ドラゴン討伐

作者:ふじもりみきや

 小学校のグラウンドに、ドラゴンはいた。
 そこは子供達にとっては大切な場所であったのかもしれないがドラゴンには全く関係のないことである。
 日当たりの良い日、城ヶ島に潜伏していたドラゴンの一体は、島の中にいるのが非常に暇になったのか意味もなく浦半島側まで渡ってきたのである。
 とある学校に到着したドラゴンの一体は、憂さ晴らしのようにその爪と尻尾で教室を破壊し木々を引き倒し最後にグラウンドの遊具を目にはいる片っ端から悉く破壊した後昼寝を始めた。
 周囲に人の姿もなく、学校内はしんと静まりかえり。ただゆっくりと雲が流れていくだけであった……。
「大変です、皆さん。三浦半島南端の城ヶ島がドラゴン勢力に制圧されました」
 セリカ・リュミエールが開口一番にそう言った。
「ドラゴンたちはケルベロスに負けるつもりもなく、エインヘリアルを一番の敵と見据えて城ヶ島に潜伏・集結していたのだと思われます。ですが、鎌倉奪還戦の敗北に驚いたドラゴン勢力は、城ヶ島に拠点を築き、防衛力を高めようとしているのでしょう」
 それから、彼女は少し考え込んで付け足す。
「残念ですが、今すぐに城ヶ島を制圧する事は難しいです。けれども、少しでもその戦力を削る必要があります。……そこで」
 そう言って、セリカは学校の写真を一枚。取りだした。
「このドラゴンたちの一頭が、城ヶ島から離れて単独行動する事がわかりました。ですのでこのドラゴンが単独行動する所を襲撃し、撃破して欲しいのです。……ドラゴンは強敵です。それに加えて戦場は敵地になる危険な任務です。けれどもここでドラゴンの数を減らす事ができれば、戦況はかなり優位になるでしょう」
 だからどうか気をつけて、勝利を掴み取ってきてくださいと彼女は続ける。それからざっくりとドラゴンの特徴を説明した。
 簡単に言うと、ドラゴンは口から炎を吐くタイプであり、
 また、その爪や尾を使って攻撃を行う。
 ただ、今回のドラゴンは討伐可能な、比較的弱い個体となる。
「ヘリオンから降下して襲撃する作戦となりますので、そのつもりでお願いします」
 そう、彼女は言葉を添えて一息ついた。……それから、
「弱いと言っても相手はドラゴンです。正面から戦うことで、とても危険な任務になるでしょう。また、浦半島南部は、ドラゴンの拠点である城ヶ崎に近く、戦闘終了後はすぐに撤退する必要があります」
 一つ一つ、噛み締めるように彼女は言う。
「勝利が難しくなった場合は、撤退する余力があるうちにできるだけ遠くから撤退し、安全圏まで逃げ延びてください。場合によっては、城ヶ島のドラゴンが増援が現れる可能性もあるので、引き際は重要でしょう。……どうか、お気をつけて」
 そう言って、セリカは話を締めくくった。


参加者
霧島・奏多(鍛銀屋・e00122)
支倉・瑠楓(虹色シンフォニカ・e00123)
和泉・紫睡(紫水晶の棘・e01413)
戯・久遠(紫唐揚羽師団のヤブ医者・e02253)
二荒・六口(ニュクス・e09251)
パーカー・ロクスリー(地球人のガンスリンガー・e11155)
ガイラ・ゼブ(地球人の鹵獲術士・e11373)
飛翔院・紫龍(ドラゴニアンのブレイズキャリバー・e12695)

