恋する電流マシン~函館幻想夜想

作者:遠藤にんし


 カップルを襲うダモクレスの存在を、高田・冴は告げる。
「このダモクレスは、『カップル2名を同時に殺した時に得られる部品』を回収するために設置されているもののようだ」
 全国各地のデートスポットに配されたダモクレス。
「ここに集まった皆には、北海道函館の赤レンガ倉庫群に出現するダモクレスの撃破をお願いしたい」
 ダモクレスとしての能力は決して高くないようだが、このダモクレスの隠密性は高い――探し回ったくらいでは、見つけることは不可能だろう。
「どうしたら良いんだ?」
 小瀬・アキヒト(オラトリオのウィッチドクター・en0058)の問いに、冴は言葉を返す。
「このダモクレスが――仮に『恋する電流マシン』と呼ぼうか。恋する電流マシンが探しているのはカップル。カップルで行くか、カップルを装ってダモクレスをおびき出すほかない」
 赤レンガ倉庫に設置されたダモクレスは8体。
 8組16名のカップルとなったケルベロスが赤レンガ倉庫をくまなく探せば、8体全てを撃破することが出来るだろう。
「強い敵ではないから、2人で戦えば互角くらいの戦力だね」
 バスターライフルを持っているため、対策を考えておくと良いだろう。
「人払いは済んでいる。2人1組のカップルとなって、函館に巣食う『恋する電流マシン』を撃破してくれ」
 場所は北海道函館の赤レンガ倉庫群、と冴は再び口にする。
 大きなクリスマスツリーや倉庫はイルミネーションで彩られ、海面にもそのきらめきが映っていることだろう。
「ダモクレスは『恋する電流』を使う攻撃もしてくる。ダモクレスの企みの阻止、頑張ってきてくれ」


参加者
榊・凛那(神刀一閃・e00303)
リリキス・ロイヤラスト(庭園の桃色メイドさん・e01008)
蒼樹・凛子(無敵のメイド長・e01227)
六道・蘭華(双破の侍女・e02423)
ペリム・エストルテ(深淵の闇を操りし地獄の魔導妻・e03609)
叢雲・紗綾(無邪気な兇弾・e05565)
一色・紅染(脆弱なる致死の礫塊・e12835)
五嶋・奈津美(地球人の鹵獲術士・e14707)

