プールの屋根から悪豚が降ってきた!

作者:雪見進

 とある謎の場所でマッドゴラグナー・ラグ博士はハイテンションで奇声を上げていた。
「ムムム……フフフフ……アハァァァ!」
 その奇声の意味は不明だが、非常にハイテンションで声を上げている。その奇声が終わると生み出されたオーク達に指示を出す。
「ムムム、量産型とはいえ、実験ではこれ以上の性能は出せないなァ。これ以上の性能を得るには、新たな因子の取り込みが不可欠だ」
 そう言うと、飛行オークに、人間の女を襲って新たな子孫を生み出すように指示を出す。
「暴れるぜ!」
「襲うぜ!」
「因子を取り込むぜ!」
 ラグ博士と同様にハイテンションの声を響かせ、出撃していく飛行オークであった。


「さあ、皆様。こちらが私のプールですわ」
「素敵なプールですね」
「すっごーい!」
 ここはプライベートプール。お金が掛かっている設計で、天井は開閉式になっていて、ボタン一つで5分も掛から開閉が可能な天井。今日は良い天気なので、解放されている天井から、日が燦々と差し込んでいる。
 そんなプライベートプールでの持ち主を含む6名ほどの女子大生が、少し早い水遊びを楽しんでいた。
「本当、素敵なプールですわね」
「ふふ、ありがとうございます。そうですわ。飲み物も用意しましょうか?」
 そう言うと、このプールの持ち主の女性は指を鳴らす。同時に現れたのが執事服に身を包んだ女性執事。
「お嬢様、お飲み物です」
 女性執事が優雅な動きで飲み物を用意する。その様子に他の女子大生が黄色い歓声を上げる。男装の麗人という言葉がこれほど似合う女性はそう居ないだろう。

 そんなドラマのような光景が広がるプールに悪鬼の……いや、悪豚の影が迫っていた。
「ぶひぃぃ!」
 悪豚は空から降ってきた。
「お嬢様、お逃げ下さい!」
 それに素早く動いたのは執事だった。即座にさすまたを構える、主と女子大生を逃がそうと立ちふさがる。
「だ、駄目よ貴方も逃げて!」
 しかし、相手はデウスエクス。それでどうにか出来る相手ではない。
「ぶひひひぃぃぃ!」
 むしろ歓喜の声を上げる飛行オーク。触手で執事の身体を捉え、同時に粘液を滴らせ美麗な執事服を粘液で汚し、そして破き辱めていく。
 さらに次々と空から飛来する飛行オークたち。
「キャー!」
「いやー!」
 そして全員がオークの触手に捕らえられてしまうのだった……。


「燈家陽葉さんが予想していた通りプールに飛行オークが現れました」
 そう説明するのはチヒロ。今回はとある個人用プール。その開閉式の天井から現れた。
 これはチヒロが説明した通り、燈家・陽葉(光響凍て・e02459)さんが予想していた結果。
 このオークは今までにも何度か現れている飛行……というよりは滑空能力を持つオーク。その能力で開放された天井から屋内プールへ入り込んでくる。本来、覗かれる心配も無い天井だけに警備が薄くなっていたのだ。
「そんなオークを皆さんで退治して欲しいのです」
 そう言って、オークについての説明に移る。
「オークは合計8体です」
 滑空能力があるものの、戦闘力は通常のオークと大差ない。さらにお金持ちの施設だけに、何に使うのか不明だが隠し通路があり、1分程度も防げば一般人は全員逃げる事が出来るとの事。
「ですが、早々と避難してしまうと、オークが降下して来なくなる可能性があるので、可能な限り逃げずに待ってもらうか、それともケルベロスの誰かが色仕掛けで注意を引く必要があります」
 ちなみに、執事の人とお嬢様は『手伝える事があれば何でも!』と、協力を約束してくれました。
 ちなみにお嬢様ば素晴らしいスタイルの持ち主で、執事さんはスレンダーながらも美声の持ち主。当たり前のように二人ともかなりの美人である。
「とにかく、オークの略奪を許す事は出来ません。皆さん、オークを必ず倒して下さい」
 そう言って説明を終えるのだった。

