陰中陽、月下に宝石が煌めく

作者:baron

 都市の夕闇を歩く女性が、不意に呟いた。
「あなた達への命令は、ケルベロスの戦闘能力の解析です。ひとまずは地球での活動資金の強奪が適当でしょう」
 女の声に応じて、誰かが頷く気配が感じられた。
 適切に当たると書いて適当と言うが、ケルベロス調査の為に強奪というのは、そういう意味での適当だろう。
 強奪に成功すれば資金を稼ぎだす事が可能で、邪魔者が現れれば、本来の調査が可能になるのだ。
「あなた達が死んだとしても、情報は収集できるようにしていますから、心置きなく死んできてください。勿論、活動資金を強奪して戻ってきてもよろしくってよ」
 強奪に成功する方が残念とは、女は一言も口にしなかった。
 要するに手を打った様々な手段の一つに過ぎないのだろう。
 現に女は、頷く者が一人であるのに『達』と付け加えているのだ。
 もし全てを理解できる者が居るのならば……、肯定という意味で頷いていたのが一人だと知ることが出来たかもしれない。
 夕闇に融けるように頷いて居たのは、螺旋の面を付けた小柄な姿。しかして、その姿は一人ではなかったのだから。


 小柄な姿の螺旋者。
 その名を月華衆と知る者はどれだけいるだろうか?
 とあるビルの屋上に面した高い窓から忍びこみ、スルスルとの中に侵入するのは、その一人である。
 高い位置からの着地に痛みを感じた風もなく、対人センサーやら何やら潜り抜けて、容易く宝石を盗み出す。
 高価な物だけを奪い洗いざらい持って行かないのは、他でも可能だと言う自信のゆえか、それとも……元より宝石など、どうでもよいのかもしれない。
 音も無く姿もカメラには映す間もなく、そのままビルの外へ抜けだして行った……。


「宝石泥棒が現われます。もちろんケルベロスの皆さんにお伝えする以上は、デウスエクスによる犯罪です」
 セリカ・リュミエールがとある百貨店のパンフレットを持って説明を始めた。
 開かれたページには、割と大きな宝石店があると書かれている。
「今回の敵は宝石好きのビルシャナなどではなく、『月華衆』と呼ばれる螺旋忍軍の一派の様です。小柄で素早く隠密行動が得意なタイプで、ステレオ・タイプの忍者だと思えば判り易いでしょう」
 本来の忍者は情報収集がメインで、実際には忍び装束で暴れ回るようなことはしないらしいが……。
 月華衆は、小型で素早いという特徴で統一されており、その姿を持って個を隠しあるいは鍛え上げる指標にしているのだろう。
 メモ帳に描かれたスケッチも、確かに螺旋の仮面に忍び装束と、どこかわざとらしい統一性が見られていた。
「今回の相手は警備員の居ない時間を狙い、百貨店の吹き抜けを利用して一気に降下し、セキュリティの比較的薄い場所を突破して、そのまま盗み出します。どうやら事を無理をして荒立てる気は無いようですね」
 人間用の警戒網などデウスエクス……特に螺旋忍軍にとっては無いも同じだ。
 もとより強盗でも良いのだろうが、今回の敵は忍者らしく、可能な限りは忍ぼうとする模様である。
「この為、忍びこもうとする入口を特定する事が出来ます。ビルの屋上にある、中を見渡せる窓から、一気に降下するようですので、屋上で迎撃するのが早いでしょう」
 昔の怪盗ならば紐でカメラの動きを気にしながら降りるのだろうが、デウスエクスならそれも不要だ。着地でダメージを受けないので、見つかり難い場所に直接降りるつもりらしい。
 逆にいえば、屋上で待ち構えておけば迎撃できると言う訳である。
「敵の使うのは、独特なコピー忍術です。相手の使った技を真似るようですが、他に技はありません。その技に自信があるのか、あるいは他に理由があるのか、闘いの中ではまだ自分が真似て無い技を使用しようとする模様です」
 この特性を利用すれば、ある程度は敵の動きを誘導して闘う事が出来るだろう。
 敵が隠密に長け逃走力に優れた忍者であろうと、有利に戦闘できれば、その逃げ足を発揮する前に倒すことが可能だろうとセリカは説明する。
 螺旋忍軍は、正面から戦いを仕掛けてこない分、厄介な敵です。それだけに、正面から闘う事が出来る今回の事件を、見逃す役ではありません。御面倒をおかけしますが、よろしくお願いします」
 セリカはそう言って、軽く頭を下げると出発の準備を始めた。


