『雷竜』ジェイド

■リプレイ

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　ずん、と世界が揺れる。
「ドラゴン、か……」
　ビルの間からのっそりと姿を現したドラゴンを前にして、サニーレイド・ディルクレディア（因果断ち・e02909）はそう呟いた。
　同じ竜の姿を採る種族というだけで、彼女達ドラゴニアンとドラゴンとの間には未だ共通点は見出されてはいない。
　それでも、である。
「斬らねばなるまいな」
　誇り高き勇者の種族の戦士が、配下をばら撒き弱き者から奪うだけのドラゴンを許すわけにはいかない。――似た姿ならば、尚更だ。
　左手から放たれた黒き鎖が仲間達を取り巻き、魔法陣を描く。同時に、ドラゴンの眼ががぎょろりと動き、その視線にケルベロス達を捉えた。
「やっと気づいたの？　でも、遅いわ」
　無論、ドラゴンよりも早くケルベロスは倒すべき敵をその視界に収めている。中でも、全てを見通すべく精神を研ぎ澄ました少女、翡翠寺・ロビン（シャドウエルフの鹵獲術士・e00814）はいち早くその闘気を練り上げ、狙いを定めていた。
「あなたより速く。先制の銃弾、叩き込んであげる」
　優しげな面立ちと、意思を秘めた翡翠の瞳。躊躇う事なく引鉄を引く。彼女を取り巻くオーラが弾丸となって、竜の鱗を穿った。
「まさに歩く災害だな、竜とは」
　デウスエクスの中でも最強と目される存在だけあって、巨大なる体躯と鋭い爪牙は凄まじい威圧感を放っている。
　それでも、クルス・カデンテ（シャドウエルフのガンスリンガー・e00979）の戦意が挫ける事はない。目視と同時に走り出した彼は、ガードレールに身を隠しつつリボルバーを両手で構える。
「再び羽ばたく機会なぞ、貴様に与えるつもりはない」
　弾丸が放たれ、竜の前脚へと突き刺さる。だがそれは鉛ではなく影の弾丸。クルスの篭めた魔力が、毒となって肉を蝕むのだ。
「慈悲を請う気はないだろう？　俺も与える気など更々ないが」
　即席のチームとは思えぬ流れる様な連携。一気に押し切れとばかりに躍り出るのはルビーク・アライブ（冥府の番人・e00512）である。
　大鎌を振りかざし、竜をこの場に釘付けにすべく走る男。地球人として辛酸を舐めた以上の何かが、彼を駆り立てる。
　しかし。

　――調子に乗るな、小さきものよ。

　低く圧する声が、彼の足を止めた。一瞬遅れて、それがドラゴンの声だと気づく。びりびりと震える空気。吹き飛ばされそうな音圧。いや。

　――我、雷竜たるジェイドを屠ろうとは、片腹痛いわ。

　それだけではない。ばちり、ばちりと走る稲妻。帯電した空気が弾ける中、ドラゴンの口から眩い光が溢れ出す。
「散開せよ！　来るぞ、稲光輝く竜の咆哮が！」
　ラハティエル・マッケンゼン（黄金炎の天使・e01199）の声が響くが、動くには遅い。
　それは雷の吐息。竜が放つブレスと呼ばれる攻撃が解き放たれ、幾人ものケルベロスを巻き込んだ。
「……負けてやるものか！」
　だが、雷に呑まれながらもルビークは止まらない。その心が折れる事はない。一気に足下まで走り抜けたかと思うと、呪力を纏いし大鎌を振るい、生気を奪う。
「力強い言葉には、些か緊張を覚えてしまうな」
　一方、もう一人の地球人たるアクセル・レインウォール（洸剣・e00746）もまた、父の教えそのままに勇敢なる戦意を持って敵と対峙していた。
　彼の言う力強い言葉とは、即ちドラゴン。最強種族の名は、僅かなりとも緊張を彼に強いている。
「今の俺が――俺達の力が竜と呼ばれる存在に通じるのか、試させて貰おうか」
　重力を統べるという大剣を掲げれば、地面に輝く守護星座。先ほど雷に打たれた者達を柔らかな光が包み、傷を癒す。
「俺の名はアクセル、アクセル・レインウォールだ」
　そして、剣を構え笑みを湛えて、彼は自らの名を名乗るのだ。

