
7月7日、七夕の夜。東京上空……。
大きな鍵を手にした『赤い頭巾のドリームイーター』が、ひとり、空を漂っていた。
「綺麗……短冊に込めた人々の願い事が、まるで宝石のよう。
あの輝きが欲しくて、あなたは『モザイクの卵』を降らせたのね。
でも、鎌倉の戦いでこしらえてもらった卵も、あと少ししか残っていないのね。
…………。
いいわ、あなたの夢、私が手伝いましょう。
だって、あなたの夢は、きっと私と同じだから。
だから、残った卵を私に頂戴。
あなたをこの星に呼んであげるわ……ジュエルジグラット」
●
幾つもの願いが集う七夕の日。
その日、日本のどこかでモザイクの卵が動き出した。
『綺麗になれますように』
『たくさんの宝石や着物が欲しい』
『もっとうちのジュエリーが売れますように』
『もっと綺麗になって、目立ちたい』
鳴動する。
命動する。
願いを吸い上げ、想いを吸い上げ。
その中でも判り易く、願いの集大成が結実する。
果実のように、願いが結実するのだ。
『たくさんの宝石や着物が欲しい』
判り易く、他の願いにも直結するソレを核として、モザイクの卵は3mの大きさと成って結実した!
まるで夜の闇を着物に、星々を宝石にしたプラネタリウム。
内側にはモザイクした無数の短冊が取り込まれ、まるでそれは、夜に飾られた七夕飾りのようであった。
星屑を散りばめた、金剛の祭壇がここに出現した。
●
「ドリームイーターが大規模な作戦を行うことが判明した」
ザイフリート王子が静かに説明を始めた。
随分と地球に慣れて来た彼だが、こうして語り始めると、確かに一角の人物であるように思われる。
「多数のケルベロスが予測して調査してくれた事で事前に知る事ができたが、どうやら、ドリームイーターは、鎌倉奪還戦時に失敗した『モザイク落とし』作戦を再び起こそうとしているらしい。そうなれば……」
王子はそこで一度話を切り、一同の理解が追いつくまで待った。
「モザイク落としが行われれば、日本に巨大なモザイクの塊が落下するため、大量のドリームイーターが出現し、日本中が大混乱となる事が予測されている。敵は、残存するモザイクの卵を使用して、日本中の七夕の願いをドリームイーター化し、そのドリームイーターを生贄に捧げる事で、モザイク落としのエネルギー源にしようとしている訳だ」
それはある種の生贄だ。
願いを吸い上げておいて生贄に使うのもどうかと思うが、ドリームイーターとは元よりそんなモノだろう。
口元に苦笑は浮かんでいても、王子の目は笑っていない。
「七夕の願いから生まれたドリームイーターは出現してから7分間で、自動的に消滅し、モザイク落としの儀式のエネルギーに変換されてしまう。皆には面倒を掛けるが、7分以内にドリームイーターを撃破して欲しい」
そう言いながら、王子は敵は動かずに7分待つ為、人的な被害は出ないだろうと告げた。
強いて言うなら、それだけがいつものデウスエクス事件よりマシなのかもしれない。
「敵の外見は、美しい着物と無数の宝石が混合した姿を取っている。3mの和風ドレスの周囲に、各地の装飾品が展開している訳だから無茶苦茶だな。だが油断はできまい。グラビティのたっぷりつまった宝石で切り刻み、あるいは惑わすのだからな」
珍妙な外見でも、グラビティを介して攻撃してくる以上は危険な存在だ。
今回は巻き込まれる人間は居ないが、7分の制限が厄介だろう。
「もし、7分以内に倒せなかったらどうなるんだ?」
「もっともな質問だ。その場合は昇華されて倒せなくなり、約半数程度が討伐に失敗した場合は、モザイク落しが成功してしまうだろうな。だが乾坤一擲には違いあるまい、撃滅に成功すれば、モザイクの卵による事件は起きなくなるだろう」
王子は誰かの質問に答えた後、そう締めくくり皆の理解を待った。
