恋する電流マシン~宝石の様な貴方と

作者:陸野蛍

●光が溢れ漣が聞こえるクリスマス
「みんなー! メリークリスマス!」
 大淀・雄大(オラトリオのヘリオライダー・en0056)がクラッカーを鳴らし、笑顔を振りまく。
「で、俺から皆へ、クリスマスのお願いしてもいいかな? お・し・ご・と・だ♪」
 雄大が満面の笑顔で一文字ずつ区切りながら言う。
「えー! とか言うなよー。俺だって本当は、クリスマスくらい、ゆっくりパーティーとか、したいんだからなー」
 唇を尖らせながらも、雄大は資料を開く。
「新しいダンジョンが発見されたのは、知ってるよな? このダンジョン、元々は破壊された巨大なダモクレスだったんだ。で、なんでも、このダンジョンの修復には『つがいである2体の人間を同時に殺害して合成させた特殊な部品』が必要らしくて、その部品を回収する為に、日本各地に部品回収用のダモクレスが、配置されているらしいんだよ」
 侵略の為とは言え、用意周到なことである。
「で、皆には、デートスポットに潜み、その場所を訪れるカップルに、部品に相応しい精神状態にする電流、俺達は『恋する電流』って呼ぶことにしたんだけど、まあそれを浴びせて、恋心を増幅させた後に殺害し、部品にしようとしている、ダモクレスの撃破をお願いしたい」
 ヘリオライダーの顔で、雄大がケルベロス達に依頼する。
「このダモクレスはだな。戦闘力は高くないんだけど、隠密性が高くて、このダモクレスが放つ電流を浴びせられない限り、発見することが出来ないみたいなんだ」
『つまりだな』と雄大が人差し指を立てる。
「ダモクレスが『人間のつがい』だと思うような関係性のあるケルベロスが、それっぽい状況を演出すれば、誘き出すことが出来るんだ。要するに、カップルらしくいちゃついて、この『恋する電流マシン』の電流をわざと浴びて、居所を見つけ出して、ぶっ倒してほしいんだ」
 雄大が笑顔で言い放つ。
「俺が頼みたい場所には、8体の『恋する電流マシン』が現れるから、二人一組の8組のカップルに分かれて、それぞれ1体ずつ破壊してほしい」
 8組が分かれて誘き出せば、手早くダモクレスの撃破を完了させることが出来るだろうからと雄大は言う。
「『恋する電流マシン』は、バスターライフルを装備しているけど隠密性重視の為、戦闘力は高くない。二人で戦っても十分に勝てる相手だと思う…………ただ」
 そう言って、雄大が頬を掻く。
「皆に浴びてもらう『恋する電流』がなあ……。あ、特にダメージとかは無いんだよ。ただ、『恋する電流』を浴びると、さっきも言ったように恋心を増幅されてだな、恋人らしくなっちゃうと言うか、もしかしたら恥ずかしい思いをするかもって言うか、相手によっては嬉しいかもみたいな、まあ、痛くは無いっぽいから、見つけ出したらサクッと倒しちゃってくれ」
 何故か雄大は、頬を赤くして照れている。
「あ、そうだ。皆に行ってもらう、デートスポットをまだ伝えてなかったな。皆には『湘南の宝石2015-2016 ~江の島を彩る光と色の祭典~』って言うお祭りに行ってもらいたい。今の時期は、『江の島シーキャンドルライトアップ』って言うイベントが開催されているらしくって、5万個のクリスタルビーズが煌めくトンネルがあったり、とってもロマンチックらしいな。詳しい案内はこのチラシに書いてあるから見ておいてくれ」
『恋する電流マシン』は、カップルが好む様な場所に潜んでる可能性が高いから、何処で誘き出すか考えてほしい、と雄大が付け加える。
「1組につき1体の『恋する電流マシン』を倒したら、あとは自由にしていいよ。折角のクリスマスだし、俺も野暮なことは言わないよ」
『俺はその間、ヘリオンの中でクリスマス特番を一人で見ることになるんだけどな』と、雄大がケルベロス達に聞こえないような小声で呟く。
「強大なダモクレスの復活なんてさせる訳にはいかないよな! ケルベロスとして、絶対に未然に防がなきゃいけない事なんだ! ……で、それはそれとしてだ。年に一度のクリスマスだし、折角イベント会場に行くんだから、クリスマスイルミネーションを堪能してくるのもいいんじゃないかな?」
『ちゃんと、ダモクレスを倒した後にだからな!』と言って雄大は笑った。


