●与える者
シャイターン、シルベスタ。彼は、この時を待っていた。
「おめでとう。君は、進化の為の淘汰を耐え抜き、生き残る事が出来た。その栄誉をたたえ、この種を与えよう。
この種こそ、攻性植物を超えアスガルド神に至る、楽園樹『オーズ』の種なのだ」
シルベスタが示したのは、ユグドラシルガードモデルラタトスク。小さなドラゴンにも見える攻性植物が抱く種、それが、『オーズ』の種であった。
差し出された種を前に、テツはごくりと唾を飲み下した。
近隣の不良はあらかたぶっ飛ばした。自身と同じく『力』を与えられた少年も少なくなかった。テツは抗争を生き延びた。これは、その褒美なのだ。
新たな『力』に手を伸ばすのに、迷いはなかった。
「あぁ……あああああッ! ちからが、チカラが溢れてくるぞ……! ハハハッ、オレこそがナンバーワンだ!!」
地下駐車場で、『オーズ』の力が爆発する。
凄まじいエネルギーの放出を受け、周囲の物体は損壊、瞬く間に植物の如き姿へと変態していく。
異質な密林へと変貌していくショッピングモールを、シルベスタとラタトスクは満足げに見上げると、その場を立ち去るのだった。
●かすみがうらジャングル
かねてより、かすみがうらでは不良同士の抗争が異常発生していた。
ザイフリート王子(エインヘリアルのヘリオライダー)は、これまでの経緯を再確認すると、ケルベロス達へと語りかける。
「かすみがうらで発生している攻性植物の事件と、人馬宮ガイセリウムで発見された『楽園樹オーズ』との関連について、調査していた白神・楓(魔術狩猟者・e01132)から、緊急の報告が入った。
かすみがうらの攻性植物事件の裏には、やはり、デウスエクスの暗躍があったようだ。首謀者はシャイターン、そしてオーズの種を抱える攻性植物。
彼奴等はオーズの種を不良たちに与え、抗争による淘汰を促した。ケルベロスの介入や攻性植物同士の抗争事件などを生き抜いた不良達に、より強力なオーズの種を与えようという算段だ」
そしてそれは、実行されてしまった。強力なオーズの種を与えられた不良達は、一斉に力を解放、かすみがうら市の市街地は密林のような有様に変貌し始めている。周辺の一般人達は植物に巻きつかれ、グラビティ・チェインを吸い取られているようだ。
このまま放置すれば、グラビティ・チェインを吸い尽くされた市民は干からびて死亡する。大量のグラビティ・チェインを得た攻性植物達は、新たな力を手に入れてしまうだろう。
「この火急の事態に対処すべく、皆はかすみがうらに向かい、オーズの種を手に入れた攻性植物を撃破してもらいたい」
戦うべき敵は、強力な攻性植物一体のみ。
元不良少年は、体長3メートルほどの異形の化け物に変異している。蔦と枯れ枝を複雑に組み合わせたかのような外見をしており、枝を投擲してばら撒いたり、蔓を拳のように固めて殴りつけてくる。大きな花を咲かせて破壊光線を放つこともあるようだ。
敵は通常、ショッピングモール内を徘徊している。3メートルの巨体とはいえ、モール内部がほぼ植物化している為、ケルベロスが警戒を解いている状態でいると、簡単に敵の奇襲を許してしまうだろう。
「周囲で倒れている一般人は、モール内の従業員と客、合わせて200人程度。
一般人に取りついている植物を引き離して始末すれば、救助は可能だ。しかし、救助を行った時点で、攻性植物にその事実が伝わってしまう。気づかれないよう潜入して奇襲をかけたい場合、救助は諦めるしかないだろう」
また、救助に時間をかけすぎたり、救助ばかりに気を取られていると、敵の奇襲を受ける可能性もある。
攻性植物さえ撃破できれば、一般人を捕まえている植物も消えるはずなので、救助は行わなくても問題はない。
「オーズの種にシャイターン……厄介な状況だが、ともかくも、今はかすみがうらを完全に植物化されぬことが先決だ。白神・楓の功を活かし、オーズの種を得た攻性植物を確実に撃破してもらいたい」
