多摩川防衛戦~狡猾なる老兵

作者:沙羅衝

 突然、八王子市内の焦土地帯に巨大な城が現れた。その巨大な城は直径300メートル、高さが30メートル程のアラビア風の城で、4本の脚を動かしてゆっくりと移動を開始した。
『人馬宮ガイセリウム』と呼ばれるその要塞の周りにはヴァルキュリア達が飛び回っていた。
「なんだアレ!?」
「と、兎に角逃げろ!」
 遠くからでも分かるその姿を見た市民が、一斉に反対方向へと逃げ始めた。

「エインヘリアルの第一王子、ザイフリートから情報があった、『人馬宮ガイセリウム』がとうとう動き出したみたいや……」
 宮元・絹(レプリカントのヘリオライダー・en0084)は、緊急事態に集まったケルベロス達に説明を開始した。人馬宮ガイセリウムが、八王子の『東京焦土地帯』に出現し、東京都心部に向けて進軍を開始しているようなのだ。
 ガイセリウムの周囲は、ヴァルキュリアの軍勢が警戒活動をしているため、近づくと勇猛なエインヘリアルの軍団『アグリム軍団』が出撃するとのことだった。
「人馬宮ガイセリウム進路にいる一般人は避難をしているところやねんけど、都心部の後が分からへんねん。だからそっから先の避難はまだで、多摩川までしか出来てないのが現状やねん。このままやと、東京都心部が壊滅してまう……。みんな、協力して欲しい!」
 絹の話を理解したケルベロス達は、その説明に反応していく。
「この人馬宮ガイセリウムを動かした張本人は、第五王子イグニスや。目的はたぶん、この前失敗したザイフリートの殺害、そんで、うちらケルベロスへの報復や。もちろん、一般人の虐殺によるグラビティ・チェインの奪取も含まれとるやろな」
 ザイフリートに絡むエインヘリアルの動き。情報があったとはいえ、その行動の早さにケルベロスは唸った。
「ただな、この人馬宮ガイセリウムはどうやら万全の状態ではないやろ、と言われてる。ちゅうのも、これを動かすにはめっちゃグラビティ・チェインが要るねん。これを確保せずに無理やり動かしてきたみたいや。たぶん、この前のシャイターンの襲撃の時にみんなが頑張ってくれたから、グラビティ・チェインが足らんのやわ。だから、イグニス王子の今回の作戦は、侵攻途上にある周辺都市を壊滅させながら、グラビティ・チェインを補給して東京都心部に向かってくる、ちゅう予測が今立ってるとこや」
 と言うことは、まだチャンスはある。ケルベロス達の何人かは即座にそのことに気がつく。
「そういうことや。うちらは多摩川を背にして布陣する。そこで、数百人のケルベロスのグラビティによる一斉砲撃をやる。人馬宮ガイセリウムにはダメージは与えられへんやろけど、これでグラビティ攻撃の中和の為に少なくないグラビティ・チェインが消費されるはずや。当然、あんまりグラビティ・チェインがないから有効な攻撃になる。相手は嫌やろうな。でも、これやったら、うちらを排除する目的で敵が出てくる。予測では勇猛なエインヘリアルの軍団『アグリム軍団』が出撃してくると出てる。多摩川の防衛線が生命線や。みんなにはこの『アグリム軍団』の中の敵を1体倒して欲しいんや」
 ここで食い止めなければ、東京が壊滅する。少し青ざめるケルベロスに対して、絹が言葉を続ける。
「ただ、悪い話ばっかりでもないで。『アグリム軍団』を撃退できたら、逆にガイセリウムに突入する機会が出てくるから、まずは第一線、気合入れてな!」
 攻められたままではなく、こちらから出向くチャンスでもある。それに繋げるべく、顔を上げたケルベロス達は自分たちの情報を絹に問いかけた。
「この『アグリム軍団』は、四百年前の戦いでも地球で暴れ周って、その残虐さから同属であるエインヘリアルからも嫌悪されているっちゅう、エインヘリアル・アグリムと、その配下の軍団と言われとる。第五王子イグニスの切り札でもあるやろな。
 軍団長であるアグリムの性格がそのまま軍団員にも出てて、個人の武を誇り、連携を嫌い、命令を無視するっちゅう傍若無人さが特徴や。全員が深紅の甲冑で全身を固めているから、分かりやすいっちゃわかりやすいな。
 で、みんなにはこの敵の中でも、『狡猾のガリュム』っちゅう老兵を倒して欲しい。どこに行けばこいつに会えるかは、こっちで指定するから、それに従って動いて欲しい。
 武器はゾディアックソードで状態異常をメインに戦ってくる。慎重にいくんやで!」
 エインヘリアルの中でも、これまで地球に出てきた弱体化したエインヘリアルではない。最前線の敵であることは予想できた。ケルベロス達はごくりとつばを飲み込んだ。
「エインヘリアルも本腰を上げてきた。気をつけて欲しいんやけど。ここは負けられへん! 無理やり従わされとるヴァルキュリアのことも気になるし、必勝が求められる。
 でも、きっとみんなやったら、勝てる。ご馳走作って待ってることしか出来へんけど……頼むな!」


