決戦――其の名は咆竜

作者:のずみりん

 海に投げ出され、漁師は上を見上げた。
「なんなんだ、此奴は……」
 波間に浮かぶ、漁船を打ち砕いだ巨体は屍霊の類にも見えた。船よりも巨大な戦艦竜の肉体に後脚は一本なく、前の脚も右一つがぶらぶらと揺れている。
 なにより奇怪なのは頭部だ。顎はもげ、右半面を失いながらも怒りの生気は失われていない。
「悪夢だ……くそ」
 竜の左目が男を睨む。巨腕が振るわれ、波と血しぶきが相模湾を舞った。
 
「戦艦竜『咆竜』は彼の海に未だ健在だ」
 リリエ・グレッツェンド(シャドウエルフのヘリオライダー・en0127)は相模湾の海図に示された三つ目のマーカーを再び指した。
「これまで三度、攻撃を続け『咆竜』は大きなダメージを負っている。戦闘力が衰える気配はないが、奴なりに消耗しているのだろう」
 あるいはケルベロスたちを待ち構えているのか。道を説く知性があるとは思えないが、とリリエは念を押したうえで言う。
「互いに手は出しつくした。そろそろ咆竜との決着を考える時だろう」
 
 リリエの説明する資料の密度は咆竜とケルベロスたちの激戦の年輪でもある。
「これが最後かもしれないといったが、手筈は今まで通りだ。クルーザーで海域に侵入、攻撃してきた咆竜を海中あるいは海上で叩く」
 水中戦が主となるが、戦艦竜との戦闘は短期決戦だ。『水中呼吸』があれば立ち回りに幅はできるが、なくても息は十分持つだろう。
「持久戦が不利な理由は火力と強固さにある……身のこなしはよくないが、当たればやられる。無策に攻撃すれば弾かれる」
 戦艦竜が身に纏う各部の装甲はケルベロスのあらゆる攻撃を無条件に弾き、装着された主砲は一撃で致命傷を与えてくる。
 間合いを詰めればナパームミサイルの連射と体当たり。威力は砲撃に劣るが、精度では勝り、なおかつ接近する者をまとめて薙ぎ払う攻撃範囲をもつ。
 攻撃の傾向はアームドフォートに近いが、全てが桁違いだ。
「これら武装についても破壊するのは装甲と同様、不可能に近い。状態異常は多少効果があったが頼りすぎるのは危険だ、すぐに持ち直してくる」
 戦闘力を失わぬよう集中防御を施された戦艦竜の肉体は生物兵器というにふさわしい。装甲のない部位を意識して狙わなければダメージを与えるのもおぼつかず、そのダメージも決定打とするまでは相当な積み重ねが必要となる。
「……ただ、前回の戦闘で一つ突破口が見えた。頭だ」
 先の戦いでケルベロスたちは咆竜が叫ぶ瞬間、口腔を攻撃することでで大きなダメージを与えた。これにより咆竜は顎を含む顔半分を失っている。
「敵も警戒しており、攻撃位置も限定されるので危険はともなうが……ここなら一気に止めを指せるかもしれない」
 また直接狙わなくとも咆竜は右目を失っている。右舷側は脚も前後とも機能を奪えており、意識してせめれば有利に戦いを進められるだろう。
 もちろん咆竜の側も動きを警戒しているだろうが、それを逆用してやる手もある。
 
「最後に撤退についてだが……咆竜を含む戦艦竜は攻撃してくるものを迎撃するような性質がある。後退の隙を見せれば狙ってくるが、一度逃げ切れば深追いはしてこないだろう」
 ここで倒しきるに越したことはないが、戦いは先の見えぬもの。最悪の事態を避けるため、退き際は心得ておいてくれとリリエは最後に言った。
「無事と吉報を祈っている。気をつけてな」


参加者
春華・桜花(シャドウエルフの降魔拳士・e00325)
リーフ・グランバニア(サザンクロスドラグーン・e00610)
目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)
神崎・晟(アドバーサリー・e02896)
山之内・涼子(おにぎり拳士・e02918)
陸野・梅太郎(黄金の脳筋犬・e04516)
九頭龍・冥(屑龍・e11303)
弓塚・潤月(潤み月・e12187)

