飛行する卑しい豚たち

作者:緒方蛍

「ぬぅ……量産型とはいえ、今の実験じゃァこれ以上の性能は出せないなァ……。これ以上の性能を得るには、新たな因子の取り込みが不可欠……」
 ならばどうするか。ラグ博士はその答えをもう知っている。
「おいおまえたち、ちょっと人間の女を襲って、子を生ませろ」
 飛行オークたちの新たな子孫。それは何を意味するのか。
「おまえたちが生ませた子孫を実験体にすることで、飛行オークはさらなる進化を遂げるだろう……!」
 博士の周囲のオークたちが歓声をあげる。進化のために喜ぶのではない。女たちを蹂躙できる喜びからだった。
 

「今日ちょー暑くない?」
「ちょっと、スカートばたばたしてあおぐのやめなって。誰が見てるかわかんないのに」
「えー、平気でしょー」
 夕方の校門前は下校で賑わう生徒たちに溢れている。女子校であるこの学校も例外ではなく、どこか華やかな賑やかさがある。
 オークたちはその近くを滑空していた。女子高生たちの声に応じるかのように、耳と触手がぴくぴくと動く。
 そして――各自が狙いをつけた女生徒へと襲いかかった!
「キャーッ!」
「やだぁ、何ぃ?!」
「ヤダヤダ、助けてぇ!」
 ひとりでも多くの女を、という欲望に忠実な触手が、逃げ遅れた女生徒たちの腕や足首に絡まり、幾人かはその場に引き倒された。
 服がビリビリに裂かれ、だらしない口許からよだれを垂らすオークたちに囲まれた女生徒たちは恐ろしさのあまり、声も上げられないで身を竦めている。
 半裸となったひとりの女生徒の脚に絡みついた触手が足首からふくらはぎ、太腿へと這い上がり、腕に絡んだ触手はやわらかな胸元へと伸ばされる。
 女生徒は恐怖に引きつった表情、そして瞳には絶望しか浮かばず、いくつかの悲鳴が虚しく響いた。
 
「龍十字島のドラゴン勢力に、新たな動きっす」
 黒瀬・ダンテは姿を見せるとすぐに口を開いた。
「今回事件を起こすのは、オークの品種改良を行っているドラグナー、マッドドラグナー・ラグ博士が生み出した、飛空オークっていう、飛行型のオークっす。飛行っていっても高い場所から滑空して目的の場所に移動するだけで、自由に飛び回ることはできないみたいっすね」
 しかし高所から滑空しつつ襲撃目標である女性を見つけ出し、その場に直接降下するというのは、襲撃される側としては脅威にしかならない。
「皆さんにはこの飛空オークに襲撃される女性たちを守り、やつらを撃破してほしいっす」
 ダンテはケルベロスたちをぐるりと見回す。
「飛空型オークは滑空しながら目的の女性たちを探すんで、事前に女性たちを避難させると、予知と違う場所に降下して事件が阻止できなくなるっす。なんで、女性たちの避難は、オークが降下する直前から行って欲しいっす」
 避難を行わない場合でも、オークが好む行動を女性たちが行わなかった場合には襲撃場所が変わる可能性もあるという。
「そういう可能性がある場合は、女性のケルベロスがフォローして、オークが好きそうな行動をするのがいいと思うっす」
 ケルベロスが一般人の代わりに標的になるなら、それはそれで目的が果たしやすくなると思われるからだ。
「オークたちの下品な目的は打ち崩すしかないっす! 皆さん、絶対に女性たちを救って欲しいっす!」
 ダンテは力強く言い、信頼の目をケルベロスたちに向けた。


参加者
水無・ゆかり(目指せ未来系女子高生・e00258)
リーズグリース・モラトリアス(怠惰なヒッキーエロドクター・e00926)
フォーネリアス・スカーレット(空を蹂躙する突撃騎士・e02877)
狩魔・夜魅(シャドウエルフの螺旋忍者・e07934)
フィリス・ラウツェニング(黒艶の翼・e16875)
キャロル・ツヴァイ(瞳の中の暗殺者・e23336)
小柳・玲央(剣扇・e26293)
マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)

