オールドカー・クライシス

作者:キジトラ

 カーワックスをかけ終えて、男は満足げにうなずいた。
 ピカピカに磨き上げられたのは、造られて30年以上は経つスポーツモデルの日本車だ。近年になって人気が出たこともあり、パーツも手に入りやすくなったことから、もうレストアしたと言っていいぐらいの修理が行われている。
「お前との付き合いも長いなあ」
 愛おしそうに車を撫でる男の顔には老いによるシワが見える。車と同じだけの月日を、男もまた経てきたのだろう。
「一度は手放したけれど、やっぱりお前じゃないとしっくりこないわ」
 もう昔のように走らせることはないだろうが、それでも体に染み付いたものがある。共に培ってきたものがある。何よりも男にとって車は戦友も同然であった。
「……気持ち悪いわ」
「えっ?!」
 突然、背後から聞こえてきた声に男は慌てて振り向いた。
 いつの間にガレージに入ってきたのか、黒いコートの少女が立っている。少女の手には大きな鍵のような物があり、それを男に向けて突進してくるではないか。
 慌てて避けようとするが、意表を突かれたこともあって鍵は男の心臓を穿ち……。
「あんたの愛って、気持ち悪くて壊したくなるわ。でも、触るのも嫌だから自分で壊してしまいなさい」
 少女が声をかけるのと入れ替わりに音を立てて男は倒れた。
 その背後にはいつの間に現れたのか、レーサースーツにフルフェイスのヘルメットを被った人型の何かがいる。というのも、そのフルフェイスの部分のすべてにモザイクが掛けられているからであった……。

「お集まり頂きありがとうございますの。集まって頂いたのは、見返りの無い無償の愛を注いでいる人が、ドリームイーターに愛を奪われてしまう事件が起こっているからですの」
 テッサ・バーグソン(シャドウエルフのヘリオライダー・en0130)もそのひとつを予知したと、事件の経緯を説明する。
「被害に遭ったのは、篠崎さんという50代の男性で、愛を奪ったドリームイーターは『陽影』という名のようですの。彼女の正体は不明ですが、奪われた愛を元にして現実化したドリームイーターが事件を起こそうとしているようですの」
 愛を奪われる被害者をこれ以上増やさないためにも、現実化したドリームイーターを撃破してなくてはならない。また、このドリームイーターを倒すことで、愛を奪われてしまった篠崎も目を覚ましてくれるだろう。
「このドリームイーター……そうですね、姿かたちからレーサーとでも呼称しますの。で、レーサーを捕捉する方法ですが、古い車が置いてある場所を襲うのは分かっていますの」
 そう言って、テッサは地図を取り出す。
 近場を襲うであろうことから数箇所ぐらいまでは絞り込まれているが、そのすべてをフォローすることは難しい。
「皆さんは一般人に比べて愛の力も大きいので、レストアショップや中古車センターに行って車に愛着があるように見せて囮になって頂きたいんですの」
 ショップには事情を説明しておくので、避難誘導は必要ない。レーサーが現れたら、その撃破に全力を注いで欲しい。
「レーサーの使うグラビティですが、フルフェイスヘルメットから眩い光を放つパッシングライト、レーサースーツのどこかから発せられるエキゾーストノートの2つですの」
 能力値は高いものの、攻撃やHPはさほど高くない。
 また、その特性を更に補強するべくキャスターのポジションを取っているため、スナイパー以外のポジションを選択すると有巧打を与えにくいだろう。
「説明は以上ですの。たとえ無機物であっても、それに愛情を注ぐというのはいいことだと思いますの。そんな人の愛を奪って化け物を生み出した上に、大事にしている物を壊そうとするなんて許せませんの。皆さん、何としてもこれを止めてきてください」


参加者
カンナ・ガブリエリ(ミッドナイトブルー・e00254)
ルリィヒ・イーリヤッハ(シャドウエルフのミュージックファイター・e00421)
ヴィンセント・ヴォルフ(モノクローム・e11266)
中野・美貴(刀剣鍛冶師・e16295)
火鳴木・地外(酷い理由で定命化した奴の一人・e20297)
リカルド・アーヴェント(彷徨いの機弾・e22893)
尽影・ユズリハ(ロストブレイズ・e22895)