■リプレイ

●咆哮、未ダ健在ナリ
「(とうとう船まで攻撃に使うか……どれだけ攻め満載なんだ私達は?)」
 クルーザーから冬の海へと飛び込むリーフ・グランバニア(サザンクロスドラグーン・e00610)は自分たちにむけて苦笑する。
 選択に後ろめたさはない。彼女としては三度目、全体では四度目の攻撃。敵の強大さはよく知っていた。
「アレが戦艦竜か……デカイな。アレを倒すのを考えると、楽しみで仕方がナイぜ」
 クルーザーへと近づいてきた影に目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011)は意気揚々という。彼女はこれが初めての参戦。噂に聞く戦艦竜、さていかほどのものか?
「……いよいよリベンジの時だね……!」
 その隣では山之内・涼子(おにぎり拳士・e02918)が手甲をおびた拳を握っていた。山之内流武神空手の意匠で作り上げられたバトルガントレットを手に、一度は弾かれた拳を今度こそ通さんと。
 彼女を見るリーフもまた、傷痕がむずかるような不思議な感触を覚えた。
『決着をつけろ』
『奴を討ち果せば、傷は癒える』
 そう身体が呼びかけている。本当に殺せるのか? と、揺れる心に抗うように。
「どうした、随分とボロボロじゃないか……」
 はっきりと視界に捉えられた姿に、まるで幽鬼のようだと神崎・晟(アドバーサリー・e02896)は唸る。
 咆竜に叫び声をあげる口は半分なく、巨大な脚も一本が消え、もう一本もついているだけというありさま。それでもまだ、この戦艦竜は恐るべき戦闘力一切を失っていないのだ。
「……ヒュー……フゥー……!」
 砲塔が失われた頭部に負けじと轟音を上げ、一瞬置いてクルーザーが吹き飛ぶ。既に四度目の展開だが、今回の船は完全に囮。ケルベロスたちは先だって飛び出しており、被害はない。
「だいぶ弱ってて倒せる可能性がゼロじゃない……だったら答えはひとつよ」
「あぁ。必ず殺しきる……!」
 頼もしい弓塚・潤月(潤み月・e12187)の笑みに、陸野・梅太郎(黄金の脳筋犬・e04516)は一つ頷き、ライドキャリバー『ウルフェン』のスロットルを握る。その眼は戦友の鎌が与えた古傷をしっかと捉えていた。
「機は熟した、いざ往かん!」
 合図は真と晟のブレイブマイン。極彩色の爆発が海中を揺るがし、ケルベロスたちは飛び出した。
「また会ったな、強敵(とも)よ! 憶えているか!?」
「まずは弱点を……見いだせれば!」
 囮と奇襲に気づいた咆竜めがけ、リーフの拳、春華・桜花(シャドウエルフの降魔拳士・e00325)の脚刀が連打し艦橋部分を揺るがす。そして注意が左舷へと向いた刹那。
「なーにが戦艦竜だよ、調子こくんじゃねえぞデカブツ! 人様の星で好き勝手暴れやがって、いい加減消えやがれ!」
 九頭龍・冥(屑龍・e11303)の屠竜槍が高々と振り上げられ、唐竹割に咆竜の胴へと打ち込まれた。

