フライングオークを叩き潰せ!

作者:雪見進

 とある謎の場所で謎のドラグナーはハイテンションで奇声を上げていた。
「ムムム……フフフフ……ハッハッハ!」
 その奇声の意味は不明だが、何故かハイテンションで声を上げている。その奇声が終わると生み出されたオーク達に指示を出し始める。
「ムムム、量産型とはいえ、実験ではこれ以上の性能は出せないなァ。これ以上の性能を得るには、新たな因子の取り込みが不可欠だ」
 そう言うと、そのオークに、人間の女を襲って新たな子孫を生み出すように指示を出す。
「わかったぜ!」
「欲望のままに襲ってやぜ!」
 その指示に歓声を上げるオーク。そのオークは通常と違う風体。能力は高くないものの、飛行……いや、滑空能力を持っている。
「お前達が産ませた子孫を実験体にすることで、飛空オークは更なる進化を遂げるだろう!」
「ひゃっはぁ!!」
「いくぜぇぇ!」
 女性を襲いに行けると大喜びし、この飛行オークは、やる気満々で歓声をあげるのだった……。


 ここはとある温泉地。秘湯とも呼ばれるような場所。そこへ女子大生の一団が温泉旅行へ来ていた。
「綺麗な温泉だね~」
「でも、水着着用なんだね」
「なんだか色々あったらしいよ~」
 その秘湯はとある崖の上に露天風呂があり、とても眺めがいい場所になっています。最近、ドローンなのど問題があり、現在は水着着用が義務になっているのです。
 そんな場所へ厄災が迫っていた。

「おら、行くぜ!」
「おうよ!」
 そんな女子大生の一団に狙いを定め吠えるオークたち。ちょうど、温泉に入ったタイミングを狙い、上空の魔空回廊から出現し、温泉へ滑空していく。
「な、なにあれ?」
「鳥?」
「飛行機?」
「いや……豚?」
 状況を理解出来ない女子大生たちに滑空したオークは触手を乱れ動かし欲情を現す。もちろん逃げようとするも着地したオークが触手を乱れ動かしながら襲い掛かる。
 のどかな温泉地は、その瞬間から触手地獄へと変貌を遂げるのだった……。


「竜十字島のドラゴン勢力が、新たな活動を始めました」
 そう説明をするのは チヒロ・スプリンフィールド(ヴァルキュリアのヘリオライダー・en0177)。新米へリオライダーとして一生懸命説明をする。
「今回事件を起こすのは、オークの品種改良を行っているドラグナー、マッドドラグナー・ラグ博士が生み出した、飛空オークという、飛行型のオークです」
 通常のオークとは違う特殊なオーク。しかし、飛行といっても、高い場所から滑空して目的の場所に移動するだけの能力で、自由に飛行する事はできないようだ。
「ですけど、高所から滑空しながら女性を襲うのは怖いです」
 実際、滑空能力を持つ兵がこれだけいれば脅威だ。
「お願いします。飛空オークに襲撃される女性を守って、飛空オークを撃破して下さい!」
 そう言って、詳しい説明に移るのだった。


「オークの数が6体です」
 オークとしての戦闘力は従来のオークと大差ないとチヒロは説明をする。なので、真正面からぶつかればケルベロス側が負ける可能性は低いだろう。しかし、今回は襲われる女子大生を助ける必要もある。
「本当は避難して貰いたいのですが、そうすると飛行オークは別の場所で別の女性を襲う可能性が高まります」
 その場合、悲劇を防げない可能性があるとチヒロは説明をする。
 なので、女子大生には事情を説明し、その上で協力してくれる事になりました。
「『皆さんが守ってくれると信じている』そう言って協力してくれます」
 そう言ってくれる人がいるのだから、やるしか無いだろう。
「女子大生をオークの犠牲にさせる訳にはいきません。なんとしても女子大生を守って、その上でオークを倒して下さい」
 そう言って、後を託すのだった。