 その説明を静かに聞いていたのはウィリアム・シュバリエ(ドラゴニアンの刀剣士・en0007)。
「飛行能力でござるか……」
 その戦略的、戦術的意味を考えながら、静かに準備を整えるのだった……。


参加者
新城・恭平(黒曜の魔術師・e00664)
アルメイア・ナイトウィンド(星空の奏者・e01610)
狩魔・夜魅(シャドウエルフの螺旋忍者・e07934)
南條・夢姫(朱雀炎舞・e11831)
高町・小百合(女子高生兼メイド兼ケルベロス・e17183)
四方堂・幽梨(ジャージのシェフ剣士・e25168)
薊・狂(狂い華・e25274)
キーア・フラム(黒炎竜・e27514)

■リプレイ


「またですか……懲りない豚さんたちですねぇ」
 目的地に向かいながら呟くのは南條・夢姫(朱雀炎舞・e11831)。今回の依頼はプールに出現する飛行オークの退治だ。
「全くだ。あいつらは女の敵だ……生きて帰す訳にはいかないな」
 その言葉に同意する四方堂・幽梨(ジャージのシェフ剣士・e25168)。オークは女性を狙い不気味な触手でなぶる最悪な女性の敵。
「そしてドラゴンの手先の下賤な豚共……」
 ドラゴンに対して強い想いを持つキーア・フラム(黒炎竜・e27514)としては、その意味でもオークは許せぬ存在。
「加えて、空飛ぶ変態オークとなると始末に負えないな。着実に片付けよう」
 新城・恭平(黒曜の魔術師・e00664)の言う通り、そんな変態オークが飛行能力を得て、様々な場所に出現しているので余計厄介である。
「そうでござるな」
 ウィリアム・シュバリエ(ドラゴニアンの刀剣士・en0007)も頷き同意する。飛行能力と言うには完成度の低い飛行オークの能力。その能力を進化させる訳にはいかないのだ。

 そんな話をしながら目的のプールに到着した。
「プール……授業以外で来るのは何年ぶりかしら……」
 そんなプールを見ながら呟く高町・小百合(女子高生兼メイド兼ケルベロス・e17183)。そのプールは個人の物なのにかなり立派。それを見て、こっそりテンションが上がっている小百合。
「ようこそ、ケルベロスの皆様」
 そんなケルベロス達を出迎えたのは、お嬢様な雰囲気を漂わせた女性と、執事服に身を包んだ美しい女性。
「オレはケルベロスの狩魔夜魅だ。今回は協力してありがとな」
「こちらこそ、ありがとうございます。私、橘洋子と申します。こちらが執事の葵です」
「双葉葵と申します」
 狩魔・夜魅(シャドウエルフの螺旋忍者・e07934)の言葉に丁寧に挨拶を返すこのプールの持ち主の洋子とその執事。
「本日皆様が来られなければ、洋子お嬢様が汚らわしい獣に蹂躙されていたかと思うと……」
 執事の葵は果敢な女性のようだ。しかし、デウスエクスに立ち向かえるのはケルベロスだけ。
「このプールはどうなっても構いません。なんとしてでも敵を倒して下さい」
 洋子と葵はデウスエクスの撃退を改めてお願いするのだった。
「任せときな」
「ああ、オークは地獄に叩き落してやるぜ」
 薊・狂(狂い華・e25274)は施設内の鏡の場所などを確認しながら頼もしい声で応え、アルメイア・ナイトウィンド(星空の奏者・e01610)。は帽子をくるくると回しながら応えるのだった。


