いくら尽くしても……

作者:なちゅい

●どれだけお金を貢ごうとも……
 そこは、兵庫県のとあるクラブ。
 社会人、南井・慶幸は仕事帰り、クラブに通うのが密かな楽しみとなっている。
「真智ちゃん、今日もいるかな」
 南井は真智という女性にご執心だ。童顔ながらも、スタイルのよい女性。店の中でも人気の高いホステスだ。
 南井は今月の給料の大半を彼女へとつぎ込み、貢いでいる。今日は高級バッグを気前よくプレゼントしていたようだ。
 しかしながら、ホステスにとってそれはいつものこと。一介の会社員である南井が有り金全てはたいたプレゼントを渡しても、気持ちが靡くはずもない。人気の高い彼女は、羽振りのいい客から高級品を貢いでもらっているのだろうから。
「はぁ……」
 クラブを出て、溜息をつく南井。いくら尽くしても、彼女の気持ちが自分に靡かないのだろうとは薄々感じてはいる。
 現に、南井と対する彼女は、笑みこそ浮かべているのだが、接客スマイルであるのは間違いない。渡したプレゼントも質に入れられている可能性すらある。
 とぼとぼと歩き、帰路につく彼の後ろに現れたのは、黒いコートの少女。彼女は手に持った鍵で、南井の背中から心臓を一突きした。
 鍵があからさまに心臓を貫いているのに、南井の身体からは血が流れ出る様子は見られない。
「あんたの愛って、気持ち悪くて壊したくなるわ。でも、触るのも嫌だから、自分で壊してしまいなさい」
 少女がそう告げると、南井は意識を失って倒れてしまう。そして、そこに現れたのは、ホステス、真智をデフォルメしたような怪人。その胸部……愛、心臓を示す部分がモザイクに覆われていたのだった。
 
 ヘリポートでケルベロスを待っていたのは、リーゼリット・クローナ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0039)だった。彼女は小さく手を振り、ケルベロス達の来訪を歓迎した。
「ようこそ。来て早々悪いけれど、依頼の話をいいかな」
 リーゼリットの話によれば、見返りの無い無償の愛を注いでいる人が、ドリームイーターに愛を奪われてしまう事件が起こっているそうだ。
「愛を奪ったドリームイーターは、『陽影』という名前のようだね」
 彼女の正体は分からない。ただ、陽影の手によって、奪われた愛を元にし、現実化したドリームイーターが事件を起こそうとしているようだ。
「愛を奪われる被害者をこれ以上増やさない為にも、ドリームイーターの撃破を頼むよ」
 このドリームイーターを倒す事ができれば、愛を奪われてしまった人も目を覚ましてくれることだろうと、彼女は告げた。
「このドリームイーターはモザイクを飛ばして、攻撃を仕掛けてくるよ」
 敵が飛ばすモザイクには、催眠、麻痺、武器封じの効果があるようだ。
 ドリームイーターが徘徊するのは、クラブが集まる歓楽街だ。南井が執心している真智を含め、ホステスばかりを狙っているという。
「すでにホステスに被害も出てしまっている。クラブとしては商売あがったりなのだそうだよ」
 早く対処せねば、新たな被害、犠牲者が出てしまう。別のホステスが狙われる前に、ケルベロス自ら店に名乗り出て、ホステスになり切り、囮になってもいいかもしれない。そうすれば、ドリームイーターと出くわすことができるだろう。
「ケルベロスは一般人に比べて愛の力も大きいからね。皆が囮になるのなら、ドリームイーターは皆を狙って現れる可能性が高くなるはずだよ」
 この辺りはメンバーで意見を合わせ、作戦を練るといいだろう。
「無償の愛、か……。それについては賛否がありそうだけれど、少なくともその愛を奪って化け物にするドリームイーターは許せないね」
 だから、このドリームイーターを倒してほしい。リーゼリットはそうケルベロスへと願うのだった。


