ドラゴンは雷鳴と共に

作者:baron

●雷の魔竜
『オーン!』
 カッ、ドドド!
 大音響の吠え声と共に、無人のビルが崩れ落ちた。
 ピリピリと帯電する稲妻で、先ほどの一撃が電撃であったとようやくわかるくらいだ。
 勿論、これほどの一撃を、そこらの奴が放てるはずはない。
『ガッハ、バッバ、ゴーンン!!』
 退屈の虫を持てあまし、軽く暴れただけで周囲を破壊する迷惑な存在。
 それは、ドラゴンと呼ばれる強大なデウスエクスであった。
  
●城ヶ島のドラゴン退治
「皆さん、大変っす。大変です。三浦半島南端の城ヶ島がドラゴン勢力に制圧されやした。このドラゴン勢力は、鎌倉の戦いの後、エインヘリアルとの勢力争いを見据えて城ヶ島に潜伏・集結していたようっすね」
 黒瀬・ダンテが地図を片手に、状況を整理して教えてくれた。
 どうやらドラゴンはその強大さぶりから、ケルベロスに負けるつもりはなく、真の敵をエインヘリアルと見なしていたようだ。
 鎌倉奪還戦での敗北に驚いたドラゴン達は、城ヶ島に拠点を築き、防衛力を高めようとしているらしいのだ。
「今すぐ、城ヶ島を制圧する事は難しいっすけど、少しでも、その戦力を削る必要があるのは確かっすね。そこで、今回の話なんすけど……。このドラゴン達の一頭が、城ヶ島から離れて単独行動する事がわかったんすよ」
 要するに、このドラゴンが単独行動する所を襲撃し、ドラゴンを撃破して欲しいということらしい。
 ドラゴンは強敵であるし、戦場は敵地になる危険な任務だが、ここでドラゴンの数を減らす事ができれば、戦況はかなり優位になに違いない。
  
●雷鳴と共に歩むモノ
「ドラゴンなんすけど、力ある存在を取り込んで強くなる進化する敵なんですよね。今回の敵は、どうやら発電施設を食って、雷撃をぶっぱする個体みたいっす」
 そういってダンテは地図の内、とある無人の町を指差した。
 そこは早い段階で非難が終わり、心おきなく戦えるようだ(だからこそ、退屈を持て余したドラゴンが、暴れに来たとも言えるが)。
「そいつは若い個体なのか、一応、討伐な可能な部類に入るっすね。敵地には違いないんで、ヘリオンから速攻で攻めるのが吉っす。あ、あと取り込んだ施設を消化しきれてないのか、時々、電話みたいな音が聞こえるんで、間違える事はないっすね」
 そして西洋竜の絵を描いた後、ヘリオンの模型を取り出して、ブーンと降下作戦ポイ仕草を見せる。
「ドラゴンと正面から戦う事になんで、とても危険な任務になるっす。三浦半島南部は、ドラゴンの拠点である城ヶ崎に近く、戦いが終わったらすぐに撤退した方がいいっすね」
 万が一、勝利が難しくなった場合は、撤退する余力があるうちにできるだけ遠くから撤退し、安全圏まで逃げ延びてください。
 常に無い神妙な顔でダンテは丁寧に語った。
 相手が相手だし、場合によっては、城ヶ島のドラゴンが増援が現れる可能性もあるので、引き際は重要だろう。
「とはいえ一体だけなら、皆さんなら勝てると信じてるっす。パパっと行って、パパっと帰ってくだせえ」
 最後にそう励まして、ダンテは軽く頭を下げた。


参加者
朽葉・斑鳩(太陽に拒されし翼・e00081)
月宮・朔耶(天狼の黒魔女・e00132)
アシュヴィン・シュトゥルムフート(月夜に嗤う鬼・e00535)
ヒスイ・アサヒナ(忘却ノスタルジア・e01337)
ソウマ・セレウキア(純粋悪・e02214)
クーデリカ・ベルレイム(白炎に彩られし小花・e02310)
アルタイル・フリードリヒ(クロノスタシス・e03160)
先碕・錐矢(灰尽・e10052)

