ランタナ――七変化と呼ばれる花

作者:陸野蛍

●色鮮やかな戦士と花
「この任務ホントめんどくさーい。戦場で大暴れした―い!」
「そうぼやくなよ、スターローズ。勝手に暴れる訳にもいかないだろう」
 静まり返った深夜に現れた色鮮やかな戦士達。
 不満を零す、ピンク色の戦士を宥める様に黒の戦士が言う。
「面倒くさい任務もいつかは終わりがある。その後には、ローズの望む任務も来るかもしれない。それまで、頑張ることだな」
 青の戦士がクールに言うと、ピンクの戦士もこれ以上言っても無駄と思ったのか、ぴょんぴょんと大地を蹴って、ある一点を指差す。
「はいはい。スターブルーの言う通りですよーだ。スタールージュ、アレはここだから、やっちゃお」
「お、仕事が早いなスターローズ。じゃあ、いくぞ! スタージョーヌ」
 ピンクの戦士の言葉を受けて、赤の戦士が黄色の戦士に合図を送る。
 そして、急激にグラビティ・チェインを高めていく戦士達。
 戦士達のグラビティ・チェインは混ざり合い、黄色の戦士のバズーカに吸い込まれていく。
「ほな、早速……綺麗な花を咲かせましょー!」
 黄色の戦士の言葉と共に放たれるバズーカ砲。
 ほんの少しの間……。
 次の瞬間現れたのは、赤、黄色、ピンク、紫など様々な花を付けた、色取り取りの戦士『アルカンシェル』の様な巨大な攻性植物だった。

●侵略する為の花
「俺、スマホで調べて、初めてこの花の名前知ったんだけど、見たことはあるな」
 大淀・雄大(オラトリオのヘリオライダー・en0056)がルイ・カナル(蒼黒の護り手・e14890)と並んで歩きながら呟く。
「侵略的外来種に指定されている花ですからね。雑草として問題になっている国もあるらしいですし」
「綺麗な花だけど増えすぎるとそうなっちゃうのか。侵略が問題になってるって意味じゃ、今回のオーズの種の寄生先にはぴったりって気もするな」
 博学を披露するルイに、雄大が渋顔で答える。
「みんな! お仕事の時間だ! アルカンシェルが現れた! すぐに説明を始めるぞ!」
 ヘリポートのケルベロス達に向かって大声で叫ぶ雄大。
「かすみがうら市から飛び散ったオーズの種の回収を、アルカンシェル達は続けている。今回も、大量のグラビティ・チェインをオーズの種に注入し、発芽して巨大な攻性植物に育った所で『オーズの種の部分』だけ奪って去って行くみたいだ。みんなには、アルカンシェルが去った後に残される、巨大攻性植物の撃破をお願いしたい」
 アルカンシェルに接触する機会は作れるが、5人で連携するエインヘリアルを相手にするのはどう考えても分が悪い。
 今は、チャンスを待ち、アルカンシェルが残して行く、強力な敵を撃破する事が最優先になる。
「残された功性植物は、グラビティ・チェイン補給の為に市街地を目指す事になる。何としても撃破して、それだけは喰い止めて欲しい」
 現れる攻性植物は、オーズの種の力で非常に強力な攻撃を繰り出して来るが、オーズの種を奪われたことで耐久力が低下している。止めを刺すまで攻撃力は変わらないが、作戦を練れば倒しきれない相手では無い。
「撃破対象は7m級のランタナ型巨大攻性植物だ」
 和名は『シチヘンゲ』
 色や形、咲く時期から紫陽花と混同されやすい花だが全くの別種である。
「攻性植物『ランタナ』は、通常のランタナと似た特製のグラビティで攻撃してくる。毒性の果実を弾丸として放って来たり、刺殺力の強い刺で襲って来たりだな。あと、葉での斬撃攻撃を喰らうとヒールグラビティの効果が薄れる可能性があるから気を付けて欲しい」
 どの攻撃も受ければ十分なダメージを覚悟しなければならないものばかりだと言うのに、ヒールが困難になると言うのも厄介だ。
「『ランタナ』を市街地に逃がしてしまった場合、一般人の被害は甚大なものになる。それだけは、あっちゃいけないことだから心してかかって欲しい」
 攻性植物は、グラビティ・チェインを食い荒らす獣となる。一つの街が壊滅するだけでは済まない程の被害が出るかもしれない。
「アルカンシェルの目的が何なのかは分からない。奴らが何を企もうと、俺達でそれは防いでいかなきゃならない。だけど、勝算も無いのに戦う訳にもいかない。……今は我慢の時だ。まずはやれることからやって行こう。攻性植物の撃破、必ず成功させてくれ。頼んだぜ、みんな!」
 雄大は気合いを入れる様に、大きな声でケルベロス達にそう言うのだった。