●バトルシップ
 戦艦という船種には二つの意味がある。
 広義には、戦に用いられる戦闘用の船。ウォーシップ。
 狭義には、戦船の頂点に立つ決戦兵器。バトルシップ。
 咆竜が背負う『戦艦竜』の名の意味は間違いなく後者であろう。
「この、野郎! サイズは違ってもあたしだって竜なんだよ、おらあぁぁぁぁッ!」
 衝撃とが冥を襲った。竜尾の一撃に匹敵するという屠竜槍の渾身が、あっさりとはじき返された。側面の砲塔が狙いをつけてくる。咄嗟、彼女が身を退くと同時に轟音。射線上の海底岩礁が跡形なく消し飛んだ。
「装甲はボクたちじゃ歯が立たない! 弱点の古傷か、装甲のない所を狙って!」
「わ、わかってるっすよ! 忘れてたわけじゃないっすよ!」
 後脚のもげた痕へ旋脚を叩きこむ涼子のアドバイスに冥はかみつき気味に言い返す。知識として聞いてはいた。聞いてはいたが、現物は想像を数回り超えていた。
 巧妙に配置された集中防御の装甲は漠然と攻めて抜ける甘いものではない。そして装甲に当たれば最後、弱点属性など以前の段階でケルベロスたちの攻撃は弾かれる。
 人類の戦艦の定義が当てはまるとすれば、この装甲は最低でも咆竜自身の砲撃に抗堪する強度を有しているのだ。
「なかなかやるじゃないか……認識を改める必要がありそうだぜ」
 見せつけられた脅威に真も思考を切り替えた。奴は倒れるところを想像すら困難な相手、思考と技の全てを動員して道程を見つけなければ倒せない強敵だと。
「……回復ヨロシク、煎兵衛」
 相棒のナノナノに声に出して呼びかけ、彼女は周囲を旋回するように水中を飛んだ。縛霊手から光弾を不連続に放ち、反応した砲塔から小刻みに身をかわして引き付ける。
「狙うべき場所はわかっている……もはや迷いはない」
 爆発が連続する水中で、巧みに真と軌道を交えながら誘導する晟はぼそりと呟く。迷いはない。それは咆竜の側も同じ事だろう。
 すぐそこに見える半壊した頭部を今すぐ食い千切ってやりたいが、馬鹿正直に正面からいけば待ち構えている砲塔とミサイルの十字砲火を喰らうだけだ。
「本当、学んでいるのはお互いさまよねぇ……」
 奇襲からの流れで艦橋部を攻めてきた桜花たちも似たようなものだ。向こうも首を狙ってくる敵に注力しているのか迎撃の密度は幾分薄いが、巧みに動き回って身体を叩きつけてくる。
 その巨体ゆえにかわすのは容易。だが体当たりから身をかわすという事は距離が離れるという事でもある。これまでに与えたダメージも小さく、こちらからの突破はまだ時間がかかりそうだ。

「……ゥウ……ュー……」
「大丈夫よ、結界で持ちこたえられるわ!」
 打ち出されるナパームミサイルの雨に結界を張る潤月は仲間たちを安心させるように言う。延焼の被害も馬鹿にはならないミサイルだが、海底に描いた星辰の守護結界は仲間たちを良く守ってくれている。
 更に敵の視界を迂回して喰いつこうとする梅太郎に分身を渡し、潤月は勇気づけるように呼びかけた。
「さぁ、後ろは任せて!」
「ありがてぇ! ウルフェン!」
 主の指令にサーヴァントの騎馬は獣と機械の咆哮で応える。トップギアで海底を蹴る車輪、炎をまとった赤と金のライドキャリバーが装甲に激突する瞬間、梅太郎はその背を蹴った。
「友の与えた傷、引継ぎがせてもらうぜ!」
 分離した二人に反応が遅れた咆竜に言い捨て、金毛のウェアライダーは裂けた首の傷へと取りついた。それは戦友が先の戦いで与えた傷の一つ。
 虚の力を纏った簒奪者の鎌刃が傷口を抉り、鮮血の花を戦艦竜へと咲かせて引き抜かれる。
 怒りのままに小生意気な猟犬を払おうとする咆竜だが、その首筋が爆発した。
「やっぱり視界は悪くなってる……がら空きだよ!」
 右舷へと回り込む涼子に咆竜の対応は明らかに遅れた。そして『サイコフォース』魔力的攻撃への脆弱性……弱点とは言えぬ程度の差ではあったが、咆竜の強大さにも綻びがようやっと見えてきたのだ。

