●端的に言えば遊びに行けって話
その日は残暑厳しいうだるような暑さだった。笹島・ねむ(ウェアライダーのヘリオライダー・en0003)が、バッとケルベロス達の前に飛び出してきて、
「みんなにお願いがありまーすっ!」
と叫んだ。なお、彼女の腕にぎゅうっと抱かれているのは巨大なビニール製のオルカさん。
「大阪市の此花区にある舞洲ってところに、おっきなおっきなプールが出来たんですけど、デウスエクスにオープン前にめちゃくちゃにされちゃったんです! あんまりなので、みんなにヒールで直してもらいたいんです!」
夏の終わりにプール。今から修復しても、もう夏は戻ってこない……が。
ねむはちっちゃな胸をぐいっとはった。
「そのプールは、なんと室内温水プールなのです! 寒くってもだいじょーぶ、へっちゃらでーす!!」
しかもプールのオーナーが、ヒールしてくれるなら、お礼としてケルベロスを無料招待すると言っているのだ、とねむは言った。
「だから、いっぱい! いーーっっぱい! 楽しんできてくださいね!」
とねむは皆にプールのパンフレットを渡してくれた。
パンフレットによれば、プールのウリは、二つの超巨大なウォータースライダーと流れるプール。また、ジャグジーとサウナもあるそうだ。また、大阪市と此花区の花であるサクラにちなんで『さくらフィズ』というノンアルコール炭酸飲料を販売しているとある。
晩夏になかなか面白そうな施設だ、と感じたケルベロス達は一路、舞洲へと向かうのであった。
●何はともあれやることやろう
大阪市此花区のプール……だった場所。
ヒールによる修復を依頼されたケルベロス達が、完膚なきまでに破壊されたプールの前に立った。
「面倒っちゃ面倒だけどな……」
と滝成・壱葉はぼやくも、
「働きたくはないが、プールの魅力には逆らえないたまちゃんでしたとさ……」
八代・たまが言う通り、ケルベロスにはこの後にご褒美が待っているのだ。
「遊ばせて貰えるのなら、なおのことしっかり直さないとね。それがなくてもしっかりするけれど、やっぱり少しはやる気も変わるわね」
と琴月・立花が笑う隣で、同じ旅団の神咲・刹那は頷き、サニーレイド・ディルクレディアはケルベロスチェインで守護魔法陣を描いていく。同じくヒールに勤しむ葛城・唯奈だが、頭のなかはその後のお遊びのことでいっぱいだ。
アイリス・グランベールはこれもまた鍛錬と捉え、真剣な顔で廃墟に向き合う。
同じく鍛錬、と稲垣・晴香も瓦礫を持ち上げ始める。アレクシア・クスターもそれを手伝った。セフィリア・フィオーネはオラトリオの特技である飛行で空輸係を買って出る。
「ヒールをギターの爆音とともにお見舞いだぜ!」
とミュージックファイターらしくレヴォルト・ベルウェザーは二本のバイオレンスギターを融合合体させると、『ヘリオライト』を奏で出す。
神崎・翔太もシャーロットエコーでセッションに加わった。アイビー・サオトメがライブに気づき、協力する。丸口・真澄のブレイブマインがカラフルな爆発で、ヒールライブを盛り上げた。
皆が重点的にヒールをかけているところに、 マルク・エロヒンやリシテア・オルベールも参加する。
バトルオーラを溜めては放ち、神崎・修一郎はせっせと敷地を美しく修復していく。
手薄な場所には、ヴィンエラ・ウィドラネスと龍神・機竜のヒールドローンが向かう。
加賀・マキナが黄金の果実の光を瓦礫に投射すると瓦礫はプールへと『進化』した。
「また、皆が楽しめる場所になってね」
風空・未来は微笑みながら崩れかけた壁に手を当てて、クレッセントムーンを発動した。
「白き光を湛えし天狼の星よ……汝が我に与えし光の恩恵を彼らに与えたまえ……スターサンクチュアリ!!」
十二星座の力宿す剣の力を開放し、高天原・日和が叫ぶ。
リタ・アルーンはプールの底に穴や亀裂などが残っていないか入念に確認しては、ヒールしていく。楽しい場であるプールで怪我をしたら悲しいからだ。
ベアリス・シュトウが修復したスライダー部分だけでなく、全体的にファンタジックになっていくプールだが、
「レジャー施設なら少々ファンタジーになっても問題ないよね。どんどん行くよ」
と気にしないでサキュバスミストを充満させる峰谷・恵。
たくさんのケルベロスの尽力で、美しくそしてファンタジックにも復活したプール。
「やれやれ大仕事だった。さくらフィズでも頂いていこう」
と肩を回しながら、メイザース・リドルテイカーが満足気に嘆息する。
皆がプールで遊ぶべく、更衣室に向かっていくのを見届け、青鮭・笑苦は満足気に頷いた後、踵を返すとクールに立ち去るのだった。
