ける日々は充実している。しかし時には休みも必要で。
「よし、泳ぐぞ!」
修復作業を終えた泰地は掛け声とともに海に駆け出したのだった。
暑い砂に白い雲、吹く風は海の独特の匂いを連れてやってくる。
「暑い…でも、楽しい…これが海……」
ぽつりと呟いたウフルの横でテレビウムのメイヴンが砂をかき集め始めている。
「ではもっと楽しみましょう」
バケツやスコップを手にした尚樹に、ウフルはひとつ頷いたのだった。
●ベルファミリア
浮輪に座りぷかぷかと、体も意識も波に揺蕩わせていたアラドファルは不穏な言葉に目を開いた。
「バトルロワイヤルを開始します」
ムゲットの声が響けばそこはすぐに戦場に様変わり。
「ゲームね、ムゲット――いいわ、たのしそう」
彼女の言葉に真っ先に反応したのはロビンだ。
「え、アラファドル、しずめる……のか………?」
不安そうに眺めるラウラの肩をロビンは安心させるように叩くと、先ほどからビデオ撮影に勤しんでいるスーツ姿のクリスティアに審判を押し付ける。
「審判ですね、お任せ下さいませっ!」
その声を背後に聞きながらロビンが海の中へと入っていけば、すでに他の面々もアラドファルの浮輪に襲い掛かっていた。
ロビンとムゲットの攻撃を避けた彼はしかし、背後からやってきた響に海の中へと引きずりこまれる。
「……っ、響きまで……
「はっはっはっ、すまんなセタラさん。余りに隙だらけだったからな。」
「ここは男性陣で力を合わせるという発想はないのか……」
「リベンジするなら受けて立つぞー。せっかくの海なんだし、みんなで遊ぼうぜ!」
その響の言葉に一番反応したのはムゲットだ。彼女は小さい子に目がないクリスティアを呼び寄せると、命令を下す。
「言ったわね? 響。普段世話になっているあなたとて容赦はしないわ。クリス、クリスティア。肩車しなさい。馬になりなさい。一緒に畳み掛けるわ」
「はい、喜んでー!!」
白熱する海の中の戦いを眺めながら、ラウラは何かあったときのためにと脳内で心臓マッサージの講習を思い出していたのだった。
●古書堂
「さ、どこからでも掛かっておいで」
ネロのその声にまず動いたのはダリル。
水鉄砲の先をネロに向けていたと思っていたのだが気づけば目の前に彼女の姿はなく、背後から大量の水を浴びる。
「背中ががら空きだぞダリル!」
ざ、と水面を蹴って空に飛びあがったネロの首筋に篝の放った一撃が当たれば、彼女は小さく声を上げた。
「やってくれたな篝、覚悟が出来ての事だろうな?」
「勿論覚悟してるって、仁義無き戦いしよーぜ!」
竜と天使の翼が上空で羽ばたいている。
まさかの空中戦に面喰いつつもダリルも光の翼を展開し、海上に浮き上がった。
(「容赦してくれるでしょうか、してくれるかな…?」)
淡い希望を胸に抱きながら、ダリルはライブル型の水鉄砲を構え直したのだった。
●ウィンテール邸
「やるからには全力で挑ませていただきます!」
「普段は旅団の仲間だが……今日は手加減抜きの真剣勝負だ」
イピナの声に同意するのは同じチームの柚月だ。
その2人に相対するのはヴァルカンとシルの2人。
「遊びとはいえ、私も勝負事には手を抜かない主義だ。シル殿、勝ちに行く!」
「もちろん! ヴァルカンさん頑張ろっ!」
柚月の手から放たれたサーブをシルが柔らかく上げるとネット際のヴァルカンが大きく跳躍し、思い切りスパイクを叩き込む。
そのスパイクはイピナの手に当たることなく砂に落ち、ヴァルカンとシルのチームに点が入った。
思った以上に足がとられて動きづらい。さらに球技経験があまりないことに気づく。
「教えたとおりにやれば、イピナさんならできる。頑張ろう」
「ええ」
力強い柚月の言葉に頷きながら、相手にビーチボールを投げ渡す。
この不安定な足元も鍛錬だと思えばどうということはない。
シルがビーチボールを持ち後ろに下がるのを確認し、イピナは相手からのサーブを待ったのだった。
●【毎戦】
ヒールをし終えた【毎戦】の面々は思い思いに海を楽しんでいた。
しかし海を楽しむ前に気になるのは肌のこと。
色々と気になっていた百合水仙は同じレプリカントである鈴女に質問を投げかけていた。
「夏はやっぱり海だよね~。でも錆び止めの準備も手間だよね。どんなヤツ使ってる?」
「錆止め? 我が肉体はほぼ生身と変わりなし! その分日焼け止めが必要でござるが」
ぷるん、と豊満な肉体を揺らす彼女をうらやましそうに眺めた後、鈴女が瑞樹に呼ばれたのをきっかけに百合水仙も西瓜割りの手伝いへと向かう。
瑞樹が手助けを欲した理由は競争相手の恭介にあった。
どちらかより素敵な砂のお城を作るか競っているのだが、彼にはテレビウムの安田さんがついている。
「大きな安田さんの像を作りますよ!」
と張り切る恭介を見て、瑞樹もバケツをひっくり返したのだった。
レジャーシートの上に西瓜を乗せてやることと言えば西瓜割り。
三番手の樹の手にあるのは京都修学旅行の思い出の一つの木刀だ。
「ちぇすとー」
