赤のビフレスト~VSはたらくくるま!?

作者:相原きさ

●赤色に染まる工場跡地
 愛知県豊田市にある、工場跡。
 そこに吸い込まれるように赤色の破片が落ちていった。
 誰もいない捨てられた場所である工場が光り輝いたかと思うと、赤色の光に染められ、ドゴンドゴンと息を吹き返したように工場全体が動き出したかと思うと……。
「守らねばならぬものがある! その役目を果たす為、パトリオス参上!」
 ふぁんふぁんと、頭のサイレンを回しながら現れたのは、白と黒に塗り分けられたパトカー……から変形したダモクレス。
「炎なら任せろ! 冷静沈着!! ファイヤーレスキューター!」
 今度は梯子を背に載せた赤い消防車……から変形したダモクレスが現れた。
「いち早く光でお知らせ! シグナルサイン!」
 ぴかぴかとお守りしますと標識が点滅する。どうやら、こいつは標識車のダモクレスのようだ。
「敵もゴミ。ゴミは分別。ダストレッサ―!」
 渋い雰囲気のゴミ収集車のダモクレスがどしんと現れた。
「ダストのアニキ、俺も手伝いまっせ……ロードクリーン!」
 おっと、こっちは道路清掃車みたいだぞ!
「おやおや、忘れてもらってはいけませんね。高い所なら私の出番でしょう? ……ハイアップ、見参」
 今度は電線整備にお馴染みの高所作業車のダモクレスが現れた。
 と、激しい音ともに巨大なショベルが工場の地面にクレーターを作り出す。
「後列からダイナミックなショベルで参加するぜ、ショベルパワード!」
 ショベルカーのダモクレスだ。まだまだ他にもいるみたいだぞ。
「パワードが行くのなら、このアタシ、ロードロールスも行くわ」
 ロードローラーのダモクレスと。
「ダンプガング、我も参戦するぞ」
 大きなダンプトラックのダモクレス。
「ガングとロールスがいくなら、この私ロードブレイダーも連れってって」
 こっちはロードカッターのダモクレスのようだ。
「おっと、おれっちの出番かい? パイルドライ!」
 今度は地面に巨大な杭を打ち付けるパイルドライバーのダモクレスが現れる。
「おやおや、賑やかになってきましたね。木でも切りましょうか? あ、ウッドスラッシュと申します」
 木を切るときに活躍するハーベスタ―のダモクレスや。
「なら、俺が運ぼうか? どんなデカいものでも運んでやるぜ、トレスドレス」
 トレーラーのダモクレスがきらーんと歯を光らせた。
「運ぶのは人ではないの? 僕も……バステイラーも運びたいよ」
 バスのダモクレスもわたわたとやってきた。
「人? 人なら某も役目を果たせるぞ。タクシード!」
 今度はタクシーのダモクレスが現れた。
「クレーンドラム、俺も行くぜ! 敵はこのクレーンの錆にしてやる」
 今度はクレーン車のダモクレスが立ち上がった。
「ブレード? なら俺の巨大ブレードも仲間に入れてくれ。ブルドレクト」
 今度はブルドーザーのダモクレスが出てきた。
「こっちは粉々に打ち砕こうぞ、ガーラゴース!」
 ガラパゴス……またの名を自走式破砕機のダモクレスに。
「稲刈りなら任せろ! あれ違うの? コンバルド!」
 コンバインのダモクレス。
「この田植えで磨いた武器さばきを、この戦いでお見せしよう……タウエクレス」
 驚きの田植え機のダモクレスも現れた!
「コンちゃんとタウちゃんが行くなら、このトラちゃんも行くよ! トラクブレスタ!」
 こっちはトラクターのダモクレスだぞ。
「あら、美味しそうな人たちが集まってるみたいね。じゃあ、私もクレープ焼いて、応援するわ。ミセットクレス!」
 クレープの移動販売車のダモクレスだ。
「じゃあ、あたしは、素敵なステージを披露してあ・げ・る☆ ステージスター♪」
 トラックの荷台がぱっかーんと開いて舞台になるステージカーのダモクレス。
「では、皆さんの活躍をこのパラボラで流しますか。テレパレス!」
 テレビ中継車のダモクレスまで現れた。
「あ、邪魔な奴がいたら言ってね。運ぶからさ、レッカレッカーだよ!」
 今度はレッカー車のダモクレスだぞ。
「小さくても、パワーはあるんだ! フォーグリフ!」
 今度は小さいフォークリフトのダモクレスだ。
「コンクリートはいらないか? コンクミクス」
 背中のミキサーでコンクリートを作り出すコンクリートミキサー車のダモクレスまで現れている。
「タンクに満ちたガスで敵の息の根を止めてやる……タンクドローク!」
 次に現れたのは、タンクローリーのダモクレスに。
「ああん、怖いわぁ~。でも、戦わなきゃいけないのよね。後ろで皆を応援してるわね……あ、ホワイトレスキューノよ☆」
 ちょっとなよっとしている白い救急車なダモクレスが、んふっとポーズを決めた。
「それじゃあ、ボクも必要だよにゃん! キャットタイヤー」
 ネコ車、またの名を一輪手押し車ともいう、いろんなところに持っていける車のダモクレスまでポーズを決めている。
 総勢30体のダモクレス達が、この場に現れ、赤色の欠片を守るようにパトロールを始めたのであった。

●世界が君を呼んでいるッ!!
「みんな、大変なんですー! 工場にダモクレスのゴーストが現れたんです! メカがしゃきーんですよ!」
 取り乱した笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)は、ケルベロス達のあっけにとられた表情を見て、思わず立ち止まった。
「えーと、こほん。虹の城ビフレストから放たれた光の一つが、どこにあるのかがわかったんです。いちばん強い光は、鎌倉でダンジョンになったんですけど、それ以外の6つの光……ビフレストの欠片も日本中に飛んで行って、それで残霊現象を引き起こしているんです」
 どうやら、今回はその光の一つである、赤のビフレストが落ちた場所が判明したようだ。今回はそのビフレストの力がかなり強いため、一度に数多くの残霊を生み出しているらしい。
「みんなには、愛知県豊田市でダモクレスの残霊をやっつけてほしいんです!」
 その数、30体。どれも働く車をモチーフにしたダモクレスのようだ。
 また、落ちた場所は豊田市の無人になっている工場跡地。既に持ち主はなく、ただ壊れ落ちるのを待っている状況のようだ。激しく戦って壊しても問題ないだろう。それにケルベロス達のヒールがあれば、壊れた場所もあっという間に直すことが出来る。
「きっとみんななら、勝利して帰ってきてくれると信じています。気を付けて行って来て下さいね! 勝利はこの手に、ですよ!」
 そう言って、ねむは心配そうにしながらも、笑顔でケルベロス達を励ましたのだった。