●垂直に螺旋に落下そして落下
「遊びに来ました、プーーーーール!!!」
と大声で歓声をあげる咲海・たまの隣で、オラトリオの羽をぱたぱたさせて千斉・アンジェリカもニコニコしている。
ミルカ・アトリーのワンピースタイプの水着を引っ張って、
「あらー? ミルカちゃん、水着似合うじゃない! どこで買ってきたのかなー?」
カナタ・キルシュタインがニヨニヨ笑うと、
「こら、引っ張るな!」
とミルカが抵抗する。
……そんなじゃれあいを横目で見ながら、綾崎・渉は水着に着替えている幼馴染を待っていた。
ようやくやってきた志穂崎・藍の水着を見て、
「おせーぞ。どんだけ時間ガッ」
と文句を言いかけた渉はぎくしゃくと視線を逸らし、スライダーへと向かって歩いて行く。
そんな彼の思春期真っ只中な照れに気づかず、藍は、
「女の子は準備に時間がかかるにゃ。そんな事言っていると女の子にもてないにゃ」
と膨れていた。
さて、渉が歩いて行く先、つまり垂直落下スライダーでは。
「スライダーは高いところからすっごい速さで降りくるスリルが楽しそうだねー」
と東雲・苺がスライダーを見上げている。
古海・公子が自分がヒールしたのだ、と胸を張ると、苺は何の気なしに試してみろと言い、公子を冷や汗だらだらで後ずさりさせてしまう。
なぜなら、彼女の後ろでは、既に滑り終えたシヴィル・カジャスが恐怖のあまり口からエクトプラズムを出しているからである。同じ目にあった凸・凹はさくらフィズを飲んで、なんとか平静を取り戻していた。
そんな二人の横でアオイ・ヤキマは戸惑ったように周囲を見回している。娯楽で泳ぐのは今日が初めてなので、どう振る舞えばいいのかよくわからないのだ。
「いち君、手を離さないでくださいね。い、いえ、決して恐怖を感じているという訳では……」
サーヴァントのいちの手(前足)を握ってルリィヒ・イーリヤッハが階段を上がっていく。
「………これもう垂直落下だぁぁぁ! 滑ってる気がしないぃぃ!」
クリス・クレールの悲鳴がエコーを伴って、ルリィヒの横を通り過ぎ、ルリィヒは更に握る手の力を強めるのだった。
頂上では、アリア・シルバートーンが、
「ひゃっほぅ! アリアちゃん最高に目立ってるじゃん!」
と大喜び。
彼女の後ろでは、
「もしかしてビビってるか?」
などと如月・シノブにからかわれた有羽・むつはが、
「ふっ、このような子供騙しで妾を怖がらせようなど、片腹痛いのじゃ!」
と自信満々で胸を張っている。
次の瞬間、アリアもむつはも怖気をふるうハメになるのだが――。
「ほれ、度胸を見せい」
雪華・風月に煽られ、意気揚々と大難寺・アークがスライダーに挑戦したが、予想以上のスリルだったらしく着水後の目は泳いでいる。それを見て、彼らをスライダーに誘った張本人である因幡・白兎もビビりはじめた。
「ごわっ……あだッ!」
「すっごい! すっごい!! かっこよかったのです!!!」
滑った結果水面にいやというほど体を叩きつけてしまったアリオン・ゴッツォを、瀧尾・千紘が褒め称える。
リン・グレームはそんな光景を新品の一眼レフで切り取る。
「いやぁ、若いって素晴らしいねぇ」
仲間たちの大騒ぎを見て、不知火・梓が呟いた。
逆に。
「はぁーはっは、この程度の垂直落下、問題ない!!」
と叫びながら、揺らがぬ仁王立ちで見事に着水した織神・帝を、スライダーの上から見ていた東城・幸花が右手を上げる。
「帝お姉様に続いて、いっきまーす!」
絶叫マシン好きとして、このスライダーは見逃せない施設である。
「うひゃひゃひゃひゃひゃ!」
と大笑いしながら彼女も滑っていった。
彼女らの余裕綽々の態度とは裏腹に、舞原・沙葉は呆然としていた。
「何が起こったか理解できると心臓が口から飛び出そうな気分になるで御座るが、理解できないうちは混乱するばかりで御座るなぁ」
ペストマスクのシュノーケルから水を吹き出しつつ、フォート・ディサンテリィが沙葉を助け起こしてやる。
「フッ……故郷の谷に比べればこの程度大した高さではないわ!」
と余裕ぶっこいていた呂・花琳がプール全体に木霊す悲鳴を上げながら滑った直後を、シオン・プリムが滑っていく。
シオンが無事に着水したところを見計らい、祁答院・ルストがスライダーの勢いを借り、シオンめがけてのダイブを試みた。
「シオンちゅわーん!!」
だが冷静にシオンに投げ飛ばされた。ざぼーん。
スライダーはもうこりごりとばかりに、大騒ぎの挑戦者達を眩しく見守るのはライゼル・ノアールである。
「カーーカッカッカッ! やはり男はロックに滑るべきじゃ!」
