芽吹く、オーズの種

作者:天枷由良

●萌芽
 深夜の住宅街。
 その合間にある公園に、5人の人影が有った。
「……ねぇー! つまんないんだけどー!」
 不満たらたらな声を上げているのは、ピンクの鎧を着た少女。
「仕方あるまい。これが、我々に与えられた任務だ」
「ノワールの言うとおり、今回はオーズの種を回収するだけだからね。ケルベロスたちの方から来ないかぎりは、戦う機会も必要もないんだよ」
 背の高い黒鎧の男が短く宥めるように言うと、眼鏡を掛けた青鎧の男が頷いて続く。
「言われなくてもわかってる! ……ルージュ、見つけたわよ!」
 変わらず不機嫌な少女が、地面を指し示した。
 その前に、赤鎧の男がゆっくりと近づいていく。
「よし、グラビティ・チェインの注入を始めるぞ」
 赤鎧は言って、意識を集中し始めた。
 仲間たちも同様にすると、各々の鎧が輝き出す。
 5色の光は、やがて黄鎧の太っちょ男が持つバズーカへと吸い込まれていった。
「……ほな、いっちょやったりまっせー」
 どかん。
 黄鎧がそれを撃ち出し、地に染み込ませる。
 間もなく、激しい揺れと共に地が裂け、巨大な攻性植物が姿を表したのだった。

 ミィル・ケントニス(ウェアライダーのヘリオライダー・en0134)が、ケルベロスたちの前で手帳を開き、語りだした。
「茨城県かすみがうら市で、攻性植物による大規模な事件があったでしょう? あのとき飛び散った『オーズの種』を、エインヘリアルの部隊が回収し始めているみたいなの」
 その部隊は5人組で、地下に眠っているオーズの種を何らかの方法で発見しては、大量のグラビティ・チェインを与えることで強制的に発芽させているらしい。
 発芽した『オーズの種』は、全長7メートルほどの大型攻性植物へ成長するようだ。
「ただ、発芽直後に『種』の部分をエインヘリアルに奪われてしまうのね。目的を果たしたエインヘリアルは何処かへ去ってしまうけれど、残された攻性植物は奪われた種の分のグラビティ・チェインを回復するため、一般市民の虐殺を狙うわ」
 攻性植物は凶暴性を帯び、高い戦闘力を有している。
 しかし中枢である『種』を失ったことで、耐久力は大きく低下しているようだ。
 グラビティ・チェインを補給する前なら、撃破することも可能だろう。
「敵は一匹のみ。パキラ属の植物みたいに、数本の幹が寄り固まって本体を形成しているわ。上部は広葉樹のような葉が、足元は根のように広がっていて、胴体に劣らぬ四本の太い枝は、丸太で鞭打つように強烈な打撃を繰り出してくるはずよ」
 それは頑強なケルベロスでさえも、一撃で葬れるほどの威力。
 打撃以外の攻撃も、似たようなものだと思ったほうがいいだろう。
「耐久力が下がっているのだから、そこを突くのが上策でしょうけれど……それは実際に戦う皆で、よく話し合っておいてね」
 そこで説明を終えようとしたミィルは、慌てて思い出したように付け加える。
「エインヘリアルたちとの接触は避けるようにしてね。能力も分からない5人組を相手にして、勝てる見込みなんてないわ」


参加者
天満・十夜(天秤宮の野干・e00151)
天崎・ケイ(地球人の降魔拳士・e00355)
ガルディアン・ガーラウル(ドラゴンガンマン・e00800)
ククロイ・ファー(鋼鉄の襲撃者・e06955)
霧崎・天音(寡黙なる烈火のレプリカント・e18738)
カッツェ・スフィル(黒猫忍者いもうとー暴走型ー・e19121)
ティ・ヌ(ウサギの狙撃手・e19467)
火鳴木・地外(酷い理由で定命化した奴の一人・e20297)