参加者
ネイ・タチバナヤ(天秤揺らし・e00261)
エスツーイ・フールマン(シルバーナイト・e00470)
相馬・竜人(掟守・e01889)
百丸・千助(剣術一直線・e05330)
ケドウィン・アルカニクス(劇場の怪人を演じる地獄の番犬・e12510)
キュリアス・ラミーラ(超絶究極限界ギリギリ御嬢様・e13316)
風音・和奈(固定制圧砲台・e13744)
ブリギッテ・レハール(眼鏡界の傍迷惑な小悪魔・e20928)

■リプレイ

●砲撃、そして狡猾の……
 ドドドドドドドドドド……。
 多摩川に向かって進む『人馬宮ガイセリウム』に、ケルベロスの一斉砲撃が開始された。
「テメエはここで止まるんだよ!」
「なんとしても、ここで止める!」
 相馬・竜人(掟守・e01889)は遠隔爆破を、風音・和奈(固定制圧砲台・e13744)がガトリングガンを連射する。
「……やー。こうして見とると、えらいデカいねぇ」
 そう言いながら、ネイ・タチバナヤ(天秤揺らし・e00261)が背中と肩から大量のミサイルを放出していく。
「眼鏡の威信を、叩きつけてやるナノデース!」
 ブリギッテ・レハール(眼鏡界の傍迷惑な小悪魔・e20928)も、他のケルベロスにあわせて、眼鏡からビームを放っていく。数十、数百からなるケルベロスの砲撃がガイセリウムに突き刺さっていく。しかし、その砲撃が止み、ケルベロス達が見たものは、傷一つ無い姿だった。
「やはり、傷を負わせることは出来ませんか」
 ケドウィン・アルカニクス(劇場の怪人を演じる地獄の番犬・e12510)は、その様子を見ながら呟く。
「宮元殿の言う通りじゃったの……」
 エスツーイ・フールマン(シルバーナイト・e00470)も、ケドウィンに同意し、自らのゾディアックソードを確認する。
「じゃあ、みんな行くぜ」
 百丸・千助(剣術一直線・e05330)は、メンバーに声をかけながら、河川敷へ駆け出した。ケルベロスは、目的の場所を目指した。絹の情報では、彼が現れるのは、多摩川の河川敷にあるテニスコートということだった。
「あら? 止まりましたわ!?」
 キュリアス・ラミーラ(超絶究極限界ギリギリ御嬢様・e13316)も、目的の場所を目指して走っていたが、ガイセリウムの侵攻が止まった事に気がついた。キュリアスは、ガイセリウムに攻撃した攻性捕食の状態を確認しながら、要塞をもう一度確認する。
「と、言うことは……」
「来るぜ!」
 和奈がの言葉に、竜人が合わせて言う。侵攻を停止させたガイセリウムから、肉眼では小さな点にしか見えないのだが、赤いモノが一気に噴出してきた。
「アグリム軍団……。ま、此処を通したら後が無うなるし……気ぃ張らんと、ね!」
 ネイはニコニコ笑いながら話しているが、その目は真剣にその赤い一団を捉えていた。
「ここの様じゃのう……」
 エスツーイの視線の先には、テニスコートがあった。絹の情報の特徴からも一致し、ここが戦場になると分かった。ケルベロス達は、それぞれの武器を取り出す。すると、1体のエインヘリアルが、その場に降り立った。そのエインヘリアルは赤い鎧を纏い、ゾディアックソードを両腰にぶら下げていた。
「……ほう。私の相手は貴方達ですかな? 既に待ち構えている様子。待たせましたかな?」
「ガリュム……だよな?」
「ほほう……我が名まで伝わっているとは驚きですな」
 千助の問いに、驚きの声を上げるガリュム。
「そう、私が……」
「テメエの話なんか、知らねえよ……」
 竜人はそう言いながら殺気を解放し、仮面を取り出した。
『仮面は全てを覆い隠す――…』
 髑髏の仮面を装着し、その殺気を込めていく。その行動を合図に、ケルベロス達が抜刀した。

