青い空、白い肌、くいこむスク水!

作者:鬼騎

「ムムム、量産型とはいえ、実験ではこれ以上の性能は出せないなァ」
 今まさに目の前で生み出されたオークを目にし、マッドドラグナーのラグ博士はしばし悩んだ。現状の性能では満足いくものではない。ならば……。
「ならば新たな因子を取り込めば良いだけの話! お前達が産ませた子孫を実験体にすることで、飛空オークは更なる進化を遂げるだろう!!」
 両手を広げ、高笑いを上げているラグ博士の言葉に飛空オーク達も歓喜の声をあげ、そそくさと移動を開始した。
 関東のとある屋外プール。この学校ではプールの時間は女子と男子が分かれて授業を行っており、ちょうど今年初のプールの授業が行われていた。晴天の中まじめに授業内容をこなすようにとたしなめる女性教師の声や女子中学生たちのはしゃぐ声が聞こえてくる。
 下降できるだけの広さはもちろんのこと、薄い一枚のスクール水着だけを纏った成熟しかけた年頃の少女達。少々年頃を過ぎてしまっているのも居たが1人だけだから良しとしよう。
 背中から膜が貼られた触手を持つ飛空オーク達は恰好の獲物を見つけたのだ。すぐさま降り立ったオーク達は恐怖と嫌悪感に泣き叫ぶ少女達を次々に捉えていく。
 飛空オーク達による陵辱の時間が始まったのだ。

「ヘリオライダー初仕事にしてこの内容! 結構凹むよ?」
 ふくれっつらをしつつ地図や資料などをケルベロス達に渡すのは旗本杏鶴。見た目は小さいがヘリオライダーの力に目覚めたばかりのドワーフの成人女性だ。
「さて、詳しく説明していくね? 竜十字島のドラゴン勢力が動いてるみたいなの。今回事件を起こすのはラグ博士っていうドラグナーが新種改良をした飛行型のオークよ!」
 飛行ではなく飛行型、と言うのには理由があり、自由に飛行できるわけではなく、高い場所から滑空して目的の場所に移動できるという内容だからだ。例えるならばモモンガのようなものだろう。
「自由に飛べないとはいえ厄介なことには違いないよね。皆には狙われる女性達の保護とオークの撃破をお願いしたの!」
 敵の数は全部で8体。使ってくるグラビティは触手を使って追撃をしてくる近距離攻撃と触手の先端を尖らせて貫き、こちらの防御力の低下を狙ってくる遠距離攻撃の2種類のみ。一応自身をヒールするグラビティも持ち合わせはあるようだがほぼほぼ使わないと見て問題ないだろうとのこと。
「残念ながら今回はオーク達が女子中学生に狙いをつけて降下し始めるまでは介入はせず、プールの周辺の木の裏や更衣室、シャワールームの建物の影などに隠れてる必要があるよ」
 予知から外れた状態になった場合、予知通りの動きになるとは限らないからだ。
「現場は教師1人と生徒は2クラス分で25人だよ」
 戦闘場所はプールサイドと水の張られたプール内。プールは金網で囲われているがケルベロス達ならなんなく飛び越えることが可能な高さだ。また、プールサイドにはベンチも並んでいるが戦闘の邪魔になる程のものではない。
「オークに直接狙われる前の子たちは自力で避難可能だから、狙われた子たちからオークを引き離してあげてね。杏鶴からは以上だよ!」
 説明が終わり、控えていたヴォルフも集まったケルベロス達に声をかけた。
「今回は私も作戦に参加し、主に女性たちの避難誘導に務めさせていただきます。下衆なオーク達を1匹残らず撃破いたしましょう」


参加者
シルフィリアス・セレナーデ(魔法少女ウィスタリアシルフィ・e00583)
葛城・唯奈(銃弾と共に舞う・e02093)
円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)
妹島・宴(幽囚に疼く・e16219)
龍・紅花(高みを目指す者・e20309)
マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)
グロゼイユ・フィーユデュエルブ(赤酸塊の騎士見習い・e27053)
ロボ・シートン(オオカミ王の末裔・e27756)