参加者
シェミア・アトック(悪夢の刈り手・e00237)
日柳・蒼眞(蒼穹を翔る風・e00793)
小鳥遊・優雨(優しい雨・e01598)
叢雲・宗嗣(夢謳う比翼・e01722)
アリエット・カノン(鎧装空挺猟兵・e04501)
田抜・常(タヌキかキツネか・e06852)
ハル・エーヴィヒカイト(ブレードライザー・e11231)

■リプレイ


「来るならそろそろだが……」
 叢雲・宗嗣(夢謳う比翼・e01722)は時計を確認すると、端末を取り出して連絡を取り始めた。
 その間にも中空を見つめるが、夜の闇には月と雲があるくらいだ。
 張ると言ってもビルの屋上は肌寒く、ビアガーデンが設置される暑さも、まだまだ先に違いない。
「叢雲だ。警備員は所定のコースに向かってるか? 一応は屋上を回らないように伝えたんだが」
『はい。こちらで目視しました。周辺警戒を行いながら、後で合流します』
 宗嗣が階下に居るアリエット・カノン(鎧装空挺猟兵・e04501)に警備態勢を尋ねると、一同が戦場に選んだ屋上付近に来るなと言う指示が守られているらしい。
 そのうち彼女も包囲網に加わるとだけ連絡を受け、仲間達の方に声を掛けた。
 端末をポケットに仕舞うと、なんだか手持無沙汰になって、左手で右手を掴むような仕草を見せる。
 いや、かすかな震えは、やがて来る闘いへの、今日深それとも武者震いだろうか?
「邪魔者なし、お宝に変化なし。予定通り敵がやってきたら迎え討つぞ」
「そうですか……。ならいつでも動けるようにしておかないといけませんね」
 宗嗣が息(意気)を整えて計画の推移を告げると、小鳥遊・優雨(優しい雨・e01598)は見あげていた月より、撫でていたドラちゃんに視線を移す。
 気持ち良さそうに横たわっていたイチイは、手が止まったことで、ふとこちらを見上げていた。
「相手のグラビティを初見で真似ることが出来るというのはすごく器用ですね?」
 ……まぁ、武器を持ち替えればすぐに別のグラビティを使えるケルベロスも、十分過ぎるほど器用なのですけどね。
 優雨は物憂げに呟き、答えを返せないイチイに対して、残りの言葉を呑みこむことで対処した。
 結局、答えの無い答えは自分の中で、答えを出すしかないのだ。
 これが錬金術や料理ならば、用途ごとにレシピを入れ換えれば済む部類の内容だと、思えるのだが……。

 二言・三言と呟いていた言葉も、次第に静まっていく。
 天空に浮かぶ月へ雲が掛り、ビルを影が多い始めた時のこと。
「っ……?」
「来たか。迎撃する……用意はいいか?」
 仲間の誰かが漏らした吐息と疑惑に、ハル・エーヴィヒカイト(ブレードライザー・e11231)は肯定した。
 僅かに漂う人の気配。
 ソレがケルベロスの物ではないのならば、答えは一つ。螺旋忍軍が一派、月下華衆だろう。
「はいっ。狸にしろ狐にしろ化け比べで負けられません」
 仲間達の中心で、田抜・常(タヌキかキツネか・e06852)は独り呟いた。
 不思議な事に彼女は無数のケルベロスに囲まれ、端っこの方に居ながらも、中心であった。
 視線が自然と彼女の周囲に集まっているような気がした。
『……』
 隙間を縫ってという言葉があるが、ソレは影を縫ってケルベロスを確認すると、その眼前に躍り出る。
 それまでの隠密行を捨て、躊躇いもなく月光のもとに姿を晒し出したのである。


