ズズズン! ズズズン!
地響きを立てて、何かが迫って来る。
音を聞くだけでも異様だが、外見はもっと異様であった。
「な、なんだあの宮殿は!? なんて巨大な……っていうか、動いてる?」
まるで城のような大きさであるが、城と言うよりは宮殿であった。
それだけならまだしも、四本足で移動すると言うのが、尚更、異様であった。
「こっちに来るぞ、逃げろー!」
八王子市に出現したソレは、そのまま東京中心部を目指して移動を始めたのである。
厄介な事に……無数のヴァルキュリアを上空に引き連れて。
●
「エインヘリアルの第一王子から得た情報にあった、人馬宮ガイセリウムが遂に動き出したようです」
セリカ・リュミエールがつとめて冷静に振舞いながら説明を始めた。
「人馬宮ガイセリウムは、巨大な城に四本の脚がついた移動要塞で、出現地点から東京都心部に向けて進軍を開始しているようです。上空からの強襲を警戒したのか、ヴァルキュリアが警護を固めて居ます。更に勇猛なエインヘリアルの軍団『アグリム軍団』が中で待機しているので、不用意に近寄れば彼らが迎撃して来るでしょう」
つまり、迂闊に近づくこともできないということである。
セリカはみなが話を飲み込むのを待って、続きを語り始めた。
「現在、人馬宮ガイセリウムの進路上の一般人の避難を行っていますが、都心部に近づいた後の進路が不明である為、避難が完了しているのは、多摩川までの地域となっています。
このままでは、東京都心部は人馬宮ガイセリウムによって壊滅してしまうでしょう」
もちろん、敵の目的はそれだけではあるまい。
捕縛されたザイフリート王子の殺害、そして、シャイターン襲撃を阻止したケルベロスへの報復。更には、一般人の虐殺によるグラビティ・チェインの奪取と思われる。
色々と問題が積み上がっているが、この進行を止める為にケルベロスの力が必要だとセリカは一時話を切った。
●
「奇襲された形ですので、良くない事も多いのですが……。ここからはメリットを上げていきます。まず、敵の動きを阻止した後ですので、相手にも十分なグラビティが無いと推測されます。シャイターン襲撃を止めることができた影響ですが、その為に、相手はまず周辺都市を壊滅させながら東京中心部に迫ることを余儀なくされています」
これに対して、ケルベロス側は、多摩川を背にして布陣。
まずは、人馬宮ガイセリウムに対して数百人のケルベロスのグラビティによる一斉砲撃という、可能な限り実行可能な迎撃作戦が組まれているらしい。
この攻撃で、ガイセリウムにダメージを与える事はできないが、『グラビティ攻撃の中和の為に少なくないグラビティ・チェインが消費される』という布石が打てる。残存グラビティ・チェインが少ないガイセリウムにとっては、有効な攻撃となるだろう。
「この攻撃を受けたガイセリウムからは、ケルベロスを排除すべく、勇猛なエインヘリアルの軍団『アグリム軍団』が出撃してくる事が予測されます。このアグリム軍団の攻撃により、多摩川の防衛線が突破されれば、ガイセリウムは多摩川を渡河して、避難が完了していない市街地を蹂躙、一般人を虐殺して、グラビティ・チェインの奪取を行うことでしょう」
逆に『アグリム軍団』を撃退する事ができれば、……こちらから、ガイセリウムに突入する機会を得ることが出来るという訳である。
計画としては簡単だが、相手が組んだ予定を、そっくりそのまま『やらなければならない必須事項』として固定してしまうため、こちらの予想・迎撃がやり易くなるだろう。
「アグリム軍団は、全員が深紅の甲冑で全身を固めた特徴を持ち、四百年前の戦いでも地球で暴れ周り、その残虐さから同属であるエインヘリアルからも嫌悪されているという、エインヘリアル・アグリムと、その配下の軍団と言われています」
アグリム軍団は、第五王子イグニスが、地球侵攻の為にそろえた切り札の一枚なのだろう。
アグリム軍団は、軍団長であるアグリムの性格により、個人の武を誇り、連携を嫌い、命令を無視するという傍若無人さを持っているが、その戦闘能力は本物なのは間違いない。