参加者
ロベルト・スライフィールド(世界で二番目にカッコイイ豚・e00652)
ローゼマリー・ディマンティウス(ディレッヒャリン・e00817)
ガド・モデスティア(隻角の金牛・e01142)
篠宮・マコ(スイッチオフ・e06347)
ユーベル・クラルハイト(マルチレイヤストラクチャ・e07520)
レティシア・シェムナイル(百花繚乱・e07779)
七種・徹也(玉鋼・e09487)
滝・仁志(風まかせの空模様・e11759)

■リプレイ

●1日限りのケルベロスクラブ
 兵庫県、某所。
 ケルベロス達の姿は、とあるクラブの中にあった。
 そこは、今回現れるドリームイーターが次に狙うホステスがいるクラブ。従業員に被害が及ばないように、今日だけ、この店は8名のケルベロスが店を預かることにしていた。ケルベロス達はここでホステスや客に扮し、ターゲットを待ち構えているのである。
 こういったケルベロス達による配慮もあり、次狙われると予知されたホステスの奈夕は、すでに店から避難してもらっている。
「なんやもう、ええ大人がうじうじして。プレゼントでダメならハッキリ好きって言えばええんやないんか」
 ガド・モデスティア(隻角の金牛・e01142)が言っているのは、ドリームイーターに襲われた、南井・慶幸のことだ。もっとも、事前の話の通りならば、この男はほぼ確実に、目的のホステスからはごめんなさいと返答されそうではあるが……。
「『見返りを求めない愛』といえば、なんだか尊いもののようにも聞こえるけど……」
 篠宮・マコ(スイッチオフ・e06347)は囮を務めようと、ホステス風の格好をしている。
「一生懸命に尽くしても何も報われないのは、なんだか可哀想なものね」
「見返りの無い無償の愛、ね」
 ローゼマリー・ディマンティウス(ディレッヒャリン・e00817)も同じく、囮役を買って出ている。ホステスっぽく見せる為に、ローゼマリーはスパンコールのイブニングドレスを身につけていた。
「相手が欲しいのが恋で、相手に全てを捧げてもいいのが愛とは、何処で聞いた言葉だったかしら」
「愛を奪われちゃったんだネ……」
 レティシア・シェムナイル(百花繚乱・e07779)はしんみりしつつ語る。彼女はホステスの格好がどんなものかが分からず、いつものドレスを着て依頼に臨んでいた。
「とっても大事な感情なくなっちゃうのは悲しいネ……。被害者をこれ以上増やさない為に頑張らなくちゃダネ」
「無償の愛……。ちょっとイメージが違いますが、なんだか、切ない……? ですね……」
 ユーベル・クラルハイト(マルチレイヤストラクチャ・e07520)も未成年ではあるが、スタイルが良いこともあり、童顔のホステスと主張して頑張ってみようと考えていた。事前に、ホステスについてはアイズフォンで調べてきており、予備知識もばっちりである。
 一方の客役の男性陣。七種・徹也(玉鋼・e09487)はこの場の雰囲気に落ち着かない様子。
「例え、客とホステスの関係だったとしても、その気持ちは紛れも無く愛。奪うのは許せねェな」
 南井の愛が奪われたことで、新たなるドリームイーターが生み出されてしまっているのだ。そわそわしていた徹也だったが、両手で頬を叩いて気合を入れていた。
 その相手をするのは、顔見知りのユーベル。その隣には、にこにこと微笑むマコの姿もある。演技には向かないと自認するマコは、ボロが出ないようにと無難な接客を行う。
 ユーベルはそれを真似て接客をしていたようだ。
「ええと……私、これ……が、飲みたいです?」
 やや大胆な衣装を着ておねだりしたユーベルは、ノンアルコールのドリンクを飲み、ちょっとだけ酔った振り。