■リプレイ


 とある中古車屋の前にケルベロスたちは立っていた。
 中野・美貴(刀剣鍛冶師・e16295)が看板に目を遣って間違っていないことを確認する。
「うん、店長に紹介してもらったお店はここよ」
 蛇の道は蛇。美貴が車屋の店長をしている友人に今回の話を持っていくと、その店長が友人やらツテやらを駆使して、ここを教えてくれたのだった。
 外から見たところ、平屋建てで店の大きさもそこそこ。
「むっ、あれは!」
 声を発したのは、ゾゾ・シュレディンガー(被染・e00113)だ。
 何かを見つけて急に駆け出し、向かったのは屋外展示された車のひとつ。
「有機物には有機物の、無機物には無機物の良さがあるだろ。中でも車は道具でありステイタスであり芸術品! 特にこの曲線堪んねぇ」
 眼光を鋭く光らせて四方から眺めては熱い言葉を漏らす。クールそうな外見とのギャップに他のケルベロスたちは呆気に取らながらも彼女を見守る。
「機関と乗り手の空間を内包し、大気の中を滑る合理性と艶かしさ。まだ車種は詳しかねぇけど、このラインの引き方はあそこだ! って判った時は感動したっけな」
 仲間の様子などお構いなく、ゾゾはもう夢中だ。
「まあ、気持ちはわからなくはないけどね……。とりあえず、挨拶してくるわ」
 一定の理解を示しながら、美貴は事務所へと入っていく。
 その間に他の者たちも展示してある車を見始めるのだが、今回のドリームイーターに狙われそうなお店だけあって、並んでいるのは年代物の車が多数を占めている。
「……いや、車はデカけりゃ良いってモノでもないことは知っているが……。……日本車の丈夫さはなんだろうな、世界一というか……?」
 リカルド・アーヴェント(彷徨いの機弾・e22893)は日本よりも米国にいた時期の方が長いこともあって、値段と一緒に書かれた登録年数を見て唸るような声を出した。
「それなら車の中も見てみる?」
「……美貴か。もう挨拶が終わったんだな」
「問題無しよ。もう店員さんには避難もしてもらったから、ここに居るのは私たちだけ。で、話を戻すけど、エンジンの掛かりが悪い80年代スポーツカーを修理させてもらえることになっているの。店長は面白い物が見えるって言っていたんだけどね」
「いいのか?」
「もちろん」
「でしたら、私もいいかしら? 車のことはあんまり知らないけど興味はあるの。折角だし色々聞けたらいいなって思ってたのよ~」
「なら、オレも便乗させてもらおうか」
 カンナ・ガブリエリ(ミッドナイトブルー・e00254)と、ヴィンセント・ヴォルフ(モノクローム・e11266)もこれ幸いと参加の意思を示した。
 かくして、4名とそのサーヴァントが併設された作業所へと移動。そこにあったのはかなり普及した80年代スポーツカーで、今なお後継機が造られている人気モデルだ。
「これが面白い出物でいいのよね?」
 普及してる分、目新しさは無い。
 期待が大きかった分、美貴は少し拍子抜けしながら車のボンネットを開ける。
 するとそこに飛び込んできたのはこの車には本来搭載されていない4連スロットルのエンジン。ヘッド形式を加工してあるが、おそらくレース仕様のものだ。
 美貴は驚きの声と共に目を輝かせ、店長に心の中で感謝を述べる。
「珍しいものなのかしら?」
「ええ、これをオーバーホールしていいなんて、店長には後でお礼を言わないと」
「オーバーホール……?」