■リプレイ


 ジリリン! っと古い電話の様な音がして、彼方でドラゴンが暴れていた。
 ヘリオンはビルの少し手前で減速すると、降下作戦を開始する。
「これはまた、随分好きに暴れてくれてるなぁ……」
「ハン。頼むからアレと俺を一緒にしてくれんなァ? 別物なんだぞォ」
 朽葉・斑鳩(太陽に拒されし翼・e00081)の感想を、アルタイル・フリードリヒ(クロノスタシス・e03160)は笑いだした。
 口調だけは迷惑そうにしながら、愉快でたまらないと言った様相だ。
 つり上がった顎で鱗が軋んだ後、タンっとヘリオンの淵に足を掛ける。
「そんじゃ、いくわ。こいつらに好きに暴れられるのは、気に食わねェなァ。サッサと終わらせるに限らァ」
「アハっ。それもそうだ。これ以上力を取り込まれる前になんとかしないとね」
 アルタイルが飛び降りながら翼を広げると、斑鳩は木の葉の様に舞いながら降下する。
 そして空中で同じように翼を展開すると、飛行すると言うよりは滑空しつつ、急降下で戦場を整え始めた。
「こっち向けやクソトカゲがアアァァァ!!」
 アルタイルの怒号が、後発組にも聞こえる程鳴り響いたと言う。
 毒をまき散らす手裏剣を懐に隠し、再び口の端が不敵に笑った。

「あんまりこういう大きい輩の相手はしたくねえんだが、やれやれ仕方ないか」
「時間制限がある上強敵ですが……」
 先碕・錐矢(灰尽・e10052)たち後発組は、先行組が敵の目を引きつけている間、死角に成る位置に降り立った。
 飛び降りても良いが奇襲できれば……。とクーデリカ・ベルレイム(白炎に彩られし小花・e02310)は内心の不安を押し殺しながら、ビルに向けて静かに静かに歩き出す。
 敵は先行組に気を取られて暴れるだろうし、あの黒電話の様な音がするなら……奇襲できる可能性も高いだろう。
「勝てないわけではありません。私たちの実力を見せましょう」
「……だな。気合い入れて竜退治と行こうじゃねえか」
 クーデリカが静かに歩き出したのを見て、錐矢は煙草を吸うのを今は止めた。
 少しでも勝率をあげるのに協力するかと、ニヤリと笑って戦いが終わるのを待ち望む。
 それが御褒美になるか末悟の一服になるか判らないが、できれば前者にしておきたいものである。


『先見の識により、あらゆる全ての事象を描き、導き、救い堕せ。 魔法陣「A.O.C」起動。……それでは、唯々、楽しく、純粋に?』
 最後にヘリオンから仲間の周囲に、ピコピコと明滅が展開する。
 それは仲間達の情報を示し、いつでも援護出来る要因する為の布石だ。
「全員位置に付いたみたいだね。後は時間が来るのを待つのみだよぅ」
「しっかし、戦争の後に随分面倒なことになったもんだねィ」
 ソウマ・セレウキア(純粋悪・e02214)たちは位置に付き、タイミングを合わせて突撃の瞬間を待つ。
 乾いた唇を舐めながら、ヒスイ・アサヒナ(忘却ノスタルジア・e01337)時間が思ったよりも経ってない事実に気が付いた。
 苦笑して気合いを入れ直し、戦いに備えて意気を整える。
「初陣にしちゃア厄介な相手だが、やるだけやってやるさね。……3、2、1。そんじゃ、おっぱじめようか」
「あいあい。雷ドラゴンさんにボクの雷、効くかなぁ……」
 ヒスイが腕時計をまくる仕草をして、カウントダウンを告げると仲間達は一斉に身構えた。
 中でも一番手の号砲を掛けたのは、ソウマである。
 より正しくは、稲妻の先制攻撃を食らった仲間へ、即座にヒーリングを飛ばしたのだ。
「くひひっ、いい戦利品に期待してるよ??」
「そらいけ、突撃だ! 時間を掛けんなよ、先行組が死んじまうぞ!」
 ソウマの雷光が稲妻の直撃を食らった仲間へ、逆位相の帯電で治療を測る。
 先行組が攻撃を受けることで確実なターゲット取りを行い、ヒスイ達は順番に攻撃と回復を受け持つ予定だった。
 だが見た感じ、ダメージが大き過ぎる!
 ヒスイは苦笑すると、ブラックスライムを敵の足元に流し込みながら、交替すべき時を待った。

