多摩川防衛戦~敗北は市民の被害

作者:雪見進

 ここは多摩川の河川敷。そこでは、様々な人が散歩したり、自転車に乗っていたりと市民の憩いの場所。そんな場所に、厄災が迫っていた。
「お、おいあれは何だ?」
「城……?」
 一般市民が思わず見上げた、ソレは巨大な城だった。それに4本に脚が生え、一歩一歩、八王子から東京都心部に向かっていた。
「逃げろ~」
「助けてくれ!」
 その巨大な城は直径300メートル、全高30メートル(脚は含まない)。その周囲には、警備のためなのかヴァルキュリアたちが飛び回っていた……。

「エインヘリアルの第一王子ザイフリートさんから得た情報にあった、人馬宮ガイセリウムが遂に動き出したようっす」
 興奮気味に説明をするのはダンテ。人馬宮ガイセリウムは巨大な城に四本の脚が付いた移動要塞。東京焦土地帯に出現し、東京都心に向けて進軍を開始しているようだ。
「ガイセリウムの周囲は、ヴァルキュリアの軍勢が警戒中でうかつに近寄れないっす」
 発見されると勇猛なエインヘリアルの軍団『アグリム軍団』が出現してくるようだ。
「現在、ガイセリウムの進路上の一般人の避難を行っているっすけど、色々あって避難が完了しているのは多摩川までの地域となってしまっているっす」
 ガイセリウムを動かした第五王子イグニスの目的は、暗殺に失敗しケルベロスに捕縛されたザイフリート王子の殺害、そしてケルベロスへの報復、さらにグラビティチェインの奪取だと思われる。
「そんな事をさせないために、皆さんの力を貸して欲しいっす」
 そう言って、作戦の説明に移るのだった。
「人馬宮ガイセリウムは物凄い移動要塞っすけど、万全じゃないみたいっす」
 それも前回のシャイターン襲撃事件を防げた結果、十分なグラビティチェインを確保出来ていない様子なのだ。そのため、ガイセリウムが侵攻途中の都市を壊滅、人間を殺害し、グラビティチェインを現場調達しながら都心へ向かうという作戦だと思われている。
「もし、ケルベロスの皆さんがシャイターンを撃破出来てなかったらと思うと、ぞっとするっす」
 グラビティチェインが十分に確保出来ていたら、どれだけの被害が出るか想像したくない。
「それで、皆さんにお願いしたい作成はこんな感じっす」
 具体的な作戦の説明に移るダンテ。まず、最初にケルベロスたちのグラビティ一斉砲撃が行われる。この攻撃ではガイセリウムにダメージを与える事は出来ないが、グラビティチェインを消耗させる事は可能。その結果、ケルベロスを排除すべく、勇猛なエインヘリアル・アグリム軍団が出撃してくる。
「このアグリム軍団を撃退するのが最初の目標っす」
 そう言うのだが、もし敗北し多摩川の防衛線を突破されれば、一般人に多大な被害が出てしまう。かなり厳しい作戦なのだ。逆にアグリム軍団を撃退できれば、こちらからガイセリムに突入する事も出来るかもしれないのだ。
「それでアグリム軍団というのは、全員が真紅の甲冑で固めている軍団っす」
 かつて400年前の戦いでも地球で暴れ周り、その残虐さから同属であるエインヘリアルからも嫌悪されているというエインヘリアル。アグリムと、その配架の軍団と言われている。
「人馬宮ガイセリウムが多摩川を超えれば、多くの一般人が虐殺されてしまうっす。それを防げるのは、ケルベロスの皆さんだけっす」
 そう言って、ダンテは説明を終えるのだった。


参加者
苑村・霧架(真銀のフィリニアス・e00044)
愛柳・ミライ(宇宙救済系・e02784)
リディ・ミスト(幸せを求める公園管理人・e03612)
神地・滄臥(ウォーガンナー・e05049)
八重波・翅弦(翠玉炎天・e05149)
フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)
レイナ・デモダイシン(フォレスチズム・e14316)
花守・すみれ(菫舞・e15052)