どことなくやる気のない掛け声ではあったが宵一の的確な誘導により西瓜を割ることに成功していた。
「じゃあ、温まらにうちに配ろう」
紙皿を用意して宵一は割った西瓜を手早く乗せていく。
「じゃ、行くか」
立ち上がった樹が少しそわそわしているのは彼が選んだ水着を着ている人物がいるからか。
2人の背中を見送ったタクティはふっと息を吐くと新たな西瓜に手を伸ばす。
「さて、追加で切っとくかな……確かミミックに渡したは………ミミックさんなんで齧ってんの? 歯形くっきりだよ?」
砂浜の仲間たちを眺めつつ、憂女はぷかぷかと浮いていた。
「ううん、夏……ですね。ほんと気持ちいいです。空も高く綺麗に澄んでますし」
浮輪は使わず立ち泳ぎをする横ではヒメが大きな浮輪に乗りかかるようにしてぷかりと浮かんでいた。
「こうやってのんびり……と言うのも良いわね。水も気持ち良いし」
その隣で大型エビ型フロートに体をほとんど乗せている凛は初めてのヒール参加で緊張をしていたからか、どっと疲れが押し寄せていた。
ゆっくりと青く晴れた空を見上げて息を吐く。
こんな風に皆と一緒に活動したり、寛げるなんて思ってもみなかった。
「嬉しいな」
そう呟けば隣にいたはずのティの姿は消え、海面には彼女が使っていたはずの浮輪だけが取り残されていた。
浮いている3人とはまた別に、ティは海底を目指す。
(「……私はエイになりたい」)
エイはどうやって泳いでいたかと思い出し、ティはうさ耳を動かした。
●海の中の二人
「私が人魚なら貴方は私の王子様? でもハッピーエンドでなくてはね」
シャインは孝太郎の手を取り偶然見つけた珊瑚礁の舞台へ誘う。
水面から入り込む光で銀糸の髪は淡く煌き孝太郎の目を焼いた。
珊瑚礁に集まった魚たちが2人を囲めばそこはおとぎ話の世界。
海中で自由に動くシャインはまるで人魚で、リードされて孝太郎もゆっくりと水中を舞った。
ダンスを終えて水面に浮き上がれば自然と唇が重なって。
「シャイン、愛してるよ」
「……私も好きよ、王子様」
「乗っていいの…?」
大きな浮輪とネムルを交互に見て、シェミアは恐る恐るその浮輪に乗る。
「力入れて割らないでね……?」
その言葉に苦笑しながらネムルは浮輪を引っ張って沖に向かって歩く。
もちろん足が届く範囲でだが。
「乗り心地はいかがですか? お姫様?」
「ふふ……うん、とっても素敵かな……」
ちゃぷちゃぷと波に揺られて笑うシェミアに、ネムルは抱いた感情を見せないよう表情を引き締める。
海の中で彼の尻尾がゆらりと動いた。
「ば、万里くん! 手を離しちゃだめですよっ、絶対ですよっ」
山育ちの一華の手を引き、万里は少し深い場所までやってきていた。
「大丈夫。ちゃんと捕まえてるから沈まないってば」
ひしっとしがみつく彼女を落ち着かせるように声をかけ、浮輪を手渡せば彼女は慌ててその中へ。
これで一安心かと思いきや握った手は離れない。
「やっぱり、万里くんの手が一番安心ですわ」
ふふふと笑う一華に万里は開きかけた口を閉じ、微笑んだのだった。
「海って本当に青いんだね、ほら、けーくんも一緒に泳ごうよっ!」
輝く太陽に青い海、そしてなんといっても蛍子の眩しい笑顔に計都は目を細める。
海は初めてだという彼女は白と青を基調にしたパレオ付きのビキニ姿。
和装も素敵だが水着もよく似合っていると伝えれば彼女は頬を染め照れくさそうに笑ってくれた。
「初めて海に来るのが剣崎さんと一緒で良かった来年も一緒に来れるといいですね!」
そう言って笑った計都の頬に蛍子はキスを送ることを決めたのだった。
光の翼を羽ばたかせ、ヒストリアはアルノルトを空へと引き上げる。
「ここから飛び込もう!」
「えっ、空から海に飛びこむの?」
もちろん怪我をしない高さからだが初めての海でそんな体験をすると想像しただけで胸が脈打つ。
「……付いて来てくれるかな」
「……ヒースが一緒だから大丈夫」
でも手は握っていてほしいという弟の要望に応え、ヒストリアはアルノルトの手を握る。
2人は握り合っている手に力を籠めると、海面に向かって羽ばたいたのだった。
「えと、その……ど、どうかな?」
「すっごくかわいいっ!」
少し俯き気味に出てきた緋音にノルは満面の笑みで答える。
さらされているうなじが目に眩しい。
ノルはラッシュガードを脱ぎ捨てサーフパンツ姿になると恥ずかしがっている緋音の手を取り海に向かって走り出す。
ざばん、と派手な水音を立てて飛び込めば恥ずかしさなどは吹き飛んで、触れ合う肌と肌が温かい。
肌を見せるのが苦手なんてこの体温の前では些細なことで、二人は顔を寄せて笑い合ったのだった。
作者:りん |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2016年7月25日
難度:易しい
参加:64人
結果:成功!
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