 こうして戦いが始まった。
 先制はドラゴン、放つは雷鳴のブレス。
『ヲヲーン!』
「ぬ、ぐあああああ! ざけんなゴラァ」
 だが中々に状況は厳しい物だったと言えるだろう。
 まだ聞こえるはずの無い仲間の苦痛が、今にも聞こえそうな気がする。
「(なかなか厄介の強敵だな……。これ以上、力を取り込まれたら余計厄介だし、今のうちに討伐しとかないとな……)」
 仲間を爪で抑えつけようとするドラゴンへ、アシュヴィン・シュトゥルムフート(月夜に嗤う鬼・e00535)は飛び蹴りを食らわせる。
 着地と同時にナイフを引き抜き、狙うべき場所を定めた。
「大人しくしててもらおうか。解体ショーを始める前に……来い!」
「……あいよ。御指名とあれば、踊るとしようかね。ポテさん、リキ、いくよ」
 アシュヴィンの手招きで、月宮・朔耶(天狼の黒魔女・e00132)はフクロウをロッドに変えた。
 そして仲間が展開したスライムに紛れ、影の弾丸を撃ち込み、同時に愛犬をけしかける。
 毒と炎による英雄殺しのダンスを踊り、そこへアシュヴィンのナイフがダンス・マカブルを舞って助長する寸法である。

 後発組の動きは、死角からの奇襲の効果もあって順調に見えた……。
 しかし一同は、ドラゴンの強さを身をもって知る事になる。


「うわっ。大丈夫かなあれ。くわばらくわばら」
 朔耶が炎を編み上げる頃には、先発組は限界に達していた。
 もちろん仲間の回復も行われたが、桁違いの戦闘力なのだ。
 雷鳴から身を守る秘文を詠み上げて、自分に当たってくれるなと祈っておく事にした。
「動かない……嘘……だろ。こんな時に……」
 斑鳩は身動きを取れなくなったことで、稲妻のブレスの恐ろしさを身をもって知った。
 威力も大きいが、時たまに痺れて行動できるなくなるというが……。まさかこんな時に!
「無理スンナ! 俺りゃあもうちっと大丈夫じゃねェかァ? ああうん、問題ねえぞォ!」
 アルイタイルは血反吐を吐きながら、自分を抑えつける爪の重さが緩い事に気が付いた。
 良く良く考えれば味方だけ攻撃の悪影響を受け、相手が悪影響を受けないはずが無い。
 最初に放った速攻性の神経毒が、今頃に成って効いてきたのだろう。
 象とか即座に昏倒する毒なんだがなァ……とか思いつつ、至近距離から炎の大剣を叩きこんだ。
「そっちこそ無理するなよ。もうちょっとで内臓まで逝きかねない。あーもう……動けよ、俺の身体!」
 想像以上にでかい……その巨体で、あんまり暴れてくれるなよ!
 そんなに退屈なら、俺達が相手するからさ。
 斑鳩はそんな風に思いながら、身体の底から雄たけびを上げる!