ザイフリート王子は、真摯に、小さく頭を下げた。
参加者 | |
---|---|
生明・穣(鏡之破片・e00256) |
望月・巌(お月様が中継局・e00281) |
コクヨウ・オールドフォート(グラシャラボラス・e02185) |
ヴァンアーブル・ノクト(熾天の語り手・e02684) |
狼森・朔夜(奥羽の山狗・e06190) |
嘉神・陽治(武闘派ドクター・e06574) |
男女川・かえる(筑波山からやってきた・e08836) |
エルナ・エルメリア(小さなお姉ちゃん・e20882) |
●ジャングル・モール
ショッピングモール内は草木がくまなく繁茂し、青黒い静寂に沈んでいる。モール全体が、あたかも熱帯雨林の様相だ。
「いや、幾らなんでも育ち良過ぎじゃね?」
隠された森の小路で邪魔な木々を退けながら、嘉神・陽治(武闘派ドクター・e06574)がぼやいた。街一つジャングルに沈むとは、凄まじい生命力である。これが人々の命を吸い上げたものとなれば、見過ごせる道理もない。
「とうとうグループ抗争どころじゃない大事になっちゃったね。ここで食い止めるためにも、頑張らないとねー」
以前から精力的にかすみがうらの事件に関わってきた男女川・かえる(筑波山からやってきた・e08836)は、異常な光景を見渡しながら、感慨深げに目を細めた。
ケルベロス達は全員が、ひとまずモールの一階に潜入を果たした。据え置かれた図面やパンフレットと、あらかじめ全員分用意しておいた店内地図を突き合わせ、齟齬がない事を確認。スーパーGPSもきちんと機能しそうだ。
頼みの連絡手段の携帯電話も問題なく繋がり、ヘッドセット越しに会話がクリアに通じる事も確認する。屋内用の中継機がまだ生きているのかもしれない。
準備は万端だ。
「それでは、二手に分かれましょう。以降は手はず通りに」
生明・穣(鏡之破片・e00256)が音頭を取り、皆も静かに頷いた。
一班は一階、二班は二階を探索し、敵発見と戦場の確保に努める。その際、一般人の救出は行わず、最速の敵撃破に尽力する。――以上が、ケルベロス達の作戦であった。
濃厚な緑の匂いと青黒い薄闇をかき分けながら、探索は開始された。
●人食い森を進め
一階では、植物に取り込まれた一般人の姿を、あらゆる場所に見つけることができた。店舗内の客や店員は当然、通路や広場の椅子やベンチでくつろいでいたであろう人々も、蔦に絡めとられ、あるいは大樹の幹に半ばまで取り込まれ、大輪の百合に首までひと呑みにされ……凄絶な光景だった。
人のいない適当なスペースを戦場に、と見込んできたケルベロス達だったが、そう都合良くはいきそうにない。
一班の先導は狼森・朔夜(奥羽の山狗・e06190)が務めた。隠密気流を纏った軽い身のこなしで、的確に針路を確保し、後方に合図を送る。
次鋒にはコクヨウ・オールドフォート(グラシャラボラス・e02185)が続く。
(「200人が人質とはな……せいぜい慎重にやるか」)
隠された森の小路で無理なく道を拓き、後方の仲間達をスムーズに誘導していく。変身形態では能力と言語の使用に難があるため、今回は普段通りの姿での潜入となった。
次に続くエルナ・エルメリア(小さなお姉ちゃん・e20882)は、いつになく気が立っていた。
(「みんな、苦しいよね……辛いよね……ごめんね、ちょっとだけ我慢してね! すぐに助けるから!」)
人々をすぐにでも救出できないのがもどかしく、事の元凶への怒りに燃える。普段のアイドルキャラを返上して、一挙手一投足に注意を払うシリアスモードだ。傍らのウイングキャットのエルシアは、しかしやっぱりやる気がない。
(「あの娘はどうしてるかなぁ。転んでなきゃいいのだけど」)