■リプレイ

●始まりの女子校
 セクシーなアルバイト制服でティッシュ配りをしているのがケルベロスだとは思わない。マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)のかりそめの姿だ。
 校門の傍に植えられた木の影で、華奢かつ巨乳のマネキンにかぶせたウィッグと着せた制服を整えている人影。手袋、タイツにブーツ、加えてロングコートという隙のないスタイルでいるのはフィリス・ラウツェニング(黒艶の翼・e16875)。
「ふむ……これでいいか」
 翼飛行で少し高い位置から不自然のないように確認も怠らない。女子校生にケルベロスカードと女の子らしいかわいいポプリの袋で協力してもらって会話を録音したものもセッティングした。
 女子校生に混ざって制服を着ているのは水無・ゆかり(目指せ未来系女子高生・e00258)、リーズグリース・モラトリアス(怠惰なヒッキーエロドクター・e00926)、小柳・玲央(剣扇・e26293)だ。
 借りた制服の胸元をぱたぱたと仰ぎながら玲央が暑いと溜息を吐く。ギリギリ見えそうで見えないあたりが悩ましい。
「制服、おかしくないよね?」
 ゆかりが穿いたスカートは規定よりだいぶ短くしてあり、かがむとたぶん見える。そうして見えそうで見えないようにくるりと回ってリーズグリースに確認を求めると、彼女はこくんと頷いた。足許でゆかりのオルトロス、ブリュレも頷く。
「私、も」
 膝上よりだいぶ短いスカートをひらひらとさせるのはチラリズム至上主義がその場にいれば心がさぞ沸き立ったことだろう。
 彼女たちよりさらに少し離れた位置にいるのは狩魔・夜魅(シャドウエルフの螺旋忍者・e07934)だ。
「しまった。ヨーヨーも用意しときゃよかった」
 彼女のスタイルはセーラー服だが、スカート丈はくるぶしに届くほど長い。ただしよくよく見てみればサイドにスリットが入っていて、すらりとした脚がちらちらと覗く。
 マルレーネの近くで空からやってくる敵、上空へ鋭い目を走らせているのはキャロル・ツヴァイ(瞳の中の暗殺者・e23336)。そのそばで溜息を吐いたのはフォーネリアス・スカーレット(空を蹂躙する突撃騎士・e02877)だ。彼女はいつも装備している装甲よりも薄く、かつ太腿のあたりを露出させている。さすがに板金鎧では浮くと判断したらしい。
「飛べようが豚は豚よ! 私の空を汚すなんて……絶対に、許さないから」
 固く決意して下校する女子校生たちに紛れていく。その背中をちらりと見送ってまた空へと視線を戻すと、素早くマルレーネに目配せをした。マルレーネはさらに仲間たちへ合図を送る。
 来る。
「若イ女ヨリドリミドリ!!」
 下卑た声が上空からした時には、避難が開始されていた。
「皆、こっちが安全だ。こちらへ!」
「こっちですよ、落ち着いて! 大丈夫ですから」
 マルレーネとキャロルが、夜魅の放つ殺界から慌てて逃げる生徒たちを誘導する。
「逃ゲルナ!」
「追エ!」
「お前らっ! オレ等の縄張りで、好き勝手すんじゃねえっ!」
 女子校生の背を滑空で追いかけようとしたオークの間に、夜魅が割り込む。オークは不意を突かれた顔をしたが、夜魅が女だということとスリットから覗く脚、太腿を見、喜びの声を上げた。
「女ダ!」
 オークの肩から生えた触手が伸び、夜魅の腕や脚に絡みつく。
「く、そお……!」
 言葉よりは悔しそうな顔をせず、背後を窺う。このままでは一般人への被害が出そうだ。
(「もう少し時間を稼ぐか」)
 腕を引くが、触手はほどけそうにもなかった。
「やれるものならやってみなさいよこの卑しい豚野郎! オークなんかに絶対負けないんだからね!」
 挑発しているのはフォーネリアスだ。途端に彼女の近くにいたオークが憤怒の表情になる。