 カンナの質問に、美貴が答えると、また新たな疑問が浮かぶ。
「ごめんね。分かりやすく言うと掃除して大掛かりな整備と点検をすることよ」
「なるほど。クルマ……機械のことはよくわからない、けど、こんな鉄の塊が、あんなスピードで走る仕組みは……興味深い」
 エンジンをしげしげと眺めながら、ヴィンセントは考え込むような仕草を取る。
「じゃあ、出来るだけ分かりやすいように説明していくから始めようか、ヴォルフさん」
「了解だ」
 こうして2人は作業に入っていく。
 邪魔にならない範囲で、カンナが質問を交え、リカルドも興味深く聞き入っている。
 その間も進んでいく作業。
 次第に熱中して、油汚れで顔が黒くなっても気付かない。
「物を大事に使うことは良いことね~。無償の愛だっていうけど、実際は無償の愛を注いだものに、私たちは元気をもらってるんじゃないかしら?」
「そうかもしれないな。……少なくとも2人とも楽しそうだ」
 カンナが感想を口にすると、リカルドが相槌を打つ。
 だが、熱中している2人にはそんな遣り取りすらもう届いていない。
 その様子は店舗の窓からものぞくことができて、
「あれだけ熱中できるのもいいもんだ。そういう意味じゃあ、今回の被害者も同じなんだろうな。車もまた相棒ってか」
「無償の愛……か。それだけ愛されれば、物もきっと応えてくれるだろう」
 目を遣りながら、火鳴木・地外(酷い理由で定命化した奴の一人・e20297)がつぶやくと、傍らに居た尽影・ユズリハ(ロストブレイズ・e22895)から同意が示される。
「まったく、いい話だってのに無粋なドリームイーターも居たもんだ」
「ドリームイーター、陽影か……まずはレーサーを打倒せねばならないな」
 2人はレーサーがどこから現れてもいいいように警戒を強める。
 誘き寄せることに関しては心配していない。
 作業所では修理作業をしている2人が居るし、
「あぁでもライトとグリルはどうしたって顔に見えるだろ……。造形美がグラマラスなら、愛嬌ある面相もファニーフェイスってな」
 店舗内でも、ゾゾが変わらず、車のフォルムを堪能中で。
「どれがいいと思いますか、いち君?」
 加えて、ルリィヒ・イーリヤッハ(シャドウエルフのミュージックファイター・e00421)がサーヴァントのボクスドラゴンと楽しそうに車を見て回っていた。
 いくつか物色して、彼女たちが見つけたのは黒い3ボックスカーだ。
「ピカピカしています……これが高級車でしょうか?」
 ちなみに彼女が興味を示したのは『ヤ』の付く職業の人が好むあれで、確かに高級車だ。
 試乗も可能なので、ルリィヒは恐る恐ると車の中へ。
「こ、これが高級車……流石の乗り心地です」
 感触を確かめていると、ボクスドラゴンが興味を示して声を上げる。
「いち君にも体感させてあげたいのですが……」
 今は敵を誘き寄せる真っ最中。
 心苦しく思いながら、それを押し留めようとしたところに警告の声が飛び込んだ。
「来たぜ!」
「正面からか……先に行く」
 地外が仲間に呼び掛け、ユズリハが敵を止めようと動き出す。
 熱中していたケルベロスたちも我に返り、
「敵が出た……? そうか。今良いところなんだけど……」
 ヴィンセントはよほど熱中していたようで、残念そうに持っていたパーツを置いた。
 既にレーサーは店の敷地内に入っていて、駆け寄ってくるケルベロスたちに激しいエキゾーストノートをもって応えるのだった。