■リプレイ


 ここは多摩川。 八王子方面には巨大な城が見える。その城は人馬宮ガイセリウム。この移動要塞には脚があり、その脚で一歩一歩、東京都心部を目指し侵攻してくるのが見える。
「ガイセリウムが万全じゃない今のうちに、何とかしないとね」
 苑村・霧架(真銀のフィリニアス・e00044)がアームドフォートを構えながら呟く。あの巨大な城を止めなければ、どれだけの被害が生まれるか分からない。そして今、その城を止める第一段階として、グラビティの一斉発射される。
「派手に行くよ!」
「ばばーん!」
 花守・すみれ(菫舞・e15052)と愛柳・ミライ(宇宙救済系・e02784)が息の合った動きで同時にグラビティを放つ。すみれの作成した多数の魔法の矢とミライの物質の時間を凍結させる弾丸が人馬宮へ飛んでいく。二人の声にタイミングを合わせるように、他の者も遠距離グラビティを人馬宮に放ち始める。
「まずはここからだな……ぶっぱなす!」
「これ以上は、やらせません」
 神地・滄臥(ウォーガンナー・e05049)がリボルヴァーに魔力の弾丸を込め発射し、八重波・翅弦(翠玉炎天・e05149)が斬霊刀に気を込め放つ。放たれた気は龍の形を成し人馬宮へ飛んでいく。
 さらに、フローネ・グラネット(紫水晶の盾・e09983)が御業から火炎弾を放ち、レイナ・デモダイシン(フォレスチズム・e14316)がエアシューズを高速回転させて発生させた摩擦を蹴りに込め炎撃を放ち、さらに霧架のアームドフォートの弾丸が軌跡を描く。
「飛んで……みんなの幸せを守るために……っ!」
 リディ・ミスト(幸せを求める公園管理人・e03612)が翼を羽ばたかせ、紫揚羽蝶にかつて失われたオラトリオの力を託す。その紫揚羽蝶が空間を歪める力を携え、人馬宮へ飛翔する。
 無論、グラビティを放ったのはここにいる8人だけじゃない。集まった数は数百人。それが一斉にグラビティを発射したのだ。それが人馬宮に命中すると同時に激しいエフェクトが発生し、人馬宮を覆い隠す。
「……」
 誰かの息を呑む音が聞こえるほどの沈黙。しかし、次の瞬間……人馬宮は傷一つ無い姿で現れた。
「壊せないのがもどかしい……!」
 ミライの悔しそうな声が響く。予想通りとはいえ、これだけの数のグラビティ攻撃なのだ。城だって破壊しそうな威力だろう。それを防いだのは、もちろん人馬宮の力。しかし、これで蓄えられていたグラビティチェインを消費させたはずなのだ。
 その結果だろうか人馬宮は侵攻を止めた。これからアグリム軍団が出撃してくるはずだ。それまでの数分間で準備を整えるケルベロスたちだった。

「……何時だって、負けられないの。……今日も」
 今回の防衛戦は特に厳しい戦い、同時にそれに敗北すれば一般市民に被害が出てしまう。ミライはそれを再認識するように言葉に出して気合いを入れる。
「そうだ。この作戦に失敗したら、多くの人が犠牲になる。そんなのは絶対に止めねぇといけない事だ」
 ここにいる全員に聞こえるように声を出す滄臥。
「虐殺なんてさせないよ、みんなの幸せは、絶対に守る!」
 この防衛線を突破されたら、一般市民を虐殺しグラビティチェインを補給する。それがエインヘリアル軍の狙いなのだ。リディはそんな事をさせないために、今、この場所に立っている。
「ならば、不退転の覚悟を決める」
「ああ!」
 滄臥は、不退転の覚悟……絶対に撤退しないという覚悟を決める。それだけ気合を入れる必要があるという事だ。他の皆も同意するように頷く。

「でも、ここで防衛戦が出来るのも、シャイターンの虐殺を阻止してくれた先人のおかげですよね」
 翅弦が準備を整えながら呟く。今回の作戦は、以前のシャイターン襲撃事件を防いでくれたからこそ、可能だった作戦。もし、阻止に失敗していたら、人馬宮ガイセリウムがそのままここに突撃してきて、防ぐ機会すら無かったかもしれないのだ。
「相手がエインヘリアルっていうならだ、黙っていられないね」
 最近攻勢を強めるエインヘリアル軍。ザイフリートの離反から、その動きは活発になっている。そんなエインヘリアル軍と戦うために、霧架はこの防衛戦に参加したのだ。他の者たちも色々な覚悟でこの場所に立っているのだ。

