七夕モザイク落とし作戦~ベースボール・モザイク

作者:そうすけ


 7月7日、七夕の夜。東京上空……。
 大きな鍵を手にした『赤い頭巾のドリームイーター』が、ひとり、空を漂っていた。
「綺麗……短冊に込めた人々の願い事が、まるで宝石のよう。
 あの輝きが欲しくて、あなたは『モザイクの卵』を降らせたのね。
 でも、鎌倉の戦いでこしらえてもらった卵も、あと少ししか残っていないのね。
 …………。
 いいわ、あなたの夢、私が手伝いましょう。
 だって、あなたの夢は、きっと私と同じだから。
 だから、残った卵を私に頂戴。
 あなたをこの星に呼んであげるわ……ジュエルジグラット」
 

 ――試合に勝って、甲子園に行けますように。

 部員たちが引き上げた後、月明りが差し込む部室の隅で、短冊が結ばれた笹がわさわさと揺れ出した。
 一枚、また一枚と糸を断ち切った短冊が、薄く開いた窓の隙間から空へ吸い上げられていく。くるくると舞いながら七色の短冊が高くのぼっていく様は、さながら小さなモザイクの竜巻だ。
 四方の空から、空に浮かぶドリームイーターの卵を目指してモザイクの竜巻が集まってきていた。
 ドリームイーターの卵はひとつ残らずモザイクの竜巻を吸収すると、体長三メートルのスーパー球児・ドリームイーターとなって、観客のいない暗い球場のマウンドに降り立った。
 

 ゼノ・モルス(サキュバスのヘリオライダー・en0206)は、急な招集にも関わらず来てくれたケルベロスたちを笑顔で迎えた。
「みんな、来てくれてありがとう! 聞いて、聞いて。ドリームイーターが七夕を利用して大作戦を行う事が判明したんだよ」
 ドリームイーターによる大規模作戦は、ローデッド・クレメインス(灰は灰に・e27083)の他、多数のケルベロスが予測し、調査した結果によって事前に判明した。
 どうやら、ドリームイーターは、鎌倉奪還戦時に失敗した『モザイク落とし』作戦を再び起こそうとしているらしい。
「うん。そうなんだ。モザイク落としが行われれば、日本に巨大なモザイクの塊が落下する……大量のドリームイーターがわさわさ出てきて、日本中が大混乱になっちゃうんだよ」
 なにせ今はローカストたちとの戦争前。いま、このタイミングでそんなことになるととっても困るよね、とゼノは頭を抱えた。
「敵は残存するモザイクの卵を使用して、日本中の七夕の願いをドリームイーター化し、そのドリームイーターを生贄に捧げる事で、モザイク落としのエネルギー源にしようとしているんだ」
 七夕の願いから生まれたドリームイーターは、出現してから7分間で自動的に消滅し、モザイク落としの儀式のエネルギーに変換されてしまう。
「みんな、力を合わせて七分以内にドリームイーターを撃破して」
 ゼノは目を潤ませながら、顔の前で小さな手を合わせた。
「お願い」
 七夕の願いから生まれたドリームイーターは、その願いの内容に合わせた見た目のグラビティを使用して戦うという。
「みんなが倒さなきゃならないドリームイーターの認識名は『スーパー球児』だよ。野球場のマウンドでバッターが現れるのを待っている。一人少ないけど……『スーパー球児』を七分以内に打ち崩して」
 もしも、ドリームイーターを七分以内に撃破できなかった場合は、消滅してしまい倒す事ができなくなる。歪められた願いは叶い、巨大モザイクを落とす力となってしまうだろう。
「今回現れたドリームイーターの過半数を撃破できなければ、モザイク落としが実現してしまうんだ。逆に、ほぼ全てのドリームイーターを撃破できれば、モザイクの卵による事件はもう発生しなくなるはずだよ」
 こほんとひとつ咳払をすると、ゼノは急に顔つきが大人びた。
 じっとケルベロスたちを見つめる。
「満塁ホームランで試合終了、ケルベロスチームの勝利を期待してる! なーんてね♪」