参加者
セルリアン・エクレール(スターリヴォア・e01686)
トゥリー・アイルイヘアド(紅蓮ノ騎士・e03323)
黒住・舞彩(我竜拳士・e04871)
シア・ベクルクス(女神さま・e10131)
イリア・アプルプシオ(機械仕掛けの旋律・e11990)
ルイ・カナル(蒼黒の護り手・e14890)
獅子鳥・狼猿(世界に笑顔を・e16404)
狩谷・蘭華(狂銃姫・e19042)

■リプレイ

●侵略者達
 深夜の運動公園。
 物陰に潜むケルベロス達の視線の先に、音もたてず色取り取りの戦士達が現れた。
『アルカンシェル』
 オーズの種の発芽を促し、『オーズの種の部分』だけを奪っていく、エインヘリアルの精鋭部隊。
 彼等は、現れてすぐに内容まで聞き取れないが、愚痴の言い合いをしているようだった。
「アルカンかぁ、初めて見るけど、カラフルだね。戦隊物の王道っていうのかな?」
 ケルベロス達の間でも噂になっている、アルカンシェルを初めて見ることになった、狩谷・蘭華(狂銃姫・e19042)は、そんな風に小首を傾げながら感想を述べる。
 確かに五色の戦士は、戦隊物のお約束かもしれないが、それは正義の心があってこそだ。
 彼らにも彼等の義があるのかもしれないが、今の所それはケルベロス達と相入れない。
「……星霊戦隊アルカンシェル!!」
 ケルベロスの中で唯一、アルカンシェルの何かを知っているかもしれない男、獅子鳥・狼猿(世界に笑顔を・e16404)が強い瞳でアルカンシェルを見ながらその名前を口にする。
 狼猿曰く、『アルカンシェルとの因縁……それはまだ語る時ではない。でも今は、そんな事はどうでもいいんだ。重要な事じゃない』と言うことらしく、真相を知るケルベロスが居ないのが現状だ。
 過去に何か深い因縁があったのなら、狼猿の心の底を覗く事になると、ヘリオライダー達も言及していない。
 何かあったのか、語ることが本当に何も無いのか、それは全て狼猿のみしか知らなかった。
「今は我慢の時、ね。……アルカンシェルを見るに、向こうも我慢していそうね」
 そう言うのは、黒住・舞彩(我竜拳士・e04871) だ。
 ヘリオライダー達の予知から、アルカンシェルは現状の任務を全うすることを優先している事とのことだが、元々は戦闘部隊の様で、ピンクの戦士や黒の戦士は戦闘任務の方を好んでいる様子だとの報告もある。
「……なら、これは我慢比べ、かしら。何時かチャンスがくる。……今はそう信じて我慢しましょ。ピンクの……スターローズね。彼女が単独で動く様なことがあれば状況は変わるんだけどね。5人組で行動して居る限りは、戦う訳にもいかないかな」
 舞彩は、我慢を切らした方が不利に陥るとの判断を込めて呟くと、また声を潜めアルカンシェルを観察し続ける。
「早い内に、原因を断てればいいのだけれど……。今はまだ彼らに対峙するには力不足過ぎるわね……」
 アルカンシェルを討てば、元凶は無くなる、そう言った思いを抱きながらも、勝算の無い賭けは出来ないと、イリア・アプルプシオ(機械仕掛けの旋律・e11990)が呟く。
 そんな、ケルベロス達の眼前で、黄色の戦士のバズーカにアルカンシェル達のグラビティが集まり、それを黄色の戦士が勢いよく発射させた。
 そして……着弾。
 運動公園に地鳴りが起こり、大地に亀裂が奔ると、大地を割って緑の巨大な茎がぐんぐんと成長し、その姿を現す。
 時間にして、一分もかからなかっただろう。
 巨大な柱の様な茎のあちこちに、赤や黄色、紫と言った花がいくつも咲き誇り、巨大攻性植物『ランタナ』は、生まれた。
 その姿を確認すると青の戦士は、ただ任務をこなすだけと言った様子で、その両手に持つナイフを使い素早く動き、ランタナを抉ると、目的の物……『オーズの種』を奪い取る。
「……ランタナね。私も軽く調べてみたんだけど、青色が見つからなかったのよね。今回のにもない様ね。だからかしら、スターブルーが刃を振るったのは」
 舞彩が、アルカンシェルの胸中を計る様に言うが、ここからでは青の戦士の表情までは読み取れない。
「アルカンシェルが消えるわ。置き土産だけでも倒すわ。そうしていればそう遠くないうちに彼らと会うこともあるでしょう」
 イリアが、水瓶座の意匠が刻まれた大剣と天秤座が刻まれた短剣を握り呟く。
「オーズの種を持ち去ったか……ここは君たちの勝ちのようだ。また会おう、アルカンシェルの諸君!」
 言いながら狼猿は、ランタナに向かって走り出す。
(「……正直何度目だこの台詞」)
 そんな思いを抱きながら……。