■リプレイ

●観察
 8人のケルベロスと3匹のサーヴァントが、息を潜めて公園を進んでいく。
 程なくして見えた5人の人影は、辛うじてその色が判別出来る程度であった。
(「何やら怪しい行動が進んでいるようである!」)
 ガルディアン・ガーラウル(ドラゴンガンマン・e00800)は目を凝らす。
 ククロイ・ファー(鋼鉄の襲撃者・e06955)も同じようにして遠目から人影を観察してみるが、彼らが一体何をしているのかまでは窺い知ることが出来ない。
 双眼鏡を用いての観察を試みていた天崎・ケイ(地球人の降魔拳士・e00355)も、程なくそれを止めた。
 用意してきたヘッドライトを付けながらであれば、もう少しハッキリと敵の行動を観察出来たかもしれない。
 しかし明かりを灯せば、間違いなくケルベロスたちの存在が露呈するだろう。
 ここに集った8人の中に、そこまで短絡的な行動を取る者は居ない。
 あくまでも標的は、5人のエインヘリアルたちが去った後に暴れだす攻性植物の方だ。
 ……だが、少しでも情報は得ておきたい。
(「偵察をするから、後方から支援をお願いね……行くよ、プリンケプス」)
 相棒のボクスドラゴンに、ティ・ヌ(ウサギの狙撃手・e19467)が声を掛けた。
 手には、発光部を黒テープで覆った暗視機能付きビデオカメラと狙撃用スコープ。
 特殊な気流を纏い、己の存在感を薄めてもいる。
 ウェアライダー固有の能力によって獣化することも考えたが、その形態では発揮できる力が限られてしまい、肝心の気配を消すための気流が纏えなくなってしまう上、用意した道具が上手く扱えるかも怪しい。
 そして発見された場合、獣であろうが人であろうが、怪しまれる事は確実。
 侵すリスクに対するリターンが少なく、ティは人の姿のままで一歩を踏み出した。
 ――しかし。
(「……!?」)
 エインヘリアルたちが此方を向いたような気がして、ティはすぐさま隠れ直す。
 認識されにくくなるとはいえ、気流は気配を完全に消してくれる訳ではない。
 更に、欺きたい相手も単体ではなく五人。
 その全てを気流の効果でやり過ごせる確率は、あまり高いとは言えないだろう。
 ティが無謀な突撃兵であれば作戦を強行したかもしれないが、彼女とて幾多の戦いを経てきたケルベロス。
 越えては帰ってこれない一線を、安易に跨いだりはしない。
 それ以上は進まず、ティはビデオカメラの暗視機能を作動させた。
 だが、民生用のカメラでは敵の外見を確認するのがやっと。
 幾ら性能が向上しているとはいえ……いや、例え高性能な機器を用意したところで、この暗闇の中で全く距離を詰められないのであれば、然程意味をなさなかったかもしれない。
 とにかくティの知りたがっていた事は探れなそうになく、得たものはプリンケプスを危険な任務に同行させなくて済みそうだという、微かな安心感だけだった。
 エインヘリアルたちが相も変わらず何かをしていることだけは確かで、ケルベロスたちはその様子を見守るしかない。
 焦れったい空気の中で、霧崎・天音(寡黙なる烈火のレプリカント・e18738)が零す。
(「あの人たち……合体ロボ……持ってるかな?」)
 木々の揺れる微かな音にかき消されるほどの小さな呟きを耳にして、天満・十夜(天秤宮の野干・e00151)が首を捻った。
 確かに彼らは、そういうモノを持ち出してきても可笑しくないほどのイロモノに見える。
 だが、現状では勝ち目がないとされるほど、ケルベロスたちとは力の差があるようだ。
 果たして、如何ような能力を保持しているのだろうか。
(「今はまだ、偵察の時期と言うことであろうか……!」)
(「……やっぱ強ぇんだろうなー」)
(「アグリム……強かったし……今は戦わない方が……いい」)
 想像するガルディアンに十夜。
 先の東京防衛戦にて、猛威を振るった赤鎧の名を思い出す天音。
 彼らと同じく、火鳴木・地外(酷い理由で定命化した奴の一人・e20297)もエインヘリアルたちを凝視していた……が。
(「――うむ、ナイス盛り」)
 彼の視線は、ピンクの鎧を纏っている紅一点らしき人物に。
 更に付け加えるなら、その胸部にのみ向けられていた。
 胸に並々ならぬ拘りを持つ地外には、彼らの企みよりも、そちらの方が気になるらしい。
 仲間たちの反応が気になるところだが、うっかり心の中を口にしなかったのが不幸中の幸いであっただろうか。
 地外は皆と同じく、真剣にエインヘリアルたちを観察しているようにしか見えない。