■リプレイ

●更衣の時間
 晴天の中、まじめに授業内容をこなすようにとたしなめる女性教師の声や女子中学生たちのはしゃぐ声が聞こえてくる。
 関東のとある学校では屋外プールにて今年初のプール授業が行われていた。
「まったく、折角のプールの時間に乱入とか、空気読めないのかな」
 葛城・唯奈(銃弾と共に舞う・e02093)はオークの気を引くためのスク水に着替え、シャワールームの物陰に隠れていた。
 そのすぐ横には動物変身で黒い仔猫の姿となった円城・キアリ(傷だらけの仔猫・e09214)も待機している。女子中学生たちの発育しかけた姿を見て思うのは、自分も中学生になればあのぐらいにはなれるのかなという一抹の不安や願望だが、今はそんなことを気にいている場合ではない。キアリはその出で立ちを利用し、顔を覗かせオークが奇襲してくる上空を中心に様子をうかがっていく。
「清々しいくらいに欲望に忠実だよね、オークって。清々しいくらいに忠実で……ゲスだ」
 マルレーネ・ユングフラオ(純真無表情・e26685)はそう口にしながらシャワールム内にて競泳水着へと着替える。スクール水着なら中学生達に紛れ込むのも可能かと思っていたが残念ながら競泳水着しか用意ができなかったのだ。
「変態さんにも困ったものっすね」
 同じくシャワールームにてシルフィリアス・セレナーデ(魔法少女ウィスタリアシルフィ・e00583)も着替えて待機していた。彼女が着替えたのは旧スクール水着。旧スクール水着という事は前面の腰まわりにのみ分割線(水抜き)があるタイプで、スクール水着とは他にもいろいろと種類があるので興味がある人は探してみると面白いかもしれない。
 更衣室ではこれまたスクール水着に着替えた龍・紅花(高みを目指す者・e20309)が己の体が武器だからと、念入りに準備運動をしていた。格闘術で戦う彼女の体はよく引き締まっておりスレンダーな身体付きではあるが、女の子特有の柔軟さも兼ね備えていた。
「ケルベロスとして初めての依頼でこの格好とは……」
 紅花と一緒に更衣室内で待機していたグロゼイユ・フィーユデュエルブ(赤酸塊の騎士見習い・e27053)は、己の格好を改めて確認する。身体のラインや水着の食い込みを強調しオークの気を引けるようにと、爆乳豊満体型の彼女の身体はワンサイズ小さめの水着に押し込まれている。また年頃だと強調するよう、胸のあたりに3-Aと書いた水着用ゼッケンが縫い付けていた。
 そんな更衣室の外では物陰に隠れ妹島・宴(幽囚に疼く・e16219)がはしゃぐ女子中学生たちの声に、しみじみとしながら言葉を漏らす。
「ああ、プールではしゃぐ女子中学生の声が聞こえるような位置で潜んでると、なんだかイケナイ事してる気分になってしますね……」
 えっちなこと大好きですけど、陵辱だなんてハッピーじゃない事は許さないという気持ちで、教育に悪いオークを退治するべく依頼に参加しにきてるのだ。サキュバスである彼が多少興奮してしまうのも致し方ないシチュエーションではあるのかもしれない。
 その横ではロボ・シートン(オオカミ王の末裔・e27756)が宴の言葉に少々呆れながらも、上空の様子を伺っていた。
「万年発情期のオークが初仕事とはな……」
 グロゼイユ同様、ロボもこれがケルベロスとして初めての仕事であった。そんな事を思っていると、上空から飛行オークが勢いよく降下してきているのが目視できた。
「ま、とりあえず一匹残らず狩ればいいって事だな」
 ケルベロス達はオークの降下に気づき、獲物を手にプールサイドへと飛び出した。