「討伐対象、雷竜ジェイドを捕捉――」
　戦場には不釣合いにも思える執事服を着こなした青年、久々津・零（レプリカントレプリカ・e00686）が優雅な一礼を施した。
　隙無く着込んだ衣装は肌の露出を許してはおらず、彼がレプリカントであると強く主張するものは何もない。唯一つ、滑らかな動きとは裏腹の、プログラムめいた雰囲気を別にすれば。
「――戦闘、開始致します」
　クルスの銃声をきっかけに駆け出す零。指に嵌めたリングから生まれた煌々と輝く剣を掲げ、一足に飛び込んで閃光を走らせる。滑らかに表皮を裂く輝剣。予測通り、と呟いた彼は、激しい動きにも息切れ一つしていない。
「御見事！　ならば私も続くとしよう。En Avant！」
　会敵前は空中から索敵していたラハティエルだが、既に地上にて二振りの剣を握り、突撃の機を待ち侘びていた。初陣なれど勇躍、背に広げた翼の誇りと強かに口にした酒精の酩酊は、彼に一片の怖れをも抱かせない。
「私はラハティエル、懲罰の天使が一翼。主の力を行使する者として、汝ジェイドに裁きを与える！」
　二振りの得物を叩きつける様に振り抜けば、傷口を地獄の炎が灼き尽くす。
「我が黄金の炎を受け、そして絶望せよ」
「ふむ、心強き若者達よな」
　壮年のドラゴニアンであるヨハン・リュウゾウジ（リュウケン・e00676）が、思わずといった様に頷いた。同族たるサニーレイドをはじめとしたケルベロス達の果敢な攻撃、そして零とラハティエルが見せた見事なる突貫。
「ワシもリュウケンの称号を得、それなりの身であると思うておったが、やはり世界は広い」
　そう顔を綻ばせた彼は、これが井の中の蛙というやつか、と喉を鳴らした。そして、若者達に感化された様に、ヨハンはすう、と大きく息を吸う。
「此処に在るはヌシの同族の多くを屠りし者よ！　貴様に勇あらばかかってくるが良い！」
　そう大音声を上げて、彼もまた巨竜へと打ちかかる。魂を削るという拳の一撃。その手応えを感じながら、 着流しの武人は楽しげに笑んで見せた。

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「絶え間なく撃ち続けるんだ！」
　セルベリア・ブランシュ（シャドウエルフの鎧装騎兵・en0017） の号令と共に、ドラゴンへと一斉に攻撃が浴びせられる。激戦。強張った表情で砲撃を放つ彼女の唇に、ふと何かが押し込まれた。一瞬遅れて、チョコレートの甘みが口内に広がっていく。
「緊張してたら逃がしちゃうよ」
　そんな気遣いを見せたユルの援護を受け、ジケルと大義、親子以上に年齢の離れた和装の二人が斬り込んで行く。
「面倒な相手だな」
「隠居の爺には中々刺激的じゃよ」
　一方、彼らと反対側、竜の背を取る様に動いた零は、後脚へと不可視の刃の如く鋭い蹴りを見舞った。手応えはある。だが、浅い。
「……比較計算完了。やはり、魔力や霊力での攻撃が有効と推測します」
　魔力、力任せ、速度を上げた技巧の一撃。様々な攻撃を繰り出していた彼は、その中で最も手応えのあったものこそがジェイドの弱点だと見なしていた。
「効果的って訳だな」
　応じたのはアクセル。鱗が駄目なら瞳、瞳が駄目なら口。少しでもダメージが通る手段を探して彼にとって、それは試す価値のある情報だ。
「なら――爆ぜろ！」
　恐怖と共に感じる好奇心。正々堂々と立ち向かい、強大な敵を倒す事を望む彼ならばこそ、勝利への執着は強い。勝ちたい、ただそれだけを極限まで念じれば、突如として竜の首が爆ぜる。
「やったか……って零、大丈夫か」
「問題ありません」
　その身も省みず突撃を繰り返していた零は、顔の肌外装が損傷し、機械の身体が露出してしまっている。だが、気にする風もなく彼は会釈を返すのみだった。