参加者
ルキ・クレイク(赤燈蕾・e00071)
沓掛・シン(けっこう無気力系ガンナー・e00219)
ルリナ・アルファーン(駆け出しアイドル・e00350)
ミック・マーベラス(わんこライダー・e00368)
アンネリース・ファーネンシルト(レーヴェンツァーン・e00585)
春日・いぶき(遊具箱・e00678)
久々津・零(レプリカントレプリカ・e00686)
芥河・りぼん(刀魂リサイクル・e01034)
ヘクセ・アイネンセクト(サイレントドール・e01098)
クーリン・レンフォード(ドルイド・e01408)
更科・風丁(流浪の機巧戦士・e01456)
ソネット・マディエンティ(ブレイジングスティールハーツ・e01532)
ヴォルフガング・タルタロス(キャプテン・e01713)
パール・ホワイト(地球人のミュージックファイター・e01761)
クラウス・ロードディア(無頼剣客チンピラ系・e01920)
シエラ・シルヴェッティ(春潤す雨・e01924)
エル・ベルフォニカ(銀の鈴・e02500)
文丸・宗樹(忘形見・e03473)
ソラネ・ハクアサウロ(暴竜突撃・e03737)
吉備津・鼓(猿・e03966)
戸部・福丸(ドラゴニアンの降魔拳士・e04221)
龍神・機竜(機械仕掛けの元傭兵・e04677)
マリア・テミルカーノヴァ(情熱ドリヴン・e05708)
スタン・レイクフォード(電光石火・e05945)
ミリディア・ファームベルト(レプリカントのウィッチドクター・e06542)
十守・千文(二重人格の機工巫女・e07601)
皇・美乃(歩く絨毯爆撃機・e11552)
ヴァルリシア・ゲルズ(シャドウエルフのウィッチドクター・e11864)
一之瀬・瑛華(ガンスリンガーレディ・e12053)

■リプレイ

●はたらくくるまと地獄の番犬達
 誰もいないはずの工場に、今、30体ものダモクレスのゴーストが存在する。
 それらを食い止めるために、今、30人のケルベロス達が集まった。
 彼らに気付かれない場所で、見下ろすかのように、ダモクレス達の様子を伺っている。
「はたらくくるま、ですか……」
 そう呟くのは、マリア・テミルカーノヴァ(情熱ドリヴン・e05708)。
「わふぅ! 何か車が集まりすぎてる……これは面白そうわんっ!」
 ミック・マーベラス(わんこライダー・e00368)は、興奮した面持ちで彼らを見下ろしている。
「格好良くて私も憧れてしまいますけど……うう、敵なのがとっても残念です」
 そんな残念そうな声を上げるのはルキ・クレイク(赤燈蕾・e00071)。格好良くても、敵は倒さねばならない。
「残霊ってお化けとかそういうのだと思ってました。機械も霊になるなんて驚きですね」
 クーリン・レンフォード(ドルイド・e01408)はそう驚きの声を上げる。
「不思議だけど……今はさっさと終わらせて、ぱーっと……甘いものでも食べに行きたいね?」
 どうやら沓掛・シン(けっこう無気力系ガンナー・e00219)はさっさと戦いを終わらせたいようだ。
「皆さん! 気合入れていきますよ!!」
 その隣で芥河・りぼん(刀魂リサイクル・e01034)がそう意気込むと。
「ええ、そうですね。では……討伐対象、ダモクレスゴースト30体。戦闘、開始致します」
 久々津・零(レプリカントレプリカ・e00686)の言葉を合図に今、激しい戦いの幕が上がる。

 戦う相手は既に決めている。ケルベロス達はそれぞれが担当する敵の前に立ちはだかり、戦いを開始した。
 巨大な機体が超加速突撃で一気に飛び込んでくる。その後、ぐるんと回転するのは、トレーラーに取り付けられた大きな荷台。
「へえ、この俺の動きにも対応できるとは、ねぇ?」
 がしゃんと人型マシンに戻るのは、トレーラー型のダモクレス、トレスドレス。
 それに対峙しているのは。
「わたしとあなた……デッドエンドは、どちらでしょう」
 一之瀬・瑛華(ガンスリンガーレディ・e12053)だ。自らのグラビティを鎖状に具現化し、自身の腕と対象の体の一部に巻きつけて、有効射程距離内に拘束する。
「くっ、やるじゃねえかっ!!」
 トレスドレスはその鎖を引きちぎり、もう一度、突撃の体制を取り始める。
 瑛華の青い瞳がきらりと輝く。
「今度こそ、貴様を仕留めるっ!!」
 再度、先ほどと同じ突撃を開始。だが、もう二度と避けることはない。
 高速を越える、その拳が唸りを上げた。
「な、にっ……!?」
「小細工なしの、インファイト、です」
 瑛華自身も傷つき、膝をつきながらも……壊れ行くトレスドレスを見届けたのだった。
「これで……あのときの借りは返せたでしょうか……」

 バスタービームとダブルバスタービームが交錯する。
「車は働く機械であって人を襲う機械ではありません……簡単に言えばお前達の存在自体が迷惑なんです! すぐにこの世から消して差し上げましょう」
「ゴミの分際で。消滅は……貴様だ!」
 ゴミ収集車のダストレッサ―を焚き付けながら、戦うのはレプリカントの皇・美乃(歩く絨毯爆撃機・e11552)。
 何度も攻撃を重ねて、美乃はフロストレーザーを放った。ダストレッサ―は背中のダストボックスからゴミをばら撒きながらも激しい攻撃を仕掛けてくる。だが、それももうすぐ終わりを迎えるだろう。
「ここが勝負所じゃのぉ、よーし全機射出! 一辺たりとも残すなよ……全てを喰い尽くしんさい!」
 専用コンテナから8機の飛行式小型兵器を射出。敵を包囲するよう無線誘導にて展開し、搭載した魔力弾による激しい集中砲火を浴びせたのだ。そう、美乃の持つ必殺技、暴食の砲弾(グラトニーシェル)だ。
「ぐああああっ!!」
 激しい爆発。残ったのはゴミくずばかり。それもあっという間に消え失せて。
 美乃は戦う仲間達を一瞥すると、すぐさま別方向へと走り出した。

