
●月華衆の任務
「あなたへの命令は、地球での活動資金の強奪、或いは、ケルベロスの戦闘能力の解析です」
月明かりに照らされたビルの屋上。
豊満な美女と相対するのは、小柄な体を忍装束に包み、螺旋を模った仮面をつけた少女。
美女――螺旋忍軍の一人である夕霧さやかは、配下の月華衆へと任務を与える。
金品を得られればよし、あるいはケルベロスが阻止に現れても、その戦いで相手の能力を見ることができる。
どちらに転んでも、損の無い作戦だ。
「あなたが死んだとしても、情報は収集できますから、心置きなく死んできてください。
勿論、活動資金を強奪して戻ってきてもよろしくってよ」
「……」
忍者らしい非情な指令に、月華衆の少女は異を唱えることなく。
ただ静かに頷くのだった。
●螺旋忍軍流偸盗術
草木も眠る丑三つ時、人気の無い大通りを音もなく疾走する影一つ。
後ろで結んだ長い黒髪を左右に揺らしながら駆ける忍装束の娘は、目的地へ辿り着き足を止める。
街中にある、貴金属高価買取を謳う質店だ。
少女は手にした小刀を一閃。
下りているシャッターを音も無く斬り開き、中へと入り込む。
棚に並んでいるブランド物のバッグには目もくれず奥へ。
「……」
大きな鉄の金庫を見つけると、扉を横から斬りつけて落とし――中のものを手早く、懐に収めていた風呂敷へと移しかえていくのだった。
●術をも盗む月華衆
「月華衆と呼ばれる螺旋忍軍が、金品を盗み出すという事件を起こすようです」
セリカ・リュミエールは、召集に応じたケルベロス達へ事件の概要を伝える。
月華衆とは、小柄で素早く、隠密行動を得意とする螺旋忍軍の一派だという。
手にした武具に、月下美人の模様を掘り込んでいるのが特徴らしい。
「今回奪われる貴金属類は特別な力を持つ物ではないため、地球での活動資金にするつもりなのでしょう。
みなさんには、月華衆の企みを阻止していただきたいのです」
標的はデウスエクス、月華衆一体。
「場所は神戸市内、大通りに面した貴金属買取店です」
深夜のため人通りはなく、店の人間も隣接する自宅の方へ戻っており無人なようだ。
店の前で待ち構えて返り討ち――というのがいいだろうか。
「続いて、対象の戦闘能力ですが、月華衆は特殊な忍術を使用してきます」
それは、自身の行動直前に使用されたケルベロスのグラビティを一つ、コピーして使うというものだ。
これ以外の攻撃は行わないため、確実に先手を取ることが出来るだろう。
「あらゆるグラビティをコピーしてみせるようですが――なぜか、『その戦闘で自分がまだ使用していないグラビティ』を優先して使ってくるようです」
『前手番の攻撃を真似てくる』ことと合わせれば、相手の手を限定し、戦いを有利に運べるだろう。
「うーん、なんだか後ろにクロマクがいそうな感じだけど……まずは、目の前の相手をしっかり倒さないとねっ!」
共に説明を受けていた夏川・舞は、そういって未知の相手との忍術勝負に闘志を燃やすのだった。
参加者 | |
---|---|
![]() 文野・丈太郎(ビージェイ・e00055) |
![]() 寺本・蓮(運命誤報のお兄さん・e00154) |
![]() 早川・夏輝(お気楽トルーパー・e01092) |
![]() アリス・セカンドカラー(腐敗の魔少女・e01753) |
![]() 狗臥・湊(虚霧陰狼・e01841) |
![]() イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423) |
![]() 忍乃・飛影丸(ダークブレイズ・e09881) |
![]() 東雲・凛(ドラゴニアンの螺旋忍者・e10112) |
●月の下で敵を待つ
標的となった店の前に陣取り、月華衆を待ち構えるケルベロス達。
「ここ何回か、一般人に被害が及ばないものが多いのが助かるぜ……」