 それから間もなくして。
 ケルベロスたちは、地の底から湧き上がるような音と揺れを感じた。
 直後、巨大な植物が姿を現し、エインヘリアルたちは何処かへと去っていく。
(「あのおかしなエインヘリアルたちも気になる所ですが……」)
 5人組の姿が完全に消えるまで見送って、ケイはヘッドライトを点灯させた。
 仲間たちに目を向ければ、ある者は同じように明かりを灯し、ある者は得物を携え。
 各々、準備が整ったようである。
「――今は、あの厄介な植物を片付ける事にしましょう」
「うし、そんじゃいくとすっかね」
 目標へ向けて意識を改め、ケルベロスたちは次々と敵に向かって飛び出していった。

●荒ぶる樹
「さァ、夜の草刈りだァ!」
 叫び、突き進むククロイと共に、ティや天音が光源を設置。
 にわかに明るさを帯びた戦場で、巨大な観葉植物のような敵の姿が露わになる。
 深夜の公園とはいえ、辺りは住宅街。
 万が一にでも攻性植物に興味を示し、近づいてくるものが居ないようにと、十夜が特殊なバイオガスで戦場を包んだ。
 直接、人払いになるものではないが、戦いの様子を丸裸にしておくよりはマシだろう。
 靄に覆われる空間で、カッツェ・スフィル(黒猫忍者いもうとー暴走型ー・e19121)は、蒼い大鎌を握る手に力を込めた。
(「今回は、攻性植物に先に倒される訳にはいかない……!」)
 先頃行われた別の攻性植物との戦いでは、性に合わない戦いを強いられた挙句、散々な目にあってしまった。
 しかし耐えることを求められた前回とは違い、今回は短期決戦の構え。
(「我慢しなくていい……だったら遠慮無く、叩き潰す!」)
 何時にも増して高まる、己の好戦的な性質に身を委ねていくカッツェ。
 そのカッツェを追い越し、まずは十夜とその相棒である火竜『アグニ』が、一番槍を果たそうと敵に狙いを定めた。
 十夜の役目は敵の力を削ぐこと、その為には初手から切り札を切ることも辞さない。
「さあ、オレ様に見下ろされる時間だぜ!」
 敵を呪い、幻影に包むため、身体に刻まれた紋様に宿る力を解放しようとする十夜。
 ……その発動までに生じた僅かな隙の、一体何処で振るわれたのか。
 十夜が『それ』を認識した時には、丸太のような腕が目の前まで迫っていた。
「しまっ――」
 襲いかかるであろう衝撃を想像し、身構えた十夜が感じたものは意外なほど小さく。
 そしてその成果は、限りなく大きかった。
「――アグニっ!?」
 危機を察し、十夜を突き飛ばすように飛び込んできたのはボクスドラゴン。
 その身体が、敵の豪腕に捉えられて一撃で消し飛んでしまう。
 起きた出来事に理解の及ぶ暇もないまま、程なくして放たれる呪詛。
 だが攻性植物は、その四ツ腕をあらん限りに広げて振り回し、降りかかる呪い全てを打ち払ってしまった。
「これは……想像以上であるな!」
 あくまで陽気に、そして豪快に笑い飛ばずガルディアン。
 しかしその後、ティの放った飛び蹴りこそ当たりはしたものの、プリンケプスの吐いたブレス、続けてケイと天音が繰り出した流星の如き蹴り、更に回復する者が無く攻撃を仕掛けたククロイの拳まで、ケルベロスたちの攻撃は次々としなる樹の腕に防がれてしまう。
「チッ……お前ら、集中しな!」
 地外が言って、竜を模した小型のファクシミリを腕に装着。
 震えるような電子音を発した後、竜の口から魔力を帯びた紙を次々とばら撒いた。
 不思議な技だが、当てられた仲間たちは意識が少し鋭くなったような気がする。
 その効果が、早速発揮されたのだろうか。
