「おめえら、いい加減にしやがれ!」
ドン・ピッグがついにキレた。
「この作戦始めて何か月になると思ってんだ。そろそろ女の1人くらい連れて来いってんだ!」
口から唾を飛ばしながら、火の付いた葉巻を配下の額へジュッと押し当てる。
「ブヒイイィィ!! 熱い!! 熱いブヒイィ!!」
のたうちまわるオークを気の毒そうに見ながら、別の配下が口を開いた。
「しかし、この隠れ家がバレてはいけないと……」
オークたちは女を現地で乱暴し、逃げる気力などを失わせてからここ、ドン・ピッグの隠れ家へと連れ込む用意周到な計画を練っていた。
しかしその作戦はことごとくケルベロスたちによって妨害され、何の成果も得られていなかったのだ。
「もう四の五の言ってる場合じゃなくなってきてんだよ。この隠れ家を提供してくれたギルポークの旦那に面子が立たねえだろうが。それに……」
ドン・ピッグのモヒカンがいつも以上に逆立ち、目は血走っている。
「わかんだろ? 俺っちも溜まってんだよ。もう弱らせねえでいいから、色っぽい女を手当たり次第に連れて来やがれ!!」
「「「ブ、ブヒイイィィィ!!!」」」
ドン・ピッグに怒鳴り散らされ、オークたちは逃げるように出撃していくのだった。
●君も囮になってドン・ピッグの隠れ家へ潜入しよう
ところ変わってスイーツがパラダイスで食べ放題なお店にて。そこでは女子たちが甘味を肴に女子会を開いていた。
多くの女子会の話題は恋バナや彼氏の愚痴や自慢、芸能界やテレビドラマやらだったりするものだが……彼女たちの議題は一線を画していた。
「そろそろドン・ピッグもしびれを切らし始めたと思うんだよね」
ザッハトルテにフォークを入れながらグレイ・エイリアス(双子座の奪還者・e00358)が口を開く。
「まあ、あいつらも慎重にしてたみたいだけど、所詮糞豚だしな」
レテイシャ・マグナカルタ(自称遺跡探索者・e22709)は皿に確保していた何種類ものケーキのうち、ひとつにフォークを刺すとひとくちに食べきってしまう。
「完全に女っ気なしで我慢なんてできないでしょう。そろそろ無差別に女の子狩りをはじめるんじゃないかと思います」
たっぷり粉砂糖がかけられたゲロ甘なシュトーレンを、顔色ひとつ変えずに食べきっていくアルシェリーア・ヴィルフォーナ(シャドウエルフの音符術使・e00823)。
「実際、繁華街でオークを見たという報告もございました」
メイドとして皆にケーキを取り分けていたステイン・カツオ(御乱心アラフォードワーフ・e04948)が告げる。
かつては予知でしか姿を見れないほど用心していたオークたちも、今は普通に目撃されるほど切羽詰まっているようだ。
「今なら囮捜査もできそうだけど……」
鳴神・猛(e01245)はチョコレートファウンテン用の剥き身バナナを丸ごと1本持ってくる。
「やっちゃおっか?」
一瞬、場が静まり返った後。
「やっちゃおう」
「やってやろーぜ!」
「やりましょうか」
女子たちは、バナナを一斉に輪切りにしていくのだった。
「――というわけで、捕まってきてくれ」
星友・瞬(ウェアライダーのヘリオライダー・en0065)の顔は心なしか青ざめている。やや内股気味だった。
「グレイたちが囮捜査をしたらどうかと言うので調べてみたのだが、おおよそ、彼女たちの予想通りの状況のようなんだ」
そこで、囮役のケルベロスを募集することにしたらしい。
「皆が攫われることでアジトを特定、その後、救出及び決戦のための戦力を送り込み、ドン・ピッグを撃破することになるだろう」
よって今回は戦闘などは行わず、囮としてオークを誘うことに集中する必要がある。
「また、集団で固まっているとオークたちも攫いづらいだろうから、参加者はそれぞれ個別で動いてくれ」
そう告げて、瞬は集まったケルベロスたちへと頭を下げた。
「ドン・ピッグとの決着をつけられるかどうかは、皆の活躍次第になる。宜しく頼む」
