湯豆腐は滅びろ

作者:湯豆腐

●湯豆腐、許すまじ
 世界中の人々が訪れ、その荘厳な歴史の片鱗に触れては、誰もが感嘆の溜息を漏らす古都京都。
 そんな京都で有名な食べ物が、言わずもがな、豆腐だ。
 中でも四条河原町の端にある湯豆腐割烹、宇風亭は群を抜いて人気があった。
 連日の行列は当たり前で、週末などは店の周りをぐるりと囲んでしまうほどの盛況ぶりである。
 そんな湯豆腐割烹を取り仕切る由戸 宇風(ゆど うふう)は親しみをこめ、皆からこう呼ばれていた。
 湯豆腐マスター、と。

「では始めるか」
 宇風の朝は早い。
 毎朝4時におきては、豆腐の仕込を始めるのだ。
 開店は11時。
 今日もまた忙しい一日が始まる。
 と、その時。
 どかどかどか。
「だ、誰だっ!?」
 そこに現れたのは果たして、ビルシャナと愉快な取り巻きたち。
「湯豆腐など軟弱な食べ物は許さん! 焼き豆腐こそこの世の至高!! いや、むしろ湯豆腐という存在自体が許せん! こんなもの、こうしてくれるわ!!」
「うわ何をするやめろっ!!! その艶を出すのに豆から選び、何年かかったと思っているんだ!」
「ええいうるさいっ! 黙らせておけ!!」
「やめろーっ! やめてくれーっ!! 開店に間に合わなくなるっ!!!」
 取り巻きに羽交い絞めにされる宇風は涙ながらに懇願する。
「油をひいてこう! 油をひいて、こう!!!」
 しかしビルシャナはそんな宇風を尻目に片っ端から、持参のフライパン(テフロン加工)で並んだ豆腐をじゅーじゅー焼いていく。
「……ふんっ。湯豆腐マスターなどと調子にのっているからこういう目にあうのだ! わかったな!」
 全ての湯豆腐にヤキをぶち入れ、満足げに去っていくビルシャナ。
 がっくりと膝をつき、こんがりと焼き目のついた豆腐を前に涙を流す宇風。
 かくして宇風亭は休業に追い込まれてしまうのだった。
 ああ、何とも痛ましい事件である。
 
●依頼
「豆腐は焼き豆腐に限る、湯豆腐なぞ許せないしねころすまじで滅ぼすと、ビルシャナ化してしまった人間が、湯豆腐マスターである宇風が経営する湯豆腐割烹、宇風亭を襲撃する事件がおきます。また、その信仰に賛同している一般人が配下となっています」
 ケルベロス達に告げるセリカ・リュミエール。
「配下となっている一般人はビルシャナの影響を受けているため、理屈だけでは説得することは出来ません。しかしインパクトのある説得を行うことで、戦わずして配下を無力化することができる可能性があり、そのための演出を考えてみるのも良いかもしれません」
 そこで一息。
 
「ビルシャナの配下となった人間はビルシャナが撃破されるまでの間、ビルシャナのサーヴァントのような扱いとなり、戦闘に参加します。ただしビルシャナさえ倒せば元に戻るので救出は可能ですが、配下が多くなれば、それだけ戦闘で不利になるでしょう。ビルシャナは焼き豆腐(模型)による近接攻撃(鈍器として)、焼き豆腐(模型)による遠距離攻撃(無骨に投げつける)を主体とし、また、焼き豆腐(本物)を食べ、回復をはかろうとしてきます」
 一同を見渡すセリカ。
「ビルシャナとなってしまった人間を救うことは出来ませんが、これ以上被害が大きくならないよう、確実に撃破をお願いします。それと、うまくいけば湯豆腐マスターである宇風さんから、美味しい湯豆腐を振舞ってもらえることでしょう」
 ちなみに私は湯豆腐のほうが好きです、と告げ、セリカは手帳をパタンと閉じた。


参加者
ティセ・ルミエル(猫まっぷたつ・e00611)
風藤・レギナエ(啼き喚く極楽鳥・e00650)
クリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)
ルル・サルティーナ(ドワーフのミュージックファイター・e03571)
ラランジャ・フロル(ビタミンチャージ・e05926)
アディアータ・リンディ(ヴァイオレットウィッチ・e08067)
白・常葉(ここに称号・e09563)

