かすみがうら事変~化物から神になった少年

作者:凪木エコ

 今、かすみがうらが危険な街に変わりつつある。
 その原因を作り上げたのは非行に走る若者達。強さを求め、己の身体を攻性植物化することで争いが頻繁に発生しているのだ。
 攻性植物化を遂げた1人の少年の前に、攻性植物のユグドラシルガードモデルラタトスクとシャイターンのシルベスタが姿を現す。
 異形な姿の2体を見ても、少年はさほど驚きを見せない。自分も異なる存在に変化しているのを認知しているからだろうか。それとも絶対の自信を持っているからか。
 シルベスタは少年に拍手を送る。
「おめでとう。君は進化の為の淘汰を耐え抜き、生き残る事が出来た。その栄誉をたたえ、この種を与えよう」
 ユグドラシルガードモデルラタトスクは、持っていたオーズの種を少年に渡す。
「この種こそ、攻性植物を超えアスガルド神に至る、楽園樹『オーズ』の種なのだ。さぁ、更なる力を手に入れるのだ」
「……更なる力? ふはは……! いい言葉じゃねーか」
 その言葉を聞いて、少年は興奮を抑えることができない。
 そして、オーズの種を力強く握った。まるで呼応するかのように種は禍々しい光を発し、少年を包み込み始める。
 身体中が脈打ち、全ての細胞が新たな細胞へと変化を遂げ、少年の身体が膨れ上がっていく。内側から背中を突き破り、大蛇よりも巨大な複数本の植物がうねりを上げる。
「分かる……。俺の力がどんどん上がってるのが……!」
 痛みはあるらしいが、表情に『苦』はない。むしろ口角は上がっていた。
 変化が終わる。
「……クク。クハハハハ! 神にでもなった気分だぁ!」
 そこに少年の姿は既に無かった。
 少年は奇声にも近い叫び声を上げる。
 声に乗って身体から放出されるエネルギーの余波が周囲の建物にダメージを与えるが、地面から急速に伸び上がる植物が建物を即修復。
 かすみがうらの一地帯が植物の砦へと変わってしまう。
 ヘリオライダーであるセリカ・リュミエールは緊急報告を伝えるべく、ケルベロスのメンバーを招集した。
「かすみがうらで発生している攻性植物の事件と、人馬宮ガイセリウムで発見された『楽園樹オーズ』との関連について調査していた白神・楓(魔術狩猟者・e01132)さんから緊急の報告が入りました」
 楓の考察どおり、かすみがうらの攻性植物事件の裏には、楽園樹オーズの種を利用するシャイターンの暗躍があったとのことだ。
「ケルベロスの介入や攻性植物同士の抗争事件などを生き抜いた不良達に、より強力なオーズの種を与え、かすみがうら市街で一斉に事件を引き起こしているようです。このままでは、かすみがうらが危険です」
 オーズの種を与えられた元人間だった攻性植物を中心に、かすみがうらの市街地は密林のような街に変貌し始めており、周囲の市民達は植物に巻きつかれてグラビティ・チェインを吸い取られているらしい。
 このまま放置すれば、全てのグラビティ・チェインを吸い取られた市民は干からびて死亡し、大量のグラビティ・チェインを得た攻性植物達は、新たな力を手に入れてしまうだろう。
 攻性植物化した若者の外見は、植物の化け物のような姿となっており、体長も3mくらいある。
 また、周囲の建物が植物化している為、視認が難しく、警戒していなければ奇襲されてしまうだろう。
 セリカは手に持っていた資料に目を通す。
「周囲で倒れている市民は、道端や建物の中など合わせて200名前後。市民にとりついている植物を引き離して始末すれば救助可能ですが、救助を行った場合は、攻性植物にその事実が伝わってしまうので、気をつけるようにしてください」
 救助を行った場合、その時点でケルベロスが来たことに気づくため、こちらからの奇襲攻撃は不可能に近い。
 また、救助に時間をかけすぎたり、救助にばかり気を取られていると、敵の奇襲を受けやすくなるだろう。
 セリカは最後に、
