真夜中の太陽の花

作者:陸野蛍

●闇に現れた五色
「あ~あ、何時になったら、大暴れ出来る、私が輝く様な任務が来るのかしら? 地味な任務って好きじゃないし~」
 ここは、深夜の公園。
 そこに深夜だと言うのに、5人の人、いや……人よりも二回り以上大きな5人の戦士達が集まっていた。
 大げさに、ぼやいていたのは桃色の鎧を着た戦士だ。
「スターローズ、俺たちだって、この任務が好きな訳じゃない。任務だからだ。なあ、スターブルー?」
「その通りだ、俺達は任務を全うするだけ。そんなに暴れたかったら、ケルベロスが襲ってくることでも祈ることだな」
 黒い鎧の戦士が青い鎧の戦士に言えば、青い鎧の戦士は端的に返す。
「遊んであげたいけど、ケルベロスも、そこまでおバカじゃないでしょ。果敢に挑んで来たりしたら、チョーうけるんだけどね。あ、見つけたよ、スタールージュ」
 桃色の戦士は残忍な微笑みを浮かべると、本来の目的のものを見つける。
「了解だ、スターローズ。皆! いつも通りいくぞ! グラビティ・チェイン注入開始! スタージョーヌ、行くぞ! グラビティスタンバイ! 」
 赤い鎧の戦士の指示が飛ぶと、戦士達全員のグラビティが高まって行く。
 グラビティは、輝きとなって、黄色の戦士の肩に乗るバズーカ砲に吸い込まれていく。
「どんな攻性植物が生まれるか―。今日も楽しく、いきまっせ―」
 黄色の戦士のバズーカ砲が色とりどりのグラビティ・チェインを放つと、着弾点から地を割る音が響きだす。
 音を響かせながら、真っ直ぐに伸びる緑の柱が空へ向かって伸びて行くと、やがて蕾は黄色い大きな花を咲かせた。

●向日葵のヘリオライダーからの依頼
「みんなー! アルカンシェルが現れた! お仕事の説明を始めるから集合ー!」
 ヘリポートに大淀・雄大(オラトリオのヘリオライダー・en0056)の通る声が響く。
「かすみがうら市から飛び散ったオーズの種を回収している、エインヘリアルの部隊『アルカンシェル』が、今夜ある公園に現れる。アルカンシェルは、なんらかの方法で居場所を特定した、地下に眠るオーズの種に、大量のグラビティ・チェインを与えて強制的に発芽させ、巨大な攻性植物に育ったモノから『オーズの種の部分』だけを奪い去り去っていく」
 現在の所、アルカンシェルの作戦の意図は不明だが、地球側にとってろくでもない作戦であろうことだけは間違いない。
「みんなにお願いする依頼は、アルカンシェルの討伐では無く、オーズの種を奪われグラビティ・チェインを急速に回復させる為に、市街地へ向かおうとする巨大攻性植物の撃破だ」
 アルカンシェルと直接戦いたいと思っているケルベロスが、少なからずいることを分かっているからこそ、雄大は依頼内容をはっきり提示する。
 部隊編成されたエインヘリアルのチーム。1体相手ならまだしも5体を相手に勝てる見込みは限りなく低い。
 雄大は、ケルベロス達に、今、解決しなければならない問題にしっかり目を向けて欲しいのだ。
「今回の攻性植物は、オーズの種で攻撃力がかなり高くなっていて厄介な相手だ。だけど、中枢であったオーズの種を奪われることにより、耐久力は下がる。グラビティ・チェインを補給する前なら何とか倒せる相手だ。全力を持って撃破にあたって欲しい」
『オーズの種』の力は、解明していない部分が非常に多い。
 攻性植物にどのように影響を及ぼしているかは、正確な所は分からない。
 それでも、街の人々に危険が迫っている以上、撃破しなければいけない対象だ。
「攻性植物の外見は、巨大なこれだ」
 そう言って、雄大は自分の左のこめかみを指差す。
 そこには、一輪の向日葵が咲いている。
「……まだ春だってのに、今回戦ってもらう相手は、向日葵の巨大攻性植物だよ」
 自らに咲く、一番好きな花だからなのか、雄大の顔が渋くなる。
「巨大攻性植物『サンフラワー』の全長は、7m程。攻撃力は高いけど、オーズの種を奪われる時に、アルカンシェルからダメージを受けるから、オーズの種の力が無くなることも含めて、十分倒せるまでにHPは減っているはずだ」
 それでも相手は、オーズの種を内包して変異した功性植物だ激戦は必至だろう。
「攻性植物の攻撃方法な。一つ目は、咲いたばっかりの向日葵って本来なら種は無い筈なんだけど、こいつは花の中心から向日葵の種を散弾銃の様に撃って来る。次に、葉を一気に硬質化させ刃の様に斬撃攻撃をしてくる。最後に、これが一番強力な技なんだけど、その向日葵の花部分からグラビティをエネルギーとした広範囲レーザーを放って来る。焼かれる様な痛みを伴うみたいだから気を付けてくれ」
 全ての攻撃が通常の攻性植物の攻撃威力とは比べ物にならない程に強いことを雄大は付け加える。
「アルカンシェルの作戦意図は、未だ不明だけど、この攻性植物を野放しにしてしまったら、人々に甚大な被害が出てしまう。だから、気を引き締めて依頼を受けて欲しい。アルカンシェルは、見逃さなければならないけど、いつか対峙する日がきっと来る。だから、今は出来ることを見つめて欲しい」
 言うと、雄大は軽く笑顔を見せてヘリオンへと向かった。


