ぱちぱちと。
目出度くも無さそうに、シャイターンのシルベスタは手を打ち合わせた。
「おめでとう。君は、進化の為の淘汰を耐え抜き、生き残る事が出来た」
君、と呼びかけられているのは攻性植物と化したかすみがうらの不良の1人、仲間からはユージと呼ばれていた少年だ。
「へへっ。俺、スゴイっすか?」
単純に喜ぶユージに口元だけで笑いのような形を作ると、シルベスタは傍らにいたユグドラシルガードモデルラタトスクが持っていた種を手に取った。
「ああ。君の栄誉をたたえ、この種を与えよう」
「何っすか?」
分かりやすい褒美ではなかったためユージの反応は今ひとつだが、シルベスタはさも大切そうに両手で受けた種を掲げてみせる。
「この種こそ、攻性植物を超えアスガルド神に至る、楽園樹『オーズ』の種なのだ」
「なんか分かんねーけど、すげーモンなんっすね!」
シルベスタの言葉の意味はさっぱり理解できなかったが、なんか特別っぽいから、というだけでユージは喜んで種を受け取った。
すると。
「うぉぉぉーっ! すげー、すげーよ、俺、超進化してんじゃね?」
ユージの身体からは凄まじい力が放出される。その力はユージ周囲の建物を次々に破壊し、それが瞬時にヒールされてからみあう植物のような何かに変化してゆく。
「気に入ってくれたようで何よりだ。せいぜい役に立ってくれたまえ」
シルベスタは最後までユージの名を呼ぶことなく、ユグドラシルガードモデルラタトスクと共にその場から立ち去ったのだった。
「緊急の報告が入りましたの」
アマティスタ・ロガール(オラトリオのヘリオライダー・en0159)は集まったケルベロスにそう告げた。
その報告をもたらしたのは、かすみがうらで発生している攻性植物の事件と、人馬宮ガイセリウムで発見された『楽園樹オーズ』との関連について調査していた白神・楓(魔術狩猟者・e01132)だという。
かすみがうらの攻性植物事件の裏には、楽園樹オーズの種を利用するシャイターンの暗躍があったようだ。シャイターンのシルベスタはケルベロスの介入や攻性植物同士の抗争事件などを生き抜いた不良たちに、より強力なオーズの種を与え、かすみがうら市街で一斉に事件を引き起こさせたらしい。
「オーズの種を与えられた攻性植物を中心として、かすみがうらの市街地は密林のごとくに変貌し始めています。繁茂する植物は周囲にいた方々……子どもや老人も含めた人々に巻き付き、グラビティ・チェインを吸い取り己の力としようとしているのですわ」
このまま放置すれば、巻き付かれた人々は全てのグラビティ・チェインを吸い取り尽くされ、干からびて死亡する。そして得られた大量のグラビティ・チェインは攻性植物の新たな力となるだろう。
「そんな事態になるのを防ぐため、かすみがうらに向かい、オーズの種を手に入れた攻性植物を撃破していただきたいんですの」
アマティスタの説明によると、敵となるのはかつてユージという名前の少年だった、強力な攻性植物1体のみ。
太い蔦をねじって粗く編んだような身体にオーズの種を抱いた姿には、元の人間だったころの面影はまったく無く、植物の化け物のような形態となっている。体長は3mほどあるが、周囲の建物が植物化しているため、気を払って警戒していなければ植物を隠れ蓑に忍び寄り、奇襲をかけてくる恐れがある。
攻性植物のグラビティに加え、身体の形状を生かし、ケルベロスチェインに似た攻撃をも使用するようだ。
「周辺で植物に取りつかれている市民は、道路や建物の中などあわせて200名程度と思われます。巻き付いている植物を引き離して始末すれば救助することは可能ですわ。そうすればその方々がグラビティ・チェインを搾取されて衰弱してゆくことも止められますけれど……救助活動をした時点で攻性植物はケルベロスが来たことを知るでしょう」
救助活動をすれば、敵に気付かれずに奇襲をかけるという作戦は採れなくなるだろう。また、救助にばかり気を取られていると、敵の奇襲を受けることも考えられる。