「巨大な相手だし、難しい事は考えなくてよさそうと思ったけど」
　荒れ狂う雷、迫り来る爪と尾。動き回る敵と味方を避けながら、ワンピースにサンダルという可憐な姿のロビンはそっと杖を掲げた。
「そんなに簡単にはいかないわよね」
　目まぐるしく変わる戦場。強大な敵。どこか疼く胸に折り合いを付け、彼女の杖は竜を指し示す。
「――我が剣よ。泡沫の眠りより目覚め、滅しなさい」
　瞬間、ロビンの瞳と同じエメラルドの輝きが四方を包んだ。ドラゴンを包む無数の硝子片。次々と突き刺さっていく魔力を乗せた破片が、鱗の隙間から幾度も肌を抉り取る。
「フッ……、まさに天上の如き美しさだ」
　感嘆の声を上げるラハティエル。彼にとっても、僅かの間に翠に染まった光景は、ただ驚きだったのだ。しかし、それだけで終わらないのも、またこの男である。
「我が黄金の炎こそ、地獄の業火にして希望の輝きだ」
　炎を翼に纏い、騎士鎧の面頬を下ろす。愛剣を腰溜めに構え、切っ先を竜へと向ける。
「黄金の焔は、揺らぐとも消えぬ！」
　おおっ、と鬨の声をあげ、彼はジグザグのルートを描きながら突撃する。視界で竜の前脚が上がるのが見えたが、何を躊躇うことがあろうか。
　彼は騎兵。愛馬が傍に居なくとも、敢えて直進を躊躇おうとも。敵の足を止めるべく突き入れられた得物は、決して止まらない。
「なに、一人で行くでない」
　その隣に併走するヨハンが、紅い瞳を緩めて笑んだ。弱体化しているとは言え、竜が相手なれば油断は出来ぬ。
　ならば、この若者と共に往くのも、また一興だろう。
「龍造寺炎闘術、ヨハン・リュウゾウジ――推して参る」
　硬化した爪が鋭い得物となり、軽々と鱗を裂く。そして、一足先に足を止めたヨハンを追い越したラハティエルの剣が、勢いをつけて敵の腹に突き刺さった。

　爪が。尾が。吐息が。一歩間違えれば死に至る脅威が彼らを襲い、傷つける。
「楽になったかよ？　さぁて、それじゃあ骨の髄まで楽しもうぜ」
「頼むから、最前列に躍り出て大暴れ、なんてするんじゃないぞ」
　纏う闘気を戦いを続ける気力へと変え、撃ち出したシュリア。活力溢るる弾丸が零を包むのを見てはしゃぐ彼女を、クルスは溜息一つ、苦い顔で宥めてみせる。
「しかし、流石にしんどいな……見掛け倒しじゃないってことか」
　面倒臭げに呟いて、身体に這わせた黒い液体をぞぶりと震わせる。突如、がば、と盛り上がりドラゴンに襲い掛かる黒。勿論、敵も巨体ゆえに呑み込むには至らないが、液体に溶けた呪的な力が酸となって肌を灼くのだ。
「丸呑み……はきついな。じわりと蝕まれろ！」
「改めて見ると、なかなか凄まじい光景だな」
　自らも黒い液体を操るサニーレイドが嫌な顔をする。暑いからかケルベロスコートを半ば脱ぎ、肌を露にしている彼女にとっては、悪い冗談にもならないのだろう。
「やはり、私にはこれしかないな」
　すらりと得物を掲げれば、陽を映し光が瞬く。霊力すら漂う美しい刀を正眼に構え、彼女はすう、と息を吸った。
　そして。
「我が身は一振りの刃なれば――」
　次の瞬間。息を吐く間に深い集中状態へと入ったサニーレイドが放つ、全てを真っ直ぐに断つ事に全てを注いだ斬撃。剣筋すら見えぬ一閃が、竜の腹に深い傷を開き、鮮血を溢れさせる。
「――これを通すは意を通すなり」
　だが、それ程の攻撃をした者をジェイドは見逃さない。肉を引き裂く竜の爪が、容赦なく彼女に襲い掛かる。
「……守ると言っただろう。その言葉に嘘はない」
　爪に半ばを抉られながらも、大鎌を盾に攻撃を受け止めるルビーク。背にしているであろうサニーレイドに一声くれて、彼はぐい、と爪を押し返す。
「俺は皆を守る盾。傷つくのは覚悟の上だ」
　けれど。
　炎を纏わせた斬撃を見舞いながら、彼は戦友達に願うのだ。俺は絶対に生きて帰る、どうか力を、と。