ある病魔を殺す為にウィッチドクターの力を手にした男、文野・丈太郎(ビージェイ・e00055)が静かに呟く。
救出対象や巻き込まれる一般人の安全確保を、デウスエクス討伐よりも優先する丈太郎にとって、思う存分力を振るう機会である。
「目的も資金調達と……どこかにいる黒幕にァ、何かしら企みってェのがあるンだろうが……。
その尽くを潰してやンぜ……!」
出来れば情報を聞き出したいところではあるが、呼びかけても無視されるだけだろうと、割り切っている。
(「人形とかじゃなく、生命体なのかね~」)
敵待ちの間にそんな事を考えているのは、ゲームと読書と時代劇鑑賞が趣味のガンスリンガー、寺本・蓮(運命誤報のお兄さん・e00154)。
(「生命体で見た目通りの年齢ならちょっと気が引けるなあ。
でも、一般人に危害を加え後の脅威となるというのなら仕方ない。
全力で相手をしよう」)
相手のコピー能力の対策も用意してきて、準備万端整っているのだ。
「また螺旋忍軍が動き出したようですね……。
ここで彼女たちの目論見をできるだけ阻止したい所です」
真面目に言うのは、銀色の髪に桜の花が映える妖刀少女、イリス・フルーリア(銀天の剣・e09423)。
「せっかくのクノイチなのに色っぽいことはしてこないのね……ちょっと残念」
そんな軽口を叩くのは、見た目はクール、中身はお茶目な早川・夏輝(お気楽トルーパー・e01092)。
戦闘中でもおかまいなしに軽口を叩き、余裕を演出するお姉さんである。
(「それにしてもグラビティのコピーか……まぁ、あたしは特殊な術とかは使わないからできるものならやってみろ、と煽ってみるのもいいんだけど。
それでも隊の皆で培った技術だし、他の奴に使われるのはいい気分じゃないわね。
たまにはあたし自身の力も試してみましょうか」)
今回は特殊な敵が相手だけに、色々と勝手が違うようだ。
「くのいちなのに色っぽい展開はないだと?」
『無ければ作ればいい』と違う方向で頑張ってしまったのは、男の娘が大好物で百合もイケる、アリス・セカンドカラー(腐敗の魔少女・e01753)。
「相手は技をコピーする、と。
なら、詠唱をアレな感じにすればアレなセリフを言わせることも可能」
真面目顔で不穏なことを言うアリス。
月華衆さん逃げて~!
「…………」
そんな濁ったピンク色の空気とは無縁に、螺旋隠れを使い、闇に紛れるようにして標的を待ち構える狗臥・湊(虚霧陰狼・e01841)。
仮面を被り寡黙な湊は、機械人形よりも人間らしい感情が無いと思える程だ。
だがそれだけに、感情に流されることなく冷徹に任務を遂行してくれるだろう。
●真似真似忍者娘戦開始
そうして、待つこと十数分。
夜を滑るように駆けてくる仮面の少女が、目的である店の前へ辿り着いて――。
「……!」
「はぁい。いい夜ね、お嬢さん?」
『まずは一撃』と挨拶がわりに素早い射撃を加えた夏輝が、月華衆へ親しげに声をかける。
放った砲弾はギリギリのところで躱されてしまったが、注意を引くことは出来たようだ。
仮面の忍者娘は、無言のままに刀を抜き構える。
「せめて名前くらいは聞きたいけれど……忍ってだけあって、何を聞いても答えてくれそうにないわね?」
「……」
(「倒すにしても倒されるにしても、相手の名前くらいは知っておきたいんだけど、まぁいいわ」)
それならこっちもやる事をやるだけと、夏輝はすぱっとした割り切りをみせる。
「ドーモ、ゲッカクラン・ニンジャ=サン。ダークブレイズです」
そこへアイサツを向けるのは、レプリカントの女ニンジャ(忍者ではない。ここ重要!)、忍乃・飛影丸(ダークブレイズ・e09881)。
フィクションのニンジャに憧れて独特な言葉遣いをする、露出度高い21歳だ。
「デウスエクス殺すべし! イヤーッ!!」
声を張り上げ、螺旋力による凍結攻撃を仕掛ける!
