決闘! ワカメVSコンブ

作者:秋津透

 茨城県かすみがうら市では、今日もまた殺伐とした闘争が繰り広げられている。
 若者グループ「増える!ワカメ団」と「おぼろコンブ団」が、『負けた方のグループが勝った方のグループの傘下に入る』という取り決めの元、互いのグループ代表となる攻性植物……に取り憑かれた仲間を決闘させることになったのだ。
 むろん、ワカメ団の代表はワカメっぽい攻性植物、コンブ団の代表はコンブっぽい攻性植物である。
「ワーカメー!」
「コーンブー!」
 互いに名乗りをあげ、二体の攻性植物が対峙する。そして次の瞬間、両方が同時に、毒性を持つ海水を相手に向かって勢いよく噴射した。
「お前の攻撃など、効かないワカメ!」
「お前の攻撃も、効かないコンブ!」
 ……どうも、決着までは時間がかかりそうである。

「えー、茨城県かすみがうら市で若者のグループ同士が抗争を起こすんですが、それが、攻性植物の果実を体内に受け入れて異形化したもの同士の決闘という形で行われることがわかりました」
 ヘリオライダーの高御倉・康が告げ、その傍らでパール・ホワイト(サッカリンミュージック・e01761)が、大きくうなずく。
「かすみがうら市で、サボテンの攻性植物をやっつけた時に、こんなことが起こるんじゃないかっていう予感がしたの! だから、康クンに調べてもらったんだけど、大当たりだったみたい!」
「そうですね。彼らは、攻性植物化したもの同士をグループの代表として決闘を行い『負けたグループは勝ったグループの傘下に入る』という戦いを始めました。この状況を放置すれば、いずれかすみがうらの攻性植物はひとつの集団に統一され、デウスエクスの強力な組織ができあがってしまうかもしれません」
 あくまで真面目な口調で、康は言葉を続ける。

「今回、決闘をする攻性植物は、ワカメとコンブです。少なくとも、当人たちは、そう名乗っています。両者は似たタイプの能力を持っており、決闘しても、なかなか決着がつかないようです。皆さんは、両者が決闘する場に乗り込むことになりますが、もし二体の攻性植物が一時休戦してケルベロスと戦うような状況になると、勝利するのは難しくなると思います。何というか、一体だけでも確実に撃破できるよう、立ち回りを工夫することが重要かもしれません」
 そして康は少し考え、言葉を継いだ。
「攻性植物以外のグループの若者達は、普通の人間なので、全く脅威にはなりません。彼らは、攻性植物とケルベロスが戦い始めれば、勝手に逃げていくでしょう」
 そう言うと、康は軽く肩をすくめる。
「攻性植物同士が決闘して片方が倒されても、『コギトエルゴスム』になるだけで死にはしません。彼らにとって決闘は、何というか、生死を懸けない単なるゲームなのです。そして『コギトエルゴスム』を破壊できるのは、ケルベロスだけです。それが、今回の作戦のキーになるような気がします。健闘を祈ります」 


参加者
ユージン・イークル(不動の星・e00277)
セラス・ブラックバーン(竜殺剣・e01755)
ルティアーナ・アキツモリ(秋津守之神薙・e05342)
男女川・かえる(筑波山からやってきた・e08836)
立花・吹雪(奏でる刀魂・e13677)
カロリナ・スター(喫煙所の守護天使・e16815)
ターャジス・プスンコ(カレーの国からナマステー・e18819)
テットザイン・ロックソール(目立ちたがりのタロット使い・e18833)

