●城ヶ島からの卒業
ミシミシと地面が揺らぎ、放置された自動車が跳ね、アスファルトが割れていく。
木々を押し倒し、現れた黒き竜は四肢を踏ん張り、咆哮を上げた。退屈を厭う声であった。
めしゃり、と竜の長い尻尾が振り回されたことにより、家が倒壊する。
竜はイライラと周囲に視線を配り、そして、生ける者が居ないことを悟ると、ますます苛立ちを深めたのか地団駄のように激しい足取りで、また歩き始めるのであった。
●黒き竜を屠れ
三浦半島南端の城ヶ島がドラゴンに制圧された――。
笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)の告げた事態は、深刻なものであった。
「ドラゴンは、エインヘリアルが本当の敵だって思ってたみたいです。ケルベロスになんか負けないぞーって信じてたんですね」
だが、実際は、ケルベロスがエインヘリアルに勝利し鎌倉を奪還したのである。この事実に驚いたドラゴン勢力は、城ヶ島を拠点として、防御力を高めるつもりだ。
「今すぐ城ヶ島を取り戻すのは難しいと思います……。でもでも、少しでも倒していかないといけないですよね!」
好都合なことに、城ヶ島から離れ、単独行動をとろうとするドラゴンがいることを、ねむは察知した。
「一匹なら、皆さんでなんとか勝てると思います! ドラゴンはすっごく強いですし、場所も敵地ですけど……ここで勝てれば、楽になると思うんです!」
とねむは強く主張した。
単騎で行動する統率のとれていないドラゴンなだけあって、今回のターゲットはドラゴンの中でも比較的弱い方だという。
ねむは、黒いドラゴンだという今回の敵について、以下のように説明した。
「ドラゴンは、雷の息を吐きます! しびれて動けなくなっちゃうかもです。長い尻尾でバシーンッと叩いてくるのも危ないです! 尖った爪も怖いです! どの攻撃もとっても危ないと思います。気をつけてくださいね!!」
やってくるドラゴンを待ち構えるというよりは、ヘリオンから降下して急襲することになりそうだ。
「ドラゴンと真正面からぶつかり合う、か……。面白い。相手にとって不足なしだ」
危険な依頼だというのに、アーヴィン・シュナイド(地球人のブレイズキャリバー・en0016)の目は爛々と輝いていた。
戦場はドラゴンの拠点にほど近い危険地帯だ。この黒きドラゴンに勝てたとしても即撤退する必要があるだろうし、勝ち目がないと分かった時点でも即撤退する必要がある。場合によっては、拠点からドラゴンの増援がくることもありうる。
非常に危険な任務だ。だが、デウスエクスの企みを察知して放置することなど、ケルベロスに出来るわけはない。
アーヴィンはすっくと立ち上がり、仲間たちに振り向く。
「行くぜ、お前ら」
豪ッと彼の左目に燃える地獄の炎が激しく揺らいだ。
参加者 | |
---|---|
ケーゾウ・タカハシ(鉄鎖狼の楽忍者・e00171) |
ブラッド・ハウンド(生き地獄・e00419) |
アクセル・グリーンウィンド(緑旋風の強奪者・e02049) |
巽・真紀(竜巻ダンサー・e02677) |
雨情・清輝(レイニーフォトン・e02803) |
涼風・輝(クラウディハート・e02904) |
ベルモット・ギルロイ(白熊さん・e02932) |
ブランシュ・ヴァルディアブ(おめんやさん・e08260) |
●もはや戦争である
ずし、ずし、と苛立つ黒竜が往く。
彼の中には不満と焦燥、そして怒りが満ち満ちていた。その衝動に任せ、他の者の指示を無視して、島を渡って三浦半島まできたのである。
ドラゴンの上空に現れたヘリオンから次々とケルベロスが降下していく。