参加者
赤堀・いちご(ないしょのお嬢様・e00103)
水守・蒼月(小さな刄を・e00393)
蒼天翼・舞刃(蒼き翼のバトジャン少女・e00965)
キサナ・ドゥ(ビラヴドパーチ・e01283)
ノル・キサラギ(十架・e01639)
内牧・ルチル(忍剣・e03643)
逢魔・琢磨(愛という名の止まり木を知った・e03944)
鳳来寺・緋音(鉄拳必倒・e06356)

■リプレイ

●光の大空間
 グランドイルミネーションで覆われ様々な光に照らされたこの場所に、青い美しい髪の女性、蒼天翼・舞刃(蒼き翼のバトジャン少女・e00965)と長い髪を大人しめにまとめた、赤堀・いちご(ないしょのお嬢様・e00103)がお互い手を繋ぎやって来た。
「今日は大好きなお姉さんと2人でいられて嬉しいです」
 いちごが本当に幸せそうに舞刃に微笑みかけると、舞刃もいちごに笑顔を向け。
「そうね、いちごと一緒であたしも楽しいわ」
 それは、舞刃の偽りの無い気持ち……でも。
「イルミネーションに負けないくらい、お姉さんも綺麗ですよ」
 いちごに無邪気に言われてしまうと、つい。
「なっ……!? ば、馬鹿言ってないでさっさと行くわよ!」
 舞刃は、紅潮する頬を見られないように先に歩いていく。
「あっ! 待って下さい! 舞刃おねえさ……!」
 先に行こうとする舞刃を追いかけようとして、慌てた拍子にいちごは、その場で躓いてしまう。
「いちご! もう、慌てなくていいのよ」
 舞刃がいちごを立たせようと近寄ったその時、いちごの瞳に一体のダモクレスが舞刃に向かって電流を放つのが映った。
「舞刃お姉さん!」
「あたしは大丈夫よ……いちご」
 答える様にいちごを見た舞刃にいつもと違う、いやいつも以上に愛しい気持ちが湧きあがる。
「ダモクレス! お姉さんにはこれ以上触れさせません!」
 舞刃とダモクレスの間に割って入りそう宣言するいちご。
 その言葉を聞いて舞刃の胸は高鳴ってしまう。
「いちご……あたしの為に頑張ってくれるのね。でも、あたしもあなたの為に精一杯頑張るから!」
 そう言ってダモクレスに螺旋の竜巻を繰り出す舞刃。 
 竜巻にのまれながらも、ダモクレスのバスターライフルが舞刃を狙って発射される。
「お姉さんっ!」
 舞刃には傷一つ付けられないと、いちごが自分を盾にして舞刃を庇う。
 バスターライフルの放射が終わると、いちごは舞刃を振り返ると、微笑み。
「私が必ず守りますからね」
 言って黒き槍をダモクレスに飛ばす。
 そんなことを言われてしまい、舞刃のハートは爆発寸前である。
「好き! 大好きなの! いちご!」
 思わず戦闘中と言うことも忘れ、いちごに抱きついてしまう舞刃。
「お、お姉さん! 私もお姉さんが大好きです。でも、まだ、ダモクレスが!」
 抱きつかれ頬を赤くしながらもダモクレスを指差す、いちご。
「あたしといちごの邪魔はさせない! 見なさい! 蒼天の奥義!」
 舞刃が舞うように美しく翼を羽ばたかせながら、ダモクレスを無数の打撃で打ち砕く。
 ダモクレスが煙を上げながら機能停止する。
 それと同時に、舞刃にかかっていた電流の効果が消えて行く。
「やりましたね、お姉さん!」
 いちごが舞刃に駆け寄るが、舞刃はいちごの方を見ようとしない。
「さ、さっきのは……」
「お姉さんとっても可愛かったです」
 いちごが頬を朱に染め舞刃に言うと。
「アレはあたしじゃないから……! 早く忘れなさい!」
 恥ずかしくて思わず大きな声を出してしまう舞刃。
「凄く可愛かったので、忘れたくないです。二人の秘密じゃ駄目ですか?」
 頬笑み言ういちごに、舞刃はいちごの頬を突くとちょっと拗ねた声で。
「ふ、ふん。……他にばらさないなら好きにすれば!」
 言って、すたすたと先を歩いていく。
「お姉さん、大好きですよっ」
「ふ、ふん! バーカ!」
 言いつつも舞刃はその腕を振りほどけなかった。

