多摩川防衛戦~テトラポッド

作者:秋桜久

 都市のビル群に巨大な影が落ちる。
 影の元となっているのは巨大な移動要塞。一見アラビア風な城のように見えるが、城からは4本の脚が生えていて、生物を人々に連想させた。
 城に脚──もしかしたら、無垢な子供であればヤドカリを連想したかもしれない。
 だが人々にそんな余裕は欠片もなかった。その城が自分達に向けて迫ってくるのだから。
 要塞に恐怖し、パニックを起こしながら逃げ惑う人々の背に、太陽の光を遮る影がじわじわと近付いて来ていた。

 エインヘリアルの第一王子から得た情報の一つ『人馬宮ガイセリウムが動き出した』という報は、すぐさまケルベロス達に伝わった。
「人馬宮ガイセリウムは、巨大な城に四本の脚がついた移動要塞で、出現地点から東京都心部に向けて進軍を開始しているようです」
 セリカ・リュミエールは務めて冷静に情報を伝える。
「ガイセリウムの周囲は、ヴァルキュリアの軍勢が警戒活動をしており、不用意に近付けばすぐに発見されるでしょう」
 ガイセリウムから勇猛なエインヘリアルの軍団『アグリム軍団』が出撃してくるため迂闊に近づくことは出来ないと言う。
 現在、人馬宮ガイセリウムの進路上の一般人の避難を行っているが、要塞の進路が不明である為、避難が完了しているのは、多摩川までの地域らしい。
「このままでは、東京都心部は人馬宮ガイセリウムによって壊滅してしまうでしょう」
 人馬宮ガイセリウムを動かした、エインヘリアルの第五王子イグニスの目的は、暗殺に失敗しケルベロスに捕縛されたザイフリート王子の殺害──そして、シャイターン襲撃を阻止したケルベロスへの報復。それに一般人の虐殺によるグラビティ・チェインの奪取も含まれているのは想像に難くない。敵が動く為にはグラビティ・チェインは必要不可欠。そして一般人を殺せばケルベロス達の精神にも打撃を与えられるのだから。
「このような暴挙、許してはなりません。どうか皆さんの力を貸してください」

 人馬宮ガイセリウムは強大な移動要塞だが、恐らくは万全の状態ではないだろう。何故なら人馬宮ガイセリウムを動かす為には、多量のグラビティ・チェインが必要だからだ。過去の侵略失敗で充分なグラビティ・チェインの確保が出来ているとは思えない。
「先のシャイターン襲撃が、ケルベロスによって阻止された事が原因でしょう」
 だからこそ東京都心部へと向かおうとしているのだろう。イグニス王子は、侵攻途上にある周辺都市を壊滅させ多くの人間を虐殺し、グラビティ・チェインを補給しようと考えている。それを阻止する為、ケルベロス側は多摩川を背にして布陣するのだと言う。
「まずは、人馬宮ガイセリウムに対して数百人のケルベロスのグラビティによる一斉砲撃を行います」
 この攻撃で、ガイセリウムにダメージを与える事は出来ないが、グラビティ攻撃の中和の為に少なくないグラビティ・チェインが消費される為、残存グラビティ・チェインの少ないガイセリウムには、有効な攻撃となる。
「ただ、この攻撃を受けたガイセリウムからは、ケルベロスを排除すべく、勇猛なエインヘリアルの軍団『アグリム軍団』が出撃してくる事が予測されます」
 このアグリム軍団の攻撃により、多摩川の防衛線が突破されれば、ガイセリウムは多摩川を渡河して、避難が完了していない市街地を蹂躙、一般人を虐殺して、グラビティ・チェインの奪取を行うだろう。
「逆に『アグリム軍団』を撃退する事ができれば、こちらから、ガイセリウムに突入する機会を得ることが出来るでしょう」
 この事態を収めるには、軍団を撃退する他はない。

