空の棺

作者:彩取

●失われた人
 人が寝静まった、深夜の住宅街。
 その一角、不規則に点滅する街灯の下に、女が現れた。
「あら、ケルベロスと縁を結んだデウスエクスの匂いがするわ」
 一見すれば、誰もがシスターと認識出来るいでたちの、白い翼を持つ女。浮遊する三体の怪魚達を傍に従えながら、女はそう冗談を零した後、言葉を続けた。
「折角だから、あなたたち、回収して下さらない?」
 その声に従うように、怪魚達は身体をくねらせながら、『因縁を喰らうネクロム』が示した場所へと向かい、闇の中に消えて行く。その姿を見届けた女も、人が祈りを捧げるように胸元で五指を交差させ、笑みを零しながらそっと目蓋を閉じた。
「ふふ、何だか素敵なことになりそうですもの――とても素敵な」
 人の因縁が、あの匂いの先には待っている。そう笑んで、女は闇の中に消えた。
 
●悲劇の予感
 とある集合マンションの中庭で、アンドロイドがサルベージされる。
 ジルダ・ゼニス(レプリカントのヘリオライダー・en0029)はそう言い、話を始めた。
 この事件は、アギト・ディアブロッサ(終極因子・e00269)の宿敵、『因縁を喰らうネクロム』の思惑によるもの。『ケルベロスに殺されたデウスエクスの残滓を集め、その残滓に死神の力を注いで変異強化した上でサルベージし、戦力として持ち帰る』という怪魚型死神の行動は、ネクロムによる命令だったらしい。
「そのサルベージを防ぐ為に、皆さんのお力が必要です」
 集まった一同に、そう伝え一礼するジルダ。
 そしてルイン・カオスドロップ(冒涜する救われ人・e05195)の方を見て、
「現場は、ルインさんはご存じでしょう。先日、赴いたばかりの場所ですので」
 彼女は表情を変えずに、粛々と説明を続けた。

 今回サルベージされるのは、先日、夫と深い愛情で結ばれた専業主婦をアンドロイド化し、夫を襲わせている少女型ダモクレス『ミス・ネフィラ』によってアンドロイド化され、撃破されたばかりの新婚女性。人であった頃の名は、滝・涼花という。
 現場は、彼女が撃破された集合マンションの中庭。
 周辺には既に避難勧告が出ているので、周囲を気にせず戦える。
 敵は変異強化されたアンドロイド――涼花と、三体の怪魚型死神。
 涼花はガトリングガンを用い、怪魚型死神は噛み付いて攻撃を仕掛けてくる。
「無惨にも、人生を奪われた女性です。せめて――」
 どうか、これ以上利用される前に、撃破してほしい。
 そう言って話を終えたジルダに、ルインは一つ気になった事を訊ねた。
「ジルダさん。涼花さんの夫……秋良さんも避難した住民の中にいるっすか?」
「いいえ。秋良さんは今、涼花さんの実家にいますので、避難住民の中にはいません」
 妻を亡くした夫は今、妻の故郷にいる。
 遺体さえ残らなかった涼花の、空の棺を弔う為にこの地を離れている。
 妻の安らかな眠りを願い、悲しみに暮れる夫。その願いの為にも、もう一度涼花を眠らせて欲しい。ジルダはそう言って深く一礼し、ケルベロス達に後を託したのだった。


参加者
アギト・ディアブロッサ(終極因子・e00269)
サンドロ・ユルトラ(サリディ・e00794)
ベルノルト・アンカー(傾灰の器・e01944)
アリシスフェイル・ヴェルフェイユ(彩壇メテオール・e03755)
ルイン・カオスドロップ(冒涜する救われ人・e05195)
鮫洲・蓮華(優しい世界の可能性・e09420)
アニマリア・スノーフレーク(めんつゆ・e16108)
アドルフ・ペルシュロン(緑の白馬・e18413)