「さあ、まずは……あれ?」
『……っ。……』
 不思議な事に、トンボを切ろうとする常へ、敵は攻撃しようとはしなかった。
 様子を窺うことから関心はあるようだが……。
 絶好の機会にもかかわらず、敵は警戒し注目するだけで動かない。
「動こうとしないね、失敗かな?」
「……いいえ、一つだけ目的が判りました。どうやら……攻撃用グラビティのみをコピーする気のようです」
 シェミア・アトック(悪夢の刈り手・e00237)の揚げる疑問の声に、常は変身を中断し推測を返す。
 コピーされる見込みが無ければ変身するつもりはなかったが、敵は……関心そのものは持っていたのだ。
 ならば盗みそのものよりも、『コピー戦闘そのもの』が主目的ではないかと、予想したのだ。
「コピー忍者……なんかやだな……。……そういえば、鹵獲術士もそれ系に入るんじゃ……?」
「……むう。確かに真似るのは得意なのですが、敵にマネっこされるのはあまりいい気しないですね」
 シェミアの何気ない呟きに常は答えた。
 鹵獲術師は奪った武装の中から、各人の諸事情に応じして適合する・扱えるモノを扱っている訳だが、常は特に過去の出来事から奪うだけではなく模倣を得意としていたのだ。
 やはり良い気分ではなかったが、他者を観察する敵の仕草は常自身、身に覚えがあった。
 状況次第では変身していたような気がするし、『その状況』こそが今回の不可思議な事件の問題なのかもしれない。

 試行と会話を続けながらも、ケルベロス達は奇妙な沈黙を守ったまま四方に散った。
 すると敵は軽く後方に下がりつつ、一同の動きが把握し易い場所で身構えたのである。
「地獄へ……ようこそ……っ!」
 シェミアは刃が蒼く燃える大鎌を振りかざし、あえて柄で攻撃を敢行。
「俺達も行くぞ!」
 彼女に続いて宗嗣は、回り込みながら稲妻の如き踏みこみで突進を開始した。
 そして攻撃は二人だけで収まるはずもない。
『……』
「遅い。君には基本的な剣術から指南して差し上げよう。もっとも……私の剣は我流の拙いものだがね」
 攻撃を回避しながら軽く腰を落す敵に対し、ハルは逆方向から突っ込んで来た。
 右手の刃に雷鳴を纏い、鋭い踏み込みを掛けながら……左手の刃を軽く振った。
 その反動で突如として剣閃の軌道を変え、速度では無く意表こそを突いて、意識の裏を突く!
 心臓を目指していたはずの刃は、肩口ごと鎖帷子を引き裂いた。
「見てから動く気かよ。随分と愉快だねぇ……」
 日柳・蒼眞(蒼穹を翔る風・e00793)は敵の行動を確認し、苦笑を浮かべながら脱出ルートを抑えた。
 飛び下りれば逃げることが出来る位置に自分を配してから、振りあげた刃を一度落し、弧を描くように切りかかる。
 もう少しで避けられた……という間合いであるが、敵は焦りも悔しさも浮かべてはいない。
「勝算無視……か。どう考えても忍者は捨て駒で、俺達も誰かの掌の上で踊らされているみたいだな……」
 驚くべきことに、敵はまだ攻撃を掛けて居ない。
 蒼眞にも相手の方が格上と言う漠然とした印象を感じられているのに、である。
 現に今も、彼の攻撃を回避する事に専念しているというよりは、他のナニカの布石として、ジっと見ているような雰囲気を思わせていた。