 ククロイ同様に攻撃に回ったガルディアンが、如何にも頑丈そうな見た目をしたショットガン……に見えるリボルバー銃の引き金を引いた。
 放たれた銃弾は四方を飛び回り、敵の四ツ腕の隙間を縫って幹の部分に命中する。
 だが、元より攻め手ではないガルディアンの攻撃、与えた傷は然程でもない。
 地外のウイングキャット『おむちー』が羽ばたき起こす風を受けながら、息を呑むケルベロスたち。
 その冷え静まっていく空気に抗うように、カッツェがくぐもった笑い声を上げた。
「――くくっ……お前、4本も腕があるのか」
 大鎌が空を裂いて閃き、身体に禍々しい紋様が浮かんでいく。
「お前には関係ないけど、攻性植物には借りが合ってね……。その腕、1本ずつ落としてやろうか……っ!!」
 強大な敵を前にしても、少女の戦意は揺るがない。
 降魔の力で魔人……いや、死神と化したカッツェは、鎌の刃を一舐めして力を込めた。
 だが、それよりも先に攻性植物が動く。
 四ツ腕を地面深くまで突き入れて大量の土を掘り出すと、それを汚染して大きな波のように放ったのだ。
 押し寄せる土は、仲間を庇おうとしたティを、地外を、おむちーを。
 慈悲もなく飲み込み、戦場の彼方へ追いやっていく。
「……クソっ!」
 十夜が吐き捨てるが、仲間の安否を気遣う暇もない。
 迫る敵の腕を掻い潜りながら、獣化した手足で素早く重たい連打を打ち込んでいく。
 これが多少なりとも効き、気圧された敵へ遠くから一筋の光が奔った。
 何とか生き残り、汚染土の山から這い出てきたティが放ったフロストレーザーだ。
 敵の表面が僅かに白く凍りつき、射出を終えたバスターライフルに身体を預けるティ。
 プリンケプスが力を注ぎ込んでくれるのを感じていると、そこへ――。
「命の力を汝へ!」
 ガルディアンが放った散弾状のエネルギーも加わって、ティは再び戦う力を取り戻す。
 地外もギリギリのところで踏みとどまっていたらしく、自ら祝福の矢で治癒を施しつつ、同じく首の皮一枚繋がっていたおむちーの清浄なる羽ばたきや、ククロイの魔術的緊急手術を受けて可能な限り体力を回復させている。
 仲間の分まで受けたせいで結果的に瀕死まで追い込まれたものの、ティも地外も、そしておむちーも、正気は保っているようだ。
 恐らくそれは、土がケルベロスたちの厚い前衛陣に向け放たれたからであろう。
 もし一枚でも盾役になるものが足りないか、或いは敵が違う狙いで攻撃を仕掛けたなら、土からの汚染は精神にまで達し、その後どうなっていたか分からない。
 それだけの攻撃だったが、二人の果敢なケルベロスとウイングキャットは猛攻を凌いだ。
 そして、彼らが守ったものは敵を滅する為の貴重な火力。
「――カッツェさん!」
 ケイが呼びかけながら、敵の懐に飛び込み降魔の一撃を放つ。
 攻撃は絡みあう幹の中心に炸裂して、攻性植物は悲鳴を上げる代わりに身体を捩った。
 そこへ、鎌を振り上げたカッツェが背後から飛びかかってくる。
 冷静な敵であれば、その大振りな一撃は躱されたかもしれない。
 だが地外の魔力とカッツェ自身の危険を顧みぬ飛び込みが、敵にその隙を与えなかった。
「――逝けよぉ!!」
 上段から袈裟懸けに抜けた刃が、腕の1本をバッサリと切り捨てる。
 樹だろうが何だろうが、この生命を刈り取ろうとする瞬間ほど堪らないものはない。
 かなりの手応えに、カッツェは思わず口元を歪ませる。
 しなだれるようになった敵には、天音が向かって追い打ちをかけた。
 肘から先をドリルのように回転させ、敵の皮を剥ぎ取っていく。
 形勢は、一気に逆転したように見えた。