■リプレイ

●僕たちは、待っていたんだ
 ケルベロス達は、ゆっくりとした足取りで歩みを進める。
「四角いものは良いものだ。角が丸くなるのもまた良いもんだ。それで旨けりゃ完璧ってな。俺は湯豆腐には柚子胡椒派だな。やさしい湯豆腐にぴりっと刺激が加わって、あったかさで柚子が香り立つ最強コンビだ! 酒にもたまんねぇんだよな……」
 涼しげな表情を浮かべるゾゾ・シュレディンガー(被染・e00113)。
 ガラスの目玉をキラリと光らせ、なんとか歌劇団的な男装に身を包むゾゾは、見た目ほぼ軽いにーちゃんである。
「お豆腐はどんな調理方法でも美味しいの! 気付いてないのかしら? 焼き豆腐が好きなら湯豆腐だって好きになれるはずよ?」
 人類皆豆腐理論を唱えるアディアータ・リンディ(ヴァイオレットウィッチ・e08067)。
「一にも二にも勢いで押しきる。美味いっちゅー心は理屈やあらへん」
 かつて美食の鬼であった先人の教えを説く白・常葉(ここに称号・e09563)。
 気楽に楽しくテキトーにがモットーの中年、自称イケメンお兄さん(38)である。
「湯豆腐マスターさんを助けないとなのです。休業なんて絶対ダメですよ。いつも待ってる人がいるのですから」
 ヘッドホンの位置を確かめながら、ティセ・ルミエル(猫まっぷたつ・e00611)は真剣な面持ち。
 かわいい顔してそんなことを言われたら、お父さんはきっと涙とかいろんな汁を、ありとあらゆる穴から垂れ流しつつ、むせび喜ぶに違いない。
「湯豆腐MSをピンチに陥れるたァ、許すワケにはいかねっスよ! ……ん? あり? 人違いッスか?」
 ぐぐっと拳を握るラランジャ・フロル(ビタミンチャージ・e05926)。
 うむ、人違いではない(確信)。
「湯豆腐さんは自分の様な異端者をも等しく受け入れ癒してくれる至高の食材だって、近所のおっちゃんが言ってたんだよ! ……晒したらアカン物体を陳列して20回くらい捕まっている、ちょっとお近付きになりたくない全裸の人だったけど……あれ? それじゃ湯豆腐さんを助けない方が良いのかな? ……あれ? あれれ?」
 ルル・サルティーナ(ドワーフのミュージックファイター・e03571)は歩みを進めながら、自問自答に没頭中。

 と、そんなこんなあり、かくしてケルベロス達は宇風亭へと足を運び入れるのだった。

●湯豆腐大好き
「どーん! たのもー! です!」
 がらがらぴしゃん! ばーん! と引き戸をぶち開けるティセ。
「な、何だおまえらは! 邪魔をするな!」
「あー、ここ、いいッスかね?」
 ビルシャナ達をガチ無視しながら準備に取り掛かるラランジャ。
 取り出したるは土鍋、カセットコンロ一式などの湯豆腐調理道具一式だ。
「みなさーん! 百聞はひと食べにしかず! わいわい楽しく湯豆腐食べてみぃへん?」
 ぱんぱんと手を叩く風藤・レギナエ(啼き喚く極楽鳥・e00650)。
 その言葉にラランジャは早速調理にとりかかる。
 土鍋に水を注ぎ丁寧に昆布を敷き、こなれた手つきで豆腐に包丁を入れ(もちろん手の上)れば、ちゃぽりと土鍋の中に落とし込む。
 こぽぽ。
 ほどなくして湯が豆腐、いや、沸騰をはじめる。
 鍋の中ではきらりと光る真珠のようなお豆腐。
「完全に沸騰させてしまうとせっかくの豆腐の風味が損なわれるッス」
 そして頃合を見て火を止め。
「はい、特製湯豆腐の出来上がりッス! 俺のお勧めは、東海地方に売ってるそのまま使える味噌ダレっす! 皆サン豆腐は好みの方を選ぶっスよ! きめ細かい舌触りが良かったら絹ごし、しっかりした歯ごたえが欲しかったら木綿ッス!」
 かくして、それぞれ持ち寄ったお勧めの調味料をつけての品評会の開催だ。