「オレのケルベロスとしてのファーストステージはこの島か」
巽・真紀(竜巻ダンサー・e02677)がぶるりと武者震いして、ヘリオンから身を躍らせる。
次に降りる番となった雨情・清輝(レイニーフォトン・e02803)は、
「ところで。すずきさん、自宅の戸締りが凄く気になってしまって」
と乾いた笑いをヘラッと浮かべたが、
「いいから行け」
と誰かに蹴られて落ちた。落ちながらも、ネットを使って戸締まり確認をして、清輝はほっと一安心。彼女がレプリカントであるから出来る芸当だ。
「ちゃんと仕事しつつも確認できる。便利な世の中であるね」
タンと地面に着地した、ベルモット・ギルロイ(白熊さん・e02932)は好戦的に口を開いた。北極熊の大きな口を少し開けば、笑いのような形になる。実際ベルモットは笑っていた。
「初の任務がドラゴン退治とは景気が良いね」
彼の眼前には巨大な黒がいる。
魔導装甲の力を使い、ケーゾウ・タカハシ(鉄鎖狼の楽忍者・e00171)は戦場にバイオガスを満たした。
一般人の退避は完了しているため、戦場の秘匿の目的はただ一つ、城ヶ島のドラゴン達に状況を確認させないためである。
ぐるる、と黒いドラゴンは急に目の前に展開したケルベロスらを睥睨し、疎ましげに唸った。唸り声ひとつで空気がビリビリと震える。
「やだやだおっかないねえ」
電線などが空気の振動でおぞましい音を立てるのを聞いて、涼風・輝(クラウディハート・e02904)は身をすくめた。
輝はそのまま、無駄だとは分かりつつもドラゴンに言ってみる。
「ハローハロー、大人しく故郷に帰るか投降してくれません?」
ガアアッと吠えられ、輝は飛び退く。
「デスヨネー!」
もう帰りたい、と思うが帰れない。
(わぁ、すごい数)
周囲を見回し、アクセル・グリーンウィンド(緑旋風の強奪者・e02049)は言葉を失った。彼らを手助けしようと集まったケルベロス、その数なんと百八十八。もはや軍隊である。
「負ける気がしねぇな」
アーヴィン・シュナイド(地球人のブレイズキャリバー・en0016)がアクセルの斜め前で呟く。
ブラッド・ハウンド(生き地獄・e00419)がドラゴンを睨みあげ、バトルガントレットを拳の形に変えた。
「よォ、クソ爬虫類。ぶっ殺しに来たぜ」
忌々しげな竜がブレスを吐こうと息を吸い込んだ瞬間、彗星のようにオラトリオが竜の眉間めがけて墜ちていく。
小柄な彼女の頭頂部には角のような花序が天を衝く巨大な花。
「小細工は要らない……ぶっ飛ばされようが懐に突っ込んであげるよ!!」
叫び、ブランシュ・ヴァルディアブ(おめんやさん・e08260)は『やれば出来るという信念』をドラゴンに撃ちこむ。
そのまま、隊列は気にせず、ブランシュはドラゴンの足元に陣取った。
●疾風迅雷
ブランシュの奇襲がきっかけとなり、戦場はさんざめく。
ドラゴンはブンと巨体から長く伸びる、まるで塔のような尻尾を振り回した。
一瞬にして周囲の建物が瓦礫に変わる。もうもうとコンクリートの破片が立ち上る。
前衛達を一気に薙いで行く情け容赦のない一撃に、一気にケルベロスらは地面に倒れる。
あちらこちらからヒールが飛んでくる。立ち止まらず戦い続けろと、高らかにギターを弾き鳴らすスプーキー・ドリズルの青い瞳は、アーヴィンを見つめていた。スプーキーの胸に残る傷に、アーヴィンはどこか引っかかるのだ。
崩れかけた前衛がみるみるうちに立ち直り、体勢を整えた。だが、ヒール出来ない傷もある。いつまでも万全を保てるとは思えない。速攻が必要だ。
「ハ……流石ドラゴン、だな」
とケーゾウは呟きつつ、真紀に光る獣の衝動を渡す。
「ブッ散れァ!」