攻性植物を撃破できれば市民を捕まえている植物も消えるはずなので、あえて救助を行わないという選択もあるだろう。
「かすみがうらの攻性植物の事件の背後で、シャイターンが暗躍していたというのは予想外でしたわ。ですが、白神様のおかげで最悪の事態になる前に察知することができました。これを生かして、かすみがうらが完全に植物化されてしまう前に、どうか皆様の手で事件を終わらせてくださいませ」
アマティスタはそうケルベロスたちに頼むのだった、
参加者 | |
---|---|
安曇・柊(神の棘・e00166) |
水無月・鬼人(重力の鬼・e00414) |
守篠・紺(触手使いの官能小説家・e05463) |
音琴・ねごと(虹糸のアリアドネ・e12519) |
四条・玲斗(町の小さな薬剤師さん・e19273) |
九頭龍・夜見(ハラキリハリケーン・e21191) |
ルーシェリア・ロードブレイム(贖罪の金薔薇・e24481) |
ディーネ・ヘルツォーク(蒼獅子・e24601) |
●
かすみがうらは緑の中にあった。
「地球温暖化に一石投じてみましたってか?」
水無月・鬼人(重力の鬼・e00414)が面白くもなさそうに言うと、九頭龍・夜見(ハラキリハリケーン・e21191)も周囲を見渡す。
「実に地球にやさしくなさそうな緑でござるな」
範囲外の木々が抱く春の芽吹きのわくみずみずしい緑とは違い、濃い緑が街を覆っている。
ねじくれ、どこか歪な植物たち。
それに巻き付かれ、倒れ伏す人々。
どこから手をつけようか迷うほど蔓延る緑の中、ディーネ・ヘルツォーク(蒼獅子・e24601)とルーシェリア・ロードブレイム(贖罪の金薔薇・e24481)は、すぐにも救助を必要としている人の位置を協力して割り出しにかかる。
「は、はやく……助けてあげたい、です、ね……」
安曇・柊(神の棘・e00166)は植物に捕らえられている人々に目をやり、おろおろと両手を握り合わせる。すぐにでも救助したいところだが、すべてを救うためには危険な状態にある人を優先しなければならない。
「……攻性植物とシャイターン。ただの協力ならまだ良いのだけれど、シャイターンが力を強めたら厄介ね」
最近の情勢に思考を巡らせながら、四条・玲斗(町の小さな薬剤師さん・e19273)は呟く。表層に現れている事柄から、その裏で動いているかもしれない何かを読み取ろうと。
そうしているうちに、ディーネとルーシェリアと救助地点の選定を終えた。
「まずはこの一帯の救助が必要よ」
「他にも気になる場所がある。そちらへ向かうように救助の範囲を広げて行こう」
ケルベロスは2人が指定した場所へ急ぎ向かうと、打ち合わせておいた通りに2人1組に分かれた。
恋人同士、とはいえ作戦中は別の組になる音琴・ねごと(虹糸のアリアドネ・e12519)に、守篠・紺(触手使いの官能小説家・e05463)は声をかける。
「怪我をしませんよう」
ねごとの頭を紺がひと撫ですると、ねごとは優しく肘うちを返す。
「そっちこそ怪我しないでね」
声をかわしてそれぞれが組む相手のもとへ。紺が組むのは柊だ。
「安曇さん、一緒に頑張りましょうねぇ」
「こち、こ、こちらこそ……」
お願いします、と挨拶を返すと、柊は空へと舞い上がった。見通しがよい空中で周囲の警戒をするのが柊の役目、地上で人々の救助にあたるのが紺の役割だ。
ねごとはルーシェリアと組み、同様にそれぞれが地上と空中を受け持つ。
倒れている人の上にかがみこんでねごとは状態を確かめた。グラビティ・チェインを吸い上げるため、植物は人々にしっかり巻き付いている。
「これを解けばいいんだよね?」
中にいる人を救助するため、巻き付いた植物を引きはがしてゆく。
植物のほうはまた巻き付かぬように処分し、人のほうはヒールをかけてから、とりあえず1箇所にまとまってもらう。