参加者
フィオリナ・ブレイブハート(インフェルノガーディアン・e00077)
グーウィ・デュール(黄金の照らす運命・e01159)
ヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)
四方・千里(妖刀憑きの少女・e11129)
浅葱・ミク(クルーズナビゲーター・e16834)
チェリー・ブロッサム(桜花爛漫・e17323)
時塚・大和(のらぐらし・e18210)
アイシア・スノーホワイト(素直な絶対零度・e24191)

■リプレイ


「くぁ、お待たせ~。イッツ・ショータ~イム~のオチ!」
 真っ赤なペンギンスーツの上から「Kerberos」と書かれた白いユニフォームを羽織ったヒナタ・イクスェス(世界一シリアスが似合わない漢・e08816)を先頭に、一斉にベンチから飛び出したケルベロスナインの姿をナイター照明が照らす。
 ちなみにユニフォームはアイシア・スノーホワイト(素直な絶対零度・e24191)の特注品で、この死合のためにケルベロスの活動を支える一般市民のみなさんに特急で作って頂いたものだ。胸に「Kerberos」と入っており、背中には背番号もついている。
「野球……詳しくは知らないけど……私、監督……らしいから……」
 どうやらユニフォームの手配は監督の責任だと思ったらしい。
「うんうん、ありがとう。みんなとお揃いのユニフォーム、バッチリですよ♪ あ、ちなみに私はウグイス嬢なのです♪ それではさっそくいってみよう~♪」
 浅葱・ミク(クルーズナビゲーター・e16834)はすっと背筋を伸ばすと、営業用の声を出した。
 気持ちを乗せて、リズムよくアナウンスする。
「一番。ライト、スノーホワイトくん」
 オートバットを手にバッターボックスに向かうは背番号14番。美声とともに熱い死合が始まった。
 ヒナタがニボシを縛ったものをマイク代りにして喋る。
「くあ、四方さん、ついにデウスエクスチームとの死合が始まりましたね~」
「たった一体なのチームとはこれいかに?」
 四方・千里(妖刀憑きの少女・e11129)が赤ペンの隣で真面目に受け返す。
「くぁ、相手は夢のスーパー球児ですからぁ~のオチ。あ、アナウンスは『世界一シリアスに野球ができない漢』イクスェスと、解説は『妖刀がバット代り?』の四方でお送りいたしま~す。おぅ、いえ~い♪」
 一塁側ベンチの上でポンポンを手にチビ赤ペンギンズがウェーブを決めた。彼らが何者でどこから来たのかなんて細かいことを詮索してはいけない。この死合は何でもありのベースボール・モザイクなのだ。見える人には見える、とだけ言っておこう。
 さて、律儀にバッターボックスに入ったアイシアは、二、三回素振りすると、おもむろにオートバットを降ろし、プロトタイプ簒奪者の鎌に持ちかえた。
 どどっと関西お笑い芸能人のノリで崩れるケルベロスナインたち。
 対照的にバッターボックスの中のオラトリオはいたって真面目顔だ。