「っ……!」
「今宵はニンジャ同士のジツ対決デースね。
ミーの秘伝の術を見せてやるデース!」
回避が間に合わなかった右足に氷を受けた相手に、オリジナルのグラビティがあるように振る舞う飛影丸。
実際にはコピーされてもデータとして価値が低い、螺旋忍者とその手裏剣、バトルオーラに攻撃手段を絞っているのだが……。
釣られて少しでもペースを乱してくれれば、それに越したことはない。
「貴女の後ろにいる人物は誰なのか……どうやら教えてくれそうにもないですね」
ゆっくりと前に進み出たイリスは、そう静かに呟くと。
「銀天剣、イリス・フルーリア――参りますッ!」
乙女座の力を宿す長剣と日本刀をそれぞれの手に握り、名乗りを上げる。
回復役を務める彼女だが、通常は攻撃に専念。
さらに、誰でも使えるグラビティで戦う事で、こちらの情報を与えないようにするのだ。
イリスは気合と共に、月華衆の間合いへ潜り込む。
雷を宿した日本刀による神速の刺突を繰り出し、月華衆の肉体のみならず、纏った忍装束をもキズつけていく。
「いざ、参ります」
「!!」
攻撃を終えたイリスが離れた瞬間。
上空から声と共に降ってきたのは、建物の上空で待機し、機を窺っていた東雲・凛(ドラゴニアンの螺旋忍者・e10112)。
螺旋の技を使う相手なら、同業者として負けていられないと、気合十分である。
凛は落下と共に、左の螺旋手裏剣と右の螺旋手裏剣・改を高速回転。
二つの螺旋が合わさり巨大な竜巻となって、月華の少女を飲み込――めなかった。
技の練度が足りなかったか、不意を突いたはずの一撃は、鋭い跳び退きにより地面のアスファルトを削るだけで終わってしまう。
(「くぅ……」)
相手の仮面を叩き割ってやれば、コピーが出来なくなるかもと淡い期待を持っていたのだが、それ以前の段階で躓いてしまった。
「!?」
と、大技の回避で出来た心と体の隙を逃さず、闇に身を潜めていた湊が、螺旋の力を籠めた掌打を容赦なく叩き込む。
「元々手前等螺旋忍軍ノ技ダ。好キナダケコピーシヤガレ」
機械よりも機械らしく、死人のように感情を見せず。
湊は抑揚の無い声で、淡々と言い放つ。
「…………」
言われるまでもない。
というのだろうか。
仮面を隔てているためその表情は見えないが、眼前の少女からは確かに、ケルベロスの使う技の全てを盗み取ろうという強い意思が感じられる。
一挙手一投足を見逃さぬと向けられた視線が、肌に突き刺さり熱を感じさせる。
(「こっちも制限はあるけど、まぁ、やりようさね。
師匠仕込みでね。戦場で得意な武器がてにはいるとは限らんて事で、専用武器以外使えるように仕込まれたんよ。
達人レベルじゃないけど、組み合わせればそれなりに使えるんよっと!」)
蓮は相手から注意を切らさず、エアシューズの具合を確かめるように間合いを調節する。
攻撃は命中重視。
また、戦闘方法のコピーを警戒し、普段の戦い方ではなく『教本通り』の動作に徹するという念の入れようだ。
「さて、今日用意したのは誰でも使える技のみ。
君たちの知らない武器や技だといいね~っと!」
言って、勢いよく踏み出した蓮は、スピードに乗ったまま跳躍。
重力を載せた飛び蹴りを叩き込んで、相手の動きを鈍らせんとする。
「!」
当たった、ものの、一発では効果が薄いようだ。
体勢をやや崩しつつも、続いて仕掛けた、ボクスドラゴンのフェアリンの攻撃はしっかりと回避されてしまう。
「金縛りだ」
休む暇は与えない。
ビハインドの慰撫に金縛りを仕掛けさせつつ、丈太郎は達人級のナイフ捌きをみせて月華衆を斬りつける。
傷口が凍りつくほどの鋭い一撃が、しっかりと少女型忍者の体を捉える。
「さぁ、いい声で哭いてちょうだい♪」
続いて、狙い済ましたように仕掛けるアリス。
「(あまりもアレな妄言なため削除されました)」
『アリスの狂喜に満ちた狂演(アリスズマッドカーニバル) 』
エ・ロ・い(えげつない・ろくでもない・いやらしい)。
宣言通りの卑猥攻撃である。
リビドーとパトスを溢れさせて深淵の闇と化したアリスは、対象に飛び掛り。
心の赴くままに蹂躙、侵蝕。
対象の体液やらなんやらを、思うさま吸い上げるのだ!