 レーサーが始動する。
 その動きは疾風の如く、常人ならば目で追うことも難しいほどで、迫りながら指向性を持った排気音が、地外を狙う。
「うっし、来たなモザイクレーサー。邪魔すんぞ!」
 対して、地外は衝撃を受け止めながら霊力を帯びた紙兵を散布して守りを固め、
「重ねるわよ」
 カンナも素早く紙兵を大量にばら撒くいた。
 一方、レーサーはその守りを迂回するようにスキール音を立てながら中衛へと。
「さって、ヒトの趣味に口出す無粋は黙って貰おうか」
 阻止するべく、ゾゾの召還した氷河期の精霊がレーサーを包み込む。
 捉えたと思った瞬間、タイヤの滑るような音が戦場に響き渡った。目を凝らせば、抜け出してきたレーサーの姿が見え、その体には傷ひとつ付いていない。
「それが人馬一体となったドライビングぅ? まずはサーキットへ行って腕を磨け。公道はダメ。話はそれからだ」
 抜け出してきたところへ、美貴が三日月の如くしならせた刀で迎え撃つ。
 一瞬の交錯。
 浴びせられたのはかすり傷程度で、レーサーはもう次の目標へ向けて疾風となっている。
 狙いはまたも、地外。
「また来やがったか……っ」
 今度は防御も間に合わず――否、間一髪でルリィヒが割り込んだ。
「好き勝手にはさせません、えっ?!」
 かばったルリィヒの脇をすり抜けて、今度はヘルメットから眩い光が襲い掛かる。
 だが、地外の目に飛び込んできたのは自らの相棒たるウイングキャットだ。
「ナイスだ、おむちー! その調子で頼んだぜ!」
 サーヴァントを含め、5枚のディフェンダーの壁。
 たまらずレーサーは距離を取り、ケルベロスたちの攻撃がそれを追う。
 その間に後方からユズリハが戦況を見定めながら分身の術で的確に治癒を施し、前ではヴィンセントがレーサーの弱体化を待ちながら仲間に魔法の木の葉を纏わせている。
 かくして一進一退。
 圧倒的なスピードで翻弄するレーサーに対して、ケルベロスたちは守りを固めて数と連携で対抗。猛攻を跳ね返しながら、隙あらばとレーサーを狙う。
「あんまちょろちょろすんな……ちっ、速い」
 迎撃に打ち込んだ、地外の縛霊手をレーサーが掻い潜った。
 突き進んだ先に居たのは、カンナ。そして鳴り響くエキゾーストノートが音の速さで彼女を襲う。回避しようとするが間に合わず、更にレーサーは追撃を掛けようと横滑りし、
「――させるか」
 流星の煌めきを残しながら、リカルドが飛び蹴りで割って入った。
 が、これも僅差でかわされる。
 もっともここまでは想定範囲。
「ゾゾ任せた」
「了解だ」
 応えると同時に、ゾゾの両の手に浮かせた魔導書から呼び出された精霊が、今度はレーサーを捉える。それで僅かに動きが鈍ったところへ、
「これでっ!」
 緩やかな弧を描きながら、美貴の斬撃が急所を切り裂いた。
 レーサーは体勢を立て直そうとするが、ヴィンセントがそれを冷静に見据えている。
 絶好のチャンス、ここで畳み掛けんと黒い雷光が生まれ、 
「……捉えた。その身に呼び醒ませ、原始の畏怖」
 奔る漆黒の雷槌がレーサーを穿ち、そのまま吹き飛ばす。
 レーサーは近くに止めてあった車へと激突するが、次の瞬間には再加速。あっという間にトップスピードに乗ってケルベロスたちへと向かう。撃ち込まれるグラビティを次々と掻い潜って、距離はどんどんと詰まり、
「左は任せたわ」
「じゃあ、いち君お願い!」
 止めようとボクスドラゴンが進路を阻み、それをレーサーはフェイントモーションからの切り返しで抜け――眼前に伸びてきた触手がレーサーを阻んだ。
「他人の考えはハック出来ないんだ、わかんねぇ以上、感情はそもそも一方通行だろ」
 放ったグラビティに手応えを感じながら、ゾゾは追撃に移る。ボクスドラゴンも澄んだ細い鳴き声を上げながら続き、他のケルベロスたちも遅れまいと一気に攻勢を掛ける。
 いくつものグラビティのエフェクトが瞬く。
「この想いが重力ってヤツだよ。あんたも惹かれちまえば解るんだ」
 最後に反抗の起点となった、ゾゾのエネルギー光線が炸裂すると、レーサーが止まったかに見えた。されど、まだ止まらない。レーサーは再び加速する。
 次いで放たれるエキゾーストノート、それにルリィヒが真正面から向き合う。
「聴いて下さい、私の……デビュー曲です。『MAKE@MIRACLE』」
 目には目を、歯に歯を。
 音の暴力に対して、強き意志を込めた歌声で対抗する。ぶつかり合い、大きな衝撃波が起こった。さしものレーサーも余波を受けて動きが鈍くなる。
「……間近で裁きの雷霆とやらを拝む覚悟は出来たか?」
 その隙を突いて、リカルドが急接近。
 前方に構築された魔法陣から生み出される雷光がレーサーの至近距離で炸裂する。
 眩い光の残滓が広がって、
「もう大丈夫。悪い夢は、これでお終いだ」
 視界から消える前にマインドリングで形成した槍を構えて、ユズリハが飛び込んだ。
 螺旋の力を込めて、打ち放つ一撃。
 それはレーサーを大きく吹き飛ばして、壁に叩き付ける。
 されど、されど、レーサーは止まらない。
 大音量を上げて加速。
 いや、トップスピードに乗る前に、地外が立ち塞がる。
「へっ、終わりだな!」
 迎え撃つは、炎を纏った激しい蹴り。
「どうだ、火の車ってな! 意味はちげぇがな!」
 交錯して、レーサーは炎に包まれた。
 まるで引火したように炎は激しくなり、レーサーの動きは緩やかに。
 ケルベロスたちが次の攻撃を移ろうと身構えたところで、彼らの視界に映るレーサースーツがゆっくりと消え始めた……。