 しかし、追い込まれた事で攻性植物の凶暴性は更に増す。
 失ったグラビティ・チェインを取り戻すべく、一心不乱に振り回す腕。
 その一つが、鋭く変化してティの身体を貫いた。
「っ……!」
 吐息が漏れ、宙ぶらりんになった彼女からエネルギーを吸っているのか、腕は脈打つように膨張と収縮を繰り返している。
 二の足を踏んだケルベロスたちを他所に、敵は捕らえた獲物を近くへ手繰り寄せ――。
「――少し、不用心だったのではないですか……?」
 囁きと共にティの腕が上がり、バスターライフルが幹に直付けされた。
 打ち込まれたグラビティ・コアが崩壊し、敵の内部から破壊の奔流が駆け巡っていく。
 驚く敵が振った腕から放り出されたティは、地を弾んで転がり、動かない。
「おい!」
 地外が駆け寄り、祝福の矢を――胸からは外れた所に――刺す。
 息はあるようだが、まだ目を覚まさない。
 そこへ。
「今宵の執刀医は勿論この俺ェ!」
「私も居るであろう! 任せるであるよ!」
 ククロイとガルディアンが、競うように駆けつけた。
「イイィィヤッハアァァッッ! 超・回・復ッ!!」
「ティどのは無事であるよ!」
 ガルディアンが声を上げる。ならば憂うこともない。
 虫の息である攻性植物へ止めを刺すべく、残るケルベロスたちは一斉攻撃を仕掛けた。
「今度こそテメェを見下ろしてやるぜ!」
 叫び、呪詛を放つ十夜。
 幻影に囚われ、些か小さく見え始めた敵の身体に、ティの仇とばかりにプリンケプスが渾身のタックルを食らわせる。
 7メートルの巨体がぐらつき、そこへ再びケイとカッツェが飛び込んだ。
 たった1本の指を突き出し、敵を穿って気脈を断とうとするケイ。
 虚の力を纏い、敵の生命力を全て簒奪せんと激しく鎌を振るうカッツェ。
 静と動。
 正反対の攻撃が炸裂して、死の淵が目前に迫った敵の足元に潜り込む赤い影。
「打ち砕け……破滅の刃……」
 飛び上がった天音。
 その地獄化した右足が、内なる激情を焚べて烈火の如く燃え上がる。
「獄炎斬華……極殺!!」
 強烈な破壊力の蹴りと同時に、打ち込まれた地獄の炎の刃が敵を文字通り粉砕。
 攻性植物は塵と消え、何も残らなかった。

●帰還
「んじゃ、ずらかろーぜ」
 ククロイが言って、ケルベロスたちは早々に公園を後にする。
 攻性植物が這い出た痕や掘り起こされた地面を、埋め直す際に少し調査してはみたが、残念ながらオーズの種、エインヘリアルのどちらに繋がりそうな手がかりも、発見することは出来なかった。
「ティさん……大丈夫……?」
 平坦な表情のまま、心底心配そうに声をかけてきた天音に、ティは手を振って答える。
(「プリンケプス、は……」)
 見やった足元のボクスドラゴンは、むしろ此方を案ずるような目を向けていた。

作者:天枷由良 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年3月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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