想像以上に異様な有様に、しんがりのヴァンアーブル・ノクト(熾天の語り手・e02684)もまた眉を顰める。慎重に足を運びながらも、同じくかすみがうらの別の戦場に向かったであろう知己へと、思いを馳せずにはいられない。
黙々と先を行く朔夜は、自然の森とは似ても似つかぬ異常な密林の様子に、嫌悪を込めた舌打ちを落とした。かしこに見える囚われの人々の姿には、心苦しさを覚えずにはいられない。
(「すまん。必ず助ける」)
心中で謝罪を呟きながら、強引に視線を引き離した――その時。
「あれは……」
視界の隅にのそりと動いた『何か』に、朔夜は目を細めた。
一方、二班は入り口付近の階段から二階に上がり、探索に取り掛かったが、状況は一班とそう変わらなかった。
「対面してない敵を指名手配できる能力、なんてのがありゃあ良かったんだが……」
望月・巌(お月様が中継局・e00281)はぼやきながら端々に目を光らせ、索敵に努める。
小路を拓いた途端、人々を呑みこんだ果実をたわわに実らせる大樹に出くわし、陽治は息を呑んだ。
「……必ず助ける。だから、もう少し辛抱してくれや」
一人一人の健康状態を確かめたかったが、その猶予はなさそうだ。意識のない人々に、小さく声だけを掛けて、ケルベロス達は先を急いだ。
モールの端からくまなく探索して、地図上では中央部に差しかかろうという頃、一班から連絡が入った。
『見つけた……二階だ!』
朔夜からの通信だった。中央部の吹き抜けから、蠢く巨体が二階に見えたらしい。
二班は地図と情報を突き合わせながら、足を速めた。濃密に絡まり視界を邪魔する樹木を、二度三度かき分け、巌が遠目にそれらしき姿を発見した。
「よし、こっちも把握した。このまま二階で奇襲をかけるのが良さそうだぜ」
「あとは戦う場所だね。穣くん、どう?」
あらかじめ、地図上にいくつかの候補地をピックアップしていたかえるは、モール内の見分に注力する穣に尋ねた。
顎に手を置いて地図とにらめっこしていた穣は、
「……やっぱり、ここしかないでしょう」
確信を持って、一点を示した。
地図を覗き込む仲間達に理解の色が広がり、皆、目を合わせて頷き合う。
伝達は迅速かつ端的。瞬く間に、奇襲の準備が整えられていった。
●城主テツ
テツはご満悦だった。
自分だけのアジトを手に入れた。一国一城の主だ。意気揚々と要塞と化したモール内を歩き回った。隅々まで自身の影響力が及んでいるのを確かめて、悦に入る。
捕らえた人々への後ろ暗さなど欠片もない。他者より自分が強いのだと証明された事が、嬉しくてたまらない。要は、単純明快脳筋野郎なのである。
一通り見て回り、最後にやってきたのは、二階中央にぽっかりと空いた、中庭だった。
ビンゴゲームやステージショーなどの催しが主な用途の、だだっ広いだけの空中庭園だ。この日は特別なイベントもなく、暖房の利いた店内からあえて寒空の下に出ようという客もいなかったのだろう。隙なく這う蔦や木々に、囚われた一般人の姿は見当たらない。
テツは胸を張り、鼻息を吹かした。位置といい、ロケーションといい、玉座の間にふさわしい場所だ。
――そして、ケルベロス達にとっては、奇襲に最も都合の良いポイントだった。
「……藍の結晶となりて歩みを止めよ」
小さく呟いたのは、穣だった。
突如、青い光がテツを包んだ。足を構成する蔦の幾筋かが、硬質な藍玉へと変質していく。
「何……ッ!?」
狼狽するテツを、さらに二班のグラビティが幾重にも襲い掛かる。
全てを余さず受けてしまってから、テツはよろけるように攻撃起点へと警戒体勢を取る。
しかし、テツが敵をはっきりと視認するより早く、
「どっち見てるのーっ?」
背後をエルナが捉えた。服の袖から飛び出した細く鋭い形状のブラックスライムがテツを突き刺し、一班もまた容赦なく攻撃を重ねていく。
「ぐぅっ」
テツはたまらず中庭の奥へと逃げ込んだ。
