シャイターン襲撃~流れ出る赤いもの

作者:なちゅい

●惨殺を行うヴァルキュリア達
 東京都立川市。
 そこに現れたヴァルキュリア達は3人ずつ4方向へと散って住宅街に向かい、一般人の虐殺を始める。罪もない人々達を手にかける彼女達の目からは、赤いものがこぼれ出ていた。
 それは、血だ。人々が恐怖し、叫ぶ声を聴きながらも、彼女達はその命を無慈悲に奪い去ってしまう。その度に、ヴァルキュリア達は血の涙を流していたのだ。
 とある方向を行くヴァルキュリアのうち、槍を持った1人。名はリリアと言う。やはり、彼女も血の涙を流している。
 老若男女問わず、リリアの槍は人々の命を、グラビティ・チェインを奪い取ってしまう。そのたびに飛び散る血と同じだけ、彼女の目からも赤い涙が流れ出る。
 彼女の意識は闇へと沈み、手にする槍が新たな一般人の身体を穿ってしまうのだった。
 
「城ヶ島のドラゴン勢力との戦いも佳境に入っている所だけれど、エインヘリアルにも大きな動きがあったようだよ」
 ビルの屋上で待っていたリーゼリット・クローナ(シャドウエルフのヘリオライダー・en0039)。敵勢力の動きに大きな動きがあったこともあり、彼女は真剣な表情でケルベロス達へと語りかける。
「鎌倉防衛戦で失脚した第一王子ザイフリートの後任として、新たな王子が地球への侵攻を開始したらしいんだ」
 エインヘリアルは、ザイフリート配下であったヴァルキュリアをなんらかの方法で強制的に従え、魔空回廊を利用することで人間達を虐殺し、グラビティ・チェインを得ようと画策しているようだ。
「皆には、東京都立川市に行ってもらいたい」
 ヴァルキュリアを従えている敵は、妖精八種族の一つシャイターンだ。都市内部で暴れるヴァルキュリアに対処しつつ、シャイターンを撃破する必要がある。
「ヴァルキュリアは、住民を虐殺してグラビティ・チェインを奪おうとしているけれど、邪魔する者が出た場合は、その邪魔者の排除を優先して行うように命令されているようだね」
 つまり、ケルベロスがヴァルキュリアに戦いを挑めば、ヴァルキュリアが住民を襲うことは無くなる。
「だけど、都市内部にシャイターンがいる限り、ヴァルキュリアの洗脳は解けることはないよ。彼女達は躊躇なく君達、ケルベロス達の命をも奪うだろうね」
 ただ、シャイターン撃破に向かったケルベロスがシャイターンを撃破した後ならば、なんらかの隙ができるかもしれないが、確かなことは言えない。
 操られているヴァルキュリアには同情の余地もあるが、ケルベロスが敗北すれば、ヴァルキュリアによって住民が虐殺されてしまう。
「罪のない住民を見捨てるわけにはいかないよ。ヴァルキュリアをどうにかしたいのは山々だけれど、ここは割り切るしかない……よ」
 リーゼリットとて、助けられるならばと考えるが。罪もない人々を殺させるわけにはいかない。
 こちらで請け負うヴァルキュリア3体は、ふたご座のゾディアックソード、ルーンアックス、槍を持つ。
「状況によっては、更に1体のヴァルキュリアが援軍としてやってくる可能性もあるよ。くれぐれも気を付けてほしい」
 増援に関しては、可能な限り注意したいところだ。
 説明を終えたリーゼリット。だが……。
「彼女達、泣いてたんだ。血の涙を流して。一般人を助けることは優先すべきだけれど……」
 できることなら、ヴァルキュリアも助けたい。だが、それができないのなら、彼女達が罪を重ねる前に、いっそ……。
 声を詰まらせたリーゼリットは、無言でケルベロス達を送り出すのだった。