●光のトンネル
「私服の綺羅星さん見るのって初めてだな、僕」
 ジャケットにマフラー、ニット製のキャップと言ったラフな格好で隣の女性に話しかけるのは、水守・蒼月(小さな刄を・e00393)。
 そして、こちらは、白いセーターにベージュのダッフルコート、それに赤いストールをかけ、スカートは黒と言う少し大人しめの清楚な服装の綺羅星・ぽてと。
「服装変じゃないかな?」
「変なんかじゃないよ~。凄く可愛いし、似合ってる! 絶対その写真売れるよ~!」
「そうかな? まだ、清純派アイドル路線もいけるかな☆」
 蒼月の言葉に気を良くしたぽてとが、軽い足取りでトンネルを歩く。
「綺羅星さんはやっぱり、元気だなあ」
 この二人、若干ラブの要素が薄く見える。
 何故ならこの二人はこの依頼の為の偽装カップルなのだ。
(「それにしても、不確定要素たっぷりな感情を部品にするって言うのは、合理的じゃないよね? 爆発力でも狙ってるのかな?」)
 蒼月がそんなことを考えながら歩いていると、ぽてとが駆け寄ってくる。
「何考えてるの? とりあえずダモクレスに出て来てもらわないとね。折角、こんなに可愛いぽてとちゃんがデートスポットに現れたんだか……」
 ぽてとが言い終わる前に柱の陰から、電流が二人を襲う。
 そして現れるダモクレス。
 それを見て、二人は微笑み合うと。
 お互いにではなく、ダモクレスに向かって。
『会いたかったよ、ハニー♪』
 言葉と同時に二人揃ってガドリングガンを乱射した。
 完全に虚を付かれたダモクレスは、すぐに逃げようと動くが。
「逃がさないよ☆ 私はアイドル、私は無敵……三十路って言った奴ぁぶっ飛ばすぅっ!☆」
 ぽてとの小柄な体からは想像も出来ない様な一撃がダモクレスを襲う。
「まだ、壊れちゃいやだよ? もっとも~っと遊ぼうよ」
 蒼月が無邪気な笑顔で言うと、彼の影から大小様々の猫が現れ、ダモクレスに襲いかかる。
 すると、機械の身体を引き裂かれたダモクレスは沈黙する。
「知ってること、教えてもらおうと思ったんだけどな」
 蒼月が残念そうに言う。
「恋心を強引に剥き出しにするなんて、無粋な器械よね☆」
「じゃあ、このままイルミネーション見て回ろう。他の皆は本当のカップルなんだし、僕達でなるべく多くのダモクレスを倒しちゃおうよ」

●亀ヶ岡広場会場
 穏やかな笑顔で妻を見る、浅儀・織。
 その夫の腕に抱きついて、こちらも幸せそうに微笑む、内牧・ルチル(忍剣・e03643) 。
 二人は思い出を語りながら、ゆっくりと歩きイルミネーションを楽しんでいる。
「橙と黄色……最初に話したきっかけの、マンゴーかき氷のこと思い出すな」
「そうだな」
 織は、ルチルの尻尾が喜びに揺れていることに幸せを感じる。
「紫も織の忍び装束の色だよね。思い出の色一杯の場所でデートって、幸せじゃない?」
 ルチルが織に微笑んで聞けば、織も愛するルチルに甘い笑顔で。
「こういう場所で一緒にクリスマスを過ごせて俺も幸せだぜ」
 その笑顔と言葉に、ルチルの頬は一気に紅潮し、尻尾もピーンと立ってしまう。
「わ、私! なにか飲み物でも!」
 腕をバッと離して、駆けだしてしまうルチル。
「お、おい! ルチル!」
 織が声をかけた瞬間、織の目の前で木陰から放たれた電流がルチルを襲った。
「ルチル!」
「だ、大丈夫。だから……旦那様、これ終わったら、ご褒美にギュってしてね」
「お、おう」
 ご機嫌で尻尾を振りながら、普段なら絶対に出さない甘えた声を出すルチルに、織がちょっとびっくりしながらも答えると、ルチルは嬉しそうに微笑みつつダモクレスとの距離を一気に詰め、流星の速さの蹴りをお見舞いする。
「えっと、俺も加勢しないと」
 織はダモクレスの周囲の空間に螺旋の力を加え強襲する。
 織がルチルの隣に来るとルチルは、我慢できないと言う程尻尾を振り。
「キスも……お外だけど、して欲しい、かなっ」
「分かった分かった」
「わーい、新婚パワーは無敵だよっ♪」
 ルチルが逆手に持った愛刀をダモクレスに突き刺すとそこに、織が螺旋の力を凝縮させる。
 螺旋の力がはじけると同時にそこを中心にダモクレスが破壊される。
「大丈夫か? ルチル?」
 織が妻を心配するように聞けば、ルチルは織に抱きつき、織の耳元に唇を寄せる。
「……愛してる♪」
 その言葉を聞いた織は無言でルチルの顎を掴むと自分自身の唇でその唇を塞いだ。