攻撃起点は二か所。二班が西側の扉から、一班は東側の扉から、中庭に潜入し、全力のグラビティを叩き込んだのだ。
テツはあっという間に夥しい状態異常に汚染された。徹底した連絡と慎重な行動が功を奏し、挟撃による奇襲は、最大限の効果を叩き出したようだ。
「……なんだてめえら!? いきなり仕掛けてきやがって、卑怯モンどもが!」
テツが喚き散らす。枝と蔦で編み上げた、筋肉むき出しの巨人のような化け物だったが、言動には未成熟な若者らしさが露わだった。
「悪ぃ悪ぃ。ここに強いヤツがいるって聞いて、イッパツ戦ってみたくてなぁ。いざお前さんをみっけたら、ついつい手が出ちまったい」
巌が挑発するように応対した。首を回し、両手の指をバキバキ言わせ、頑健な肉体と強者の風格をアピール。
「カチコミか!」
テツの、異形と化しながらも奇妙に澄んだ目が、生き生きときらめいた。
「いいぜ、タイマンと言わず全員かかってこいよ! 強いヤツは全部倒して、オレが一番になるんだからなッ!」
なんとも無邪気に、殴り合いが始まった。固められた蔦の拳が巌を襲う。衝撃に骨を軋ませながら、巌もまた物理で殴り返す。仲間達も遠慮なく怒涛のグラビティを叩き込んでいく。
さすがの直情径行、テツの攻撃は『一番強い』と判断した巌に集中した。実に読みやすい動きに、ケルベロス達は余裕をもってカバーに入り、上手くダメージを分散させていく。
「罪を憎んで人を憎まず、と行きたいところだけれど……今回の場合、殺すしか手立てがないというのも、悲しいね」
元人間という慣れぬ相手に、ヴァンアーブルは複雑な心境を吐露せずにいられない。
「……同情はしねぇ。てめぇは自分の意思でその姿を選んだんだ」
地獄の炎を武器に纏わせながら、冷たく言い放つ朔夜。その言葉は、異形に変じた人間を前にして、内心の動揺を抑えるため、自分自身に言い聞かせるようでもあった。
「もし私達を下して君が生き残れたら、さらなる報奨でもあるのでしょうか」
穣は攻撃の合間に、少しでも情報を得ようと試みるが、
「しらねーよッ、オレは全員ぶっ飛ばすだけだ!」
「あっ、これ話通じないやつ……」
突っ返された脊髄反射の即答に、かえるがぼやいた。聞く耳持たないというか、そもそもろくな情報を持っていない可能性が濃厚である。
整然としたケルベロスの攻撃によって、テツが追い詰められるのに、そう時間はかからなかった。異形の肩を上下させる姿はやけに人間的で、いかにも苦しそうだ。
ケルベロス達が容赦なく追い込みをかけようとした――その時。
「あーくそっ、ダメだダメだ、こんなんじゃ全っ然楽しめねー! 『オーズの種よ、オレに力を』!!」
テツが叫ぶと、蔦に覆われた異形の胸部が燦然と輝いた。
ケルベロス達は、数多のうめき声を聞いた。あたかもショッピングモール全体が、一個の巨大な怪物と化したかのようだった。
「うそ……この声って……」
「まさか、人質が……!?」
動揺が一同を走る。
うめき声に合わせて、テツのダメージが見る間に修復されていくのがわかった。外部から注ぎ込まれるエネルギーが、一体どこから調達されているのか……確かめるまでもなく明らかだ。
「見たかっ、オレ様の奥の手!」
すっかり全回復したらしいテツは、得意満面に胸を張った。
●大馬鹿野郎に鉄拳制裁を
「へへっ、ここはオレの砦だかんなぁ、こんなこともできんだぜ。ま、一回のケンカに一度しか使えないのがタマにキズ……」
「――なんってコトしてくれてんのッ!?」
エルナのマジおこトラウマブラストが炸裂した。回復役をこなしつつも隙あらば攻撃を仕掛けようと企んでいたわけだが、まさしく、今しばかずにいつしばく、というタイミングであった。テツは、牛乳こわいーとか叫びながらトラウマに殴られている。
「凍りつけ」