■リプレイ

●せっかくだから、オレはこの海草に味方するぜ!
「ワーカメー!」
「コーンブー!」
 茨城県かすみがうら市の、深夜の公園。街灯に加え、集まったバイクや改造車のヘッドライトで無駄に煌々と照らされた広場に、二体の怪人……攻性植物を体内に受け入れて異形化した者が向かい合い、名乗りをあげる。
 そして今にも、決闘が始まろうかという、その瞬間。
「豆腐の味噌汁といったら、ワカメ! それがジャスティス!」
 声高らかに叫びながら、セラス・ブラックバーン(竜殺剣・e01755)が光の中に躍り出る。
「というわけで、俺はワカメの旦那に味方するぜ!」
「な、な、なんだ、お前はコンブ!」
 当然ながら、今まさにワカメ怪人と戦おうとしていたコンブ怪人が、抗議の声をあげる。
「正々堂々一対一の対決に、乱入など無用コンブ! 怪我しないうちに、とっとと消えるコンブ!」
「ふっ、一対一で戦うなどと、言った覚えはないワカメ! ワカメのジャスティスに賛同する同志の助太刀は、大歓迎ワカメ!」
 ワカメ怪人が言い放ち、コンブ怪人がたじろぐ。
「ぬうっ、ワカメめ、図ったなコンブ! 二対一とは、卑怯コンブ!」
「うむ、そのような卑怯な真似、許せぬ!」
 凛とした声とともに、ルティアーナ・アキツモリ(秋津守之神薙・e05342)が割り込む。
「ワカメとは、いささか因縁があるのでな。この戦い、載せてもらうぞ!」
「おおっ、それは有難いコンブ! 天は、我を見放さなかったコンブ!」
 感動に打ち震えるコンブ怪人だったが、セラスに加え、男女川・かえる(筑波山からやってきた・e08836)とユージン・イークル(不動の星・e00277)の二人がワカメ側に現れると、再び引き攣った声を上げる。
「なんで、そんなに増えるコンブ! 卑怯コンブ!」
「ふっ、味方がどんどん増えるのは、ワカメの特権ワカメ!」
 ワカメ怪人が得意げに言い放ち、かえるとユージンもそれぞれ宣言する。
「ワカメさんのジャスティスに大賛同~! 助太刀しちゃうよ~!」
「ワカメは中華スープの味わいも輝いてるのさっ☆ だからこそコンブ、キミを止めて見せる!」
 きらりん、と天真爛漫な笑顔を見せるユージンだが、次の瞬間、コンブ側に一体のウィングキャットが現れたのを見て、目を見張る。
「ヤ、ヤードさん! なぜ、ボクに背いてコンブ側へ……まさか、ボクの大好きなワカメをおすそわけでキャットフードに混ぜたのを怒ってる?」
「食べ物に勝手にワカメを混ぜたコンブ?! そんな非道をしたら、誰だって怒るコンブ!」
 コンブ怪人が吠え、ウィングキャットのヤードさんが、フーッと唸る。
 そして、ヤードさんに続くように、立花・吹雪(奏でる刀魂・e13677)カロリナ・スター(喫煙所の守護天使・e16815)ターャジス・プスンコ(カレーの国からナマステー・e18819)の三人が、コンブ側に現れる。
「ワカメに恨みはありませんが、ヤードさんの怒りに共感いたしました。コンブさんに助太刀させていただきます」
 吹雪が静かに告げ、カロリナが威勢よく叫ぶ。
「話は聞かせてもらいました。低価格のワカメなど、いくら増えても所詮は量産品。ここは違いをわからすべきです! 加勢させて頂きます!」
「コンブは出汁が取れて、カレーに加えても美味しいのでぇす。ワカメはカレーに合いませぇん。よって、カレーを愛するわたしぃは、コンブに味方いたしまぁす」
 少々癖のあるイントネーションで、ターャジスがぽやんと告げる。
 そしてコンブ怪人は、呵々大笑して言い放つ。
「ワカメよ、見たかコンブ! 味方が増えるのは、お前の特権などではないコンブ! これぞコンブの人徳、じんわりと出汁の旨味が効いているコンブ!」
「むむむむむ……」
 ワカメ怪人が呻いた時、いきなりそこへ、天から無駄に高い建物……『塔』(ザ・タワー) が降ってきた。
「ぐえっ!」
「ワカメ! てめぇの運気は最悪だ!! 俺に会った時点でなぁ!!」
 『塔』(ザ・タワー)の頂上に立つテットザイン・ロックソール(目立ちたがりのタロット使い・e18833)が、思いっきり格好をつけたポーズで叫ぶ。