●避難の時間
 オーク達が降下してくるのはあっという間だった。盛大な水しぶきを上げながら水の中に飛び降りるもの、プールサイドに着陸するものと様々だ。
 突然の出来事で女子中学生達は驚き固まった。だが固まったのは一瞬だけの話。空から現れたのはデウスエクスのオークであると気づいた生徒達から、大きな悲鳴が上がる。
 そんな中、一番最初にプールサイドへと躍り出たのは唯奈だった。
「俺の攻撃は避けらんねーぜ! 大好きなスク水に成敗されるんだありがたく思えよっ!」
 二丁拳銃から繰り出される跳弾射撃は見事オークの死角をつく。それに続き躍り出たロボがよく響く声で生徒達へと避難の指示を出した。
「俺達はケルベロスだ! 全員すぐに逃げろ!」
 皆ざわめく中、助けがきたのだとすぐわかった教師が追加で生徒達へと逃げるよう指示をし、皆出口に向かい避難し始めた。
 逃げ始める生徒達を避けながらキアリは飛び出すと同時に動物変身を解除し、着陸した瞬間のオークたちを狙いハウリングを仕掛けた。それと同時に前もって指示していた地獄の瘴気をオルトロスのアロンが重ね、牽制をする。その間に一番近いどころにあったフェンスを切り裂き、人が通れる穴を開ける。
「皆ここからも逃げられるよ!」
 プールの狭い出入り口からだけではない避難経路ができた事で生徒達の避難はスムーズに進む。プールの外には避難のために同行したヴォルフが生徒達をより安全なところへと誘導していった。
 うまく牽制はできたが、それでもオークには捕まった生徒が水中に2人、プールサイドに2人で4人ほど出てしまった。オークは現状プールの中に3体、プールサイドに5体という状況だ。
「プールの中はまかせるのじゃ!」
「私もいこう」
 紅花とマルレーネは同時にプールの中へと飛び込んだ。先に仕掛けたのは紅花だ。
 女子生徒をつかんでいるオーク一体に向け螺旋氷縛波を繰り出す。水中からオークへ向かい泳ぎながら放った攻撃は腹へと直撃し、胴から腕にかけてオークを凍らせ、動きを鈍らせる。そのままの勢いで水中から女子生徒を奪取した。
 マルレーネも同じように水中からもう一人の生徒を捕獲していたオークへと近くが、先の動きとは変わり、オークの目の前で水中からオークの眼前へと飛び上がった。仰け反り気味で飛び出した状態はオークの眼前でたわわな胸が揺れ、オークの視線を釘つけにした。
「狙い通り」
 無表情の彼女は釘つけになり注意がおろそかになった眼前のオークをブラックスライムで丸呑みにし、悠々と女子生徒を助けだした。
 もう一体プールの中にいたオークが女子生徒を逃すまいと、助け出そうとする背後から触手を伸ばし追撃しようとする。
「おっと、させないっすよ!」
 グラインドファイアでしっかりと敵の動きを牽制したのは宴だ。
「豚とはいえ、こんがり焼けても美味しくなさそうですね。……しかし眼福な仕事です」
 格好良く決めたはずだが最後の言葉が残念すぎた。
「ささ、あとはそっちの2人だけっすね。これ以上の狼藉は許さないっす!」
 シルフィリアスが生徒をつかまえているオークに向かいライトニングロッドをかざすと、バチバチと雷がほとばしり敵を痺れさせる。
 続きグロゼイユももう一体生徒を捉えているオークに向かい斬霊斬を放ち、霊体を汚染破壊させる。同時にプールサイドにいるオーク達に向かい、スクール水着をアピールしながら気を引くために声をかけた。
「最も強いものの種なら受けてやってもよいぞ?」
 もちろん気を引くためだけの詭弁なのだが、オーク達は喉を鳴らし熱い視線でスクール水着を着たケルベロス達の姿を舐めるように見つめた。
 彼女が注意を引きつけている間にプールサイドで捕まっていた生徒達をシルフィリアスが誘導し、しっかりとプールの外へと避難させる事ができた。
 これで捕らわれ逃げ遅れた生徒は1人もいない。あとはタコ殴り、ならぬブタ殴りをしていけば良いだけの状態となったのだ。