「さー、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 今日のおすすめは湯豆腐! 湯豆腐やで! この滑らかな語感! 湯豆腐! 言うてみ、ゆどうふ!」
 ばんばんばん、とハリセンをぶっ叩く常葉。
「ほれ、口からするりと出てまうこの名前! つい言いたくなるやろ、湯豆腐くださいて!」
「ゆ、ゆど……いや、だめだ! 俺達は焼き豆腐の方が……っ!」
 かつてない誘惑に、必死に抗う信者達。 
「ふぅん……なかなか手強いじゃない。でも、そもそも貴方たち湯豆腐を否定するって事は豆腐自体への否定と同じだって分かってる? そんなので本当に焼き豆腐こそこの世の至高って言えるのかしら?」
 そんな信者達を尻目に、アディアータは持参した醤油をつーっ、とかけ、早速湯豆腐をいただき始める。
「ただあったかいだけじゃない湯豆腐マジ神秘。焼き豆腐も確かに旨い。しかし湯豆腐のこの包容力! 優しさ! 食いたくなると他じゃ替えがきかねぇよな。重曹入れても旨いとか聞いたぜ」
 たこ焼きを初めとするジャンクフードスキーなゾゾだが、湯豆腐のシンプルさに初見で度肝を抜かれたことを思い出す。
 なお、舌を火傷したのはほろ苦い思い出だ。
「麺つゆは複雑な味わいが完成しとる神秘の調味料や。神秘と神秘が組み合わさった至高の食いモン。それが――湯豆腐。ほい、名を裏切らん舌触り! 喉越し! 楽しんでな! 湯豆腐食わんなんて損しとるで? 俺は湯豆腐でこのイケメン保っとるし、湯豆腐その物がイケメンやから自然とそうなる」
 これでもかとイケメン力をアピールする常葉。
 ちなみに常葉は38歳である(二回目)。
「湯豆腐って名前とは裏腹に別にお湯じゃなくても良いのですよ。白湯スープも美味しいですし豆乳なんて豆腐好きには堪らないよ。でも今回あたしが用意したのはとある温泉の湯豆腐! ここに豆腐を入れるととろとろ溶けちゃうのです。そして食べた人もとろけちゃうのですよ~。絹ごし豆腐ならではの食感をお試しくださいな。あ、重曹入れても簡単に同じこと出来るよ。でも焼き豆腐も素敵ですよね。あたしにもくださいです」
 くださいですと言いつつ信者の手から速やかに焼き豆腐をもぎとり、用意した白湯スープに無骨にじゃぼんするティセ。
「湯豆腐には焼き豆腐さえ許してしまう包容力があるのです。そこが魅力的なのですよ」
 そして最高の笑顔。
「湯豆腐にも焼き豆腐にも貴賤なし! それがわからぬとは、お話にならねーおこちゃまですの」
 毅然とした態度で信者達に向かうクリームヒルデ・ビスマルク(自宅警備ヒーラー天使系・e01397)。
 満を持しての登場だぜ?
「しかし、敢えて言わせて貰おう。焼き豆腐には望んでも到達できぬ高みの一端を。焼き豆腐にないもの。それは……和食を語るには離せぬ、昆布との親和性! 豆腐という絵筆を走らせるために必須ともいえる、ダシと言う名のキャンバス。それを昇華させた存在こそ湯豆腐」
 ざわざわ。
 ざわざわざわ。
 よくわからないが、なんとなくいいことを言っている気がする。
「確かにその通りだ!」
 迷いが晴れたといわんばかりに、キラキラと目を光らせる信者達。
 え! 今ので!?
 そしてついに会場はマックスボルテージである。
「ゆどうふ! ゆどうふくだしあ!!」
「よっしゃ、オーダー入りました!」
 手をあげる常葉。
 ものすごい勢いでさらに湯豆腐を作り始めるラランジャ。
「焼き豆腐かて旨いけど食べ過ぎたら胃もたれしてまう! そんなオレ、三十路ちょい手前! でも湯豆腐やったらさっぱりイケる! 三十路手前のオレでも!!」
 もりもり湯豆腐を食す三十路手前のレギナエ。
「俺の薬味は紅葉おろしっ! この鮮やかな赤いおべべを着こなせるのはガングロちゃんな焼き豆腐やなく、色白美人さんな湯豆腐やねんな~……な、自分ら清純女子をオレ色に染めたない?(お好みの薬味で)。ほーれいっき! いっき! いっき!」
 手を叩きながらいっきコールをしつつ、自らもがぼがぼ湯豆腐を流し込む三十路手前のレギナエ。
 かくして宇風亭は阿鼻叫喚の豆腐絵図だ。
「……」
 そんな中、一人浮かない表情のルル。
 一体どうしたというのか。
「……大体、焼き豆腐さんでも湯豆腐さんでも、調理してあるだけ、まだ良いんだよ……。ルルなんか、お母さんがお父さんの女装癖にウンザリして実家帰っちゃって、ここしばらく、枝豆・竹輪胡瓜・冷奴のエンドレスワルツなんだよ……」
 え?
 あ、はい。
 そして、
「やめろぉおおお! その鍋を持っていかれたら、今月の生活が! 生活がぁあああ!」
 何の前触れもなく、信者達を羽交い絞め。
 食べてるのに。