参加者
カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)
平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)
風藤・レギナエ(啼き喚く極楽鳥・e00650)
上月・紫緒(テンプティマイソロジー・e01167)
五里・抜刀(星の騎士・e04529)
峰岸・雅也(ご近所ヒーロー・e13147)
三石・いさな(ちいさなくじら・e16839)
ヒスイ・ペスカトール(銃使い時々シャーマン・e17676)

■リプレイ

●季節外れの向日葵
 桜も散り、葉桜に変わった深夜の公園に現れた5人の戦士、エインヘリアルの部隊『アルカンシェル』を物陰に隠れ、息を潜めて見つめるのは、8人のケルベロス達。
「うーん、今、ある意味最も噂の五レンジャーかー。オーズの種回収してどうすんだろ?」
 そう呟くのは、身体が小柄なら、顔も女性顔の成人男性、平・和(平和を愛する脳筋哲学徒・e00547)である。
「装備にでもなるのかなー……? う、いてて……」
 和の身体には、包帯が巻かれ、あちこちに負傷の痕があった。
 彼は、先の八竜襲撃において、ヒールグラビティでは完治しきれない程の怪我を負ってしまい、今回の依頼も、傷が癒えぬまま受ける形になってしまった。
(「とりあえず、命を大事にだよな。皆の足手まといにならない様に、メディック頑張るぜ」)
 最後衛とはいえ、皆の生命線を担うことで、皆の役にたとうと誓う、和。
「5人で行動するエインヘリアルのチームですか。他にも、そうやって動いているデウスエクスは、いるんでしょうかね?」
 眼鏡から覗く赤い瞳でアルカンシェルを見つめながら、上月・紫緒(テンプティマイソロジー・e01167)が、ふと疑問に思ったことを口にする。
 名のあるデウスエクスは、一体でも十分に強い為、チームで動いている前例があまりないのは、事実だ。
 部下であるデウスエクスを操る指揮官タイプならまだしも、全員が同等ポジションで行動しているデウスエクスは、確かに珍しい。
(「私の愛を全力でぶつけても倒れない存在かもしれないけれど、今回は無理ですね。でもいずれ……」)
 紫緒は、心の中で自分の愛を受け止めてくれるかもしれない強者を欲しており、もしかしたらそれが、目と鼻の先に居るアルカンシェルなのならばとつい考えてしまう。
「むむむむむ。アルカンシェルは神の力の残滓を育てて奪って、どうしたいのでしょうね。というかこれって農業なのでしょうか……?」
 黄色の戦士のバズーカに、グラビティ・チェインを集中し始めたアルカンシェルを見ながら、堅牢なミスリルアーマーを纏ったドラゴニアン、五里・抜刀(星の騎士・e04529)が、若干ずれたことを言う。
 抜刀は、高所からアルカンシェルを観察出来ればとも思っていたのだが、一人だけ見つかってしまった時のリスクが高すぎる為、こうして仲間達と共に身を隠している。
「どっかーんって、グラビティ・チェイン発射したよ。きっとすぐに出てくるね。大きな向日葵」
 アルカンシェルから身を隠している為、大きな声は出せないが、いかにも興奮した様子で、今回最年少、三石・いさな(ちいさなくじら・e16839)が呟く。
「オーズの種を回収ねェ……。奴らにとって、グラビティ・チェインを消費してでも、何かに利用したい価値があるってことなのか…? よくわからねーなァ」
 ゴーグル越しに、ひび割れていく大地を見ながら、ヒスイ・ペスカトール(銃使い時々シャーマン・e17676)が、皆が疑問に思っていることを言葉にする。
 だが、それに対する答えを持ち合わせている者はいない。
 だからこそ、今は、アルカンシェルを観察し、彼らの残していく置き土産を排除しなければならないのだ。
 ケルベロス達の視線の先で命が爆発するように早送りで成長して巨大な姿を現す、攻性植物の向日葵『サンフラワー」。
 桃色の戦士は、その姿を確認すると、狙い澄ました足技で、サンフラワーの『オーズの種の部分』を綺麗に刈り取る。
 それを赤の戦士がキャッチすると、ここにもう用は無いといった様子で、闇の中へ消えて行く、アルカンシェル。
 そしてそこには、グラビティ・チェインの大半を奪われ、今にも暴れ出しそうな、サンフラワーだけが残された。
「よし! 行くぜみんな! 季節外れの向日葵退治だ!」
 声を上げると、得物の鉄塊剣を携え、峰岸・雅也(ご近所ヒーロー・e13147)が先頭を切って物陰から駆けだした。