同じく、躊躇いなく飛び込んだ朔夜の、雪狼眼にも静かな殺意が漲っている。テツに対する動揺は、どこかに吹っ飛んだようだ。
「ともあれ良い事を聞いたよ。ここで仕留めれば、もう二度と使えないというわけだね」
無貌の従属を放つヴァンアーブルの笑顔も、なんだか怖い。
ケルベロス達は一般人の救出に向かいたい気持ちをこらえ、攻勢を続行した。確かに何度も使える技とも思えないし、やすやすとこちらの逃亡を許してくれる相手でもない。予定通り、敵撃破を急ぐしかなかった。
「体力は全快したみたいだが、藍玉の石化が残ってるな……多分、状態異常はほとんど継続してるんじゃねぇか」
陽治が目敏く敵の状態を分析する。ここまでの戦いも、無駄ではなかったようだ。
「力を得てもやる事は一般市民から命のカツアゲか。オリジナリティの無い生き様だな。何のために力を得たのやら」
怒りと殺気を敵にぶつける仲間達に比べ、コクヨウはあくまで冷静かつ冷徹に攻撃を加えていく――が。
テツの放った大枝が、空中で幾本もの細かい枝に分裂し、前衛に降り注いだ。そのうち予想外の軌道を描いた一本が、コクヨウのチョーカーをかすめた。
咄嗟に指で撫でると、そこには明らかに傷の感触が……。一気に沸点を突破した怒りに、獰猛な哄笑が喉を割った。
「……ここまで頭にキたのは久しぶりだぜ面白ぇ。お前死んだぞ、今さっき!!」
問答無用、全力のΩの魔装が炸裂する。残虐ささえ感じる攻撃と気迫は、先ほどまでとは別人だ。
「これがお前さんが欲してたモンか? 本当に、街や人々を巻き込んでまでお前さんが望んだ光景か!」
陽治の森羅灼熱掌は、一種のフェイントだ。敵を引き付けた隙を、巌がニッと一瞬のアイコンタクトで引き継ぐと、
「テツよ、与えられた力は異形の力なんだぞ? そんなのに手を出しちまったお前は弱虫さ!」
吼えながら、至近距離の銃撃をお見舞いする。
さらにウイングキャットの藍華と連携して畳みかける穣。
「所詮貰った力では頂点など立てはしない……用が済めばそれまでと言う存在に過ぎないんですよ」
「んなん、どうでもいいんだよッ! オレは、テッペン取るまで走り続けてーだけだ!」
親父三人衆の有り難い説教も馬耳東風。テツは再び窮地に追い込まれながらも、いっそ誰よりも天真爛漫だ。胸元に咲かせた大輪の蔓薔薇から光を放ち、親父トリオを退かせる。
がら空きになった正面には、自前の攻性植物を巻きつけたアームドフォートを構えるかえるの姿があった。
「……敵が馬鹿だと楽っちゃ楽だけど、理屈まで通じない馬鹿ってのも、それはそれで面倒臭いねー」
仲間達の心情を代弁するような呟きと共に、渾身のフォートレスキャノンが、テツの胸部を爆砕していく。
……全てが終わり、ばたりと中庭の床に倒れ伏したテツの巨体は、見る間に枯れて干からびていく。
その亡骸から、突如、光輝く塊が抜け出すと、呆気にとられるケルベロス達を尻目に、いずこかへ飛び去っていってしまった。
「オーズの種か!?」
「飛んで行ってしまったね……」
ざわめくケルベロス達。しかし、今から追いかけるわけにもいかない。
「そんなことより救助だよ! オジサン達、手なんか握り合ってないで、早く!」
「まーそうだよねー。コクヨウくんもチョーカー弄っていじけてないで、立って立って」
年少組に発破をかけられ、ケルベロス達は慌ただしく救助活動に取り掛かった。
かくしてショッピングモールは攻性植物の支配より解放され、囚われの人々も誰一人犠牲なく、平穏を取り戻したのだった。
作者:そらばる |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年3月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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