『行くぞ』
「あの技はやはりそうか! ……コピーして技を奪うとはな」
 仲間の元に突撃する敵を見て、アンゼリカ・アーベントロート(黄金天使・e09974)は唸りを上げた。
 飛び蹴りを放った後でフェンスを蹴って反転し、抜刀した刃を一度虚空へと振りあげる。
「なるほど、螺旋忍軍らしい特徴を持った敵というわけだ、けれどケルベロスに通じると思うなよ!」
 ゆらり……。
 一度振りあげた刃が、弧を描いて下段に下降する。
 だがしかし、飛びあがってから放つアンゼリカの刃は、下段切りでありながら敵の頭部を目指していた。
『……軽い。君には基本的なグラビティから指南してあげよう。もっとも私の剣は、借り物だがね』
「今度はそれか! 技は同じ、威力もお前の方が上かもしれないが……こちらには団結とチームワークがある。負けるはずがないさ」
 敵は飛び蹴りで刃を迎え討つ暴挙に出る!
 アンゼリカの刃は敵の額を、敵の蹴りは割って入ったシェミアが危ういところで間にあった。
 練りこまれたグラビティは強烈だが、盾役をこなすつもりの彼女ならば十分に耐えられる。月華衆の真価がコピーならば、連携こそがケルベロスの真価であろう。
「ちょっとおかしくないか?」
「……今のは他の技でも良いはずですね」
 宗嗣が今の攻防に疑念を覚えると、優雨は注射器を当てた後は、仲間の治療に切り替えながら答えた。
 同じ系統の技を、二度続けて放たないのは常識。
 たまたま動きに優れたスナイパーゆえに命中したが、半減し続ければケルベロスならばその内に避けてしまうだろう。
「不思議といえば不思議ですが……見えてくるモノもあります。グラビティをコピーされるデメリットよりも、この手の敵との戦闘経験のほうが価値がある気がしますね」
 仲間の周囲にグラビティの鎖で結界を張りながら、優雨は仲間達の使った技を丹念に記憶し始めた。
 状況はまだ始まったばかりだが、それでも既に違和感が出始めているのだ。
「仕方無い。あまり技は見せたくないが、少し試してみるか」
「なら付き合うぜ。流派でモーションこそ違えど同じ剣士だ。組み立て方も、よーく判るってもんだろ」
 宗嗣と蒼眞は二人同時に、空間を切り割き始めた。
 異なる仕草ではあるが、やっていることは同じ刀剣士の業である。
 そして宗嗣は突きの態勢に、蒼眞は剣を一度振りあげる態勢に移行する。
『勝敗のいかんにせよ、月華衆に失敗などはない』
「むむ……。ここで、こう、来るのですか」
 常も刀を振りまわし、尻尾のようにゆらりと動かす独特の態勢に入ると……。
 敵も月下美人が彫りこまれた刃で、弧を描くように動き始める。
 間違いない、これは……。
「……もしかして、同じ系統の技揃えたら、誘導……できてた?」
 稲妻を纏った突きと、月光の如き刃。
 シェミアを襲ったのは、一度目と同じ稲妻では無く、弧を描いて燕のように下段から来る月光の刃だ。
「でしょうね。こちらの技で頻度の高い物。そしてまだ使って無い技を優先するようですね。となれば現状でも有る程度、誘導する事も出来ます」
 優雨は記憶した仲間の攻撃パターンと、まだ繰り出して無い技をできるだけ思い返しながら、再びシェミアの治療に入った。


『新しい技を試してみるか』
「こちらに気を取られていていいのか? そら、左から次が来るぞ。……あぁ、私から見てだが」
 小太刀というよりは呼太刀。
 空間を切り割くグラビティを纏い、敵の攻撃がハルに襲いかかった。
 そうなんどもカバーには成功せず、相討ち気味に雷鳴の刃が再び月華衆に見舞われる。
「学習熱心なのは結構だ。だが、技を盗もうとしている相手に全てを見せてやるほど情け深くはないのでね。同じ技で我慢してもらおう」
 かなり深い傷であったにも関わらず、ハルは不敵な笑顔を浮かべた。
 既に負ける気などありはしない。
 自信家であるつもりはないが……。もし一同の推測が当たって居るならば、丹念に足止めの結界や防御結界を張る事が出来る分、ケルベロスの勝利は揺るがないであろう。
「後は……時間の問題。その首、刈らせてもらうよ……! 盗んで得たすべての技もろとも……千地に切り刻まれ霧散しろ…っ!」
「相討ち上等ならこちらの勝利! さぁ、撃ちぬかせてもらうぞ!」
『忍務を果たさぬうちに倒れてやるほど情け深くは無いのでね』
 高く振りあげた刃に蒼き焔を灯し、シェミアは三日月と化して断罪を開始する。
 同時にアンゼリカは反対側、それも下段から上空を目指す円月の動きで切り掛った。
 雷鳴の如き突きがシェミアを襲うが、ギリギリでの命中でしかない。もし次に同じ機会があれば、もう当たることは無いだろう。