齢五十にもなろうというのに、ドルフィン・ドットハックは年甲斐もなく大はしゃぎである。
「ヘリオンからの降下に比べれば全然よゆーとか思ってたの」
と余りの恐ろしさにチャレンジを後悔している如月・ありさなど目に入らぬのか、ドルフィンのハッスルぶりにつられて滑ったピアディーナ・ポスポリアは、村雨・ベルに目をキラキラさせて訴えた。
「Ms.ベルっ、これすっごい楽しい!」
「じゃあ自分も脱げかけパニックしちゃいましょうかね!」
とベルが言っている横を、忍足・鈴女が滑ってきた。
「あ、既に脱げたパニックしてますね!」
「ん?」
鈴女が自らを見下ろすと、上半身の水着が消えている。
「にゃにゃにゃにゃ!」
驚いて真っ赤になっている彼女の後ろからウィングキャットが水着を拾って追いかけてきた。
そんな旅団の皆の大騒ぎを、清水・光はさくらフィズを飲みながら、まったりと眺める。
ベルが笑う。
「ビバ、お色気!」
鳴神・猛が鈴女のハプニングを目撃し、
「こういうのは全力で楽しもうとすると、ポロリとかいろいろ覚悟しなきゃいけない事があるんだね」
と呟く。
そんな大騒動をじーっと眺めている自分のボクスドラゴンに気づき、揚・藍月は、
「やれやれ……紅龍、お前も年頃という奴かな。はっはっは」
と鷹揚に笑うのだった。
一方、こちらは比較的和気あいあいと楽しめる、ぐるぐるスライダー。
黒猫旅団公式バンダナを思い思いの場所に身につけたケルベロス達が、スライダーに向かって走って行く。
「ほらほらぁ、みんな早く! は~や~く~!!」
「みなさん、はやくはやくっ」
リディア・リズリーンとイルリカ・アイアリスが先頭を走るのを、
「焦らんでも逃げはせんじゃろ」
とクライス・ミフネがなだめている。
「すらいだー高くないですか、危なくないですか?」
と焦る斎藤・斎を含め、無事バルーンボートに乗り込んだミュラ・ナイン一行は、笑顔で拳を斜め上に突き出す。
「黒猫号はっしーん!」
初めは恥ずかしがっていたアイラノレ・ビスッチカも、きゃーきゃーと歓声をあげて、スライダーを堪能していた。
荷物番をしている八神・楓や尾守・夜野、ブラッド・ハウンドに向けて、黒猫号の乗組員が手を振るのに、楓や夜野は手を振り返したが、ブラッドはむすっと無視していた。
(「なんでこんなところに」)
と死んだような目をしているブラッドに、アウラ・シーノは、
「荷物番、お疲れ様です」
というねぎらいの言葉と共にさくらフィズを差し出した。しぶしぶ受け取るブラッドだが、
「そんな顔をしていたら、幸せが逃げてしまいますわよ?」
と宝條院・リリティアにもう片方の腕をグイグイ引かれた。
ぶち、とブラッドのこめかみ辺りで音がする。
「どいつもこいつもクソうぜェェ!!」
と立ち上がって怒鳴る。
しかしリリティアは動じない。
「細かい事を考えないで遊ぶ時間も大切ですもの。皆で幸せになるのが一番ですわ」
と言ってのける。
そんな楽しげな様子をファインダーに収め、山口・ミメティッキは来てよかったと微笑み、ディークス・カフェインはポツリと呟く。
「これから、こうやって季節を跨いで行くのかね」
それはきっと素敵な未来。
スライダーは休む間もなくボートを流す。
スウ・ティーがカメラを構える先、フェル・オオヤマの乗るボートでも、
「あっはっは! これ、すごく楽しい!」
福富・ユタカがきゃっきゃとはしゃぎ、
「へっ? はわわっ!?」
落ちそうになったユリウス・ルシファーにしがみつかれて、永代・久遠が悲鳴を上げる。
その様子を夜昏・三月が静かに笑って見つめていた。
「きゃー!」
スライダーを黄色い悲鳴が流れていく。
「なんか柔らかいです!?」
水無・ゆかりがしがみついたのは、維天・乃恵美。乃恵美を膝に乗せている蒼樹・凛子が、
「あ、こら、どこ触っているんですか?」
と驚いたように声を上げると、香祭・悠花がテヘペロとばかりに、
「おっと手が滑りました♪」
だが凛子の手は新条・蔓の水着のヒモに引っかかっていた。
「……にゃ~!? あ、ちょ!? 誰かボクの水着引っ張ってるやめて~!? あ、そんな所に手を入れちゃ…あ、だめなんだよ~!?」
黄色いというよりは桃色の悲鳴を聞き、ヒールで快楽エネルギーを消費してしまったレスカ・シリウスは満足気な表情で、どさくさ紛れに仲間たちに抱きつくのだった。
「へっへ、ほらほら一緒にいくぞぉっ!」
続いてのボートには、なんとパンダが二匹……失礼、パンダのウェアライダーが二人も乗っていた。
「俺が乗ると過積載にならないかなー?」
と馬垣・央が言うとおり、ボートは重いと速いのだ!