 準備を整えたケルベロスたちは、太陽の光差し込むプールで女子大生に紛れて静かに泳ぎ遊ぶ。
「こんな気持ち悪い生き物を改造・量産しても、何もならないにの……」
 黒のパレオの水着を着用し、手首に透明なブレスレットを付けた夢姫がオークへの嫌悪を込めて呟く。それだけオークがとても嫌いなようだ。
「……」
 そんな中で肌をさらすのに慣れていない様子の幽梨。オレンジのビキニに白いタンクトップ地を合わせた姿でとても可愛らしい。しかし、本人はとても恥ずかしそう。
「ふふん、俺の艶姿も、中々のモンだろ?」
 その隣では黒いビキニに和柄のパレオ姿の狂が静かに、優雅にくつろいでいる。しかし、その視線はプールや鏡に視線を向け、映る光景で周囲を警戒していた。
「ひゃっはーー!」
 そんな優雅なプールで遊ぶ姿へ悪鬼が降り立つ。8体もの不気味なオークが欲望にまみれた視線で水着姿の女性たちを物色するように視姦していた。
「ひっ!」
 そんな不気味なオークの視線に思わず足が竦む一般市民の女子大生たち。それも無理はないだろう。
「おう、来やがったな!」
 帽子をかぶり直すと同時に女子大生を守るように動くアルメイア。
「下賤な豚共は、一匹残らず焼き豚にしてあげるわ」
「さあ、かかって来いよ豚野郎」
 さらに、キーアと狂が立ち上がると同時に光が包み込み、パーフェクトなボディとなり美しく輝く。
「素敵……」
「はっ……に、逃げなきゃ」
 そんなケルベロスたちの姿に勇気を取り戻した女子大生たち。
「こっちでござる」
「早く、こっちへ!」
 そしてウィリアムとサポートに駆け付けてくれた大原・大地(元守兵のチビデブ竜派男子・e12427)の誘導で隠し通路へ逃げ出すのだった。

 誘導が上手く行っているのは、挑発する者と、そして誘惑して囮となる者がいるからだった。
「この水着新しいんだぞ! 破くなよっ! 絶対破くなよっ!」
 囮として囚われた夜魅が叫ぶ。確かに夜魅の水着は新品で黒地に赤いラインの入った競泳水着。肌の露出が少ないが、むしろ今回のオークにとってはそれこそが至高だったよう。
「ぶひゃひゃは!」
 そんな夜魅の言葉を無視して、触手を身体に絡めていく。同時に先端から粘液を溢れさせ、新品の競泳水着を淫らに汚していく。
「離しなさいよ! 殺すわよ!」
 その隣では小百合が触手の辱めを受けていた。少し涙目になりながらオークを『キッ』と睨むが、どう見てもご褒美です。
「ぶひゃひゃひゃひゃぁ!」
 より興奮して触手の先端から粘液を溢れさせ、小百合の身体をぬるぬるにしていく。
「や、やめなさぃ……」
 粘液により抵抗が無くなった触手が小百合の身体を這い回る。最初はくすぐったい感触だったのだが、それは不快感と別の感情との境界線。どちらに転がるかは本人だけにしか分からない。
「ぶひひ!」
 そのまま触手は足指の間を舐めるように粘液をなすりつけ、そのまま土踏まず、踵、くるぶしとゆっくと足を上がってくる。
「ひっ!」
 そんなオークの触手に自由にさせるのは女子大生たちが無事に逃がす為。その為に小百合は耐えるのだった。