「という訳で、この際は逆転の発想でいくべきだろう。ここで撃滅し、現在起きているモザイクの卵に関する事件を終結させる。精鋭足るケルベロスの戦士ならば完全阻止ですら可能だと私は信じて居る。頼んだぞ」
苦笑いを浮かべて居た王子は、最後に不敵な笑みを浮かべた。
それは願いでも予知でも無く、力強い信頼から来る断言である。
参加者 | |
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![]() 寒島・水月(吾輩は偽善者であるが故に・e00367) |
![]() ローゼマリー・ディマンティウス(デアヘッレラッヘ・e00817) |
![]() 大粟・還(クッキーの人・e02487) |
![]() フィルトリア・フィルトレーゼ(傷だらけの復讐者・e03002) |
![]() シェーロ・ヴェントルーチェ(青空を駈ける疾風・e18122) |
![]() アルテナ・レドフォード(旅好きな剣術使いさん・e19408) |
![]() 神宮寺・純恋(陽だまりに咲く柔らかな紫花・e22273) |
![]() ゴルディエル・グランナッゾ(銀眼王ゴルディエル・e29079) |
●
「ジュエルジグラットって、まさかあいつらの本星自体が馬鹿でかいドリームイーターとかそういう感じなのかな?」
「さて? それはそれで面白そうな案であろうけれどね」
わくわくしながら星空を見上げる少年に、かつて少年であった青年はそっけなく応える。
そっけないと言うのは少し違うか。
宿敵との邂逅と打倒を経て、落ち付いた物の見方が出来るようになったのかもしれない。
「シェーロ君の仮説だと、今回のような事件で呼び寄せたりゲートを拓くと……本筋からズレたな。どんな場合でも良いように備えておくとして、まずは目の前の儀式だ」
「作家先生の言う通り、強そうなドリームイーターよばれるとやばいから絶対に阻止しないとな!」
寒島・水月(吾輩は偽善者であるが故に・e00367)が落ち付いて指差すと、話しかけたシェーロ・ヴェントルーチェ(青空を駈ける疾風・e18122)の方も慌てて準備を始めた。
視界の光景が歪んでいく……。
砂浜にポツンと笹飾りが浮かぶ、奇妙な光景。
その周囲に、ふつ、と幾つもの輝きが点灯し始める。
いずこかより漆黒の帯が雲のように棚引き、光をまとって笹飾りを覆い始めた。
「これはまた妙な外見ですね」
「空に浮かぶ宝石をまとったドリームイーターですか……」
大粟・還(クッキーの人・e02487)は興味なさそうに、アルテナ・レドフォード(旅好きな剣術使いさん・e19408)は少しだけ目を輝かせて、赴きの異なる溜息をついた。
「私は装飾品にはあまり興味が無いのですが、個々で見れば綺麗なんでしょうね。これだけ集まると目がチカチカするだけなんですけど」
「正直ドリームイーターには美意識という物が無いようね。ただ闇雲に宝石で着飾っても下品なだけ。バランスを見ないといけないわ」
還が小首を傾げると、ローゼマリー・ディマンティウス(デアヘッレラッヘ・e00817)は黒地に銀の輝きで統一されていれば、さぞ美しいだろうと告げた。
個々ならばという還の意見は、ある意味正しい。
あればあるだけ良いなどというのは、ただの妄想に過ぎない。
美しさという概念であるならば、捨拾選択の果てに、総合的な視点での見極めが必要なのだと教えてくれる。
「華やかで綺麗な感じがしますけど、人々の願いを集め過ぎたと言う訳ですか。まさしく混沌の象徴……放置する訳にはいきませんね」
アルテナはそう言って腕時計のタイマーを最終調整。
軍隊にも用いられるゴツイ時計に、隣で少年が目を輝かせた。
やはり、少年には宝石よりも、こういったものが良いのだろうか?