■リプレイ


 本来子供達の声が響く学校は校舎のあちこちが破壊され、グラウンドの木は倒されて痛ましい姿になっていた。
「よりによって……」
 支倉・瑠楓(虹色シンフォニカ・e00123)は呟いた。奏でる歌は立ち止まらず戦い続ける者達の歌であった。其処に一つ、思いを乗せて、
「なんで学校にきちゃうんだよー! 学校でくらいこんなこと考えずにいたいよ……!」
 叫んだ。降下と共に響き渡る歌は戦闘開始の合図であった。異変に気付いたドラゴンが顔を上げる。けれどもそれより、ヘリオンより強襲する仲間達の方が早い。
「これが、ドラゴンですか……。先の戦争でも見ましたが、すごく荒々しくて強そうです……」
 和泉・紫睡(紫水晶の棘・e01413)が息を呑む。己の手を見つめると少し震えていた。それでも彼女はその手で杖を握り込んで、
「その、それでも、私に出来る事は精一杯やらせて頂きます!」
 雷光をドラゴンに叩きつけた。
「ヤブ医者のドラゴン退治だぁ? B級どころかC級だぜ」
 戯・久遠(紫唐揚羽師団のヤブ医者・e02253)がそう言って、もぐもぐと差し入れの唐揚げを食べている。どこか胡散臭い様子であるがそれが彼である。食べ終わると同時にバトルガントレットが旋回し、強力な一撃をドラゴンに叩き込んだ。
「ごっそうさんっと。さて、やりますかね?」
 肩を竦める。その言葉に、
「竜退治か、腕が鳴るな。……だが、だが、気を引き締めていこう」
 飛翔院・紫龍(ドラゴニアンのブレイズキャリバー・e12695)が頷く。そしてそう言って、鉄塊剣を構えた。ドラゴンの頭上に辿り着くと同時に、その重い一撃をドラゴンの鼻っ柱に叩き込んだ。
「あぁ。気をつけよう」
 二荒・六口(ニュクス・e09251)もまた吹雪の形をした精霊を召喚し、ドラゴンの周囲を雪で包んでいく。
 攻撃に竜は忌々しそうに唸り声を上げ巨体をのそりと起こす。その負けることもないと思っているような動きに、
「奪うなら、奪われる覚悟も無きゃあな。……お前には、あったか?」
 霧島・奏多(鍛銀屋・e00122)が引き金を引いた。目にも止まらぬ弾丸はドラゴンの尾のあたりに吸い込まれていく。
「無かったなら今からしておくと良い」
「だな、おチビさん。まあ、見くびるなよ。ひっくり返して酒の肴にしてやるぜ」
 パーカー・ロクスリー(地球人のガンスリンガー・e11155)もまた吹雪の形をした精霊を召喚する。はっ。不遜に笑って掛け声と同時にそれを投げつけた。
 しかし口調とは裏腹に、その表情も動きも慎重である。「チビでもドラゴンは強大であり注意すべき」と、理性ではきちんと解っているのだから。
 そんな中、ガイラ・ゼブ(地球人の鹵獲術士・e11373)は、
「さて……さすがに緊張するが……」
 素直に緊張した面持ちで呟いた。出来る限りの策は練った。やるべき手は取ったはずだ。……だから、
 巧みなナイフの一撃で、ドラゴンの首回りを切り裂いた。その達人の一撃に、おぉぉ、とドラゴンは吠えて立ち上がる。それをガイラが真っ正面から見据えて、
「どうにかやってみっか」
 言うと同時に、各々地面に降り立ち陣形を整えて、仲間達も頷いた。