「元気なお嬢さんたち、放り出されるなよ?」
すさまじいスピードでぐるぐる回り落下していくボートの中で、ヒルダガルデ・ヴィッダーが叫ぶ。だが誰一人怖がらない。
「いえーい! ぐるぐるスライダー楽しい~!」
「あはははは! あははは! 何すかこれ! 何すかこれ! チョーおもしれえっす、あはははは!」
桜庭・果乃とマオ・シャオはケタケタ笑い転げている。
同乗者の八剱・爽はぐりぐり回りながら、果乃の万が一に備えて彼女にパーカーを貸してよかったと思っていた。
それを横目で見ながら、ディクロ・リガルジィ達はスライダーに向かっていた。
「男四人に女一人と手狭だが、シアとディクロが小柄だからまだマシなんだろうな」
レヴォルトをはじめとする同乗メンバーを見回し、ゼルガディス・グレイヴォードが思案する。先ほどのパンダボートよりはスリル控えめのはずである。
「エスコートは任せて」
ジュリオ・エンプサがシア・メリーゴーラウンドに手を差し伸べた。
列に並びながら、秋津・千早はふと気づいた。自分の同乗者が自分より遥かに若いことを。
(「少年少女の若さがまぶしいよ……」)
とぼやいているうちに順番が来て、いざ出発。
「ぐるぐるぐるぐる~♪ わぁお♪」
響・澪の叫びと共に着水するなり、
「世界でっ、いちばんっ、愛して……ッ!」
シャロート・ヴォールコフは最愛の妹をお姫様抱っこし、恥ずかしさ極まったレーチカ・ヴォールコフに殴り倒された。
「どさくさに紛れて何してるの馬鹿ー!」
ちょっと後ろでは、大胆すぎるシャロートの言動に、雪花・美月は赤面しきりであった。
続いてのボートは、男子四名というなかなかムサイ面子だ。
「……サイコーに面白い図ですね!」
自嘲めいた笑いをあげるエウジェニオ・バルダッサーレ。
「お前らぐるぐる回りすぎて目を回して酔っぱらうなよ」
ランス・オールコットが忠告するやいなや、ボートは発進した。
焦ったのは、カルナ・ロッシュである。
「し、シートベルトをまだ締めてないのですが……え、ない?」
呆然としている間にボートは速度を増していく。
慌てて必死にボートにしがみつくシェルヴィレイン・ティルナノーグ。
「……あ。あ、わ、揺れ、ます」
彼らの後ろを回っている紫藤・大輔の乗るボートでも、ロカ・ラディウスが御陰・陽の手にしがみついていた。
「すぐ離れるぞ、ロカは平気だ……っ」
とロカは強がる。対面にいる辻・ラッカは大はしゃぎなのが対照的である。
コリント・クラナッハに抱きついて『もう一回』をおねだりしているコレット・クラナッハを見て、
「ね、また乗りましょ?」
と先ほど一度ボートを体験したオルネラ・グレイスが仲間たちに提案する。
だが、
「……えっもう1回?」
とハチ・ファーヴニルは顔をこわばらせるし、エルトベーレ・スプリンガーは、ビクと肩を震わせて目をぎゅっと閉じ、
「も、もう1回ですか? 私はその、えっと……うう、心臓がもちませんっ」
と断るし、オルネラの兄のシグリット・グレイスも呆れ顔だった。
「流石にもう一回は勘弁してくれないか妹よ」
●揺蕩う流れる水面
一方、スライダーとは別の広大なプール。ここは流れるプールで、ユイ・オルテンシアのように浮具――ユイの場合はビニールのイルカさんだ――を持って浮かんでいると、勝手にぐるぐるプールを回れるというスグレモノである。
「……ん、禁煙なのか」
タバコを取り出しかけたジャック・シュヴァルツは、壁の注意書きに気づいて、高らかに笑う。
「丁度いいや。俺も今禁煙中だからな!」
ジャックは、余裕の表情でシガレットラムネを口に咥えた。
「とにかくゆっくり出来ればそれで良いぜ」
紫藤・大輔はデッキチェアの上で伸びをする。
キャッキャとはしゃぐのも楽しいが、プールサイドで体を休めるのもまた一興。そんな客のために、プールサイドも広く作ってある。
故に、プールサイドでは、アロハを着てデッキチェアに寝転ぶ尾割・弌や、片手に本もう片方にさくらフィズとリゾートな体勢のラハティエル・マッケンゼンのようにプールには入らず思い思いの時間を過ごしている者も多い。
例えば、水着美女を凝視しているサンドロ・ユルトラとか仁志・一紀とか。
「ケルベロス、美人ばっか!」
とサンドロ談。
彼らの視線の先には、リリア・カサブランカと不破野・翼、館花・詩月に鳳来寺・緋音と、綺麗どころばかりがビニールボールを打ち合って戯れている。
「皆の者! 迷子にならへんようになー! 迷ったら俺を目印にしてくれー!!」