「敵、来ます!」
 そんな気合いを入れ直すケルベロスたちから視認出来る範囲に、アグリム軍団の1体が見えてきた。過去に猛威を振るった脅威の軍団。その突撃も凄まじい。地面に光輝く斧を叩き付けると同時に高速で距離を詰める。
「あなたの敵は私たちよ。これ以上行かせないわ」
 突撃してくる敵に対し声を上げるレイナ。その凛とした声に反応し、足を止め地面に斧を叩き付け停止し、名乗りを上げる。
「響く我の声を聞け、我の姿を見て絶望せよ、我は『暴厳の斧鉞』。我の斧鉞により塵と化せ!」
 そんな名乗りに答えたのはフローネ。
「『暴厳の斧鉞』、この『紫水晶の盾』が必ずここで止めます!」
 その言葉に嬉しそうなに反応する暴厳の斧鉞。
「面白い、矛盾ならぬ斧盾か!」
 そんな反応に面白そうな声で答える。アグリム軍団は真紅の鎧を身にまとう。故に感情が分かりづらいかもしれないのだが、暴厳の斧鉞は声が表情以上に感情豊かだった。
「ならば、我の斧鉞でお主の紫水晶の盾、砕いて見せよう!」
 叫ぶと同時にルーンアックスを振り上げフローネに襲いかかった。戦いの開始だ!


「砕け散れ!」
「アメジスト・シールド、最大展開!!」
 叫ぶ暴厳の斧鉞の一撃をフローネはアメジストビームシールドを最大出力で展開し、自身を含め、前衛の皆を守るように展開させる。
「これがお主の紫水晶の盾か!」
 楽しそうに笑い声を響かせながらも、凄まじい勢いで斧を振り回す。
「……くっ、そんなものですか『暴厳の斧鉞』!」
 すべての攻撃を防ぐ事は出来ない。それでも、耐えながら仲間の攻撃を待つ。
 そこへ踏み込むのはすみれ。
「虐殺なんて、誰がさせるかっ」
 すみれが叫ぶように流星の力を込めた蹴りを放つ。その蹴りを真正面から受けるも、脚を踏みしめ堪る。
「戦いこそ我の生きる場所、虐殺こそ我の喜び!」
 すみれの蹴りを受けながら、言葉に返答するように吠える。
「俺たちの絆を、舐めるな!!」
 すみれの攻撃に合わせて、翅弦は斬霊刀を非物質化させる。そして鋭く距離を詰め、霊体のみを切り裂く斬撃を放ち、再び距離を取る。
 二人の攻撃の合間にミライがフローネへヒールを行う。
「そう! 誰よりも高く飛ぶのよ。期待を籠めて、背負うのは明日だけでいい」
 フローネに想いを乗せた応援歌を送り、フローネの傷を癒す。
「こっちがガラ空き、だよ!」
 正面から攻撃を仕掛けたすみれと翅弦と連携し背面を取った霧架がルーンアックスに地獄の炎をまとわせ叩きつけ、滄臥が高速で移動しながら弾丸の雨を降らせと手榴弾で爆撃する。
 さらにリディが斧鉞の力を中和し弱体化するエネルギー光弾を発射する。
「確かに見事な連携だな」
 背面からの攻撃を最小限の動きで耐え、そのまま距離を一歩詰めて、斧を地面に突き刺す。同時に斧鉞が破壊の光を宿し自身に力を与える。
「だが、俺はこの程度では止まらぬ!」
 それは自信だろうか虚勢だろうか傲慢だろうか。しかし、ケルベロスたちの凄まじい連続攻撃に、身体を揺らすも一歩も下がる事はない。それどころか、隙あらば防衛線を越えようと一歩一歩、進み続ける暴厳の斧鉞。
「これ以上は進ませません」
 そんな暴厳の斧鉞の暴挙を許さぬために、レイナがケルベロスチェインを地面に展開。その鎖が守護の結界を描く。
「確かに連携は見事だ……」
 その様子に静かに笑い声を響かせる。しかし、次の瞬間、地面を大きく踏みしめる。
「我はこれ以上下がる事、無し!」
 こちらが不退転の覚悟を決めている事を理解しているのか、それとも偶然か。暴厳の斧鉞も不退転の覚悟を決める。
「さあ、お主等の連携だか絆だか見せてみろ、それを我が斧鉞で断ち切って見せよう!」
 自身が付けた足跡より一歩、進み吠えるのだった。