 主審役を受け持った時塚・大和(のらぐらし・e18210)が、不安げな面差しでホームベースの後に立った。
「キ、キャッチャーがいないんだけど? これって、もしかしなくてもおれがドリームイーターの投球、もとい攻撃をまともに受けてしまうことになるんじゃ……」
 後衛のメディクなんですけどぉ、と大和は泣き言を口にしながら手を上げて、開始宣言がわりにブレイブマインを発動せた。
 前衛選手たちに壊アップの効果がかかる。
「相手をホームランすれば勝ちのはず……頑張る……」
 アイシアは鎌の柄を両手で握って構えると、きっ、とマウンドのスーパー球児を睨みつけた。
 三メートルの長身を誇るドリームイーターが、両腕を天に向けて振り上げる。
「くぁ~、注目のスーパー球児の第一投は――!??」
 バッターはピッチャーが投げる前に投げた。
 鎌を。
 わずかに遅れてスーパー球児がモザイクを内角高めのストレートで放つ。
 回転しながら飛んできた鎌に切り裂かれて、色とりどりの短冊がスーパー球児の横腹から噴き出した。
 モザイクに包まれた背番号14がばったりと倒れる。
 ゴロゴロ転がる仲間を助け起こそうとして、主審があわてて土に膝をつく。
 そこへ鎌が回転しながら戻ってきたものだから、大和は背骨が折れる勢いで大きくのけぞることになった。
 一塁側が怒りに沸いた。
「いきなりビーンボールっすか。みなのもの、出入りじゃー、焼き入れじゃあ! お好み焼きにしてやれっすよ~」
 かぶっていた赤ヘルを飛ばして、グーウィ・デュール(黄金の照らす運命・e01159)がいの一番にマウンドへ駆けだす。
「む! ピッチャーでキャプテンの私が遅れをとるわけにはいかん。まて、グーウィ! 私に一番乗りさせろ!」
 死合の結末は自らのバットで決める。規格ものよりも長いバットを騎士の槍のごとく頭上に構え持ちながら、フィオリナ・ブレイブハート(インフェルノガーディアン・e00077)が背番号7を追う。
「わぁ、いきなり乱闘流血騒ぎ。もう無茶苦茶だね」
 などと言いつつ、嬉しそうにタレ耳を揺らしてチェリー・ブロッサム(桜花爛漫・e17323)も走る。
「え、だって。この後お約束の展開がありそうじゃない? 傷だらけになりながらも続投の意思を見せるスーパー球児。心配するキャプテンに『……もし優勝できたらボクと……ボクと付き合って……!』、なーんて。やーん! ロマンチックだねっ!」
 えー。
 チェリーの妄想は実現するかどうか。なにせ敵チームにはたった一体しかいないのだから。フィオリナはキャプテンだが、相手役は引き受けないだろう。デウスエクスの寒い独り芝居を見せつけられるのは何卒ご勘弁願いたい。
 ……と、背番号00をつけたテレビウムのぷろでゅーさー。
 ヒナタと千里、ミクも駆けつけて、マウンドは怒号と攻撃が飛び交う修羅場と化している。
 ぷろでゅーさーは、怒りのあまり素で攻撃しているケルベロスを複数人みつけると、顔のモニターに応援動画を流し始めた。
 