 竜が咆吼と共に炎を吐いた。後方で着実に攻撃を当ててくる者達へ、一斉に炎の雨を浴びせかける。
「うぉ!? くっそ、バカか、一撃でこんなにきついのかよ……!」
 ガイラが思わず毒づいて対抗するかのように吹雪の形をした精霊を投げつける。
「熱い……けれど、あの、その……とにかく行きます!」
 紫睡もまた握りしめたビスマス鉱石に魔力で熱を与える。
「燃えよ、燃えよ、幾何学の徒よ、我が心の迷いを燃やし、虹色の光をもって我が道を照らせ……!」
 作られた幾何学の武器はドラゴンの腕を貫通した。ドラゴンは憎々しげに紫睡を見る。
「……! ま、負けません!」
「見ているだけだ。気にしなさんな。……さて、ブレスが厄介だな。処置は迅速にせねば」
 視線に彼女が竦んだのを見て、久遠が言った。先程の飄々とした様子はなりを潜めている。戦闘開始直後に眼鏡を外し、まるで別人になったかのように癒しの雨を後ろで戦う仲間達に降らせた。
「……ふん、やはり癒しきれないか」
「大丈夫だよ、僕も手伝うから!」
 瑠楓が明るく言って、おっかなびっくり爆破スイッチを押す。派手な爆発で少しでもこの戦況が楽になるように士気を高めていく。
「最初は耐えて……大丈夫、絶対勝とうね!」
「ハッ、この位大したことねぇよ。子供の遊びじゃないぜ」
 パーカーもそんなことを言って冷静に氷の精霊をドラゴンの回りに降らせていく。この程度の炎なら、どうとでもないというように。
「そら、そろそろその身体も寒くなってきたんじゃないか?」
 パーカーの言葉にドラゴンは吼えた。ぐるりと尾を翻す。
「来るぞ!」
 紫龍が叫ぶと同時にその身体に尾の一撃が叩きつけられた。
「……っ」
 六口もまたその一撃を受ける。
「大丈夫か、すぐに」
 攻撃に奏多は銃を構えた。
「その一瞬はなかったことにする」
 銀の一睡と呼ばれる傷を消し去る魔術が弾丸の形を取って紫龍に撃ち込まれた。
「そっちは」
「大丈夫……かな。何とかしてみる」
 ガイラの言葉に六口が頷いて気力を溜めて傷を癒していく。回復を主体にじりじりとドラゴンの体力を削っているが、此方の体力も削られて来ていた。
「フェリア、お願い!」
 瑠楓がボクスドラゴンのフェリアに声をかける。お任せあれとでも言うように、ボクスドラゴンはブレスを吐いた。それを追いかけるように、ガイラが走る。
「敵の増援は大丈夫だな!?」
 尋ねながらも、ガイラはナイフを構えた。ジグザグにドラゴンの皮膚を傷つけていけば、その身に蓄積されていた様々な傷口を広げていく。
 その言葉を受けてパーカーは背後を伺った。それからファミリアロッドを振るう。
「まだ大丈夫だ。……そらお犬様、一つ暴れて来て貰おうか」
 なんて言葉と共にパーカーのロッドが犬になる。そのまま敵に突進して、傷口を広げるようにドラゴンへと噛みついた。
「で、でしたら……、続け、ます……! 前で耐えてくれている方々の為にも、応援を呼ばれる前に倒してしまわねば!」
 紫睡もそう言って弓を引き絞った。同時にドラゴンの口が開く。
「! 怖く……あ、ありません!」
 紫睡はエネルギーの矢でドラゴンを貫く。それと同時に、炎が再び吐き出された。後方から、攻撃を仕掛けてくる人間達に向けて。
「行かせない……かな」
 六口が奏多の前へ走る。紫龍も庇うように紫睡の前に立ち塞がった。
「がっ!」
「フェリア!」
 炎に包まれて倒れる二人。先程まで劇に攻撃を繰り返していたフェリアも瑠楓を庇って消えていく。そして久遠が即座に反応した。
「大丈夫か。今治すから少しの間堪えろ」
 体内で高めた陽の気を打ち込もうとする久遠。しかしそれは間に合わない。
「私の……事は気に……」
「済まないね……少し……」
 六口と紫龍が倒れる。奏多が僅かに眉根を寄せた。温度のない声音で、
「済まないがここから先は厳しい戦いになるぞ」
 奏多はそう言った。無表情なその良いように、ある種冷静になっていると誰かは思ったかもしれない。或いは何も考えていないように見えたかもしれない。……けれど、
「大丈夫、だよ! 最初っからきついのなんて解ってたし、みんなそのつもりだから……まだまだ平気!」
 瑠楓も励ますように言って、再びギターを手にする。フェリアが消えた場所を一度だけ見つめて。大丈夫だ。サーヴァントは一時的に消えてもすぐ戻ってくる。……大丈夫。
「そ、そうですね! 私達、まだまだ戦えます!」
 紫睡も攻撃を加えながら大きめに声を上げていった。ドラゴンの炎が怖かったから。けれどもそれ以上に……このまま誰かが落ち込んでしまうことが怖かったから。
「ちっ。可愛げのねぇ話だ。ガキはガキらしく泣いてろってんだよ」
 パーカーが毒づく。子供が無理をするのはいただけないとまでは口に出さずに魔法の光線を放ちドラゴンの動きを鈍らせていく。
「あぁ」
 久遠は小さく頷いた。そしてバトルガントレットを握りしめ、
「大丈夫だ。あいつも傷を負っている。倒したら安全な場所まで行って、きちんと治療してやる。……だから」
「勝つぞ!」
 ガイラが言って、魔法の光線を叩き込んだ。おぉぉ、とその声に対抗するかのように、ドラゴンの声が響いた。