「むむ、貴様もやるな……」
 タクシー型のダモクレス、タクシードが片腕を失くしながらもそう告げた。
「あー。……うん、そうだねー」
 シンはだるそうな口調で頷く。ここまで、二人は、いや、一人と1体は激しい戦いを繰り広げていた。
 苦し紛れのバレットタイムが、相手の腕を奪うに至ったのは、シンにとっても嬉しい誤算の一つ。
 舐めていた飴の棒をぷっと吐き出すと。
「じゃあ、終わりねー」
「某もタダで終わるわけにはいかんっ!!」
 攻撃を仕掛けるタクシードを。
 ズガガガ、ズガンズガーン!!
 卓越した銃捌きで、敵の頭部を素早く正確に撃ち抜いて、戦いを終わらせたのは、シン。
 崩れ落ちるタクシードを見つめながら、シンは新たな飴を取り出し、口に入れた。

 標識車シグナルサインの前に立ちはだかったのは、ルキ。
「貴方の相手は私です、シグナルさん」
「了解したよ。じゃあ、相手になってね。そして、死んで」
 ぴかぴかと死んでの文字を表示させるシグナルサイン。
 激しい戦いの中、やはり、ルキの思った通り、シグナルサインは守りを固めながら攻撃をしている様子。
 一方のルキは、それを見込んで、大打撃を狙える戦い方を選んでいた。
「前後左右上下、全方向にご注意ですっ! そこっ!」
「いい加減、消えてよね」
 消えろという文字が点滅する中、チェーンソー剣の刃で敵を斬り裂き、傷口を広げていく。
 まともに喰らってしまい、ルキの足もとがおぼつかなくなる。
「それでも……お兄ちゃんに会うまで、私は! 負けられないんです!」
 シャウトで回復し立ち上がり、更なる攻撃を避けるルキ。
「感謝の気持ちは、持ち続けますから!」
 壁や地形を狙って射撃し、跳ね返った弾丸でシグナルサインの死角を貫いた。
『サヨナラ』
 小さくそんな表示を見せながら、シグナルサインは倒れるように爆発した。

 開けた障害物の少ない場所。そこで戦いを繰り広げているのは、クラウス・ロードディア(無頼剣客チンピラ系・e01920)とバス型のダモクレス、バステイラー。
「仲間と引き離されちゃったね。それが狙い?」
 そういうバステイラーににやりと笑みを浮かべながら、クラウスは。
「そうだ、余計な邪魔は誰にもさせねェ。『此処』は手前とオレだけの決闘場だ! いざ尋常に……勝負しようかァ!」
 炎に激しい突き。バステイラーもその大きさを生かして、重い攻撃を仕掛けてくる。
「どっちが先にくたばるか、根性比べってやつだなァおい。まァ楽しめや!」
 幸いなことに相手はあまり回復を使わない様子。だが、その分、一撃をまともに喰らってしまうと危機的な状況になってしまいそうだ。関節や目を狙って攻撃を重ねていく。
 そして、クラウスは自身の眼鏡を外して笑みを浮かべる。
「いくぜェ……耐えてみせろや! ――禍津祓エヤ命之息吹、イザヤ散レ血染華ァ!」
 十絶陣が一つ、突進から放つ高速乱撃術。手数と速度の両立に重きを置いた颶風の如き剣……クラウスの剣魔憑依・風吼陣が放たれる。
 チンという音ともに、クラウスは刀を鞘に納めた。それと同時にバステイラーは粉々に吹き飛ぶ。
「あばよバステイラー、ゆっくり眠りな」
 そして、クラウスもゆっくりと倒れ込むのだった。

「主憐れめよ、主憐れめよ……」
 そう祈りを捧げたのち、マリアはタンクローリーのダモクレス、タンクドロークと対峙する。
「ふん、わざわざ神に祈りとは、なっ!!」
 肘から先を内蔵モーターでドリルのように回転させ、タンクドロークは威力を増した一撃を与える。
 何とか躱すことができたが、二度目はあるだろうか。
 シャドウリッパーとライトニングボルトを交互に使いながら、敵に攻撃を重ねていく。傷を癒しながらも、激しい戦いは少し長引いた。だが、それももう終わり。
「主よ、私は赦されるのでしょうか?」
 最後に放った、マリアの杖からほとばしる雷が、タンクドロークを打ち貫いた。
 爆発と共に消えたタンクドロークに、もう一度、祈りを捧げて、マリアは傷ついた体を休めた。

 遠距離から爆炎の魔力を込めた大量の弾丸を連射するのは、スタン・レイクフォード(電光石火・e05945)。
「はたらくくるまだか何だか知らないが、ガッツリバトルしてやろうじゃねえか!」
 ライドキャリバーのマシンアーチャーと連携を取りながら、高所作業車のハイアップと戦っていた。
「こんなところでうろちょろと……小賢しい連中ですね!」
 ハイアップは、バスケットのようなリフト部分を振り回しながら、スタンらを攻撃している。一方、スタンは。
「うっひょお! あっぶねえ!」
 工場の壁面や張り出した鉄骨等を足場にして、跳躍。そのお蔭か、敵の攻撃を避けることに成功していた。
 その間にもマシンアーチャーはスタンの盾になりながらも、内蔵ガトリング砲で敵群を掃射していく。
「そらそら、どんどん行くぜ!」
 軽口を叩きながらも、卓越した技量からなる達人の一撃を放ち、相手に攻撃を重ねていく。
「そんな力だけでは、私は倒せませんよ」
 そういうハイアップにスタンはにっと笑みを浮かべる。とっさにマシンアーチャーに騎乗すると。
「なら、これはどうだ? ……全力全開! いっちょ、派手に行くとしますかあ!!」
 そのまま加速し、斬霊刀で一閃! ハイアップの上部と下部が斜めにズレる。
「流石、お見事……」
 そのまま滑り落ちるように体が真っ二つとなり、激しい爆発を起こしながら、その姿を消滅させたのだった。
「あらあら、兄弟機かと思ったのですが……ハズレだったみたいですねぇ」
 車を運ぶクレーンのシルエットを見て首長竜型辺りの兄弟機かと思ったが、近づいて見れば全く違っていた。落胆しながらも、すぐに気持ちを切り替えて、ソラネ・ハクアサウロ(暴竜突撃・e03737)は、戦いに集中する。
「兄弟機? よくわからないけど、違うと思うよ。僕は誇り高きレッカー車だからね!」
「兄弟機でないと言うなら話は早いです。貴方は敵、倒すべき対象。行きましょう、ギルティラ!」
 ソラネは恐竜のような装甲を身に纏いながら、超加速突撃でレッカレッカーを一気に蹴散らす。
 状況を判断しながら、ソラネはリスクを回避した堅実的な戦いを展開していた。
 一方、レッカレッカーはそれに惑わされ、ここぞという一撃を放てずにいた。態勢を崩したのを見て、ソラネはその好機を見逃さず。
「装甲解除……形態移行……外骨格から獣竜へ。頑張ってください、ギルティラさん!」
 装甲を一時的に解除し、恐竜を模した自立形態へと変形、使い手の元を離れて暴れまわる。それをまともに喰らったレッカレッカーは、その勢いのまま壁にめり込み、その動きを止めた。
「1対1なんて、そうありませんから……貴重な体験、ありがとうございます♪」
 動かないレッカレッカーを背にして、ソラネはそう皮肉めいた礼を告げたのだった。