参加者
アンネリース・ファーネンシルト(強襲型ダモクレス・e00585)
ラインハルト・リッチモンド(紅の餓狼・e00956)
燈家・陽葉(氷響する陽光・e02459)
イピナ・ウィンテール(四代目ウィンテール家当主・e03513)
ライゼル・ノアール(偽りの面貌・e04196)
コクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)
ショー・ドッコイ(穴掘り系いけじじい・e09556)
キャロル・ツヴァイ(瞳の中の暗殺者・e23336)

■リプレイ


「この空は、この星で生きていく者達が飛ぶ場所、オークなどに我が物顔で飛び回られるのは不愉快です」
 不快感を素直に表すイピナ・ウィンテール(四代目ウィンテール家当主・e03513)。今回現れたのは飛行オーク。もっとも『飛行』と付いているが、実際には不完全で、滑空程度の能力。しかし、今回の襲撃はその飛行能力を向上させる目的もあるようなのだ。
「いやー、相変わらずわらわらとキモイねーオークは!」
 そんなオークの話を聞いて、とてもハイテンションに笑うアンネリース・ファーネンシルト(強襲型ダモクレス・e00585)の言葉。笑いながらもキモイものは間違いない。
「本当、オークって下品なんだから……」
 そんなアンネリースの意見に同意するように呟く燈家・陽葉(氷響する陽光・e02459)。キモイ上に下品という色々と最悪な相手、それがオーク。
「だけど、そんなオークを放っているドラグナーやドラゴンも許せない」
 確かにオークはキモイし下品だけど、それを兵士として放っているのはマッドドラグナー・ラグ博士であり、ドラゴン勢力なのだ。

 そんなオークを倒すための準備をしているだが……。
「複雑だけどね、可愛い妹が狙われないとかありえないからね」
 妹の陽葉と一緒の参加であるライゼル・ノアール(偽りの面貌・e04196)。非常に複雑……というか、単に兄馬鹿な雰囲気の事を熱く語る。
「決して、狙われて欲しいとか挑発が見て見たいとかではないく、狙われないとおかしいのだよ!」
「お兄様、その確信は何ですか…!?」
 兄馬鹿なだけでなく、別の意味で紳士のようでもあるようだ。そんな兄の反応に困る陽葉だった。

 そんな横でちょっと距離を取っているのはコクマ・シヴァルス(ドヴェルグの賢者・e04813)。
「ううむ……なんとも目の毒であるな」
 すでに水着で待機している女性たちに極力視線を向けないようにしながら、周辺の地図と見取り図を手に逃亡に使われやすい位置を確認している。
「ほっほー、温泉に水着のおねーちゃんたち。極楽極楽、目の保養じゃのー」
 そんなコクマとは対照的なのがショー・ドッコイ(穴掘り系いけじじい・e09556)。
「ふふ、目の保養になってあげるから、ちゃんとやっつけてよね」
 そんな視線を受けても楽しそうなのは今回、協力してくれる女子大生の一人。どうやら『友達の友達の友達』がケルベロスに助けて貰った事があるとか。それで、豊満な水着姿でオークの挑発を引き受けてくれた。
 そんな彼女を見ながら思わず目を伏せるキャロル・ツヴァイ(瞳の中の暗殺者・e23336) 。自分の胸に視線を落としながら寂しそう。そんなキャロルの隣で水着の上からバスタオルを巻いている女子大生もいる。
 そんな二人の視線が自然と重なる。
「お互い頑張ろう!」
「はいっ!」
 二人は視線を重ねてニコニコするのでした。

 そんな中で無言で先に脱衣所へ向かうのはラインハルト・リッチモンド(紅の餓狼・e00956)。別に協調性がない訳ではない。ただ、彼は本当の意味で紳士なのだった……。
「ともかく、まずは目の前の事件だね」
 そんな雰囲気の中、とりあえず気合いを入れ直す陽葉。今は目の前の事件を解決するのが優先事項なのだ。