「大いなる森たちよ、私たちに癒しの力を!」
 レイナの声に呼応するように、多摩川の木々が自然の力を癒しの力としフローネたちの傷を癒していく。
 暴厳の斧鉞の攻撃はフローネを集中攻撃。しかし、そうはさせないと霧架とレイナとそのビハインド、ヒノトがフローネを庇いながら戦う。
「……」
 そんな状態で無傷のすみれ。距離を取って攻撃を仕掛ける自分に僅かな罪悪感を感じているすみれ。しかし……いや、だからこそ攻撃へ集中する。
「もう一度会いたい友だちがいるから、ここで立ち止まるわけにはいかないんだ」
 今は会う事が出来ない友だちを想いながら、斬霊刀を構えるすみれ。
「たった一輪手折るのならば、選び選びて花手折れ」
 花守家に伝わる剣術。暴厳の斧鉞の正中線を狙い斬撃を放つ。
「狙い見事な一撃!」
 真正面から受ける暴厳の斧鉞。そしてすみれを睨むも、狙いは変えずに前衛を攻撃し続ける。
「くらえぃ!」
 斧鉞を同時に降りかぶる敵に対し、展開したアメジストシールドで綺麗に受け流す。
「なんとぉ!」
 あまりに見事に受け流された事に驚愕する暴厳の斧鉞。
「ふふ、掛かりましたね。そんな大振り、受ける必要もありません……今です、集中砲火を!」
 完全に読んでいた動きで斧鉞の攻撃を避け、大きな隙を作り出すフローネ。
「力を誇るならば、それに溺れるも道理」
「ぬぬっ!」
 翅弦の核心を付いた言葉に、不機嫌そうな声を出す。
「至れ、気の刃」
 斬霊刀の気を込め、放つ龍の斬撃。さらに滄臥が龍の幻影弾を放ち、霧架が跳躍からルーンアックスを頭に叩きつけ、リディが旋風のごとき刃の蹴りを放つ。
「一緒に帰るんだよ……!」
 その連携攻撃の間にミライが皆を癒す歌を響かせる。その歌は皆に力を与える……。

 しかし、それほどの連携攻撃を全て受けきった暴厳の斧鉞は、そのまま一歩進みフローネに全身で体当たり。
「取った!」
「くっ!」
 そのまま、さきほど完璧に避けられた斧鉞の一撃を叩き込む。同時にガラスが割れるような、高音が響く。
「……ふふふ、砕けたぞ!」
「見事です……」
 フローネを……そして、前衛の皆を守ってきたアメジストの盾が砕け、そしてフローネは膝を付き、そのまま立ち上がれなかった。
 砕けたアメジストの破片がまるで雪のように降る中……静かに両手を広げ、アメジストの雪に触れる暴厳の斧鉞。
「紫水晶の盾は砕けたが、我の斧鉞も折れるか……」
 各個撃破が暴言の斧鉞の戦い方であろう。しかし、その最初の対象をフローネに選んだのは明らかな失敗だった。それを今、自覚したのだ。
「個での力及ばずならば、連携にて補い合い、対抗するまで」
「そのようだな……しかし、冥土の土産がこれだけでは足らぬな」
 アメジストの雪に触れた手を握り、再び斧鉞を構える。
「今日は特に負けられないの……」
 そんな暴厳の斧鉞の言葉を弾き返したのはミライだった。
(「すみれちゃんもいますし……」)
 その隣へ静かに立ち、肩に手を添えるすみれ。
「これ以上、やらせないんだからっ!」
 すみれもミライと共に暴厳の斧鉞が放つプレッシャーを押し返す。
「ならば、この暴厳の斧鉞。貴様等に我が名を恐怖と共に植え込んでやろう!」
 その間に、翅弦が動けぬフローネを助け出す。その間、暴厳の斧鉞が動かなかったのは何故だろうか。それは本人にも分からないのかもしれない。
「さあ、かかってこい!」
 フローネを安全地帯へ運んだ直後、暴厳の斧鉞の咆哮が響いた!