●決戦
「効果ありだ、このまま首をもらうとしようぜ!」
「乗らせてもらいましょう。さぁ、いらっしゃい!」
 真の提案に桜花は返事を攻撃で返す。艦橋に集中してきた攻撃を一気に頭部へ、ただし左から。まだ息のある頭部の半分が睨みつけてくるが、それこそ彼女の狙い通り。
「ええ、そうよ。その視線……さぁ、手の鳴る方へ!」
 挑発的に放たれる気の弾丸が表皮に爆ぜては音を出す。苛立たしく砲火が返されるが、真の呼び出したドローンたちが身を挺して彼女を守る。
「しもべ達よ、皆を守れ……保たせてくれよ」
「ナノ!」
 真へと打ちかかる火力は煎兵衛が決死に護り、癒す。生命の限界時間を示すタイマーのようにハート型のバリアは輝きを減じていく。あとほんの少し。
「狙いは顎……チンだ。まぁ奴にはもう存在しない部位だが、イメージはいいな?」
「バッチリ、完璧! 目に物見せてやるっすよ」
 先を往く晟に冥は凶暴な笑顔で親指を立てた。晟は既に盟友ラグナルのグラビティチェインをインストールし、変化を開始している。急激に大型化する肉体に押しのけられた水が波となり、濁った泡を立てた。
「最後まで相手をしてもらうぞ……貴様の魂、我らが牙刃の錆とさせてもらう!」
「ゥゥ……? ォォォーッ!」
 猛る砲戟龍と声なき戦艦竜、先の戦いより姿を変えた二巨竜はぶつかりあった。
 以前の激突より、それが陽動である事を咆竜は学んでいたかもしれない。しかし、そうであったとしても無視できない質量を海の防人は叩きつけた。
「恐れるな! 奴も手負い、我らも手負い……踏み込んだ方が勝つ!」
 以前に増して大型化した砲身が繰り出す『砲戟龍の裂咬』を見届けながら、リーフはグランバニアの宝具を手に喚びだして突っ込んでいく。此方の竜が戦える時間は短い、生かしきるためには援護がいる。
「いよっしゃぁ! ドラゴニアン三人集まりゃ戦艦竜も山に登るってなぁ!」
 最高潮のテンションと速度で冥は拳を突き出した。砲戟龍の巨体が消えた後、まだ残る南十字の輝きを照準にするように打ち込まれる右ストレート。
「世の中にはなぁ、不沈艦なんて存在しねえんだよ! 戦艦だろうが空母だろうが、全部沈めてやらぁ!」
 自宅警備員の情熱全てを乗せた拳は今度こそ的確に、咆竜の頭蓋をとらえ砕いた。

●竜が沈む日
 それでもまだ、戦いは終わらない。
 力なくうなだれる頭部が嘘のように砲塔は旋回を続け、飛び込んだケルベロスたちを追いかけてくる。運動エネルギーを使い果たした冥を押しのけるように梅太郎は飛び出した。
「冥、捕まってけ!」
「梅ちゃん、無茶しちゃダメよ!」
 潤月が叫ぶなか、その姿が爆風に消える……否、爆発を突き破って黄金の車輪が飛び出した。間一髪投げたマインドシールドが身を守ったのだ。
「これだけ殴ってもダメなら、もう切り落とすしか!」
 逆方向からは桜花が突っ込む。降り注ぐミサイルの雨をロンダートからの姿勢転換でかわし、回転跳躍。重力の楔を瞬間的に解き放たれた肉体が加速し、繊月の軌道で敵中枢へと滑り込む。
「てめぇの為に必死に戦ってきた仲間全員の一撃だ!」
「その魂……断ちます!」
 満月の如き肉体の丸鋸と三日月のギロチンが戦艦竜の首を挟み込み、凄絶な不協和音を奏でる。最後まで包囲を緩めぬケルベロスたちの耳に、首をひねる咆竜の声なき叫びがこびりつく。
「……ォ……ァ……ァァァーッ!」
「くそ、やらせるか!」
 死なばもろともというのか、自らの首筋に砲を向ける咆竜に真は割り込んだ。
「まだ戒めが足りないようだな! 空隙拡散!」
 海中に放たれた『凍爆』、冷気の亀裂に縛られながら砲塔が火を噴いた。身体で受けた真が吹き飛び、バリアが弾ける。爆風の余波に滑った桜花たちの身体が咆竜の首を裂く。
「ちょ、ちょっと……嘘でしょ!?」
 肉、骨、装甲。様々な残骸が弾丸のように舞い散る中、涼子は息をのむ。一子相伝、必殺を旨とする武神空手の教えが危険を告げている。奴はまだ生きていると。
「頭すら急所ではない、というのか……?」
 晟がうめく。咆竜の胴体で砲塔が動いている。昆虫など、頭脳を失っても暫し反射で動き続ける事はある。だが此奴の動きはそんな『足掻き』を超えている。
 不死のデウスエクスといえど、重力の楔を打ち込まれ、頭脳を失って動き続けるなどありえるのか?
「急所……弱点は……!?」
「涼子!」
 もう動くものも少ない海にリーフの声が響く。ミサイルのサイロが一斉に開くのを前に、彼女は声の基へと跳躍した。
「もはや消去法だが、あそこしかない……!」
 南十字の槍が示す先は最初に狙った艦橋、砲塔基部。ミサイルが上昇してくる僅かな時間で頷きあい、二人は駆けた。
「我が父祖よ! 無念の民よ! 邪竜の最期、御照覧あれ!!」
「これで……終わりだーーーー!」
 追尾してくるミサイルを多角高速機動で振り切り、勝鬨を叫んで突入するリーフ。激突の瞬間、涼子の剛手甲から迸る力が衝突面を爆破する。
「流れ去れ……!」
 無我夢中であった。
 気づいた時、足は海底を踏みしめており、振り向けば咆竜の巨体が数度爆ぜた。