 双方がそれなりにダメージを受けたところで乱闘中断、仕切り直して死合うことになった。
「くぁ、波乱の幕開けとなりましたベースボール・モザイク。しかし、解説の四方さん。まだ野球のフリをし続ける必要があるのでしょうか?」
「ええ、大いにあります。スーパー球児は高校野球部員の願いのパワーを集めて生まれたもの……」
「くぁ? それは倒すとまずいのでは~のオチ?」
「夢は夢でも、あれは悪夢……。甲子園出場という夢を阻むライバル!」
「くぁ、つまり?」
「私たちは野球もどきでスーパー球児を倒さなくてはならない。願う気持ちが強いなら、決して諦めないのなら……きっと……甲子園出場の願いは叶う……はず」
 グラウンド沿いのフェンスにもたれかかってヤジを飛ばしていたキャプテンのフィオリナが、話に割り込んできた。
 ちなみに放送室は使えないので、実況席はベンチの一角に設けられている。
「そうだ! 正々堂々と野球もどきで倒すことで甲子園出場が正夢になるかもだ!」
 うんうん、とうなずくケルベロスナインたち。
「それじゃドンドン攻撃して最速で倒しちゃおうねっ!」
 チェリーがぴょんと飛び跳ねる。
「あの……盛り上がっているところもうわけないけど……もう……時間が……」
 全員の注目を集めたところで、アイシアはスコアボードの上の時計を指さした。
「監督命令? ……出すね。バッターボックスに……二人ずつ入って。守備も……せっかくだから……やりたいし。できるか、ちょっと……微妙だけど」
 胸の前でくるくると両の拳を回して、巻き展開を示唆する。
「了解♪ 野球は一人では戦えないスポーツです。みんなと力を合わせて頑張ります♪」
 ミクは深く息を吸いこむと、まばゆい笑顔をグランドに向けた。
「二番。ショート、浅葱くん。背番号3939(ミクミク)~♪」
 自分で自分をアナウンスしながら、ベンチを飛び出していく。
「――と、3番。キャッチャー、ブロッサムくん。背番号23」
 続けてチェリー、そして大和がベンチを飛び出した。
「それじゃあ、改めて。プレイボール!」
 大和が宣言とともに腕を高く伸ばすと、三人の後ろでカラフルな爆発が起こった。チビ赤ペンギンズとぷろでゅーさーが、一塁ベンチの上でポンポンを振りたてて、雰囲気を盛り上げる。
「いくよ~♪」
「3番、チェリーいきまーす!」
 スーパー球児が大きく振りかぶる。左右のバッターボックスに打者が同時に立っていることには何の疑問も感じていないようだ。
「くぁ~、ピッチャー投げた!」
「こ、これは!?」
 解説の千里は驚きの展開に立ち上がった。
 バッターたちは、スーパー球児の左足がマウンドの外を踏む前に猛烈ダッシュでボックスを飛び出した。投げられた魔球を高く飛んでかわし、天の川を背負った強烈な蹴りを丸太のような太ももに見舞う。
「ダブル・スターゲイザー! 決まった!」
 二人のバッターは奇しくも同じ技を発動させていた。着地するや、ミクはファーストベースに、チェリーは三塁ベースへ走った。二人が四角いベースを盗った瞬間、一塁ベンチ側が騒然として――。
「くぁ~、ここでハプニングです。ケルベロスズの監督が、魔球から審判を庇った模様~のオチ!」
 千里がヒナタの言を訂正する。
「いえ。彼女は『審判』ではなく自軍の『レフト選手』を守ったのです」
 見れば倒れたオラトリオを抱くオラトリオの上から、白く小さな花が雪のように降り注いでいる。白い翼に点々と散った赤い血と傍に転がるモザイクのボールというビジュアルと相まって、なんともドラマチックなシーンが演出されていた。
 種明かしをするまでもなく、白くて小さな花はオラトリオの二人が飛ばしている。
「か、監督。どうして……しっかりしてください」
「ふふ……私は、か、監督です……から。選手をまも……(がくり)」
「監督―っ!」
 グーウィとフィオリナが担架にアイシアを乗せてベンチに戻り、入れ替わるようにしてヒナタと千里がグランドへ出ていく。
 一塁ベースの上で、ウグイス嬢がクリーンナップの登場を告げた。