参加者 | |
---|---|
グレイ・エイリアス(双子座の奪還者・e00358) |
アルシェリーア・ヴィルフォーナ(シャドウエルフの音符術使・e00823) |
鳴神・猛(バーニングブレイカー・e01245) |
レベッカ・ハイドン(鎧装竜騎兵・e03392) |
朝倉・くしな(鬼龍の求道者・e06286) |
空国・モカ(街を吹き抜ける風・e07709) |
メレアグリス・フリチラリア(聖餐台上の瓔珞百合・e21212) |
レテイシャ・マグナカルタ(自称遺跡探索者・e22709) |
●女攫いチュートリアル
その日、繁華街の裏路地には数多くのオークが闇夜に紛れていた。
「よーし、準備はいいか?」
「ええ、女を攫うため、今まで研究とイメージトレーニングを積んできたオイラの頭脳を見せてやりますよ」
「お、おう……」
「実際に攫うのは初めてですし、兄貴、お願いします」
兄貴と呼ばれたオークは半眼で自分の弟分を眺める。
この弟分はドン・ピッグの配下で一番の切れ者、三国志でいえば朶思大王的な個体だった。
もっとも、オークは力と触手がものをいう社会。力がなく触手も粗末な弟分はいくら頭が良くても評価されない。
(「おまえの頭脳で手柄を立てて、俺の出世に使わせてもらうぜ……!」)
「まず場所です。兄貴は女を攫うならどこを狙いますか?」
「大通りだと人目につくから……こういう路地裏だろ?」
「正解です。人は多いがひと気は少ない……そういうところを狙うのです」
「じゃあ、あそこは?」
兄貴分オークが指さした先にはキープアウトテープが張られていた。
そこを曲がった先では鳴神・猛(バーニングブレイカー・e01245)が携帯プレーヤーから流れるジャズに合わせて情熱的に踊っている。
「ダメダメ~~踊ってる最中はお触り禁止~~」
汗で濡れ透けなYシャツの第3ボタンだけを留め、それはそれはセクシーな姿なのだが……。
「いえ、あれはマズイです。オイラの調べたところ、あれは人間社会では立ち入り禁止って意味のテープでして、女以前に人が出入りしないのです」
一般人避けのキープアウトテープが逆効果になってしまった。女を攫うのに、人がいないところへは行かない。
「そうなのか、流石だな……だが、なんか向こうから音が聞こえないか」
「それは……もしかすると幽霊かもしれません」
弟分オークもなんだかんだで馬鹿だった。
「ゆ、幽霊だと!?」
「もしかして兄貴、オバケが怖いのですか?」
「からかうんじゃねえ! 行くぞ!」
オークたちはそのまま行ってしまった。
「次に、攫う女ですが……」
路地裏をさまよいながら講義を再開する弟分オーク。
「親父は色っぽい女だったら誰でも良さそうな感じだったぜ」
「兄貴、上の言葉を額面通りに受け取ってたら社会でやっていけませんよ」
「そんなズバッと言うなよ、いじけちゃうだろ」
路地裏の小石を蹴り飛ばす兄貴分オークへ弟分オークが教えてやる。
「いいですか。狙うのは家出娘や水商売の女、あとは外国人の女や旅行者もいいですね。行方不明になっても大騒ぎされないタイプのやつを攫うんです」
「ふむふむ」
「それと家出娘でも、上品なふるまいや言葉使いのやつとか、お嬢様っぽいやつは駄目ですね。消えたら家族が大騒ぎにしそうですから」
「なるほど、頭悪そうなエロ女を狙うんだな!」
「そういうことです。で、今の情報を踏まえて、兄貴ならどいつを攫いますか?」
裏路地の曲がり角から先の通りを覗き見るオークたち。
「あいつだ!」
下っ端オークが指を差したのはアルシェリーア・ヴィルフォーナ(シャドウエルフの音符術使・e00823)だった。
「あっついですねぇ」
赤いチューブトップの上着が緩いのか、ずり落ちかけては戻して歩いている。
その度に胸がチラチラと見えてセクシーだった。ただ―――
「兄貴……あの女は、どう見てもまだ子供産める歳じゃありませんよ」