●狡猾たる所以
「ハーハッハ! 不死の癖に老兵とは片腹痛いわ!」
 エスツーイはそう言いながら前に出る。ゾディアックソードを構えながら、スターサンクチュアリを竜人、和奈に降り注いでいく。
「準備万端……という、訳ですな。では……」
 ガリュムはそう言うと、二本のゾディアックソードを抜き去り、星座のオーラを前に出ていた竜人とエスツーイに、いきなり叩き込んだ。その攻撃から大量の氷が二人に出現していく。
「早い!」
 その電光石火の動きに、驚きの表情を浮かべながら、己も前に出る和奈。和奈もそのスピードに負けじとガトリングを連射する。しかし、その攻撃は、難なくかわされていく。
 その時、ガリュムの動きに付いて行く一つの影が叫ぶ。
『前後左右表裏ッ! 三っつ重ねて経絡八門、変幻自在に八卦良しッ!・・・GODs and DEATHーッ!!!』
 ネイが回転するように腕を振り、一気に貫手で突く。その手はガリュムのこめかみをかすめ、その赤いマスクを叩いた。
「ほう……これは、楽しめそうですかな?」
「これでも食らうナノデース!」
 ブリギッテがガリュムの股間を狙い、飛び蹴りを見舞う。しかし、その蹴りは赤い鎧に弾かれる。
『我が同胞よ 『真の』人殺しを捕えろ』
 ケドウィンがブラックスライムを前の三人に向かい一気に放つ。ブラックスライムが三人を覆い、彼らを守るようにまとわりつく。すると、竜人とエスツーイに発生していた氷が、少し小さくなった。
「この川まかり通ること能わず、ってね。……百丸流、百丸・千助! 推して参る!」
 千助は名乗りながら、ブリギッテと同じく、流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りをガリュムの足元に放つ。するとガリュムはその蹴りを自らの脚で受け流す。
「これは……一筋縄では行きそうにありませんわね」
 キュリアスは手に宿した攻性植物から、聖なる光を前の三人に降り注ぐ。その聖なる光が、氷をまた小さくした。
「老とは、私が手にしてきた勝利の数の証。お前達の言う老いるとは、存在そのものが違うのだ!」
 するとガリュムは、地面に文様を描き、そこから光を自らに注いでいく。その光がガリュムの赤い鎧を覆っていく。鈍く赤い光はケルベロス達を威圧するかのようだった。
「……気に食わねえ……。テメエらの存在が気に食わねんだよ……その、鎧の色が特になあ!」
 竜人はそう言いながら、硬質化した爪をその鎧に突き刺す。鎧の光が瞬いた時、更にケドウィンのブラックスライムがその光を食らっていく。
「……対策も、それなり、という訳ですかな」
 ガリュムの言葉は、どこまでが本当で、どこまでがハッタリなのか掴むことは出来なかった。ケルベロスが分かるのは、その存在が想像した通り強大であったということ。
 ケルベロス達は絹の情報から、戦いが長引くのを良しとしなかった。それは、虫の知らせか、これまでの戦いの経験から、もしくは只の勘であったのだが。その予想は、数刻の後に当たる事になる。