「相手は強大かもしれませんが、連携しての強さならばケルベロスが上回ることができるでしょう。人馬宮ガイセリウムが多摩川を超えれば、多くの一般人が虐殺されてしまう。それを防ぐことができるのはケルベロスです。よろしくお願いします」
セリカはそう言って締めくくると、深々と頭を下げた。
参加者 | |
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付喪神・愛畄(白を洗う熊・e00370) |
流星・清和(汎用箱型決戦兵器・e00984) |
ヘクセ・アイネンセクト(サイレントドール・e01098) |
カナネ・カナタ(やりたい砲台の固定放題・e01955) |
ファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079) |
ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565) |
ウィッカ・アルマンダイン(魔導の探究者・e02707) |
外木・咒八(地球人のウィッチドクター・e07362) |
●
「合図です、一斉射撃を開始します」
「「了解!!」」
曇天をついて現われた巨大な足付き宮殿。
多摩川に布陣したウィッカ・アルマンダイン(魔導の探究者・e02707)たちケルベロスは、隠れている者・射撃を好まない者を除いて一斉に砲撃を開始した。
彼女が描いた巨大魔法陣のみならず、空間を畳んだのではないかと思えるほどにグラビティが密集する。
「たまやー(どっかん)」
ヘクセ・アイネンセクト(サイレントドール・e01098)も花火に定番の言葉と共に特大の弾丸を放つ。
視線の先では多摩川全体から膨大なグラビティが練られて放たれ、花火のように弾けては消える。
「おー、壮観だな。効いててくれると良いが……と言いつつも、その予定じゃあねーんだよな」
「まずはお約束で、やったか? とか言うべき所かな?」
頭をボリボリとかきながら外木・咒八(地球人のウィッチドクター・e07362)が雷鳴を放ち、これで終わってくんねーかなと呟くがまるで信じた風はない。
カナネ・カナタ(やりたい砲台の固定放題・e01955)はその言葉にウインク一つ流し目すると、山ほど弾丸をバンバカ放った。
日常でこれほど撃てる機会は多くない、まるで演習場に訪れた軍隊の如くに、グラビティの高鳴りが途切れるまで放り込むのだが……。
都内を目指して訪れる、敵の宮殿型要塞に変化は無い。
煙ならぬグラビティによる歪みが収まると、相も変らぬ姿を見せた。
「ったく、やっぱり無傷か……。めんどくせえ打ち合わせ通りにやっちまうぞ」
咒八はまったく、面倒なことを起こしてくれたもんだ、といつもの調子で不景気な顔を浮かべて仲間達を確認する。
「この前のドラゴン退治(城ヶ島制圧戦)みたいなのもいいけど。個人的には、こういうシチュエーションの方が燃えるねぇ。まさに水際での防衛戦ってわけだ」
「だ、そうよ? 防衛ラインの死守、かぁ。今度ばかりはおねーさんも恋愛抜きで真面目に仕事しないと。あっちで避難してる人たちの命、文字通り背負ってるんだし」
ファルケ・ファイアストン(黒妖犬・e02079)が問題ないよと不敵に笑って銃煙を吹き消すと、カナネは微笑んで今度は自動砲台を設置した。
敵影に変化は無いが、これもまた予定通り。
予想してなければ驚愕する出来事も、予定通りなら、ただの事実でしかない。
「ったく、馬鹿ばかりだ。ほんじゃ面倒臭くなる前に、いっちょやったりますかね」
「少し待ってください。同じやるなら、この状況を利用しましょう。敵味方の心理と連携を活かすべきです」
珍しく拳を打ちつけてやる気を出す咒八は、ラズ・ルビス(祈り夢見た・e02565)の提案にずっこけかけた。
それはそれとして、しょうがねーなーと言って提案に乗るあたり、面倒見が良い性格なのかもしれない。
●
そしていよいよ、彼らケルベロスが倒すべき敵が訪れる。
宮殿より降り立った赤い影が、周囲に散って多摩川を守る『偽』の砲撃陣地を襲撃する為にやって来る!