あまりの広さに、白・常葉はそう声をはりあげた。アキバ風メイド水着をまとっているナイスガイ……周囲の視線を独り占めである。
「押すなよ、絶対押すなよ!」
とプールの縁で飛び込み直前のポーズで止まる京極・夕雨は、仲間たちに叫ぶ。
なので……誰も押さなかった。優しい。しろんちの皆やさしい。
「……」
訴えるような夕雨の視線を受け、唐繰・沙門は大真面目に、
「押すなと言ったではないか」
と返すも、夕雨が無表情ながらも雄弁すぎる視線を向けてくるので、沙門は、
「クレム、押してやってくれ」
とクレム・オーディルに声をかける。
クレムも真面目に夕雨の後ろに立つと、
「押すからな……」
と言ってから、そっと彼女の背を押してやった。
ようやく着水できた夕雨を見て、新庄・祐太がほがらかに、
「……おお、京極さん押してもらえたみたいだよ? よかったねえ、えだまめさん」
夕雨のオルトロスえだまめに話しかけた。
「はふぅ……こうやってのんびりと流れに乗るのもまた楽しいもんだね」
大きな胸を浮き輪に乗せて浮かぶ比良坂・黄泉をはじめ、大体のケルベロスは泳ぐよりも水の流れにそって流れていくのを堪能していた。
「ダダルさん……流されるプールじゃないんだから」
黝・白雨はプールで泳ぎながら、横を他の人同様に浮き輪で流れていくダダル・ダルに話しかける。
「でも、浮き輪に乗って流されるのも楽しいよ」
と泳がないながらもゴーグルを装着している黒間・彼方が、ダダルの後ろに浮かびながらフォローする。
平和な空間に見えているものの、実はダダルがガトリング式水鉄砲を隠し持っていることを、事前に察知していた海鳴・竜樹は、ダダルにいつでも対応できるようにガトリング式水鉄砲を二丁も持ち込んで準備万端。今か今かとダダルが抜くのを待っている。
珍妙なボートもプールを流れていく。カレーライス型である。ちょっとお子様に媚びすぎたチェーン回転寿司屋か。
カレーライスボートの主、藤・小梢丸曰く、
「泳ぐ? 疲れるじゃん、めんどい」
とのこと。
小梢丸の仲間達は、プールの端で大騒ぎであった。
水が怖いパール・ホワイトの水泳特訓である。
「金槌? だっけ、面白い言い回しだよな。それらしいし」
パールを応援するカーネリア・リンクスは、日本語の妙に感心する。
「ほれほれ、パールはここに捕まるんじゃぞ?」
龍宮・ろあが自分が腰掛ける浮き輪をパールに寄せると、沈みかけてパニックになっているパールは大慌てでそれにしがみつく。当然浮き輪のバランスが崩れる。
「はしゃぐは良いが暴れるでな……っみぎゃーっ」
転覆。
「ふぎゃー!? しぬ、しんじゃう!!!」
バシャバシャもがくパールに、
「パールちゃん、落ち着いて?!」
と付喪神・愛畄が近寄ったのが運の尽きであった。
パールは溺れる者は藁をも掴むとばかりに、愛畄にコアラのように抱きついたのだ。
「にゃー!? し、しがみついててもいいけれど、ほら、せめて足、足でホールドするのやめよ? ね? 少し離れないと理性がパージしちゃうから!」
女の子の大密着に愛畄が泡を食っていると、
「パールは渡さないぜ。うらー、追撃だ! 行くぜ愛畄、ダブルしがみ付きあたーっく!」
面白がったセラス・ブラックバーンが愛畄大密着に加勢する。
「って追加来た!? 本格的に理性が成層圏超えて行っちゃうから! 落ち着いて!?」
お前が落ち着け、愛畄。
「ふふ、こうやってノンビリするのも良いですね」
ジュヌ・セクワが微笑ましく青少年の大恐慌を見守る。
「どこがノンビリなのじゃ」
ろあが呆れ顔で突っ込んだ。
もう少し静かな水泳教室もある。
「えと……ここで息継ぎして……? そう、そんな感じ……」
朔頼・小夜がレオ・ラグナハートに泳ぎを教えているのを見て、
「僕も、あんまり泳ぎ得意じゃ無いし、良かったら教えてくれたら嬉しいなぁ……」
と望未・空明が黒住・舞彩とシンディアラ・ベルシングに声をかけると、よしきたと舞彩がプールに入ろうとしたところで――。
突然、エイジ・スルビィーシャが舞彩を抱き上げて、プールに放り込む。
良い子は絶対真似しないように。彼らはケルベロスなので大丈夫なだけです。
当然、奮然と舞彩はプールから上がってきたエイジを仕返しに水へ蹴り込まんと、鬼気迫る表情で追いかけ回す。