 赤橙色の瞳で静かに、道路清掃車のロードクリーンを見据えるのは、零。
「ゴーストであれ、清掃という責務の放棄は咎められるべきです」
「なんだそりゃ。煩い奴だな、お前!」
 ダストレッサ―との連携を警戒し、必要であれば美乃と連携を打診することも考えていたが、幸いにもそれはなく、今はロードクリーンだけと戦うことが出来ている。現在はより効果的に攻撃を重ねられるマインドソードとスパイラルアームの2種に絞って攻撃を続けている。
「それにしても……ダモクレスに兄弟関係が発生するとは、不可解です」
「いい加減黙れ! お前の声は目障りなんだよ!」
 零のバトルガントレットと、ロードクリーンのチェーンソー剣が激しくぶつかる。
「これで……終わりです」
「終わってたまるか!」
 しかしその勝負は。
「くそ……アニキと共にいきたかった……」
「では、失礼いたします」
 零のその丁寧なお辞儀と共に、ロードクリーンは破壊されたのだった。

 戦いが始まったのをみて、クーリンはさっと自分のマントのフードを被る。
「さあ、始めよう、シエラ」
「ええ、準備は良い? クーリンさん」
 クーリンとシエラ・シルヴェッティ(春潤す雨・e01924)は、二人でタッグを組んで、ネコ車のキャットタイヤーとコンクリートミキサー車のコンクミクスと戦っていた。
「へー、工事現場の手押し車って、ネコ車っていうんだね! なんだかちょっと可愛いかも! にゃんにゃん」
 初めに二人でキャットタイヤーを牽制し、先に倒そうとしているようだ。
「うわーん、僕を狙ってるにゃん!」
「そうはさせんっ!!」
 割り込んでくるコンクミクスを。
「ミキサー車のダモクレスさんってことは、やっぱり手押し車のキャットタイヤーさんと仲良しなの?」
 シエラが更に割り込んで攻撃を重ねていく。
「ずっと気になってたことがあるんだっ。キャットタイヤーさんだけエンジンないよね? 仲間はずれだよね!」
 と、そこへクーリンが揺さぶりをかけると。
「う、うるさいな! 僕の気にしてることを……!! 僕だって、これでも働く車なんだにゃんっ!!」
 激しい攻撃を返してくる。しかし、度重なる攻撃でその威力が思ったように出ていない様子。
「クーリンさん、今よ!」
 シエラとクーリンの技が順序良く放たれる。
「可愛い見た目に騙されない! 私は……犬派だっ!」
「にゃにゃーんっ!!」
 最後に残されたのは、コンクミクス。
「おのれ……キャットタイヤーの仇っ!!」
 コンクミクスの攻撃を受け、動きが鈍るクーリンだが、それでも必死にファミリアシュートを放つ。
「君の力でもっと、燃え上がらせてちょうだいな!」
 シエラもまるで舞い踊るような華麗で軽やかな動作で、クイックドロウを自身の持つ投げナイフを使って放った。そのナイフがコンクミクスのミキサー部分に突き刺さり、大きく破壊されていく。
「わたし達の勝利ねっ」
「うんっ!」
 ゆっくりと崩れていくコンクミクスを見つめながら、二人は嬉しそうにハイタッチをしたのだった。

●最高の熱闘ステージ
 ここまでで倒されたダモクレスは11体。だが、現れた敵はまだこの工場に存在しているし、それぞれの場所で激しい戦いが繰り広げられている。
「あらやだ~! やられちゃってる子がいるのぉ? 早く私の力で癒してあげないとぉ~」
 そうなよなよと腰をくねらすのは、救急車のダモクレス、ホワイトレスキューノだ。
「そうはいきません。それに……救急車は本来、人を救う為に作られた物。それなのに人を襲うダモクレスがその姿を真似るなんて絶対に許す訳にはいきませんからね。微力な身ではありますけど、全力でお相手させて貰います!」
 そんな彼女(?)の前に立ちはだかるのは、気合の入ったヴァルリシア・ゲルズ(シャドウエルフのウィッチドクター・e11864)。
「あらあら、堅苦しいのねぇ~。でも勝つのは、このわ・た・し☆ なんだからぁ~」
 そんなホワイトレスキューノの言葉に顔をしかめながらも、ヴァルリシアは杖からほとばしる雷を敵に向けて放つ。
「私は戦うことはそれほど得意ではありません。でも……」
 ホワイトレスキューノの攻撃を受けて、ボロボロになりながらも、それでも立ち上がる。
「あなたをここから動かしはしません」
「でもぉ、そんな体で何ができるのかしらぁ~」
 ヴァルシリアは、口の端から流れる血をそっと拭うと、祈りの歌を歌い始めた。
「主よ、御身のお力をお与えください。人々に癒しを齎さん為に……」
 こうして歌いながら、精神を統一し、自らの癒しの力を高め、自身も癒していく……そう、これがヴァルシリアの人々に捧げる聖歌だ。
「ちょっとぉーマネしないでよねぇ」
「どちらかというと、こっちが得意なんですよね」
 ホワイトレスキューノの攻撃を躱しながら、ヴァルシリアは、ナイフの刀身に敵が忘れたいと思っているトラウマを映し、それを具現化させてゆく。
「あ、あああ、いやああああっ!!」
 頭部を激しくショートさせながら、ホワイトレスキューノもその動きを止めた。