●護ると言うこと
「……無駄にでかいなぁ。鎗じゃなくて使い慣れた弓持ってくればよかったかも……」
 巨大としか言いようがないサンフラワーを前にして、カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)の第一声はそれだった。
「まぁ……でも、わたしはラーズグリーズ。計画を破壊する者……。これも何かしらの計画破壊……だよね」
『だよね』の部分に冷たさを少し乗せ、ゆうに2メートルを超す白槍を構えると、猫の様な俊敏さでサンフラワーの茎を駆け上がり、雷を纏わせ、一気に刺し貫くカタリーナ。
 カタリーナの相棒のボクスドラゴン、クロクルもブレスを吐いて援護する。
「へっへ~ん、真夜中の向日葵なんてモンは青のりのないタコヤキみたいなモンやってな! 恐れるに足らずや!!」
 正直どういう理屈かは分からないのだが、甲高い声でサンフラワーを挑発しながら、風藤・レギナエ(啼き喚く極楽鳥・e00650)が己が持つ斬霊刀の刀身に、独特な振動を与えて行く。
 振動が数種の色を纏うと、レギナエは翼をはためかせ宙を舞う。
「ほらほら、余所見せんと! オレのカラフルでめっちゃイケてるこの翼に見惚れるがええでっ!!!」
 耳に痛い声で叫ぶと、レギナエは、変幻自在にその刃を振るう。
 刃は、多彩な色彩を伴う衝撃波をいくつも生みだし、サンフラワーに無数の傷を付けて行く。
 その様は、レギナエのカラフルな翼の羽が舞い散っているかの様だ。
(「野放しにしたら町の人が襲われる、それだけは絶対にさせへんでっ!」)
 おちゃらけている様な表情の下で、レギナエは、街の人々を護り通すことだけを考えていた。
 …………例え、自分が自分で無くなる様なことになってもだ。
「俺の一発も喰らっとけ!」
 雅也は叫ぶと飛び上がり、その重い鉄塊剣を力任せに、サンフラワーの花の中心に叩き込む。
(「奴等の目的は判らないけど、被害が出る前に駆除しねぇーと。予知をした、雄大にとっても特別な花だ……ソレが人に被害を加える、なんて事、させる訳にはいかねーしな!」)
 雅也が、少し不機嫌そうだった、ヘリオライダーの少年の顔を思い浮かべていると、雅也の身体に光の盾の加護が宿る。
「ディフェンダーにシールド張って行くから、耐えてくれなー!」
 新たなシールドのグラビティを構成しながら、和が叫ぶ。
「攻撃重いんだよな。こっちも固くしないとな」
 ヒスイが自分を中心に前に出ている達を黒鎖で囲み、グラビティを放出する。
「レオ太、瘴気を放つんです。私達で、あの攻性植物の力を抑制しますよ」
 抜刀の言葉を聞くと、抜刀の相棒のオルトロス、レオ太が背に浮く黄金の車輪を回転させ、サンフラワーに瘴気を放つ。
「では、私も。これはチェスです。……勝率は聞かないで下さい」
 チェスの駒、先陣を切るポーンの駒の様な威圧感を放ち、抜刀はグラビティをその睨み据えた瞳に込める。
「私はどんどん攻撃しちゃうね!」
 元気いっぱいに叫ぶと、いさなが自分の身の丈より大きい斧をサンフラワーに振り下ろす。
「そう言えば、今回の攻撃のメインって女の子ばっかり? 男の子に守られての攻撃……ス・テ・キ」
 呟いて、唇を笑みの形にすると、紫緒は地獄の炎を鎖の形に作り変えて行く。
「私の愛で、私の憎しみで、アナタの全てを抱き締めます」
 紫緒の放った炎の鎖は、サンフラワーを抱擁するように、逃がさない様に、愛を込めて襲いかかる。
 その時、サンフラワーの黄色い花弁が光ると、光線となってケルベロス達を襲った。