竜の側面に走りこみ、ブラッドは地獄で代替した己の血を燃やし、焔ごとバトルガントレットを竜の腹に叩き込む。
じん、と己の手がしびれるほどの硬さがあったが、ブラッドは寧ろ面白いと笑った。
「おお、すごいすごい。こんなに歯応えのある奴とやれるなんて最高じゃねぇか!」
楽しげにモザイクロッドから火球を放ち、ベルモットは竜を燃やす。
「うーん、これはちょっと真面目にやらなきゃダメかなー」
アクセルが古代語魔法のスペルを詠唱する。
「それは蝕む光。大地に還れ全ての命よ……」
放たれた光が竜鱗の一部を石に変えた。
「我ら、名無しのサーカス団! 黒雷竜討伐、助太刀いたす!!」
名乗ったゼルガディス・グレイヴォードをはじめとして、ドラゴンに炎や氷、石化などの戦闘阻害要素は山と積まれていった。
逆に、ケルベロス達にはヒールと同時に、力を上乗せする補助が積まれていく。
「回復の手は意外に足り過ぎ、かな?」
輝は周囲から次々に施されていくヒールを見て、感嘆の息を漏らすと己の地獄を弾に変えてドラゴンへと放つも、上手く当たらない。
ならばと清輝の胸部から太い光線がドラゴンに向けて照射されるも、僅かに届かなかった。
それを見て、真紀は前に出る。
「オーライ、踊るぜ。限界ごとブッチ切ってやんよ!」
ストリートダンサーならではのスタイリッシュで華麗なスピンが、まるで竜巻のような速度で決まる。
「舞台がどこでも観客が誰でも、魅せてやんのがストリートダンサーのプライドなんだわ!」
ギャラリーがでっけートカゲでもな! と叫ぶ真紀の拳が正確に竜のあぎとを捉え、打ち抜く。
「ドラゴンだろうがなんだろうが、デウスエクスは必ず滅ぼす。この地獄の炎にそう誓った」
――くたばれ。
アーヴィンは単純だがとても重い一撃を愛剣にて放つ。巨大な足にめり込む鉄塊に、ドラゴンの瞳は憤怒を宿した。
死ねとばかりに無情の爪がアーヴィンを狙う。
アーヴィンの瞳孔が開く。避ける時間は、なかった。迫り来る爪を為す術もなく見つめるしか出来ない彼の前に、
「仕方ない奴だ」
ニヒルな笑いと共に鉄鎖狼が割り込んだ。
ぞぶりとケーゾウの腹を巨大な爪が貫く。
「がっ……」
牙が光る狼の口から鮮血があふれた。
「ッ……ま、ディフェンダー……だから、な。これも仕事の内……だろう」
どろりと濁った目を閉じようとした時、彼の耳に見知った女の声が飛び込む。
「ケーゾウ!! あんたが倒れたら、あたしが許さないからね!」
それはケーゾウが好意を寄せる相手、ローズマリー・シュトラードニッツの大声だった。
――そうか。なら、倒れるわけにはいかないな……。
ケーゾウの魂が肉体を凌駕し、狼はゆっくりと立ち上がった。
●血河超エテ
何合刃を交わしただろうか、いくらヒールの手が足りていると言っても、蓄積していく痛手にケルベロスにも疲労の色が滲んでいく。
だが、まだ誰ひとりとして倒れては居ない。そして増援の気配もない。戦闘続行。
真紀の目は油断なくドラゴンに向けられていた。挙動がわかれば、彼奴の猛攻に備えることも出来うるはずだ。
ドラゴンの巨大な顔に手を当てても、まるで撫でているようだ。だが構わずブランシュは叫ぶ。
「その顔面……捻り切るよ!!」
無数の呪詛がドラゴンに注ぎ込まれようとするが、竜はそれを振り払う。
その首を黒い鎖が捉え、ギリギリと締めあげた。鎖の根本はケーゾウの手に握られている。
「さっきはやってくれたな。お返しだ!」
気脈を断たんとブラッドが指を突き刺す。
まだ石になっていない肉の部分に、アクセルはチェーンソー剣を押し当てた。
「いっせーので」
ギャリリリリリリ!! 情け容赦のない残酷な音をたて、チェーンソーがドラゴンの鱗を削り破片を四方八方に飛び散らせる。