参加者
シェラーナ・エーベルージュ(剣の舞姫・e00147)
カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)
クリスティーネ・ユーホルト(流浪の姫・e00751)
リヴィ・アスダロス(魔瘴の金髪巨乳な露出狂拳士・e03130)
エレノア・クリスティン(オラトリオの鹵獲術士・e03227)
真月・勝(ただの探偵・e05189)
大和・武蔵(勇気の証明・e09700)
ガンバルノ・ソイヤソイヤ(カオスの姫君・e18566)

■リプレイ

●哀れなる戦乙女
 東京都立川市。
 この地を襲撃するシャイターン、そして、ヴァルキュリア。5班のケルベロスがその対処に当たる。
 こちらはその1班。カタリーナ・ラーズグリーズ(偽りの機械人形・e00366)、真月・勝(ただの探偵・e05189)は予め、他班メンバーと連絡先を交換していた。何かあった際のサインも確認している。
「さぁ、『依頼』開始だ!」
 ヨレヨレスーツを着た勝は、中折れ帽子を抑えつつ叫ぶ。すでに立川の街は、襲来したデウスエクスによって混乱の最中にある。
「死にたくなかったら逃げて、早く」
 ガンバルノ・ソイヤソイヤ(カオスの姫君・e18566)は多少の脅しを交え、声掛けを行う。多少混乱はあったが、人々の避難は進む。
 ある程度、人がいなくなったタイミングを見て、新たな一般人が近づかないようガンバルノは殺界も形成していた。
「シャイターン殺すべし! だが、その前に戦乙女達をどうにかせねばな」
 リヴィ・アスダロス(魔瘴の金髪巨乳な露出狂拳士・e03130)の呟きに、仲間達は頷く。
 この地にも、シャイターンが現れ、使役するヴァルキュリアが街を襲う。
 しかも、彼女達の目には、赤い涙が流れていた。
「今まで何度か戦ったけど、人間味がないと思ったら洗脳されてたのね」
 自分達と敵対するなら己の意志で行ってほしいと、シェラーナ・エーベルージュ(剣の舞姫・e00147)は願う。
「誰が描いた絵図か知らねぇッスけど、この胸糞悪い真似は、俺らにケンカ売りたいんですアピールつーことで良いんだな、オラァ!」
 大和・武蔵(勇気の証明・e09700)は虚空に向かって叫ぶ。ドラゴニアンの彼は人一倍の正義感を持っており、今回の件が何から何まで気に食わないのだ。
「わたしには絆とかよく分からないけど、自分の意思が無視される不快感だけは分かるよ」
 自分の意志に逆らい、身体が勝手に動く。カタリーナの前に見えてきたヴァルキュリア達は、そんな状態にあるのだろう。
「敵とはいえど、あの姿は……見ていられません。意にそぐわない命令で凶事に走るのは、何としてでも防がないと」
「シャイターンが撃破されれば、彼女達も正気を取り戻せると聞いた。其処をついて救出する……!」
 血の涙を流す彼女達を止めようと、エレノア・クリスティン(オラトリオの鹵獲術士・e03227)は飛び出す。リヴィもタイミングを見て、ヴァルキュリアをシャイターンの枷から解き放とうと考えている。
 しかし、ヴァルキュリア達の境遇には同情を覚えるが、今、彼女達が行っていることは、無抵抗な一般人の殺戮でしかない。
 仲間達と同様、クリスティーネ・ユーホルト(流浪の姫・e00751)も殺さないよう戦おうと考えていたが、シャイターン撃破班がもし失敗したならば、その時は……。最悪の展開も視野に入れ、クリスティーネは戦いに臨むのである。