●海の古兵は死なず
「……いかん。退避するんだ……!」
 晟は叫んだ。
 リーフたちが貫いた場所と爆発。力尽きつつある咆竜を前に、海の男の記憶が危険を告げていた。
「あの規模の火力が誘爆すれば……深海まで巻き込まれかねん!」
「な、なんですってぇ!?」
 なんとか真を抱きかかえた潤月が緊急事態に叫び飛ぶ。その間にも小爆発が二度、沖合へと叩きつけるような衝撃波が現実味を持って襲ってくる。
「命は取らせても首まではやらねぇ、ってか……」
 相棒に引っ張り上げられながら梅太郎は手にした鎌を見、海底の仇敵へと振り向いた。遂に動きを止めた首が爆発に飲み込まれていく。
「御然らばだ、強敵(とも)よ……!」
 衝撃に備えろ、と誰かの声がする。会場からリーフは礼を一つし、迫る力に身を固めた。
 咆竜は死んだ。だが、その亡骸をケルベロスたちに見せる事もなかった。

 戦艦竜の消えた海上には太陽が輝いていた。
「壊れた船は……案外直せるものですねぇ」
 手馴れた様子で船をヒールする仲間たちに桜花は感心しながら身を投げ出した。
「オツカレさん……さっさと帰って温かいモノでも食べようぜ」
 命あっての物種という言葉を実感し、真は声を吐く。今回はあまりに規格外すぎた。戦艦竜、ドラゴン、これほどの敵がまだ世界のどこかにはひしめているのか?
「海は取り戻されつつある……けど、これからどうなるのかしらね」
「わからん。だが戦い続けるだろうさ、海と国民を守るのが私の仕事だったんだからな……すまない、パイプを取ってもらえるかな?」
 横たわる晟の返事に潤月はそうね、と笑った。動けぬ彼に代わって荷物を探そうとすると、涼子がそれを差し出してくれた。
「おつかれさま。ラグナルも」
「ありがとう。疲れたな、今日は」
 仲間とサーヴァントへ礼を言って一服。咥えたハッカパイプを味わいつつ、海の戦人は暫し目を閉じた。

作者:のずみりん 重傷:春華・桜花(桜エルフ・e00325) 目面・真(たてよみマジメちゃん・e01011) 神崎・晟(熱烈峻厳・e02896) 陸野・梅太郎(ゴールデンサン・e04516) 九頭龍・冥(屑龍・e11303) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年2月13日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 20/感動した 2/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 0
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