「……どうしてでしょう。何やら体温が上昇しています……」
 照れるユーベルに、徹也はドギマギ。ボクスドラゴンのドラゴンさんは、心配げにユーベルの頭の上に乗って彼女の頭をぺしぺしと叩く。
「こういうの初めてだカラ、上手くやれるかわからないけド……、頑張るネ!」
 レティシアも、精一杯接客をと意気込む。
「おにぃさん、最近調子はどうですカ?」
 テレビウムを物陰に潜ませ、滝・仁志(風まかせの空模様・e11759)はぼんやりと物思いにふける。
「ホステスさんは普段、あんまり縁がないなぁ」
 彼はクラブへ行くより、幼稚園や小学校を眺める方が癒されるとさえ考える。
(「……あれ、こうやって言うとなんか犯罪臭いか? まぁいいや」)
「元気ない? だったら、私と一緒にはしゃぎまショ~♪ ほら、ミツタダさんも一緒に!」
 レティシアは自身のテレビウムと一緒に仁志を応対しつつ、カクテルを作ろうとする。
 しかしながら、仁志は20歳なのでお酒は飲めるはずではあるのだが、彼が喉を潤しているのは、アルコールに見せかけたソフトドリンクだ。おまけに自分はテレビウムに身を潜めさせていたのに。
 ちょっとだけ場の空気が微妙になる仲、仁志はなんとか話題を探す。
「ど、どんなお酒が好き?」
 仁志も気軽に話そうと話題を振るが、その相手、レティシアは未成年である。
「チ、チョコスティック、食べさせてあげるですヨ!」
 微妙に行動が空回りする2人だったが、レティシアが差し出したお菓子の棒を仁志がぱくりと食べたことで、なんとかその場の空気が和んだようだ。
 ガドも綺麗なドレスで着飾り、化粧を行って変装をしている。
「こういう雰囲気って、苦手やから……」
 見た目はそれらしくしてはいるものの。高級感あふれる店内に、ガドは圧倒されっぱなしだ。
(「違う、これは緊張やない。酒の匂いに酔うてるだけ、ちょっと酔うてるだけやから……」)
 ガドがお酒を差し出す相手は、一般客。さすがにドリームイーターを誘い出す以上、客の出入りまで止めるわけにはいかない。
「お、おおおお客様、お酒をどどどどうぞ……」
 なんとか自制しようとするのだが、お酒を注ぐ手がガクガクと震えてしまっていた。
 そんな店内の様子を、黒服に扮したロベルト・スライフィールド(世界で二番目にカッコイイ豚・e00652)は立ったままで見つめる。豚の顔を持つ彼の立ち振る舞いは渋さが漂う。
 彼は事前に、入口はもちろんのこと、搬入口やダクト等も確認し、敵の出現に警戒を行っていたようだ。
「いらっしゃいま……せ……」
 ドアが開き、ローゼマリーが声を掛けると。開いたドアから入ってきたのは、異様な姿のホステスだった。ローゼマリーは客席へとそれを案内すると……。そいつは目の色を変えてこう言い放つ。
「……許すわけには、行かない」
 3頭身にデフォルメされたような姿のホステス。それは、別の店にいる真智というホステスに似ている。胸の中央はモザイクに包まれていて。こいつこそ、予知されたデウスエクス。意識を失った南井・慶幸の欲望から生まれたドリームイーターだ。
 ローゼマリーは敵の出現を察し、殺界でクラブを包み込み、隠していた斬霊刀を抜き、正眼に構えた。
 他のメンバーも、敵を囲むようにして布陣する。
「出番だぞ」
 仁志は潜ませていたテレビウムをそばに呼び、頭をポンと撫で、同時に、表情を切り替え、戦闘モードをオンにする。徹也も普段はプロテクターで隠した左手を解放した。
 ロベルトもドリームイーターに向け、リボルバー銃の銃口を突き付ける。
「たらふく呑んでけ、鉛弾のフルコースだ」
 ロベルトが引いた引き金から放たれた銃弾。それが戦いの口火となった。