 ごうんごうんという重低音を響かせながら、現れたのはロードローラーのダモクレス、ロードロールス。
「御機嫌よう、ロードロールス。貴方の相手はわたくしが務めさせていただきます。お覚悟ください」
 踵に内蔵されたローラーで、高速移動を行うエル・ベルフォニカ(銀の鈴・e02500)が立ちはだかる。
「まあ、アナタがアタシのお相手かしら?」
 移動モードから戦闘モードへと変化させるロードロールスに、エルもジグザグに移動しながら、掌からドラゴンの幻影を放ち、敵を焼き捨てる。敵の動きに合わせられるよう、視線はロードロールスから外すことなく、そのまま前を向いたままで、後方へと高速移動を行っている。
「そんなことをやっていたら、いつか足を踏み外すわよ?」
「それはどうでしょう? それはともかく、塵、金属片、スクラップ……好きなものを選んでください。どうせなら楽しみたいのですよ。……あら、投擲物ではなかったのですね、あなた」
 そんなエルの言葉にロードロールスは怒り心頭。
「なんなのそれ! このアタシをスクラップにするっていうの!? その前にアンタを血祭りにしてあげるわっ!!」
 突撃してくるロードロールスを見て、エルは思わず笑みを浮かべた。後方をさっと確認した後、さっとその攻撃を躱していく。
「え……しまっ……」
 そこは足場の切れた通路。ロードロールスはそのまま、高所から地面へと落ちていく。と、一輪の白椿が咲いた蔓がロードロールスに絡みつく。彼女を助けるためのものではない。むしろ……。
「何をする気っ!?」
「こうするんですよ」
 エルは胸部を変形展開させて出現した発射口から、必殺のエネルギー光線を放った。
「空の旅はいかがだったでしょうか?」
「サイッテー……」
 地面に激突する前に、ロードロールスを足蹴にして、難を逃れたエルはそのまま動かなくなったロールスロイスを見つめるのだった。

 荷台を開き、そこをステージに仕立て上げるのは、ステージカーのダモクレス、ステージスターだ。そんなダモクレスの前にパール・ホワイト(地球人のミュージックファイター・e01761)が現れる。
「キミはここで暴れる為に生まれたんじゃないよね? もっと派手に輝いて、みんなのテンションを上げる役割だったはずなの。ボクの熱いロック魂でかつての輝きを思い出させてあげる。いくよ、ステージスター……ボクが相手だ!」
「そう、あなたがあたしの相手なのね。いいわ。相手してあげるっ!」
 煌びやかなステージを展開させながらも、ステージスターも激しい攻撃をパールに仕掛けてくる。パールも負けじと反撃するも、ステージスターの猛攻に思わず膝をついてしまった。
「まだまだ、ボクのロック魂はこんな簡単にくじけたりしないはずだよ……もっと熱く、激しく、派手にキュートに! 奮い立てボクのロック魂!」
 シャウトを使って、自身を癒すとステージスターの攻撃を見切ることができた。それに驚き、ステージスターに隙が生まれる。それを見逃さずにパールは気合を入れる。
「さぁ、これがボクの全身全霊! 受け取って!! ボクの魂! ロックン、ロォォオルゥ!」
 パールのロックソウルフルレーザー、そうパールのロックな叫びをパワーに変え、極太レーザーとして発射し、前方の敵を薙ぎ払ったのだ。
「いやああ、もっと輝きたかったのに……」
「えへへ、ヴィクトリー!」
 パールは思わず、嬉しそうにその拳を空へと突き上げた。

 トラクターのダモクレス、トラクブレスタの前に現れたのは、戸部・福丸(ドラゴニアンの降魔拳士・e04221)。ぺこりと頭を下げると元気よく。
「武器は両親からもらったこの体! 福丸です! よろしくお願いします!」
 びしっと挨拶を決めた。
「……え、あ……よ、よろしく。えっと、フクちゃん」
 そうトラクブレスタが言うと。
「わあ、フクちゃんって呼んでくれた! すっごく嬉しいよ、トラちゃん!」
 そんな福丸に押され気味なのは、トラクブレスタの方だろう。それでも、攻撃はかなり激しい。
「今の攻撃すっごいねえ、カッコイイや! キミって強いんだね!」
「フクちゃん、君、僕の敵だよね?」
 思わずたじたじになりながらも尋ねるトラクブレスタに。
「うん、そうだよ!」
 素直にそう返事を返す福丸。どうやら、トラクブレスタにとってかなり戦い辛い相手のようだ。
 一方、福丸はというと、前に住んでいた田舎でよく見ていたこともあり、トラクブレスタを見て、懐かしい気持ちでいっぱいになっている。だが、倒さないわけではない。自身の小ささを有効に使うために、パイプや機械が入り組んだ場所に入り込み、相手の攻撃を巧みに避けていた。
「じゃあトラちゃん、行くよー! ボクの信じる強さは……」
 己の力の意味を自分自身に問うことで、体内のグラビティチェインの質を高め一時的に自身の肉体を巨大化させ攻撃する。それが福丸の滾血の覚悟だ。それをもろに喰らって、トラクブレスタは地に伏す。
「フクちゃん……君とは別の形で、出会い……たかった……」
「うん、ボクもだよ」
 その言葉が耳から離れなかったのは言うまでもない。

「バジル、あのフォークリフトらしいのが俺達の敵みたいだ。……何だか小さいな」
 そう素直に感想を述べるのは文丸・宗樹(忘形見・e03473)。ボクスドラゴンのバジルと共にフォークリフトのダモクレス、フォーグリフと戦うつもりだ。
「小さいって言うな! これでもパワーは負けないぞ!」
「……始めるか、バジル」
「コラ! 無視して戦い始めるなよっ!」
 見た目以上に骨のある攻撃に宗樹は思わず、その青い瞳を細める。
「……こうして、二人で戦うなんて久しぶりだな」
「それはオレのことを言ってるワケ?」
 あまり良い思い出ではないが、この高揚感が宗樹にとって堪らないもののようだ。
 バジルと宗樹のコンビネーションが合う攻撃に徐々にフォーグリフは押され始めている様子。宗樹は一気に止めにかかる。
「――眠れ、静止した時の狭間に」
 宗樹の放った時空凍結弾が、フォーグリフの機体を打ち貫き、物言わぬスクラップへと変えたのだった。