●侵略者の残したモノ
「……本当にランタナですね。……本当にいるとは……増えすぎては問題な花ですが、巨大となると尚の事、といったところでしょうか……」
 雄大の予知に一役買うことになった、ルイ・カナル(蒼黒の護り手・e14890)が改めて、その姿を確認することで、件の攻性植物の感想を漏らす。
「……見つけてしまった手前、きっちり駆除しておかねばなりませんね。……それにしても、そろそろアルカンシェルの目的の尻尾くらいは掴みたいところですが……難しいものですね」
 言うとルイは、細身のゾディアックソードを両の手に構えると、グラビティ・チェインの飢餓に苦しむランタナへと一気に接敵し、十字の軌跡を描きながら、その太い緑の茎を切り裂く。
 星の光に反射してルイの二本の剣に刻まれた、双子座と山羊座の刻印が光る。
 その斬撃の直後、ランタナと同じ攻性植物……地球側の武器として定着したそれが、ランタナに絡みつく様に襲いかかる。
「さて、アルカンシェルのことも気になるけども、とりあえずは目の前の敵をぶちのめすかね」
 攻性植物を放った主、セルリアン・エクレール(スターリヴォア・e01686)が、ケルベロスとしての仕事をただ全うするだけと言った様子で、言いきる。
「ほいほい、んじゃ地域住民の皆さんの為に草刈をがんばりましょうかね」
 夜の闇の中、赤い甲冑を纏った華奢な少女……いや、戦艦竜とすら渡り合った、歴戦のケルベロス、トゥリー・アイルイヘアド(紅蓮ノ騎士・e03323)は、宙を舞うと、身の丈より大きなルーンアックスをランタナに一気に振り下ろした。
「コレだけデカイんだ、多少の歯応えは期待していいんだろうな?」
 中世のドレスを彷彿とさせるドレスの裾を花の様に閃かせながら着地すると、トゥリーは好戦的に言った。
 その言葉に反応したのか、ランタナはトゥリーに向かって毒の果実を弾丸の様に射撃する。
 その弾丸はトゥリーの右足にヒットすると、紫の毒素のグラビティをトゥリーの身体へと侵食させていく。
 だが、その毒素は、クラッシャーである3人の周囲を取り囲んだ黒鎖から放たれる、癒しのグラビティですぐに除去される。
「回復の心配は大丈夫ですわ。皆様の傷は私が責任を持って回復させて頂きますわ」
 新緑のウェーブのかかった髪にミモザの花を咲かせ、おっとりとした印象を持たせる彼女、シア・ベクルクス(女神さま・e10131)が、その言葉にケルベロスとしての芯の強さを乗せて、仲間達に言う。
 シアは、握るケルベロスチェインにグラビティを込めながら、思考を巡らせる。
(「ランタナの花言葉は合意、協力、…………『確かな計画性』……アルカンシェルは何を企んでいるのでしょう……。 気にはなりますが、まずは目の前の脅威に集中しなくては。私が皆様の生命線ですもの」)
 改めて自分の役割を認識し、シアは目の前の敵に集中する。
「それにしても、でかいねこいつ。攻撃し甲斐があるってものだよ。序盤は地道に刻んでこうか。最初は我慢が肝心だよね」
 セルリアンは、言いながらその手に空色の大鎌を握る。
 そのセルリアンの横すれすれを、氷結の螺旋が通り過ぎ、ランタナの表面の一部に冷気を纏わせる。
「この大きさが生まれるんだから、オーズの種がどんだけ厄介な代物なのかが伺えるね」
 リボルバー銃を構えた、蘭華が銃口から冷気を吐き出しながら呟く。
(「狙いは定めたから、どんどん撃って弱らせないとね」)
 二丁の銃にそれぞれ別のグラビティを込めながら、蘭華はランタナの様子を窺う。
「その足、止めないと、市街に出られたら面倒よね」
 呟きが聞こえると、舞彩が流れる星の様に暗がりから、ランタナに強烈な蹴りを入れる。
 舞彩の靴の踵には、普段は見えないが鋭い刃が取り付けられていた。
 舞彩は、ランタナの根に着地すると一度身を捻って回転し、根にダメージを与えるとその俊敏さを生かして離脱する。
「アルカンシェルの残したモノ、それを始末するのがオレっちの役目だ」
 その太い腕に魔を降ろし、狼猿が強烈なパンチでランタナを揺るがす。
「防御は任せて……」
 二本のゾディアックソードを握った両腕を広げると、イリアは守りのドローンを宙へと飛ばす。
「動きを観察しながら、ダメージ効率を上げて一気に退治するとするか」
 セルリアンは仲間達にそう言うと、大鎌を大きく振るった。