●満たされることのない愛を求めて
 店内に入ってきたデウスエクス。
 一般客はそれを知って悲鳴を上げ、正面入り口、裏口など、非常口から外へと飛び出していく。ロベルトは自らが敵の気を引きつつ、一般人の避難を見届ける。
 だが、敵の狙いは一般客ではなく、ホステスに扮するケルベロスだ。
「私の美貌に痺れなさい」
 3頭身にデフォルメされた容姿では、美貌も何もと思ってしまうが。グラビティとして放たれたモザイクは、狙ったユーベルの体を痺れさせる。
 ドラゴンさんがブレスを噴き出すのに合わせ、ユーベルが仕掛けた。彼女はかつて喰らったデウスエクスの魂を、己に憑依させる。
「……私の姿を、見て欲しい。私の想いを、知って欲しい。貴方のココロに、触れさせて欲しい」
 ダモクレス実験機としての力を発動させた彼女は、降魔の力を纏った一撃を敵のモザイク部分へと放つ。その一撃はドリームイーターの意識を大きく揺さぶった。
 その強力な衝撃を受け、怒りを覚えるドリームイーターはユーベルに狙いを定めるが、ケルベロス達はその注意の外から攻勢を強める。
「待ってました!」
 ガドは仲間達の背後で爆発を巻き起こす。そして、少し顔を赤くしながら、彼女は槍を振り回した。
 後方から躍り出たのは、徹也だ。彼のライドキャリバー、たたら吹きが激しくスピンして敵の足を引き潰す。
 続いて、徹也が大きく飛びあがる。正義感の強い彼は、愛を歪めたドリームイーターが許せない。その存在を放置はできぬと、燃え上がる靴でドリームイーターの後頭部を蹴りつける。
「きれいでしょ、あげるよ」
 仁志が放ったのは、ガラスを砕いたような氷の粒。それは、相手を凍てつく寒さで包み込む。その粒の描く軌道は、まるで青い橋のよう。
 マコも続く。表情を引き締めつつも、彼女は捕縛手をはめた指で敵を一突きした。達人としての一撃を意識したその攻撃は、突いた部分を凍り付かせてしまう。
「炎と氷で、弱ってくれるといいのだけれど」
 仲間もその2種を飛ばしてくれているが、マコはマコで、敵の身体を炎と、氷で包み込もうとグラビティを叩き込んでいく。
「手前には痺れねえなァ、おい」
 それまで攻撃の隙を伺っていたロベルト。彼はタイミングを見はからい、螺旋を篭めた手のひらでそっと敵に触れ、内部から破壊する。
 ローゼマリーはというと、仲間が攻撃を行う間に、全身を地獄の炎で包み、己の戦闘能力を高める。同時に、彼女は戦いにくさを感じたのか、ドレスの裾を自らの手で破いていた。
 対して、ひらひらとドレスを舞わせて戦うレティシア。それが彼女の戦い方だ。
「これでも忍者でスヨ」
 ガトリングガンを携えたレティシアは、ドリームイーター目がけて連射する。
 だが、その連続放射にも、敵は怯まず。
「愛が……欲しい……」
 動き出すドリームイーター。一応は女性のような見た目をしつつも。南井という男の願望を具現化したそいつは、自身の欲を満たす為にモザイクを飛ばし続けるのである。