それを面白がって観戦する燈家・陽葉、止めようとして突き飛ばされた天月・光太郎、全く意に介さずにプールの流れに逆らって鍛錬のためにザバザバ泳ぐジェノバイド・ドラグロア、そんなことより水着美女だと美女ウォッチングに余念がないニクス・ブエラル。蒼鴉師団の面々はマイペースである……。
再度書いておくが、良い子は絶対に真似しないように。突き飛ばされた光太郎は、ケルベロスだから大丈夫だっただけです。
ケルベロスではない読者の皆さんは、プールでは安全に気をつけて楽しく遊んで欲しい。
ぷかーっと流れていく浅川・恭介は、あまりの心地よさにうとうとしては、頭に乗せているテレビウムの安田さんにひっぱたかれていた。安田さんは水が怖いので、恭介に眠られると沈没の危険性が増す。安田さんは必死である。
「ね? 怖くない……♪」
ゆっくり水の流れに身を任せながら、クロエ・アングルナージュは腕に抱き込んだ東雲・莉緒の耳に優しく吹き込んだ。
莉緒を後ろから抱き込み、クロエは流れている。莉緒は照れくさそうに、クロエの腕にしがみついた。
そんなちょっとドキドキな二人の斜め前方でダパァンと激しい水柱が上がる。
「いい加減にしやがれ!!」
プールサイドで肩を上下させているのは、神代・カガリ。ぷはっと水面に上がってきて、
「むう……軽いジャブみたいなものですのに……」
と口を尖らせているのは夢咲帰・灯香。灯香はカガリの背にサンオイルを塗っていたが、手の動きがなんとも『不埒』だったため、カガリが背負投げで制裁したのである。
再々度書いておくが、良い子は絶対に真似しないように。灯香はケルベロスなので以下略。
そんなフーフーと気炎を上げているカガリのスクール水着姿を、ジルベルト・ヴァインは堪能していた。
(スクール水着とはまたマニアック……)
ジルベルトの視線に感づき、カガリは振り向くとジルベルトを睨んだ。
「エロいことしたらぶっ殺すわよ?」
プールの真ん中、あまり流れの激しくない場所では、芦毛の馬フロートに跨るロベリア・アゲラータムや、イルカフロートに二人乗りしている石流・令佳と逢魔・琢磨、そして望・トマが水鉄砲で撃ち合いに興じていた。
「前方、敵発見! これより殲滅する!」
とロベリアが叫んで突撃すれば、
「敵さんにはー悪い敵さんとー死んだ敵さんしかいないんですよー?」
と令佳が猛然と撃ち返す。
トマに撃たれた琢磨(二十七歳アラサー)は、イルカにしがみつき、
「やめて俺からイルカちゃんを奪わないで! 絶対防衛するんだもん!」
と悲鳴をあげる。
一方、別のところでは、ドワーフ(と書いて子供と読む)用浮き輪に掴まり口笛を吹くキサナ・ドゥと共に、のんびりたゆたっていた神楽・凪に、水中から飛び出してきた陶・流石が水鉄砲を発射、凪に応戦されていた。
「決闘だよ!」
とファルケ・ファイアストンが仲間たちに勝負を挑む。
「ふっふっふ……かかってくるといいさ。返り討ちにしてくれるっ!」
凪同様、プールに浮かんでいた星野・光がウォーターガンをスチャッと取り出す。
素早く狙いを定めるファルケだが、光の奥で月影・愛が水着をポロリしてしまい、
「あらら、サービスしちゃいましたぁ」
と呟くのに目を奪われ、
「隙ありッ!」
あえなくファルケは撃たれた。
ガンナーズエデンの面々はそこかしこで撃ち合い(水で)になっている。さすがガンナーと称されるメンバー、いつも銃と名のつくものは手放さない。
「和……お前とはこうなりたくなかった。今、楽にしてやるよ」
とシリアスに黒鳥・氷雨が天矢・和の頭蓋を狙い撃つ(水で)。
「皆、素人さんに迷惑かけるなよ?」
と望月・巌が仲間たちに言っている隣で、アルトゥーロ・リゲルトーラスはフィズを煽りながら、
「若い連中は元気でいいよなぁ。あれくらい無邪気に遊びたいもんだぜ」
と眩しそうに呟く。その横で、ベアトリーチェ・アリギエーリはヒールで頑張りすぎてグロッキーになっていた。ヒールグラビティの使用で疲れたというよりは、プールに入る前からはしゃぎすぎた結果、プールに入る段階でぐったりしてしまったという状況。
「わ、わたくしのバカンスが……」
とベアトリーチェは悔しげに呻いた。
そんなコミカルなプールサイドがあると思えば、ロマンスあふれるプールサイドもある……。
「アレくん、これ恥ずかしい……」
とセクシーな布面積の少ない水着をまとい、もじもじと恥ずかしげに赤に染まった顔を伏せるロゼ・アウランジェを、アレクセイ・ディルクルムは文字通り溶けそうな表情で見つめていた。
「うん、やっぱりよく似合っているよ、ロゼ。流石僕の姫……」