■リプレイ

●棺の主
 無人となった、マンションの敷地内。
 電灯のついた道を通り中庭に向かう中、アニマリア・スノーフレーク(めんつゆ・e16108)が考えていたのは、死神というものについて。
 己が故郷然り、今まで関わった事件然り。
 どれ一つとっても、その所業は碌でもない物ばかり。
「噂の人妻さんは美人さんですなのかなあ。楽しみですなの」
 それでも幾許かの憤りを胸に、いつも通り語るアニマリア。対し、前を走るルイン・カオスドロップ(冒涜する救われ人・e05195)は、変わらぬ調子でこう答えた。
 人間であった頃の涼花は、中々の美人であると。
「俺も部屋にあった写真でしか、見た事ないっすけどね」

 一同が中庭に到着すると、既に召喚の儀は終わっていた。
「あれっすね。アンドロイドと、三体の死神」
 敵を視認して口を開くアドルフ・ペルシュロン(緑の白馬・e18413)。
 ライドキャリバーのカブリオレと前列に構え、初撃に備えるアドルフの一方、射手として後列に連なったアギト・ディアブロッサ(終極因子・e00269)は、サルベージされたアンドロイド――涼花を見て静かに思う。
 アンドロイドにされた時点で、涼花の人としての生は終わった。
 その残滓から起こされたのだ、あれはただの人形でしかない。
 死してなお、死神に利用され続ける道具の一つ。その現実を前に、サンドロ・ユルトラ(サリディ・e00794)は苛立ちを胸に、眉を顰めた。
「本当に胸糞悪ィことするよな、死神のヤツ等ってよ」
 敵意を剥き出しに、現れた一同を威嚇する涼花。
 その周囲を悠然と揺蕩う怪魚達を見て、アリシスフェイル・ヴェルフェイユ(彩壇メテオール・e03755)は噤んでいた口を開いた。
 奪われたのは、涼花の命だけではない。
 彼女の夫は、愛する妻の最期を看取る事さえ出来なかった。
 挙句、これ以上利用されるなど、
「ふざけないでよ……」
 どこまでも、人の心を踏み躙る死神の行為。すると、ベルノルト・アンカー(傾灰の器・e01944)も薄れぬ頭痛を感じながら、静かに告げた。
「……終わらせましょう」
 死者への冒涜という、下劣な行為。
 それを阻止して、涼花が安らかな眠りにつく為に。
 敵に対する思いを胸に、しかと構えるケルベロス達。
 その中で、鮫洲・蓮華(優しい世界の可能性・e09420)は思う。
(「縁って、何か見えるものなのかな?」)
 それは、死神の嘯きから浮かんだ、淡い疑問。
 もし縁が見える物なら、それはどんな姿をしているのか。
 自分にも、繋がる縁があるのか。それでも、今は涼花の為、敵に集中する蓮華。
 その時、ルインはペンダントを握りしめた。銀鎖の先で昏く光る、捻じれた双角錐状の黒い宝石。冷えた石に掌の熱を捧げ、彼は己が崇拝する神の名を、夜の闇に響かせた。