●計算しつくされた戦い
 かくしてビルシャナは、儚くも美しい孤高の存在となってしまった。
 ゾゾはマルチプルミサイルをメインに、見切られないように都度切り替えて攻勢。
「しっかり飛んでろな」
 ミコトはディフェンダーで援護(しっかり)。
「いって! マジ豆腐の角に頭ぶつける日が来るとは……嬉しくねぇわ……」
 時折ビルシャナから、ぽいすぽいすと焼き豆腐(模型)を投げつけられるものの、どうということはない。
「水炊きよりも湯豆腐なのです!」
 ティセは確実度優先でビルシャナに攻撃。
「なんかええモンあったかなぁ~?」
 三十路手前のレギナエは極楽堂のふしぎ道具(土鍋を出しておもくそぶん殴る攻撃)をメインに戦う。
 なお、焼き豆腐の角でぶん殴られた仲間に対しては、極楽堂のふしぎ道具(大豆プロテインサプリ出して元気になりマッスル!)で回復を実行。
 極楽堂のふしぎ道具の便利さには、巷のわがまま奥様も大興奮である。
 皆様お困りの際は、胡散臭い雑貨屋、極楽堂に是非お越しください!
「よーし、パパがんばっちゃうぞー」
 クリームヒルデはluminous console(しゃれおつ感グンバツ)で仲間を強化。
 湯豆腐の良さを最大限引き出す昆布のように、可能な限り仲間が最高のパフォーマンスを発揮出来るように、と立ち回る。
「いかに作り物といえど、信奉する焼き豆腐を投げるなど……信仰を投げると同じ! 豆腐は木綿。薬味はもみじおろし派。こだわりは昆布なおねーさん惨状。おねーさんのために至高の湯豆腐を作ってくれてよくってよ? 何! 焼き豆腐にはすき焼きがある? 未熟千万! 牛肉と言う主役に頼るなど、最初から焼き豆腐を脇に追いやる愚挙。己から主役を明け渡すと同義と……何故、わからぬ! 豆腐が主役でなければ無意味! あ、昆布は利尻昆布用意済。味と香りがダンチだぜ! さらに」
 口と手を休まず同時に動かし続けるおねーさん、クリームヒルデ。
「さあ、おあがりよッスよ!」
 ラランジャのビルシャナへの攻撃は最初っから手加減なしッス。
 見切り防止にグラビティは交互に使って燃やしたり凍らせたりするッスよ!
 燃やされたり凍らされたりされるビルシャナは、もう大変ッス!!
「いった!! 何よこれ!? ……かわいい」
 ぶん投げられた焼き豆腐がドタマにぶち当たるが、それをそっと懐にしまうアディアータ。
 かわいいなら仕方がない。
「あー、湯豆腐さっきので最後やわ。弾で堪忍な!」
 常葉の初手はクイックドロウ。
 以降は見切りに注意して命中の見込める中から大体で高威力の技を使用していく。
「ええいっ、最早これまで! せめてこんなもの、こうしてくれるっ!」
 ついに終わりを悟った(早い)のか、土鍋に手をかけるビルシャナ。
「あぶなーい!」
 刹那。
 ルルは考えるより先に行動していた。
 理屈などない。
 目の前のキミ(鍋)を護りたい。
 ただ、それだけのために。
「とどけー、とどけー、とどけー……!!!」
 なりふり構わず手を伸ばし、飛び込むルル(すろーもーしょん)。
 もくもく。
 もくもくもく。
 あたりに湯煙が立ち込め、晴れた先には。
「危ないところだったね……ルルが来たからには、もう、大丈夫」
 愛おしそうに鍋を抱えて。
 これ以上ない優しい笑みを浮かべて。
「うん……うん、怖かったね……? もう、絶対離れないよ……うん、一緒に、帰ろう?」
 もはや涙を誘わずにはいられない、超絶名シーンが会場に感動の嵐を巻き起こす中、皆様いかがお過ごしでしょうか。
 元信者達も思わず号泣。
 しかし待っていただきたい。
 皆様は覚えていらっしゃるだろうか?
 その土鍋はラランジャさんのものだということを。
 さらになりふり構わず飛び込んだものだから、あたりに機材は散乱しているし、鉄板の上をゴンロゴンロしたものだから、ルルさん、あなた背中焦げてますけどー!
「……大丈夫、後でスタッフがおいしく頂くんだよ」
 あ、はい。
 ちなみに機材は蹴飛ばしてもお豆腐さんは蹴飛ばさなかったのは流石というところだNE!
 そして。
「焼き豆腐にだって……昆布ダシ入りポン酢があるじゃないか! 泣くなよバッキャロー!」
 クリームヒルデの魂の一撃(ずっとしゃべってた)により、ビルシャナはその生涯を終えたのである。
 実に計算しつくされた戦いであったことは言うまでもない。