●ヴァルキュリアの増援は……
 街で殺戮を繰り返すヴァルキュリア。彼女達は一般人を剣で斬り捨て、斧で叩き割り、そして、槍で貫く。
 彼女達の前へとケルベロス達が駆けていく。とにかく、一般人を助けねば、そして、ヴァルキュリアを止めねばならない。リヴィは仲間の盾となりながらも、彼女達へと呼びかける。
「悪鬼風情に飲まれるな、己自身を取り戻せ! 同胞を救う勇者を探すのだろう……!」
 リヴィは声をかけつつ、裂帛の気合を重力震動波に変換し、ヴァルキュリアへと浴びせかけ、プレッシャーを与える。
 しかしながら、ヴァルキュリア達はそれに耳を貸そうとする気配はない。彼女達はケルベロスを新たな敵を見定め、攻撃を仕掛けてくる。
 説得を行いたいが、今は他班がシャイターンを撃破するのを待つしかない。とはいえ、戦わなければ、ケルベロスとて無事では済まない。
「誇り高きヴァルキュリアが、敵の操り人形だなんて、嘆かわしいわね。そんなもの気合でふっとばしなさいな!」
 クリスティーネは叫びながらも、ポジショニングを行って戦闘体勢を整える。
「光の聖霊よ……我ら同法に光の加護と祝福を!」
 エレノアもこれからの攻防に備え、オーブのような光の聖霊を召喚し、仲間に光の加護と祝福を与える。
 その上で、彼女は敵のポジションを確認する。いずれもクラッシャーとして、戦いを行っていたようだ。一般人の虐殺の為、その力を全力で叩きつけるべく位置取っていたらしい。
 エレノアはそれを確認しつつ、後方で仲間の援護へと回ることにする。そこでは、ガンバルノもドローンを多数展開し、仲間の盾としていたようだ。
「私達は貴方達を助けたいから、助けられるチャンスを待つわ」
 シェラーナは前に立ち、仲間と共に呼びかけを行う。
「貴方達がいくら本気で殺しに来ても、私達を殺す事は出来ないのよ」
 その言葉に相手は反応は見せないが、聞き耳だけは立てているのは、ヴァルキュリアの耳が動くことで分かった。
 だからこそ、シェラーナはさらに言葉を続ける。両手に斬霊刀を携え、同時にそれらを振るい、衝撃波を放つ。すると、斧を振るうラヴィが衝撃を受けて、呻く。
「貴方達弱者は、私達強者に助けられる存在なのよ。それを、今ここで実証してみせましょ♪」
 まずは手加減なしで。シェラーナは全力で戦いに臨む。
「俺らが来たからにはこの街で好き勝手させねぇぞ、コラァ!」
 武蔵も真に自由なる者のオーラで自らを包み、前に出て逃げ遅れた一般人を守るべくヴァルキュリアの前へと躍り出る。
 武蔵の叫びにも、妖精達は涙を流して武器を振るうのみ。しかしながら、赤い涙だけは彼女達の心情を正直に語っている。
 そんな彼女達へ、コインを飛ばす勝。その一発はレリエのゾディアックソードの柄にヒビを入れた。
「普段は二重受はしねぇんだが……その『依頼』、確かに引き受けた」
 勝が今受けている依頼は、立川の住民を守ること。だが、血の涙を流す姿に、彼は虐殺を望まない意志を感じたのだ。
「わたしは絆なんて分からない……」
 カタリーナは、ボクスドラゴンのクロクルにリリアの槍を防いでもらいながら、自身にできることを行う。
「誇り高きヴァルキュリア。わたしは知っている。何度も戦ったから、あなた達はこういうことは嫌いだって」
 カタリーナができることは、ヴァルキュリア達全員に語りかけること。
「だから、全力で戦って、止めてあげる」
 彼女はそう告げ、アームドフォートの砲門を一斉に発射させるのである。

 街中で繰り広げられる戦い。ようやく、この付近から一般人が姿を消しつつあった。
 ガンバルノは楽器を吹き鳴らし、仲間の援護を行う。
 それによって、狙いを定めやすくなったクリスティーネはグラビティ・チェインを破壊力に変え、ヴァルキュリアへと銃弾として撃ち放つ。その一発はレリエの右肩を穿った。
「こんな戦い……今すぐ止めるのよ」
 彼女だけではない。ケルベロス達の訴えは続く。
 戦いの最中、鳴り響く携帯の着信音。それは他班のアンドロメダからの着信だ。1コールは、敵増援の出撃の合図。
「……弓を持つヴァルキュリアが2体、増援に向かったとのことだ」
 内容を確認した勝が仲間達へと告げると、武蔵はその増援を引き受けるべく構えた。
 これを機にケルベロス達は、新たなる敵の出現に備える。
 ……しかし、1分、2分経っても、この場に増援は現れない。他班が相手にするヴァルキュリアの元へと向かったのだ。
「そう、他の戦場に向かったのね」
 カタリーナは弓の腕を競う相手がこの場に現れないことを知る。
 それでも、カタリーナが自身の弓を確実に当てることは変わらない。シャイターンが倒れるまで、変わらずヴァルキュリアへと呼びかけ続けることも。