 そして……ケルベロスが使い続けていた技は、全て刃を中心としている。
 相手は全て刃の技をコピーしており、刃を防ぐ鎧を、刃が抜けられようはずはないではないか!
 刃を防ぐ装備で揃えていた事もあり、一同の中に、深い傷を負った者は居なかったのである。
「残る問題は……死に様ですかね? 流石に自爆なんしてないと思うけど……死神の因子的なナニかが埋め込まれてないでしょうね」
 そろそろ真似されても大丈夫かな?
 常はモフっとした狐のようなドラゴンの幻影を召喚し、無数の火球を周囲に浮かべた。
 ここまでくれば、あとは倒すだけだと、一気にラッシュへ移行したのである。
 仲間達に深い傷が無い事もあり(というよりも滅多に当たらない)、回復をコピーされて、闘いが長引く事もないだろう。
「後々の手掛かりになるかもしれないしな。色々確認したい所だ」
 何度目かになる、空間を割く一撃。
 蒼眞の動きは、それまでと少しだけ違っていた。
 いつもは横薙ぎ、あるいは唐竹割りに大きな動きで切り裂くのだが、今回ばかりは様子が違う。
 攻撃を避ける自信がある事もあり、至近まで密接すると、避けられない様に相手の身体を抱えるようにして一息に差し込んだのである。
 女というには育ち切って居ない、少女の肢体の感触が僅かに感じられた。
「そろそろトドメといくか」
「そうですね……。さて、終わりにしましょう」
 宗嗣が再び刺突する為に軽く腰を落すと、優雨はドラちゃんと共に飛び出していた。
 メデッィクである彼女が初手以外に攻撃するなど滅多にありはしない、そう、闘いの終局が訪れたのだ。
 稲妻の如き突きの後、ブレスが、……そして神をも殺す力が死を告げようとしていた。
『……さて、忍務を終える……と、し……よう』
 打ちこまれたウイルスは、回復すら許さない。
 死の淵にたったまま、月華衆は淡々と受け入れていた。
 そう口にしながらも手を刃に延ばすあたりが油断できないが……。
「さよならだ……。予定通りのつもりなのだろうが……待っているがいい。我らの牙はいずれその喉元に届き、喰らいつく」
 意外に軽い音を立て、トドメの一撃が少女の心臓に突き刺さった。
 ハルは肉を割く鈍い手応えを感じつつ、軽く刀を振って血を振り払う。
「他の班と情報を突き合わせて見るか。どこまで共通するかは別にして、指示出した奴の情報を掴みたい所だ」
「そいつ……。活動資金を得ようとしているとなると、金の力をよく知っているんだろうな……地球人でも、相手が誰であれ金さえ出せば取引するような方々はいるだろうし」
 アンゼリカの呟きを聞きながら、蒼眞は共に死体の情報を集めに掛った。
「技も……コピー。言葉も……コピー。この子に自分はあったのかな?」
 シェミアが敵の動きや言葉を思い出し、自分の言葉や家系の技をコピーされた状況を思い出して嫌悪感に顔を染めた。
「出来の悪いコピーでしたね。ともあれ……終わったのです」
「そうだな。後はヒールして帰るか」
 その言葉を耳にして、常が敵を弔っていると(実際には逆だが)、宗嗣が戦場となったヒールを掛け始める。
 不可解な月華衆と、その黒幕との戦いは、まだ始まったばかりなのかもしれない……。
 一同はそのことを噛みしめて、ビルから立ち去るのであった。

作者:baron 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年3月30日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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