 ハーベスターのダモクレス、ウッドスラッシュの前に影を落とすのは、精悍な体つきをした一人の青年。
「おや、誰かと思ったら、不法侵入者ですか? 木を伐採するようにあなたも斬りますよ?」
 そんなウッドスラッシュに更科・風丁(流浪の機巧戦士・e01456)は、非常に面倒くさそうな表情で。
「そういう前口上は悪役がするもんじゃあねぇ」
 笑みを浮かべて、旋刃脚を放った。
「ならば手加減は無用ですね!」
 ウッドスラッシュも激しい応戦を行ってくる。攻撃においては、どちらも譲らない激しい戦いであった。
 しかし、ダメージを受けてもニヤリと笑って立ち上がってくる風丁の姿に、ウッドスラッシュは徐々に押されてくる。
「ちょこまか動くんじゃあねえよっ!」
 左腕から五本の鎖を打ち出し、微妙にタイミングの違う五連撃を放つ、風丁の五連巧鎖滅撃が炸裂!
「……見事な一撃でした」
 そう言って、ウッドスラッシュはがくりと、力尽きたのだった。

「やだ、ちょっと邪魔しないでよ」
 そう嫌そうな声を上げるのは、クレープの移動販売車のダモクレス、ミセットクレスだ。
「そうはいきません。あなたの相手はこの僕です」
 そんな敵に対峙するのは、春日・いぶき(遊具箱・e00678)だ。美味しそうな香りを出しているミセットクレスに思わず被りつきそうになってしまう。
「一つで良いですから……そのクレープ、分けてもらえませんか?」
「誰があんたなんかに渡すと思ってんの!? これは私と私の仲間のものなんだからね!」
 美味しそうなクレープを手に、ミセットクレスはそう言い放つ。
「では、仕方ありませんね。あなたを倒して、それをいただきます」
「させないわよ!」
 いぶきが攻撃を仕掛ければ、ミセットクレスがそのクレープを食べて回復を施す。
「痛かったら手を上げて下さいね」
 ミセットクレスが攻撃を仕掛ければ、いぶきも癒しを施し、傷をなかったものにする。
 均衡するかに思われた戦いは、いぶきのブラッディダンシングによって、幕を下ろした。
「ああ、あのクレープ、食べてみたかったです」
 さっきまでいたミセットクレスの残骸を見下ろしながら、いぶきはそう残念そうな声をあげたのだった。

 田植え機のダモクレス、タウエクレスの前に犬の姿のウェアライダーがやってくる。
「わふぅ! どんな悪もゆるさないわんこライダー、ミック・マーベラスわんっ!!」
 そう、ミックだ。
「貴様も私の田植えで磨いた武器さばきを見たいらしいな……見せてやろう!」
 タウエクレスはすぐさま、チェーンソー剣で、目にも止まらぬ速さでミックを切り刻んでいく。
「わふぅ!? 田植えしに帰る気は……ないか。なら勝負わんっ!」
 ミックもお返しにと降魔真拳や居合い斬りを重ねていく。
「むむ、お主もやるな……」
 思わずタウエクレスがそう呟く。もちろん、ミックも負けるつもりはない。
「わんわんっ!このフライパンの威力を侮ったらいけないわんっ!」
 背中から取り出したフライパンを使った、とっておきの秘密奥義。 侮ってはいけないその強烈な一撃にタウエクレスも起き上がれない。
「くっ……もっと……田植えしたかった」
 それがタウエクレスの最後の言葉となった。

 達人の一撃と破鎧衝を交互に使いながら、りぼんはコンバインのダモクレス、コンバルトと戦っていた。
「お米は大好きです! でも今のあなたは、大嫌いです!!」
 トラクターや田植え機のダモクレスから意識して離れるつもりだったが、そんなことは必要なかったらしい。彼らはそれぞれ離れた場所にいた様子。りぼんもまた、その幸運に感謝しながらも、攻撃する手を止めることはなかった。
「くそ、お前、そろそろくたばれよ! 早く稲刈りに行きたいんだからさ!」
 もちろん、コンバルトも負けはしない。だが、気迫で勝ったのはりぼんの方だった。
「これで終わりです! あなたを修理させて頂きます! デウスエクスとして倒されるのか! 綺麗な心で皆さんのお役に立つのか! あなたはどちらの未来に運命をかけますか!?」
 そう言いながら、りぼんは一縷の希望をかけて垂直に思いっ切り衝撃を与えることで、機械や種族を問わず生か死かの決断を迫る、憤怒の垂直90度を放った。
「お前なんかに……ぐあああ!」
 こうしてコンバルトもりぼんの手によって、倒されたのだった。

「全く、面倒な相手に当たりましたね。これじゃあ、放送スケジュールがろくに消化できないじゃないですか」
 テレビ中継車のダモクレス、テレパレスがそう悪態をつく。テレパレスと戦うのは、ルリナ・アルファーン(駆け出しアイドル・e00350)。
「戦いの映像は、ぜひ流して欲しいですね。ただし、活躍するのはあなた方ではなく、ルリナたちケルベロスですが」
「それは嫌だね。勝利するのはダモクレスだって決まっているんです。そう、俺達ですよ」
 淡々とブレイジングバーストとマルチプルミサイルを撃ち込むルリナを、テレパレスは嫌そうに睨んだ。
「パラボラアンテナが特徴的ですね。やはりそこから音波攻撃を繰り出すのでしょうか?」
 と言った矢先にアンテナから発せられる攻撃によって、ルリナは思わず膝をついた。どうやら、警戒していた通りの攻撃なようだ。
「ならば、音には音で対抗ですね。ルリナの歌で破壊してあげます」
 ルリナはそう言って、追憶に囚われず前に進む者の歌「幻影のリコレクション」を歌い上げる。
「おああああ! こんなところで……やられるわけには……」
 アンテナを破壊され、テレパレスは黒焦げになりながら、後ろに倒れたのだった。