●恋人の丘
 恋人達の素敵な願いをかなえると言うこの場所に、ノル・キサラギ(十架・e01639)と鳳来寺・緋音(鉄拳必倒・e06356) は二人、赤いロングマフラーを巻き身体を寄せ合いながら歩いていた。
「カップルだけを襲って部品にするだと!? ……ふざけやがって!」
「燃えてるなあ、緋音。これは、頑張らないと」
 緋音の気合の入り方にノルがくすりと笑う。
「だけどよ、ノル……」
「ん?」
 緋音の珍しく歯切れの悪い言葉に聞き返す、ノル。
「えっと……こう言う風にくっついてるのって、アタシらしくないって言うか……ぅう、恥ずかしい」
 頬を赤くし、視線をそらしながら言う緋音。
「ははっ、じゃあちょっと巻き直そうか」
 その時、緋音に向かって、輝きながら電流が直撃する。
「緋音!」
「っく……出てきやがったな! アタシ達の前に現れたのが運の尽きだぜ!」
 緋音は、好戦的な目でダモクレスを見ると一気に駆けて、風の如き速さの蹴りをダモクレスに喰らわせる。
「へへっ、ご自慢の電流も大したこと無かったぜ。ノルと唇を重ねた時の方が、倍以上の電流が駆け抜けたぜ!」
「え?」
「……あっ!? ち、違う! い、今のは違うんだ! い、いや本当のことだけど……って! あぁ! もう」
 緋音は自分の言った言葉で真っ赤になり、それを振り切るようにダモクレスに攻撃を加えている。
 呆気にとられている、ノルはと言えば。
(「……これ、治しちゃうの、勿体ない)
 そんなことを考えていた矢先。
「ノル!」
「!」
 ダモクレスがノルにも電流を浴びせる。
 電流を浴びせられた途端、ノルは心の芯がむずがゆくなるような心境になった。
(「あれ、なんでこんなドキドキしてるんだ、俺。だって緋音は普段あんまり甘えてこないし、俺とのキスの方が電流が走ったって……」)
「うわぁ!」
 ノルが思考の中に居ると、緋音の悲鳴が聞こえた。
 ダモクレスに押し返されたのだ。
 それを見て、ノルにかつてない程の怒りが走る。
「俺の緋音になにしてるんだ! コードXF-10! 魔術拡張! ターゲットロック! 天雷を纏え!! 雷弾結界!!」
 ノルの怒りの雷の銃弾がダモクレスをに打ち込まれると、四つの起点から十字型の結界を構築していく。
「ノル! 一緒に往くぜ! 撃鉄起動ッ! 弾丸装填……唸れ!ストライク……ナックル!!」
「緋音! ここで決めろ!」
 ジェットエンジンの加速を付けた、緋音のガントレットがダモクレスを直撃しグラビティを放出した瞬間、ダモクレスは粉々になった。
 ダモクレスのグラビティが尽きると二人に流れていた電流も治まって行く。
「大丈夫か? 緋音」
 ノルが優しく手を差し出すと。
「これくらい平気だって分かってるだろ」
 と、そっぽを向きつつも、手を差し出す緋音。
 ノルはその手を掴むと緋音を立たせ、一度微笑み、無言で手を繋ぎ歩いて行く。
「……ノル」
 緋音はどこに行くのだろうと疑問を持ちつつもノルに着いて行く。
 そのまま少し歩くと、ノルは立ち止り、緋音の手に南京錠を渡す。
 その南京錠には、ノルと緋音の名前が書いてある。
「……これ」
「この龍恋の滝ではね、南京錠をかけて二人の永遠を約束するんだ」
「ノル……」
 それから、二人は無言で一緒に南京錠をかけた。
『ガチャン』と音がした瞬間、顔を見合わせて微笑む。
 ノルの顔が近付いてくる。
 唇が重なった時、緋音は思った。
(「……ほら、やっぱりこっちの方が……電流……強い……」)
 二人はしばしの間その優しい電流に身を委ねた。