「っ、」
闇から開放された月華衆は、素早く跳び退いて距離をとる。
着地時にややふらついたように見えたのは、あくまで身体的疲労によるものだろうか。
少なくとも外から見る限り、卑猥な詠唱や闇の中でのおさわりちゅっちゅによる動揺は無いようだ。
(「それにしてもあの仮面の下気になるわー、次に狂演で蹂躙するついでにはいじゃおうかしら?」)
「見てみたい~♪ 見てみたい~♪ あの子の素顔を見てみたい~♪」
「?」
突然ご機嫌に歌い出すアリスに、さすがに月華衆も理解不能を感じたようだ。
それで動きが鈍るような相手ではないだろうが――。
「隙ありっ!」
うん、なかった。
背後から攻めかかった夏川・舞だが、放った螺旋の掌打は虚しく空を切る。
「なかなかやるねっ!」
その動きに、素直に称賛を向ける舞。
だがこれまでは、月華衆はあくまで、ケルベロスの能力を知る為に観察に徹していたにすぎない。
彼女がその強さを見せるのは、これからなのだ。
●回復、ときどき卑猥
「回復を行います」
七割以上のダメージを負った者が出た場合、相手の攻撃機会を奪うため、全員で回復を。
あらかじめ立てていた作戦に従い、回復役のイリスが指示を出す。
対象となったのは、盾役として、より多くの攻撃を受けた飛影丸。
その他には、蓮が二発、夏輝と湊が一発ずつ貰っているという状況だ。
まずは夏輝が、飛影丸をはじめとした前衛陣に、治療用ドローンを飛ばす。
続いてイリスが、剣で地面に乙女座を描く。
星図より浮かび上がった乙女の幻影が、前衛に癒しの光を投げかける。
飛影丸自身も、オーラによる自己治療にあたる。
蓮もゾディアックソードの回復術を活用し――。
「フェアリン」
これでは回復し切れないと判断し、ボクスドラゴンへ飛影丸の治療を命じる。
「見せてみな」
他メンバーで回復し切れるようだったら攻撃に回るつもりだった丈太郎だが、そうもいかないのを見て取り、緊急魔術手術!
「コノ程度ジャ死ナネェナ」
合わせて、湊も気合一発、自身の負傷を回復させる。
「躱されるようじゃ仕方ないわよね~」
当たるのならば、ずっと『アリスの狂喜に満ちた狂演』なんだけどと残念がりつつ、アリスは血襖斬りで無用な返り血を浴びていく。
「(あまりもアレな妄言なため削除されました)」
――と、月華衆の口から、アリスが放つと一言一句違わぬ卑猥ワードが飛び出してくる。
いよいよ、ついに、アリスの破廉恥技をコピーしたのだ!
(「感情を感じさせない平坦な口調で(ぴー)なことを言うくのいち、ああ、いい」)
あくまで淡々と、機械的に紡がれた危険ワードだが、だがそれがいい。
らしい。
アリスは感動のあまり、思わずうっとりとしてしまう。
さて、この技の標的となったのは、術者から最も近いところにいた蓮。
――なのだが、主の危機に、同じく盾役のフェアリンが割って入る!