「避難終わりました!」
 そんな囮役の女性達が全力を尽くしていると、避難誘導をしていたウィリアムや大地達から声がかかる。これ以上、挑発は必要無い。
「全てを灼き払いなさい!」
 その声で一番に反応したのは夢姫。夢姫の肢体に誘惑され涎を垂らしていたオークの眼前に蒼き獄炎の不死鳥を召喚する。
「ぶひぃ?」
 突如現れた蒼き不死鳥に思考が付いていかないオーク。そのまま真正面から不死鳥の獄炎を浴びプールの中で燃え上がる不思議な光景を展開する。
「突き立てろ、獣の牙!」
 オークの触手に蹂躙されたフリをしていた夜魅も自身に螺旋を籠めた掌で触れる事で戦闘力を増幅させる。
「ぶひ!」
 ケルベロス達が反撃に出て、やっと敵だと理解したのか、それとも欲望に没頭して忘れていたのか不明だが、慌てて触手を戦闘用に構え直し、先端から滴る粘液が溶解液になる。
「ぶひぃぃぃ!」
 そのまま溶解液を放つオーク。
「私が守る!」
 そこへ割り込むのはサポートで駆けつけてくれたレイジ・クロス(守護者・e29121)。身体に降りかかる溶解液を物ともせずに自らを盾として狂を守る。
 そこへ踏み込むのはアルメイア。
「地獄に突き落としてやるぜ!」
 ギターを振り回し匠の技でオークを吹っ飛ばし壁に叩きつけられる。
「ぶひぃ!」
 しかし、タダではやられないオーク。必死に伸ばした触手がアルメイアの水着に引っかかる。
「げ、ちょ、待……!」
 慌てるアルメイアに別のオークが興奮して涎を垂らしてながら近寄ってくる。
「離せ、事故だ!?」
 事故か事件かはともかく、絶好の機会を狙うオーク。触手を動かしアルメイア……の水着を狙う。
「させません、護りし壁よ」
 そこへ手を伸ばしたのは恭平。アルメイアを雷撃の壁で護る。加えて紳士である恭平は半分眼を閉じてサポートしている。
「くそ、布が減ってビキニになった……ッ!?」
 そして脱出したアルメイアは大切な場所だけ隠しているセクシーなビキニ姿に変貌。
「ぶひぃぃぃ!!」
 そんな姿により興奮して襲い掛かるオークと、目標を別に定めるオーク。
「……??」
 もしかしたら水着狙いオークにも『水着は破る派』と『水着破かない派』がいるのかもしれない。
「ぶひひゅっしゃ!」
 それはそれとして、興奮しすぎて意味不明な事を叫び、触手を暴れさせ襲いかかってくるオーク。
「させません!」
 そこへ割り込み迎え撃つ幽梨。粘液でヌルヌルの触手をゆるやかな無駄の無い動きでさばきながらオークの隙を待つ。
「ぶひぃ!!」
 触手が幽梨に届かぬ事に苛立つオークに大きな隙が生まれる。
「そこです!」
 乱れ振り回される触手を切り落としながら、大きな隙に鋭い突きを放つ。
「ぶひぃぃ!」
 急所を貫かれ悲鳴を上げるオークに狂が追撃を仕掛ける 。
「アンタを殴ったら、切り裂いたら、どんな色が散るんだろうなァ」
 妖艶な笑みを浮かべ惨殺ナイフを握り懐に潜り込む。
「ぶひ!」
 そこから逆袈裟に切り上げると同時に吹き出す血。それが狂の身体を不気味に染め上げる。
「ぶ……ひ……」
 激しく血を吹き出しながら倒れ動かなくなるオーク。
 そんな横では小百合を捕らえたオークが仲間が倒された事にすら気付いていないのか、恍惚とした笑みを浮かべながら小百合の身体を蹂躙していた。
「ぶひひひぃぃぶひぶひぃぃ!」
 もはや周囲の様子など完全に見えていないのだろう。
「や、やめなさ……やめて……! やだ……!」
 段々と弱々しくなっていく小百合に対して、より興奮していくオーク。
「私の魅力に惑いなさい……」
 そんなオークに頭上から降り注ぐのは雨……それも槍の雨。キーアが放つゲシュタルトグレイブがプールの天井で無数に分裂しオーク達に降り注いたのだ。
「いい加減にしなさいよ!」
 その一撃でやっと解放された小百合が、隠しておいた刀を手に取る。
「は、恥ずかしいじゃない!」
 そのまま刀に炎をまとわせてオークの群れをまとめて燃え上がらせる。
「ぶひゃぁぁ!」
 セクシー水着姿に我を失ったオーク達に遅れを取るケルベロス達ではない。
 そのまま順調にオーク達を倒していくのだった。