■リプレイ


 はこだてクリスマスファンタジーの現場に集まったケルベロスのカップルは、6組。
 8体のダモクレスに対して集まった人数は少なく、連戦になるカップルが出ることが予想された。そのため、ケルベロスたちは互いの連絡先を交換すると早々に2人1組に散開、おびき出しを開始することとした。
「わぁ。キラキラして、綺麗……」
 キラキラ輝くイルミネーションに囲まれて、六道・蘭華(双破の侍女・e02423)はうっとりとつぶやく。
 隣には榊・凛那(神刀一閃・e00303)の姿。蘭華と凛那は生まれた時からの幼馴染であり、同僚でもあり、最愛の恋人でもある。
 昔から今までずっと一緒にいても、想いが褪せることはなかった。その証拠に、凛那は蘭華の言葉に頬を染めながら返答する。
「うん、綺麗だね。その、蘭華姉の横顔も……」
「……もう」
 言われて、蘭華は目を伏せて繋いだ手に力を込める。それから持参した焼き菓子を取り出すと、笑顔と共にそれを差し出す。
「はい、あーんっ♪」
「え、えっと……あーんっ」
 受け取る凛那はぎこちない。凛那の唇に蘭華の指先が触れると、途端に二人の顔は真っ赤になるのだった。
 ――そんな様子を遠目に見てから、リリキス・ロイヤラスト(庭園の桃色メイドさん・e01008)は蒼樹・凛子(無敵のメイド長・e01227)に声をかける。
「ふふ、楽しんでいますか? 凛子さん」
「ええ、とても」
 組んだ腕からは温もりが感じられ、頬を寄せ合うと長い髪が交ざりあう。
「今宵は毎年とは違う、特別なクリスマスデートにいたしましょうね♪」
「恋人同士になってからの初めてのクリスマスですものね」
 これまでは親友としてクリスマスを迎えていた二人だが、今は恋人同士。
 甘くて熱い『大好き』の気持ちと共に眺めるイルミネーションは、いつものそれよりもずっと美しく思えた。
「イルミネーションが綺麗ですね。まるでわたくし達を祝福してくれているかのよう」
 ぎゅっと凛子がリリキスの腕を抱く力を強めると、リリキスの腕は凛子の胸に埋もれる。凛子の豊かな胸とその下の鼓動を感じてリリキスは真っ赤になってしまった。
「ちょ、ちょっと密着しすぎじゃないでしょうか……!?」
 慌てるリリキスを見る凛子はにこにことしたまま腕を離そうとしないし、リリキスも愛する人と離れるつもりになどなれない。
 二人はそのまま、デートを続けようとする――その時、この場には不似合いなほどに無骨な機械が、目の前に現れた。
 ――青い竜の翼を翻し、凛子は敵の目の前に立ちはだかる。
 バスターライフルから放たれる光線は凛子をかすめ、後方に位置するリリキスへと迫る。リリキスが光線を受けとめると、白かったはずのそれはピンク色の光粒となって弾け飛んだ。
 凛子がリリキスのダメージを確認することはない――長年、親友として以心伝心でやってきた仲。互いのことは、よく分かっている。
 凛子がダモクレスの内側へと斬霊刀を滑らせたタイミングで、リリキスのブラックスライムが炎を纏ってダモクレスへと突撃した。
「凛子さん、今日も素敵ですね、綺麗な戦姿、もっと見せてください」
「なっ……!」
「とても綺麗です。見るだけでなく、触れたいくらい」
「戦闘中です、わたくしよりも敵を見て?!」
 普段はなかなか言われない愛の言葉に狼狽する凛子。再び凛子をかすめて攻撃が飛んだが、リリキスは怒りを込めたデスサイズシュートで応戦する。
「私の大切な人に何かあったら承知しませんよ?」
「もぉ、何を言っているの」
 凛子の声音は呆れた様子。リリキスに背を向けているから、耳まで真っ赤にして恥じらう顔は見られずに済んだ。
 繰り返される攻撃に、徐々にダモクレスは追い詰められている。
「氷の華が貴方の墓標ですわ」
「蒼き氷剣と紫焔の刃、此処に重ねて……あなたを葬ります!」
 声も剣を掲げるのも、同時。
 氷の吐息と紫色の焔がそれぞれの剣を包み込む――駆けだす二人の姿に乱れはない。
「我は水と氷を司りし蒼き鋼の龍神」
 先に剣を振るったのは凛子。
「我が名において集え氷よ。凛と舞い踊れ!」
 神速の斬撃はダモクレスを裂き、たちまち裂傷を凍りつかせて氷の花を咲かせる――そこに、リリキスの斬撃に伴う強奪魔術式が発動した。
「奪うのがそちらだけだと思わないことですね。奪った分、全て奪いつくされることも覚悟し、この地獄の紫焔が呼び出す斬撃を受けなさい!」
 愛する人の髪や瞳、翼や角にも似た藍色の花は紫の焔に当てられ砕け散り、後にはダモクレスの姿もない。
 ――戦いが終わったのを見て仲間へと連絡を入れる凛子を、リリキスはぎゅっと抱きしめる。
「凛子さん、美しかったですよ」