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　果てることが無いかと思われた無窮の体力。
　それが、遂に尽きようとしていると露になったのは、戦いが始まってかなりの時間が経ってからだった。
「竜の相手は、まこと骨が折れるわ！」
　かんらと大笑するヨハンは、ふと神妙な表情を作り、腰の刀へと手を伸ばす。
「我が刀はみだりに抜くものではない。故に、これを抜かせたヌシの勝ちじゃ」
　呪符を引きちぎり鞘走らせたのは、いと麗しき竜の宝剣。力無き者を襲う傲慢を討つ武の光。
　ああ、故に我らはケルベロス。不遜にも正義を僭称するもの也――。
「悪竜討ちし十三勇者が一人、火の勇者よ。御身の名にて封印を解かん」
　そして、彼は禁忌を解き放つのだ。抜刀――『イレスカムイ』、と。
　高く飛び上がり、そして急降下。その手の刀が纏うは業火。大上段からの一撃が、強かに竜の首筋を灼き斬って。
「さあ、必ずや竜討伐の栄誉を掴み取ってみせよう！」
　高らかに呼ばわったラハティエルが、軍旗を掲げるかのように大きく翼を広げた。胸元で切るは聖なる十字。同時に、天上より光が差し込み、彼を包む。
「父と子と聖霊の御名において……Gnadenstoss！」
　止めの一撃。そう口にするだけで、勇ましく胸が躍る。ドラゴンよ、暴虐なる者よ。いざや、往かん――！
「全ては、かくあれかし！」
　天なる一撃と化した大剣が、竜の前脚の鱗を貫き、遂に肉を切り飛ばす。両断とはいかぬまでも、その痛みに身を震わせるジェイド。
　だが、竜もまた抵抗をやめない。口腔に雷を溜め込んで、何度目かのブレスを解き放つ。咆哮。眩い光の中、幾人ものケルベロス達が強烈な痺れに身を強張らせる。
　だが。
「俺の後に続け。生き残る覚悟はあるならな」
　しっかと足を踏ん張って立ち向かうルビークを中心に、風が渦を巻く。始めは緩やかに、そして強く。戦塵はおろか稲妻の残滓さえ巻き込んで強く吹く風が、身体を冒す不浄を祓っていった。
　負けてやるものか。
　怒れる竜を前にして尚、彼の心が折れることはない。彼を突き動かす信念、失われた者達への聖なる誓いは、決して彼に敗北を許さない。
「これ以上暴力だけの世界を作らせはしない。此処で終わらせる！」
「本当は仲良くしたいけど、話を聞いて貰えないなら、頑張る、よー」
　そう声を合わせるアイラが起こした色彩豊かな爆発と、彼が連れた金色の竜ミュミュがルビークに手を貸し、ジェイドに接近する仲間達を癒していく。
「面倒は嫌いなんだ、とっととくたばれよ」
　そうは言いつつも、『戦う理由』を持つクルスが手を抜くことなどありえない。かつて日銭の為だけに戦っていた頃ならいざ知らず、今彼はケルベロスとしてここに居るのだから。
「でかくても当て放題とはいかないが……」
　それでも、この銃弾は外さない。その気概を篭めて、誇り高き保安官は駆け抜けながらも超人的な速さで狙いを定め、引鉄を引いた。
　暴れ悶えるドラゴン。その翼に、塞がらぬ穴が開く。
「――地に落ちた竜のまま、朽ち果てていけ」