「癒しの雨よ、来れ」
 無論ダメージもあるが、それ以上に恵みの雨なのは身体にまとわりつく粘液。粘液で戦闘に支障が出る事は無いが、単純に不快だ。
「……」
 薬液の雨を降らせた後、一歩距離を取って自分の視界を塞ぐ恭平。眼前の光景は大半の男性であれば眼福な光景。しかし、恭平は気を使って視線を逸らす気遣い出来る人。
「破くなって言ったのに……」
 一番セクシーなのは夜魅だろうか。かなり水着が破かれてしまっているし、小百合やアルメイアもかなりの状況になっている。
 加えてオークの数もまだ6体。夜魅のように水着がセクシーな状況になっているからか逃げ出すようなオークは居ない。
 そんなセクシーな状態でも小百合は懸命に皆を守りながら戦う。
「いい加減にしなさいよ!」
 再び刀に炎をまとわせオークを複数体、燃え上がらせる。
「死中に活……活に八門……断ちて滅すば……死門へ下る」
 その燃え上がるオークの中へ、ゆっくりと無造作に斬り込む幽梨。そこへ伸びる触手を切り落とし、さらに一歩。
「ぶひぃぃ!」
「ぶほぉぉ!」
 一見すると隙だらけな幽梨の様子に殺到するオーク達。側面から放たれる触手を引き足してから斬霊刀で切り流し、正面から放たれる無数の触手を切り込み日本刀で薙ぎ払い、死角から放たれた溶解液をオーラの力で反射する。
「断ちて滅すば……死門へ下る」
 そのままもう一歩進み、オークの首を切り落とした。

「今です!」
 その首が落ちる瞬間に、タイミングを合わせて他のケルベロスたちが動く。
「尽きる事のない黒炎で……」
 キーアが掌から収束させた莫大なグラビティを基にした黒い炎を形成する。
「燃え尽きなさい、豚共っ!!!」
 怒りの声と同時に放つ黒炎はオークの身体に触れると、そこから一瞬で延焼しオークの身体を黒炎で包み込み、一瞬で炭化させた。
「いくぜ!」
 身体に蓄積された螺旋の力をそのまま槍へ伝え、鋭い突きを放つ夜魅。
「ぷぎゃ!」
 その槍を防ごうと触手を盾のように展開するオークだったが、槍に触れた瞬間、雷撃に焼かれ同時に捻じ切られる。
「オラオラ、まだまだいくぜ!」
 そのまま連続で螺旋の力と稲妻の力を込めた突きが連続で繰り出され、オークの身体は捻じ焼かれるのだった。
「いい加減無駄だということを……」
 夢姫はいい放つと同時に手首に付けていた透明なリングを握る。その透明なリングが次の瞬間には水の刃を形成し、手裏剣に形を変える。
「思い知ってもらいましょう」
 その手裏剣を巧みに操り降魔の力を込めた斬撃を放つ。
「ぷぎゃぁぁ!」
 突如現れた手裏剣に切り刻まれ魂を奪われ絶命するオーク。
「ひそやかな羽ばたきは滅びに誘うだろう……良い悪夢を」
 呪で構成された幻の蝶が無数に飛び、オークを催眠状態に貶める。
「ぷ……ぎゃ?」
 そこへ響くのはアルメイアのギター演奏。その演奏の流れの中で、ギターを振りかぶるとそのまま催眠状態のオークへ叩き付ける。
「微塵に砕けろ! ド腐れめ!」
 叩き付けると同時に衝撃波が流し込まれ、そのまま悲鳴すら発せす、粉々に砕け散るオーク。