●蹂躙する豚ども
「あちらが安全だ、落ち着いて!」
 生徒たちを誘導しているマルレーネの背は大きく開いていて、スカートも短い。おまけに体にフィットするラインの制服だから、未成熟だが悩ましいスタイルが丸わかりだ。
 オークが目を付けないわけがない。
「ゲッヘヘ……オトナシクシロ!!」
「かえって好都合だが……好きにはさせない!」
 伸ばされた触手から紙一重で逃れると、ペトリフィケイションを叩き込む。それでもなおオークは好色の顔を隠さない。
 一方。
「あなたの好きな女の子はここですよ!」
 オークの1体を引き付けているのはゆかりだ。なるべく校門前から遠ざかるように、かつオークを挑発させるように、飛び跳ねるように動いては大きな胸をたゆんたゆんとさせている。
「待テ~!」
「そのノロマな触手で捕まえてみたらどうですか!」
 ゆかりの失敗は、引き付けているオークがその1体だけだと思っていたところだ。伸ばされる触手を身軽に避けていたが、横から伸ばされた触手に気付いたのはブリュレだけだ。
「どうしたのブリュレ、……きゃあっ!」
「ツーカマーエター」
 両腕ごと体に触手が巻き付いてくると、脚でじたばたと動くしかなくなる。そのたびにスカートがひらひらとして絶対領域がちらちらとしていることにゆかりは気付かない。
 下品なオークの触手がさらに一本、脚の動きを封じるように片方の足首に巻き付く。
 その横で、リーズグリースはスカートをはためかせ、くるりと回って背後から追ってくるオークの手をかわす。
「これ以上先にいかせない、よ」
 1サイズ小さい制服は、どう見ても胸のあたりがキツそうで、ボタンとボタンの隙間から肌がちらちらと見えている。そうして、気のせいでなければその下は――。
「きゃっ?!」
 脚に、細めの触手が絡みついた。そうして次には両手首をまとめられるように締め付けられる。頭の上で吊り上げられるような格好にされると、サイズの小さい制服は臍あたりから胸の下あたりまで素肌があらわになった。
「オトナシクシテロヨォ……」
 オークの別の触手が伸びてきた。
「くそっ、放せえ! この醜い豚めっ!」
 オークに罵倒を浴びせているのは、長いスカートの半分ほどを解かされた夜魅だ。
 足首から太腿に巻き付いた触手はぬめっていて、ゆっくりと這い上がってくるたびにぞわりと生理的な嫌悪感を抱かせる。避難させた生徒たちから気を逸らすためにわざと捕まったが、なかなか脱出の機会を見出せない。
 そうして細い触手が、太腿から徐々に形のよい尻へと這い上がっていった。
「……はっ!!」
「ウゴアッ?!」
 夜魅を吊るしていたオークの背後から惨劇の鏡像を叩き込んだのはキャロルだった。触手の力が弱まった隙に、なんとか逃れて距離を取る。
「キャロル、助かったぜ!」
「大丈夫ですか?」
「ああ。……くそっ、体中ベトベトして気持ち悪いぜ……」
 そうして、フィリスのマネキンに気付いたオークがいた。
「オッ? コンナトコロニ女ガ……ヒャヒャ、カワイガッテヤルヨォ!」
 何も知らずノコノコと触手を伸ばしてくるオークに、間合いを計っていたフィリスが背後から姿を現すと鼻で笑う。
「残念、外れだ」
 そうして続けて小さく呪を詠唱する。
「昔日の地より訪れよ……斃れし者たちの憤怒、怨嗟の禍殃を打ち振るえ!」
 オークに襲いかかるのは古、理不尽に斃れた者たちの怨嗟。凝縮されたそれをもろに受けたオークは、何度も殴られたかのように吹っ飛ぶ。
「グアアアアアアッ!!」
「……乙女の敵は呪殺だ」
 もげろ、と無情に言い放つ(触手に対して)。
 転がった先には先ほどキャロルの攻撃を受けて這いつくばっているオークがいる。2体だけではない。
「霧に焼かれて踊れ……!」
 マルレーネが発生させたのは桃色の霧。ただの霧ではない。『焼霧嵐舞陣(アシッドストーム・ピンク)』、強酸性のそれに包まれ無事で済むわけがなかった。
「ギョアアアッ」
 マルレーネとともにそのオークと対峙していたフォーネリアスは素早く上空へ飛行していた。槍を構えると高らかに宣言する。
「この一撃なら貫けない物なんて無い! カルネージウエポン、セット。これが、航空騎士乾坤の一擲の一撃!」
 急降下突撃よッ! と言った時にはもうオークめがけて急降下している。『C.W.BRIGANDIN VAC(ブリガンダインヴァーティカルアサルトチャージ)』だ。
 この突撃は上空から降下する勢いで敵を地面に串刺しにする一撃だが、タイミングよく水平飛行へ移行しないと自分も地面に突き刺さる。
「きゃあああああっ?!」
 突き刺さるまではいかなかったものの、着地には大きくバランスを崩した。体を地面に打ち付ける――その前に彼女を打撲から救ったのは仲間の手ではない。
 オークの触手だった。
「ちょっと……何するのよ!!」
「グヘヘ、女ダ……!」
 オークは相手がケルベロスであるということはどうでもいいらしい。フォーネリアスは触手にきつい締め付けを喰らう。
「っ……、殺せ、なんて言わないわよ……ぶっ殺すから、全員」
 青の瞳に殺意が宿る。
 その時だ。
「暑いね」
 ぽつりとつぶやいたのは玲央だ。場違いにも聞こえた言葉に、オークの目が集まる。それは玲央が制服のシャツをひとつひとつ、見せつけるように外していったからだ。
「ふふっ……待ってくれるのかい?」
 最後までボタンを外し終え、素早く脱ぎ捨てる。制服のスカートも同様に脱いだ。だが、シャツの下はオークの期待通りだったわけではない。
 ストリートスタイル。チューブトップにショートパンツ。
 裸ではなかったわけだが、それでもオークが喜んだのは、肌の露出が増えたせいだろうか。
 玲央が、ちらりとある人物に目配せをした。
「グボアッ!?」
 突然、横っ飛びにオークが吹っ飛んだ。
「豚の好きなようにはさせねえぜ!」
 オークの魔手から逃れた後にすぐさま『螺旋掌・獣牙』で壊アップしていた夜魅の稲妻突きによるものだ。その隙にフォーネリアスは触手から逃れ、愛槍のフェイス・オブ・ドラグーンを手に取る。
「アンタたちは存在そのものが罪なのよ! 全員串刺し刑!」
 グレイブテンペストの鋭い一撃に続き、目立たない木陰にいたキャロルが素早くオークに忍び寄る。
「……殺った」
「ッゴアアアアアアアッ」
 宣言した時にはオークは血しぶきを上げている。一匹はもうぴくりとも動かなくなった。『影伏せ』だ。
 二匹のオークの目が、好色から殺意に切り替わったように見えた。だが怯むケルベロスではない。
「女性の敵」
 汚物は消毒、とマルレーネが呟く。そうして繰り出されたのはアイスエイジ。氷のつぶてに撃たれたオークは醜い悲鳴をあげるが、それを見るマルレーネの目は冷ややか。
「……楽に死ねると思わないこと」
「マルレーネの言うとおりだ」
 続けるようにオークの片割れに時空凍結弾を放ったのはフィリス。
「いい加減、滅べ」
 言葉は時空凍結弾よりなお冷たい。
 そうして三匹のオークが灰となった。