つい先日、アレクセイが誕生日だったので、プレゼントを尋ねてみれば、愛しの姫の素敵な水着姿が見たいと言われた顛末がこれだ。
ハートが飛び交っていそうな光景を、カップルウォッチのためにプールサイドをうろついていたアリスメア・ノートが、いい獲物だとばかりに見つめていた。
「ケルベロスってこんなにいたんだ……。私を難破、じゃないナンパしてくれる人、いないかなぁ」
とカップルのラブラブにあてられたか、ミスティアン・マクローリンがぼやいた。その時、おあつらえ向きの言葉がミスティアンに投げかけられる。
「そこのお姉さん……良かったらお茶……一緒にしないか……?」
「えっ」
ミスティアンが慌てて振り向く先には、神寅・闇號虎が立っている。確証はないがなんとなく、ナンパには慣れていなさそうである。
「……!」
ぷひーと鼻息を吐き出したのは、仲間のナンパを眺めていたシラネ・トトノガミ。
闇號虎がナンパに成功しそうだ、と伝えようと黄鮫師団のナンパ班オーネスト・ドゥドゥの方を振り返ったシラネだが、彼女が目撃したのは。
「ほれ、キーッス! キィーッス!」
と、ボール遊びに興じていたラトウィッジ・ザクサーとアリス・ワンダーを茶化し、ラトウィッジにボールを投げつけられているオーネストの図であった。
「……」
シラネは見なかったことにした。
その横を、スイカボールと追いかけっこするように泳ぐ大神・翡翠と、浮き輪で流れるクノーヴレット・メーベルナッハが通り過ぎて行く。
が、ふとした瞬間にクノーヴレットの浮き輪がひっくり返ってしまう。
「あっ!?」
プールサイドでクノーヴレットのピンチに気づいた水沢・アンクがそちらを見て、顔を赤らめる。クノーヴレットのマイクロビキニの上が外れているではないか!
「わっ」
驚いたレイ・ブリストルがさくらフィズを口から噴き出す。
「ええい之だけの光景……目を逸らせる訳なかろう! ぬがぁああ」
コクマ・シヴァルスが目を皿のようにしているが、そちらを咎める暇はない。アンクはタオルをひっつかんで、クノーヴレットの巨乳を覆ってやろうと走るが……滑って転んで落水した。
右におっぱい事故あれば、左におっぱいピンチあり。
「ユリウスさんー!」
ぐるぐるスライダーから返ってきたユリウスのバストへ、獺川・祭がダイブを試みた。
が。ビターンッと小気味良い音と共にカワウソ(祭である)がふっとぶ。
ふっとんだカワウソをプールでも執事服をきっちり着込んだままの生粋の執事、ミシェル・マールブランシュは華麗にキャッチすると、あっという間に簀巻きにして、プールに流した。
「流しカワウソの刑です」
とプールサイドに直立して宣告する執事の隣にはメイドがいる。が、メイドこと鈴原・ティナは流石に水着姿であった。普段のメイド服に少しでも近づけようと黒いビキニだが。
流れながらも祭は、
「ここで自分が倒れたとしても第二、第三のゲスコットが……」
とブツブツ呟いている。その隣を並走ならぬ並泳しながら、
「何というか、幸運と言うか災難と言うか。強く生きろよ、獺川さん」
と月見里・一太が励ます。
流れるカワウソを見て、
「ああやって楽しむものなんですね!」
「祭くんも楽しんでるね!」
ツォーナ・カーンとスノーエル・トリフォリウムは朗らかに言い合っていた。
左におっぱいピンチあれば、後方に変態注意報あり。
「さぁ。せっかくの夏です。己を曝け出しましょう……!」
ピンクのフリル付きふんどし姿の明智・珠稀は、満面の笑みでサイファ・クロードとアルバス・ヘディキウムに言い放った。
いや、言い放つだけでなく、珠稀は彼らのパーカーを剥ぎ取ろうとし始めた。
「って近付くな変態! 付きまとうのもうっとーしいです!」
ルティ・コラッキオーネが怒り心頭でビーチボールを珠稀に投げつける。
しかし、
「仲良いですね~」
ょぅじょウォッチのほうが大事な白遊寺・愛涯は、セクハラシーンを目撃するも、生暖かい一瞥を送っただけ。なお、ょぅじょとはルティのことである。
「ルティちゃんの水着姿とても可愛いね! おれ生きてて良かった!」
と男子の上着の危機などどーでもいーとばかりにルティにまとわりつく愛涯も、ルティビーチボールアタックの餌食にされていた。が、嬉しそうだった。
「な!?」
珠稀の脱衣要求にサイファは目を剥いたが、アルバスは冷静に、
「脱げばいいのか」
と上着をバサァッと潔く脱ぎ捨てる。
「えっ!?」