 ――同じ頃、蘭華は凛那へこう切り出していた。
「ね、プレゼントがあるんだけど……」
「えっ?」
 何かを取りだそうとする蘭華――しかし何かの気配を覚えた蘭華はその動きを中断、鉄塊剣を出現させる。
「出たよ、凛那っ」
「タイミング悪いね……仕方ない、行こう蘭華姉っ」
 呪紋を纏う凛那へと向かう攻撃を、蘭華は重厚な一撃で迎える――柔らかな色の電流を受けて、蘭華は思わずこう叫んでいた。
「だって! 凛那と離れたくない、ずっと一緒にっ……!」
 そこまで言ってから口を噤む蘭華。
 凛那は驚きと困惑に目を見開き、蘭華を見る。それからすぐに目を逸らすと、高鳴る鼓動よりも激しい一撃をダモクレスへと加えた。
 ――迸る光弾が凛那を撃つのを認め、蘭華は即座に水の精霊に呼びかける。
「玉兎姫よ、太陰の極光を委ねます。霊妙なる慈雨にて咲き誇れ、純潔の七華!」
 七層からなる氷の防壁が二人を包む。二属性の魔法陣に取り囲まれた中で、凛那は斬霊刀を鞘に納める。
「一緒にいたいっ! 1秒だって離れたくないっ!」
 今度は蘭華が驚く番。普段はあわあわしがちな凛那がはっきりと愛を表明してくれることは、とても珍しいことだった。
 恋する電流に理性が麻痺したまま、凛那は瞳を閉ざし精神を統一する。
「我が剣、我が心、束ねて一刀と為し、仇なす神魔を斬り伏せん……! 行くよっ!」
 斬撃は二条――物理と霊性、いずれもを断たれてダモクレスは生命を奪われる。
 空を切る音が、辺りに響き渡った。

 どこからともなく聞こえてきた音にペリム・エストルテ(深淵の闇を操りし地獄の魔導妻・e03609)は一瞬天へと意識を向け、すぐにダモクレスへと集中する。
 隣には婚約者の昌親の姿。イルミネーションを楽しんでいた二人は、ダモクレスを見つけるとすぐに戦闘体勢に入った。
 ペリムの放った破壊光線の隙間を縫って、ダモクレスはペリムを撃つ。気遣うような視線を向けながら、昌親は銃床に炎を宿してダモクレスを殴打した。
 ペリムは跳躍する――向かう先は、昌親。
「しょ……将来は子供は何人欲しいです?」
 昌親の胸に顔を埋め、問いかけるペリム。精神状態を反映するゾディアックソード『Schwert der seele-精神の剣ー』はピンクに色づき、ハートの入った籠をくわえる小鳥が絵ががれていた。
「ふむ……俺は何人でも構わない。責任もって、生まれたら生まれただけ養うさ」
 恋する電流を受けていない昌親の返答は真剣そのもの。
「こっ…今夜は寝かさないのです」
「確かに……折角遠くまで来たのだものな、寝る間も惜しい。……君が隣にいるだけで十分なのだがね」
 微笑みと共にペリムを抱き寄せる昌親――その表情が厳しいものになったのは、ダモクレスが接近しつつあったから。
 昌親は一旦ペリムから離れると、惨殺ナイフを手に接敵する。
「じゃ……邪魔しないでくださいです」
 ダモクレスのせいで昌親が離れてしまったことが悔しくて、怒りのままにペリムは左手を掲げる。
「我に集いし漆黒の影! 汝の穢れた魂は永久へ!」
 白銀に輝く結婚指輪『Wing of a melody-旋律の翼-』。金剛石の煌めきは、昌親の指にもある。
 指輪に刻まれた片翼を輝かせる昌親は斬撃を浴びせかけると、すぐに横に回避する。次の瞬間、BefSeele der Seeleー魂の解放ーによって召喚された漆黒の剣がダモクレスに殺到し、その体を跡形もなく破壊していた。