●湯豆腐は滅びない
「いやー、やっぱ湯豆腐うめぇな。けどこれはいつもの湯豆腐……湯豆腐マスターの湯豆腐ってどんなんだ?!」
「ぜひ素材の味を生かした湯豆腐で味わってみたいッスよ!」
「もちろん、皆さんのために腕をふるわせてもらうとしよう」
 ゾゾとラランジャのおねだりモードを快く引き受ける宇風。
 今日は宇風亭は臨時休業だ。
 あくまで臨時休業だ。
「これで湯豆腐マスターさんはいっぱいお仕事出来ますね。本場の湯豆腐、食べたいのです……湯豆腐が大好き過ぎて、湯豆腐マスターさんまで好きになってきた気がしちゃいます……お願いです、湯豆腐、食べたい、です……」
 湧き上がる気持ちを抑え切れずキラリと輝く零を伝わせるティセ。
 うーん、よしわかった、ティセ、お父さんと一緒に帰ろう!
「ただの湯豆腐も美味やけど、湯豆腐マスターのは一味違う! 朝も早よからじ~っくり時間をかけることによって、個性的で魅力あふれる最高級のリプレイ……もとい、お豆腐が出来上がんねんっ!」
 びしぃっと、サムズアップする三十路手前のレギナエ。
 そこまで言っていただけるとは
「実は麻婆豆腐がいっちゃん好きやけどっ!」
 って、ずこーっ!
「流石、湯豆腐マスターねっ!!」
 先ほどラランジャの湯豆腐をたらふく食べたものの、宇風の作る湯豆腐は別腹といわんばかりに箸を進めるアディアータ。
「これは事件です」
 木綿豆腐と利尻昆布のマリアージュに驚きを隠せないクリームヒルデ。
 きっと明日は本気を出せる。
「マスター! 湯豆腐おかわり! いやー、家に一人湯豆腐マスター欲しいわー」
 常葉はぽこぽこと湯豆腐を食しつつ、ちょっとだけ飲みも入れながらご満悦。
「で……鍋でどう生活するんだって? ……どう生活するんだろうね?」
 首を傾げながら、ふと呟くルル。
 いや、知らんけど。
 というかさっき、一緒に帰ろうって言ってたじゃない……。

作者:湯豆腐 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年7月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 5/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 3
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