『ガーハーッハハ! いよう、遊びに来てやったぜ?』
赤い甲冑を着た男が、肩に担いだ斧を活性化させて近寄って来る。
血で赤黒く染め上げられた内側から、今は見えもしないルーンが鈍く光って周囲を薙ぎ払っていくではないか。
「出てきたな、ここが正念場だよ、一歩も近寄らせるんじゃない……なんてね」
ファルケは左手を盾にしつつ、そっと愛用の帽子を抑えたまま連射!
帽子で射角でも測って居るのか、敵の闘気で飛ばされないように、間深に被ったまま正確に射撃を続けた。
「あらあら。『距離を詰めれば楽勝、ですって? 分かってないわね。こーいうときは……先生、出番よ!』撃ちてし止まぬってやつよね」
カナネが隠しておいた自動砲台から無数に弾丸が吐き出され、それはファルケの銃弾を斧で防いでいた敵の元に殺到!
他の仲間達からも無数の攻撃が飛来し、先ほどの一斉射撃ほどではないが、爆炎によって視界が覆い隠された!
『いつまでも矢玉なんぞに頼ってんじゃねー!!』
「げー!? ……なんて言う訳ねーだろ! いくぜオラ!」
砲煙が収まると、いらついた様な声で、敵は咆哮を上げると突進して来た!
赤い甲冑が戦場を駆けると同時に、予想していた咒八たちも殺到する!
大斧をケルベロス達の一斉飛び蹴りが出迎えたのである!
咒八の脇を他の二人が固めて、確実に足を止めるべく重力を束ねて三連星となった!!
「効きましたかね? 効いて無くてもどうにかしますけど」
「効いて居ない訳はありませんが、相手は前のめりの攻撃型。パっと見で見え難いだけかもしれませんね。……演技おn砲が続けるとしましょう」
ウィッカは着地と同時に、反動で出来た地摺りで足元に魔法陣を描く。
彼女と背中合わせにターンを決めて、ラズはメスをミミックから取り出しながら冷静に分析した。
『佳い女はいるか? いたら夜通しパーティしようぜ? ただし、テメエらがが生きてたらだ!』
「下品ですね。エインヘリアルって勇者じゃなかった? 『汝、動くこと能わず、不動陣』暫くそこで頭でも冷やしてなさい」
「確か勇者と言っても近代の勇者じゃないそうですよ『……逃がしてあげません』どこかで聞いた話ですけど」
ウイッカは足元の即席魔法陣へ、魔石を落して完成させると、向かってくる相手を拘束し始めた。
そしてラズも合わせてメスに薬液を塗りたくり、一本二本が弾かれようとも盛んに投げ放って、うちの一本を甲冑の隙間に突き立てる!
だが、敵もさるもの。多少動きが鈍りはしたが、流石に留まりはしない!
『はっはー! 活きの良い女はいいねえ!』
馬車馬が暴走するように、彼女らの影を求めて再び突進を開始した!
そこへ何者かの影が、割って行った!
「おっちゃんのメモリが動くうちは、あんさんにやらせはせんで!」
『あん? ガラクタと足の無い女には用はねーよ!』
流星・清和(汎用箱型決戦兵器・e00984)が敵の斧を受け止めると、たまらず二歩三歩と後退。
変わって出てきた女の子のビハインドを睨みつける為、ワザワザ顔を覆う装面を跳ねあげながら、男は笑った。
そして髭面の男は、叩きつけた斧を、なんと蹴り飛ばす事で切り返しを放ったのだ!
「つくも、ごめんね……辛いだろうけれど前にいる人には頑張ってもらわないといけないからね、力の限り癒し続けるよ」
まずいな……付喪神・愛畄(白を洗う熊・e00370)は、ビハインドのつくもがダメージを食らった瞬間に治療に入った。
だがしかし、波調を合わせ、全力で治療してるのに直し切れてる気がしない。
敵の方が格上なので当然とも言えるが、これは相当の苦戦を覚悟せねばなるまい。
「まだまだや! 全員で、同じ赤い鎧きている量産品のバカやろう。おっちゃんが相手になってやるで!」
「ちょっ、おまっ言う」
清和のちっさいボディが不敵に笑うと、仲間達の中からでさえ、ツッコミの声が零れた。
なにしろ彼の素体は非常にシンプルで、隠れるのにも、格納するのにも向いてそうである。
どう考えても、パっとした見た目的には、どっちが量産品か判らない。
だがしかし!
