
「おーい、なんか食ってこうぜ!」
「ヤバッ待ち合わせの時間に遅れちゃうっ」
「そろそろ仕事に戻るか、この調子だと今日も残業だな……」
日差しの強い昼頃、地球人、レプリカント、ドワーフ、他にも色々な種族が雑多な街角を行き交う。
それは平穏ないつも通りの光景だった。
だがその穏やかな空気は突如として破られる。地を揺らす振動と破壊音。見れば巨大な牙が5本、地面に突き刺さっていた。その牙はみるみるうちに姿を変え、両肩に十字と星のマークがある白銀の鎧を纏った骸骨となって歩み出す。
「ワレワレはクルセイダーズ。ヨロコべ、キサマらは、スターブレイカーサマにササぐクモツとなるのだ!」
「ゾウオし、キョゼツせよ、そのスベてをスターブレイカーサマにササげるのだ!」
骸骨の手にする上下に剣のついたゾディアックソードが近くにいた通行人の胸を貫く。
「きゃああーーーーー!!」
「逃げろ逃げろ!」
女性の悲鳴をきっかけに人々が逃げ惑う。それを追い骸骨達は狩りのように殺し始めた。
「うわぁ!」
「誰か助けてくれ!
次々と人々が屠られていく。平穏な街角は一瞬にして阿鼻叫喚の地獄と化した。
「みなさん揃いましたね? それでは作戦内容の説明を始めます」
集まったケルベロス達を見渡し、セリカ・リュミエール(シャドウエルフのヘリオライダー・en0002)が事件の説明を始める。
「竜十字島のドラゴン勢力、十字騎士団クルセイダーズと呼ばれる精鋭の竜牙兵が、多くの人間を虐殺し、人間に憎悪と拒絶を振りまこうとしています」
人の多い繁華街に現われた竜牙兵はそこに居る人々を無差別に殺して回る。
「このままだと多くの人間が殺され、ドラゴン達はグラビティ・チェインだけでは無く憎悪と拒絶を手に入れてしまうでしょう。みなさんには急ぎヘリオンで現場に向かって、竜牙兵の凶行を阻止してほしいのです」
だが竜牙兵が出現する前に避難勧告をすると、竜牙兵は他の場所に出現してしまい、事件の被害が大きくなってしまう。
「みなさんが降下してすぐに避難勧告を出せば、警察などが動いて一般人の避難誘導を行ってくれます」
そうすれば一般人の誘導は任せ、竜牙兵の戦いに集中することができる。
「出現する竜牙兵の数は5体。白銀の鎧と上下が剣となったゾディアックソードで武装しているようです。それと竜牙兵は、ケルベロスとの戦闘を再優先として行動してくるようです。戦闘になれば周囲の一般人を攻撃する事はなくなります」
竜牙兵は戦いを望んでいるのか、劣勢となっても戦意を失う事無く、最後まで戦いを挑んでくる。
「竜牙兵の目的はグラビティ・チェインと同時に、憎悪と拒絶を集める事です。このまま被害が出れば、ドラゴン達の思惑通りに恐怖と憎悪が高まってしまいます。みなさんの力で竜牙兵を打倒し、被害を最小限にするのが最も有効な対策です。どうか多くの人々を助けてあげて下さい。よろしくお願いします」
深々とセリカが頭を下げると、ケルベロス達は頷き足早にヘリオンへ乗り込んだ。
参加者 | |
---|---|
![]() ルビーク・アライブ(暁の影炎・e00512) |
![]() ガーネット・レイランサー(桜華葬紅・e00557) |
![]() 江田島・武蔵(人修羅・e01739) |
![]() アベル・ウォークライ(ブラックドラゴン・e04735) |
![]() パーカー・ロクスリー(浸透者・e11155) |
![]() クルル・セルクル(兎のお医者さん・e20351) |
![]() 雀部・つゆり(棘冠・e22344) |
![]() ブリュンヒルデ・マークザイン(輝ける戦い・e26897) |
●5つの牙
眼下には雑多な繁華街が並び、大勢の人々が行き交う。