 相手はただ1人のドリームイーター。報われることのない愛を求め、ホステスを手にかけ続ける。
 そいつによるモザイクでの攻撃はケルベロスを惑わし、その動きを妨害する。欲しい物があるとドリームイーターに訴えられたガドは、言葉と同時に飛んできたモザイクの力で惑わされてしまう。
 マコは回復に回り、溜めたオーラでガドを癒す。正気に戻ったガドは、やはりこのドリームイーターは滅するべきだと、攻撃を繰り返す。
「いくで、覚悟しぃや!」
 ガドはホステスを演じていた時とは打って変わって伸び伸びと戦い、ブラックスライムを槍のように飛ばし、ドリームイーターの腹を貫く。
 ユーベルが電光石火の蹴りを繰り出し、敵のハート……胸のモザイク部分を叩きつけると、徹也が鋭い視線で敵を狙う。彼は右手でチェーンソー剣を担ぎ、それに炎を乗せて叩きつける。
 チェーンソー剣の鉄、そして、ブレイズキャリバーの炎。その2つが彼、徹也の抱かせるイメージである。
 そして、ロベルト。ウェアライダーたる彼の顔面は豚。だが、彼に抱かせるイメージは、渋さ。ハードボイルドな彼は、その個性を生かすように、ダンディな振る舞いを行い、むしろ好意的なイメージすら持たせる。
(「さすがに、女性を囮にしたままではな」)
 そんな苦い思いをドリームイーターにぶつけるべく、ロベルトは二丁のリボルバーを握る。
「愛、愛が……欲しい」
「……それは、言葉にするようなもんじゃァねえ」
 ロベルトは仲間の攻撃の隙を見て、敵の頭を狙い撃つ。銃弾を口の中に撃ちこまれ、ドリームイーターはむせるような動作をする。
 そこに目がけ、ローゼマリーも武器に炎を纏わせて斬りかかる。彼女の剣術は、突きを主体としたレイピア風の剣術。一度切っ先で突いた所作の後、剣先を引き戻しながら薙ぎ払う。炎を伴う連撃に、敵は燃え上がりながらも悶える。
「あ……ああっ!!」
 燃え上がる敵を、今度はレティシアが氷結の螺旋で凍らせる。
「これ以上……手を出しちゃ、ダメ」
 そこで飛ぶ、敵のモザイク。それまでとは違い、今回の一撃は広範囲へと広がる。
「ミツタダさん」
「ドラゴンさん、あなたも」
 レティシアが呼びかけると、テレビウムが飛び出てモザイクを受け止める。ユーベルもボクスドラゴンに盾役を願う。
 ウイングキャットのぴろーもまた、敵のモザイクを受け止めてくれる。その間、マコは穏やかな気持ちで癒しのオーラを放った。
「楽しんでいきましょうよ。一度きりの人生だもの」
 自宅警備員としてのスローライフ。それによって得られた心の余裕から溢れ出すオーラで、マコは仲間の体を大きく癒す。
 さらに、仁志も傷つく仲間の回復に当たり、光の盾を前面に展開していく。彼のテレビウムも、画面の動画でケルベロスの応援を行っていたようだ。
 十分に力をもらったガドはさらにドリームイーターを攻める。降魔の拳で殴りつけてその体力を奪うと、ガドは光の戦輪で敵の身体を刻む。
 さらに、徹也がチェーンソー剣でジグザグに切り裂き、ロベルトがまたも頭を狙って弾丸を見舞う。だが、トドメとはならなかったことを確認し、ロベルトは鼻を鳴らす。
「我が血は地獄。堕ちた恨みよ、焔と変われ」
 しかし、ローゼマリーが自らの血を流し、ドリームイーターに迫る。その血を地獄の炎と化し、斬霊刀へと纏わせた彼女は、逆袈裟から右切り上げて、V字を描くように二連撃を放つ。
「私は……満たされ……」
 全てを言い終えることなく、霧散するドリームイーター。最初から何もなかったかのように、そいつは影も形もなくなったのだった。

●静かになったクラブで
 敵の姿がなくなったことで、ケルベロス達は店内への被害、そして、仲間の負傷状況を確認する。
「手当するネ」
 レティシアは怪我人を発見し、その人へとヒールを施す。
 巻き込んでしまった一般人に対しては、ロベルトがケルベロスカードを渡していた。ある程度配り終えると、彼は一服し始めていたようだ。
「ちょいと店の様相は変わるけど……。まあ、お話のネタにってことで、一つ勘弁な」
 高級感あふれていたクラブだったが。ケルベロス達のヒールによって、その箇所はファンタジックに。店のオーナーが来たら何と言うだろうか。
 ともあれ、病院で眠っているという南井も、これで目覚めたはずではあるが。
(「愛のカタチは、様々なのですね……」)
 これは1つの愛から起きた悲劇。この1件が解決し、ユーベルは改めて思う。
 それを食い止めたメンバー達はしばし、クラブでの一時を楽しむことにしたのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年1月16日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 1/感動した 0/素敵だった 1/キャラが大事にされていた 2
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