 アグリム軍団は、四百年前の戦いでも地球で暴れ周り、その残虐さから同属であるエインヘリアルからも嫌悪されているという、
「構成はエインヘリアル・アグリムと、その配下の軍団と言われています」
 同族にも嫌悪されているアグリム軍団。それでも第五王子イグニスにとって、地球侵攻の為の切り札の一枚なのだろう。
「軍団は長であるアグリムの性格により、個人の武を誇り、連携を嫌う節があります」
 組織において命令を無視するという傍若無人さを持つのは危険極まりない。だがそれでも戦闘能力が本物であれば、烏合の衆と侮る事も出来ない。敵の特徴は全員が深紅の甲冑で全身を固めている事。三途の川の渡し賃を家紋にした戦国武将を彷彿とさせる。
「要塞が多摩川を超えれば、多くの一般人が虐殺されるでしょう。ケルベロスならば人々を救えると信じています」


参加者
アイリス・グランベール(烈風の戦姫・e00398)
真暗・抱(究極寝具マクライダー・e00809)
ユスティーナ・ローゼ(ノーブルダンサー・e01000)
月乃・静奈(雪化粧・e04048)
播磨・玲(ドタバタ娘・e08711)
撫子桜・千夜姫(双刃一体・e12219)
菅・五郎左衛門(オラトリオのウィッチドクター・e16749)
ノルン・コットフィア(今は戦離れし蟹座の騎士・e18080)

■リプレイ

●人馬宮ガイセリウム
 今の季節ならば日が沈み始める頃であるが、曇り空の下では太陽の動向など分かる筈もない。それでも僅かに暗くなっていく様子を雲の隙間から感じ取れる。ただそれを感じられるのはケルベロスのみであっただろう。
 一般人には空を見る余裕などなかったし、見上げた空には不気味な浮遊物が迫って来ていたからだ。
「人馬宮ねぇ……やたら馬鹿デカいものを引っ張り出しちゃって」
 堪ったものじゃないわ、とノルン・コットフィア(今は戦離れし蟹座の騎士・e18080)は風に白衣の裾を靡かせながら浮遊物を睨み付ける。白衣の下はワンピースにホットパンツという出で立ちだ。
「絶対に負けられない相手です」
(「あんな思いは私だけで充分」)
 自分の幼い頃を思い出しながらアイリス・グランベール(烈風の戦姫・e00398)は拳を強く握りしめる。表情はあまり動かないが、デウスエクスに対する思いは強い。
「全員の力がなければこの局面は乗り切れない。怖気付いた人はまさかいないわよね?」
「勿論だ」
 強気なユスティーナ・ローゼ(ノーブルダンサー・e01000)の言葉に頷いたのは菅・五郎左衛門(オラトリオのウィッチドクター・e16749)だ。怖気づくくらいならここには居ない。
「ボク達が居る限り、そう簡単には好き勝手させないよ!」
 多摩川で止めて見せると意気込んでいるのは播磨・玲(ドタバタ娘・e08711)。一見少年に見えるが、れっきとした少女だ。
「これ以上先へ進ませる訳には参りません」
 まだ避難している人が居るのですから。清楚な外見に凛とした空気を纏う月乃・静奈(雪化粧・e04048)は人馬宮の脅威に恐れを抱く人々が無事に避難出来るよう、自らの役目を果たそうとしている。
「みなさん、無茶だけはしないようにするですよ!」
(「白馬に乗った王子様なら大歓迎なんですが、あんな馬っぽい変なのに乗った王子様はちょっと願い下げですよ」)
 撫子桜・千夜姫(双刃一体・e12219)は仲間に向けて声を掛ける。確かに一般人を守る事が優先ではあるが、仲間の命も大事。敵を倒す為とは言え、無理や無茶はしないで欲しいと思う。生き残るなら全員で。
 そんな中、真暗・抱(究極寝具マクライダー・e00809)は腕を組んで瞑想していた。タイミングを図るように。
 ──作戦開始の合図が鳴る。
 ユスティーナ、静奈、玲、五郎左衛門、ノルンとサーヴァント達が──遠距離グラビティを持つ者が一斉に構える。
「ファイア!!」
 人馬宮に向けて一斉攻撃が始まった。轟音が辺りに響き、さながら花火大会の様相だ。実際はそんな綺麗な物では全くないのだが。
 轟音が止み、砲撃の煙が晴れると──そこには先程と変わらぬ姿の人馬宮が浮遊していた。
「そんな……効かなかったのですか?」
 あれだけの攻撃を受けて無傷とは……少なからずケルベロス達に動揺が走る。だがしかし、人馬宮は侵攻を止めた。それこそが効果があった証拠であった。ダメージは無いように見えるが、防御のために一時的にグラビティ・チェインを消費してしまったのだろう。暫くして動きを止めた人馬宮から赤い鎧のような物を身に纏った巨体が出現した。
「あれがアグリム軍団……」
 戦闘の第二波が開始された。