●江の島海岸
「キサナさんと依頼同行するのは二回目ですね。また、何度も一緒に行けると嬉しいのですが」
 逢魔・琢磨(愛という名の止まり木を知った・e03944)が恋人である桃色髪の少女、キサナ・ドゥ(ビラヴドパーチ・e01283) に呟くように言う。
「使命が続く限り、世界が続く限り、俺と琢磨がいる限り……いくらでも機会はあるさ」
 二人は、浜辺を歩きながら腕を絡めたわいもない話をする。
 波の音だけがBGMだった。
 お姫様抱っこをし、琢磨がキサナの両手を捕まえぐるぐる回った。
 大きな波の音が耳に響いた時、物陰から光る電流が二人を襲った。
「出やがったな、ダモクレス。恋する電流、確かに受けたけどな。なんでもねえさ」
 キサナがにやりと笑って、リボルバー銃を一瞬で引き抜くと。
「ああ、好きだ! 愛してるぜ琢磨! タイミング合わせるぜーーー!」
 キサナのリボルバーが火を噴く。
「報告書にもしっかり残してもらいましょうか! 俺はキサナさんが好きだ! 愛してるッ!」
 琢磨の理力の一撃がダモクレスを捉える。
「これが俺達の愛の威力だぜェ!」
 キサナは早撃ちを止めないが、射撃の度に首に巻いたピンクのマフラーを空に放っていた。
 射撃の度に空に放ち砂に落ちる前に空中で回収する。
(「折角のプレゼントだ。硝煙の匂いは、仕方ねぇとしても、少しでも永く、綺麗に扱いたいのさ」)
 キサナは、琢磨の思いを受け止めながら戦うことを選んでいた。
「キサナさんを守ると誓う! ……この誓いに応えてくれッ! 俺の銃爪!」
 キサナを丸と言う誓いが琢磨のデヴァステイターの銃身を紫に発光させる。
「これが愛の力だ! LOVEッ!」
 本来なら照れが入る所だが、今の琢磨は愛のリミッター解除状態である。
「琢磨と2人のの完全包囲! 逃がしゃしねえぜ、覚悟しな!」
 キサナがリボルバーに手をかけながら叫ぶ。
 背中合わせの二人の銃口から同時に弾丸がダモクレスに向けて放たれる。
 その弾丸は同じ軌跡を描き、ダモクレスの中枢を打ち抜いた。
 リボルバー銃から放たれる煙と共に二人の身体から電流が抜けて行く。
 二人は瞳を合わせるとゆっくりと砂浜に座り、並んで会場のイルミネーションを眺めた。
「……綺麗な光だな、琢磨。……本当に宝石みたいだな」
 キサナが静かに呟く。
「俺にとっての宝石は、キサナさん……貴女だけだ。俺の人生の最後まで、ずっと見続けていたいな……」
 琢磨の優しい言葉に、キサナが自身の身体を琢磨に預ける。
「ね。ここは静かすぎて、耳に毒だから、琢磨の鼓動を聞かせてよ」
 琢磨の胸に耳を当てるキサナの髪を、琢磨はゆっくり撫でる。
「マフラー、大事にしてくれて嬉しいです。硝煙の匂いが付いたら何度でも作り直しますよ」
 優しく微笑みながら言う琢磨に、キサナは、一言。
「琢磨の匂いに包まれてるだけで幸せだよ」
 そう言って、瞳を閉じた。

●聖夜の報告書
 江の島に現れた、恋する電流マシーンは8体。
 各カップル1体の撃破に成功。
 残り3体の内2体は、蒼月&ぽてと組が、1体は舞刃&いちご組が追加で撃破したことが、全てのカップルに報告された。
 蒼月&ぽてと組は他のカップルの為に、ダモクレス討伐を自分達が出来るだけするのが、恋人たちへのプレゼントだったと笑った。

 宝石の様な恋人たちへ。
 メリークリスマス。

作者:陸野蛍 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年1月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 3/感動した 0/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 7
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