●死神
 爆炎の魔力が込められた、大量の弾丸。
 その連射が直撃したアドルフの状態を見て、一同は涼花の力を把握した。
「ポジションはジャマーですね。想定は、しています」
 対し、動揺する事なく、星辰を宿した長剣で守護星座を描いたベルノルト。
 前方に輝く、ベルノルトによる星の守護。その光を視界に映しながら、ルインはバスターライフルの照準を涼花に合わせた。優先対象は三体の死神だが、涼花を野放しにする程無謀ではない。その意思の元続いたのは、蓮華だった。
 涼花は中衛。ならば、選択肢は二つ。
 そこからより精度の高い技を選び、魅惑的な笑みを浮かべる蓮華。
 直後、蓮華の姿は褐色の肌を持つ、白い薄紗を纏った竜角の娘となった。
「この歌声で、あなたもきっとわたしの、ト、リ、コ♪」
 唇から零れる、自由を奪いし誘惑の歌声。結果、涼花は麻痺に絡め取られ、その流れを継ぐようにアニマリアが一体の怪魚の元へと駆けた。標的を見誤る事なく、アニマリアが繰り出す一撃。それは彼女が非力だった頃に教授した、組み付く野生動物を引き剥がす為の技術を応用したグラビティ。
 触れた相手を吹き飛ばす程の衝撃。
 それを内部に注ぎ込み、内側から破壊する。
「師匠直伝! 触れて……崩す!」
 それこそがアニマリアの技、桜花発勁(オウカハッケイ)。
 その衝撃の余韻が残る内に、アリシスフェイルも掌を翳して詠唱した。
 紡がれる竜語と、集約される強い魔力。
「……三枚に下ろして焼いてくれるわ」
 瞬間、直進した竜の幻影によって、炎に包まれ悶える怪魚。
 しかし敵もすぐに反撃に出た。素早い動きでアニマリアに迫る怪魚の牙。それを直前で防ぎ盾となったサンドロは、返し手として縛霊手を振り被った。
「っと、そう思い通りにはいかせねェよ」
 網状の霊力に囚われた標的を見て、不敵に口角をあげるサンドロ。
 その横でアドルフは、自らの力を解放するべく詠唱を開始した。
「我は盟約によりて万古の契約の履行を要請す、我は意地を貫く白の騎馬――」
 言葉に応じたのは、身体に流れる太古の血。
 強く脈打つ鼓動と、ほとばしる力。
「完成せよ、白王号――!」
 やがて、アドルフの姿は巨馬へと変わった。
 風を裂き突進するその胸に、死者を弄ぶ死神への怒りを込め、敵を襲うアドルフ。直後、戦場に響き渡った衝撃音。そこでアギトが紡いだのは、ある心象風景を具現化する詠唱。
「胚は灰に。血は塵に。在るべき物は、在るままに――」
 人が死に瀕した時の、理不尽に対する憤り。
 それを強制インストールする事で、対象の身体を発火させる心象具現。
 火種となるのは、心の奥底に潜む憤怒。それは全てを焼き尽くす燎原の火であり、善悪を隔てなく飲み込む平等なる悪意そのもの。
 そうして火葬さながらの術を手繰る中、アギトは告げた。
「俺は、死者をこの世に留める事を良しとしない」
 死と絶望こそが、人を理解するための鍵。
 そう考え、追及に余念のないアギトだからこそ、思う事がある。
 死者は死者。この世に彼らの居場所はない。故に、
「――在るべき者は、在るままに」
 それ以上は語らず、戦況を見定め戦うアギト。
 激しい攻防の中で、徐々に弱る一体の死神。それに終わりを与えたのは、ルインの開いた門だった。空間を捻じ曲げる門の中から飛来する、悍ましい魔力の斬撃。
 それが怪魚を一体落とした時、
「……――、ひひっ」
 ルインは喉の奥で、微かに笑った。
 底冷えするような眼差しで、怪魚の奥の闇を見つめながら。
「わかりにくいかもしんないっすけど、結構怒ってるんすよ?」
 涼花の一見は、酷く後味の悪い、彼の主好みの幕引きだった。
 余韻の残る、背筋が震える類の悲劇だった。それなのに、
「余計な展開くっつけちゃってさぁ……!」
 それなのに、どうしてこんな続きが必要なのか。涼花の夫の目の前で蘇らせるならまだしも、これでは単なる悲劇の蛇足、
「――ほんと、冒涜っす」
 そう語り、光宿さぬ瞳を細めるルイン。
 共に戦う仲間達の視線。それが自身に刺さるような言葉は紡がずに、狂信の徒は触りの悪くない言葉を選び取りながら、思いの一端を吐露していった。