「ケルベロスの皆さん、よろしくお願いします」
 サークル長の長身な女子大生が改めて丁寧に挨拶をする。その表情には様々な覚悟。そして、その後ろで少し楽しそうな女子大生たち。その表情はアイドルを見つめるような雰囲気に近い。
「それよりも、ケルベロスって普通に女の子なんだよね。ね、好きな人とかいるの?」
 なんだかあっという間に打ち解けた雰囲気になる女子大生。
「えっと……」
 そんな言葉にイピナの視線が脱衣室へ向かう。その更衣室にはラインハルトが待機しているはずだ。
「そっか、今日一緒にいる人に、気になる人がいるんだね」
 察しのいい子がイピナの様子で分かってしまった様子。そんな突如始まったガールズトークに、少し新鮮な想いを感じるイピナだった。
 そんな隣では、キャロルは仲良くなった子と一緒に隅っこでちょっと雑談。そんなキャロルの水着はスクール水着。
「肌色成分は少なめだけど、あえてスクール水着」
 『あえて』の理由は相手がオークなら分からなくもない。そんなお隣の子はパレオ付きの可愛らしい雰囲気の水着。時々、ショーの視線が飛んできて恥ずかしそう。
「……」
 そんな中で脱衣所にいるラインハルトは刀を握り目をつむっていつでも動けるように待機している。そんな彼に時々視線を送るイピナ。
 そんなイピナの水着は黒いビキニと短めのパレオに偽装したブラックスライム。まあ、偽装と言っても『パレオっぽいブラックスライム』って程度だが。
 そんな中で、どうしても水着の女性に視線が行ってしまうコクマ。しかし、下見をしっかりと行い、オークが逃亡しそうな場所を確認している。

 そして、準備が終わると、温泉内で待機する者と、脱衣所で待機する者に分かれる。
「恥ずかしい……」
 温泉待機の陽葉は恥ずかしそう。
「でも、絶対守るからね」
 だけど、その気持ちは揺るがない。
「うん、お願いね」
 年下の頑張る様子が可愛くて仕方ない様子の女子大生。そんな陽葉の頭を思わず撫でる。
(「当然だ、陽葉は可愛いからな」)
 そんな様子を遠くから見ながら一人、頷くライゼルだった……。

 そして準備を終えた頃、空から飛来するのは飛行オーク。
「な、なにあれ?」
「鳥?」
「飛行機?」
「いや……豚?」
 なんだか楽しそうにオークを指差す女子大生たち。正体が分かっている事と、守ってくれると信じているからこその楽しそうな様子。
「戦闘モード起動。アンナ、迎撃行動に移ります」
 オークの出現に、思考を完全に切り替えるアンネリース。戦いの始まりだ!


「ひゃっはっはぁぁぁぁ!」
 スタイルの良い女子大生が怯える様子を見せると、大喜びな飛行オーク。触手を動かし獲物を物色するように、女子大生に不気味な視線を向ける。
 そこで動くのはイピナ。
「皆さん逃げて下さい!」
 女子大生を庇えるように動きながらオークを牽制。
「ぶひひひ!」
 オークの目には目標が近づいて来たようにしか見えていないだろう。イピナを狙い触手を動かし攻撃を仕掛ける。
「んんっ…!」
 オークの触手がイピナの手に絡み、その腕を這い周り、そのまま身体に巻きつく。
「……いや、は、離して……!」
 身体に感じるのは痛みではなく不快感。それがイピナの身体を蝕み、そしてその漏れる声にオークが喜びの表情を見せる。
「ぶひひ!」
 イピナの身体を触手で縛りご満悦なオーク。しかし、それも長くは続かない。隠し持っていた斬霊刀によって触手を切断され、同時に空の霊力を帯びた斬撃で反撃を受ける。

 そんなイピナの献身的な行動で女子大生たちの避難は進んでいた。
「さあ、こちらへ!」
 脱衣所では避難してきた女子大生を招き入れ、代わりに温泉へ突入し武器を構えるライゼル。
 そんな眼前では、一生懸命オークの気を引こうと努力している陽葉の姿。
「こー、水着着た状態で、伸びあがるようなポーズ?」
 そんなポーズはとてもスレンダーさを強調したポーズ。それに目を奪われるオークとライゼル。
「だって、細いなら反れって、誰かが言ってた……」
 色々と複雑な困惑が重なって、どうしていいか分からない陽葉に、色々な意味で喜ぶショーとライゼルとオークたちなのだった。