 彼等の攻撃は繰り返され、そしてそのたびに尾が舞、炎が走り、爪は踊った。両者の戦いの痕に、砂埃が立つ。
「く……っ!」
「戯さん!」
「大丈夫だ。この程度で倒れてたら、医者など務まらんさ」
 爪がその胸にざっくりと突き刺さって、久遠はにやりと笑った。思わず紫睡が駆ける。その身体に向かって、ドラゴンの尾が叩きつけられる。
「きゃ……っ!」
「下がれ! 大丈夫だ、まだ何とかなってる!」
 ガイラが火傷の残る手でのナイフを握りしめながら声を上げた。そのまま構えてつっこむ。ジグザグにドラゴンを切り裂くと、ドラゴンは怒りの咆吼を上げた。
 しかしその声も殆どでない。紫睡が喉元に魔力で作った武器を叩きつけていたからだ。
「でかいのが。睨んだって怖くはないな。……そら、もう一発、頼むぜ!」
 パーカーがファミリアを再び飛び立たせる。呑気に言っているがその彼もまた相当なダメージを負っていた。その姿を淡々と奏多は見やる。
「誰も彼も怪我人ばかりだな。……俺達とドラゴンと、どっちが先に潰れるか」
 冷静に分析するように彼は言った。その淡々とした口調にガイラは可笑しそうに尋ねた。
「それで、どっちが勝つと思う?」
「それは間違いない」
 銀の弾丸を造り出し、奏多はあっさりと言った。
「俺達に決まっている。厄介なのは、画面の中だけで十分だ」
 傷がなかったことになっていく。もう一撃耐えられるかと久遠は冷静に分析した。……いや、
「ギリギリ、無理だな。これ以上はもたない」
 なんて冷静な言葉だと久遠は思う。けれども彼も医者である。ましてや自分の身体のことだ。よく解っていた。自分で自分に治療を施せば、もう少しは何とか延命できるかもしれない、けれど、
「……歌、を!」
「そいつはもう俺には必要ない!」
 再び炎が後方向かって走った。瑠楓の言葉に久遠はそう答えて地を蹴る。手を伸ばして紫睡を突き飛ばした。
「これでも医者の端くれでな。仲間への致命傷は防がせて貰う」
「私、守られてばっかりで……」
 炎が久遠の身を包み込む。最後の力を振り絞って、彼は紫睡の肩をぽんと叩いた。万象流転。陽の気を仲間に移し、傷を癒すその力を。
「……後は頼んだぞ。撤退、難しそうなら捨て置いて……く……」
 にやりと笑った顔は最後まで胡散臭かったけれども、医者としてこれが最善だろうと久遠は信じた。
 炎に包まれて地面に倒れる久遠に、
「いやああああ!」
 紫睡の絶叫が響いた。涙が頬を伝って落ちる。
「どうして、どうして私なんか……!」
 怖いと紫睡は叫んだ。倒れる仲間達を見て、それが辛くて、苦しくて、そして自分も次の番だと思うと怖くて。
 ……そしてそんなことを思う自分が浅ましい気がして。紫睡は叫んだ。叫びは心を燃やして武器を造り出す。幾何学の徒はその声に答えるように次々にドラゴンに突き刺さっていく。
「大丈夫だよ!」
 そんな胸を掻くような彼女の手を、とっさに掴んだのは瑠楓だった。
「僕だって辛い。それに……怖いよ。みんなみたいに、強い、気持ちで。立ってるんじゃない。けれど」
 大丈夫だと、彼は続ける。
「怖くったって良い。苦しくったって良いと思う。……それでも」
 そう言って、瑠楓は笑った。
「それでも、立ってられる紫睡は凄いと思う。僕も見習わなくっちゃね」
「そんな。そんな、私なんかより……」
 励ますように瑠楓は言って。だから最後まで歌おうと、手を離してギターを持った。前を征く仲間達が倒れて、ドラゴンの巨体が瑠楓の前に大きく、大きく立ち塞がった。