「……違う。多分、シンプルな方が便利だからああいう形をしてるだけで、多分……ワンオフなんじゃないかな?」
愛畄が細かなパーツに目をやると、そこには接合用の凹凸や、繋ぐためのジャックが見える。
「ニヤリ……。可変式機関装甲……展開! いけっアサルトブースターモード!」
すかさず清和は後方から射出させ『残りのパーツ』を呼び寄せた!
書くパーツと情報ダイレクトリンクし、補助ユニットを組み上げて、今回のボディを作り上げたのである。
「ここで留めるで!」
「エインヘリアルは敵(こくこく)人馬宮ガイセリウムは邪魔だから止める」
『お人形さんどもは、黙ってろ!!』
清和の外部パーツの事をしっていたヘクセは、親指たててグッジョブ・サイン。
ドローンを展開するや、敵を包囲するように並び立ち、凄まじいパワーで大斧を振り回す男に、相対したのである。
●
「あのような攻撃、受ければひとたまりも……実際、大丈夫でない方もおられますし、なんとかしたいですね」
ラズは突き刺したメスに電流を流し込みつつ、状況を冷静に観察した。
「強力な敵だけど、キュアを持ってないみたいだ。絡め手を上手く使って、できるだけ有利に戦いたいね」
仲間に庇ってもらいながらファルケがスライディングを決めているが、最初は当たり難かった攻撃も徐々に直撃が続き始めているようだ。
誰かが交替で治療しているしているはずなのに、徐々に前衛の傷が蓄積しているのは気に成る所だが、このまま押し切ってしまいたい所である。
「あの破壊力だけは脅威ですね。こうまで押されたら演技が要らないのは助かると言うべきか悩みますが」
当初、演技で同じ技を繰り返させようとしたウイッカは苦笑した。
何しろその必要が無い……当たるも八卦当たらぬも八卦で気分良く攻撃して来るタイプだ。
当たる時は連続で同じ技だろうが景気良く当てて行くし、外す時は別の技だろうが外して行く。良くも悪くも他者に影響されない性格を持っていた。
「だね。エインヘリアルの勇者とやり合うのはこれで2度目だけど……やっぱり勇者というよりは古代の戦士階級かな?」
愛畄は例え味方だろうが話を聞かない性格だろうなと思いつつ、血化粧に彩られた斧を眺めた。
アレはもう、最初からそう言う物だと言うしかないほどに血がこびりついており、前に戦った相手との差異は足を止めて戦うか突撃し続けるかの差でしかない。
相手が女の子だろうが躊躇せず、必要なら毒だろうが不意打ちだろうが使ってくるだろう。
「いずれにせよ、背後に守る人々のため、絶対にこの川は越えさせませんよ。そして確率を無視するその増上漫、かならずや後悔させてさしあげます」
「上陸させないのは当然として……後悔させるのは無理じゃないかな。この人、笑って罠に飛び込んで行くタイプに見えるから」
ウイッカは敵の掲げる斧に対してマイナスの波調をぶつけ始めるが、愛畄は前衛達の傷を癒しながら苦笑した。
意固地なというか、我が道行くぜといった風情が伝わってくるようだ。
古代戦士にはゲッシュという生き様に関わる制約があったそうだが、あの敵は、喜んで我が道を行く気だろう。
そして互いの交わす攻撃が、徐々に抜き刺しならぬところまで積もって行く。
「こりゃあロクでもないな。面倒くさいが早めになんとかしないと、後々もっと面倒な事に成りやがる」
「おっちゃん達はまだしも、援護はちょっと難しくなるな。せやけどフォローくらいなら受けるんとちゃうか」
咒八と清和は顔を見合わせると、ここらで方針を転換する事にした。
元より負けるとは思っても居ないが、すり傷ではすまなくなっている。
サーバントたちはとっくに危険水域だが、放っておけば治療しきれない負傷が累積し、他チームの援護どころか、このチームの誰かが病院送りになりかねない。
「次の谷間で一気に攻勢に回るとするか」
「あら、おねーさんの胸が気に成るの? なんだ、違うのね。攻撃の谷間ってことならまあ、判るけど、それはそれで……ハイハイ」