●傷つけあう者たち
「貴様らの軍は、個人の武を賞賛するんは良えが……一歩違えれば、末端の手綱が取れんじゃろ? ……じゃけぇ、貴様は此処で潰えて果てろ、ご老体!」
 ネイがそう言いながら、ガリュムの足元に蹴りを叩き込むが、その動きをジャンプして避ける。そこへ、ブリギッテが炎を投げつける。ガリュムから炎が上がりだした。
「オレはこっちに居るぜ。アンタ、強いな」
 惨殺ナイフを構えた千助が、炎の上がる箇所を切り裂く。その鎧の隙間にナイフが深々と突き刺さる。しかし、ガリュムはそのナイフを気にするそぶりも見せず、ゾディアックソードから氷を出現させ、千助に向ける。
「まだまだ、ここで負ける訳にはいかん!」
 エスツーイがガリュムと千助の間に入り、その氷の攻撃を一身に受ける。すると、大量の氷がエスツーイから一気に出現した。
「危険ですわ!」
「エスツーイ君!」
 その氷の出方に、キュリアスとケドウィンがヒールを施すが、氷を全て取り払うことは出来なかった。
「テメエの合切が今無くなる。黙って殺されろや、なァッッ!!」
 エスツーイと入れ替わるように、竜人が足元に飛び込み、ガリュムの左脚を飛ばす。その攻撃を受け、ガリュムがバランスを崩しながら飛び、体勢を立て直す。
「中々のものですな……」
 ガリュムはそう言いながら、ゾディアックソードから再び光りを纏う。
「ガジガジ!」
 千助がミミックの『ガジガジ』をエスツーイの前に立たせ、ガリュムとの間合いを取った。
 ケルベロスとガリュムは、お互いに攻撃を浴びせては回復を行いあっていた。ガリュムは出現させた氷が全て無くなる前に、また氷を浴びせる。その攻撃は全てエスツーイと和奈が受け持った。しかし、キュリアスとケドウィンを中心にして、身体を護るグラビティで固めて対抗するものの、やはり少しの氷は残る。ケルベロス達はその攻撃に耐え、お互いに一歩も引かない状態を継続していく。
 だが、ついにその均衡が破られる。氷を放っていたガリュムが、二本のゾディアックソードを上段と中段に構え、和奈の懐に飛び込んだ。
「まず……一人」
「風音殿!」
 エスツーイが叫ぶと同時に、和奈はその超重力の十字斬りに膝を付き、崩れ落ちた。すぐさまエスツーイが和奈を抱え、その場から離れる。
「これ以上は……無理じゃ」
 エスツーイはそう言いながら、ペインキラーを和奈に施していく。
「ぐ……なんとしても守るんだ! 支え……る。負ける……もんか!!」
 しかし、その言葉とは裏腹に和奈は動くことが出来ない。そこにネイが近寄っていく。
「和奈さん……。残念じゃが、ここは乃公様達に任せるのじゃ」
「……ネイさん、エスツーイさん……。みんな……。支えれなくて、ごめ……ん」
 和奈は唇をかみ締めながら、涙をその瞳に溜め込んだ。その涙は和奈の頬を伝って、落ちた。