上空を飛ぶヘリオンの中からケルベロス達は戦いの準備を済ませ、異変をいち早く察知しようと街を見下ろしていた。
そこへ突然空間が歪み、5つの大きな牙が地面に突き刺さる。それはみるみるうちに白銀の鎧を纏った骸骨へと変化していくと、情報通りの竜牙兵の姿となった。
「目標を確認。状況を開始する。降下開始!」
敵を目視したガーネット・レイランサー(桜華葬紅・e00557)が迷うことなくヘリオンから飛び出す。続いて仲間達も空に身を投げていく。
風を切り地上へと落下していく。その途中でパラシュートを展開し、勢いを緩めながら落下位置をコントロールして地上へと降り立った。
「俺達はケルベロスだ。人々の避難を頼む!」
堂々と名乗ったルビーク・アライブ(暁の影炎・e00512)が、敵に向かいながら警察官に声をかけた。
「お逃げくださいまし! あの者たちは、わたくしたちケルベロスが討伐致しますわ」
クルル・セルクル(兎のお医者さん・e20351)も人々に向かって大きな声で逃げるように指示を出す。そしてロッドを掲げ敵との間に雷の壁を築く。
「竜牙兵は任せてください。避難誘導はお任せしますね」
ブリュンヒルデ・マークザイン(輝ける戦い・e26897)も声をかけながら敵との間に割り込んだ。
「了解しました! 行くぞ!」
その間に警察官達は緊急事態に対処するため動き出す。
「暑くて苛々するくらい良い天気なんだ。汗をかく前に帰りたいし、竜牙兵の皆さんには、さっさと退場してもらおう。白色って、目がちかちかするし」
冗談めかしながらも、油断無く雀部・つゆり(棘冠・e22344)の視線は敵を捉えると、しがみついていたボクスドラゴンのアルフレッドを下ろし、人々へその刃が向けられないように動く。
「チッ、市街地に現われやがって……お前等の居場所はここじゃないんだよ、地獄に送り返してやる!」
舌打ちしながらパーカー・ロクスリー(浸透者・e11155)が敵にガトリングを向ける。束ねられた銃身が回転し、幾つもある銃口から撃ち出された無数の弾丸が竜牙兵を飲み込んだ。
「お前達の相手は私達だ! 英霊よ、悪を滅する刃となれ!」
同時に敵の正面に立ち塞がったアベル・ウォークライ(ブラックドラゴン・e04735)が、注目を引くように双刃の大鎌を頭上で回転させ鎌に宿る念を解き放つと、霊の群れが敵に襲い掛かる。
「ケルベロスか、アイテにとってフソクなし」
「ワレワレ、クルセイダーズがおマエたちにゾウオと、キョゼツをくれてやる!」
「スターブレイカーサマへのニエとなるのだ!」
2体が前に出て守護星座の光を纏って弾丸と英霊を受け止め、残りの3体が上下に剣のついたゾディアックソードを振るい凍てつくようなオーラを放つ。
「こいつらは我々が引き受ける! 皆早く逃げろ!」
その攻撃の前に割り込んだ江田島・武蔵(人修羅・e01739)が受け止め、背中越しに指示を出す。その声に我に帰った人々が一斉に動き出した。
●竜牙兵
「……奪わせはしない。命を。……未来を」
ローラーダッシュで加速したガーネットは迎撃に振り下ろされる剣を急旋回で躱し、その場で回転する勢いを乗せ炎を帯びた回し蹴りを顔面に浴びせた。
「おマエたちにミライはない」
「あるのはゾウオとキョゼツのみ」
竜牙兵が左右からガーネットの喉と腹に剣を向けて襲い掛かる。
「憎悪だとか、拒絶だとか、考えることがどうにも安っぽい。なんだか知能が低そうな喋り方だし……ああ、苛々してきた。アルフレッド、行こう」
つゆりが召喚した精霊が竜牙兵を凍りつかせる。剣速が鈍ったところへアルフレッドが飛び込み攻撃を代わりに受けた。
「竜牙兵、お前達には行きも帰りもない」
ルビークがナイフに力を籠めて振るう。それを横から剣を差し込んで違う竜牙兵が受け止める。
