胸の谷間、サイコー！

■リプレイ

●教会前
「……お胸ではなく、その間に出来る谷間を崇めているビルシャナですか……」
　シャルルーニ・シュヴァルツァー（ナイトメアリフレイン・e01166）は事前に配られた資料を読みながら、ビルシャナ達が拠点にしている教会の前にやってきた。
　ビルシャナは胸の谷間を崇めており、教会に集まった信者達と一緒に、朝から晩まで呪文の如く、『おっぱい、おっぱい』と叫んでいるらしい。
　そのため、近隣住民達から怪しげな一団として認識されており、信者達を見かけるとゴミを見るような目で見るのが日課になっているようだ。
「む、むね！？　それも谷間とかそういうのが見たいって………いや、普通に谷間が出るし、たゆんたゆん揺れるけどさ。　それとこれは別物だとおもいますよ！？　……でも、し、しかたないのよね……うぅぅ……」
　コルネリア・エインヘリア（虚無究竟の剣客・e04311）が、自分自身に言い聞かせた。
　本音を言えば、納得のいかない事ばかりだが、ビルシャナを倒すためには仕方がない事である。
　そう思っておかなければ、恥ずかしさのあまり、この場で憤死しそうな雰囲気だ。
「わたしの胸……谷間はある……けど……」
　シルキー・ギルズランド（ぱんつはかない系無表情座敷童・e04255）が、自分の胸をぽふぽふと触る。
　知り合いに『貧乳……とは言い難いが、大きいとも言い難い』と評価されたことのある微妙な大きさのため、谷間を作るにはコツがいるものの、あると言えば、ある。
　そう言った意味で、ビルシャナ達がシルキーの胸に、興味を持つ可能性もゼロではない。
「……と言うか、これって唯の変質者じゃないのかねー？　多少の目線はまあ、しょうがないとして、流石にギラギラと見られちゃ、……ね？　こいつは教義云々じゃなくて、欲望に塗れてるだけでしょーに……。これで何処が悟りさ。こんな教義に洗脳されてしまった人達もある意味可哀想かもねぇ」
　ユーフォルビア・レティクルス（エルフの誘惑・e04857）が、信者達に対して同情をする。
　信者達にとってビルシャナの言葉は、神の声。
　それに加えて洗脳状態にあるため、ほとんど鵜呑み状態になっているようだ。
「まあ、シスター長は何というか、谷間見せ放題でありがたみがないよね」
　そんな中、グレタ・ヴェルサーチェ（壊れかけの聖女・e17375）が陽明・麗艶（偽りしかない聖女・e15412）の胸元に視線を送る。
「誰が見せ放題でありがたみが無いですか、失礼な！」
　その視線に気づいた麗艶が、不機嫌な表情を浮かべた。
　確かに見せ放題ではあるものの、谷間好きの信者達にとっては、ご褒美以外のナニモノでもないだろう。
「と、とにかく、教会の中に入ってみましょうか」
　若生・めぐみ（将来は女神・e04506）が苦笑いを浮かべて、教会の中に入っていく。
　教会の中にはビルシャナ達がおり、両腕で谷間を作りながら、『おっぱい、おっぱい』と言って、幸せそうな表情を浮かべていた。
　この時点で回れ右をして帰りたくなったが、めぐみ達の存在に気付いたビルシャナ達が一斉にぱちっとウインクしてきたため、何とかその場で踏み止まって、笑顔で拳をぶるりと震わせた。
「そんなに谷間が好きなら、こっちに来なさい。どうせなら、ジックリと見たいでしょう？　鶏胸を見るよりかは、マシだと思うけれど｝
　それに対抗するようにして、ラピス・ウィンディア（ビルシャナ絶対に殺す明王・e02447）がコートを脱いでビジネススーツになると、胸の谷間を強調する。
「た、谷間だあああああああああああああああああああああああ！」
　次の瞬間、信者達が興奮した様子で、ラピスのまわりに集まってきた。