「せっかくのクリスマスに呼び出してしまってごめんなさい。出来るだけ早く帰れるように頑張るね」
 五嶋・奈津美(地球人の鹵獲術士・e14707)は、呼び出した哲へと申し訳なさそうに言う。
 奈津美と哲は親戚で、哲には家族もいる。気にするな、と笑いかけ、哲は奈津美との話に花を咲かせる。
 恋人同士ではない二人だが、近況報告や思い出話が出来るのは楽しいもの。笑顔を浮かべる二人は、見ようによっては恋人同士に見えたかもしれない。
 ツリー前から海側の道へ、倉庫の外周に沿って歩こうとしたところで、ダモクレスは出現した。
「哲さんを守って」
 言いながら奈津美が鞄を開けるとウィングキャットのバロンが飛び出る。生み出されたドラゴンの幻影は、咆哮を上げながらダモクレスへと飛びかかる。
 哲はウィッチドクターの本領発揮とばかりに回復に専念していた。ダメージもバッドステータスも蓄積させないという強い気持ちのお陰か、奈津美に危機が及ぶことはない。
 バロンも先が白くなっている前足で敵を攻撃し、哲も回復の必要ない局面では支援の弾丸を撃つ。
 最後に奈津美がグラビティ・チェインを乗せたファミリアロッドを打ち据えると、ダモクレスはばらばらになって飛び散った。
 ……戦闘後もすぐに周囲のヒールに取り掛かる哲に、奈津美は呼びかける。
「家族が待ってるんだし、後の修理はわたしがするから早く帰ってあげて」
「そうだな……では、先に」
 哲の住まいは函館、ここからそう遠くはない。
 妻と幼子に会う為に大急ぎで去る哲を見送って、奈津美は携帯電話で仲間に連絡する。それからバロンやファミリアロッドの白雪と藍に呼びかける。
「行きましょう」
 仲間に合流するため、奈津美は歩き出す。

 既に一体のダモクレスを撃破した一色・紅染(脆弱なる致死の礫塊・e12835)は、祇音と共に再びイルミネーションを楽しんでいた。
「綺麗、だね……! イルミネーション、すごく、輝いてる……!」
「うむ……とてもきれいじゃな……」
 白と銀、二人の髪もイルミネーションに照らされ、幻想的な風合い。
 奇妙な上に恐ろしいダモクレスに対する憤りを持つ紅染だったが、祇音と思い出作りをしているこの瞬間だけは、そんな気持ちも忘れてしまう。
「ゆっくり、ゆっくり。この時間がもっと、続いたらいいな……」
 惜しむように歩き続ける紅染――しかし、その願いは叶わない。
「この時間が続けば素晴らしいが……そうはさせてくれぬようじゃ」
 残念なのは祇音も同じ。ボクスドラゴンのレイジを呼び、すぐさま戦闘体勢に入った。
「我、狼なり……我、大神なり……」
 霊力による雷が火花を上げる中、祇音の四肢は獣のそれへと変貌していく。
「我、大雷鳴……!! 轟け…っ!!」
 一気にダモクレスに肉薄しての一撃。紅染も炎弾を撒き散らしながら、次の攻撃の用意を整えている。
 敵も負けじと光線を紅染に撃つが、紅染の表情に苦悶はない。
「祇音」
 呼びかける紅染は、滅多に見せない自然な笑みを浮かべ。
「一緒に来てくれて、ありがとう」
「な……何を言っておるのじゃ」
 照れたように顔を背ける祇音にも、恋する電流を伴う攻撃が放たれる。
 ダモクレスが強いわけではないが、連戦であるため消耗はしていた。レイジの回復だけでは心もとないと考えて、祇音は癒しの力と共に紅染の頬にキスをする。
「んっ……これで……頑張れるかや……?」
「ありがとう。祇音に会えて、本当に、良かった。……僕、幸せだよ」
 心からの笑顔で告げる紅染。それから敵に向き直ると、紅染は悪夢に魘されし狂神を呼ぶ。
「意識、代行」
 顕現するは邪悪なる影――命あるものの破壊を望む存在。
 それの顕れた後、ダモクレスの姿は完全に失われた。