●死という感情
「では、少々乱暴じゃが、許しておくれ」
 エスツーイが動けなくなった和奈を、川に放り込み、戦線離脱させる。そして、ガリュムに向きなおし、対峙する。
「狡猾の……。ここから先、お主の攻撃は、全てわしが受け持つ。さあ……かかってこられよ!」
 押し殺した声で叫ぶエスツーイ。彼に付着した氷が、その熱量で一気に解けていく。
 じりじりと対峙するガリュムとエスツーイ。その眼光に押されたのか、ガリュムが一歩下がる。その動きを見たエスツーイが一気に詰め、渾身のゾディアックソードの一撃を叩き込んだ。その赤い鎧の肩当てが、ソードの威力を抑えきれず、吹き飛んでいく。
「ぐ……!」
 よろめくガリュムにネイが陸上相撲殺・『八衢』を、もう一度顔面に打ち込み、ガリュムのマスクを吹き飛ばした。素顔が現れたガリュムから、先程までは分からなかった表情を読むことができた。
「どうやら、こちらの攻撃は、かなり蓄積されているみたいナノデース!」
 ブリギッテはそう言うと、眼鏡の位置を治しながら、その力を眼球に集中していく。
『眼鏡少女の誘惑視線、死ぬまで遠慮無く受け続けるナノデース!!!』
 ブリギッテのグラビティが眼鏡から放たれ、ガリュムを直撃する。
「お、おのれ……」
「エスツーイ様ばかり、良い格好はさせませんのよ。ブルーマスクの必殺技をお見せしますわ!」
 キュリアスはガリュムの背後に滑り込み、前後不覚気味のガリュムの頭を掴む。体重を乗せながら飛び上がり、引き倒す。そして倒れる直前に、自らの膝を立て、ガリュムの背中にその膝をぶち当てた。
『さあ! 叫びを上げなさい! 高らかに!』
 膝が当たったと同時に両の腕で腹と頭を押さえ込み、キュリアスのグラビティが三点で結ばれる。するとガリュムの鎧に、背中からヒビが走っていく。
「……!」
 ガリュムは叫び声を上げようとするが、声が出ないようだ。ガリュムはそのまま地面を転げながらケルベロスとの距離をとり、懸命に立ち上がる。しかし、ケドウィンがその脚に重力を宿した蹴りを叩き込む。ガリュムが膝を付き、顔を上げる。
「生きてて初めてだろ? 死ぬってのはよ……」
 竜人がルーンアックスを肩に担ぎながら、ガリュムにゆっくりと近づいていく。
「ハアッ……ハアッ……!」
 その姿を見ながら、ガリュムの息が上がっていく。
「そうじゃ、それが死という感情じゃ……。老い、死ぬからこそ、みな毎日を大切に生きているのじゃ。おぬしらには、分からんじゃろうのう……」
 エスツーイがそう言った時、ガリュムはその感情を制御できず、撤退を試みる。だが、もうその脚は言うことを聞かなかった。
「それが死という掟。俺達のルールだ。それを俺達は与えることができる訳だが……。まあ、俺がこの斧をテメエに叩き込む理由は、簡単だ」
 竜人はそう言い、ルーンアックスを発光させる。
「あ……あ……!?」
 そして、竜人が輝く呪力と共に斧を振り下ろした。
「その赤い鎧が気に食わない。それだけだ」
 ガリュムの肩口から鎧の中心部に向かって振り下ろされた斧で、鎧が砕けていき、そしてガリュムは消滅していった。

「和奈サン! ダイジョウブですかナノデース?」
 ブリギッテはそう言いながら、ケドウィンに川から救出された和奈を確認する。
「ふふ……良く、眠っていらっしゃるようです」
 ケドウィンはブラックスライムを縄のように使い、和奈を身体に縛り付けていた。
「ん? 緊急連絡? なんじゃ!?」
「宮元殿からの通信じゃな」
 レプリカントのネイとエスツーイに、絹からの全体連絡が入ってきていた。
「どうかしたんですの!?」
「まさか……他の皆は、駄目だった……とかじゃないよな?」
 千助とキュリアスが、二人に聞く。
「周りの状況からして……そういう訳じゃ、なさそうだぜ」
 竜人が他の戦闘状況を見渡し、言う。
「なるほどのぅ。どうやら、侵入部隊の為の作戦が発動されたみたいじゃねぇ……」
「と、言うとナノデース!」
 ネイの話を聞き、ブリギッテが無邪気な顔で尋ねる。
「とりあえず、詳しくは移動しながら話すとするかの。皆、ついてくるのじゃ」
 エスツーイがそう言い、少し早めに歩き始めた。
 これからガイセリウム侵入が開始される。ケルベロス達は、侵入部隊の作戦の成功を祈りつつ、多摩川を越えて撤退していった。

作者:沙羅衝 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年1月22日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 7/感動した 0/素敵だった 0/キャラが大事にされていた 3
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