●谷間の誘惑
「……男って、こうするのが好きなんでしょう？　……どう？　これでも、そっちに付くの？　……私に付いてくれば、何時でも見れるわよ？」
　そう言ってラピスが自分の胸を寄せて谷間を作り、信者達に対して問いかけた。
「もちろん、あなたにつきます！」
　信者達に迷いはなかった。
「お、お前達……、俺を裏切るのか」
　ビルシャナが唖然とした様子で口を開く。
「前から思っていたんだ。俺達は本物が見たいって……」
　やけにダンディな信者が、クールに決める。
　他の信者達も同じ気持ちでいたのか、『……その通り！』と言わんばかりにウンウンと頷いた。
「……そう。じゃあ、そこの鶏は屠殺しましょうか」
　ラピスも迷う事無く、信者達に指示を出す。
　その指示に従って信者達が、ジリジリとビルシャナに迫っていく。
「お、おい、待て！　話せばわかる！　そ、それに、そいつひとりでお前らの相手が出来るのか？　出来る訳がないだろ！　だ、だから、なっ！　考え直せ！」
　ビルシャナが涙を浮かべて、信者達の説得を試みた。
「はぁい、谷間がありましたらぁ、こんな事もできますよぉ♪」
　それに気づいたシャルルーニが、ライトニングロッドを胸の谷間に挟み、セクシーポーズを決める。
「うおおおおおおおおおおおおおおおお！」
　これには信者達もガッツポーズで、シャルルーニをガン見。
「お、お前ら……」
　ひとりぽつねんとなったビルシャナが、気まずい様子で汗を流す。
　おそらく、こんな立場でなければ、完全に寝返っていた事だろう。
　だが、ビルシャナ自身はお呼びではない。
　むしろ、排除対象である。
　それを自覚しているためか、ビルシャナは遠目から両目を血走らせ、胸の谷間をガン見する事しか出来なかった。
「でも、見るだけでいいのかな？　それ以外とかそれ以上もしてみたくはないの？」
　コルネリアが胸をたゆんと揺らして強調しつつ、腋と臍を見せつけ、信者達の心をガッチリ掴む。
　既に信者達は、コルネリア達の虜。
　ビルシャナの声がまったく聞こえなくなるほど、興奮しているようだった。
「お兄ちゃん、こっちをみて？　ぺたん娘なめぐみじゃダメですか、めぐみは好きになってもらえないですか」
　続いて、めぐみもラブフェロモンを発動させ、上目遣いで信者達を誘惑する。
「だったら、俺が揉んで大きく……ぐわっ！」
　その途端、眼鏡を掛けた信者がニヤケ顔でめぐみに迫り、ナノナノのらぶりんからハリセンを食らう。
「所でさ、この教義を信仰しちゃっていいのかな？　これって要はセクハラじゃないの？　そこら辺ただでさえ怪しいのに、実際に手を出しちゃったら、もう手遅れじゃない……の？　実際に目の前で伸びている信者なんか、欲望に身を任せて、このザマだし」
　ユーフォルビア・レティクルス（エルフの誘惑・e04857）が片腕で胸を隠すようにして、信者達に対して問いかけた。
「そう、そう、それ、それ！　俺もそう言いたかったんだ。妄想しているだけなら罪はないが、こいつらに寝返ったら、触らずにはいられなくなるぞ！　そうなれば、お前達は犯罪者だっ！　でも、いまなら、間に合う！　俺のところに戻って来い！」
　ビルシャナがここぞとばかりに、信者達の説得を試みた。
「それでも……俺達はおっぱいが好きだ！」
　だが、信者達に迷いはない。
　むしろ、それで捕まるのであれば、本望と言わんばかりに、凛々しい表情を浮かべていた。
「まあ、あなた達にとって胸の谷間は魅力でしょう。ですが……って、きゃあ！？」
　麗艶が真面目に信者達を説得しようとした途端、グレタに後ろから胸を揉まれ、間の抜けた声を上げる。
「確かに谷間ができるほどの胸は、このとおり柔らかくて楽しいから、気持ちはわかるよ、うん」
　それでも、グレタは悪びれた様子もなく、服の中に手を突っ込んで、麗艶の胸を鷲掴みにするようにして揉みしだく。
「……って、人の体を何だと思ってんのよぉ！？　自分の体でやりなさいよ！？　グレタァ！？」
　麗艶が信じられない様子で、グレタをジロリと睨みつけた。
「……私？　古い人形に需要はないない。だから任せた。信者達だって胸の谷間より、むしろ太股に挟まれてみたくない？　ほら、魅惑のトライアングルよ」
　そう言ってグレタがサムズアップをした後、麗艶の前垂れをぴらっとめくり、勝負下着をあらわにした。
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお！」
　これには信者達も大興奮！
　腹の底から声を響かせ、ガッツポーズで、感激の涙を垂れ流した。
「胸の谷間は心の安らぎ……それがあなた達の教義ね……」
　それとは対照的に、シルキーがげんなりした様子で、巫女装束の前を少し肌蹴させ、胸の谷間を信者達に見せつける。
「か、神よっ！」
　そこに信者達は、神を見た。
「今、あなた達の見ている胸の谷間……その胸の奥で今わたしは……『この変態達、説得無用で即全員ぶっ殺したい』と思ってる……。例え、見事な胸の谷間でも……その奥には黒くドロドロした悪意が溜まっているかもしれない。……それでも胸の谷間を安らぎと言える？」
　そんな中、シルキーが信者達に冷たい視線を送る。
「もちろん！！」
　それと同時に、信者達が興奮した様子でシルキーに飛びかかり、次々と当て身を食らって、夢の世界に旅立った。