「この辺りで避難できそうな場所はあるかしら?」
集めた人々に玲斗は心当たりを尋ねた。この辺りの住民ならば、自分たちが探すよりよく知っているだろう。
「すぐそこに公園が……。あと、この裏に公民館があります」
道路に座り込んだまま、女性がその方向を手で示した。
「休むことを考えたら、建物のほうが良いわね」
「見てくるから警戒を頼むでござるよ」
夜見は一旦場を離れて道の裏側に回り込み、公民館の位置を確かめてから戻ってきた。
「避難所に使えそうな建物でござった。一旦ここにいる人を避難させるでござるよ」
他の組と離れすぎぬように連絡を取りながら、ケルベロスたちは人々を拘束から解き放ち、避難場所へと移動させてゆくのだった。
●
救助開始からかなりの時間が経過したが、捕らわれている人々の救出はやっと半分といったところ。
2人1組になり片方が警戒という救助活動は、奇襲に備えるという点ではすぐれているが、救出をする人数が半分になってしまうため、効率が悪いのが難点だ。
「あ……」
柊があげかけた声に、紺が反応した。
「何か見えましたか?」
「い、いえ……気のせい、みたいです……」
「私も先ほど、何かが動いたような気がした。風で木々が揺れただけかも知れないが」
ルーシェリアも気がかりそうに木々の間を見やったが、動くものはない。
一層警戒を強め、ケルベロスたちが救助活動に戻った、矢先。
「いたわ! あそこよ!」
ディーネの手が指す先は他と変わらぬ森……いや、その奥に風とは違う動きでのたうつ蔦がある。茂る木々の奥だから注意していなければ見落とすかも知れないが、警戒しているケルベロスの目は誤魔化せない。
救助活動をしながらも戦闘区域の確保に留意していたため、すぐにでも足場の良い状態で戦えるだろうが、問題は……。鬼人は助けたばかりの一般人に目をやった。このまま戦闘に巻き込まれたら、一般人はひとたまりもない。
「こっちだ」
歩けないほど衰弱している子どもをかつぎあげ、あとの2人を促して鬼人は戦闘区域からの離脱を図る。
その動きにつられたように茂みから現れた攻性植物……ユージに、柊はガトリングガンをみまった。発射された物質の時間を凍結する弾丸が命中し、氷のきらめきを散らす。
「うぜぇんだよ!」
ざらざらした聞き取りにくい声をあげ、攻性植物がぶんと蔦をうならせる。伸びた蔦の先端が、かっと開いて柊へと食らいつこうとする、そこに夜見がすべりこんで代わりに受けた。かぶりつかれた箇所から、毒が流し込まれる。
「へへっ、スゲーだろ。俺様超進化バージョンだぜ」
得意げな声に、夜見は眉を寄せる。
「それで得たものが、その醜い姿でござるか……実に哀れでござるな、人手あることを捨てた者の末路は!」
言いざま、腹斬一文字をユージへと叩きつける。重ね厚い剛刀の尋常ではない重量を御した一撃に、籠のような身体がみしりときしむ。
「てめぇっ!」
向けられるユージの怒りは狙い通り。こちらに引きつければ引きつけるだけ、避難する人々や捕らわれて人質と化している人々からユージの意識を逸らせる。
その夜見を支えようとするように、村雨虎徹獅子王丸が属性を注入して傷の回復を図った。
人としての面影もないユージを見やり、ねごとは無意識にピアスに触れた。
「すぐに楽にしたげる。元ユージくん」
引き返せない所まで来てしまっているのなら、せめて長引かせないように。
ねごとは太い竜の尻尾を振るい、ユージを打ち据えた。
続いてウィングキャットの『ねこ』がくるんと尻尾を振り、キャットリングを飛ばす。
玲斗はまだ回復しきれていない夜見の怪我を緊急手術で治療した。ユージの力は侮れない。傷は速やかに回復させておくべきだろう。
ビハインドの『藍』はユージの足止めをせんと周囲に転がる石くれを飛ばした。
「攻性植物だというなら、僕が使う子たちのようにいい子になって欲しいんですがねぇ」
紺の攻性植物はツルクサの茂みのごとき蔓触手形態へと変化し、ユージへと伸びた。