「かすみがうらの攻性植物の事件の背後で、シャイターンが暗躍していたというのは予想外でしたが、楓さんのおかげで最悪の事態になる前に行動する事ができました。敵がかすみがうらを完全に植物化する前に、皆さんで撃破をお願いします」


参加者
大神・凛(ドラゴニアンの刀剣士・e01645)
相馬・竜人(掟守・e01889)
塚原・宗近(地獄の重撃・e02426)
クラム・クロウチ(幻想は響かない・e03458)
音無・蓮華(月詠夜姫・e03500)
据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)
アリス・クルス(なんちゃってサキュバス・e22380)
クオン・ライアート(緋の巨獣・e24469)

■リプレイ

●探索 
 かすみがうらはもはや密林。しかしながら只の密林というわけではなく、住居や施設などに木々が密接に絡み合い、荒廃した街という印象を強める。
 神聖な場所というには程遠く、歪にも黒がかった木々や苔が触れることすらも躊躇われるほどに不気味な存在感を醸し出していた。
 そんなモンスターハウスのような場所を、8名の戦士たちが自称神である少年を殲滅すべく捜索をしていた。
 全員が迷彩色の服を着用かつ迷彩のボディペイント。隠密気流を纏っている者も多くいる。
 奇襲の可能性を1%でも高めるためだ。
「神様なんてダメダメですね。世界はみんなでできているんですよ?」
 ですます口調で話しながらも、密林地帯を見上げるのは音無・蓮華(月詠夜姫・e03500)。
 蓮華は左目と地獄化された右目をそっと閉じる。
 山奥の隠れ宮で育った蓮華にとって、禍々しいながらも木々が多いこの場所で思うものがあるのだろう。
 既に滅んだ隠れ宮で、探している兄と遊んでいた日々でも思い出しているのだろうか?
「兄様はどこにいるのかな……?」
 兄を想い、兄を探す蓮華の呟きに、クオン・ライアート(緋の巨獣・e24469)の地獄化した胸は僅かな痛みを伴う。
 彼女もまた、家族である大切な姉を思い出したのだろう。しかしながらクオンの姉は既にこの世にはいない。
 折りたたんでいる翼を広げ、手に持った望遠鏡で天国を探したい気分になるが、
「今は感傷に浸るときではない、か」
 クオンは物憂げな感情を直ぐに排除し、少年を探すため望遠鏡のレンズに目を通す。
 両手を後頭部に当てながらも、アリス・クルス(なんちゃってサキュバス・e22380)は密林地帯を探索している。
 他のメンバーに比べて、服の生地が滑らか、ツルツルとしているのは気のせいではない。6歳ながらもおませなサキュバス(インキュバスでは断じてない)であるアリスの服装の露出部分が多いのが原因だ。
 殆どボディペイントに近く、キュ、とした小ぶりなお尻はご披露できず。
 捜索開始前にも、「色艶ボディを披露できないのは残念だね」と冗談めかしていた。
 実際は、大人のお友達にベッドに連れて行かれたら焦ってしまうし、快楽エネルギーの摂取方法は運動や温泉といった健全な方法。
 本当はピュアで憂い奴なのだ。
「環境破壊に対しての地球緑化とかには役立つかもだけど、養分が人じゃシャレにならないよね~」
「そうですね。捕らわれた人々が衰弱死する前に、何としても攻性植物を倒さねば」
 凛、と伸びた竜の髭を風に揺らしながらも捜索をしているのは据灸庵・赤煙(ドラゴニアンのウィッチドクター・e04357)。
 赤外線サーモグラフィカメラで熱を察知し、少年を探し出そうとしている。
 ウィッチドクターの彼にとって、生体医用に精通する可能性のある植物たちに関心がないと言えば嘘になる。
 しかしながら植物を調べている時間などない。サーモグラフィが反応を示す植物に囚われている人々を見てしまえば急がざるえないのだ。
 塚原・宗近(地獄の重撃・e02426)が赤煙の肩にそっ、と手を置く。