 しかし、そこまで追いつめても暴厳の斧鉞は強敵であった。フローネが倒れた事で前線の維持が難しくなり、霧架とレイナに重い負担がかかる。
「私1人じゃ心が折れそうなときも、1人と1匹なら! きっと皆を元気にできます!」
 そんな仲間を鼓舞するため……。ミライはマイクを取り出し、歌を拡声しながらギターを演奏し仲間たちを奮起させる歌声を響かせる。
「こんなところで負けないでよ、お願い、立ち上がって……!」
 一緒にボクスドラゴンのポンちゃんもヒールを手伝う。
 それでもレイナが倒れ、そして霧架もぎりぎりだった。しかし、それでも自信に溢れた表情のまま武器を構える。
「そろそろ終わりにしようか」
「それは我の言葉」
 そんな霧架の言葉に笑って返す。次の瞬間、暴厳の斧鉞の降り上げた斧を避け、懐に入り込む。
「皆を護る力よ、今この光に宿れ!」
 少女の憧れが覚悟となり、光に宿る。その光を鉄塊剣に宿し全力の斬撃を繰り出す。
「がはぁ!」
 身体が『くの字』に折り曲がる。そこへリディが放つ紫揚羽蝶。そのまま暴厳の斧鉞の時間と空間を歪め、動きを阻害する。
「いまです!」
 普段なら笑顔を絶やさないリディだが、今は笑顔は消え誰も死なせるものかと思い詰めた表情。その気迫が宿ったグラビティは勝利の道を作った。
「テメェはここで叩き潰す、絶対にだ!」
 勝機を理解した滄臥が、この瞬間に全力を尽くす。
「これが……俺の全力全開だ……覚悟しろ……!」
 懐に入り込んだかと思うと、至近距離から二丁のリボルヴァーから無数の弾丸を叩き込む。
「ググッ!」
 苦しそうな声を響かせながらも鉞で滄臥に切りつける……かと思うと、滄臥はそこには居ない。目にも止まらぬ速度で背面を取り、そこから無数の弾丸で打ち抜く。
「ググググゥッ!」
 振り返り斧を振り回すも、次の瞬間に頭上へ跳躍。そこから大量の手榴弾を爆撃。
 さらに爆煙の中、滄臥の連撃が繰り出された。
「……」
 先に爆煙の中から出てきたのは滄臥。爆煙に向かい両手のリボルヴァーを構えたまま……。
 次の瞬間、爆煙の中から、何かが倒れる音が聞こえた。
「……無念」
 爆煙が晴れると、そこには倒れ動かなくなった暴厳の斧鉞の姿があった。ケルベロスたちの勝利だ。


「ふー、何とかなった……かな?」
 あえて余裕そうな笑顔を見せる霧架。
「うん、そうだね♪」
 戦いが終わり、少し余裕の戻った笑顔を見せるリディ。
「だが……」
 しかし、全ての場所でアグリム軍団を倒せた訳ではないようだった。何箇所か、突破されたという連絡が入ってくる。
「行きましょう」
 戦えないかもしれないフローネとレイナを庇うようにポジションを入れ替え、突破されたかもしれない場所へ急ぎ走りだす。
「後は進入した皆さんにお願いしましょう」
「そうですね」
 だが、ガイセリウムへの侵入部隊も出撃したはずだ。その成功を祈りながら、多摩川を越えて撤退を開始するケルベロスたち。
 この結果がどうなるのか……誰にも分からない。今は、少しでも被害を少なくするために、都心部へ向かって走り出すケルベロスたちだった。

作者:雪見進 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年1月22日
難度:やや難
参加:8人
結果:成功!
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