「四番。セカンド、イクスェスくん。背番号5」
 ヒナタがろまん兵装・赤ペンオクスタンをバット代りにブンブンと振り回す後ろで、チビ赤ペンギンズがウェーブを決める。
「続きまして、5番。センター、四方くん。背番号は世界を変えた……ううん、世界を変える奇跡の42番♪」
 千里は身の丈を越える長業物を軽々と振ってから、左のバッターボックスに入った。赤い鼻緒の先で、先の突撃で乱れた土を均す。
 ダイアモンドの内を熱い夜風が吹き抜けた。
「……な雰囲気だね。場外に逃げられないように、おれ、守備に就くよ」
 大和がレフトに走る。
 ベンチの一角に設けられた解説席では、打席に立った二人に代わってフィオリナとグーウィがニボシマイクにかじりついていた。チビ赤ペンギンズとアイシアも一緒になっておやつを食べている。ポリポリ。
「ええっと、今打席はあっしデュールが実況を、ブレイブハートが解説をやるっすよ。よろしくっす」
「よろしく」
 ぷろでゅーさーが一塁側コーチボックスへ向かう。ランナーの死角から敵のベースカバーが来たらミクに教えるためだ。
「ここはひとつ、イクスェス選手の赤ペン・ホームランに期待したいところっすね」
「小さな巨人・四方選手の御業もなかなかのものだぞ。スーパー球児としては、一塁と三塁のランナーの動きも気になるはずだ。ヤツがこのピンチをどう捌くか。見ものだな」
「二人の技が決まって場外へ、てなことになったら……ああ、大変っす。時塚選手、頼むっす。まだあっしたちはまだ打席に立ってないんだから、ドリームイーターを逃がさないでくださいっすね」
 聞こえるはずがないので、感よく察したのだろう。
 スコアボードの前で大和が、まかせろと白い翼を大きく広げた。
 回復手のいるケルベロスたちと違い、マウンド上のスーパー球児は満身創痍だ。それでもよどみのない動作で左足を前にステップさせ、左腰を回転させた。
「ああっと、ランナー走った!!」
 投球の瞬間、一塁と三塁のランナーがマウンドへ向かって走りだした。
 スーパー球児は体全体を倒しながら捻り、強引に一塁へモザイク球を投げて刺した。回転の勢いを利用して左足で三塁側から走ってきたチェリーの頭に踵を落とす。
 背中から落ちて転がり、起きたところに四番と五番のバット、もとい得物が火を噴いた。
「『あ、かっ飛~ばせ~~あ~か~ペン。あソ~レあ~か~ペン』、くぁ!」
「『死出に咲くるは死人花』―――さあ、お前も悲願の糧になれ。覚悟!」
 鮮やかに、残酷に。神速の刀捌きでスーパー球児の白いユニフォームを散らし、血の彼岸花を狂い咲かせる。
 赤バットの魂のフルスイングが巻き起こした風が、身の丈三メートルを超すドリームイーターの巨漢をかっ飛ばす。
『慈愛無き虚無よ――『降れ』』
 レフト上空で待機していた大和は、竜の顎を思わせる腕甲を纏った。
「逃がさないよ。大事な夢、返してね」
 黒喰の咢がスーパー球児の巨体をキャッチする。かぶりと胴をかみ砕いて、下で待つグーウィとフィオリナの前に落とした。
「六番。サード、デュールくん。背番号7」
 プロデューサーに肩を支えられて、ウグイス嬢がアナウンスする。
「お先に行かせてもらうっすよ」
 グーウィは、ふらふらになりながらも立ち上がったスーパー球児を見上げた。
「たく、ドリームイーターなのが惜しい逸材っすね。これならドラ1不可避でしょうに」
 惜しい、実に惜しいと首を振る。グーウィの隠された役どころはスカウターだ。
 自称インチキ占い師はシルバーグレイの瞳に剣呑な光を走らせると、真実を映し出す水晶の玉をずいっとドリームイーターに突きつけた。
『お金があれば大体のことは何とかなります。しかしどうにもならないこともある。例えばそう、ここに見える貴方の終焉のように』
 具現化した悪夢たるスーパー球児に、『甲子園で活躍しプロ入りするも、プロの洗礼を受けあっという間に2軍落ち』という絶望の幻影が襲い掛かる。
 ついに心が折れたか。スーパー球児はがっくりとグランドに膝をついた。
「これがプロとアマの違い……こちらもプロのケルベロスですので」

 ――まだだ、まだ夏は終わっちゃいない!

「なんと、まだやれるっすか。見上げた根性っすね」
 歯を食いしばりながら立ち上がり、セットポジションを取ったスーパー球児の前に、キャプテンのフィオリナが進み出る。
「七番。ピッチャー、ブレイブハートくん。背番号9」
 ミクのアナウンスをバックに無言で睨みつけながら、帽子を飛ばすほど強烈なスイングで敵を威圧する。
「ここまで無得点に抑えた実力は認めよう。だが、さすがに衰えは隠せないな」
 スーパー球児が雄叫びをあげた。
 高く伸ばされた腕が天の川の流れをかき乱し、モザイク状の流星となって落ちてくる。
 フィオリナは聖蒼玉の力を解放すると、高く飛翔しながら燃えるバットでモザイク球を打ち砕いた。斬撃が砕けたモザイクの破片を巻きこみながら炎の竜巻になり、スーパー球児を飲み込む。
『神界の炎、その身で味わうが良い! Celestial Feuer!』
 燃えるドリームイーターの体から解放された短冊が、七色の火の粉となって天に舞い上がっていった。

作者:そうすけ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年7月15日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 0
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