●迎撃! アグリム軍団
「来ます! 陣形を、整えて、ください!」
 抱が接近してくる赤に目をやり、仲間に呼びかける。
 遠距離攻撃をかわしつつ接近してくる敵に速攻を仕掛けようとする影があった。
「吹き荒れよ、烈風──エリアス・マキシア!!」
 極限まで高めた風の魔法を、自分の武器に集めて敵を切り裂く一撃をアイリスが放つ。強敵であるならば最初から全力で畳みかけるのみ。
 だが風は敵の鎧の一部を切り裂いたのみで終わる。敵とて敵の大技を易々と受ける優しさは持ち合わせていないのだ。それでもその一撃は敵の気を引き、次の一撃を受けさせる布石となった。千夜姫がアイリスが傷付けた鎧の破損個所に一撃を加えたのだ。
 そうして敵を迎え撃っている間に、五郎左衛門はサークリットチェインを前衛に施す。
 二人の攻撃で勢いを削がれた敵の剣をガントレットで受け流そうとするも、抑えきれずにギリギリで受け流す抱。後方へ流したまま体を回転させ、その背に降魔真拳を繰り出す。ライドキャリバーの黒雷も炎を纏い突撃する。
「フッ……」
 攻撃を受けてなお、敵は笑みを浮かべた。
 笑みと共に繰り出される獅子の群れ。前衛が牙と爪の洗礼を受けた。
 一撃を放ったばかりの無防備な体勢の敵に、横合いから静奈がマインドソードで斬り付ける。予想外の方向からの攻撃に敵が身を引く。そこに更に動きを抑えようとノルンがスターゲイザーで追い打ちを掛ける。心電図モニターに似た体のテレビウムのディアも、ノルンの攻撃に合わせて顔から閃光を放って援護する。
 その隙にユスティーナがブレイブマインを前衛に施す。攻撃力を上げる為の意味合いが強く回復量はダメージに比べて遥かに少ない。
 不足分を補うように玲が破邪の聖域を展開し、テレビウムのつっきーが黒雷の回復を担う。
 アイリスが上段からルーンアックスを振り下ろすのをサイドステップで避ける。避ける位置を狙って千夜姫がドレインスラッシュで攻撃と同時に微回復を図る。それを見て五郎左衛門はクラッシャーであるアイリスにウィッチオペレーションを施す。
「汝、輝かぬ瞳よ、我に従え。三つ首の魔犬に光を捧げよ」
 三対の魔眼を抱き枕カバーに施し、死角を持たぬ究極の戦闘寝具を纏おうとする抱。
「貴様……我を舐めているのか?」
 容赦なく振り下ろされる剣が抱き枕カバーを切り裂く。
「な……っ!?」
 回復と同時に防御力も増す筈だった。それをいとも簡単に敵は切り裂いて見せたのだ。黒雷の足を狙ったスピンも巨体で蹴り上げる事で直撃を難なく避けている。ユスティーナが聖光のセレナーデ、玲がルナティックヒール、つっきーが応援で抱を癒す。
 回復中は静奈とノルンとディアが攻撃を仕掛けて敵の気を引く。
 千夜姫が真正面から絶空斬を放つのに合わせ、アイリスが死角に回り込み雷刃突で仕掛ける。敵の目を撹乱する為に、五郎左衛門は後方から時空凍結弾で援護する。どの攻撃も命中した筈だが、鎧を纏っているせいか外見からダメージの影響は見えない。少しずつ焦りが浮かんでくる。焦りを振り払おうと振るわれた抱の蹴りを敵は足に手を添えて勢いを逃がすように受け流す。受け流した先には突撃を仕掛けていた黒雷がおり、黒雷は車体を傾けることで主人との衝突を避ける。
「それほど主人が大事か──ならば共に逝くがよい」
 地面すれすれに倒していた車体は制御を半ば失っていた。当然蹴りは避けられるはずもなく車体は宙を舞う。その姿を見る間もなく、続けざまに再度ゾディアックミラージュが振るわれる。攻撃力だけでなく命中率も高い獅子の群れに成すすべもなく前衛はダメージを受ける。
 敵が前衛を狙うのは血が上っているからでは決してない。この短い戦闘期間に敵の陣形と各自の役割を見抜いていたのだ。エインヘリアルは戦闘に秀でた者の集団。更に今回は集団行動は出来ないものの、各自が強力な戦闘力を有している軍団であることを忘れてはならない。一撃が兎に角重いのだ。
 静奈、ユスティーナ、玲、つっきーが仲間の回復と防御を固めている間、ノルンとディアが後方より確実に敵にダメージを与え続けていた。影響は見られなくてもダメージは確実に蓄積されているはず。
(「目の前の敵は、宿敵であるアイツじゃないのは頭では、わかってるつもり」)
 でも、ゾディアックソードを構えた姿を見ると怒りが込み上げてくるのをアイリスは止められない。体内のグラビティ・チェインを破壊力に変え、武器に乗せて振るう怒りの一撃。
 ギャリィィィン!!
 固い削るような音がして、先程とは別の場所の鎧が破壊される。
「舐めるなですよ」
 アイリスが死角から攻めるなら千夜姫は正面から。手にした簒奪者の鎌が弧を描くように鎧を切り裂く。中身はどうかは分からないが、今までの攻防で、鎧には無数の傷が刻み込まれていた。
「畳み込み、ましょう」
 黒雷は後方へ吹っ飛ばされたまま戻ってこない。いや、戻れないのか。敵の表情は見えずとも、刻まれた傷が確実にダメージを与えている証拠だ。攻撃が決まっている今の内に少しでも敵の体力を削っておかなければ……!
 降魔真拳。眠れぬ死者の腕で魂を喰らう降魔の一撃を──喰らわせることは出来なかった。
「ガハッ……!?」
 攻撃をその身に受けたのは抱の方だった。
 敵は突撃にタイミングを合わせ、拳をかわして懐に入り、カウンターで星天十字撃を放ったのだ。至近距離からの超重力の十字斬りは、がら空きになった抱の肉体に叩きつけられた。己の飛び込む勢いさえ利用された一撃に、意識ごと刈り取られ、意識を手放した体は地面を削るように線を描き、やがて静かに横たわった。彼は恐らくもう立てないだろう。
(「拙いな……」)
 守りを固める一人が減り、それに伴い全体の攻撃力が落ちた。敵の攻撃力は高い。防御力も、現時点で一度も回復していない事を考えれば、まだ体力に余裕があると言うことなのだろう。こちらは一度の攻撃で回復役は回復に専念しなければならない状況……五郎左衛門の背に嫌な汗が伝う。
「仲間を傷付けさせは致しません」
 倒れた仲間に追撃はさせまいと静奈は達人の一撃で敵に斬り込む。冷気が敵の手を覆いイラついた敵が剣を振って追い払おうとするのを、ユスティーナは手にしたナイフに惨劇の鏡像を映し出しフォローする。何が見えたのかは不明だが、若干動きが鈍ったところに、ノルンが前に出て必殺技を放つ。
「十八番、いくわよっ。――颯壊旋撃っ!!」
 体内のグラビティ・チェインを回転・圧縮させて高密度な球状を形成した螺旋の弾。
 回避しようとする敵の身を、つっきーとディアのW閃光で逃げ場を狭め、玲が禁縄禁縛呪で一時的に動きを縛る。先の鏡像により行動を阻害されていた敵はまんまと連携にはまる。身動きが取れない体──心臓部分にノルンの練り上げた弾が炸裂する。
「オオオオオオオオ!!」
 初めて敵の口から悲鳴のような呻きの様な声が発せられた。