「そ、そうか? ギリギリいけそうな気もするし、駄目でも1~2年待てば……」
「ドン・ピッグの親父が待ってくれるとお思いですか?」
「あー、そりゃ絶対無理だわ」
オークが女を攫う理由は子供を産ませること。その点において、アルシェリーアは幼すぎた。
その辺りをフォローすればオークたちのお眼鏡にかなったかもしれない。具体的にはエイティーンとか。
「俺の見立てが悪かったか……でもよ、ドワーフの大人だったらどうなんだ? あいつらずっとガキの見た目だが、見分けつくのか?」
「………次行きましょう」
弟分オークは冷や汗をダラダラ流しながら歩き出した。色々微妙なラインだったらしい。
「あ、こら、俺より先に行くんじゃねえ!」
「ブヒッ!?」
「あいたっ……」
慌てるオーク義兄弟は、曲がり角で誰かとぶつかってしまう。
「あ、すんません」
「いえ、こっちもキョロキョロしてたんで……」
謝り合った相手は朝倉・くしな(鬼龍の求道者・e06286)だった。
くしなは弾かれて尻もちをついている。見上げと見下ろし、目が合う1人と2匹。
「「「あ」」」
慌てて走り去ろうとするオークたち。くしなはすかさずその首根っこを引っ掴んだ。
「ちょっとなんで逃げるんですか。こんな色っぽい女勇者を前にして!」
「色っぽいかどうかわかりませんよ!」
くしなは鎧をガチガチに着込んでいた。プロポーションもよくわからない。
「脱いだらすごいんですよ。ギャップを狙ったんです。人間、外見よりも中身です!」
「そんなの甘えだろ、中身を知りたくなるような外見にしろよ……」
「くっ……じゃあ見なさいよっ!」
くしなはオークたちから手を離すと、勝手に観念して鎧を外し始めた。金属音が響く。
鎧の中は布地を減らしたきわどい戦装束だ。本人が言うだけあって、見事なスタイルだった。
「こんな恥ずかしいところを見せるなんて……」
へたりこんだまま、くしなは腕で胸を隠すようにして何もつけていないように見せたり、ふとももの角度を変えて魅惑のデルタ地帯を強調するといったテクニックを披露する。
「確かにエロいですね……」
「ああ……」
ごくりと生唾を飲むオークたち。
「まあ、良い身体してるしコスプレしてるとか頭弱そうだし……条件はクリアしてるだろ。こいつ攫っとくか?」
「くっ、辱しめを受ける位ならいっそ殺しなさいっ」
兄貴分オークの言葉に、やや嬉しそうな棒読み台詞を口にするくしな。
「そうですね……ギリギリな感じですが、ひとりくらいは連れて帰らないと親父にマジで殺されそうですし……」
微妙な表情を見せる弟分オーク。初めて攫う女にはこだわりがあったらしい。
「よっしゃ! これで手柄を立てて、俺ものし上がるぜ!!」
一方、大喜びな兄貴分オーク。鼻息荒く、くしなを荒縄で縛り上げて行く。
かくして、ハプニングはあったものの竜娘勇者危機一髪くっ殺作戦はなんとか完遂され、依頼の成功は確定したのだった。
●ボーナスセクシータイム
「~♪」
闇夜の裏路地を歩くグレイ・エイリアス(双子座の奪還者・e00358)。
上はチューブトップ、下はホットパンツ。健康的な色黒豊満ボディを惜しみなくさらけ出している。
視線は手元のスマートフォンへ集中していて――だから、道を塞ぐオークたちに気付かなかった。
「きゃっ!?」
ぶよよんとしたお腹に弾かれて、お尻から着地するグレイ。
「歩きスマホは危ないブヒよ」
「ブヒヒヒヒ……」
オークたちがグレイへ一歩、また一歩とにじりよる。
「わ、私をどうするつもりですか!」
スマートフォンをポケットにしまうと体育座りになり、自分を守ろうとするグレイ。口調を女性的なものに変え、膝が大きな胸をマシュマロのように押しつぶし、そのボディを強調させる。
「決まってんだろ、俺らの子を孕んでもらうブヒよ」
オークから伸びる触手たちが、グレイの手足へと巻きつく。
「いやっ、なにをっ……」