 こちらは、ロードカッターのダモクレス、ロードブレイダーと、巨大なダンプトラックダモクレス、ダンプガングと戦っている吉備津・鼓(猿・e03966)と龍神・機竜(機械仕掛けの元傭兵・e04677)。
「あの王子、知ってか知らんか厄介な置き土産を……。戦争の爪痕なんて残さないのが一番だ。亡霊達にはとっとと御退場願うよ」
 鼓と機竜は、タッグを組んで協力して戦っていた。
「チビ猿の動きも読めないか、ポンコツ」
「む、猪口才な。チビ猿の分際で!」
 いくつもの技を織り交ぜ、敵を翻弄していくのは鼓の戦い方のスタイル。
「そこだ」
「あうっ! これはちょっと痛いわね」
 機竜もマルチプルミサイルやロックオンレーザーを使って相手の邪魔をしていた。同じ師団同士、信頼しながらの攻撃に徐々に戦況はケルベロス達の有利に傾いてきている。
「鼓! そっちは任せる!」
「おう! 任せとけ、おっさんがフォローしてやるよ」
 頃合いを見て機竜は、ライトキャリバーのバトルドラゴンを大剣に変形させ、それを振るった。
「一刀『竜』断ってな」
「頼むぞ機竜、派手にかませッ」
 機竜の攻撃に鼓はダンプガングの攻撃を抑えながらも、そう励ます。
「や、やめて、いやあああ!!」
 その巨大な剣は、ロードブレイダーの鋭い刃をへし折り、そのまま体ごと真っ二つに破壊した。
「ダモクレスの力でダモクレスを倒す。これ以上の皮肉は無いだろう?」
 そう言って、機竜はその剣を元に戻していく。残るは、鼓の相手するダンプガングのみ。
「『取っておき』だ……!」
 鼓は光輝く聖なる左手で引き寄せた敵を、漆黒纏いし闇の右手で粉砕した。
「ぐっ……完敗だ」
 そのまま崩れ落ちるかのように、ダンプガングもそのまま撃破されたのだった。

●激闘×激闘!
 残りのダモクレスは、後7体。
 アレクシア・レーヴェンハイム(月下凶刃・e07765)と戦うはクレーン車のダモクレス、クレーンドラム。
「……クレーンか……スクラップにしてあげるわ」
 マインドソードで牽制しながら、アレクシアはクレーンのリーチを測定し、どこまで移動できるのかを把握していく。
「俺の一撃が、当たらない……だと!?」
「……クレーンなんて、当たらなければ……大したことないもの」
 回避に徹しているため、一撃を喰らうと痛手だが、逆に当たらなければ、問題なく攻撃を重ねられる。と、アレクシアが更に攻撃を仕掛けたその時。
「おわっ!! し、しまった!!」
 不安定な足場に来ていたクレーンドラムが態勢を崩し、横倒しになってしまったのだ。その隙を逃すわけにはいかない。
「……逃げられると思わないで下さいね?」
 雷霆の如き剣刃にて対象を穿ち、斬り払う、高速移動からの『不可視の必殺剣』、禍龍逆鱗が放たれる。
「ぐ、ぐおおおおあああああ!!」
 クレーンの支柱を真っ二つに折られただけでなく、そのまま本体の体をも二つに切り分けたのだ。
「……錆にもならなかった、ね」
 そういって、アレクシアは次の獲物の元へと急ぐのであった。

 ミリディア・ファームベルト(レプリカントのウィッチドクター・e06542)が対峙しているのは、ショベルカーのショベルパワードだ。
「ダイナミックなショベルに対抗するのは、俺達の同胞か?」
 ミリディアを睨みつけるかのように、ショベルパワードがそう告げる。
「分かりますか? ええ、あなたの相手はこの私です」
 相手のパワーを侮ることなく距離を取りつつ、ライトニングボルトを放つミリディア。
「だが、勝利するのは、この俺だ。忘れるなよ!」
 放たれるショベルにミリディアは、多少喰らってしまうも、まだ倒れることはない。
 負けじと接近し、スパイラルアームでいなすように立ち回る。
「見つけました。剥き出しの間接部、そこがあなたの弱点です」
 そして、ミリディアは気づく。相手の弱点を。
「ゼロバーストスタンバイ、全待機兵装のロックを解除。エネルギーライン全段直結、カウント10でリリース、エンゲージ……」
 カウントダウンを開始しながら、ミリディアは。
「これでお別れです、デッドエンドシュート」
 全身に格納された武装を質量兵器として次々と振るい、相手を撹乱、防御を退け、超至近距離で高圧縮エネルギーを叩き込んで、ショベルパワードを全て破壊しつくした。
 ミリディアは華麗に着地すると、戦いを続ける仲間の方へと体を向けたのだった。

 ケルベロスコートを改造したマントを脱ぎ捨て、戦いに参加するのはソネット・マディエンティ(ブレイジングスティールハーツ・e01532)。
「折角よ。楽しめる的だと良いんだけど」
 彼女が対峙する相手は、ブルドーザーのダモクレス、ブルドレクト。
「そんな的になってたまるかよ。死ぬのはお前の方だ」
 巨大ブレードを振り回しながら、ブルドレクトが攻撃してくる。一方、ソネットは指天殺や旋刃脚を交互に使用しながら、攻撃を重ねていく。
「いかにその機体が頑丈であろうと、私の一撃は内部構造まで響く。機を通し、身をも透す……これが我が一派の武の真髄。元々アンタみたいな硬い連中を相手にするために編み出された武術よ。身をもって味わいなさい」
「ええい、黙れ黙れ! このブレードで殴り殺してやる!」
 ブルドレクトの攻撃を躱し、ソネットは。
「機を徹し、身をも透す……!」
 衝撃を身体の芯まで余さず伝達させ、後々まで響くような一撃を打ち込む闘法で、『より確実な対象の無力化』を目指した機闘士一派の基本にして真髄である機徹透身を一気に放ち。
「お、俺のブレードが……敗れる、だとっ!?」
 壊されたブレードと共に、ブルドレクトも崩れ落ちた。
「さて、とりあえずは自分のノルマを果たしたけれど、他の皆は上手くやってるかしら?」

 未だ激しい戦いを繰り広げるのは、十守・千文(二重人格の機工巫女・e07601)とパイルドライバーのダモクレス、パイルドライだ。
「キミ達はボク等を欠陥品とみるかもしれない、だけど感情を得たことでボクは強くなれたのです、だよ。その力……鬼機之操戦術、その身に受けよ、だよ」
「おっと、おれっちを倒そうなんて、まだまだ早いぜ?」
 千文は負けじと、フォートレスキャノンでパイルドライの動きを鈍らせた後、コアブラスターに切り替えて攻撃を重ねていく。
「そんなもので、おれっちは止められない!」
 巨大な杭を千文に向けて、打ち貫いた。飛び散る血に千文は顔をしかめながらも、傷口を抑え、相手を見据える。
「我、空間の理を知り、陣を描く。陣よ、我が力を依代に真紅の要塞となりて、我を守れ」
 自身のグラビティで精製したドローンや護符を展開、それぞれを繋ぐ赤い線を生み出す事で、自身の周囲に防御結界の陣を自分自身の周囲のみに描きだす。それが、千文の持つ真紅の要塞だった。
「まだまだ、倒れるわけにはいかないのです、だよ!」
 力を得て、再び立ち上がった千文は更に氷属性の騎士のエネルギー体を召喚し、攻撃を仕掛ける。
「ボクは『楽しかった』よ。キミにはわからないだろうけどね」
「かはっ!! だ、だが、まだまだだ……」
 ボロボロのパイルドライに他の方向から仲間達の援護する攻撃が放たれる。
「な、なん、だとっ……」
「どうやらボク達の粘り勝ちです、だよ」
 消えゆくパイルドライに千文はそう微笑んだのだった。