「コンブだ。そう、コンブだ。和食には欠かせないコンブ、鍋の出汁には欠かせない縁の下の力もち的な存在コンブ、コンブ巻きとしても食えるコンブ。俺はコンブ派だぜ……パネェからな!!」
 そう言ってテットザインは、コンブ怪人に向けて言い放つ。
「助太刀するぜ! コンブマン! 具材にしかならねぇワカメなんて、さっさとスープにすんぜ!」
「おおおおおおおおお! 真の味方は、最後に来るコンブー!」
 再び感動に打ち震えながら、コンブ怪人はワカメ怪人に襲いかかる。
「勇気百倍! 力千倍! 運気最悪のワカメなど、パネェコンブの敵ではないコンブ!」
 何だか思いっきりテットザインに影響されて、コンブ怪人は無数のコンブ触手を伸ばし、ワカメ怪人の全身をぶちぶちと引きちぎる。
「ちょ、調子こいてんじゃないワカメ!」
 怒りの叫びとともに、ワカメ怪人もワカメ触手を伸ばし、コンブ怪人の全身をぶちぶち引きちぎる。 
「ジャスティスは、ワカメにあり! 死ね、コンブ!」
 セラスが竜殺剣ラグナブレイズに、地獄の炎をまとわりつかせてコンブ怪人に斬りかかる。
「俺は、コンブ出汁煮のニンジンが嫌いだ! 嫌いだ、嫌いだ、大嫌いだ!」
「それは、コンブではなくてニンジンが嫌いなのだろうが! 八つ当たりするでない!」
 突っ込みながら、ルティアーナがワカメ怪人に呪縛をかける。芝居と疑われるようなら敵方のケルベロスへ攻撃する「ふり」も考えていたが、幸いというか何というか、海草怪人たちは簡単に乗せられて激闘を繰り広げている。それなら、とっとと倒してしまった方が早い。
「余は、ワカメは好かん! 味噌汁の具にしたら、しょっぱくて箸に絡む! おやつ昆布と間違って食すと、勝手に増えて腹痛を起こす! けしからん!」
「それこそ、八つ当たりじゃないか~!」
 突っ込みはルティアーナに入れながらも、かえるもコンブ怪人を攻撃する。攻性植物を武器装備しているので、何となく「お仲間」感があるのは利点かもしれない。
「みそ汁という銀河の中で輝くワカメの美味しさは、誰が何と言おうと一等星!  昆布なんて鍋の前座、でも、ある意味地味すぎて輝いてるねっ☆ コンブさん、キミの輝きの原石、ボクに見せてよっ☆」
 ユージンがきらりん笑顔でウィンクし、コンブ怪人へと星型の光を飛ばす。その動作からは、攻撃なのか回復なのか、いまいちよく分からないが、コンブ怪人は明らかにダメージを受けて揺らぐ。
(「精神的苦痛……を受けたのでしょうか?」)
 首を傾げる吹雪の横からヤードさんが飛び出し、ワカメ怪人へ尾のリングを飛ばす。吹雪も素早く構えを整え、ワカメ怪人に雷撃の突きを見舞う。
「しょせん量産型!」
 気合とともにカロリナがワカメ怪人に蹴りと拳を見舞い、ターャジスは素知らぬ顔で殺神ウイルスをぽいと撃ち込む。
「凍っちまえ!」
 ワカメは増えそうで怖ぇが、冷凍しときゃ増えねぇだろ、と、テットザインは【氷結の槍騎兵】を召喚して叩きこむ。
 するとワカメ怪人が、全身を震わせて叫ぶ。
「だ、出汁、ぷしゃー!」
 その声とともに、ワカメ怪人の全身から黄金色の汁が噴き出し傷を癒やす。
 するとコンブ怪人も、負けじと叫ぶ。
「おのれワカメ、真似しおってコンブ! これこそ本家本元、コンブ上質出汁、ぷしゃー!」
 するとコンブ怪人の全身から、ワカメ怪人より遥かに大量の汁が噴き出し、受けた損傷をほとんど消し去る。こりゃ、本気でパネェ、と、テットザインが目を見張る。
「やっぱ、本家コンブの出汁はパネェ……ワカメの出汁なんぞ、比べものにならねーぜ」
(「いや、その差はアンチヒールの効果であろうが」)
 本気で感心しているテットザインにルティアーナが思わず突っ込みそうになるが、そんなことを明らかにしてワカメ怪人にターャジスを狙われたら目も当てられない。
(「しかし……海草どもの回復力が侮れぬのは確かじゃ。万が一、芝居がバレて組まれようものなら、本気で手に負えぬ」)
 無傷なので意味はないが、コンブ怪人の出汁治癒は同列にいるセラスに及んでいる。更に、BS耐性効果まであるようだ。可能な限り、急ぎ斃さねばならぬな、と、ルティアーナは表情を引き締め直し、ワカメ怪人を見据えた。