アクセルが開けた肉に輝が放った凶弾がめり込んだ。彼自身だけの力なら当たらなかっただろう。だが、呉羽・律や灰座・次遠の鼓舞が輝の感覚を研ぎすませた。
気の遠くなるような修練と実戦の果てに、輝の勘のみが彼を動かし、銃を抜かせたのである。撃った後に、撃ったと自覚するような、呼吸と同等に無意識の一撃が竜の肉を抉る。
清輝のバイオレンスギターが『紅瞳覚醒』を歌う。雨あられと降り注ぐグラビティに、ドラゴンは目に見えて弱ってきていた。
「あと少しで、竜殺しケルベロスのフロントランナーとなるわけだ。是非みんなに頑張って欲しいね! ……すずきさんは、ほら、うん」
と清輝はクスと笑みを浮かべた。
「大体この状況で単独行動ってアレだよな、何も考えてないよなコイツ。まぁそれはそれとして、あと少しの間だが……楽しく遊ばせて貰おうじゃないか」
ベルモットは喜々として、モザイク柄の猫をドラゴンめがけて放つ。
猫を援護するように螺旋の氷が並走し、猫と同時に竜に刺さる。
氷を投げた螺旋忍者、つまり真紀は上々の結果に、決めポーズをやめ、ヒュッと蜻蛉を切って、構え直す。
地獄纏う鉄塊剣を今度は避けた竜は、息を深く吸い込む。
「来るぜ、ブレスだ!」
真紀が叫ぶ。
雷撃の息がケルベロス達を縛らんと容赦なく吹きつけられた。しかも二度も。
「アーヴィン……。以前私の歌を褒めてくれて、別の歌も気が向いたら聞いてもいい……って言ってもらえてとても嬉しかったわ。恩返し、きっちりさせてもらうから」
阿守・真尋の力ある歌が、前衛達にまとわりつく光を消失せしめる。
バチバチと体を這う稲妻を体を振るって払い、ベルモットは頷くとロッドからお返しとばかりに炎を飛ばす。
「こうでなくちゃ。ドラゴン相手だというのに簡単すぎると思ったんだ」
なかなかどうして、ベルモットは楽しげだ。
輝のオーラがアクセルの体を縛る雷を取り除く。
「糞ドラゴン、殺してやるァ! 俺の地獄を見せてやる!」
ブラッドの二連撃に、竜がよろめいた。
「ほら、しっかり立ちやがれ!」
真紀のウインドミルめいた華麗な燃える蹴りが、よろめいた竜を押し返す。ふらつく竜の頭を、アクセルの槍のような蹴りが、跪けとばかりに地に叩きつける。
ケーゾウはニヤと笑った。なかなかどうして、ドラゴンも苦境じゃないか。
「すまないな番犬が相手で『死』がある可能性のある戦いは怖いかな?」
と言ってやれば、ドラゴンは憎々しげに唸り、威嚇のように吠えようとした。
「グガァ……! グゴッ」
だが、咆哮は途中で詰まる。
「徹底的に殺しにかかるよ」
笑顔でブランシュは言い放つ。彼女の両腕から伸びるケルベロスチェインがドラゴンの首を締め上げ、そして、ブンとあの巨体を振り回したかと思うなり、轟音伴い地べたへと叩きつける。
拘束から逃れでたドラゴンは憤怒の声を上げ、再び尻尾を振り回した。瓦礫を粉砕し、ケルベロスを挽肉にでもするのかという程の渾身の一撃であった。
前衛の皆が耐え切れず、膝をつく。
爆心地かと思うような惨状を見回し、清輝は呟く。
「ここで、皆平和に暮らしてたんだ。逃げざるを得なかった人々、それすら叶わなかった被害者……つらいよね、くるしいよね。その声、すずきさんが届けよう。さぁ、我らの罪に祝福を」
清輝が詠唱を始める。
「祈りよ、嘆きよ、憤りよ。歴史よ、記憶よ、可能性よ」
水を掬うように受けた手にキラキラと光の粒子が集まっていく。世界に集まる力なき者の訴えだ。
「この手を取り集え。その涙を。その叫びを。その輝きを……世界に見せつけてやれ!」
大きな球のように集まった光を、清輝は天へと投げ上げる。
きらめく光の粉がケルベロスに降り注いでいった。急激に傷が癒えていく。