●涼花
 怪魚を速やかに撃破し、涼花と向き合う一同。
 そこに涼花が放ったのは、嵐の如し連射弾。その標的となった前列の状況を見たベルノルトがもたらしたのは、より浄化作用の強い薬液の雨だった。
 生者と死者。その一線を画すように降る、癒しの雨。
 その雫がしとしとと零れゆく中、ベルノルトは言った。
「僕には、貴方が人であった頃の名を、呼ぶ事は出来ません」
 あの器の中に、涼花は存在しない。
 彼女の魂はとうに、この地を離れ、旅立った。
 そう思う――否、そう思いたいからこそ、ベルノルトは決してアンドロイドを涼花とは呼ばなかった。しかし、同時にこうも思う。
「ですが、叶うのならば」
 あれを、涼花とは呼べない。
 それでもこの思いは、ただ一人の彼女の為に。
「許されるのならば、弔いを――」
 その為に、あの敵をここで屠る。その思いを胸に、仲間を癒すベルノルト。すると、傷の深い仲間への援護の為にと、サンドロもアニマリアに癒しを届けた。
「偉大なる栄光よ! 闇を打ち払い、大地に恵みを垂れ給え!」
 輝く円盤を携えた、巨大な太陽神の幻影。
 それより放たれた光が味方の傷と、妨げであった圧力を掃っていく。
 充分な効果を見届けて、すぐさま敵を見るサンドロ。
「もういい加減休ませてやれって」
 彼の胸中にも、ここにはいない死神への憤りがあった。
「十分に苦しんだヤツを、これ以上苦しませることねェだろうよ……」
 サンドロの信仰では、魂とは一度地に還り、別の命に宿されるべき物である。それを歪んだ姿で呼び戻す等、常軌を逸した行いでしかない。
 すると、アドルフも降魔の一撃に鎮魂の祈りを込めながら口を開いた。
「死神側にも都合があるのは理解できるけど、納得はできんっす」
 心痛める人の傍を、死神が好んでいるのか。あるいは死神の理に適った場所で、人が嘆いているだけなのか。確かな事など分からない。それでも、
「だから、とことん邪魔してやるっす」
 理由はどうあれ、受け入れる訳には、いかない。
 対し、獣の如く咆哮し、爆炎の弾丸を連射する涼花。それはアニマリアに襲いかかるが、サンドロがそれを許さない。思惑を阻止されたアンドロイド。対し、蓮華はルーン文字が刻まれた斧を頭上に掲げ、光輝く呪力と共に振り落とした。
「多少頑丈になってても!」
 決意と共に、涼花を斬り裂く蓮華の一撃。
「もう……帰ってはいけない人だけど、もう……誰にも――!」
 誰にも、どの死神にだって、死した涼花を利用させない。
 あの日見失った少女を思いながら、柄を強く握り締め、再び斧を構える蓮華。その一撃から間髪を入れずに、アニマリアが足を踏みしめた。
「アニマさんも、逃がすつもりなんてないですなの」
 怪魚の攻撃も含め、集中砲火を浴びた前衛陣。
 盾役の面々も尽力したが、やはりアニマリアの傷も浅くはない。
 しかし、仲間の治癒に支えられ、ルーンアックスを振り切るアニマリア。重ね続けた服破りの効果により、想定を上回る破壊の力がアンドロイドに襲いかかる。
「――アアアアァァァ!!!」
 その力の前に、絶叫を響かせたアンドロイド。
 瞬間、ルインは深く息を吐いた。
 思い出すのは。嘆かず、呻かず。ひたすら夫を呼び続けていた、あの日の涼花。
「ほんと、何も分かってないっすねぇ」
 すると、聞くに堪えない雑音を掻き消すかの如く、再び虚空の門を開いたルイン。斬撃を叩き込み思うのは、この蛇足の下手人たる、シスター姿の死神の事。
「そのつまんねーやり口、いつか我が主に懺悔させてやるっすよ」
 死神――ネクロムへの言葉を、苛立ちと共に吐き捨てるルイン。
 対し、アギトは何も重ねる事なく、涼花との距離を詰めるべく駆け出した。
 意味があるかは分からない。しかし、涼花の終わりを感じたアギトが選んだのは、時に魂さえ喰らうという降魔の技。戦場で揺れる長いマフラーと、駆ける男の赤い髪。
 二つの赤が交差する中で、会心と呼べる一撃を撃ったアギト。それでも、踏みとどまる涼花の姿。その時、アリシスフェイルの脳裏に過ぎったのは、過ぎ去りし日の記憶だった。
 幼い頃に、襲われて壊滅した自分の一族。
 看取る事はおろか、埋葬する事さえ出来ていない。
 残されたのは、全てを奪われた自分と、
「――っ……!」
 今も腹に残る、袈裟懸けの傷痕。
 それを無意識に、服の上から指でなぞり、アリシスフェイルは呟いた。
「それ以上、彼女に触らないで――」
 復讐を意識した事なんて、ない。
 ずっと、仕方のない過去だと思っていた。
 しかし彼女は不意に、涼花の夫――秋良と、自身を重ねてしまった。
 記憶が書き換えられていくような感覚。朧掛かっていたあの日の記憶が引き摺り出され、確かな輪郭を得たかのような、胸の痛み。しかし、苦痛に狂う寸前、アリシスフェイルは唇を強く噛み締め、音を紡いだ。
「錫から天石に至り、その身、心を束縛せよ」
 それは、殲滅の魔女の物語、その一節。
 片手を軽く一振りすれば、手には青と灰の光が絡み合う棘の槍。
「交わる荊棘、置き去りの哀哭、壊れた夢の痕で侵せ――柩の青痕」
 瞬間、放たれた槍は標的に傷を与え、傷口から広がる魔力の棘は、茨の如く鋼の体内を浸食した。そうして程なく、大地に縫い止められたように伏し、力尽きたアンドロイド。
 その四肢は、朧が掛かったように輪郭を失い、闇へと溶けるように消えていった。