いやいやと力なく抵抗するグレイ。振りほどかない程度の抵抗は実に自然で、だからこそメロメロになったオークは気づかない。
「そのうるさい口にも、俺のぶっとい触手を突っ込んでやるブヒ。ブヒヒヒッ……」
グレイの服の下にブラックスライムが潜んでいることや、グレイが見ていたスマートフォンにはGPS機能が内臓されていることに――
レベッカ・ハイドン(鎧装竜騎兵・e03392)もまた、鼻歌交じりに夜の裏路地散歩を楽しんでいた。
Yシャツを胸の下で前結びにし、ヘソどころか下乳まで時折見えるような格好だ。
下乳が見えるということは、当然、上にそれ以外はつけていない。
下はマイクロミニスカートで股下ゼロ、化粧はその筋の女性にも聞いた夜の闇でも目立つ派手目なメイク。
となれば当然、夜の蝶を捕まえに豚たちがやってくるわけで。
「ブヒヒヒ、お嬢ちゃん……エロい格好してるねえ」
「え、なに? 私は豚を相手にしたお仕事はしてないわよ」
「……今に豚とか言えなくなるブヒよ。俺らのモノの凄さを味わえば……ブヒヒッ」
涎を垂らし、触手をうねらせる様子を見てレベッカは顔を赤らめた。
「仕方ないわね……いったいどうすればいいのかしら?」
「ずいぶん聞き分けが良いブヒね?」
「だって……無事に済ましてくれそうもないもの。どうせされるんだったら、楽しんだほうがいいでしょう?」
好色めいたレベッカの目線に、オークたちは舌なめずりする。
「ブヒヒ、自分から楽しむなんてとんでもない淫乱ブヒね」
「そういうのは嫌い?」
「いや、大好物ブヒ……ヒヒッ、こっちにくるブヒッ」
レベッカの尻を触手でさりげなく撫で回しながら、オークたちは夜の闇に消えていくのだった。
歓楽街裏の雑居ビル。空国・モカ(街を吹き抜ける風・e07709)は壁にもたれながら退屈そうに腕時計を眺めていた。
「待ちぼうけブヒか?」
「……」
セクシーコーデを身に纏い、ハイヒールにタイトなミニスカート。
水商売風の格好で、ケバ目の化粧。胸は小さかったが、その分パッドで増量している。
(「フフ……任務のためならオーク好みの女だって演じるさ」)
「どうやら客にすっぽかされたらしいねぇ」
妖艶な笑みを象りながらも、眼鏡の奥の瞳は笑っていない。
「俺らを見ても驚かない女がいるとは驚きブヒねぇ」
その質問にも動じない。想定内だった。
「アタシは種族にはこだわらないんだ……そうだ。アンタら、アタシを買わないか?」
数にものを言わせて主導権を握り、無理矢理攫おうとしていたオークたちが、逆に鼻白む。
「オークの相手するなんて初めてだよ。この触手で天国にイかせてくれるんだろう?」
モカは強すぎない絶妙の握力で1本の触手を握り込んだ。
「自分から求めるなんて、どんだ変態ブヒ……」
「アタシもアンタの腰が立たなくなるまでキモチよくしてやるから、アンタの家でもどこでも、案内しなよ」
「ブヒヒヒッ、きっとドン・ピッグ様も喜んでくれるブヒ」
「ドン……なんだって?」
「な、なんでもないブヒ! さあ来るブヒよ!」
これ以上モカのペースにされてはたまらない。オークたちは慌てて彼女を連れ去るのだった。
「ブヒヒヒ、観念するブヒィ!」
「あ~……おっきなブタさんだぁ」
メレアグリス・フリチラリア(聖餐台上の瓔珞百合・e21212)は自分を取り囲むように展開するオークたちを見て、へらへらと笑って見せた。
「あたしね、ブタさんとかイノシシさん、大好きなんだぁ♪」
「ブヒィ!?」
叫ばれたり抵抗されると思っていたオークたちだが、想定外に好きと言われて戸惑ってしまう。
「こいつ、酔ってるブヒか?」
「そーでぇす! いい出会いがないからやけ酒なんだよぉばーろー……」
ろれつが回らないメレアグリス。身体に張り付く薄手の白のニットワンピースはそのメリハリの効いたスタイルを強調させ、緩い網目の隙間からは酒で桜色に染まった柔肌が覗く。