●ビルシャナ
「ほ、ほら、見ろ！　俺を裏切るから、こういう目に遭うんだ！　この変態共がっ！　さて……、悪は滅びた。これからは仲良く……うごっ！」
　ビルシャナが気絶した信者達を口汚く罵った後、シルキー達に寝返ろうとして顔面にパンチを食らう。
「この女性の敵の変態鶏、楽に消える事が出来ると思わないでくださいね」
　めぐみが殺気オーラ全開で、ビルシャナ達をジロリと睨む。
「あ、いや、これからは仲良く……しようじゃないか」
　ビルシャナが愛想笑いを浮かべて、命乞いをしたものの、めぐみ達から漂う殺気は膨らむばかり。
「甘い甘いキスをプレゼントですよぉ～♪」
　シャルルーニが快楽エネルギーを込め、魔法の力を秘めた投げキッスを繰り出した。
　そのため、ビルシャナはメロメロ。
　瞳にハートマークを浮かべて、うわ言のように『おっぱい、おっぱい』と呟いた。
「破廉恥で胸だけしか見てないような鳥さんは、羽とか全部むしり取っちゃいましょうかね♪」
　その隙をつくようにして、コルネリアが桜花剣舞で、ビルシャナの身体を切り裂いていく。
「いっそ、胸元を思いっきりバッサリとしちゃおう」
　続いて、ユーフォルビアが居合斬りを放ち、ビルシャナの胸元を切り裂いた。
「ぐ、ぐわっ！　おのれ！」
　ビルシャナが悔しそうな表情を浮かべ、破壊の光を放とうとした。
「砲戦、用意。全力で潰すよ。全砲門、開け！」
　それに合わせて、グレタが内蔵火器や手持ちの銃器も含め、全ての銃口をビルシャナに向けて一斉射撃！
「後で覚えてなさい、グレタ……」
　麗艶が恨みの言葉を吐きながら、ヘッドショットでビルシャナを仕留める。
　そのため、ビルシャナは悲鳴を上げる事さえ出来ず、潰れたトマトのようになって崩れ落ちた。
「今度生まれ変わったら……巨乳に生まれて……思う存分自分の胸で癒されなさい……。そうすれば、他人に迷惑かけなくて済むから……」
　シルキーがビルシャナに別れを告げる。
　ビルシャナは、ほとんど肉の塊。
　そのせいか、身体のあちこちにテケテケとモザイクが掛かっていた。
「それじゃ、信者達が目を覚ましたら、満足するまで胸の谷間を、眺めさせてあげようかしら。……人に見られるのって、何だか気持ちが良いものだから」
　ラピスが信者達を見つめて、ニコリと笑う。
　信者達は未だに気絶しているが、みんな幸せそうな笑顔を浮かべている。
「変態鶏は滅びましたけど、きっと第二第三の変態鶏が現れるはずです。めぐみの戦いはまだ続くんですね」
　そう言って、めぐみが何処か遠くを見つめるのであった。

作者：ゆうきつかさ	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2016年3月16日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
得票：格好よかった 0／感動した 0／素敵だった 0／キャラが大事にされていた 5
あなたが購入した「複数ピンナップ（複数バトルピンナップ）」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。