●海草死すべし
「おえんびそわか……! 大元帥が御名を借りて命ず、疾くこの現世より去りて己があるべき拠へと還れ!」
 ルティアーナが必殺の『儀:拠光儀断無明破魔軍 -虚裂光閃陣-(コノギニテムミョウヲダンジテマグンヲハセン)』を放ち、ワカメ怪人の全身を四方八方からの光で灼き貫く。
 既に時は、夜明け近く。ケルベロスたちの芝居はバレることなく、コンブ怪人とワカメ怪人は互いに攻撃をぶつけ合い、ケルベロスたちはまったくの無傷だ。理想的な展開で戦闘が進んだにもかかわらず、これほど時間がかかっているのは、ひとえに海草怪人たちが凄まじくタフで、かつ回復力が高かったかたに他ならない。ワカメ怪人に至っては、アンチヒールを常時受けている状態でありながら、自力回復だけでここまで粘ったのだから恐ろしい。
 しかし当然ながら、いかにしぶとく粘ろうと、いつかは必ず限界が来る。そしてワカメ怪人の限界は、ルティアーナの必殺技によってもたらされた。
「ワーカーメー!」
 断末魔の叫びとともに、ワカメ怪人は全身から無数の海草片を散らしながら倒れる。
 同時に、ここまで決闘を見守っていた若者グループたちの大半が、一斉に蜘蛛の子を散らすように逃げ出す。どうも集まっていた者のほとんどは、ワカメ団側だったらしい。
「やれやれ、しぶとい奴だったコンブ。しかし、これで奴も封印されて宝石に……あれ? ならないコンブ?」
 ワカメ怪人の死体がグズグズと崩れ腐臭を放つのを見て、コンブ怪人が当惑した声を出す。
「そ、そんなバカなコンブ……この中の、どこかに宝石が……」
 急速に腐っていく海草をぐしゃぐしゃと乱暴に掻き分けるコンブ怪人に、セラスが背後から殺神ウイルスを叩きこむ。
「ぐあっ!」
「戦いはまだ、終わっちゃいねーんだよ!」
 吠えるセラスに、コンブ怪人は身体を震わせて向き直る。
「おのれ! ワカメが負ければ、その配下は、我の配下になる約束コンブ! 約束を無視して逆らうなら、叩き潰して宝石にしてやるコンブ!」
「あの者たちは、たとえ負けても宝石になどならん。ワカメも、そなたではなく余が斃したのだから、ただ死ぬのみで宝石になどならん」
 静かな口調で、ルティアーナが告げる。
「その意味が、そなたに分かるか?」
「……ま、まさか……貴様ら……デウスエクス殺しの、ケルベロスか? 我のことも……殺すのか?」
 語尾にコンブと付けるのも忘れ、コンブ怪人が声を震わせる。
 するとテットザインが、思いっきり格好をつけながら、本気で残念そうな口調で告げる。
「コンブマン……あんたは確かにパネェ。だが、あんたが察した通り、オレたちはケルベロス。ゆえに哀しいが、これも避けられぬ宿命。あんたを認めるからこそ、全力で斃す!」
「う、うわあああああああああっ!」
 恐怖の叫びをあげてコンブ怪人は逃げようとするが、その足は極端に遅い。
「逃すなっ!」
 背後から呪縛を仕掛けながら、ルティアーナが言い放つ。ヤードさんが素早く跳びかかり、コンブ怪人の頭部をばりばりと引っ掻く。
「ここから海まで逃げようっていうのかい~? さすがに、それは無理だよ~」
 あはは、と無邪気に、見ようによっては残酷に笑いながら、かえるが装備する攻性植物の蔓を伸ばしてコンブ怪人を絡め取る。
「ワカメと戦っていたキミは、輝いていたのにね☆」
 ユージンが残念そうに告げ、容赦ない攻撃を叩きこむ。衝撃で、ばばっと海草が千切れ飛ぶ。
「た、助けてくれ……命だけは……どうか、命だけは……」
「デウスエクスの……攻性植物の力を自ら受け入れ、同化してしまった以上、助かる道はありません。観念なさい」
 必死に命乞いするコンブ怪人を憐みの目で見ながら、吹雪は冷徹に事実を告げ、炎を帯びた蹴りを叩きこむ。
(「もしかすると自分が死ぬとも気付かずに、無我夢中の戦いの中で斃れたワカメの方が、幸せだったのかも……」)
 声には出さずに、吹雪は呟く。  
 更にカロリナ、ターャジスが素早く回り込んで、コンブ怪人の退路を断つ。
「今更、人のふりなどされてもねぇ……興ざめでぇす。美味しい出汁になってくださぁい」
 それともワカメ同様、斃したらすぐに腐ってしまうのでしょーかー、と、残念そうに呟きながら、ターャジスは殺神ウイルスを打ち込む。
 正直、泣き言ほざく腰抜け怪人よりターャジスの方が断然怖いわ、と、もちろん口には出さずに呟きながら、カロリナは拳と蹴りを叩きこむ。
 そしてテットザインが【氷結の槍騎兵】を召喚、氷の騎士を叩きこまれたコンブ怪人は、身体を震わせて叫ぶ。
「だ、出汁、ぷしゃー!」
(「自己回復か。気持ちはわかるが、それではジリ貧になって負けると、ワカメが示したばかりではないか」)
 とはいえ、時間はまだ相当にかかりそうじゃな、と、ルティアーナは小さく溜息をついた。