 仲間の施してくれた神経伝達の力も含めて、今度こそ、稲妻のブレスを克服した!
 そして前衛役を他の仲間と交替しつつ、累積するダメージに耐える。
「交替しながら行こう! この光に触れる先に在るは艱苦か、其れとも享楽か。知るは汝の身をもって。貫け!」
「そうするか、流石にドラゴンは伊達じゃねえな。……こっちの雷撃はお前のと少し違うぜ」
 太陽を弓に変えて、斑鳩が放つ光の矢。
 それはただ敵を貫くだけではなく、錐矢たちと連携する為の間合いを造る。
 錐矢はそのタイミングで飛び込みつつ、ラッシュを掛けて連打を叩き込むことにした。
 雷電がドラゴンの身体を蹂躙し、その隙に一太刀浴びせる為である。
「ドラゴンさんは速攻型だねェ。命中力と攻撃力はスゴイけどお? 防御力・耐久力はそうでもないんじゃないかな」
「ならありがたいね。……命を惜しむ気はないが、無駄使いする気も無い」
 ソウマが仲間の壁を造るのを見ながら、疾走する錐矢は胸元の煙草を意識する。
 それで迷いを振り切ると、強烈な斬撃を浴びせて飛び退く!
 当然ながら次なる仲間の攻撃を導くと共に、全体を眺めて、最後の切り札を使うべきか見守る為だ。
 ダメージレースでは相手の方が圧倒的に上、だが、仲間が連携できるならば手数の上で勝てる公算があがるはずだ。


「いっぱつデカイのぶちかましな。そうすりゃ、心配も月まで素ッ飛ぶさ」
「はい。皆の与えた傷……無駄にしません」
 ヒスイの声を受けて、クーデリカが構えた。
 さァさ、極楽まで気張って逃げな! とばかりに斬りつけ余波でドラゴンの足元に着火すると、腕を構えたヒスイの上に巨大な爪が見まわれる。
 激高した敵を足場に、喉元へクーデリカは迫った。
「……恐るべきスピードですが、打たれ弱いタイプに間違いありませんね。打撃系が有効と見ました」
「それじゃ遠慮なく……と思ったけど、それは逆襲組に任せるとしようかクーデリカの嬢ちゃん」
 嬢ちゃんではありません。
 クーデリカは血を流すヒスイに目を向けながら、喉を基点にナイフを突き立て滑り台のように降り立った。
 それが皆の与えた炎や毒牙を狙い打つように降下していることに気が付き、ヒスイは埋め込んでおいたスライムを、体内で槍の様に伸ばして一撃分を追加する。
「それでもまだ暴れるか……。さすが……パワーがハンパないな……だが」
 アシュヴィンは呆れたように暴れ回るドラゴンを見つめた。
 少女のジェットコースター攻撃を受けて直、こちらを叩き潰そうとする根性は伊達では無い。
 まさに今、こちらの壁役の一枚を倒したように、逃げるよりも攻撃した方が早く終わると気が付いているのだ、流石は強者のドラゴンである。

 しかし、ソレはこの個体、ケーニヒがアタッカータイプゆえの判断であろう。
 ケルベロス達も満身創痍で総体力は六割以下だが、重傷者が居るだけで傷は広く浅い。
 先発組と、後発組でダメージロールを振り分けたのが大きい。ドラゴンが意図して、追い込んだ訳ではないのだ。
「そろそろ決着をつけようぜ。長引かせたら終わりだってのもあるがな」
「乗ったぞォ。このままやられっぱなしってのは、性に合わないからなァ!!」
 アシュヴィンの提案にアルタイルが即断した。
 開始時の雄たけびを上回る怒号を上げて、全ての指に手裏剣を挟む。
 範囲攻撃を喰らう度に打たれ弱いクラッシャー優先で、ディフェンス陣は後回しな面もある。そろそろ限界が連鎖的に訪れるだろう。その前に、やるべき事ッがあるよなァ?
「さっきの嬢ちゃん見て気が付いたんだが、あんたコレを狙ってんじゃねェかァ? 足場をつくってやんよ!」
「ふっ。コレはいいな、上手く利用させてもらうとしよう!」
 アルタイルが手裏剣を蛇の毒蛇が巻き付くように突き立てると、アシュヴィンはソレを足場に陽気なタップを踊った。
 先ほど下ったジェットコースターとは逆しまに、逆回転の螺旋を描いて登る!
 登れ登れ登れ、チェックポイント1つ経由するたびに、敵へ穿った炎毒が累積して行く。
 それは古来より、英雄すら殺す狂熱となる。
「うーん。このままなら、なんとか勝てそうな気がするんだが……。それはそれとして、きっちり落し前は付けさせねえとな。……リキ、もうちっと辛抱してるんだぞ」
 朔耶は形の良い眉をピクンと上げて、傾きつつある戦いの天秤を見守って居た。
 このままで良い、そうは思いつつも冷静になれないのは家族が傷ついたからだ。
 強烈なドラゴンテイルを受けて動かなくなったワンコを撫で、この借りはキッチリ返すぜと怒りを力に変える。
「ソウマ、あと任せていいか?」
「ウン? ああ、回復はボクの担当だからね。えーと、君のサーバントにも気を使ってたんだけど、体力分、ね。その分だけ頑張らせてもらうよ」
 そこは恨んじゃねえよ。
 朔耶は自分の回復も間にあわなかった事を思い出しつつ、脳裏に描いたイメージを攻撃に切り換える。
 唇を噛み締めながら業炎の……、いや劫炎を放つのであった。