「市民たちを先に助けたいという気持ちもあるけど、その為にも一番の脅威を取り除かないとね。いち早くターゲットを殲滅させることが、人命救助の近道だし」
 好青年と呼ぶに相応しい宗近の柔和な微笑。焦る気持ちは宗近にもある。けれど、焦っていても何も解決しないと承知しているのだ。
 隠された森の小路によって先陣を切りながらも周囲を見渡すのは相馬・竜人(掟守・e01889)。
「聞き分けのねえガキはどこだ? 俺が必ずしごいてやる」
 少年を探す切れ長な瞳は、まるで猛禽類の鷲。右手は疼くように指を動かしている。腰につけた髑髏の仮面も、まるで少年を探しているかのような迫力を帯びている。
 血の気の多い竜人は元不良。だからこそ、今案件には業を煮やしていた。
 竜人の自論は、不良にこそ掟が必要。
 掟を破り、無遠慮に荒らす存在は決して許さないのが彼のアイデンティティ。その鉄の掟を実行するためにケルベロスとなった経歴を持っている。
「人様に迷惑をかける奴にはお灸が必要だな。私も説き伏せてやろう」
 大きな双眸で辺りを見渡しているのは大神・凛(ドラゴニアンの刀剣士・e01645)。
 弱冠18歳ながらも大人びた容姿とグラマラスなスタイル。和服を着れば、まさに大和撫子な装いになるだろう。
 高校時代は剣道部の主将だっただけに、彼女が好んで着る和服はもっぱら剣道着だろうが。
 今では竹刀や木刀ではなく、本物の刀を帯刀。現在はいつでも戦闘に入れるようにと2本の刀を抜刀している。
 2対の白と黒の刀の名は白楼丸と黒楼丸。凛が自作した代物だ。
 それぞれの刃筋が春漂う桜色の光を帯び、『妖艶』という言葉がよく似合う。
 白楼丸と黒楼丸のように、凛と一心同体に併走するライドキャリバーの『ライト』も周囲を警戒している。
「一難去ッても二難三難と来過ぎだろ……」
 後方から辺りを見渡しながらも独りごちるのはクラム・クロウチ(幻想は響かない・e03458)。
 物心がついた頃にデウスエクスによる洗脳を受け、青年期まで破壊活動に手を染めていたクラム。
 言葉の毒気が多いのは、気が弱い故。
 ただ単に臆病というわけではない。自身が行った過去を悔いているからこそだ。
 心の平穏を保つために音を奏で、渇きを潤そうとする毎日。
「デウスエクスの連中は、どれだけ下らねェ企みすりャ気が済むんだよ。! これは……」
 音源探知機を使用していたクラムの耳がぴくりと反応。メンバーに「待て」の指示を送る。
 一同はクラムの指差す方向から死角になるように木々に身を潜める。
 宗近が、隠していた巨躯な鉄塊剣を取り出し、鏡代わりに使用する。
 刀身には代わり果てた少年の姿が映し出されていた。
 3メートルを超えながらも人型は保っているが、樹木と化した肌が荒々しく、背中からは複数本の木々が大蛇のようにうねり続けている。
 8名のメンバーは頷くと、足を忍ばせ各々が奇襲をかけやすい位置へと待機を完了させる。
 そして、クオンのドラゴニックミラージュを皮切りに戦闘が開始された。

●奇襲
 ターゲットの少年の影が一瞬で色濃くなり、周りが明るくなる。
「……あ? !? うぉっ……!」
 振り向いた瞬間、大口を開けたドラゴンの幻影が少年に襲いかかる。
 術の詠唱者はクオン。
 身を焦がし、ダメージを受けたはずの少年は、高笑いを始める。
「……ククッ。クハハハハ! 丁度暇してたんだよ! いいぜ、相手してやんよ!」
 クオンに向けて手をかざした少年だが、
「……あ?」
 少年の右腕がギチギチと悲鳴を上げ、自由を奪われている。
 遠方からのサポート、クラムによる猟犬縛鎖だ。
「人様の星で好き勝手できると思うんじャねェぞ、侵略者共。と言ッてもてめェは元人間だッたな化物」 
「あぁ? まだいんのかよ。クハッ! いいぜ? 束になって掛かってこいよ。でもよぉ……」
 少年の背中の木々に実る複数の食人花が、一斉にヨダレを垂らしながらもクラムへと口を開く。
「俺は化物じゃなくて神なんだよぉぉぉ!」