●暗雲
 敵に大打撃を与え、形勢逆転かと思われたが、敵は即座に自己回復した。敵が回復している間にも攻撃は行われていたが、何度か攻撃を回避されては与えた分のダメージも回復されてしまう。逆に敵が一度攻撃に回れば、こちらは回復に専念しなければならず、一人減った状態では攻撃力に欠いていた。
 せめて敵の機動力を奪おうと、命中率の高いノルンがスターゲイザーを仕掛ける。流星の煌めきと重力を宿した飛び蹴りは確かに敵に届いた。だが敵はそれを待っていた。
「お前は邪魔だ」
 避けられなかったのではなく、敵はわざと蹴りを受けたのだ。攻撃を受けて武器を取り落としたと思われた左手でノルンの足を掴み、逃げられないようにして右手のソードで重い斬撃をノルンに振り下ろした。
「あっ……う……!」
 今までの攻撃は前衛を中心とするものだった。故に回復役は前衛の回復と防御に務めていて、後衛への防御体勢は疎かになっていた。しかもサーヴァント持ちで体力の少なかった身では、この一撃は耐え切れなかった。
 こうなっては攻撃力の高い技で挑むしかない。
 だがアイリスの必殺技はかわされてしまう。五郎左衛門はエレキブーストを千夜姫に施し、千夜姫は命中率の高い攻撃を確実に当てていくが、続く静奈の攻撃は回避されてしまう。
 玲は攻撃を仕掛けようとするユスティーナにルナティックヒールを施す。今は少しでも攻撃力を上げて挑むしかない。
 ユスティーナは形勢を変える一撃をグラインドファイアに賭けた。
 河川敷の遊歩道のアスファルトにエアシューズのローラーが接触。踏み込んでダッシュを掛けるその一瞬、ライターの火を点けるようにローラーとアスファルトの摩擦でシューズが火を纏う。
「思い通りに運ばせてあげないわ!!」
 曇天の空の下に炎が赤い花を咲かせた。