「2度目の初陣、ね」
これはケルベロスとしての初陣。敵を見つめるディーネの脳裏で、地獄化した記憶が燃え上がった。
穂先が音叉状の二又に展開されたブリッツシュラークを構えれば、ディーネの口調は戦闘モードに切り替わる。
「臆病者風情が、舐めるなよ。その醜い極彩色を薙ぎ払ってやる」
稲妻を帯びた高速の突きは、ユージの神経回路へと流れ込む。
「私は命を守る盾となる……」
ルーシェリアのマインドリングから生まれた光の盾が、輝きながら浮かぶ。洗脳によって重ねた罪、その贖罪のため、ルーシェリアはディフェンダーとして皆の盾となって働くことを選択した。
光の盾を呼び出した後は、ユージが救助者へと向かわぬよう高速の回転斬撃で牽制する。
「やらせはしないっ!」
その思いは皆共通。
救える者なら1人も失わずに済ませたい。
ケルベロスたちはユージの意識を引きつけるのを兼ねて、次々と攻撃を重ねた。
●
「な、何の罪もない人たちにこんなことして……ユージさんには、自分の家族とか、友たちとが、い、いないんですか……?」
どもりながらも必死に呼びかける柊に、ユージは言葉を吐き捨てた。
「いるぜ。俺のことバカにしてたあいつらも、これで俺を見直すだろ」
「ユージさんは……何がしたかったんですか? 暴れたかったんですか、それとも……」
すごいと言われたかった? 誰かに認められたかった?
問いかけを遮るように、ユージの蔦から棘が撃ち出され、前衛を毒で汚染する。
「敵のポジションはクラッシャー。私も回復するけれど、一撃のダメージが大きいから、それぞれ回復には気を払っておいてね」
玲斗は回復量重視で治療を行っているが、それでも完全には補えないダメージを与えてくるあたり、やはりオーズの種による強化の影響は大きそうだ。
玲斗の呼びかけに応え、夜見は腹斬一文字を地表に突き立てる。
「デウスエクスよ。聞け! そして慄け! これが、この星の咆哮よ!!」
荒れ狂うグラビティ・チェインの奔流が大地を突き破り、龍の咆哮に似た響きとともに噴出する。夜見の、仲間を守りたいという意志に強く反応したその奔流は、仲間の傷を癒し、不調を吹き飛ばす。
そこに救出した人を避難させ終えた鬼人が合流した。
「待たせたな」
挨拶代わりに、無名刀にグラビティ・チェインの破壊力を乗せてユージへと突き入れる。
「もうちょっと大人しくしててくれると当たるんだけどね」
ユージは案外フットワークが軽くて、ねごとの攻撃は2回に1回ほどしか命中しない。それは紺も同じだ。ただ、これまでユージは一度も回復を使っていないため、バッドステータスが徐々に命中率をあげていっている。
回復が使えないのか、使っていないだけなのか。
いぶかりながらも、ディーネは地獄の炎を纏わせた槍をユージへと突き刺した。炎はユージへと燃え移りその身を焼く。
ルーシェリアは念のため、もう1つ光の盾を作り出した。ユージの攻撃は力任せというだけだが、圧倒的な力に後押しされれば、それはかなりの脅威だ。攻撃力が大きければ、比例して回復できないダメージの蓄積も大きくなる。早く決着をつけたいが、こちらの攻撃がどのくらい効いているのか推し量るのが難しい。
「おらよ、っと」
ユージの攻撃は一向に鈍ることなくケルベロスを打ち据える。
それに負けじと、ケルベロスも攻撃を続けた。
「よし、いきましょうか」
紺は首狩りの女王の異名を持つThe White rose of Headhunting Queenをユージへと放った。攻性植物に絡みつかれ、動きを阻害されるユージの頭上に、軽々と跳び上がったねごとが迫る。
「いくよっ!」
振り上げたルーンアックスは、ユージの頭に当たる部分を断ち割った。
「ちきちょう……」
千切れた蔦が左右に垂れ下がる。舌があれば舌打ちしたであろう様子でユージは首を揺らしたが、すぐにそれはクククという含み笑いに、そして徐々に大笑いへと変化してゆく。