「ここで朽ち果てろ」
そのままナイフを滑らせ竜牙兵の脇腹に突き立てた。鎧を貫き切っ先が肋骨を折る。
「ワレラアイテに、やれるものならやってみよ!」
竜牙兵が剣を横に薙ぐ。それをルビークは屈んで躱しながら距離を取る。それを追う様に竜牙兵は剣を振り下ろす。
「ゲーム開始だ。遊んでやる」
そこに割り込んだ武蔵が刀で受け止める。押し切ろうと力を込める竜牙兵に対し武蔵は力を抜いて受け流すと、するりと竜牙兵達の中心をすり抜けながら逆手に持った刀で斬りつけていった。
「ワレラ、クルセイダーズをナめるな!」
「イタみにクルしみ、ゾウオしろ!」
「ニクめ! メのマエのスベてをキョゼツしろ!」
3体の竜牙兵が一斉に武蔵に剣を突き出す。刀で弾き、手で剣の平を叩く、だが3つ目の突きが肩を深く抉った。
「ヴァルキュリアとして、貴方たち竜牙兵の思うようにはさせません。ひとり残らず殲滅させていただきますね」
ブリュンヒルデは自らを光に変えて突進すると、竜牙兵を吹き飛ばし剣を引かせる。
「憎悪と恐怖のために人々を屠るなど! いのちに携わる者として、許してはおけませんわ」
クルルは手にしたロッドから稲妻を放ち、武蔵の体を活性化させて傷を癒す。
「弱者を襲うような輩は許せんな、その目論見ごとここで打ち砕いてやろう」
アベルは刃物のように鋭い爪で腹を突き刺した。まるで鎧などないように内部の骨を砕き、そのまま持ち上げると地面に投げ捨てる。
「ハッ、そのまま一生寝てろ」
パーカーが構えるガトリングから無数の銃弾が撃ち出され、倒れた竜牙兵を穴だらけにして全身を砕いた。
「そのミにゾウオをキザめ!」
竜牙兵達が広範囲に冷気を持ったオーラを放つ。それを前に出たルビークとアルフレッドが仲間を守るように体で受け止めた。
「竜よ、敵を喰らい屠れ。俺達に恐れは非ず」
凍りつくルビークの体から炎が生まれる。炎はドラゴンの幻となって竜牙兵を喰らう。
「砕け」
燃える竜牙兵にガーネットは背中のブレードを一本分離させて手に持ち、上段から叩きつけた。兜が砕け髑髏が露になる。
「ゾウオを! キョゼツを!」
カタカタと髑髏が音を鳴らしながら剣を振り上げながら踏み込んでくる。
「お前らの言動ってもう狂信者のそれだよな。こういうのはサッサと掃除するに限る」
武蔵が銃身が16インチもある銃を抜くと、敵の足元に向けて無造作に撃ち込む。地面ごと足を抉るような攻撃に思わず竜牙兵は歩みを止めた。
「その派手な白を地味な色に変えてみたらどうかな」
そこへつゆりは魔法の光線を放ち、竜牙兵の体を徐々に石に変えてしまう。
「好機です!」
氷のように透き通った刃の槍を手にしたブリュンヒルデが突っ込む。一直線に槍を突き出すが、割り込んだ竜牙兵に防がれる。ならばとブリュンヒルデは槍を横に薙ぎ、防いだ竜牙兵を斬りつけ、傷口から凍結させる。
「いのちを粗末に扱い者は、自らも同じような運命を辿るものですわ」
クルルが石化した竜牙兵に雷を撃ち込み、衝撃が骨格を伝わってボロボロと竜牙兵の体が石屑となって崩れ落ちた。
「ケルベロス、オモったよりもやるようだ」
「だが、ワレラ、クルセイダーズはスターブレイカーサマにチカラをアタえられた兵。そのチカラをミせてやろう!」
残った3体の竜牙兵が両剣を振るって武蔵を狙う。
「ハッ、骨ので頭空っぽの癖に考えた振りが上手いな」
煽るように笑うパーカーがリボルバー銃を抜き撃つ。放たれた弾丸は竜牙兵を掠めて飛んでいった。
「どこをネラっている! まずはキサマからコロしてやろうか!」
竜牙兵が剣を振りかぶる。だがその後頭部に弾丸が直撃した。壁に当たり跳弾した弾が狙い通りに戻ってきたのだ。
「だから空っぽだっていうんだよ」