 叫び声を号令に、食人花から放たれる何発もの気咬弾。大木の裏に隠れていたクラムをあざ笑うかのように弧を描きながらも、攻撃が迫り来る。
「ちッ……、クエレ! 頼む!」
 すかさず封印箱から飛び出したクラムのサーヴァント、クエレが主人を身を呈して守る。
 少年は気咬弾をこれでもかと撃ち続ける。
「ヒャハハハハハハ! どうよ! 神に楯突いた罰はよ? 蜂の巣になって死ねぇぇぇ!」
「神様になった? どうみても貴様はクズだ」
 エアシューズによって天高く飛び交っていた凛から放たれる桜色の閃光が少年を切り裂く。
「奥義 岩龍閃」
 大神家の剣術の1つであるオリジナルグラビティが炸裂。
 食人花の動きが瞬く間に固くなり、石化してしまう。
「クラム! 今のうちに体勢を整えろ!」
 3メートル近い少年が、凛に向かって拳を振り下ろす。
「次から次へと、うぜぇ!」
 凛は避けようとはしない。それどころか大胆不敵に笑みを浮かべる。
 そして、
「まだまだ来るぞ?」
 予告通り。
「どうにも悪ふざけが過ぎたようだね」
 宗近の重く正確無比な打撃にも近い斬撃、鋼刃重撃が少年の脇腹に叩きつけられる。痛みを追いかけるように、骨の芯にまで響き渡る一撃。
 追撃を掛けるのは木々から木々へと移動する蓮華。見かけは大人しいが、さすがは隠れ宮出身で鋭敏な動き。
 裾から取り出していた魔道書を詠唱し終える。
「おやすみなさい」
「冷てぇっ……!」
 吹雪の形をした『氷河期の精霊』がバランスを崩していた少年の身体を包み込む。アイスエイジだ。
 後方へ傾く少年を畳み掛けるべく、髑髏の仮面を被った竜人が距離を詰め寄る。
 荒々しい鬼神の表情を隠しながらも叫ぶ。
「ずっと疼いてたんだよ、この右手がなあ!」
 パキパキ、と5本の指を鳴らしながらも、逞しくも巨木のような黒竜の隻腕に変化させる。
「弱者が神様気取ってんじゃねえ!」
 力を込め更に膨れ上がった竜人の隻腕が、少年の心臓目掛けて穿つ。
 巨体が仰向けに叩きつけられる。
 少年は何が起こったか分からない。それでも自分が『弱者』だと卑下されたことだけは分かった。
 血を吐くほどの怒りの叫び。
「キィアアアァァァァ~~~!」
「耳障りだから喚かないでください」
 赤煙は大きく空いた少年の口に、粘度の高い『あるモノ』を投げつける。
「!? ~~~っ!」
 お見事。少年は呼吸ができず呻き始める。
 破軍葬送餅(ハグンソウソウモチ)。
 一口大に切った餅を敵の喉に押し込み、窒息させる。餅は喉の中に残り続け、体力を奪い続けてしまう恐ろしいオリジナルグラビティだ。
 少年は自分の喉に手を突っ込んで、何とかして餅を取り除こうとする。
 この僅かに生まれた時間に、別行動をしていたアリスが戻ってくる。
「被害を被りそうな周りの人たちの救助は完了したよ。これで思う存分攻撃できるよ。ね、クオンさん?」
 ウインクをしながらも、器用にライトニングロッドを振り回すアリスがクオンに向かって術を詠唱。
 雷を帯びたクオンに力がみなぎり始める。
「神へと至ったと自称する者よ。良いだろう。ヴァルキュリアである私も、私の役割を果たす事にしよう。……故に、その魂はこの地に残さぬ」
 構えていたナイフをしまい、クオンは三叉の槍を取り出す。
 槍の穂先が淡く発光し始める。
「神は天に帰す」
 ようやく喉につかえていた異物を取り終えた少年。急接近するクオンに気づく。
 時既に遅し。
「シュオルの彼方に溶けて消えろ! 選定・カナンの槍(ランス・オブ・カナン)!」
 身体を貫いた刹那、眩くも神々しい光を槍は放つ。
 浄化の光が少年の内面を燻る。
「ぐぁぁぁっ……!」
 クオンは槍を引き抜き、少年に背を向けながら思う。
 例え少年が本当の神であろうと関係ない。
 思わず本音の口調で語ってしまう。
「もし、あなたが天国でも暴れるようならば、姉上に裁かれるわ」
「ち、く、しょう……」
 膝から崩れ落ちる少年。