●花の終わり
「大きな樹木は大概邪魔……その上……動くなんて、鬱陶しいよ」
 ブラックスライムを捕食の形にして、カタリーナがサンフラワーの緑の部分を抉り取る。
 ケルベロスと、サンフラワ―が戦闘を始め、5分以上が経っていた。
 情報通り、サンフラワーの攻撃は重く、黄色く光る光線を受けた際には、ディフェンダーですら、手痛いダメージを喰らった。
 だが、和がすぐに癒しの爆発を起こすことで、戦線を立て直した。
 その後、和は徹底的に光の盾をディフェンダーに付与している。
「向日葵の種の散弾来るぞ! 男は、女を護れ!」
 雅也は叫ぶとその身を挺して、いさなを庇う。
 ヒスイとレギナエも当然、それぞれ紫緒とカタリーナを庇っていた。
「少し大人しくしてもらいます!」
 抜刀がその体躯に見合ったバスターライフルを構えると、魔法の光線をグラビティ最大火力で放つ。
「大輪の向日葵って聞いたけど大したことないなぁ~」
 空をも斬る斬撃を放ちながら、レギナエが軽口をたたく。
 だが、ケルベロス達の中で一番負傷しているのもレギナエだった。
 ディフェンダーの役割と、可能な限り、サンフラワーの怒りを自分に向けている。
 その為、サンフラワーの硬質化された葉に切り裂かれた、左足からは鮮血とグラビティ・チェインが流れ出ていた。
「回復するよー! はみ出る程にー!」
 そのレギナエを、真に自由を与えるオーラが包む。
 何処からか『お前も~ジョブレスにな~れ~』と言う声が聞こえてくるような気がするが、グラビティを放っている和の声では無いので、グラビティの不思議としか言いようがない。
 サンフラワーとケルベロス、双方がダメージを受けながら戦闘が続く中、何発もの銃弾の発射音が戦場に響く。
「今だ、外すなよ!」
 ヒスイの放った銃弾の雨にサンフラワーの動きが止まった所へ、妖刀【刹那】を構えた雅也が接敵する。
「お前の闇……。覗いてみるか?」
 瞳に闇を宿した雅也の刀が奔ると、サンフラワーの花弁の輝きが少しだけ失われた様な気がする。
「あなたの葉を食いちぎってあげるから」
 狂気に染まった笑みを浮かべた紫緒は、大鎌を振り回しながらその手に宿る攻性植物で、サンフラワーを拘束する。
 それに続く様に、いさなの斧の重い一撃とカタリーナの鋭い槍の一撃がサンフラワーのグラビティ・チェインを奪っていく。
 だが、サンフラワーの動きが鈍くなる様子は無い。
「仕方ねえな……落ちな」
 ヒスイの拳銃から放たれた、全身全霊を込めた碧い弾丸がサンフラワーに風穴を開ける。
「もう一斉攻撃かな? 知恵を崇めよ。知識を崇めよ。知恵なきは敗れ、知識なきは排される。知を鍛えよ。知に勝るものなど何もない。我が知の全てをここに示す」