「お、それカッケー」
「戦闘中に壊れでもしたら大変ですからね。さすがに普段はこんな時計はしていませんよ?」
少年らしい興味を見せるシェーロに、アルテナは少しだけ恥ずかしそうに応えた。
いかにも女性向けではなく、かつ、単純に済ませるなら還のように携帯でも良いのだ。
いかめしく整えてしまったかな……と、常になく苦笑してしまった。
「話はそこまでじゃ。いよいよ顕現を開始しおる。時間経過を忘れる出ないぞ」
唸るようにしてゴルディエル・グランナッゾ(銀眼王ゴルディエル・e29079)は奮いたった。
流体金属であると言うのに、甲冑が軋むような気がする。
笹飾りに短冊が、1つ、2つと実が成るように現われ、い出る。
倒すべきデウスエクスを前に、ゴルディエルは銀の眼を開いて仲間達に開戦を告げた。
●
「なるほど『たくさんの宝石や着物が欲しい』、ね。随分と解りやすい願いだわ」
沢山の短冊に、ローゼマリーはアンバランスさの原因を理解した。
あれだけ多くの願望を集めたのであれば、例え着飾る事1つに絞っても、まともにはコーディネイトできまい。
「その願いを砕いて散らせば……、少しは見栄えが良くなるでしょう。」
羽織ったコートを跳ねあげて、ローゼマリーは腰に下げた直刀を正眼に構えた。
そして焔の帯を引きながら、流星のように戦場を駆ける。
刺突の瞬間に反動を利用して薙ぎ払い、体を返すと今度は嵐のように過ぎ去った。
「俗でも願いは願い。貴様等が勝手に奪って良いものであろうはずがあるか」
ゴルディエルは対象的に、雑多な願いを良しとした。
既に失われ、一歩も進む事が出来ない過去より、何倍もマシであろう。
「覚悟せよ、侵略者」
『いざや垣間見よ、星屑の記憶(スターダストメモリー)』
掲げる拳は反抗の象徴、彼の意思を代弁するかのように流体金属が、彼自身を鋼の戦鬼に替えた。
お返しとばかりに浴びせられる光線も何のその! 苦悩の一つとて、嘆く事の出来ない者の代わりに味わって見せようほどに。
呼び起こされる辛い記憶も、摩耗して行くこの身としては、むしろありがたいことではないか。
傷ついても立ちあがる、そんな彼の周囲に一人・二人と物言わぬ兵士がつき従った。
「素敵な七夕の夜にモザイク流星群は似つかわしくないわね。ってわけで、紙兵さん達。お願いねー」
神宮寺・純恋(陽だまりに咲く柔らかな紫花・e22273)は仲間達の周囲に、紙の兵士を展開した。
そしてグラビティへ周囲の光景を偏向し、それぞれに似せた姿を作り上げる。
「……かたじけない」
「いえいえー。守備の要としてばっちりと守っちゃうわよー。だから気にせずにねっ」
ゴルディエルは素直に純恋へ礼を言っただけのつもりだが、銀の焔がちらほらと零れた。
こんな姿の部下など居なかったはずだが、故国の兵士に囲まれていると思えば悪い気分ではない。
とはいえ、ありがたいと思っても、彼には手を合わせて拝むような習慣は無かったので、背中に感謝を背負って、ただ斧を掲げて敵の渦中に飛び込むことにした。
「我が斧にてその罪、裁いてくれようぞ」
不思議と身体が、前へ前へと突き進ませる!
かくしてケルベロス一同は、七夕飾りを宝石で取り巻く金剛の祭壇を取り囲んだ。
力を合わせ、連携しつつ敵の体力を削って行く。
「出だしとしては順調ですね。この戦いではいかに早く敵にダメージを与えられるかが鍵です。一気に行きましょう」
「同感だ。少し……合わせるか」
フィル……フィルトリア・フィルトレーゼ(傷だらけの復讐者・e03002)が突撃するのに合わせて、水月は手にした斧で地面を軽く叩いた。
漏れ出る光が影法師のように伸び、駆けるフィルの背中を追い掛ける。
そこで彼女は短冊を吊るす竹に重力の鎖を伸ばし、たわむ竹の反動に逆らわずにルーンが示す場所、懐へと飛び込んで行った。
「人の想い、願いを利用し世界を混乱に陥れる……そんな事は私達が絶対に許しません!」
「(まるで歌舞伎役者の見栄切りだな。そういえば当初は女舞いだったか……)」
焔をあげる重力の鎖を振り回すフィルは、炎の髪を振り乱すようだと水月は思った。
そういえば男が舞うはずの歌舞伎の創始者は、女性では無かったかと、他愛ない物思いにかられる。
こんな時にと思いつつ、ネタになるなら仲間でもネタとは、つくづく業が深いなと思う。
「二分経過! もしかしてヤバイ? 思ったよりも削れてない気が……」
シェーロが刀の柄に増やしておいたキーホルダーに、チラリと視線を流しながら報告した。
王冠のとなりに吊るした懐中時計が、チッチと時を無情に刻んで居る。
鋭く突き立てたはずの刃が、こんなにも心もとないのは、気のせいだろうか?