 そんな挑発はともかくとしてオークがこちらに注目し襲い掛かってくる。
「鎖よ。皆を守りたまえ」
「力を貸してね、阿具仁弓」
 そんなオークを迎え撃つべく、静かに祈りを捧げるライゼルと陽葉。そのまま陽葉は矢をつがええオークの進行を阻止するように次々と放ち、ライゼルはオークの触手を焼き喰らうように地獄の炎弾を放ち、さらにビハインドのクサリサがオークの動きを縛る。
「ぶひゃひゃは!」
 陽葉とライゼルたちの攻撃を受けて、進行が鈍くなる飛行オーク。しかし、それでも触手を動かし攻撃を繰り出してくる。
「……気持ち悪い……」
 伸ばされた触手をナイフで切り払うキャロル。しかし、すべてを切り払える訳ではない。ナイフの攻撃を避けた触手がキャロルの身体に絡みつく。
「……殺った」
 しかし、それを冷静に対処しオークとの距離を開く。しかし、それはフェイント。そこから影に潜み、相手の影から斬撃を繰り出す。
「ぶひひひ!」
 目の前から目標がいなくなれば別の目標を探し、そちらへ突撃していくオーク。

「ちゃんと守るからの」
「オークの暴挙に晒させるわけにはいかぬ」
 そんなオークの行く手を遮るショーとコクマ。ショーはコクマたちの前衛を支援し、コクマはドワーフ特有の力を拳に込める。
「ぶぺらぁ!」
 そんなオークの視界には二人は入っていない様子。その後方で水着姿をアピールしている女子大生へ。
「貴様らに何もさせんわっ!」
 コクマの背後にカラフルな爆発が戦場を彩るのと同時に大地をも断ち割るようなコクマの打撃がオークを貫く。
「げぺっ!」
 不気味な音を立て、オークの身体が「くの字」に曲がり、そのまま後方へ大きく弾き飛ばす。
「やったー!」
 それを見ていた女子大生。思わずコクマとショーに拍手喝采。それに満面の笑みで答えるショーと、複雑な表情で答えるコクマだった。

 沢山の水着女性を見て、興奮しているオークたち。余計な事をさせなければケルベロスたちが負けるはずがない。女性を襲うと動くオークへラインハルトの鋭い斬撃が走り、オークの触手を切り飛ばす。
「滑空能力を得ていると聞いたが、教えてくれないか? それは、触手のような羽を全て切り落とされても飛べるものなのかね?」
 それは疑問だろうか、それとも挑発だろうか。そんな言葉に怯え逃げようとするオーク。しかし、華麗に回り込む。
「You're mine!」
 同時に己の魔力と血によって生み出した剣を複数展開させ、触手を切断させながら、オークを切り刻む。
「ぷぎゃぁぁ!」
 そのままオークは爆発四散したのだった。


「ひぃぃ、やってられるか!」
 見事な連携のケルベロスたちの攻撃で二体のオークが倒されると、色香に酔っていた頭に理性が戻ったのか、逃亡を考慮し始める飛行オーク。それはケルベロスたちには予想の範疇。行く手を遮るコクマやライゼルたち。
「あら。もう逃げるのですか? その触手は飾りですか?」
 イピナがショーに教わった身体を反らすポーズに加えての挑発行動。どう見てもご褒美です、ありがとうございます。
「恥ずかしいけど……」
 そう言いながら、最初にライゼル他から大絶賛だった伸び上がるようなポーズをとる陽葉。
 さらにキャロルも恥ずかしそうな表情でスクール水着の食い込みを『ぱちん』と大きな音を立てて直す。戦闘中の冷静な雰囲気とは違う恥ずかしそうな雰囲気はギャップ的な意味でも効果絶大。
 さらにショーからは無理をしなくてもいいと言われているのに、協力してくれる女子大生たち。ショーが半分冗談で教えてくれたであろうアピールショットを大胆に見せてお手伝い。
「ぷりちーせくしーきゅーちーみんなかわええんじゃぞい」
 そんな様子に大喜びのショー。
「ぶひひひひ!」
 そして挑発を受けたオークは見事に鼻から耳まで真っ赤にして大興奮。逃げる事など完全に忘れ、その触手で少女たちを蹂躙する事だけを『夢』見て突撃するのだった。