 和が詠唱すると、『何処から出て来た?』と言わずにいられない程の巨大な事典(主に事典の角)が、サンフラワーに撃ち付けられる。
 抜刀の光弾が、レギナエの雷を纏った鳥の嘴を象ったウォーピックが、雅也の刃の突きが次々にサンフラワーの命を削って行く。
「与えられる傷も、それは愛の証。だったら、私はそれも受け止めるよ♪」
 紫緒の大鎌がサンフラワーの巨大な葉を落としていく。
「そろそろ止めだよね? 私の乙女心! 燃え上がらせるよー!」
 いさなはそう言うと、自身のグラビティをキラキラとしたオーラに変えて身に纏う。
「体当たりで、行っちゃってー!!」
 いさなの乙女心を込めた『体当たり』と言う名の一撃は、サンフラワーに直撃すると『ズドーン!』と言う音を辺りに響かせる。
「……クロクル下がって。……つまらない……飽きたからもう消えていいよ……木偶」
 ただ冷やかに静かに言うと、カタリーナは飛び上がり、白き槍を……夜の女神に由来する流星の名を冠するその輝く槍を美しき流線を描く様に奔らせる。
 スタッと静かにカタリーナが着地すれば、サンフラワーは動きを止め、その巨体を倒す。
 春に咲いた黄色い花弁を、夜の闇に散らせながら……。

●勝利の後は?
「怪我して歩けない人いるー? いたら私が担いで運んであげるよー!」
 いさなが元気に仲間達に言うが、最年少の少女に担いでもらいたいと言う者は流石に居ない。
「思ったより傷は、浅かったね」
 和がレギナエとカタリーナにヒールをかけながら軽く言う。
「街も守れて、これくらいの傷なら万々歳やろ。強いて言うなら、もちっと華やかに戦えてたらオレ、英雄っぽかったんちゃうか?」
 レギナエが乱れた赤い髪を撫でながら言うも、カタリーナはのんびりとクロクルを撫でている。
「公園のヒールはこの程度でいいですかな?」
「そうですね。アルカンシェルとオーズの種の調査もこの時間じゃ難しそうです」
 抜刀の言葉に、紫緒が唇に指を当てて答える。
「じゃ、帰るか……ん?」
 仲間達にそう言うヒスイの目の前に満面の笑みを浮かべた雅也が手を上げて立っていた。
「……んだよ?」
「こう言う時は、ハイタッチだろ?」
 ヒスイの問いに、軽く答える雅也。
「なーに、はしゃいでんだ……」
 呆れた様に言っても雅也は手を降ろさない。
 それがなんだか、可笑しくて……嬉しくて、ヒスイはにやりと笑うと、『パチーン』と音がする程、強めのハイタッチをするのだった。

作者:陸野蛍 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年4月17日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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