 ドラゴンは荒い呼吸を繰り返し、あちこちが凍り付き、またあちこち外資になり、息も絶え絶えだった。瑠楓はギターを持ったまま。
「倒れるまで、歌い続けるよ。……来い!」
 けれどもそれはその尾を振り回す。最後まで己の勝利を確信し、決して引かぬと言うように。
「済まない、暫く耐えてくれ!」
 ガイラが魔法の光線を放ちながら声をかける。光線はぼろぼろのドラゴンを貫く。
「倒せる目は……ある! 止めは……させる。だから頼む、もう少し……!」
 保ってくれと、自分の身体にガイラは言い聞かせた。先程ならの攻撃の中でも、ガイラは出来る限り回復を要求しなかった。それよりも緊急性がある仲間達が多かったからだ。……だからこそ、
 武器を握る手も、踏み出す足も。呼吸する肺も。体中の全てが、炎にまかれて傷を負って息が苦しかった。
「……あぁ。そうだな」
 そんなガイラの叫びに、奏多は頷く。先程から全く、変わらぬ口調で。
「ならば最後まで。ギリギリの所まで保たせよう」
 任せろとでも言うような口調に、ガイラは笑った。……そんな、二人に、
 炎が吐き出される。ガイラは跳んだ。死にかけて尚勝利を確信しているドラゴン。……確かに、一対一ではガイラ達は足元にも及ばないだろう。だけど、
「確かにオレ達は一人一人じゃお前に勝てない……が、作戦勝ちだな」
 傷口にガイラは手を突っ込む。そしてそこから己の地で作った剣を引きずり出した。痛みに気が遠くなりかける。それでも、
「血滅斬!」
 その剣を脳天に叩き込んだ。
 おぉぉぉぉ、と声を上げて竜は崩れ落ちる。思わずガイラは拳を天に掲げる。やった。そう叫ぼうと思った瞬間、ガイラの身体もぐらりと傾いた。
「あ……!」
 瑠楓が走る。崩れ落ちるその身体を支えた。その次の瞬間、
 おぉぉぉぉ! とひときわ大きな咆吼が響いて、傷だらけの竜が爪を振るった。
「危ない……!」
 紫睡が庇うように前に出る。それは無意識で、怖いとは思わなかった。……その、一瞬前、
「一瞬前のことならお生憎。それは既に“無かったこと”だ」
 奏多の銀の一睡が走った。今まで仲間の傷を消し続けていたその力は今度はドラゴンに向かって爆ぜ、ドラゴンの腕を吹き飛ばす。
「あぁ。全くあちこち傷だらけで泥だらけで誰も彼もぼろぼろだが……」
 その直後、ぼやくようなパーカーの声。ファミリアロッドから元に戻ったお犬様は、可愛い尻尾を一度振って、
「今日は酒が美味そうだ」
 妙に楽しげなパーカーの声と共に、ドラゴンののど笛に噛みついてとどめを刺したのであった。

 どうと大きな音を立ててドラゴンは再び崩れ落ちる。
 それで……終わりだった。彼等は勝ったのだ。
 歓声が上がる。けれども喜んでばかりはいられない。
「急ごう。撤退だ」
 奏多の言葉に、各々が頷いた。……そう、無事に帰るまでが、仕事なのだから……。

作者:ふじもりみきや 重傷:戯・久遠(紫唐揚羽師団の胡散臭い白衣・e02253) 二荒・六口(ニュクス・e09251) 飛翔院・紫龍(ドラゴニアンのブレイズキャリバー・e12695) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年9月23日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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