「だいじょーぶ、ダイジョービ。相手がディフェンダーだからそう見えるだけで、結構順調」
「それって結局ダメージ通ってないってことジャン! テストに追われてる気分……」
還は無問題だと手をパタパタと振って、気の抜けた声でエールを送った。
アンニュイな気配が仲間を癒すが、釣られて気の抜けそうになったシェーロは、啼いたカラスがもう笑ったという風情でギャーギャーと抗議の声をあげる。
そして仕方無いと言いつつ、もう片方の……花弁のキーホルダーのついた刀を構えて飛び出したのである。
●
「いよっと! どいたどいた~、さっさと追い込まないと」
シェーロが二本の刀を駆使して、空間を切り裂く。
切り裂かれた空間が元に戻ろうとして、グラビティによる負荷が増大し始めた。
「……ここらで事態の加速が必要ですか。ならばこちらも推して参ります」
その様子を見て居たアルテナは、軍刀の柄を短く握った。
そしてこちらを切り裂こうとする爪先とスレ違うように、至近距離から引き裂くように刃を突き立てた。
突き立てた刃はそのままに、グルリと刃を返し、空間を切り裂くグラビティを宿らせる!
「残念、通さないわよ。さあ、時間も無いことだし少しくらいの傷なんて気にせず集中しましょう。メタルちゃんよろ! テレ蔵君もお願い! 二人力を合わせればっ」
純恋はテレビウムと一緒に治療を続けた。
丁度今、仲間を庇って深く傷ついた者がいる、そう……彼女自身の事だ。
痛む身体を気にもせず、流体金属と画像を散布して傷を覆い隠して行く。
「口惜しいが今少し時間が掛ろうか。だからといって、わしが怯むことは無いぞ!」
ゴルディエルが少しだけ残念そうに、構えをコンパクトにして大斧を打ち込んで行く。
「ならこちらも援護と行きましょう。狙いが同じなら、別に技は一つに限らないことだし……」
当てられる自信が無いと言う彼の為に、ローゼマリーは刀で抉るようにしてドリームイーターを構成する黒絹の部分を引き裂いて行った。
空間を切り裂く技を持ってきていないが、同じ効果の技は別にある。
ゆえに委細問題ないと、右に左に踏み込みながら小刻みな三段突きを放った!
『――――とっておきだッ!!』
水月はここぞとばかりに、夜空に指先で文字を描いた。
否、それは膨大なグラビティが収束する事で、射出口となる指がブレているのだ。
そして視線と指先を合わせると、グラビティ・チェインを直接放射したのである。
爆炎の中から、ナニカの指が現われる。
それは当然ながら、水月の指でも、ローゼマリーの指でも無い。
『全てを裁け、金剛の裁断(ダイヤモンド・カッティング)』
「くっ! ですが、この程度では屈したりしません!」
仲間達の防御陣をすり抜けて、フィルの肩口から袈裟がけに腰まで切り裂く。
宝石で作られたネイルアートは、鋭いエッジで過去の痛みと比較してしまうほどの衝撃を与えた。
だがこの程度、『痛みだけなら』過去の自分ならまだしも、今の自分が挫けるはずもない!