「…………」
闇の中でなにがあったのか。
めいっぱい精気を吸い取られ、ぐったりと地面に倒れ付すボクスドラゴン。
対する少女の方は、傷も癒えて心なしかつやつやしている。
(「それにしてもコピーね。全にして個な感じで情報共有でもしてるのかしらん?」)
実際に相手が同じ事(それも相当にアレなものを)を返してきたことで、ちょっと真面目なことを考えるアリス。
(「ふふ、これで解析中に詠唱を聞いた黒幕が頭を抱えてくれれば大成功☆」)
いや、そんなことはなかった。
アリスの目論見が当たるかは『神のみぞ知る』だが、少なくとも破廉恥技の応酬に味方が頭を抱えているのは、確かなようだ。
「それ以上はやらせません!」
味方がやられるのを見た凛が慌てて二本の螺旋手裏剣を使い、竜巻を放って相手忍者の追撃を阻止する。
その間に、未だ完治に至らない飛影丸の為に、舞も分身をつけて次の攻撃に備える。
「これで仕切りなおし……かな?」
ちょっと不安げな舞。
作戦立案者の『全員で回復行動を取り、相手に攻撃させない』という目論見は、連携不全により見事に瓦解したが――。
これが、取り返せないほどのミスなのかどうかは、そう遠くないうちに判るだろう。
●忍者は死して屍を晒さず
「……」
そうして何度となく技の応酬を重ね、ついにあと一息というところまで追い込んだ。
月華衆はあくまで無言を貫くが、その動きが精彩を欠いているのは隠しようもない。
「そろそろ決めさせてもらうぜェ」
あらかじめ、慰撫に金縛りをかけさせておき。
丈太郎が、容赦なく相手の傷口を広げ、状況を悪化させる斬撃を放つ。
近接戦闘を好む夏輝も、遠距離からアームドフォートの主砲をぶっぱなして追い討ちをかける。
「いきます」
ダメージを受けてたじろいだ所へ、イリスが鋭く踏み込む。
月光の如き冴えを見せる斬撃で足首を傷つけ、その機動力を奪っていく。
さらに、様々な武具を扱えると豪語する蓮が、跳躍からのルーンアックス叩き付けでプレッシャーを与えていく。
「手前等ノ頭ガ何処ニイルカ、死ヌ前ニ吐イテ貰オウカ」
「…………」
始末する前にと湊が尋ねるが、忍の者が応えを返すことはない。
ならばこうするのみと、螺旋竜巻地獄で終わらせにかかる。
「気持ちよーく逝かせてあ・げ・る♪」
カーニバルは終わらない。
アリスの再度の『アリスの狂喜に満ちた狂演』が、月華衆を苛んでいく。
「……!」
月華衆も、達人のワザマエをみせて刀を振るい抗うが――。
ことここに至っては、その行為に意味は無い。
「これでどうです?」
「っ、」
駄目押しの一発と、凛が螺旋毒に浸した手裏剣を投げつける。
仮面の少女本来の動きならば、十分躱す余地のある攻撃だったが、ここまでやられていると回避不能に等しい。
それでも任務を果たすことへの執念か、月華衆はぎりぎりのところで倒れることなく踏み止まる。
「ミーのカラテのヒサツワザを受けるがいいデース!」
ならば最後に、とっておきを見せてやろう。
と、いかにも特別な技を出すかのように、飛影丸が跳びかかり――。
「スクリュー=ツキ!!」
なんの変哲も無い螺旋掌を叩き込む。
その一撃がトドメとなったらしく、ついに螺旋忍軍の娘は生命活動を止め……。
「おわっ!?」
情報の塊である死体など残さぬと、派手に爆散して跡形もなく消し飛んでしまう。
「我が秘術見せるにあたわずデース?」
思わぬ結末に驚く仲間をよそに。
飛影丸はそう言って茶目っけを見せつつ、戦場を後にしていったのだった。
●まだ見ぬ戦いへ
「不審な者は……いないようですね」
戦闘後、周囲を見回りに行った凛は、分かり易い黒幕の影をつかめなかったことに少しがっかりとした様子で戻ってくる。
そうしてイリス、蓮と共に今度は月華衆の遺留物を探し、なにがしかの情報が得られないかともうひと頑張り。
「さて、これでどれだけの情報を渡したことになるのやら……その答えはまた次回、かしら?」
湊と共に戦いで壊れた道路や建造物を修復していた夏輝は、まぁなるようになると前向きである。
「貴女達の思うようにはさせません……!」
残念ながら、今この場で分かることは何も発見できなかったが、それで気落ちすることもなく。
イリスはきっぱりと、まだ見ぬ黒幕へ向かい、その企みを打ち砕くと宣言するのだった。
作者:紫堂空 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
![]() 公開:2016年3月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 4/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 6
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