ったく……。と咒八の舌うちが聞こえた所で、カナネは口を閉じて真面目な顔をした。
雷電を追いかけるように攻撃する事して、治療をキリの良い所でいったん終了する。
「残念ね、おねーさん乱暴な人は好みじゃないのよ。ヘクセちゃんもそうよね?」
「乱暴好きじゃない(こくこく)『光よ、集まれ。私の中に集まれ。集まった光は我が敵を灼滅する始原の光と昇華せよ』乱暴なお客は帰ってもらう、覚えた。攻撃了解(こくこく)」
カナネのふった話題にヘクセは頷きながら、共に治療を打ち切った。
集合する光の奔流に先駆けて、ガトリング砲が連射。咆哮するバンバンという音も次第に大きくなる閃光が存在感を描き消したのである。
●
「ここだな……『安息に堕ちろ』一気にトドメを刺すぞ」
「はーい。エンヘリアルの御兄さん、蜂の巣よりミンチがお好みかしら? もちろん貴方がなるのが、ね?」
回復の必要が無くなったところで、ケルベロス達は大攻勢に移った。
咒八は甘い香りをまき散らし、カナネは足元が見えないほどの銃弾を撃ち続ける。
猛火をあげる砲口の先で、赤き甲冑の男は笑って立っていた。
『おう! 祭りも最高潮ってとこだな。んじゃ、てめーらそろそろシネや!!』
「そっちも本気って訳かい? でも、そうはいかないんだよね」
「危険ということは、予め判ってたからね。そういう意味では、つくも達にはあとで謝らないと」
血風から嵐と言えるほどの勢いの血斧は盾役がカバー仕切れてないのに、ファルケは左手で受けつつも余裕めいた表情で出迎える。
それは武器持つ親指を狙う暇があるほどで、愛畄が即座に治療できるのも、理由があった。
そう、敵の攻撃は十分に対策されていたのだ。
ほぼ全員が耐性のある防具を着ている事から、一撃で落されることは無い!
「押しこまれたのは本当ですが、ピンチの方は完全に演技だったと言う訳です。もっとも……連続で同じ人物が攻撃を受ければ危険と言う点では、嘘では無いのですが」
ラズはカルテを読み上げる様に平坦な調子でメスを取り出すと、再び投げて甲冑の関節部……いや破れて穴の空いた部分を狙う。
相手の攻撃力はともかく、動きは既に鈍っており、それほど難しい作業では無かった。
「このまま封殺です。ケルベロスの連携の強さを見せてあげましょう」
ウイッカは敵の腕に放った氷を、凍らせつつあった。
召喚した騎兵に引き続き、再び威力を中和させていく。
一人ひとりの力は砂粒のようなもの、だがしかし、全員で系統だって蓄積させれば、ソレはいつしか砂漠となろう。
「ダブルチェーンソー! ローリングスザース!! ここでトドメといくでー」
『はっ! 来るなら来やがれ、テメエも道ずれにしてやんぜ!』
清和の胴体(というか、追加パーツ)が回転を始めると、両手に持ったチェンソーも大回転!
ソレは攻撃と言うよりも、姿を覆い隠すほどの大道芸だ。
当然ながら、他に本命があった。
「ほほぅ、その程度かいな、所詮は量産品やなっ! そのまま他チームのところへ救援GOや」
「救援了解(こくこく)、任務は完了。Cool(むふっ)」
相討ちになる清和の胴体の影から、ヘクセが注射器構えて突進!
プスーっと突き刺す針に合わせて、得意げに(とてもそうは見えないが)微笑む。
そして一同は敗北したチームを探して救援に向かいつつ、影で潜入を試みるチームの健闘を祈るのであった。
作者:baron |
重傷:なし 死亡:なし 暴走:なし |
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種類:
公開:2016年1月22日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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