●駆逐の時間
「これでもくらえっすー!」
 きゅるんと旧スクール水着でかわいくポーズをつけてアイスエイジを複数体のオークへと放つのはシルフィリアスだ。魔法少女と名乗るだけあり決めポーズも魔法を駆使する姿も可愛らしく決まっている。だがしかし解き放ったアイスエイジはカッキンコッキンにオークを閉じ込めズタズタにする様は魔法少女というのはむごたらしいかもしれない。
「これがいいんだろう、くれてやるっ!」
 豊満な胸からヴァルキュリアブラストで体当たりをするのはグロゼイユだ。初仕事なうえに食い込むピチピチスクール水着に最初こそもじもじしながら戦っていた彼女だが、徐々に戦闘で水着に穴が開き露出が増え始めたからなのか、開きなおる事にしたらしい。
 ケルベロス達は弱っている敵から倒すという方向で結託し、順当に敵を撃破していた。残りもあと少し、ここから畳み掛けるのみの状態だ。
「そこ隙ありだぜっ!」
 プールサイドにあるベンチの間の位置から、いっきにオークの側面へと転がり出る。その動きから二丁拳銃から魔法の弾丸を繰り出したのは唯奈だ。拳銃から硝煙が上がり、どさりとオークの一体がまた倒れた。セーラ服、ではなくスクール水着に二丁拳銃。なかなか流行りそうなスタイルではなかろうか。
「ブタだろうがなんだろうが、獲物は全力で狩る!」
 ロボのグラビティを乗せたオオカミ達があわわれ、オークに深手を負わせながら駆け抜けていった。
 傷ついたオークはプールの中へと逃げようとするが、その身体はプールの中から竜爪撃にて貫かれた。
「育ち盛りの女子を狙う輩はわしが説教(物理)じゃ! しかし水にねばっとしたものが浮いておったり触手に絡まれたりで気持ちが悪いの……」
 うんざりといった表情で紅花は沈んだオークを見やった。
 残りプールに1体、プールサイドに1体となったオークだが、キアリはまずプールにいるオークから片すべく行動に出た。
「アロン!」
 サーヴァントと連携と取るべく名を呼ぶ。アロンはそれに答えソードスラッシュを放ちオークを追い詰めた。そのままブラックインヴェイジョンを繰り出し、プールの中にいたオークはブラックスライムに喰らい尽くされた。
「あと1体ね。やろう」
 プールの中にまだいたアルレーネはブラックスライムを操りケイオスランサーを繰り出した。仕留めるまでいかなかったもののもはや虫の息だ。
「あと一撃!」
 宴はプールサイド、目の前にいるオークへとクイックドロウを繰り出した。だがその攻撃より一瞬早く、最後の足掻きとオークが触手を伸ばし、攻撃を仕掛けてきた。
「コノママ死ヌグライナラァアアア!!」
 絶叫とともに繰り出された触手は宴の後ろ、グロゼイユへ狙いをつけ繰り出された。
 攻撃をこらえた彼女だったが、その触手の攻撃で傷つき切れかかっていた彼女の水着へ最後のダメージとなり、水着の肩紐が切れるというハプニングが起こった。
「きゃぁあああっ!?」
 あらわになった姿に悲鳴を上げ慌てて胸を押さえ込みしゃがむ。
 オークは入れ違いとなった宴の攻撃を受け倒れたが、その表情は実に至福そうであった。
 しかし世の中慣性の法則というものが存在する。グロゼイユの水着を弾き飛ばした触手はそのままコントロールを失い、宴を弾き飛ばした。
 まったくの不意打ちに受身も取れず、身丈の高い男がプールに叩き落とされたのだ。盛大にあがる水しぶきにプールに近い位置にいた面々もプールの中にいた面々も盛大に水をひっかぶってしまった。
 敵を倒し終わった後に起こった悲劇に、誰からともなく笑い声が上がった。

作者:鬼騎 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年6月5日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 3
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