「人の愛の時間を邪魔すんじゃねーですこのガラクタ野郎!」
 叢雲・紗綾(無邪気な兇弾・e05565)の怒りの一撃によってダモクレスが破壊された瞬間、新たな敵が出現した。
「わぅ、俺と紗綾姉の時間を邪魔する悪い機械は速攻で壊してやるのだ!!」
 やっとデートが再開できる――と思った瞬間現れたダモクレスへ蓮は肉薄、斬霊刀で容赦なく斬った。
 攻撃のほとんどは紗綾のボクスドラゴン・アルゴルが受け止めていたが、庇い切れなかった攻撃は二人に恋する電流を付与していた。
「うぜーです!」
 紗綾の凍れる一撃もまた苛烈。それでも、蓮へと向ける眼差しは熱い。
 壁へと蓮を押し付け、強引なキス。戦闘中だとか姉弟であるとかいうことは、この気持ちの前では些末だった。
「うふふ、蓮くぅん……♪」
「紗綾、大好き……♪」
 蓮もキスを返す。
 柔らかな唇に蕩けそうになる気持ち――永遠に続けば良いとすら思えるが、あいにくとまだ戦闘中。
「やっつけるのだ!」
 蓮は言い、現場に駆け付けた奈津美はファミリアシュートで支援を行う。
 見れば戦闘を終えた仲間がちらほらと集まっている。彼らに勇気づけられて、紗綾と蓮は怒涛の攻撃を畳みかける。
「遠慮は要らないです、全弾纏めて持っていけですー!」
 一瞬の集中を経た紗綾が叫ぶと同時に、ダモクレスを無数の弾丸が取り囲んでいた。
 即座に集束する弾丸――銃声は、ひとつだけ響いた。

 紅染は祇音と手を繋ぎ、心置きなくイルミネーションを眺める。
 輝きに見入る祇音の横顔を見つめ、紅染は耳まで赤くなる。
(「ずっと、この手を……」)
 離さずにいられたら、と願う紅染だった。
「凛子さん、こっち向いてください」
 呼ばれて凛子が見れば、リリキスは凜子を壁に押し付け唇を奪う。
「んっ……」
 突然のことに抵抗も出来ない凛子。『恋する電流』の効果は切れたはずなのに、リリキスはこう囁きかける。
「ふふ、恋人同士ですからね♪ 照れてる凛子さん、可愛いですよ♪」
「……」
 何も言わず、ついと目を逸らす凛子。
「普段からこうならいいのに……」
 その声は、誰にも聞こえない。
 抱き合う二人を見、蓮は紗綾姉、と呼びかける。
「ボク達も真似しよう」
 大きなイルミネーションの下、抱き合う二人。
 ……しかし身長は蓮より紗綾の方が上、それを感じて、蓮はむっと頬を膨らませる。
「……そのうち、おっきくなるもん!!」
「紗綾の方がお姉さんですから仕方ないです……ふふ」
 いつか背を越される時も一緒にいられる――夢想し、紗綾はイルミネーションを仰ぎ見る。
「ふふ、綺麗ですよねー……蓮くん♪」
 言われて、蓮も笑顔を取り戻すのだった。
「凛那、さっきの話なんだけど……」
 言って蘭華が差し出したのはお揃いの指輪。
 凛那の左手薬指に填めると、凛那も蘭華にそうしてくれる――愛しさが溢れ、凛那は蘭華に抱き着いてキスをする。
「……さっきの電流のせいじゃないよ、嬉しかったんだから」
「うん、分かってる……うれ、しっ」
 本心からの口づけと抱き寄せに、蘭華は思わず涙をこぼしてしまった。
 
 戦闘後のヒールによって星の輝くようになった地面を踏むペリムは、頬に冷たいものを感じる。
「あっ……雪なのです」
 ペリムの声に呼応するかのように、赤い輝きが現れる。
 毎日15分だけ点灯するプレミアムレッドツリーに、日本に来てからは初めての雪。ふたつのものが重なって頬を上気させるペリムへと、昌親はコートをかけてやる。
 ツリーへと視線を戻した昌親を盗み見、周囲を窺い、ペリムは昌親と唇を重ねる。寄り添えば、暖炉のような温もりが二人の心を温めた。
 別の場所で、奈津美もツリーを見上げている。
 辺りにはカップルたち。幸せそうな彼らを見ながら、奈津美は思う。
(「来年は、わたしも恋人と来たいな」)
 思い思いの方法で、ケルベロスたちはクリスマスの夜を過ごすのだった。

作者:遠藤にんし 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2016年1月8日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 0/感動した 0/素敵だった 8/キャラが大事にされていた 2
 あなたが購入した「複数ピンナップ(複数バトルピンナップ)」を、このシナリオの挿絵にして貰うよう、担当マスターに申請できます。
 シナリオの通常参加者は、掲載されている「自分の顔アイコン」を変更できます。