『ginriririri!』
「っここまで来て! チッキショー!」
 ガン、ガン、ガン!!
 堅い物同士がぶつかる音を立てながら仲間の誰かが吹き飛んだ。
 巨大なクローで蹴飛ばされ、サッカーボールの様に転がって行く。
「アルタ……」
「俺に構うなァ! 間にあう、いや、やれる、やれるぞォ! 絶対に逃がすんじゃねェェ。クソトカゲをなァー!!!」
 アルタイルを気使う仲間を制止して、彼は意識を手放す前に一言吠えた。
 戦いは限界同士の争いに持ち込まれ、体力と被弾率の問題で次々に膝を突く事に成る。
 まず最初にサーバント、次に彼。次は最後の壁役か、それとも声を掛けた斑鳩か?
「よし、判った、終わらせて来るよ。……全く、とんでもないもの食ってるな……食うもの位よく選べって。いっくぞー!」
 斑鳩は戦友に軽口を残すと、自分の体力がキープされている事もあり、有りがたく攻撃を敢行する事にした。
 拳を固めてジェットを噴出させると、その勢いに乗って重力波を直接叩き込む!
「時間がねえな。そいつで決めてくれ、露払いは俺が受け持とう」
「構わないよ、これで終わりだ」
 錐矢は二本のロッドを構え、大きな身体を揺すって首をもたげるドラゴンの顔に接近した。
 口元に浮かぶ稲妻を無視して、縫い止めるように雷神を呼び寄せると……。アシュヴィンは死神と化して絶対強者であるドラゴンの首を刈り取るのであった。
 倒せれば良し、倒せなければ……最後の手段が遠慮なく振舞われるだろう。

 そして……。ドラゴンが崩れ落ちる。
「あー。俺の手でトドメ刺したかったな。にしても、どんな味がするんだろう」
「おお。ここで伝説のやり直しでもする気かな? 龍の血というのはドロップ品に扱われるのかなあ」
「そういうのは後にしな! とっととズラかるよ!」
 朔耶がドラゴンの血を舐めてみると、まだ帯電していたので慌てて吐き出した。
 そんな彼女にヒスイは治療を掛けつつ感想を聞いていたら、おおっとアブナイ、ヒスイの神鳴りが堕ちるところであったとさ。
「殿はオレっちが受け持つ。デカイの担いだら走んな!」
「「了解!」」
 そしてヒスイが後ろを守りつつ、即座に帰還する事に成った。
 最終的にサーバントを含む壁役二名が脱落、攻撃役もなんとか体力七割をキープしている状況である。
 安全圏まで辿りつくと、ヘリオンの到着まで座り込む者も現われた。
「それでも。勝利は、勝利、です……」
「を、をい!」
「気絶というか、安心しただけだね」
 クーデリカが座ったまま崩れ落ち、眠そうにし始める。
 そんな姿に一同は掴みとった勝利を自覚し、栄光に変えて持ち帰ることにした。
 人はソレを、……凱旋と呼ぶのである。

作者:baron 重傷:アルタイル・フリードリヒ(クロノスタシス・e03160) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年9月23日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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