「見くびっちゃいけない。これが、弱者のちからってやつさ」
次々に立ち上がり、果敢に敵へと食らいついていくケルベロスを見て、清輝は消えていく光に呟いた。
「彼らが、やり返してくれる」
●勝利による威圧
清輝が呼び集めた人々の想いで立ち上がったケルベロスだが、あと一撃受ければもう回復しても立ち上がれないだろうことは自覚できていた。
だが、回復の手段を持たぬ竜とて状況は同じ。
「ウガアアウッ」
鋭い爪がブラッドを屠らんと振り下ろされる。
「来やがれ! ぶッ壊してやらァ!」
喰らえば倒れると判っていてもブラッドに、おめおめと逃げるという選択肢は思いつかなかった。むしろ相殺してやらん、とぎりぎりとバトルガントレットを引き絞る。
無理、無茶、無謀だと分かっていても、ブラッドは不敵に笑みながら爪を待ち構えていた。
だがその爪、アーヴィンが受けた。
「てめぇ!」
ブラッドが怒りすら込めて、血を噴き出すアーヴィンを睨む。
「ケーゾウが教えてくれたからな……。ディフェンダーの仕事ってのを……」
がくっと地に伏せるアーヴィンを見、
「糞が」
ブラッドは盛大に舌を打つと、漆黒のドラゴンを見上げた。
「俺の地獄に堕ちろ!」
業炎に包まれたバトルガントレットをブラッドは渾身の力込めて、突き出し、突進する。
石化して鱗としての弾性を失い、脆くなった竜の胸が割れた。そのままやわらかな肉を突っ切り、ブラッドは竜の心臓を掴みとる。
「くたばれェエア!!」
絶叫とともにその手を、ブラッドは満身の力で握った。噴水よりも激しく噴き上がる血が、バイオガスすら赤く染める――。
「目標達成! さっさと逃げちゃおう」
ドラゴンの死を認めるなりブランシュは脇目もふらず、去っていく。
「さっさと撤収。いやほら、皆心配するし?」
清輝も続く。
「僕に任せてください」
アーヴィンを背負うアクセルに、
「一人じゃ大変だろ。俺も手伝う」
ケーゾウが助力を申し出た。
「ふむ、未だ大きな動きはなしか。増援は来そうにないぞ」
島の監視を受け持っていたレーグル・ノルベルトやディートリンデ・アーヴェントから、いい知らせが持たされた。
ガスがあれど音は届く。すさまじい数のケルベロスによる戦闘であることは、ドラゴン達に伝わっていたはずだ。蹂躙するには多すぎる、罠すら想定できるような状況に、『独断専行』した外れ者を援護しようと思うような者は居なかったのだろう。
「いい結果だね。ぜひとも今後に繋げて行きたい物だ」
ベルモットは満足気に頷くと、帰路につく。かのドラゴンという強敵と渡り合え、そして勝利したのだ。この後に酒と女があれば今日はベルモットにとって至高の一日になるだろう。彼の足取りは軽い。
退路を確保していた者が建物にヒールをかけ、後片付けを担ってくれている。
輝は一通り周辺の調査を済ませると、メモをしまい込み、新しい煙草を咥えると己の地獄の炎で穂先を燃す。
紫煙一条、立ち昇る。
「じゃ、さっさとおさらばだ!」
輝は踵を返し、戦場を後にする。
バイオガスが晴れたあとの三浦半島の空は、青く高く澄んでいた。
作者:あき缶 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2015年9月22日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 44/感動した 3/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 1
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