●終着へ向かい
 一方、ゆかりとリーズグリースはオークたちと対峙していたが、まともに戦えてはいなかった。
 ふたりともオークの触手に目隠しをされ、腕も封じられている。何を、どんな攻撃を受けるのか、視界が閉ざされていては何もわからない。
 リーズグリースの胸にびしゃりと、粘液めいたものがかけられた。溶解液だ。服の胸元が溶かされ、オークを釣るためと下着を着けていなかったことがあだになり、素肌があらわになる。
「なに、する、の……ひゃあっ」
 素の胸へ、ぬめった生暖かいものが這いまわる。不快しか与えてこないそれがぬるぬると胸を揉みしだき、敏感な箇所を舐めるように撫でてくる。
「やめ……、は、ぅぅ、が、我慢……」
 暴れようとしても頭上に腕を縛られたままでは抵抗らしい抵抗もできない。そうして胸を揉まれ、ぬめぬめと撫でられていくうちに腰が砕けていくような気がした。
「グヒヒヒヒ、口デハ何トデモ言エルナァ?」
(「そんなこと、ない、のに」)
 下卑たオークの声が聞こえるが、反論ができない。口から零れるのは否定ではなく、意味をなさない言葉の切れ端。
「ん、んん……っ」
 隣で縛り上げられているゆかりは、ただうめいているのではない。口中に太い触手を突っ込まれ、喋られなくされているのだ。いっそ噛み千切ろうともしたが、顎をいっぱいに開かされていてそれも難しい。
 触手は縛り上げたことで強調された大きな胸と、スカートの中の足へ絡みつく。
(「きもち、わるい……っ」)
 心の中の叫びがオークに届くはずもない。その間にも細い触手がシャツのボタンの隙間から、あるいはスカートの下の下着へと焦らすように這っていく。動くたびにぬるつく触手の感触が不快で、自由がきくならとっくに切り落としてやっていた。
「ぁ……ん、ぅん……ッ」
 いよいよオークの触手が誰にも触られたことがないような場所に侵入しようとした時だ。
「グルルルッ」
「ウワアッ」
「痛エッ」
「ギャアアッ」
「そこまでだ!」
 ゆかりのオルトロスであるブリュレ、フィリスのミミックのゲヘナ、キャロルの血襖斬りの一撃。無防備な背中に受けたオークたちの醜い悲鳴とともに触手の力が緩む。
 その隙に玲央たちがふたりを救出した。
「た、たすかりました……」
「ありがとう、ね」
「いいよ。……リーズグリース、これ良かったら着て」
 そう言って玲央が差し出してくれたのは、先程脱いだ制服のシャツだ。リーズグリースはさらに礼を言うと、シャツを着て胸元を隠す。
「焼けるがいい」
 そう言ってドラゴニックミラージュをオークの1匹へ叩き込んだのはフィリス。
「そのまま炎で丸焼き、ね」
 続けてファイアーボールを放ったのは体勢を立て直したリーズグリースだ。
「食べるつもりはないがな」
「おいしくなさそう、ね」
 笑ったのが最後の戦いの合図だった。