「ドラゴンは殺す、慈悲はない」
　冷酷なほどに鋭い台詞を投げかけるサニーレイド。既に眼前の竜は満身創痍であった。完全な力を取り戻していればまた違った結果になったであろうが、今更是非もない。
「……左目が疼くんだ」
　ウェーブのかかった桃色の髪に半ば隠れた、彼女の左目を通る傷。その原因となった記憶を彼女は失っていたが、しかし身を焦がす熱がサニーレイドを駆り立てる。
「これで――終わりだっ！」
　霊力を纏いし太刀が、仲間達が刻み付けた傷を押し広げるように裂いていく。そして、虎口に飛び込んだ彼女を救うかのような、アクセルの剣閃。
「俺の未熟故か。これは使いたくなかったんだがな」
　そう言いつつも、彼の心は自分の台詞を否定している。正道こそが我が誉れ、正面から戦う機会を得て、どうして持てる全力を尽くさぬという事があろうか。
「……ジェイドよ、その名を我が誉れとして心に刻ませて貰おう」
　少しでも気を抜けば制御を失う超高速連撃、アクセルの技量を限界まで引き出してようやく形になる大技。空間を埋め尽くすかのよう無数の斬撃がドラゴンを襲い、大剣が反射する陽光が乱れ飛ぶ。
「『雷竜』ジェイドの生命力低下を確認。皆様、あと一息です」
　竜へと殺到する攻撃。沸騰する戦場で奇妙に落ち着いた零もまた、自らの役割を果たすべく指に嵌めた指輪に魔力を篭める。
　ふと、己の掌を見た。刹那の間の後、握り込んで前を見る。赤橙色の瞳には、もはやドラゴンしか映っていない。
「最適プランの実行を継続。討伐対象、正面方向に目視」
　走り出す。それは最初から変わらない、自分が攻撃されることを考慮しない愚直なる直進。いや、彼の実力ならば、何が最も効率的かという事は判っていよう。
　――単に、自分のことなどどうでもいいのだ。モノであるが故に。
　それでも。
「……皆様の連携は、ケルベロスのチームとして良い傾向であると判断します。学習パターン変更の必要性を提議します」
　指輪から溢れ出た光が剣の形を無し、ほとんど伏せた体勢のドラゴン、その胸を貫いた。
「私、竜は好きよ。強くて、かっこよくて、美しいから」
　そして、小柄な身体ひとつ。ロビンは雷竜の前に立つ。右手には鎌。けれど、ジェイドを仕留める得物はその刃ではなく――彼女の戦う意思だ。
「でも、ぶっ潰してあげる」
　左手が、そっとネックレスに触れる。トップには赤い鱗。その感触に勇気付けられるように、少女は果て無き殺気を発する竜の瞳と相対する。

　――おのれ、このような小さきものどもに――！

　ロビンの全身から溢れ出るオーラが銃弾を象り、真っ直ぐに飛ぶ。その先には首をもたげた竜の頭部。銃声を置き去りに空間を疾走する弾丸は、見事にドラゴンを撃ち抜いて。
「――さよなら」
　ずん、と倒れ伏す巨体。それが、強大なるドラゴンを討った致命傷となった。

作者：弓月可染	重傷：なし 死亡：なし 暴走：なし
種類： 公開：2015年9月1日 難度：普通 参加：8人 結果：成功！
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