●嵐の猛攻
「狼猿様、すぐに癒しを差し上げますわ」
 シアはそう言うと、グラビティのこもった花びらを風に舞わせる。
「さあ、癒しを」
 シアの創りだした花弁は、ランタナの葉で深く切り裂かれた狼猿とその周囲の仲間達を包むと、傷を癒して行く。
 戦闘を開始してから5分程、ケルベロス達は多くのダメージをランタナに与えていたが、同様にランタナからも十分なダメージを与えられていた。
 特に、ディフェンダーである狼猿の負傷は、集中的に回復グラビティを使っているにもかかわらず酷かった。
 もう一人のディフェンダーである、イリアの役目が仲間達の防御力を底上げする事であり、シアの補助をする為に回復役も担っている。
 どうしても、仲間のダメージの肩代わりの多くは狼猿の役目になっている。
 幸いだったのは、ランタナの攻撃が全てケルベロス一人への攻撃のみだったことだ。
 だからこそ他の仲間達は、立てなくなる様なダメージを受けることなく、攻撃に集中する事が出来ていた。
「しぶといなあ、さっさと潰れちゃえ」
 極限まで高めたグラビティをランタナにぶつけながら、蘭華が呟く。
「あなたの傷口、これくらい抉れば十分かしら?」
 舞彩が袖に忍ばせた、チェンソー剣で仲間達のグラビテイの痕を抉りながら、確認するようにランタナに尋ねる。
「さて、そろそろ本気でいかせてもらおう。何せお前のパターンは大体分かったからな」
 言って、セルリアンが空をも斬る斬撃をランタナに与えれば、トウリーがその美しい足で旋風を起こす様に、しなる枝の様に、ランタナにぶつける。
「デカブツ、お前は私達がぶっ潰す!!」
「これだけ動きを封じれば、避けられることも無いでしょう。あなたには悪いですが駆除させて頂きますよ」
 そう言うと、ルイは身に付けた守護と幸運を司る勾玉を通し練り上げられた魔力を両のゾディアックソードに宿し、一気に駆ける。
「蒼き祈りは蒼黒の意志。この身に宿す魔力を以って、その意志貫かせて頂きましょう」
 言葉と共にその魔力で、ランタナを切り裂いた。
 護りたいものを確実に護れるようにと言う、意志と共に。
 ルイのその攻撃で、目に見えてランタナの動きが鈍くなる。
 その時ケルベロスの周りで、カラフルな爆発が起こった。
「皆様、この子に……このランタナに眠りを与えて上げて下さい」
 爆破スイッチを押しながら、シアが憂いの瞳で仲間達に言う。
「そうね……この子も被害者かもね……」
 シアの言葉に、イリアはそう呟くと、美しい青い髪を風になびかせながら、福音書の一節を歌い上げる。
「Agnus Dei, qui tollis peccata mundi, miserere nobis.」
 その歌は、ランタナから残り僅かなグラビティを取り去って行く。
「アルカンシェルが残したモノだからな……」
 仲間を守り傷ついた身体を引きずりながら言うと、狼猿は上空高くに飛び上がる。
「……これぞ、かつて世界を震撼させたカバ王家の超奥義が一つ!!」
 叫ぶ狼猿はランタナに急降下すると数度の強烈な頭突きを繰り返し、跳ねる様に地面に着地する。