そこへパーカーはもう一度引き金を引き、竜牙兵の顔を撃ち抜く。額に穴を空けた竜牙兵がよろめくと仲間が剣を盾にして割り込んだ。
「私の大鎌を止められるかな?」
その正面からアベルが大鎌を回転させて踏み込み、受け止めようとした剣を弾き、左腕を斬り落とした。
●憎悪と拒絶
「もっとだ、もっとゾウオし、キョゼツしろ!」
剣から星座の力を放って竜牙兵が仲間の傷を癒していく。それと同時に2体の竜牙兵が剣を手に突っ込んできた。
「憎悪と拒絶か。しかしお前達が思うより、人はずっと、ずっと強いものだよ。何度牙を向けようと人は前に進める強さを持っている」
力強い言葉と共にルビークはナイフで片方の剣を弾く。もう一方の剣はアルフレッドが体当たりして軌道をずらした。
「壊し利用するだけのお前等には、そんな人の心など分かる筈もないか」
ルビークは敵の姿勢が崩れたところに密着するように接近し、ナイフを首に突き立てた。そして傷口を広げるように振るいながら引き抜く。
「ゾウオ、キョゼツ……」
首の骨が砕け、取れかけた頭をふらふらと揺らしながら竜牙兵が剣を振り下ろす。
「ブレード、パージ! 行けッ!」
ガーネットの背面と腕部に装備したブレードが分離し、ミサイルのように射出される。それは狙い違わず竜牙兵の首を飛ばし、宙に浮いた頭を貫いた。頭を無くした体が地面に剣を突き刺し、そのまま倒れこんだ。
「スターブレイカーサマのために!」
「ササげよ! そのスベてを!」
半数以上が倒れ、残り2体となっても竜牙兵の戦意は衰えない。剣を手にケルベロス達を攻撃してくる。剣から冷気が放たれ地面が凍結し、接近していたケルベロス達の足を凍りつかせた。
「狂信者が寝言ほざいてんじゃねぇよ。この屑共が」
武蔵が地面を滑るように移動し、雷を帯びた刀を胸に突き刺した。そこへ横からもう一体の竜牙兵が武蔵の頭部に剣を振り下ろす。
「お前らに好き勝手な事などさせん。俺達がいる限りな」
引き抜いた刀で武蔵は攻撃を受け止め、その力を利用して地面を転がるように間合いを取った。
「涼しげですけれど、地面を凍らされては迷惑ですわ」
クルルが雷の壁を築き、仲間達の凍結を解凍していく。
「同じ台詞ばかり聞き飽きたよ」
つゆりが光線を放ち、剣を振るう竜牙兵の胸を貫いた。
「竜牙兵、戦士としてなら優秀なのでしょうね。でも、戦いというものを恐怖と絶望の手段としてしか考えられないなら、私はヴァルキュリアとして、絶対にここは譲ることは出来ません」
続けて光と化したブリュンヒルデが突進して撥ね飛ばす。宙に打ち上げられた竜牙兵はきりもみして頭から地面に突っ込んだ。
その傷を癒そうともう一体が剣を地面に突き刺し光を放つ。
「ふむ、回復ばかりされては面倒だな」
アベルの手の爪が竜牙兵の腕を弾き、ブーツを突き破って現われた足の爪で腹を蹴り上げた。
「その武器がなきゃ何もできないだろ」
そこへパーカーが狙いをつけ、リボルバー銃の引き金を引く。狙い済ました一撃は剣を持っていた右手を撃ち抜き、竜牙兵の手から剣が滑り落ちた。
「まだだ、もっとカンジョウをタカめよ! ヒトよオソれよ! ヒトよニクめ!」
傷ついていた竜牙兵が胸に穴を空けたまま剣を横に薙ぐ。落下した竜牙兵も落ちた剣を引き抜くと、跳躍して襲い掛かってくる。
「お前達は人と言うものをまるで分っていない、守らねばならないものがある限り、この心は折れん」
殺意を籠められた刃を前にしてもルビークは怯む事無く攻撃を受け止める。上段の一撃をナイフで、横振りの一撃をオーラを纏った腕で防いだ。
「……憎悪も恐怖も平和な街には不要、散滅せよ、デウスエクス!」
ガーネットの放つ1本のブレードが竜牙兵を狙う。それを竜牙兵は剣で弾く、だがブレードを追うように接近していたガーネットが両腕のブレードで胸をバツの字に斬りつけた。