「出会いがないって、サキュバスで、そんなエロい身体してるのにブヒ……?」
「そうだよぉ……」
メレアグリスはしどろもどろのオークへとしなだれかかる。そして、胸をオークの胸部へと押し付けた。
「ね、何だったらあたしと遊ばない? あたしも溜まっててさぁ……何でもするし、何したっていいよぉ♪」
寄りかかられたオークは胸に2つの硬いモノが当たるのに気付く。
「おまえ、まさか、下……」
「ふふ、めくって調べてみるぅ?」
「ああもう! 今すぐ襲いたいけど我慢しないと殺されちゃうブヒ、悔しいブヒイィィ!!」
メレアグリスを神輿のように抱え上げ、アジトへと急行するオークたち。大興奮だ。
「あははっ、そぉれわっしょい、わっしょい♪」
よくわからずも楽しそうな振りをしながら、メレアグリスの銀の瞳がわずかに光るのだった。
「だからダメだっての!」
ラブホテル街で、乾いた音が鳴った。
レテイシャ・マグナカルタ(自称遺跡探索者・e22709)がナンパ男の頬に平手打ちをお見舞いしたのだ。
「ったく、遠慮なく揉みまくりやがって、クーパー靭帯切れるっての」
ぶつくさ言いながら、男の手によってこぼれた胸をオレンジ色のビスチェトップスへと戻していく。
下着替わりのビキニは申し訳程度にしか胸を隠していない、いわゆるマイクロビキニというタイプだった。
その時、胸の谷間に隠しておいた鈴がまろび出てきた。レテイシャは、ほんのわずかの間、その鈴を握りしめる。
(「必ず、帰るからな……」)
孤児院の子供たちにはしばらく帰れないと告げてきた。
お守り代わりに購入した鈴。決意を新たにし、鈴を胸元へと押し戻す。
そうして裏通りに向かう。途中だった。
「金髪でデカチチブヒ」
「絶対頭悪いブヒ……」
オークたちが偏見にまみれた言葉と共に前後を塞ぐ。
「おいこら糞豚、人を見かけで判断すんな!」
文句を言いながらも、レテイシャは少し怯えたように演技をする。
先程ナンパ男に触れられて火照った肌に、若干乱れたままの衣服。オークたちはそれなりに食いついてきた。
「こいつ、メスの匂いがするブヒ」
「隠れ家でめちゃくちゃにしてやるブヒよ」
「やめろって、こらっ、んんっ……!」
伸びてくる触手、荒い鼻息。オークの熱量を肌で感じて、レテイシャはぞくりと震えた。
「この、豚どもっ……興奮してんじゃ……はぁっ!」
快感で抵抗が次第にできなくなってくる。オークの触手がスカートの中に入ってきた。
「あっ、んんんーーーっ!!!」
のけぞるレテイシャ。はずみで、また胸から鈴が転がり落ちた。辺りに澄んだ鈴の音が鳴る。
「……ッ! 嬲るのは隠れ家にするブヒよ」
「了解ブヒッ!」
思いの他大きな鈴の音に、慌ててオークたちはぐったりとしたレテイシャを触手で抱え、隠れ家へと運んでいくのだった。
●残されたもの
夜が明け、空が白み始めて。
「うぅ……夜通し踊って腰が痛いよ……」
「早朝の公園でも駄目でした……」
腰をトントンと叩く猛と、ずり落ちる上着を戻しながら小さくため息をつくアルシェリーア。失敗したふたりは路地裏で集合していた。
「ボクたち以外は潜入に成功したみたいだね」
「ですね」
囮としてドン・ピッグの隠れ家へ潜入成功したのは総勢6名。
「みんな、助けにいくからね……」
「ええ……あら?」
アルシェリーアは地面に転がった光に気付く。近づいて確認すると、それは朝日を反射してきらめく鈴だった。
「みなさん、どうかご無事で……」
鈴を拾うアルシェリーア。手の中で、鈴が小さく鳴った。
作者:蘇我真 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年7月14日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 27
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