 自走式粉砕機、またの名をガラパゴスと呼ばれるその機械は、主に解体現場などで発生するコンクリートガラや自然石などを、その場で細かく破砕し、路盤材や建築物の基礎材に再利用するなんとも便利な機械である。
「はたらくくるまカッコイイ! じそーしきはさいきとか、名前もかっこいいよね! アンナにも変形機能欲しい!」
 その自走式粉砕機のダモクレス、ガーラゴースを前に、アンネリース・ファーネンシルト(レーヴェンツァーン・e00585)は興奮気味だ。
「ふっ……だが、お前は粉砕しなければならない相手。手加減はせぬぞ」
 粉砕部分を勢いよく回しながら、ガーラゴースはすぐさま、攻撃を仕掛けてくる。もちろん、アンネリースも。
「攻撃目標確認。戦闘システムに移行」
 頭を切り替えて、戦いに集中していく。初手にヒールドローンで小型治療無人機の群れを操り、盾のように展開させていく。次にフォートレスキャノンとバスタービームを交互に放ちながら、攻撃を重ねていった。
 また、ライドキャリバーのケーリヒスクローネには、アンネリースを守るように支援している。
「ほう……お主もやるようだな」
「お褒めに預かり光栄です、マスターガーラゴース。ですが、アンナも容赦いたしません」
 自身のアームドフォートをガーラゴースへと向けると。
「徹甲弾装填。……ストライクカノン、発射!」
 徹甲弾で敵の装甲を貫通させ、内部から爆発四散させるストライクカノンを発射させた。
「おあああああ!!!」
 断末魔を叫びながら、ガーラゴースもまた、その機体を崩れさせたのだった。

 パトカーのダモクレス、パトリオスと消防車のダモクレス、ファイヤーレスキューターは、ヴォルフガング・タルタロス(キャプテン・e01713)の狙い通り、共に行動しているのを見つけた。ヴォルフガングの隣には、タッグ相手のヘクセ・アイネンセクト(サイレントドール・e01098)の姿もある。
(「タッグを組んで戦うのは今回が初めて。こんなことならプロレス中継を見て、勉強しておくべきだったかな?」)
 そうヘクセは思いながらも、ヴォルフガングとタイミングを合わせて、ダモクレス達の前に立ちふさがった。
「そこまでだ」
「そこまでだ、だよ!」
「治安維持担当車ペアのてめぇらが地球の治安を乱すとはな。残念だが仕方ねェ。不良車両はここでぶち壊す!」
 ヴォルフガングの名乗りに呼応するかのように、鏡合わせのように左右逆にポーズを決めるヘクセ。
「守るべきものがそこにあるのなら、それを優先させることが第一」
「なら、冷静沈着にお前らを炎で焼き尽くしてやる!」
 パトリオスとファイヤーレスキューターも気合が入っている様子。
 互いに両者譲らない攻撃が放たれる。ヴォルフガングとヘクセも、パトリオスとファイヤーレスキュータ―も見事な連携を見せながら、攻撃を重ねて行った。
「さあ怯えろ! 竦め! 跪け! キャプテン・タルタロス様のお通りだ――ッ!!」
 敵が焦れてくるのを見計らって、ヴォルフガングがとっておきの切り札、オールフォーマインを展開させる。
「そんな技で我々を倒せると」
「思ってもらっては困るぜ!」
 派手に喰らいながらも、まだまだ戦う気力が残っている様子。逆に反撃を受けそうになるヘクセの前に守り抜くことを誓ったヴォルフガングが盾となった。
「ぐうっ……こんな、柔な一撃で、この俺様が停められるかーッ!!」
 倒れそうになりながらも、彼はまた立ち上がった。だが、次を受ければただでは済まないだろう。「2機が完全に連携して4倍! 心を燃やして8倍! 互いの信頼で16倍パワーだ! 刮目しやがれッ!! 行くぜヘクセ。これが団結の――」
 猟犬縛鎖でヴォルフガングは敵を縛り上げ、その後方からヘクセが。
「光よ、集まれ。私の中に集まれ。集まった光は我が敵を灼滅する始原の光と昇華せよ!」
 廻りの光を集め、ヘクセの身体中に集中し、蓄積されていく。そして、その光を光線に変えて勢いよく発射した。ヘクセの無限光源波動だ。
「心を持つレプリカントの力だッ!!」
「力だ、だよっ!!」
 その意気のあった連携攻撃により、2機とも撃破することに成功するのだった。
「良い戦いぶりだったぜ、相棒」
 ぼろぼろになりながらも立ち上がり、ヴォルフガングは、ヘクセに握手を求める。
「良い戦いぶりだったぜ、だよ。相棒」
 こくこくと頷きながら、ヘクセはその手を力強く握り返し、二人は手に入れた勝利に喜ぶのだった。

 全てのダモクレスを倒し、勝利を収めたケルベロス達は、残った赤のビフレストを求めた。
 一方は、これ以上の被害を止めるため、破壊することを決めて。
 そして、もう一方は、今後の調査のために、破壊せずそのまま手に入れようとしていたのだが。
「あれか!?」
 先に破壊を決めたケルベロスの手によって、粉々に砕け散った。
 これで、これ以上の被害は出ないだろう。しかし、残念ながら消え去ったビフレストを調査することは不可能に近い。
 現地の工場の復興作業を終えたケルベロス達は、目的を果たし、その場を去っていく。
「こうして、今回の戦闘はケルベロスの勝利で幕を閉じたわんっ! だがしかし、第二第三のダモクレスが迫ってくるであろうわんっ! 頑張ろうわんっ! 平和が戻るその時まで! わおーん!」
 そうミックは告げて、次の戦いに備えるのであった。

作者:相原きさ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年9月28日
難度:普通
参加:30人
結果:成功!
得票:格好よかった 11/感動した 0/素敵だった 3/キャラが大事にされていた 13
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