「貴方がたの企みはここで阻止致しますわ」
よろめいた竜牙兵に、クルルが蔓を触手のように伸ばして体を拘束する。
「全身全霊の一撃、受けてみろ!」
翼を広げて飛翔したアベルは巨大な竜と化し、動けぬ竜牙兵へと特攻した。まるで隕石でも落ちたような一撃は爆発と共に地表に穴を空け、竜牙兵の体はもはやどこがどのパーツか分からぬほどに砕け散っていた。
「すげぇ威力だ、やるじゃないか。こっちも負けてらんねぇな」
感心したように口笛を吹いたパーカーがリボルバー銃を向ける。放たれた弾丸は踏み込もうとした竜牙兵の膝を撃ち抜いた。膝から下が吹き飛び前に倒れる。
「最後の一人になっても立ち向かってくるなんて、勇敢なのか無謀なのか。まあ、逃げようとしたって、逃がしてあげないけど」
剣を支えに起き上がろうとするところへ、つゆりが光線を撃ち込む。残った足が地面とくっついた状態で石化し、そこへアルフレッドがブレスを叩き込んだ。
「人々に憎悪や恐怖ではなく、希望と勇気を与えてみせます」
槍を手にブリュンヒルデが突進する。まるで稲妻のように突き出される一撃が胸当てを貫き胸骨を砕く。
「ゾ、ゾウオとキョゼ、ツを……クルしめニンゲン……」
槍が抜かれると胸にぽっかりと穴が空いていた。竜牙兵はそれでも戦おうと剣を振り上げる。
「これで終わりだ。あばよ」
武蔵の刀が滑るように胸の穴に打ち込まれ、骨を断ち斬って竜牙兵を両断した。
●平穏
「……目標の殲滅を完了。……状況終了」
敵の完全停止を確認したガーネットは武装を解除し、周囲の荒れ果てた建物を見渡すと犠牲者が出なかった事に満足そうに頷いた。
「お疲れ様、よく頑張ったね」
褒めて褒めてと頭を足に擦り付けるアルフレッドを、つゆりは抱え上げて撫でつける。
「街の修復もしておきましょう」
ブリュンヒルデがドローンを飛ばし、壊れた建物や地面を修復していく。
「亡くした後の涙と悔しさを俺は知っている」
だから決して負けられないのだとルビークは守り抜いた人々へ視線を向けた。その顔には安堵や笑みが浮かべ元の生活へ戻ろうとしている。
「定命化とは、それほどに忌むべきことなのでしょうか。限りある命だからこそ、日々を精一杯に生きようと思える。生の喜びも死の安らぎも知らぬことがそれほどに幸福なのでしょうか?」
クルルはそんなものに執着する敵を酷く哀れに思う。
「しかしわからんな。目的が『グラビティ・チェイン及び憎悪と拒絶の収集』ならば一般人の虐殺を優先するはず。自分達との戦いを優先する必要性はない。奴らはいったい何を考えているのだろうか」
敵の行動に武蔵は首を傾げる。
「目的はともかく、戦いだけを見れば武人だったのかもしれんな」
正面からぶつかった感触で、敵が強き者との戦いを望んでいたようにアベルは感じていた。
元通りとはいかないが建物も直り、人々が街に戻ってきた。まだ昼の時間。お腹を空かせた人が店に入っていく。
「俺達もなんか食ってくか」
それを見たパーカーは腹が減ったと良い香りが漂う飲食店に目を向ける。
何を食べようかと、ケルベロス達は守り通した人々の中へと歩み出した。
作者:天木一 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2016年6月12日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 5/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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