●決着の時
 渾身の蹴りは届くことはなかった。
 敵は再度前衛に向けてゾディアックミラージュを放ったのだ。
「──っ!?」
 攻撃のみに集中していたユスティーナの胴に獅子の幻影が襲い掛かる。回復は勿論していた。だが倒れにくい回復役として、盾となり回復を担っていたユスティーナ。回復は防御力が低くまた攻撃力アップの為にクラッシャーを主に行っていた為、自身の回復は完全ではなかった。その体への一撃に耐えられず、また攻撃体勢の隙を狙った攻撃に落ちる他はなかった。
 千夜姫は鎌で獅子の牙を受け止めようとしたが、剣圧に押されて後方へ吹っ飛び意識を失った。
「うぅ……」
 アイリスは攻撃の瞬間、一歩後方へ引いた為、ギリギリ直撃は避けたものの膝をつく。
「……残念だが、ここまでだな」
「……」
 玲は倒れたつっきーを抱き上げて悔しそうな表情をするが、異論を唱えることはない。
「……分かりました」
 静奈は倒れた仲間と敵の姿を交互に見て唇を噛み締める。
 半数が倒れた上、守りの要もおらず全体的に火力が足りていない。そんな状態で戦っても意味はないと頭では分かっている。それでも納得が出来ないのは気持ちの問題なのだろう。そんな気持ちに喝を入れて撤退作業に移行する。
 倒せなかったのは残念だが、敵は無傷ではない。回復して再度進撃するには少なからず時間を有するだろう。
 一般人が避難する時間を稼げただけでも戦った意味はある。
 今回の作戦には人馬宮への潜入作戦もあった。この作戦を成功させる為には、敵を油断させる必要があった。だから勝利しても潜入部隊以外は多摩川から引き、迎撃に失敗した体で敵の油断を誘う意味合いもあったのだ。
 本来なら敵を倒して偽装の為に引きたかったが仕方ない。
 別所の作戦が成功するよう祈りながら、傷ついた仲間の身を引きずりながら残ったメンバーは戦場を後にするのであった。

作者:秋桜久 重傷:真暗・抱(究極寝具マクライダー・e00809) 
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年1月22日
難度:やや難
参加:8人
結果:失敗…
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