 挑発が成功し、全体的にケルベロス側優勢で戦いは進んでいた。しかし、全ての攻撃を受け流す事など出来ない。
「きゃー」
 ついに陽葉がオークの触手に捕まる。オークの触手が陽葉の身体を縛り、同時にぬるぬるの触手で陽葉の身体を這い回る。それをブチ切れるライゼル。
「ミンチじゃすまさんぞ、この豚肉がぁぁぁあああ!?」
 激しい怒りをストレートに表し、地獄の炎弾を放つ。ライゼルの怒りに反応したのか地獄の炎弾は触手に喰らい付き、そのまま別の触手に燃え移り、触手を……そして本体を喰らい尽くして行く。そして最後は黒い灰だけが残るのだった。

「届け、我が想い、我が心――癒せや勇士、再び立たん戦場へ」
 ゆっくりと響き渡る戦の詩。それはショーの想いを乗せ、傷つき疲れた身体を癒す。
「君の犯した禁戒は、もはや償えないよ」
 その詩で力を取り戻した陽葉が動く。透き通るような陽葉の歌声が響く。その詩は歌曲『リペンタンス』。その詩に込められた『後悔』の念が鎖として具現化。どこからともなく現れた鎖がオークの身体を縛り束縛していく。
「ぶひ……」
 しかし、まだ息のあるのか触手が一瞬動く。
「……殺った」
「……」
 しかし、その触手に反応して、キャロルの斬撃とラインハルトの斬撃が十字を描き、オークを切り刻むのだった。

「我が刃に宿るは光を喰らいし魔狼の牙!」
 鉄塊剣の刀身に青白い水晶の刃を纏わせ、剣を巨大化させる。
「その牙が齎すは光亡き夜の訪れなり!」
 その巨大化した鉄塊剣を構え突撃し、真横へなぎ払い、斬艦の一撃を放つ。
「プペラァァ!」
 無様な断末魔を響かせオークは真っ二つとなった。さらに、その横ではほぼ同時にアンネリースがオークへ最後の一撃を放つ瞬間だった。
「徹甲弾装填。ストライクカノン、発……へぶし!」
 徹甲弾でオークの触手ごと打ち抜こうとするアンネリースだったが、突然のくしゃみ。しかし、徹甲弾は狙い違わずオークに打ち込まれ爆発四散した。

「ぶひひひ!」
 他の仲間は全て倒れ、逃げる術もない。そうなったオークは全ての思考を放棄。欲望のみを解放しイピナに襲いかかる。しかし、それが叶うはずがない。
「穿つ落涙……」
 静かな言葉と同時にイピナの斬霊刀が水の精霊の力を静かに纏う。
「止まらぬ切っ先」
 次の言葉が発せられた瞬間、降り注ぐ雨の如く、途切れぬ刺突がオークを貫く。
「ぶぺぺぺぺぺ!」
 そして雨が止むように、沈黙が走り……そして最後の一体のオークは動きを完全に停止させた。ケルベロスたちの勝利だ。


「飛べない豚はただの豚だ、という言葉があるが……飛んでも豚はただの豚だったな」
 納刀しながら呟くラインハルト。しかし、次の瞬間、顔を真っ赤にして、すぐさまアタフタと温泉を出て行く。
 そんな温泉の状況だが、オークが全て消滅したとはいえ、エッチな感じ。乱れた水着で通常よりもセクシーになっている人が多い。
「あの……。あまり、ジロジロ見ないでください……恥ずかしいので」
 一番被害の大きいイピナはとても恥かしそうに脱衣所へ着替えに向かう。
「やはり……目に毒よの」
 イピナから視線を反らして、何か手がかりを探すコクマ。しかし、オークの躯も残っておらず、何も見つけられなかった。
 ともかく、無事に飛行オークを倒す事が出来たし女子大生も守れた。今は少し温泉に入ってゆっくり休むケルベロスたちだった。

作者:雪見進 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年4月28日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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