「ヤったとでも思ったか? 残念だったな」
そして蔦か構成するユージの手が、宙へと差し伸べられた。
「――オーズの種よ、俺に力を!」
何が起きるか。
息を詰めて見守る……が何も起こらない。
「な、なんだよ、話がちげーよ」
ユージの焦り具合を見るに、何か予定が狂ったのは間違いなさそうだ。
「悪魔に魂売って力を得て、それが原因で追いつめられているのって、どんな気持ちだ?」
鬼人に聞かれてユージの動揺は増す。
「実は俺の炎はお前に良く効くんだ」
嘘だがよ、と言いながら鬼人は地獄の炎弾を放ち、ユージの生命力を喰らう。
「teiwaz……これが私の祝福よ!」
ディーネは一気に加速して、ユージへと突進した。ブリッツシュラークを深く突き刺してグラビティを叩き込み、変形させたクリスタルシュライムの捕食結晶で包み込み、侵食する。
「大罪を背負う身なれど……それでも私は、迷いはしないッ」
ルーシェリアは朗々と己の道を進む誇りを歌い上げ、その歌は一層ユージの信念を揺るがせた。
「うるせぇうるせぇうるせえっ!」
滅茶苦茶に蔦を振り回し、毒をまき散らす。だがもうそれは、ただの悪あがきにしか見えない。
そこに柊がゆっくりと近づき、ささやくように尋ねる。
「……最期の日に、あなたは誰を想いますか……?」
伺うようにそっと。歌うようにやさしく。魔導書が淡い光を帯び、ぱらぱらとページが捲れ……辿り着くのは最終章。其の、最期の一頁。魔導書からあふれ出た古代文字を両手に宿し、引き絞るのは天凛の一矢。
矢は過たずユージを射抜いた。
「なあ、俺は……スゲエんだろ……?」
それは誰への問いかけか。
かすれた言葉。そうだと言って欲しいがために失った多くのもの。取り返しのつかない喪失に食い荒らされるように、元ユージの攻性植物は急速に枯れて干涸らびていった。
かさりと軽すぎる音を立てて倒れた元ユージ……その中から光が生まれた。
「あれは……まさかオーズの種?」
玲斗がそれが何かに思い当たったとき、光り輝くオーズの種はすっと浮かび上がり、そのまま飛び去っていったのだった。
●
攻性植物が倒れると、周辺の人々を覆っていた植物群もまた消えていった。
「やったー!」
勝利の喜びに、ねごとは紺に駆け寄って飛びついた。
「やりましたね!」
紺も嬉しそうに、ねごとを抱き上げた。
「……少しは役に立てただろうか」
これが贖罪の1歩となったのだろうかと、ルーシェリアは不安そうに呟いた。
玲斗と鬼人は植物から解放された人々の救助にかかる。
「面倒だがこれも仕事だからな」
鬼人は怪我をしている人や弱っている人に回復を施し、避難場所へと連れて行った。玲斗は避難させた人々の様子を見て回る。
「怪我はこれで大丈夫。でも少しここで休んで行った方が良いわ。案外精神的ダメージって身体に影響を与えるものよ」
衰弱している人は見受けられるが、植物から解放された人々は皆無事だ。先に状態の良くない人を救出できていたのが良かったのだろう。
ディーネと柊は、元ユージだったものの残骸を調べ、オーズの種に関するものや、シルベスタの目的の手がかりとなるものを探してみたが、あるのは干涸らびた蔦ばかり。気になるのは飛び去った光る種だが、ここに残っているものからは何も分かりそうにない。
オーズの種はどこに行ったのか。これからどうなってゆくのか。
気がかりは残るが、救う手だてのないユージ以外のすべての人々を助けられたのは喜ばしい。依頼を終えたケルベロスたちの表情は自然と綻ぶのだった。
作者:千々和なずな |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年3月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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