「燃え上がれ、ホーリーブレイズ!」
 もう、いい加減に潰れろよっ、と、渾身の苛立ちを籠めて、セラスが必殺の火炎斬『ホーリーブレイズ』を叩きこむ。
 ほぼ半日に及ぶ長い長い戦いの間に自慢の出汁も尽き果てたのか、浄化の白い炎に覆われて、コンブ怪人の全身が燃え上がる。
「死に……たく……ない……」
 往生際悪く呻きながら、コンブ怪人は炎の塊と化し、やがて全身燃え尽きて灰になる。むろん、その灰の中には、宝石……コギトエルゴスムなど残らない。
 そしてテットザインが、思いっきり格好をつけながら呟く。
「あばよ、コンブマン。あんたの出汁は、俺のかっこよさを引き立てる意味で、かなりパナかったぜ」
(「……どこをどー解釈すれば、そのようなことになるのじゃ?」)
 ルティアーナが呟いたが、わざわざ声に出して突っ込むには、さすがに疲れ過ぎている。
 代わりに、彼女は一同を見回して告げた。
「お疲れ様じゃ。海鮮鍋でも、食べて帰らぬか?」
「あーっ! 賛成っ! 乗ります!」
 真っ先に吹雪が応じ、かえるとカロリナが応じたが、セラスは肩をすくめる。
「俺は、海鮮はちょっと……焼き肉にするわ」
「焼き肉賛成! 輝いてるねっ☆」
 ユージンが同意し、テットザインが親指を上にして突き出す。
「焼き肉、パネェぜ!」
「わたしぃは、カレーを食べて帰りまぁす」
 ターャジスがにこやかに告げたが、それには誰も同行を申し出なかった。


作者:秋津透 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年12月23日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
得票:格好よかった 4/感動した 1/素敵だった 2/キャラが大事にされていた 1
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