●空の棺
「これで、修復は終わりっすね」
 破損した部分のヒールを終え、確認の声を発したアドルフ。
 帰路に就く準備が整った後、一同は暫し、涼花が消えた場所を見つめた。
 アリシスフェイルは、こう憂えた。遺体が残ったなら、涼花の夫の元に届けたのにと。
 一方で、アニマリアはこう考えていた。家族にあの遺体は見せられない。何より、空の棺で弔うと決めたのなら、遺体が残った時は完全に粉砕するべきであると。
 どちらが正しいかを問う話ではない。
 どちらも、死に真摯に向き合うが故の思いである。
 結果、選択の余儀なくアンドロイドは消滅し、ルインは二度、涼花を見送る形となった。蛇足の阻止を実感して、何かを感受するように目を細めたルイン。
 そんな仲間達から少し離れた場所で、ベルノルトは佇んでいた。
 胸中に巡るのは、自身に与えられた、ひとつの議題。
「残された者の、絶望……」
 それは脳裏に巡り続ける、深き思案。
 だが、名も顔も知らぬ誰かの為に、命を捨てる覚悟を持つ意味などあるのか。
 そこまで至ろうとする自身への疑問を孕み、それでも、ベルノルトは言葉を紡いだ。
「――償わせます。必ず」
 一方、蓮華は死神を思い、こう呟いた。
「ケルベロスとの縁を利用する死神……」
 抱いたのは、漠然とした嫌な予感と、涼花の事を思えばこその安堵。
 そうして夜風を感じながら佇む蓮華の隣で、サンドロも言葉なく涼花へと思いを馳せた。次に生まれ変わる事があるのなら、次こそは真っ当な道を、人として歩んで貰いたい。
(「必ずや、デウスエクスに翻弄されたりしない道を――」)
 その為にも、死神の行為を止めなくてはならない。
 決意を胸にする一同。その中で、暗い夜空を見つめるアギト。
 死神にサルベージされた者達。生前の魂の行方。
 在るべき者、居場所なきもの、奪われたもの。
 そして、既に死した友の事。
 答えに至らぬ思案の中、その魂を案じながらアギトは言った。
「――お休み。次の命は、空虚ではないことを祈るよ」
 次があるのなら、今度こそ。こんな終わり方ではない、人生を。

作者:彩取 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年3月18日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 10/キャラが大事にされていた 3
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