●お疲れ様!
「これで、最後よ!」
「諦めて逝っとけ!」
「……トドメね」
 ゆかり、夜魅から続いた攻撃に、キャロルが達人の一撃で最後に残ったオークを斬り裂く。
「グ、ウウウ……」
 どさ、と醜い体が地に斃れた、と思った次には灰になって消えていく。
 ようやくの勝利に、8人のケルベロスと2体のサーヴァントはほっと息を吐く。
「倒壊したところはほぼなさそうだな」
 マルレーネが周囲を見回して頷く。
「……カラースプレーで……」
 学校の壁を見ながら何事か書いてみようかと考えている夜魅の隣で、リーズグリースとゆかりが息を吐く。
「お疲れさま、ね。疲れた、よ」
「私も疲れたし……シャワー浴びたいな……」
「フィリスはその格好で暑くなかったの?」
 キャロルの問いに頷く。
「オークに見せる肌など持っていないからな」
 その後ろで、オークが消えたところを睨み、溜息を吐いたフォーネリアスに玲央が声をかける。
「どうしたの?」
「ううん。……今回は一応、ドラゴンに繋がってる分マシよね……」
 ぼやくように言い、溜息を吐いた。
 こうして8人のケルベロスたちによって平和は守られたのだった。

作者:緒方蛍 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年6月10日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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