アルバスの裏切りにサイファが目を更に大きくしたが、当のアルバスは平然としたもので。
「肌の露出に慣れないだけだ」
などと言ってのける。
「アルバスさんは脱ぎましたよ、さあサイファさんも恥ずかしがらないで☆ よいではないかよいではないか」
アルバスの脱衣に調子づき、珠稀は上機嫌でサイファのパーカーを引っ張る。
「っておい、たまちゃ、脱がそうと、するな……っ。ここじゃ、恥ずかしい、から……、ダメ……」
「ふふふ、ふふ、その恥ずかしがる様、とっても素敵ですよ……☆」
恥じらって抵抗すると火に油を注ぐだけだ。ぶち、とサイファのこめかみ辺りで何か切れる音がした。
「ダメだっつってんだろーがっ!」
声を荒らげてサイファは珠稀を突き飛ばした。
「許しません、退場!」
ピピーッとホイッスルを鳴らしながら、ルティが珠稀を思い切り蹴り飛ばす。
サイファは涙目でパーカーをかき寄せ、
「ばかばかきらい!」
と叫ぶ。
その光景すべてが珠稀にとって、
「全てがご褒美です、ふふ……!」
とのこと。どんな状況でも恍惚になれるドえむって最強。
喧騒を聞きながら、マユ・エンラはのほほんと流れていく。楽しい空気に体を浸しているだけで楽しかった。
「……あぁ、いたいた」
牙国・龍次は約束していた面々が集まっているのを見つけて、ホッとしたように口元をほころばせた。
キシュカ・ノースが、汗をかいたさくらフィズのカップを龍次に差し出す。既に来ていた紺野・狐拍は既にカップを確保済みだ。
栗須・レビスがやってきて、これで全員集合。
「疲れたっす」
「お疲れ様です」
人数分調達しておいた最後のフィズが、ねぎらいの言葉と共にレビスの手に渡る。
「こうして皆と過ごすのも悪く無いな。……じゃあ、乾杯」
狐拍の音頭で、四つのカップが合わされた。
●まったりあわあわ癒しの湯
マリア・ナイチンゲイルは、プールサイドの隅っこに『臨時相談室』という看板があることに気づいた。
看板の隣では十六夜・伊織が佇んでいる。
「ねえねえ、アナタもし暇なら……ジャグジーでイケナイ事、一緒にしてみない?」
マリアが蠱惑的な笑みを浮かべて、伊織に告げる。
「イケナイ事……?」
「そう! 泳いじゃいましょう!!」
パンと手を叩いて、マリアはパッと顔を輝かせる。が、伊織はまじめに、
「怒られるぜ」
と返す。だが、マリアはころころ笑った。
「それはそれで楽しいじゃない、なんてね♪」
そんな二人のそばを、久遠・薫がプラスチックコップ満載のトレイを持って通り過ぎていった。彼女は自主的にさくらフィズの売り子をしているのだ。
薫からさくらフィズを受け取ったノワル・ドラールは、ジャグジーに漬かって、気持ちよさそうにため息を吐いた。
ノワルと同じ浴槽では、同じくフィズ片手にオーフェ・クフェロンが本を読んでいるが、あまり良くわからないらしく、難しそうな表情だ。
「やっぱ男同士の親睦を深めるには裸の付き合いだぜ!」
ジャグジーの中で、相馬・泰地は笑顔で仲間たちを見回した。さくらフィズ片手にご満悦のレオン・ランパント、ゆったりくつろいでジェットバブルに身を委ねる神地・滄臥、暖かな湯にうとうとしている十二所・劉生……全員ごつい。マッチョだ。よく鍛えた肢体だ。そして男性にしてはチャレンジングな水着姿だ。
レオンに至っては、サキュバスの尻尾で、仲間の水着にちょっかいまでかけている。
ファンタジックになった高い天井を見上げ、ジャグジーの中で佐久間・礼治は静かに笑う。
「ま、こんな日も悪くないですね」
すると、彼を見つけたロバート・ムンデンが右手を軽くあげながら、
「やあ、佐久間君もこちらに来ていたのですか」
と挨拶しつつ隣に身を浸してきた。
平和な時間が過ぎていく。
シント・エレンノートは、周囲の各々が楽しげな空気を吸い込むと、
「こんな日が、いつまでも続くと良いな」
と口元に微笑を浮かべるのだった。
作者:あき缶 |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2015年9月15日
難度:易しい
参加:223人
結果:成功!
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得票:格好よかった 0/感動した 1/素敵だった 23/キャラが大事にされていた 60
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