なんとか記憶までは守り切ったフィルを躊躇わせるのは、ここで治療を兼ねた技を使うべきか、それとも攻勢を兼ねた技を続けるべきか……だ。
「そこで、るーさんの出番です。私は既にする事を決めてるので、やっちゃってください」
ここでウイングキャットが頑張ることにした。
猫というよりは猫化なふくよかさを持ったるーさんは、翼を広げて癒し始めた。
僅かに遅れて還の放つ光が、前衛陣全体の傷を癒して行く。
「ありがとうござます。もうすぐ5分……治療してもらった身で申し訳ありませんが、ここからは回復抜きで行きましょう」
「はーい。これはこれで責任重大だから、その方が気楽でいいでしょーかねー」
フィルは握りかけた拳を開いて、再びライフルを構える。
そして宝石を撃ち落とす彼女の声に、還はよっこいせっと、他人を癒すと言う大荷物を降ろした。
ここから先は火力があれば良いと、そろそろ本気を出す事にしたのである(なおクッキーを降らせることではない)。
●
『貴方の罪、私が断罪します……!』
フィルは星のように浮かぶ宝石を撃ち落としながら、その業を吸収し始めた。
銃口からは、先ほどまでのロテ-ションで放った凍結光線は出て来ない。
本気になった彼女が放つのは、夜空の様に漆黒の焔である。
「見てる分には不足は無いが、ここらで潮であるな。閉幕の準備といこう」
水月は二本目の斧を構え、両手を揃えて持ちあげた。
比翼連理の翼のように左右では無く、枝であるかのように縦から同時に叩きつける!
そして刃よりも鋭く時間が刻を削り落し、そのことを弁えた彼は指先を再び銃の様に構えた。
体内に廻る重力を、弾丸として放つ為に!
「という訳で、よこいしょ!」
還は女子力を全力で置き去りにすると、仲間達が恰好よい技を放つ間に、とりあえず殴った。
これが彼女の本気である。
もちろん両手に構える携帯が追い打ちを駆ける予定だ! 決してゲームをする為ではない。
「昔から弓だけは得意なのよ。我が手で鳴るは梓弓……なんちゃって」
純恋は心の中で舌を出し、苦手だった神事の数々を思い出した。
上達しない心得の中で、僅かに自信のある技の一つ。
白蛇の意匠を凝らした弓を引き、刻を凍らせる為に矢を放ったのである。
弓上手は雷神に通じるというが、その弓勢は稲妻にも似て居た。
「哀も怒りも憎しみも『永遠の無明に沈むが如きこの苦痛……貴様の全てに刻んでくれよう』それが我が王道故に!」
ゴルディエルは大上段から振り降ろした斧を避けられたが、かまわず第二撃を放った。
地獄と共に膨れ上がる負の感情を載せ、完全に制御できない所を、敵の真正面に立つことでクリアしたのだ。
横薙ぎに振るう大斧は、短冊を吊るす竹飾りを打ち砕いたのである。
1つ2つと外装の飾りが朽ちていく、中からナニカが現われた。
「6分経過! ですが……ようやく底が見えて来ましたね。終わらせましょう」
アルテナは時間を告げつつ、呼吸を整えて、次々に繰り出される仲間達の攻撃を見守った。
そして剥げ落ちていく敵の絹や、宝石を眺めながら、格と成るモザイクを睨んだ。
そこに漆黒の弾丸でマークを付けた後、刃を構えて仲間たちと肩を並べて飛び込んで行ったのである。
「いっくぞー『響け! 俺達の心!』星の祭壇が相手なら、こっちは星降る夜の唄だ!」
シェーロが展開する流体金属は、敵に向かって戦場を駆けた。
銀に輝くその姿は、まるで箒星が銀河を駆けるかの如く。
そしてジャンプ一番飛び上がると、自信が流星と成って飛び蹴りを浴びせに掛る。
「やはり夜にはあちらの方が似合うわね。『放つは一陣の風。神なるは我が一閃。』これにて終幕よ」
ローゼマリーは当初、カラフルな宝石を見た時の感想を思い出していた。
夜を示す漆黒の絹に、銀一色の天の河ならさぞ美しかろうと。
そして仲間の放つ技を軽く眺めた後、刀を振って余分な思考を追いだす。
最後に繰り出すのは、刃にまとった風が織りなす稲妻。
電光石火の一撃がトドメを刺したのである。
こうして一同はドリームイーターを倒し、本物の星空を眺めながら帰還の途に就いた。
それぞれに交錯する想いを、星の光に描きながら……。
作者:baron |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2016年7月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 4
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