「ぶ……ぶひぃ!」
 連続で5体のオークが倒され、いまさら怯え始める最後の一体のオーク。
 そんなオークへ拳を握り接近する狂。
「遊戯は終わりだ」
 狂は静かにいい放つと同時に豚鼻を豪快に殴り付ける。
「ブペラァァ!」
 鼻が潰れ鼻血が吹き出すとこへさらに拳を重ね、無様に形を変えていく豚鼻。
「ぷギャァ!」
 叫びながら倒れるオークにさらに追撃。マウントポジション……いや、ただ無雑作に馬乗りになり、そのまま顔面を殴打。一撃毎に血飛沫が上がり、オークの悲鳴が響く。
「アンタの色は汚ねえなぁー」
 返り血の付いた拳で殴打を繰り返し『ニィ』と笑みを浮かべる狂。
「ギャァ……」
 段々とオークの悲鳴が弱々しくなっていく。それに反比例するように『ニィ』とした笑顔が愉しみに歪んで行く。
「愉しもうぜ」
 そんなオークを容赦無く殴り続ける狂。そして、突如拳が空を切る。オークはそのまま絶命して消滅した……。


 最後の一体が消滅した事を確認してプールの修理を始めるケルベロスたち。
「ちっ、夏だからって調子に乗りやがって……?」
 派手に壊れたプールを修理しながら呟くアルメイア。
「はぁ……ずいぶん汚れちゃったな……洗濯しなきゃ……」
 幽梨は粘液で汚れた水着を見ながら呟く。
「よろしければ、こちらで洗濯しましょうか?」
 そんな話をしていると、避難していたお嬢様の洋子や執事の葵、そして女子大生たちが戻ってくる。
「皆様ありがとうございました」
 このプールの持ち主の洋子が改めて礼をする。
「よければ簡単なお礼の準備をさせましたの。ご迷惑でなければ」
 そう言うと、奥からトロピカルな飲み物などが用意されていく。
「もちろん、プールで泳いで行って下さい。必要なら水着も用意します」
 戦いでボロボロになってしまった夜魅や小百合の為に水着が用意されたのだが、何故か誂えたようにピッタリの水着。
「せっかくですからね」
 用意された水着に着替えた小百合はせっかくだからと、プールでプカプカ。
 他のケルベロスたちも飲み物を貰ったりプールで泳いだりしている。
「……」
 そんな中でつまらなそうにプールを見つめるキーア。
「泳がないでござるか?」
 そんなキーアに声をかけるウィリアム。
「……貴方の顔見てると、ドラゴンみたいでムカつくのよね……」
 キーアはドラゴンとの深い因縁があるからか、ウィリアムの顔を見て複雑な表情になる。
「ふむ……ならば、これでどうでござるか?」
 そんなキーアに笑顔で答え持っていたタオルでほっかむりを作り顔を半分隠す。
「……まぁ、お疲れ様、ね……」
 そんな不思議な返しに一瞬、視線を落としてからウィリアムの肩を叩き去る。その表情は影に隠れ良く見えなかった。
「ウィリアムさん、こういう事は良くあるのですか?」
 そんな様子に大地が不安そうに声をかける。
「……まあ、旅などしていると多少はな」
 そんなウィリアムは全く気にした様子を見せずに笑う。
「そういうものですか」
 レイジも複雑な表情。そして気付くと男性ドラゴニアンが揃っていた。
「なんかあったようだけど、お疲れ様です」
 そんな複雑なドラゴニアンたちに労うように声をかける夢姫。
「それじゃあ、泳ぐか!」
 綺麗な水着に着替えた夜魅たちが直ったプールで泳ぎ始める。そんな光景も無事にデウスエクスを撃破出来たからだ。今は少し早めのプールを楽しむケルベロスたちだった。

作者:雪見進 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年7月1日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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