 一同が勝利の喜びを噛み締め、人命救助を急ぐ。
 
●愚かな自称『神』へ 
 アリスが救助したのは必要最低限のみ。救助すべき人々はかなりの人数に上り、現在は7割ほどの救助が完了したところだ。
 アリスの頭に器用に載っていたボクスドラゴン『ドラゴソ』もせっせと救助に勤しんでいる。
「救助が遅れた事をお詫び申し上げます。もう、大丈夫ですよ」
 日常ではどこか胡散臭い胡乱げな印象を持つ赤煙だが、今は町のお医者さんといったよう。
 宗近は周囲に他の敵がいないか注意をしながらも、経路を切り開いていく。
「他のメンバーたちも無事に帰って来られたらいいけど……」
 今も他の場所では、攻性植物となった若者たちが暴れているに違いないだろう。
 蓮華は首を傾けながらも考えていた。
「おーずって何だろう? ボクのいた森には無かったけど新しい植物なのかな? 食べれるかな? というよりも、自称神様を倒しても植物が晴れないとなると、撤去が大変だね……」
 クラムも「全くだ」と頷きながらもサーヴァントのクエレがとある方角を見ていることに気づく。
 攻性植物化していた少年の残骸。3メートル近い体躯もへし折れたように倒れており、儚ささえ感じてしまう。
 クエレは心に暗いものを抱える人にだけ懐く。だからこそ少年に同情でもしているのだろうか?
 そんなクエレの頭にクラムは手を置く。
「貰いもんで天狗になッてたガキだ。詰まらねェ結末だが仕方ねェよ。……クエレ?」
 クエレの様子がおかしい。犬歯を剥き出し、低く呻きながらも遠くで力果てる少年を威嚇する。
 いや、力果ててなどいなかった。
 うつ伏せながらも、微かに指を動かし声を振り絞る。
 近くにいる竜人にも気づかない声で。
「……オーズの種よ、俺に力を……!」
 少年の体内から地面に伸びきった根が、未だに救助できていない人々の養分を吸収し始める。
 少量ながらも、かろうじて立てる程度に回復した少年の目は死んでいない。血走っている。
 竜人の首筋目掛けて少年の手が伸びる。その手は竹槍のように鋭利な形状。
「後ろだ! 竜人ぉ!」
 1足先に異変に気づいた凛が『ライト』に乗って距離を詰めようとするが、到底間に合わない。
 勝利を確信した少年の叫び。
「死ねぇぇえぇぇぇぇ!」
 首筋に手刀が突き刺さる刹那、少年の腕がピタリと止まる。
「な、何で……。気づいてた、のか……?」
 右腕を古竜の腕に変化させていた竜人が少年の動きを止める。
 そして、「あぁ?」と低い声で威嚇し、メンチを切りながらも言う。
「周りの植物が消えねえから、もしやと思って張ってたんだよ。ビンゴだったようだな」
 ミシミシと少年のか細くなった腕を圧倒的な握力で潰していく。
「ひぎゃあああああああ!」
「ルールがあるから不良ってのは不良やってられんだぜ。粋がってるバカの末路くらい知ってるよなぁ? でもよお、せめてもの情けだ」
 竜人は、ゴミでも投げるかのように軽々と少年を前方へ放り投げる。
 頭から地面に落ちる少年の見た最後の光景。
「俺みたいな野郎じゃなくて、美女に屠(ほふ)られな」
 ライドキャリバーから飛び降りた凛。
「岩龍閃!」
「ぐぎゃあああああ~~~!」
 少年の悲鳴と同時に、少年の身体が急速に朽ちて干からびていく。
 そして、干からびた少年の体から光り輝くオーズの種が出現し、そのまま飛び去っていった。

作者:凪木エコ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年3月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 6/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 1
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