●転機
 ヴァルキュリアは依然として、血の涙を流しながら手にする武器をケルベロスへと突き付けてくる。
 エレノアは詠唱と共に、手近なヴァルキュリア目がけて魔法の光線を放つ。それを浴びたラヴィは石となった肘を強引に動かそうとする。高々と飛びあがり、彼女は軽々と重い斧を振り上げ、武蔵へと叩き付けた。
「寝てろ」
 武蔵は反撃にと、スマホの角で強かに殴りつける。グラビティの乗った一撃は、十分に強力だ。みぞおちに食らったラヴィの表情が歪む。
「貴方達は弱い。弱いからこうやって助けられたりするの。私達は強いから、貴方達を助けようとするの」
 シェラーナは援軍が来ないと知り、手加減攻撃と回復を繰り返し、ヴァルキュリアへと呼びかけを続ける。彼女達を奮い立たせることで、自身で洗脳を解いてもらえたなら……そう考えて。
 同じく、以前の依頼で面識のあるヴァルキュリア、リリアへと説得を行うメンバーもいる。
「幾らでも仕掛けてこい……。正気を取り戻すまで、何度でも受け止める!」
 リリアは前衛のケルベロス達を槍で薙ぎ払う。リヴィはそれを受けながらもさらに言葉を続けた。
「自分を保て、もう少しで悪鬼から解放されるぞ……!」
 リヴィはエインヘリアルに対する怒りを雷という形で、ヴァルキュリアの目を覚ます為に炸裂させる。
「あの嬢ちゃんを正気に戻すまで、寝てる暇ねぇぜ?」
 リリアの薙ぎ払いを食らったヴァルキュリアの顔見知りのメンバーへ、勝が発破をかける。戦いが始まってから、10分弱というところか。まだ倒れるわけにもいかない。
「こないだはお世話になったわね、覚えているかしら。……全く、何てザマなのかしら」
 顔見知りの1人、クリスティーネはレリエの相手をしながらも、折を見てリリアへと呼びかける。
 だが、血の涙を流すリリアの表情は全く変わらない。クリスティーネは凝縮した魔力を撃ち放つ。
 それを受けたレリエの動きが鈍りだす。彼女は地面にふたご座を描き、自分達の守護を行っていた。
 できることなら、命は奪いたくない。コギトエルゴスムとなってしまう状況は、ケルベロスとしては避けたい。
 そう考える勝は手加減での攻撃に切り替え、急所を外しつつコインを飛ばす。
 仲間達が必死になって訴える姿を見ていた、ガンバルノ。
(「彼女達は、敵。一般人を襲い、恐怖をまき散らした存在なのだから」)
 ヴァルキュリアは確かに、一般人を手にかけ、虐殺を行っていた。それは拭い去ることができない事実。
(「例え、彼女達が脅されて仕方なくやった行動でも、被害者から見れば関係ない。彼女達は加害者だ」)
 理不尽に命を落とした者からすれば、あるいは、家族を、友人を、恋人を奪われた者からすれば、ヴァルキュリアがどのような状態であっても知ったことではない。
 でも、そんなヴァルキュリアを、仲間達は助けようとしている。その姿はあまりにも眩しい。
「だから、私は彼らを応援します」
 基本的な回復手は自分だけ。彼女はジョブレスオーラを飛ばし、少しでも仲間を癒そうと考える。
 そこへと飛んでくるレリエのオーラ。ふたご座の形を描くそれは、剣から放たれたものだ。
 ただ、それは勝が盾となって庇う。胸部を凍らせた彼は、ガンバルノへと微笑んだ。
「嬢ちゃんに倒れられたら困るんでな」
 こんな仲間達を守る為に。ガンバルノは自身を、仲間を奮い立たせる。
 そんな中、レリエの息遣いは激しくなってきていた。
「手加減云々の文句は、正気を取り戻した後で聞く……!」
 リヴィはそう告げ、エアシューズでレリエの体を一蹴する。露出の少ない彼女のズボンからちらりと何かが見えそうになる中で、炸裂する蹴り。嗚咽を漏らすレリエだが、まだ、気を失ってはいない。
「殺しはしないけど、止めるためには気絶ぐらい……いいよね」
 やはり、反応はない。彼女達も同意していると信じ、カタリーナは弓を射る。力を加減したその一矢。レリエはついに意識を失い、がっくりと倒れた。
「本気で殺し合うのは、また今度」
 その時、またも、勝の携帯が鳴る。やはり、アンドロメダからの着信だが、今度はコール音2階だけで切れてしまう。その合図は……。
「シャイターンが倒れたぞ」
 勝が仲間達へとその知らせを伝える。戦局が変わる転機になるとケルベロス達は信じて疑わない。
 果たして、ヴァルキュリア達の反応は……。
 