「……元を断たねば、このようなことが繰り返されてしまうな」
「ああ、その内原因の貧乳ドリームイーターも探し出してやんねぇとな。愛奪われまくりを許すってのもな」
 ユズリハと、地外が元凶であるドリームイーターに思いを馳せると、ウイングキャットも同意するようかのように声を上げる。
「おむちー、お前もそう思うか」
 頭を撫でてやると、ウイングキャットが目を細める。
 ユズリハはその様子に注意を向けてから、
「だが、まずは手の届く人々を救おう」
 手始めに周りの状況からと、戦いの傷跡が残る店舗を観察する。
 出来るだけ傷つけないように気を配ったが、被害が出てしまうのはどうしようもない。
「壊れているところはヒールしてから帰ったほうがいいわね」
「そうですね。あと壊された車はどうしましょう? 構わないのでしたら回復しておきたいのですが……」
 カンナが意見を言えば、ルリィヒが疑問を口にする。
 ヒールした際には若干ファンタジーな外見になってしまうという副作用があり、本来の車のフォルムを変えてしまう恐れがあった。
「これは本職に従うべきだろう」
 と言って、リカルドが視線を向けたのは美貴。
 彼女が仲介役になっているだけに、確認もまた彼女の担当だ。
「私の美学としてはヒールするのはお店のみ。車は絶対に手作業で直すと言いたいところだけど、少し待って」
 美貴は携帯で連絡を入れるとドリームイーターを倒した旨と、お店の修理の件を伝える。
 そして、話が纏まるのに要したのは3分ほど。
「決まったわよ。お店の方はヒールで、車の方は手作業で直すって」
「ならば、作業を始めるか。先程の続きも気になるし……篠崎の無事も確認に行かねばな」
 結果が出ると、ヴィンセントが早く始めようと美貴をうながす。
「それなら、私がお店を修理してから篠崎の無事を確認してこうようか?」
「お願い。あと車の方も見てきておいて、たぶん真っ先に破壊されていそうだから」
 提案したユズリハに、美貴が確認事項を加える。
 戦いは終わったものの、ケルベロスたちはまだまだ遣るべきことが多いようだ。
 されど、愛があればそれもまた苦ではないのかもしれない。
 少なくとも率先して動いている者たちの顔は、どこか楽しそうに見えた。

作者:キジトラ 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年1月29日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 2/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 5
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