「お兄ちゃんの敵は皆、死んで? うん、邪魔だからね、バイバイ?」
 この場に居ぬ、兄の姿を思い浮かべると、蘭華は両手のリボルバーとグラビティで作り出した二丁のガトリングガンを乱射し、ランタナを蜂の巣にしていく。
「そこまで、穴だらけになればグラビティも枯れ果てると思うけど……爆ぜてくれる」
 舞彩は、蘭華の攻撃で穴だらけになったランタナに、地獄化した左腕の竜爪を突き刺すと、地獄の炎を流し込みランタナの内側から爆破する。
「もうボロボロみたいだけど、デカイの一発耐えられるか?」
 そう言うとトゥリーは高く飛び上がると、腹の底から叫ぶ。
「乾坤一擲! 森羅万象あらゆるものをブッ潰す!!」
 叫びと共に放たれたトゥリーの全身全霊を込めた強烈なグラビティは、ランタナの周囲をも巻き込み、ランタナを消失させていく。
「みんな容赦ないな。まあ、自分も制御効かないんだが。 ランタナ、キミの消滅という結果は変わらないからさ。構わないよな?」
 グラビティを急速に失っていく、ランタナにセルリアンが確認する様に尋ねると、己の魔術を構成させていく。
「気紛れの載録 煩悶の鉄杭 喪われた物語 虚偽の万象 旅の終焉 偽典の系譜よ 世界の輪廻を断ち切れ!」
 セルリアンの詠唱が終わると、ランタナを中心に破壊の嵐が発生する。
 その破壊の嵐は、セルリアンにすら制御出来ず、いや……あえて制御しない事で威力を上げた嵐は、公園の草木をも巻き込みながら数分荒れ狂った。
 そして嵐が収まった後には、ランタナの存在した形跡の一つも無く、抉れた地面だけが、その場に残されていた。

●脅威と嵐が収まった公園にて
 ランタナを撃破し、平穏が訪れた公園をケルベロス達は、全力でヒールしていた。
 ランタナの攻撃の余波で壊れた物が多いが、破壊された物の中にはケルベロス達の攻撃で破壊された物も多かった。
 デウスエクスとの戦闘での建造物の破壊は、ヒールで直せる為、全く問題にならないのだが、今回は一つだけ問題があった。
 オーズの種の残滓や、グラビティの流れを調べようと思っていた者達も居たのだが、ケルベロス達の最後の猛攻により、ランタナが発生した周辺は、ほぼ荒れ地と化しており、調べることは叶わなかった。
 その事を責める者はいなかったが、何となくセルリアンは苦笑いを浮かべた。
 攻性植物の脅威が無くなった公園でケルベロス達は思う。
 アルカンシェルの目的は何なのか?
 アルカンシェルの背後に居る物は一体誰なのか?
 答えが出ない疑問を抱きながら、ケルベロス達は帰路についた。
 アルカンシェルの陰謀を止めることを心に誓いながら。

作者:陸野蛍 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年5月27日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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