●声は届くか……?
 シャイターンが撃破された。ケルベロス達はその知らせを聞き、士気を高める。
 対するヴァルキュリアはどうなったか。メンバー達は視線をやれば、彼女達に混乱が起こっていた。
「……もう無用な戦いは終わりました。これ以上は戦う理由はありません」
 エレノアは光の聖霊を呼び出し、ヴァルキュリアの傷を癒そうと近づく。
 しかし、そこで振るわれるラヴィの斧。彼女達は武器をエレノアへと突き付けてきた。
 ダメなのかと再び構えを取るメンバー達。しかし……。
「もう、止めましょう……!」
 ラヴィを槍で攻撃し、抑えようとしていたリリア。だが、彼女はすぐに表情が変え、ケルベロスへと槍を差し向けてくる。洗脳は今なお続き、時折正気に戻る程度でしかない状態なのだろう。
 それでも、今なら。ケルベロス達は言葉を彼女達へとぶつけることにする。
「ハッ、頭は討たれたッスよ。今のアンタに戦う理由はあるッスか?」
 武蔵はリリアの強烈な一撃を受けながらも、呼びかける。必ず、この件を指図したエインヘリアルにケジメを取らせる、と。
「私達は本気で殺しに来る貴方達相手に、殺さずに耐え切ったわ!」
 さらに、シェラーナも続ける。倒れているレリエにも、ケルベロス達は攻撃をしようとしない。一行は己の意志を貫き通し、有言実行したのだ。
「悔しかったら己の意志で洗脳を解いてみなさい、リリア! そして、貴方の仲間も救ってみせなさい」
 シェラーナの激励に、リリアの槍が止まる。ケルベロス達の言葉は全て、彼女達へと届いていたのだ。
「ラヴィ、引きましょう……」
「リリア……」
 2人は倒れたレリエを抱え、現れた魔空回廊の中へと消えていく。
 メンバー達は去りゆくヴァルキュリアを見ながら考える。
「『依頼』完了だな……」
 勝は用意していたハンカチを差し出すつもりでいた。その涙を拭きとってもらう為に。
 クリスティーネにとっては、リリアは2度、引いてもらっていることになる。できるなら、彼女達の事情が知りたかったと彼女は思う。
「前、勇者は俺達かもしれないって言ったッスけど、アンタは勇者に何を望むんスか……」
 武蔵も彼女達に声をかけるが、答えは返ってこない。
 リヴィはまたも、用意したプリンを差し出すことができなかった。このプリンを一緒に食べることができる時は訪れるだろうか。
 そして、カタリーナ。そっと取り出した首飾りを、あの人に渡せる日はやってくるのだろうか。
 その日はきっとやってくる。ケルベロス達はそう信じてやまないのだった。

作者:なちゅい 重傷:なし
死亡:なし
暴走:なし
種類:
公開:2015年12月24日
難度:普通
参加:8人
結果:成功!
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